特許第6378680号(P6378680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378680
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】1−アルキルイミダゾール化合物の製法
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/58 20060101AFI20180813BHJP
   B01J 23/86 20060101ALI20180813BHJP
   B01J 23/889 20060101ALI20180813BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20180813BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20180813BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180813BHJP
【FI】
   C07D233/58
   B01J23/86 Z
   B01J23/889 Z
   B01J23/89 Z
   B01J37/18
   !C07B61/00 300
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-529393(P2015-529393)
(86)(22)【出願日】2014年7月30日
(86)【国際出願番号】JP2014003998
(87)【国際公開番号】WO2015015804
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年7月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-160135(P2013-160135)
(32)【優先日】2013年8月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000167646
【氏名又は名称】広栄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 学
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−119524(JP,A)
【文献】 特開2013−119522(JP,A)
【文献】 特開2002−255941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅およびクロムを含有する触媒の存在下、ビシナルジオール化合物、ホルムアルデヒド、アンモニアおよび一級アミン化合物または一級アルコール化合物を気相接触反応させることを特徴とする1−アルキルイミダゾール化合物の製造方法。
【請求項2】
銅およびクロムを含有する触媒が、銅、クロムおよび周期律表第7族に属する金属を含有する触媒、銅、クロムおよび周期律表第11族に属する金属(銅を除く)を含有する触媒、銅、クロム、周期律表第7族に属する金属および周期律表第11族に属する金属(銅を除く)を含有する触媒からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の1−アルキルイミダゾール化合物の製造方法。
【請求項3】
銅およびクロムを含有する触媒が、銅、クロムおよびマンガンを含有する触媒、銅、クロムおよびバリウムを含有する触媒、銅、クロム、マンガンおよびバリウムを含有する触媒、銅、クロム、マンガンおよび銀を含有する触媒からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の1−アルキルイミダゾール化合物の製造方法。
【請求項4】
銅およびクロムを含有する触媒が、使用前に還元処理した銅およびクロムを含有する触媒である請求項1に記載の1−アルキルイミダゾール化合物の製造方法。
【請求項5】
銅およびクロムを含有する触媒が、使用前に水素還元処理した銅およびクロムを含有する触媒である請求項1に記載の1−アルキルイミダゾール化合物の製造方法。
【請求項6】
銅およびクロムを含有する触媒が、使用前に125〜375℃で水素還元処理した銅およびクロムを含有する触媒である請求項1に記載の1−アルキルイミダゾール化合物の製造方法。
【請求項7】
250〜325℃で気相接触反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の1−アルキルイミダゾール化合物の製造方法。
【請求項8】
銅およびクロムを含有する触媒の存在下、ビシナルジオール化合物、ホルムアルデヒド、アンモニアおよび一級アミン化合物または一級アルコール化合物を気相接触反応させて得られる反応ガスを、水に吸収させることを特徴とする1−アルキルイミダゾール化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅およびクロムを含有する触媒の存在下、ビシナルジオール化合物、ホルムアルデヒド、アンモニアおよび一級アミン化合物または一級アルコール化合物を気相接触反応させることを特徴とする1−アルキルイミダゾール化合物の製法に関する。
【背景技術】
【0002】
1−アルキルイミダゾール化合物は、医薬、農薬、機能性材料等の中間体として有用な化合物であり、近年、グリーンケミストリーの分野において、リサイクル可能な溶媒として注目を集めているイオン液体を製造するための原料として有用な化合物である。
【0003】
1−アルキルイミダゾール化合物の製法としては、7重量%Pb/H−MFI型ゼオライト触媒の存在下、エチレングリコール、ホルムアルデヒド、アンモニアおよびメチルアミンを気相接触反応させる方法がすでに報告され、収率28%で1−メチルイミダゾールを得たことが記載されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−119524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の製法は、1−アルキルイミダゾール化合物の収率が28%と低収率であり、収率の点で1−アルキルイミダゾール化合物の製法として満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記従来製法の問題点に鑑み鋭意検討した結果、銅およびクロムを含有する触媒の存在下、ビシナルジオール化合物、ホルムアルデヒド、アンモニアおよび一級アミン化合物または一級アルコール化合物を気相接触反応させることによって、1−アルキルイミダゾール化合物が収率よく製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、銅およびクロムを含有する触媒の存在下、ビシナルジオール化合物、ホルムアルデヒド、アンモニアおよび一級アミン化合物または一級アルコール化合物を気相接触反応させることを特徴とする1−アルキルイミダゾール化合物の製法に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ビシナルジオール化合物、ホルムアルデヒド、アンモニアおよび一級アミン化合物または一級アルコール化合物を原料とする気相接触反応によって、収率よく1−アルキルイミダゾール化合物を製造することができる。よって、本発明は、工業的に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳しく説明する。 本発明で使用するビシナルジオール化合物としては、式(1):
【0010】
【化1】
(式中、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基である。)
で示されるビシナルジオール化合物(以下、ビシナルジオール(1)という)が挙げられる。
【0011】
式(1)中、RおよびRは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基であり、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくは水素原子である。炭素数1〜8のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0012】
一級アミン化合物としては、式(2):
【0013】
【化2】
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。)
で示される第一級アミン(以下、アミン(2)という)が挙げられる。
【0014】
式(2)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0015】
一級アルコール化合物としては、式(3):
【0016】
【化3】
(式中、Rは前記と同じ。)
で示される第一級アルコール(以下、アルコール(3)という)が挙げられる。
【0017】
本発明により製造される1−アルキルイミダゾール化合物は、式(4):
【0018】
【化4】
(式中、R〜Rは前記に同じ。)
で示される1−アルキルイミダゾール化合物(以下、1−アルキルイミダゾール(4)という)である。
【0019】
本発明で使用するホルムアルデヒドは、通常、30〜50重量%のホルムアルデヒドを含有する水溶液であるが、前記水溶液以外にパラホルムアルデヒドまたは1,3,5−トリオキサンを使用してもよい。また、本発明で使用するアンモニアは、工業的に入手可能なものであれば特に制限されない。
【0020】
本発明で使用する銅およびクロムを含有する触媒としては、銅およびクロムを含有する触媒;銅、クロムおよび周期律表第7族に属する金属を含有する触媒;銅、クロムおよび周期律表第11族に属する金属(銅を除く)を含有する触媒;銅、クロム、周期律表第7族に属する金属および周期律表第11族に属する金属(銅を除く)を含有する触媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒が挙げられる。前記銅およびクロムを含有する触媒は、前記金属以外に、周期律表第8族に属する金属(鉄、ルテニウムおよびオスミウム)、周期律表第9族に属する金属(コバルト、ロジウムおよびイリジウム)および周期律表第10族に属する金属(ニッケル、パラジウムおよびプラチナ)から選ばれる少なくとも1種の金属を含有していてもよい。具体的には、銅、クロムおよびマンガンを含有する触媒;銅、クロムおよびバリウムを含有する触媒;銅、クロム、マンガンおよびバリウムを含有する触媒:銅、クロム、マンガンおよび銀を含有する触媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒が挙げられる。より具体的には、銅−クロム触媒、銅−クロム−マンガン触媒、銅−クロム−バリウム触媒、銅−クロム−マンガン−バリウム触媒、銅−クロム−マンガン−銀触媒が挙げられ、銅−クロム触媒、銅−クロム−マンガン触媒、銅−クロム−マンガン−バリウム触媒、銅−クロム−マンガン−銀触媒が好ましい。触媒中に含有される金属は、金属単体、金属化合物(酸化物、水酸化物、金属塩など)のいずれの形態であってもよい。
【0021】
本発明で使用する銅およびクロムを含有する触媒中の銅とクロムの含有割合は、銅とクロムの金属単体の割合に換算して、クロムの重量1に対する銅の重量比が0.05〜20、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.5〜2である。触媒中に含有される銅およびクロム以外の金属の含有量は、特に限定されないが、0.01〜50重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20重量%である。特に、触媒が銀を含有する場合、銀の含有量は、通常1〜10重量%、好ましくは3〜8重量%、より好ましくは5〜7.5重量%である。
【0022】
本発明で使用する銅およびクロムを含有する触媒は、市販品を用いてもよいし、以下の方法により調製したものを用いることもできる。本発明で使用する触媒の調製法は、特に限定されず、混練法、含浸法、共沈法、イオン交換法、濃縮乾固法等が用いられる。触媒の調製法について具体的に説明すると、例えば、金属を担体に担持した触媒を含浸法で調製する場合は、前記触媒調製原料を水等の溶媒に溶解し、得られた溶液を担体に含浸させた後、乾燥させる。次いで、空気気流中で250〜700℃で焼成する方法が挙げられる。
【0023】
本発明で使用する銅およびクロムを含有する触媒は、粉末状、円柱状、円筒上、球状、粒状等、所望の形状に成形して使用される。
【0024】
本発明で使用する銅およびクロムを含有する触媒は、本発明の気相接触反応に使用する前に還元処理してから使用することが好ましい。還元処理に使用する還元剤としては、特に制限されないが、水素が好ましい。前記水素は、窒素、アルゴン等の不活性ガスで希釈してもよい。触媒の還元方法は、特に限定されないが、水素流通下での熱処理が好ましい。水素による還元温度は、通常50〜500℃、好ましくは75〜450℃、より好ましくは125〜375℃、さらに好ましくは150〜350℃である。前記還元処理における水素の流通速度(空間速度、SV)は、通常SV=1〜1500/hr、好ましくはSV=50〜500/hr、より好ましくはSV=100〜200/hrである。
【0025】
本発明の気相接触反応における反応温度は、通常100〜500℃、好ましくは150〜450℃、より好ましくは250〜325℃、さらに好ましくは250〜300℃である。気相接触反応における反応圧力は、常圧または加圧である。気相接触反応の反応方式は特に制限されず、固定床、流動床または移動床で行われ、また、バッチ式、連続式のいずれの方式も採用することができる。
【0026】
本発明で使用される原料の使用量は、ビシナルジオール(1):ホルムアルデヒド:アンモニア:アミン(2)のモル比で、通常、1:0.1〜20.0:0.1〜50.0:0.1〜20.0であり、好ましくは1:0.5〜10.0:0.5〜20.0:0.5〜10.0である。ビシナルジオール(1):ホルムアルデヒド:アンモニア:アルコール(3)のモル比で、通常、1:0.1〜20.0:0.1〜50.0:0.1〜20.0であり、好ましくは1:0.5〜10.0:0.5〜20.0:0.5〜10.0である。
【0027】
ビジナルジオール(1)の流通速度は、通常LHSV(液空間速度)で0.01〜2(g/cc−触媒・h)であり、好ましくは0.1〜1(g/cc−触媒・h)である。
【0028】
気相接触反応は、希釈剤の存在下または不存在下で行う。希釈剤としては、反応に不活性なものであれば特に限定されることなく、任意のものを用いることができる。具体的には、窒素、アルゴン等の不活性ガス、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカンなどの脂肪族炭化水素などを用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
気相接触反応終了後、生成する反応ガスを水、有機溶剤に吸収させるなどの適宜手段にて生成物を捕集した後、得られた生成物を含有する吸収液を蒸留等の通常の精製手段によって、目的物である1−アルキルイミダゾール(4)を得ることができる。反応ガスを吸収させる吸収剤としては、水が好ましく用いられる。
【実施例】
【0030】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。なお、実施例中のガスクロマトグラフィー分析条件は、以下通りである。なお、転化率および収率は、以下定義に従って計算した。
【0031】
転化率(%)=反応したビシナルジオール(1)(モル)/供給したビシナルジオール(1)(モル)×100
収率(%)=反応により生成した1−アルキルイミダゾール(4)(モル)/供給したビシナルジオール(1)(モル)×100
【0032】
ガスクロマトグラフィー分析条件
ガスクロマトグラフ:株式会社島津製作所製GC−2010
カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製、DB−WAX(30m、内径0.32mm,膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム、線速度:36.1cm/min
スプリット比:1:50
気化室温度:250℃
カラム温度:50℃(3min)→(15℃/min)→200℃(0min)→(20℃/min)→250℃(9.5min)、
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
検出器温度:280℃
【0033】
実施例1
1−1.触媒還元処理工程
内径19mmのパイレックス(登録商標)製の反応管に、クラリアント触媒株式会社製T−4466触媒(Cu:42重量%、Cr:31重量%)を15ml充填し、触媒の充填層の上部に22cm、下部に10cmの長さでカーボランダムを充填した。
反応管に充填したT−4466触媒を150℃に昇温後、同温度に保ち、反応管の上部から30ml/minの水素と30ml/minの窒素を供給すると、触媒が発熱し、触媒の温度が220℃まで上昇した。前記触媒の発熱がなくなるまで、水素と窒素を供給し続けた後、触媒の温度を200℃に昇温して同温度を保持した。200℃で触媒の発熱がないことを確認した後、水素の供給を止めた。
1−2.反応工程
実施例1の1−1で還元処理したT−4466触媒の温度を300℃に保ち、反応管の上部から、エチレングリコール:ホルムアルデヒド:アンモニア:メチルアミン=1:1.5:4:1.5(モル比)の混合物を、エチレングリコール基準でLHSV=0.1(g/cc−触媒・h)で30ml/minの窒素とともに供給した。反応管の下部から排出された反応ガスを100mlの水の中にバブリングさせて反応生成物を含む溶液を得た。反応開始から1.5時間経過した時点での前記反応生成物を含む溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、エチレングリコールの転化率は100%、1−メチルイミダゾールの収率は45%であった。
【0034】
実施例2
2−1.触媒還元処理工程
触媒を日揮触媒化成株式会社製N204触媒(Cu:29重量%、Cr:31重量%、Mn:3重量%)に代えた以外は、実施例1の1−1と同様の方法で触媒還元処理を実施した。
2−2.反応工程
反応に用いる触媒を実施例2の2−1で還元処理したN204触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は99%、1−メチルイミダゾールの収率は45%であった。
【0035】
実施例3
3−1.触媒調製工程
イオン交換水8.5gに硝酸銀4.56gを溶かした溶液に日揮触媒化成株式会社製N204触媒(Cu:29重量%、Cr:31重量%、Mn:3重量%)55.0gを浸して、硝酸銀水溶液をN204触媒に含浸させた。硝酸銀水溶液を含浸させたN204触媒を130℃で乾燥させた後、550℃で5時間焼成し、5重量%Ag/N204触媒を調製した。
3−2.触媒還元処理工程
触媒を実施例3の3−1で調製した5重量%Ag/N204触媒に代えた以外は、実施例1の1−1と同様の方法で触媒還元処理を実施した。
3−3.反応工程
反応に用いる触媒を実施例3の3−2で還元処理した5重量%Ag/N204触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は85%、1−メチルイミダゾールの収率は48%であった。
【0036】
実施例4
4−1.触媒調製工程
触媒の焼成温度を400℃とした以外は、実施例3の3−1と同様の方法で5重量%Ag/N204触媒を調製した。
4−2.触媒還元処理工程
触媒を実施例4の4−1で調製した5重量%Ag/N204触媒に代えた以外は、実施例1の1−1と同様の方法で触媒還元処理を実施した。
4−3.反応工程
反応に用いる触媒を実施例4の4−2で還元処理した5重量%Ag/N204触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は97%、1−メチルイミダゾールの収率は50%であった。
【0037】
実施例5
5−1.触媒調製工程
イオン交換水8.5gに硝酸銀7.02gを溶かした溶液に日揮触媒化成株式会社製N204触媒(Cu:29重量%、Cr:31重量%、Mn:3重量%)55.0gを浸して、硝酸銀水溶液をN204触媒に含浸させた。硝酸銀水溶液を含浸させたN204触媒を130℃で乾燥させた後、400℃で5時間焼成し、7.5重量%Ag/N204触媒を調製した。
5−2.触媒還元処理工程
触媒を実施例5の5−1で調製した7.5重量%Ag/N204触媒に代えた以外は、実施例1の1−1と同様の方法で触媒還元処理を実施した。
5−3.反応工程
反応に用いる触媒を実施例5の5−2で還元処理した7.5重量%Ag/N204触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は98%、1−メチルイミダゾールの収率は53%であった。
【0038】
実施例6
6−1.触媒還元処理工程
内径19mmのパイレックス(登録商標)製の反応管に、日揮触媒化成株式会社製N203触媒(Cu:36重量%、Cr:30重量%、Mn:3重量%、60MPaでプレスし、そのプレスした固形物を解砕後、10〜16メッシュに分級したもの)を15ml充填し、触媒の充填層の上部に22cm、下部に10cmの長さでカーボランダムを充填した。
反応管に充填したN203触媒を300℃に昇温し、同温度に保ち、反応管の上部から30ml/minの水素と30ml/minの窒素を供給すると、触媒が発熱し、触媒の温度が350℃まで上昇した。前記触媒の発熱がなくなるまで、水素と窒素を供給した後、触媒の発熱が確認されなくなった時点で水素の供給を止めた。
6−2.反応工程
触媒を実施例6の6−1で還元処理したN203触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は100%、1−メチルイミダゾールの収率は49%であった。
【0039】
実施例7
7−1.触媒調製工程
イオン交換水36.2gに硝酸銀3.27gを溶かした溶液に日揮触媒化成株式会社製N203触媒(Cu:36重量%、Cr:30重量%、Mn:3重量%)40.4gを浸して、硝酸銀水溶液をN203触媒に含浸させた。硝酸銀水溶液を含浸させたN203触媒を130℃で乾燥させた後、550℃で5時間焼成し、得られた固形物を60MPaでプレスした。プレスした固形物を解砕後、10〜16メッシュに分級して5重量%Ag/N203触媒を調製した。
7−2.触媒還元処理工程
触媒を実施例7の7−1で調製した5重量%Ag/N203触媒に代えた以外は、実施例6の6−1と同様の方法で触媒還元処理を実施した。
7−3.反応工程
触媒を実施例7の7−2で還元処理した5重量%Ag/N203触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は100%、1−メチルイミダゾールの収率は52%であった。
【0040】
実施例8
8−1.触媒還元処理工程
触媒をクラリアント触媒株式会社製G−99CK触媒(Cu:37重量%、Cr:31重量%、Mn:2重量%、Ba:2重量%)に代えた以外は、実施例1の1−1と同様の方法で、触媒還元処理を実施した。
8−2.反応工程
反応に用いる触媒を実施例8の8−1で還元処理したG−99CK触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は99%、1−メチルイミダゾールの収率は40%であった。
【0041】
実施例9
9−1.触媒還元処理工程
触媒をクラリアント触媒株式会社製G−22/2触媒(Cu:38重量%、Cr:24重量%、Ba:5重量%)に代えた以外は、実施例1の1−1と同様の方法で触媒還元処理を実施した。
9−2.反応工程
反応に用いる触媒を実施例9の9−1で還元処理したG−22/2触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は99%、1−メチルイミダゾールの収率は37%であった。
【0042】
実施例10
反応工程の温度を250℃にした以外は、実施例2の2−1および2−2と同様の方法で触媒還元処理および反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は74%、1−メチルイミダゾールの収率は30%であった。
【0043】
実施例11
反応工程の温度を275℃にした以外は、実施例2の2−1および2−2と同様の方法で触媒還元処理および反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は93%、1−メチルイミダゾールの収率は43%であった。
【0044】
参考例1
1−1.触媒還元処理工程
触媒を日揮触媒化成株式会社製N211触媒(Cu:39重量%、Zn:36重量%)に代えた以外は、実施例6の6−1と同様の方法で触媒還元処理を実施した。
1−2.反応工程
反応に用いる触媒を参考例1の1−1で還元処理したN211触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は31%、1−メチルイミダゾールの収率は1%であった。
【0045】
参考例2
2−1.触媒還元処理工程
触媒をクラリアント触媒株式会社製T−8706触媒(Cu:43重量%、Mn:7重量%、Al:6重量%)に代えた以外は、実施例1の1−1と同様の方法で触媒還元処理を実施した。
2−2.反応工程
反応に用いる触媒を参考例2の2−1で還元処理したT−8706触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は89%、1−メチルイミダゾールの収率は6%であった。
【0046】
参考例3
3−1.触媒還元処理工程
触媒をBASF株式会社製Cu−0865T触媒(Cu:47重量%、Ca:11重量%、Si:8重量%)に代えた以外は、実施例1の1−1と同様の方法で触媒還元処理を実施した。
3−2.反応工程
反応に用いる触媒を参考例3の3−1で還元処理したCu−0865T触媒に代えた以外は、実施例1の1−2と同様の方法で反応を実施した。その結果、エチレングリコールの転化率は72%、1−メチルイミダゾールの収率は9%であった。