特許第6378682号(P6378682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6378682子宮活動信号の自動解析、並びに陣痛及び出産経験の改善への適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378682
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】子宮活動信号の自動解析、並びに陣痛及び出産経験の改善への適用
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   A61B5/00 101Q
【請求項の数】15
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-531682(P2015-531682)
(86)(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公表番号】特表2015-531643(P2015-531643A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】IB2013058668
(87)【国際公開番号】WO2014045221
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】61/702,966
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ラール,ヤーコプ
(72)【発明者】
【氏名】キールケルス,ヤニン ヨハンナ マリア
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−532170(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0144458(US,A1)
【文献】 米国特許第04711585(US,A)
【文献】 国際公開第2005/096707(WO,A2)
【文献】 特表平08−504342(JP,A)
【文献】 米国特許第05301680(US,A)
【文献】 特開2009−195290(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0267376(US,A1)
【文献】 特開昭59−057665(JP,A)
【文献】 特開昭60−108029(JP,A)
【文献】 米国特許第04513295(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 10/00
A61B 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮活動解析装置であって、
ディスプレイと、
なくとも1つのコントローラであって、
1以上のセンサを介して、時間期間の間、患者の子宮活動に対応する子宮活動信号(UAS)を取得し、
前記時間期間の間に、前記の取得したUASに基づいて、子宮収縮を示す、前記の取得したUASの少なくとも1つのパラメータに関連する情報を含む子宮活動情報を決定することにより
前記時間期間の間、前記患者の前記子宮活動情報を継続的にモニタリングし、
前記ディスプレイを介して、息を吸い込むべきとき及び息を吐き出すべきときを前記患者に示すよう構成されているアニメーション化された呼吸ガイドを提供し、
前記の継続的にモニタリングした子宮活動情報に基づいて、前記時間期間の間、前記アニメーション化された呼吸ガイドを継続的に更新する
よう構成されている少なくとも1つのコントローラと、
を備えた、子宮活動解析装置。
【請求項2】
前記アニメーション化された呼吸ガイドは、前記時間期間の間、前記アニメーション化された呼吸ガイドを継続的に更新するために、前記の継続的にモニタリングした子宮活動情報に基づいて、前記患者の子宮収縮と自動的に同期される、請求項1記載の子宮活動解析装置。
【請求項3】
前記アニメーション化された呼吸ガイドは、息の吸い込みを示すようにサイズが大きくなり、息の吐き出しを示すようにサイズが小さくなるよう構成されている一連のアニメーション化された円を含む、請求項1記載の子宮活動解析装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのパラメータは、ベースライン・オフセット及びクリーン信号を含む、請求項1記載の子宮活動解析装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記時間期間にわたり局所的パーセンタイルを継続的に追跡し、
前記の継続的に追跡した局所的パーセンタイルに基づいて、前記ベースライン・オフセットを推定することにより、
前記子宮活動情報を決定するようさらに構成されている、請求項4記載の子宮活動解析装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコントローラは、さらに、
信号平滑器を介して、前記の取得したUASに基づいて、前記時間期間の間の平滑化UASを生成し、
前記平滑化UASから前記ベースライン・オフセットを除去して、前記クリーン信号を取得し、
前記時間期間の間に、前記クリーン信号に基づいて、前記子宮活動情報を決定することにより、
前記子宮活動情報を決定するようさらに構成されている、請求項5記載の子宮活動解析装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、子宮収縮状態情報を決定することにより、前記子宮活動情報を決定するようさらに構成されており、前記子宮収縮状態情報は、子宮収縮外、子宮収縮の開始、子宮収縮の上行部、子宮収縮のピーク時間、子宮収縮の下行部、子宮収縮の終了時間、2つの子宮収縮間の時間、及び子宮収縮の継続期間を含む、請求項5記載の子宮活動解析装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコントローラは、
複数のアニメーション化構成要素を含むアニメーション化構成要素のセットとして、前記アニメーション化された呼吸ガイドを提供し、
前記子宮収縮状態情報に基づいて、前記複数のアニメーション化構成要素の動きを制御することにより、前記アニメーション化された呼吸ガイドを継続的に更新するようさらに構成されている、請求項7記載の子宮活動解析装置。
【請求項9】
前記複数のアニメーション化構成要素のうちの2以上のアニメーション化構成要素間の距離は、2つの子宮収縮間の時間を示す、請求項8記載の子宮活動解析装置。
【請求項10】
前記複数のアニメーション化構成要素のうちの少なくとも1つのアニメーション化構成要素のサイズは、前記患者の子宮収縮の継続期間を示す、請求項8記載の子宮活動解析装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記子宮活動情報の強さが閾値を超えたかどうかを判定し、
前記閾値を超えたことに応じて、アラームをトリガするようさらに構成されている、請求項1記載の子宮活動解析装置。
【請求項12】
子宮活動を解析するシステムの作動方法であって、
1以上のセンサを介して、時間期間の間、患者の子宮活動に対応する子宮活動信号(UAS)を取得し、
前記時間期間の間に、前記の取得したUASに基づいて、子宮収縮を示す、前記の取得したUASの少なくとも1つのパラメータに関連する情報を含む子宮活動情報を決定することにより、
前記時間期間の間、前記患者の前記子宮活動情報を継続的にモニタリングするステップと、
ディスプレイを介して、息を吸い込むべきとき及び息を吐き出すべきときを前記患者に示すよう構成されているアニメーション化された呼吸ガイドを提供するステップと、
前記の継続的にモニタリングした子宮活動情報に基づいて、前記時間期間の間、前記アニメーション化された呼吸ガイドを継続的に更新するステップと、
を含む、作動方法。
【請求項13】
複数のアニメーション化構成要素を含むアニメーション化構成要素のセットとして、前記アニメーション化された呼吸ガイドを提供するステップと、
子宮収縮状態情報に基づいて、前記複数のアニメーション化構成要素の動きを制御することにより、前記アニメーション化された呼吸ガイドを継続的に更新するステップと、
をさらに含む、請求項12記載の作動方法。
【請求項14】
前記子宮活動情報の強さが閾値を超えたかどうかを判定するステップと、
前記閾値を超えたことに応じて、アラームをトリガするステップと、
をさらに含む、請求項12記載の作動方法。
【請求項15】
子宮活動を解析するシステムであって、
時間期間の間、患者の子宮活動に対応する子宮活動信号(UAS)を取得し、
前記時間期間の間に、前記の取得したUASに基づいて、子宮収縮を示す、前記の取得したUASの少なくとも1つのパラメータに関連する情報を含む子宮活動情報を決定することにより、
前記時間期間の間、前記患者の前記子宮活動情報を継続的にモニタリングする手段と、
息を吸い込むべきとき及び息を吐き出すべきときを前記患者に示すよう構成されているアニメーション化された呼吸ガイドを提供する手段と、
前記の継続的にモニタリングされた子宮活動情報に基づいて、前記時間期間の間、前記アニメーション化された呼吸ガイドを継続的に更新する手段と、
を備えた、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年9月19日出願の米国特許仮出願第61/702966号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書書に組み込まれる。
【0002】
本システムは、子宮活動信号(UAS:uterine activity signal)を解析するシステムに関し、より詳細には、UASを解析し、UASからパラメータ及び状態情報を抽出し、抽出したパラメータ及び状態情報に基づいてコンテンツを生成し、そして、生成したコンテンツをレンダリングするシステムと、そのオペレーションの方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
通常、分娩プロセス中(例えば、又は、他の陣痛プロセス若しくは分娩プロセス中)、妊娠中の母親(例えば、以後、文脈が別途示さない限り、患者又は妊婦)をサポートして、分娩プロセス中の母親を安心させる且つ/あるいは支援することが望ましい。一般的な呼吸サポート・システムは、例えば、患者、又は医師、看護師、助産師等といった熟練者により手入力された情報に基づく呼吸サポートを提供する。例えば、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる米国特許第4711585号は、システムと患者の子宮収縮とを同期させるために、患者による情報の手入力を要するシステムを示している。残念なことに、このプロセスは不便である。
【0004】
通常、子宮活動信号(UAS)が、子宮娩出力記録図(tocogram)を出力する陣痛計、子宮内圧力信号を出力する子宮内圧力カテーテル(IUPC:intrauterine pressure catheter)、及び/又は子宮筋電図(EHG:electrohysterogram)を測定するためのデバイスを用いて取得され得る。したがって、子宮活動信号の解析及び解釈は、人間の熟練者により手作業で行われ得る。これは、大きな労働力を要し、間違いを起こしやすく、主観的なプロセスである。さらに、UASを生成するために陣痛計を使用するとき、信号をモニタリングする熟練者は、信号が測定限界を超えないことを確実にするよう定期的にチェックしなければならない。信号が測定限界を超こることは、子宮収縮の変位(amplitude)又はベースライン・オフセットが非常に大きいときに生じ得る。これが生じたとき(例えば、信号が測定限界を超えたとき)、熟練者は、手作業でより大きなスケールに切り替えなければならない。明らかなことに、熟練者はまた、反対のシナリオが生じたかどうかを定期的にチェックしなければならない。アルゴリズムにより提供される情報のいくつかの他の臨床意思決定支援(CDS:clinical decision support)アプリケーションが可能である。例えば、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる米国特許第6302849号に記載されているように、大きな子宮活動が存在する場合、母体血液圧力測定(maternal blood pressure measurement)の開始又は継続が妨げられ得る。
【0005】
分娩プロセス中に妊娠中の母親をサポートすることは、不安及びストレスを軽減させ、ポジティブな出産経験に寄与し得ることが知られている(Rijnders M, Baston H, Schoenbeck Y, van der Pal K, Prins M, Green J, Buitendijk S. Perinatal factors related to negative or positive recall of birth experience in women 3 years postpartum in the Netherlands. Birth 2008 Jun; 35(2):107-16(参照によりその内容が本明細書に組み込まれる)参照)。さらに、分娩プロセス中の不安は、あまり有効ではない子宮収縮、長期に及ぶ激しい陣痛、及び/又は異常な胎児心音等のいくつかの望ましくない生理的結果をもたらし得ることが知られているように、正常な出産を円滑にするよう不安を軽減させることができる環境を妊娠中の母親に提供することが望ましい(Rouhe H, Salmela-Aro K, Halmesmaeki E, Saisto T. Fear of childbirth according to parity, gestational age, and obstetric history. BJOG 2009;116: 67-73(参照によりその内容が本明細書に組み込まれる)参照)。
【0006】
さらに、今日の競争の激しいヘルスケア市場において、別のヘルスケア・プロバイダからある1つのヘルスケア・プロバイダを差別化するために、ケアの質(QoC)を向上させ、サービスに付加された価値を提供することが望ましい。この競争の激しいヘルスケア市場の結果、認識されるユーザ価値の焦点は、機能性とは別に、患者の経験及び安心を含む必要があるであろう(Ford RC, Myron D. Creating Customer-focused Health Care Organizations. Health Care Management Review 2000; 25(4):18-33(参照によりその内容が本明細書に組み込まれる)参照)。産科学において、この傾向は、出産の女性の経験に焦点を当てている。出産は、人生における主要なイベントの1つである。出産は、強い感情を引き起こす強烈な経験である。良い出産経験は、女性の幸福、健康、及び幼児との関係性にとって極めて重要である(Goodman P, Mackey MC, Tavakoli AS: Issues and innovations in nursing practice: Factors related to childbirth satisfaction. Journal of Advanced Nursing 2004; 46:212-219(参照によりその内容が本明細書に組み込まれる)、Buitendijk SE. Vrouwen moeten zeggenschap terugkrijgen over bevalling. De stem van vroede vrouwen. Oratie Geneeskunde van mw. Prof. dr. S.E. Buitendijk, bijzonder hoogleraar Eerstelijns Verloskunde en Ketenzorg(参照によりその内容が本明細書に組み込まれる)参照)。
【0007】
Rijndersは、産後3年のオランダ人の女性の多くが、出産経験に関して否定的に振り返っていると、自身の研究において結論付けた(Rijnders 2008参照)。その研究の1つの結論は、陣痛中の継続的なサポートが女性の出産経験を向上させるのに寄与する、ということである。なぜならば、継続的なサポートは、不安及びストレスを軽減させることができるからである。出産の不安は、あまり有効ではない子宮収縮、異常な胎児心音、及び長期に及ぶ激しい陣痛をもたらし得ることが知られている。したがって、不安を軽減させることは、正常な出産を円滑にする結果をもたらし得る(Rouhe 2009参照)。
【0008】
さらに、最近のCochraneレビューは、陣痛中の継続的なサポートが、かなり多くの膣内出産、より少ない帝王切開分娩、及びより少ない器具支援を要する分娩をもたらすことを示している(Hodnett ED, Gates S, Hofmeyr GJ, Weston J. "Continuous support for women during childbirth (Review)". The Cochrane Collaboration, 2011(参照によりその内容が本明細書に組み込まれる)参照)。実際において、計画性の理由及び金銭面の理由から、1対1のサポートは通常実現可能でない。
米国特許出願公開第2011/0144458号において、分娩中にタイミングが取られたビジュアル画像を提供するための方法及び装置が提示されている。この装置は、出産陣痛中の妊娠中の母親を支援するために、子宮収縮と一致するようにタイミングが取られたビジュアル画像を提供するよう構成されている。この装置は、陣痛計又は子宮内圧力カテーテル等の、戦略的に配置されたセンサから得られた信号を、妊娠中の母親に理解可能であるバイオフィードバック・ビジュアル・ビネットに変換するコンピュータ・システムで構成されている。
国際公開第2005/096707号において、分娩プロセスをモニタリングする状態ベースの分娩モニタリング・システム及び方法が開示されている。開示された方法は、長時間にわたって、子宮頸部及び児頭のうち少なくとも1つに設置された1以上の位置要素又は組織領域からの複数の位置信号を受信するステップと、位置信号に応答して、全体が体内にある胎児の出産の不連続状態を15分より高い時間的解像度で決定するステップとを含む。
欧州特許出願公開第1852060号において、陣痛関連情報を産科患者に表示するための方法及び装置が開示されている。この方法及び装置は、陣痛関連情報を表示するためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースを実装する。グラフィカル・ユーザ・インタフェースは、可能な表示ウィンドウのセットから選択された第1の表示ウィンドウを表示し、そのセットの各表示ウィンドウは、陣痛の進行に関連する特徴測定を伝える。グラフィカル・ユーザ・インタフェースは、さらに、ユーザが表示ウィンドウのサブセットを選択することを可能にする少なくとも1つのコントロールを表示する。
米国特許出願公開第2005/0267376号において、母体胎児モニタリング・システムが提示されている。このシステムは、妊娠の全ての段階中に使用することができる。このシステムは、センサのセット、増幅フィルタリング手段、計算手段、及びグラフィカル・ユーザ・インタフェースを備える。好ましい実施形態において、このシステムは、臨床分娩前診断、分娩中及び分娩後、並びに出産戦略において使用するための臨床データを解析して解釈するための、ニューラル・ネットワーク・システム等の知能手段をさらに備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術の問題を解決する且つ/あるいは従来技術の改善を行うことが、本システムの目的である。
【0010】
向上した経験に寄与するよう且つ/あるいは臨床サポートを提供するよう生理的モニタリングが実行されるサポートを提供することが、本システムのいくつかの実施形態のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書で説明するシステム、デバイス、方法、ユーザ・インタフェース、コンピュータ・プログラム、プロセス等(以後、それらのそれぞれは、文脈が別途示さない限り、システムと呼ばれる)が、従来技術のシステムにおける問題を解決する。
【0012】
本システムの実施形態は、従来の陣痛計、IUPC、又はEHGデバイスを用いて取得されるような子宮活動信号(UAS)を解析することができるアルゴリズムを含み得る。本システムの実施形態は、次いで、UASを処理して、子宮収縮の開始時間、ピーク時間、及び終了時間、それらの時間間の間隔、継続期間、強度、タイミング・パターン、波形形状等といった、子宮活動に関する情報を決定し得る。次いで、決定された子宮活動パラメータ及び状態情報のグラフィカル表現及び/又はテキスト表現が、例えば、ユーザの利便性のために、且つ/あるいは臨床情報を医師に提供するために、形成されレンダリングされ得る。さらに、本システムの実施形態により生成された情報は、後の使用のために、システムのメモリに記憶され得る。
【0013】
本システムの実施形態に従うと、レンダリング・デバイスと、レンダリング・デバイスに結合された少なくとも1つのコントローラとを備えることができる子宮活動解析装置が開示される。少なくとも1つのコントローラは、患者の子宮活動に対応する子宮活動信号(UAS)を取得し;取得したUASに基づいて、子宮収縮を示す、取得したUASの少なくとも1つのパラメータに関連する情報を含む子宮活動情報を決定し;決定した子宮活動情報に少なくとも部分的に基づいて、レンダリング・デバイスにコンテンツをレンダリングするよう構成され得る。少なくとも1つのコントローラは、さらに、選択された子宮活動表現テーマに従ってコンテンツを形成するよう構成され得ることがさらに想定されている。少なくとも1つのコントローラは、さらに、決定した子宮活動情報を閾子宮活動情報(threshold uterine activity information)と比較し、決定に基づいて臨床意思決定支援(CDS)を提供するよう構成され得る。また、子宮活動情報は、取得したUASの少なくとも1つのパラメータ又は状態に関連する情報を含み得ることが想定されている。
【0014】
さらに、少なくとも1つのコントローラは、ユーザによる選択のための複数の子宮活動表現テーマを含むメニューをレンダリングするよう構成され得る。少なくとも1つのコントローラは、例えば、子宮収縮の開始が検出されたときに、及び/又は、呼吸ガイドが手作業で開始され得るときに、必要に応じて、望ましい呼吸パターンを示す呼吸ガイドをレンダリングするよう構成され得る。
【0015】
本システムの他の実施形態に従うと、患者の子宮活動に関連するコンテンツをレンダリングする方法が開示される。当該方法は、システムの少なくとも1つのコントローラにより実行され得る。当該方法は、次のうちの1以上の動作を含み得る:患者の子宮活動に対応する子宮活動信号(UAS)を取得する動作;取得したUASに基づいて、子宮収縮を示す、取得したUASの少なくとも1つのパラメータに関連する情報を含む子宮活動情報を決定する動作;及び、決定した子宮活動情報に少なくとも部分的に基づいて、レンダリング・デバイスにコンテンツをレンダリングする動作。当該方法は、選択された子宮活動表現テーマにさらに従ってコンテンツを形成する動作をさらに含み得る。
【0016】
さらに、当該方法は、決定した子宮活動情報を閾子宮活動情報と比較し、決定に基づいて臨床意思決定支援(CDS)を提供する動作をさらに含み得る。例えば、決定された子宮活動パラメータ情報の変位が閾変位を超えた場合、プロセスは、アラームを鳴らし得る。また、当該方法は、取得したUASの少なくとも1つのパラメータに関連する情報を含む子宮活動情報を形成する動作をさらに含み得ることが想定されている。当該方法は、ユーザによる選択のための複数の子宮活動表現テーマを含むメニューをレンダリングする動作をさらに含み得る。当該方法はまた、子宮収縮の開始が検出されたときに、望ましい呼吸パターンを示す呼吸ガイドをレンダリングする動作を含み得る。
【0017】
本システムのさらに他の実施形態に従うと、コンピュータ読み取り可能なメモリ媒体に記憶されたコンピュータ・プログラムが開示される。当該コンピュータ・プログラムは、上記で定められた方法を実行するよう構成されている。プログラム部分は、さらに、選択された子宮活動表現テーマにさらに従ってコンテンツを形成するよう構成され得る。さらに、プログラム部分は、さらに、決定した子宮活動情報を閾子宮活動情報と比較し、決定に基づいて臨床意思決定支援(CDS)を提供するよう構成され得る。また、プログラム部分は、さらに、選択された子宮活動表現テーマにさらに従ってコンテンツを形成するよう構成され得ることが想定されている。
【0018】
プログラム部分は、さらに、ユーザによる選択のための複数の子宮活動表現テーマを含むメニューをレンダリングするよう構成され得ることがさらに想定されている。また、プログラム部分は、さらに、子宮収縮の開始が検出されたときに、望ましい呼吸パターンを示す呼吸ガイドをレンダリングするよう構成されることが想定されている。
【0019】
本システムの実施形態に従うと、データ視覚化フィードバック方法が開示される。当該データ視覚化フィードバック方法は、患者の生理機能に関連する信号を取得するステップと、時間期間にわたる、信号の少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、時間期間にわたる、信号の変化を決定するステップと、決定した信号の変化に基づいて、コンテンツを形成するステップと、コンテンツをレンダリングするステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明が、例えば、添付の図面を参照して、さらに詳細に説明される。
図1】本システムの実施形態に従った、システムにより実行されるプロセスを示すフロー図。
図2】本システムの実施形態に従った、システムにより実行されるプロセスを示すフロー図。
図3】本システムの実施形態に従った、ピーク検出状態マシン(PDSM)により実行されるプロセスを示すフロー図。
図4】本システムの実施形態に従って生成された情報を示すグラフ。
図5】本システムの実施形態に従って生成された情報を示すグラフ。
図6】本システムの実施形態に従ってレンダリングされたコンテンツを示すグラフ。
図7】本システムの実施形態に従ってレンダリングされたコンテンツを示すグラフ。
図8】本システムの実施形態に従ってレンダリングされた部分的コンテンツを示すグラフ。
図9】本システムの実施形態に従ったシステムの一部分。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下は、添付の図面とともに読まれるときに上述した特徴及び利点とともにさらなる特徴及び利点を示す例示的な実施形態の説明である。以下の説明において、限定ではなく説明の目的のため、アーキテクチャ、インタフェース、技術、要素属性等といった例示的な詳細が記載されている。しかしながら、そのような詳細から外れた他の実施形態も添付の特許請求の範囲内にあると理解されることが当業者には明らかであろう。さらに、明瞭さの目的のため、周知のデバイス、回路、ツール、技術、及び方法の詳細な説明は、本システムの説明を曖昧にしないようにするために省略されている。図面は、例示の目的のために含まれるものであり、本システムの全範囲を表しているわけではないことをはっきりと理解すべきである。添付の図面において、異なる図における同様の参照番号は、同様の要素を示し得る。
【0022】
本明細書で使用されるレンダリングという語及びその成語要素(formative)は、コンテンツが視覚等の少なくとも1つのユーザの感覚により認識され得るように、例えば、視覚化又は臨床意思決定支援(CDS)のためにコンテンツを提供することを指す。例えば、本システムは、ユーザ・インタフェースが、ユーザにより見られ得るように、ユーザとインタラクトし得るように、且つ/あるいは他の形でユーザにより認識され得るように、ディスプレイ・デバイス、(例えば、壁にユーザ・インタフェースを投影することにより)壁等に、ユーザ・インタフェースをレンダリングすることができる。レンダリングという語はまた、例えば、コンテンツがグラフィカルであろうがテキストであろうが、ディスプレイ・デバイス上にコンテンツのディスプレイを生成するために必要とされる全てのアクションを含み得る。
【0023】
本システムは、生理的状態のモニタリングを対象とする。そのモニタリングは、例えば、臨床環境において実行されてもよいし、家での陣痛のモニタリング等、家で実行されてもよい。しかしながら、以下は、陣痛中の生理的状態(例えば、子宮活動)に関して、例示的に説明されるが、本システムはまた、より長期間のプロセス、処置、及び/又はモニタリングにより特徴付けられるもの等の他のヘルスケア領域にも適用可能であることをはっきりと理解すべきである。例えば、本システムは、様々な生理的パラメータが収集される、且つ/あるいは患者が肉体的に不快な経験又は精神的につらい経験を受ける複雑な状況において、適切に適用することができる。そのような状況において、データ視覚化フィードバックは、さらなる見識及び/又はポジティブな奨励をより理解可能で且つ安心させる形で提供することにより、患者の経験及び/又は処置を向上させるのに役立ち得る。本システムはまた、化学療法を受けているがん患者、そのような処置に関わる家族、及び/又は医師を支援することにも適切に適用することができる。本システムはまた、(血液)透析処置を受けている患者、そのような処置に関わる家族、及び/又は医師を支援することにも適切に適用することができる。本システムはまた、不妊症を患っている患者(女性)、そのような処置/モニタリングに関わる家族、及び/又は医師を支援することにも適切に適用することができる。集中治療を要する患者、そのような処置/モニタリングに関わる家族、及び/又は医師のモニタリング、糖尿病、線維筋痛、又は多発性硬化症(MS)等といった慢性疾患を有する患者のモニタリング。
【0024】
以下の説明を単純にするために、本システムは、分娩中の子宮活動のモニタリングに関して説明される。しかしながら、この例示的な説明は、本システムを適切に適用することができる上記及び他の各々を含むものと理解されるべきことをはっきりと理解すべきである。
【0025】
図1は、本システムの実施形態に従った、システムにより実行されるプロセス100を示すフロー図である。プロセス100は、ネットワークを介して通信することができ、1以上のメモリから情報を取得することができる、且つ/あるいは1以上のメモリに情報を記憶することができる1以上のコンピュータを用いて実行され得る。1以上のメモリは、互いにローカルにあってもよいし、且つ/あるいは互いにリモートにあってもよい。プロセス100は、以下の動作のうちの1以上を含み得る。さらに、そのような動作の1以上は、必要に応じて、組み合わされてもよいし、且つ/あるいは下位動作に分割されてもよい。さらに、そのような動作の1以上は、設定に応じて省略されてもよい。実施中、プロセス100は、動作101中に開始し得、次いで、動作103に進み得る。
【0026】
動作103中、プロセスは、センサ情報を取得し得る。センサ情報は、患者の子宮活動に関連する情報、及び/又は患者に関連する他の情報を含み得る。例えば、センサ情報は、患者の子宮活動に関連する情報を含む子宮活動信号(UAS)を含み得る。いくつかの実施形態に従うと、UASは、子宮娩出力記録図、子宮内圧力信号(IUPC)、子宮筋電図(EHG)等、及び/又はそれらの組合せであり得る。本システムの実施形態に従うと、UASは、リアルタイムに形成され得る、且つ/あるいはリアルタイムに処理され得る。しかしながら、他の実施形態では、UASは、遅延されてもよいし、(例えば、システムのメモリに)記憶されてもよいし、且つ/あるいは後の時間に処理されてもよい。
【0027】
UASは、患者の動きにしばしば起因する多くの大きなアーチファクトを含む場合がある。そのような患者の動きとして、呼吸又は位置の変化に起因する動き等がある。そのようなアーチファクトは、特にUASが陣痛計により生成された1以上の信号(例えば、子宮娩出力記録図)を含むときのインパルス(例えば、スパイク)に似ている場合があるが、そのようなアーチファクトはまた、IUPC信号及びEHG信号においても生じる場合がある。本システムの実施形態に従って取得されたUASが、図4及び図5に示されている。図4及び図5は、本システムの実施形態に従って生成された情報をそれぞれ示すグラフ400及びグラフ500である。例えば、図4及び図5の各々は、UAS402及びUAS502をそれぞれ含み、それらの各々は、本システムの実施形態に従って生成された加工されていない子宮娩出力記録図(すなわち、加工されていないUAS)である。
【0028】
UAS402及びUAS502等のUASが、例えば、陣痛計又は他のデバイスにより生成されるとき、患者の小さな動きが、それら信号内に、スパイク等のノイズ及び/又は他の大きなアーチファクトを生じさせる場合がある。さらに、UAS402及びUAS502等のモニタリングされている信号は、大きなベースライン・オフセット及び/又は変化する(例えば、変わりやすい)ベースライン・オフセットを有する場合がある。例えば、ベースライン・オフセットは、患者が移動するとき且つ/あるいは位置を変えるときはいつでも、大きく変化し得る。動作103の完了後、プロセスは動作105に進み得る。
【0029】
動作105中、プロセスは、UASに従って、UASパラメータ情報(USPI:UAS parameter information)を決定し得る。USPIは、閾信号、1以上の微分信号(例えば、時間に関する1次の及び/又は2次の平滑化された1以上の微分信号)、移動パーセンタイル情報(MPI:moving percentile information)(例えば、移動パーセンタイル)、及びベースライン・ジャンプ検出情報(BJDI:baseline jump detection information)、並びにクリーン信号情報を含み得る。この情報及びこの情報を導出する方法については、図2に示すプロセスを参照して説明する。
【0030】
いくつかの実施形態に従うと、クリーン信号、閾信号、微分信号等といった情報がUASから抽出され得るように、プロセスは、UASをクリーンにし得る。例えば、スパイク、インパルス等といったノイズ及び/又はベースライン・オフセット等の、UASの解析及び解釈に対する影響が低減されるように、プロセスは、UASをクリーンにし得る。例えば、UASのベースライン・オフセットの変化に関して、ベースライン・オフセットの突然の増大又は減少は、子宮収縮の開始又は終了と混同され得る。さらに、適切な処理が行われないと、検出された子宮収縮の強度等の様々な推定値の信頼性が損なわれる可能性がある。したがって、動作105中、ベースライン・オフセットの推定値が、信号から減算され得る。さらに、ベースライン・オフセットの突然の増大及び/又は減少は、UASの測定限界を超えさせ得る。したがって、動作105中、プロセスは、ベースライン・オフセットの推定値をUASから減算して、ベースライン・オフセットを除去した推定UAS信号(単純にするために単にUASと呼ばれる)を取得し得る。動作105の完了後、プロセスは動作107に進み得る。
【0031】
動作107中、プロセスは、UAS子宮収縮パラメータ及び/又は状態情報(USPS:UAS contraction parameters and/or state information)を決定し得る。USPSは、(子宮収縮の)開始時間、ピーク時間、及び終了時間のうちの1以上、子宮収縮間の時間、(子宮収縮の)継続期間、及びクリーン信号等の、現在のパラメータに関連する情報及び/又はUASの状態を含み得る。USPSの少なくとも一部は、ピーク検出状態マシン(PDSM:peak detector state machine)を用いて決定され得る。PDSMは、USPI及びUASのうちの1以上に基づいて、USPSを決定し得る。リアルタイム・ピーク検出又はオフライン・ピーク検出を実行するプロセス、及びUSPSを決定するプロセスについては、図3を参照して説明する。図4及び図5を参照すると、PDSMにより抽出される(例えば、USPSに含まれる)パラメータ及び状態情報は、例えば、図2及び図3を参照して説明する以下の表1にリストされているような情報を含み得る。
【表1】
【0032】
動作105及び動作107に関して、いくつかの実施形態に従うと、プロセスは、UASを解析し、UASから所望の子宮活動情報を抽出し得る。子宮活動情報は、USPSに関連する情報、子宮活動状態等を含み得る。
【0033】
動作105及び動作107に関して、第1のフィルタリング動作中、UAS内のアーチファクトは、その後に線形平滑化フィルタ及び/又は非線形平滑化フィルタによる平滑化が続く、(重み付き)メディアン非線形フィルタリング、(重み付き)順序統計量非線形フィルタリング、決定ベースの(decision-based)非線形フィルタリング、又は他の非線形フィルタリングにより、著しく抑制され得る。線形フィルタリングが、第1のフィルタリング動作としてローパス・フィルタを用いて実行される場合、UAS内のアーチファクトは、抑制される代わりに、時間とともに分からなくなる(smear out)であろう。通常は非ガウス性であり非対称であるUAS内のノイズの特定の特性に起因して、非線形フィルタは、線形有限インパルス応答(FIR)フィルタ又は線形無限インパルス応答(IIR)フィルタよりも、ノイズをより良く抑制し得る。例えば、陣痛計により生成されたUAS信号は、ネガティブ・ノイズ・スパイクよりもポジティブ・ノイズ・スパイクの方をより多く含む。したがって、重み付き順序統計量フィルタ等の非線形フィルタは、そのような非対称性を考慮に入れつつ、線形フィルタを用いて実行され得るよりも、所望の信号特性をより良く保つ。
【0034】
さらに、本システムの実施形態は、ベースライン・オフセットにおけるジャンプを検出する検出器を含み得る。この検出器は、ジャンプ前後のUASのレベルが著しく異なり、一方のサイドの信号の分散が比較的小さいという事実に基づき得る。
【0035】
さらに、本システムの実施形態は、(例えば、取得されたUASが測定限界を超えているときに、又は強い子宮収縮の間非常に小さいときに)取得されたUASがスケーリングされる必要があるかどうかを検出する検出器を含み得る。この検出器の出力に基づいて、自動スケール調整器がトリガされ得る。
【0036】
子宮収縮における大きな変動は、適切なピーク検出及び子宮活動パラメータの(例えば、実質的にリアルタイムの)抽出を困難にする。したがって、本システムの実施形態は、クリーンUASの平滑化バージョンである閾信号等の中間信号を計算することによりこのことに対処する1以上のアルゴリズムを使用し得る(図2参照)。さらに、いくつかの実施形態に従うと、このプロセスにより抽出されたパラメータは、さらに、臨床設定における胎児心拍数(HR)トレースの解釈に役立ち得る。
【0037】
動作107の完了後、プロセスは動作109に進み得る。
【0038】
動作109中、プロセスは、決定されたUSPSに対応するコンテンツを形成し得る。コンテンツは、任意の適切なグラフィックス生成プロセス(一般にグラフィックス・アプリケーション(GA)により実行され得るグラフィックス・プロセス)を用いて形成され得る。グラフィックス生成プロセスは、必要に応じて、システム及び/又はユーザによりプログラム可能であり得る。コンテンツは、テキスト及び/又はグラフィックス等の情報を含み得る。この情報は、1以上の子宮収縮の開始時間、ピーク時間、及び終了時間、2つの(隣接する)子宮収縮間の時間、1以上の子宮収縮の継続期間、並びに、膨張進行(dilation progress)及び内診時間(internal examination moment)に関連する情報等のUSPSの少なくとも一部の表現をレンダリングするために使用され得る。膨張進行及び内診時間に関連する情報に関して、この情報は、医師等といった熟練者により手入力され得る。例えば、図6図8は、USPSに従ってグラフィックス・アプリケーション(GA)により形成されたコンテンツを示しており、本システムの実施形態に従ってレンダリングされ得る。GAは、陣痛の進行の視覚化をレンダリングするのに適した情報を含み得るコンテンツ及び/又は陣痛呼吸サポートを提供し得るコンテンツを生成することができる。このコンテンツは、オーディオ・データ及び/又はビジュアル・データに関連する情報、グラフィック情報等をさらに含み得、システム及び/又はユーザにより定められたテーマに従って形成され得る。
【0039】
例えば、本システムの実施形態に従うと、陣痛の進行の視覚化は、子宮収縮の開始時間、ピーク時間、及び/又は終了時間、それらの時間間の間隔、子宮収縮の継続期間、強度、タイミング・パターン、波形形状等といった、子宮活動に関連する情報を含み得る。それらの情報の各々が、リアルタイムに又はオフライン・モードで陣痛中の患者の進行を視覚化するために、(他の情報とは独立して且つ/あるいは他の情報と関連して)レンダリングされ得る。このように、GAは、患者ごとに固有の(データ)視覚化を形成するために使用することができる、UAS、USPS、及び/又はUSPIに対応するコンテンツを生成することができる。コンテンツは、さらに、デフォルト設定及び/又は患者設定に従って、個人向けにすることができる。例えば、ユーザ(例えば、患者及び/又は患者のパートナ、熟練者等)は、例えば、利用可能な複数のテーマ及び/又は色から選択される望ましいテーマ及び色を選択することにより、視覚化をさらに個人向けにすることができる。さらに、呼吸サポートを提供するために、コンテンツは、患者の利便性のためにリアルタイムのサポートを提供するよう形成され得る。例えば、陣痛中、コンテンツは、ビジュアル呼吸ガイド(visual breathing guide)を含み得る。ビジュアル呼吸ガイドは、患者の注目を助け子宮収縮中の痛みを軽減する、例えばパターン呼吸運動(pattern breathing exercise)を支援するために、リアルタイムのサポートを患者に提供し得る。さらに、GAは、患者の子宮収縮に対する自動同期が可能となり得るように、コンテンツを形成することができる。さらに、呼吸ガイドは、陣痛の様々な段階中の十分なサポートのための1以上の陣痛呼吸テクニック(labor breathing technique)を含み得る。1以上の陣痛呼吸テクニックは、自動的に選択され得る、あるいはユーザにより選択され得る。1以上の陣痛呼吸テクニックに関連する情報は、システムのメモリに記憶され得、望むように選択され得る。さらに、このプロセスは、例えば、子宮収縮の開始が検出されたとき等、ユーザの利便性のために、必要に応じて、呼吸ガイドを開始し得る。さらに、呼吸ガイドに関して、呼吸ガイドは、ユーザ及び/又はシステムにより選択され得る表現/視覚化テーマに従って生成され得る。したがって、ユーザによる選択のための複数の呼吸ガイド表現テーマを含むメニューが、ユーザによる選択のために、このプロセスによりレンダリングされ得る。動作109の完了後、プロセスは動作111に進み得る。
【0040】
動作111中、コンテンツは、モニタ及び/又はプロジェクタ等の、システムの適切なディスプレイにより例えば表示される等、レンダリングされ得る。したがって、コンテンツは、必要に応じて、例えば、分娩室の壁やポータブル・ディスプレイ・デバイス等に表示され得る。患者、患者のパートナ、及び/又は熟練者(例えば、助産師、医師、看護師、世話人等)は、例えば、タイミング(例えば、呼吸数等)及び行動を示すことにより、患者により実行される呼吸ガイド運動を調整することができる。さらに、患者等のユーザは、本システムの実施形態とインタラクトして、例えば、本明細書で説明するように望ましいテーマ及び/又は色を選択することにより、呼吸ガイドを個人向けにすることができる。したがって、レンダリングされた情報を用いて、患者、パートナ、及び/又は熟練者(例えば、助産師、医師、看護師、世話人等)は、例えば、タイミング及び行動を示すことにより、患者により実行される呼吸運動を調整することができる。このプロセスは、(例えば、システム及び/又はユーザにより)終了がリクエストされるまで、プロセス100の動作を継続的に繰り返し得る。さらに、パラメータは、必要に応じて、対応する信頼レベルを含み得る。そのような信頼レベルは、UASパラメータ信号のそれぞれの変数に関する計算された正確性を示すものであり得る。
【0041】
図6図8は、本システムの実施形態に従ってレンダリングされたコンテンツを示すグラフである。図6を参照すると、呼吸ガイドをレンダリングするためのテーマに従ってレンダリングされたコンテンツは、一連のアニメーション化された円602(例えば、アニメーション化された円)を含み得る。一連のアニメーション化された円602は、呼吸ガイドとして機能し得、(時間順に)連続的にレンダリングされ得る。呼吸ガイドは、例えば、(強い)子宮収縮が検出されたとき(例えば、子宮収縮閾値(contraction threshold)と等しいか、あるいは子宮収縮閾値よりも大きい子宮収縮が検出されたとき)、開始され得る。しかしながら、他の実施形態では、必要に応じて、呼吸ガイドは、患者により手動で開始されてもよいし、且つ/あるいは他の検出されたパラメータ、状態等に応答して開始されてもよい。例えば、円は、患者が息を吸い込むべきときを示すように、大きくなり得(例えば、影の付いたリング等を用いて直径が増大し得)、患者が息を吐き出すべきときを示すように、縮まり得る。したがって、呼吸ガイドは、望ましい呼吸パターンを示し得る。アニメーション化された円の各々は、所望のリズムを確立するために呼吸すべきときを患者に知らせるための情報を、患者に提供し得る。さらに、アニメーション化された円602の色は、吸い込み動作又は吐き出し動作を示すよう、変化し得る。
【0042】
さらに、線、矢印、英数字(例えば、レター、単語(例えば、一吹き(puff)、吸い込み、吐き出し等)等といったグラフィックスが、ユーザの利便性のために生成され得る、且つ/あるいはレンダリングされ得る。
【0043】
図7を参照すると、陣痛の進行の視覚化のためのテーマに従ったコンテンツは、枝、花、及び/又は説明文等の一連の情報アイテムを含み得る。このコンテンツは、(例えば、陣痛中の又は考えらえる陣痛中の)患者のUSPSのマッピングを含み得、陣痛の進行に従って成長し得る。例えば、第1の茎の枝間の距離(図7の番号1を参照)は、例えば、2つの子宮収縮間の時間を示し得る。例えば、2つの子宮収縮間の時間が長いほど、この距離は長くなる。この実施形態において、反対に、2つの子宮収縮間の時間が短いほど、この距離は短くなる。子宮収縮の継続期間(図7の番号2を参照)は、花のレンダリングにより示され得る。子宮収縮の継続期間が長いほど、花は大きくなり、子宮収縮の継続期間が短いほど、花は小さくなる。別の茎上の枝間の距離(図7の番号3を参照)は、膨張を示し得る。膨張進行は、分離した枝を用いて示され、膨張に応じてサイズが変わり得る。膨張が大きいほど、この距離は長くなり、膨張が小さいほど、この距離は短くなる。子宮収縮の強度は、色を用いて示され得る。例えば、(現在の)花の色は、現在の子宮収縮の強度を示すように、明るい色から暗い色に変化し得る。例えば、色が暗いほど、子宮収縮の強度は強くなり、色が明るいほど、子宮収縮の強度は弱くなる。内診の視覚化は、例えば、新たな枝(図7の番号5を参照)の追加により提供され得る。このように、このプロセスは、表示領域が陣痛中の時間の経過で満たされ得るように、新たな花、茎、枝等をリアルタイムに生成し得る。
【0044】
図8を参照すると、別のテーマに従ったコンテンツが、一連のバー及び/又は説明文を含むグラフの形態で提供され得る。隣接するバー間の距離(図8の番号1を参照)は、2つの子宮収縮間の時間を示し得る。2つの子宮収縮間の時間が長いほど、この距離は長くなり、2つの子宮収縮間の時間が短いほど、この距離は短くなる。各バーの厚さは、子宮収縮の継続期間を示し得る(図8の番号2を参照)。子宮収縮の継続期間が長いほど、バーは広くなり、子宮収縮の継続期間が短いほど、バーは狭くなる。各バーの長さ(図8の番号3を参照)は、子宮膨張の程度を視覚化するために使用され得、膨張が進行するにつれ、対応するバーの長さが、それに応じて長くなる。したがって、本システムの実施形態に従うと、膨張が大きいほど、各バーの長さが長くなり、膨張が小さいほど、各バーの長さは短くなる。子宮収縮の強度は、色を用いて示され得る。例えば、(現在の)バーの色は、現在の子宮収縮の強度を示すように、明るい色から暗い色に変化し得る。例えば、色が暗いほど、子宮収縮の強度は強くなり、色が明るいほど、子宮収縮の強度は弱くなる。内診時間は、インジケータ(番号5を参照)を用いて視覚化され得る。このインジケータは、バーの1つのシリーズと、別のバーのシリーズとを分離する。
【0045】
動作111の完了後、プロセスは動作113に進み得る。動作113中、プロセスは、(1以上の)UAS、決定されたUSPI及びUSPS、コンテンツ、並びに/又は後の使用のために選択されたテーマ等の、このプロセスにより生成された情報を記憶し得る。したがって、分娩の後、コンテンツは、出産の記念等の後の使用のために記憶され得る。プロセスは、必要に応じて、(例えば、より多くのグラフィック情報を生成するために)繰り返し得る、あるいは終了し得る。
【0046】
本システムの他の実施形態に従うと、視覚化に対する子宮活動パラメータ(例えば、UASパラメータ)の異なるマッピングも可能である。そのようなマッピングは、システム及び/又はユーザにより設定され得る。さらに、他の実施形態では、光、音、触覚、香り等のコンピュータにより生成されるグラフィックス又は他のメディア形態が、子宮活動パラメータをマッピングするために、したがって、熟練者(例えば、医師、看護師、助産師等)及び/又は患者等のユーザに陣痛の進行を伝えるために使用され得る。
【0047】
図2は、本システムの実施形態に従った、システムにより実行されるプロセス200を示すフロー図である。プロセス200は、ネットワークを介して通信することができ、1以上のメモリから情報を取得することができる、且つ/あるいは1以上のメモリに情報を記憶することができる1以上のコンピュータを用いて実行され得る。1以上のメモリは、互いにローカルにあってもよいし、且つ/あるいは互いにリモートにあってもよい。プロセス200は、以下の動作のうちの1以上を含み得る。さらに、そのような動作の1以上は、必要に応じて、組み合わされてもよいし、且つ/あるいは下位動作に分割されてもよい。さらに、そのような動作の1以上は、設定に応じて省略されてもよい。動作201中、プロセスは、初期化プロセスを実行し、アルゴリズム・パラメータ(AP)を初期化し得る、且つ/あるいはメモリ・バッファを割り当て得る。以下の表2は、本システムの実施形態に従ったAPのうちのいくつかの例示的な設定を示している。しかしながら、システム及び/又はユーザにより設定され得るAPは、必要に応じて、設定のための他の値及び/又は範囲を含んでもよい。さらに、他のAPが使用されてもよい。
【表2】
【0048】
表2を参照すると、APに関する時間及び変位の(例示的な)値は、秒及び信号ユニット(例えば、陣痛計ユニット)でそれぞれ指定され、対応する括弧内でリストされている。動作201の完了後、プロセスは動作203に進み得る。
【0049】
動作203中、プロセスは、UASを取得し得る。したがって、プロセスは、子宮活動信号(UAS)を検出し得る。UAS信号は、サンプル単位で又はブロック単位で、取得され処理され得る。402、502等の例示的な加工されていないUASが、図4及び図5に示されている。動作203は、UAS(群)の現在のサンプル(群)が取得される信号取得動作とみなされ得る。動作203の完了後、プロセスは動作205に進み得る。
【0050】
動作205中、プロセスは、UASを解析して、UASのデータ・ストリームが中断されているか、一定であるか、あるいは不良であるかを判定し得る。中断信号(interrupted signal)(例えば、中断データ・ストリーム(interrupted data stream))に関して、新たな信号データが到来していない場合、信号は、中断されたと判定され得る。例えば、(UAS)取得デバイスが正常に機能していない場合、又は(UAS)取得デバイスとの接続が(一時的に)失われている場合、信号(例えば、データ・ストリーム)は中断され得る。したがって、プロセスは、信号を解析して、信号が中断されたかどうかを判定し得る。さらに、一定UASに関して、UASが変化しない場合(表2に示すAP設定において示される本例では20秒といった時間期間の間、信号のフル・レンジの±1%を有意に超えて変化しない場合)、プロセスは、UASが一定であると判定し得る。しかしながら、他の値も想定されている。例えば、(UAS)取得センサが患者から切断されている場合、信号は一定であり得る。さらに、不良信号に関して、プロセスは、(UAS)取得センサが患者の腹部に適切に取り付けられていない場合、信号が不良であると判定し得る。不良信号は、任意の適切な方法を用いて検出され得る。例えば、(遅延されている)加工されていないUASとクリーンUASとの間の差の分散が使用され得る。さらに、(UAS上の)多くの小さなピークが子宮収縮のタイミング特性とは全く異なるタイミング特性とともに検出された場合、その信号も不良とみなされ得る。
【0051】
したがって、UASが中断されているか、一定であるか、あるいは不良であると判定された場合、プロセスは、そのUAS信号が不適切であると判定し得、次いで、プロセスは、新たなサンプル(例えば、次のサンプル、すなわち、n+1番目のサンプル)が取得され、動作203が繰り返され得るように、動作209中変数をリセットし得る。しかしながら、UASが中断されているか、一定であるか、あるいは不良ではないと判定された場合、プロセスは、そのUAS信号が適切であると判定し得、動作207に進み得る。
【0052】
動作207中、プロセスは、UAS内のノイズを抑制し得る。したがって、UASは、非線形ノイズ抑制フィルタ(例えば、任意の適切なフィルタにより実行される、(重み付き)メディアン非線形フィルタリング・オペレーション、(重み付き)順序統計量非線形フィルタリング・オペレーション、決定ベースの非線形フィルタリング・オペレーション、モルフォロジカル非線形フィルタリング・オペレーション、及び/又は他の非線形フィルタリング・オペレーション等)等の任意の適切なフィルタにより、フィルタリングされ得る。この非線形フィルタリング・オペレーションは、非対称に分散されている且つ/あるいは比較的短い(強い)アーチファクトを抑制するのに特に適しているが、他の種類のアーチファクトもまた、非常に効果的に弱められ得る。図に示すように、例えば、(平均)傾きといった、クリーン信号の1以上の微分信号に関する情報が、抑制を支援し得る。プロセスは、ノイズが抑制されたUASを形成し、以下で説明する信号平滑器(signal smoother)にこの信号を出力し得る。
【0053】
フィルタに関して、本システムの実施形態に従うと、非線形アーチファクト抑制フィルタは、様々な信号シナリオのために構成され得る。例えば、多くの大きなアーチファクトは、ポジティブ・インパルス状信号であるので、この特性及び/又は所望の信号及びノイズの他の特性を利用するために時間的なランク順序を考慮に入れ得る1以上の非線形フィルタを用いるのが効果的であり得る。そのような例として、トリムド平均値フィルタ(trimmed mean filter)、Lフィルタ、Cフィルタ、Mフィルタ、Rフィルタ、重み付き順序フィルタ、多段メディアン・フィルタ、メディアン・ハイブリッド・フィルタ、スタック・フィルタ、多項式フィルタ、データ依存フィルタ、決定ベースのフィルタ、及びモルフォロジカル・フィルタがある。動作207の完了後、プロセスは動作211に進み得る。
【0054】
動作211中、プロセスは、任意の適切な平滑器を用いて、ノイズが抑制されたUASに平滑化オペレーションを実行して、平滑化UASを形成し得る。したがって、プロセスは、平滑化フィルタを使用して、入力されたノイズが抑制されたUASを平滑化し、この信号を平滑化して平滑化UASを出力し得る。いくつかの実施形態に従うと、信号平滑器は、ローパス周波数応答を伴う線形有限インパルス応答(FIR)フィルタ若しくは線形無限インパルス応答(IIR)フィルタ、又はトリムド平均値フィルタ等の非線形平滑器を含み得る。動作211の完了後、プロセスは動作213に進み得る。
【0055】
動作213中、プロセスは、任意的に、平滑化UAS信号をダウンサンプリングし得る。このプロセスに関して、211のローパス・フィルタ・エフェクトが、アンチエイリアシング・フィルタとして機能し得る。ダウンサンプリングは、本システムの実施形態に従って構成された任意の適切なダウンサンプリング器を用いて実行され得る。この時点における信号は、(任意的にダウンサンプリングされたか否かに関わらず)ダウンサンプリング信号(downsampled signal)として知られている。動作213の完了後、プロセスは動作215に進み得る。
【0056】
動作215及び動作217中、プロセスは、ダウンサンプリング信号からベースライン・オフセットにおける変化を除去し、移動パーセンタイルを決定し、ベースライン・ジャンプ検出を実行し得る。より詳細には、動作215中、プロセスは、ジャンプ前後のダウンサンプリング信号のレベルが有意に異なり(例えば、信号のフル・レンジの±15%を超える)、ジャンプの一方のサイドの信号の分散が比較的小さく(例えば、信号のフル・レンジの±5%といった閾分散値よりも小さい)、ジャンプ中の信号の傾きが非常に急であるという観測に基づいて、ダウンサンプリング信号のベースライン・オフセットにおけるジャンプを検出し得る。プロセスは、さらに、所定の時間窓にわたり(例えば、所定の時間期間の間)、局所的パーセンタイル(例えば、最小又は3%パーセンタイル)を継続的に追跡することにより、ベースライン・オフセットを推定し得る。動作227のピーク検出プロセス及び/又は動作207の非線形ノイズ抑制プロセス等の本プロセスの他の動作を支援するために、いくつかの移動パーセンタイルが計算され得る。動作215の完了後、プロセスは動作217に進み得る。
【0057】
動作217中、プロセスは、ダウンサンプリング信号から、動作215中に決定されたベースライン・オフセットを減算し、対応するクリーン信号を形成し得る。この減算は、任意の適切な結合器(combiner)(例えば、加算器、減算器等)を用いて実行され得る。動作217の完了後、プロセスは動作219に進み得る。
【0058】
動作219中、プロセスは、時間に関する、クリーン信号の1以上の微分信号を計算し得る。これは、クリーン信号の微分信号を決定するために、FIR微分フィルタ若しくはIIR微分フィルタ、又は他の何らかの数値微分器(例えば、Savitsky−Golayフィルタリング等に基づくもの)を用いて実行され得る。動作219の完了後、プロセスは動作221に進み得る。
【0059】
動作221中、プロセスは、閾信号の計算を可能にする1以上の平滑化パラメータを、クリーン信号及び/又はその1以上の微分信号(例えば、動作219中に計算される)から計算し得る。閾信号は、制御され所望の形で、クリーン信号に従う。子宮収縮の上行部(ascending part)において、閾信号が時間単位でほとんど同量だけ増大し得且つ閾信号がそれに関して少々遅延しているという点で、閾信号がクリーン信号に迅速に従うように、1以上の平滑化パラメータは決定されるべきである。しかしながら、子宮収縮の下行部(descending part)において、このプロセスによる小さな局所的ピークの検出を避けるために、閾信号がクリーン信号にゆっくりと従うように、1以上の平滑化パラメータは決定されるべきである。動作221の完了後、プロセスは動作223に進み得る。
【0060】
動作223中、プロセスは、閾信号を形成するために、クリーンUAS信号の信号依存の平滑化を実行し得る。より詳細には、閾信号をもたらす、クリーン信号の信号依存の平滑化は、動作221中に計算された信号依存の1以上の平滑化パラメータに従って実行され得る。動作223の完了後、プロセスは動作225に進み得る。
【0061】
動作225中、プロセスは、最小値(minimum)を閾信号に課し得る。この最小値は、残存する小さなピーク及びノイズに起因する誤検出を避けるために、閾信号に課せられ得る。このとき、閾信号は、ピーク検出状態マシン(PDSM)により解析される準備ができている。動作225の完了後、プロセスは動作227に進み得る。
【0062】
動作227中、プロセスは、クリーン信号、閾信号、1以上の微分信号、移動パーセンタイル、及びベースライン・ジャンプ情報のうちの1以上等の情報を受信することができるPDSMを用いてピークを検出し得る。より詳細には、PDSMは、受信した情報に基づいて、子宮収縮外、子宮収縮の開始、子宮収縮の上行部、子宮収縮のピーク、ピーク決定、子宮収縮の下行部、子宮収縮の終了、及び/又は(子宮収縮の)中止(abort)等の1以上の状態を決定することができる。ピーク検出状態マシン等のPDSMにより実行されるプロセスは、図3を参照して示される。本システムの実施形態に従うと、PDSMは、PDSMがグラフィックス・エンジンを用いて生成する情報を提供することができる。動作227の完了後、プロセスは、必要に応じて、動作229に進み得、動作203を繰り返し得る。
【0063】
動作229中、プロセスは、グラフィックス・エンジンに入力された情報に基づいて、コンテンツを生成し得る。より詳細には、グラフィックス・エンジンは、USPSに対応し、且つプロセス100の動作111を参照して上述したレンダリングされる選択されたテーマ及び/又は色に従って形成され得るコンテンツを決定し形成し得る。動作229の完了後、プロセスは動作231に進み得る。動作231中、プロセスは、ディスプレイ、プロジェクタ、スピーカ、触覚デバイス等といった任意の適切な手法を用いて、コンテンツをレンダリングし得る。本システムの実施形態に従うと、動作229及び動作231は、必要に応じて、連続して実行されてもよいし、周期的に実行されてもよいし、且つ/あるいは任意の他のタイプのスケジュールで実行されてもよい。
【0064】
本システムの他の実施形態に従うと、プロセスは、エキスパート知識/CDSシステムを使用し得る。例えば、いくつかの実施形態において、プロセスは、子宮活動情報を閾情報と比較し、その比較結果に基づいて、所定のアクションを実行し得る。例えば、子宮活動に対応する信号の強さが閾値を超えたと判定された場合、プロセスは、(例えば、システム設定に基づいて、デフォルトの量又は決定された量だけ)薬物を投与し得る、且つ/あるいはシステム設定に基づいて、アラームを鳴らし得る。したがって、本システムの実施形態は、適切なときに、例えば、薬物を投与する且つ/あるいはアラームをトリガするCDS手法を使用し得る。
【0065】
さらに、必要に応じて、1以上の最終子宮収縮等のタイプによる子宮収縮を1以上の通常の子宮収縮と区別するために、パターン認識をクリーン信号に適用することができる。したがって、プロセスは、子宮収縮が通常であるかあるいは最終であるかを判定し得、その判定結果をレンダリングし得る。
【0066】
図3は、本システムの実施形態に従った、PDSMにより実行されるプロセス300を示すフロー図である。
【0067】
プロセス300は、ネットワークを介して通信することができ、1以上のメモリから情報を取得することができる、且つ/あるいは1以上のメモリに情報を記憶することができる1以上のコンピュータを用いて実行され得る。1以上のメモリは、互いにローカルにあってもよいし、且つ/あるいは互いにリモートにあってもよい。プロセス300は、以下の動作のうちの1以上を含み得る。さらに、そのような動作の1以上は、必要に応じて、組み合わされてもよいし、且つ/あるいは下位動作に分割されてもよい。さらに、そのような動作の1以上は、設定に応じて省略されてもよい。プロセス300は、1以上の機能ブロック310、320、340、360、及び380を含み得る。1以上の機能ブロック310、320、340、360、及び380はそれぞれ、子宮収縮外が検出される場合;子宮収縮の終了又は一時的な局所的ピークが検出される場合;子宮収縮の上行部が検出される場合;子宮収縮の下行部が検出される場合;及び、考えられる子宮収縮のピーク又は一時的な局所的ピークが検出される場合を判定し得る。さらに、これらの状態の各々において、プロセスは、以下で説明するパラメータ情報の少なくとも一部を発行し得る。実施中、プロセスは、動作301中に開始し得、次いで、動作311に進み得る。プロセス300により発行されるパラメータは、USPSに関連する情報に対応し得る。さらに、プロセス300中、条件は、真であると認められる場合、満たされると決定され得る。反対に、条件は、偽であると判定される場合、満たされないと決定され得る。プロセス300は、さらに、取得し、生成し、あるいは後の使用のために使用する情報を記憶し得る。例えば、子宮収縮の開始時間、ピーク時間、及び/又は終了時間が、例えば、第1の子宮収縮がその後の子宮収縮よりも大きいかどうかを判定するため等の比較のために記憶され得る。プロセス300の動作において使用されるとき、動作中に発行される語(例えば、「外」、「開始」等)は、USPSに含まれ得るパラメータ又は情報を指す。
【0068】
機能ブロック310
動作311中、プロセスは、条件((s[n-1]<z[n-1])且つ(s[n]>z[n])且つ((ds/dt[n]-dz/dt[n])>thr_dt))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされた場合、プロセスは動作313に進み得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合(例えば、ネガティブである場合)、プロセスは、「外」を発行し得、次いで、動作311を繰り返し得る。本明細書で使用されるとき、s[n]は、時間インデックスnにおけるクリーン信号であり、s[n-1]は、時間インデックスn−1におけるクリーン信号であり、z[n]は、時間インデックスnにおける閾信号であり、z[n-1]は、時間インデックスn−1における閾信号である。
【0069】
動作313中、プロセスは、現在の子宮収縮に関する子宮収縮パラメータを初期化し、現在の子宮収縮の開始時間tをリセット及び/又は保存し、「開始」を発行し得る。動作313の完了後、プロセスは、機能ブロック340に進み、動作341を開始し得る。
【0070】
機能ブロック340
動作341中、プロセスは、Tasc=t−tと設定し得る。次いで、プロセスは動作343に進み得る。
【0071】
動作343中、プロセスは、条件((s[n]<z[n]|Tasc=Tasc,max))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされた場合(例えば、肯定的な回答の場合)、プロセスは、「中止」を発行し、動作311を繰り返し得る。「中止」は、最初の部分が子宮収縮のように見えた候補となる子宮収縮が、結局子宮収縮ではないと分かった(例えば、アーチファクトであった)という決定として定義され得る。
【0072】
しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは動作345に進み得る。
【0073】
動作345中、プロセスは、条件((s[n]<z[n]))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは、パラメータ情報として「上行」を発行し、動作341を繰り返し得る。しかしながら、この条件が満たされなかったと判定された場合、プロセスは動作347に進み得る。
【0074】
動作347中、プロセスは、ピークが生じた時間を示すピーク時間tpkを保存し、ピーク信号値spkを保存し得る。動作347の完了後、プロセスは動作349に進み得る。
【0075】
動作349中、プロセスは、条件((TDP==1))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは、動作351に進み得る。しかしながら、この条件が満たされなかったと判定された場合、プロセスは動作355に進み得る。
【0076】
動作355中、プロセスは、Tpp=1と設定し、「上行」を発行し得、次いで、機能ブロック380に進み、動作381を開始し得る。
【0077】
動作351中、プロセスは、条件((Tasc>=Tasc,min)且つ((spk-sb)>=spk,min))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは動作353に進み得る。しかしながら、この条件が満たされなかったと判定された場合、プロセスは、「中止」を発行し、動作311を繰り返し得る。
【0078】
動作353中、プロセスは、ピーク決定時間tpk,dcsを保存し得る。動作353の完了後、プロセスは、「ピーク」を発行し、機能ブロック360に進み、動作361を開始し得る。
【0079】
機能ブロック360
動作361中、プロセスは、Tdesc=t−tpkと設定し得、次いで、動作363に進み得る。動作363中、プロセスは、条件((Tdesc>Tdesc,max))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされた場合、プロセスは、「中止」を発行し、動作311を繰り返し得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは動作365に進み得る。
【0080】
動作365中、プロセスは、条件((s[n]<s[n-1]))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは、「下行」を発行し得、次いで、動作361を繰り返し得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは動作367に進み得る。
【0081】
動作367中、プロセスは、終了時間t及び/又は終了信号値sを保存し得る。動作367の完了後、プロセスは動作369に進み得る。
【0082】
動作369中、プロセスは、条件((TDE==1))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは動作371に進み得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは動作373に進み得る。
【0083】
動作371中、プロセスは、TPE=1と設定し、「下行」を発行し得、次いで、機能ブロック320に進み、動作321を開始し得る。
【0084】
動作373中、プロセスは、条件((Tdesc>=Tdesc,min)且つ(spk-se>=sdesc,pk,min))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは動作375に進み得る。しかしながら、この条件が満たされなかったと判定された場合、プロセスは、「中止」を発行し、動作311を繰り返し得る。
【0085】
動作375中、プロセスは、終了決定時間te,dcsを保存し得る。動作375の完了後、プロセスは、「終了」を発行し、動作311を繰り返し得る。
【0086】
機能ブロック320
動作321中、プロセスは、Tdesc=t−tpkと設定し得、次いで、動作323に進み得る。動作323中、プロセスは、条件((Tdesc>Tdesc,max))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされた場合、プロセスは、「中止」を発行し得、次いで、動作311を繰り返し得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは動作327に進み得る。
【0087】
動作327中、プロセスは、条件((s[n]<s[n-1]))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは動作329に進み得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは動作331に進み得る。
【0088】
動作329中、プロセスは、終了時間t及び終了信号値sをクリアし得る。動作329の完了後、プロセスは、「下行」を発行し得、次いで、動作361に進み得る。動作331中、プロセスは、TPE=TPE+1と設定し得る。動作331の完了後、プロセスは動作335に進み得る。
【0089】
動作335中、プロセスは、条件((TPE<TDE))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは、「下行」を発行し得、次いで、動作321を繰り返し得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは、動作337に進み得る。
【0090】
動作337中、プロセスは、条件((Tdesc>=Tdesc,min)且つ((spk-se)>=sdesc,pk,min))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは動作339に進み得る。しかしながら、この条件が満たされなかったと判定された場合、プロセスは、「中止」を発行し、動作311を繰り返し得る。
【0091】
動作339中、プロセスは、終了決定時間te,dcsを保存し得る。動作339の完了後、プロセスは、「終了」を発行し、動作311を繰り返し得る。
【0092】
機能ブロック380
動作381中、プロセスは、Tasc=t−tと設定し得、次いで、動作383に進み得る。動作383中、プロセスは、条件((Tasc>Tasc,max))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされた場合、プロセスは、「中止」を発行し得、次いで、動作311を繰り返し得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは動作385に進み得る。
【0093】
動作385中、プロセスは、条件((s[n]>=s[n-1]))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは動作387に進み得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは動作389に進み得る。
【0094】
動作387中、プロセスは、ピーク時間tpk及びピーク信号値spkをクリアし得る。動作329の完了後、プロセスは、「上行」を発行し得、次いで、動作341を繰り返し得る。
【0095】
動作389中、プロセスは、TPP=TPP+1と設定し得る。動作389の完了後、プロセスは動作391に進み得る。動作391中、プロセスは、条件((TPP<TDP))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされたと判定された場合、プロセスは、「上行」を発行し得、次いで、動作381を繰り返し得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは動作393に進み得る。
【0096】
動作393中、プロセスは、条件((Tasc>=Tasc,min)且つ((spk-sb)>=sasc,pk,min))が満たされたかどうかを判定し得る。この条件が満たされた場合、プロセスは動作395に進み得る。しかしながら、この条件が満たされなかった場合、プロセスは、「中止」を発行し得、次いで、動作311を繰り返し得る。動作395中、プロセスは、ピーク決定時間tpk,dcsを保存し得る。動作395の完了後、プロセスは、パラメータ情報として「ピーク」を発行し、動作361に進み得る。
【0097】
発行されたパラメータ情報は、次いで、本システムの実施形態に従ったさらなる処理のために、グラフィックス・エンジンに送信され得る。
【0098】
他の実施形態において、プロセスは、UASのベースライン・オフセットを判定し、測定限界を超えているあるいは閾限界を超えていると判定されると、ベースライン・オフセットを調整し得る。さらに、UASが測定限界を超えていると判定された場合、UASが測定限界を超えないように、プロセスは、必要に応じて、UASを自動的にスケーリングし得る。プロセスは、さらに、信号検出の信頼性を向上させるために、時間遅延を調整し得る。
【0099】
本システムの実施形態は、患者及び/又は熟練者等のユーザの利便性のために、臨床意思決定支援(CDS)を提供し得る。例えば、陣痛プロセス中に取得される全ての子宮活動データは、オフラインの使用を提供し得る、ディスク・ストレージ・デバイス、非一時的メモリ、及び/又は任意の他の(将来の)データ・ストレージ技術等の、システムのメモリにログを取られ得る/保存され得ることが想定されている。次いで、このデータを使用して、例えば、ユーザの子宮収縮を表す、例えば、オンライン処理後又はオフライン処理後に取得されたアイテム(例えば、情報アイテム)をビジュアル表現として(例えば、花、植物、風船等)提供することができる。本システムの実施形態に従うと、そのようなアイテムには、対応する子宮収縮が生じた時間を示すタイムスタンプ、継続期間、及び/又は強度等の、対応する子宮収縮/イベントに関する情報が注釈として付けられ得る。これは、インタラクティブに実行され得る。例えば、子宮収縮のビジュアル表現内のアイテム(例えば、花)は、(例えば、クリックすることにより)選択可能となり得る、且つ/あるいは「ズーム可能」となり得る。次いで、例えば、ユーザが、対応する子宮収縮に関する情報アイテム又はその一部分を選択したとき、時間(例えば、発生時間)、継続期間、及び強度等の、子宮収縮に関する関連情報が、スクリーン上に表示され得る。この機能は、陣痛中に生じたイベント(及び、その特性)を思い出すのに大いに役立ち得る(「実際、12時13分に、私は強い子宮収縮があった...」)。これは、ある種の「産後ケア」又は(強烈な且つ/あるいは良い)思い出の産後回想を形成する。
【0100】
子宮活動データを使用して、データを(再)処理することができる(信号処理パラメータ及び/又はアルゴリズムを調整することができる)。これは、オフラインで処理されるときに、且つ/あるいは例えば、視覚化パラメータを調整することにより異なる視覚化(又は、複数の視覚化)を取得するために、より良い結果を提供し得る。子宮活動データを使用して、データを(再)処理し、例えば、抽出されたUAパラメータを一本の木又は風船のセットではなく植物/木々の庭にマッピングする異なるマッピングを適用することにより異なる視覚化(テーマ)を取得することができる。本システムに従うと、データの詳細を直接解析又は検討する必要なくデータが容易に理解され得るように、ビジュアル表現は、データのビジュアル・メタファ(visual metaphor)として提供される。このメタファは、データの、ビジュアル要素に対するマッピングの形態で提供される。例えば、子宮収縮の長さは、葉のサイズにマッピングされ得る、子宮収縮間の時間は、葉間の距離にマッピングされ得る、等である。そのようなマッピングが、選択可能なテーマ(例えば、葉、風船等)の形態で提供され得る。
【0101】
また、この方法のオンライン/リアルタイム・アプリケーションにおいて、(1以上の)考えられるマッピングがユーザにより使用され調整されてもよいことが想定されている。クリーン信号自体が、抽出されたパラメータ及び/又は状態に重ね合わされ得るように表示されてもよい。例えば、ユーザがそのようにすることを望む場合、オフラインで様々な視覚化を行うことができる。さらに、患者、配偶者、及び/又は熟練者は、子宮収縮の総数及び/又は子宮収縮の平均頻度等の、様々なイベントの統計量の要約を好む場合がある。この情報が、例えば、家でのモニタリング状況において提供され得る。さらに、この情報は、ヘルス・プロバイダ等に送信されてもよい。陣痛を含む家でのモニタリングが、本出願のデバイス、方法、及びコンピュータ・プログラムを用いて可能であり、長期間のプロセス、処置、及び/又はモニタリングにより特徴付けられる他のヘルスケア領域においても可能である。本発明は、様々な生理的パラメータが収集され、患者が肉体的に不快な経験及び/又は精神的につらい経験を受ける複雑な状況に関連し得るものであり、この種のデータ視覚化フィードバックは、ポジティブな奨励とともにさらなる見識を患者及び世話人により理解可能で且つ安心させる形で提供することにより、患者の経験及び/又は処置を向上させるのに役立ち得る。もちろん、本出願の発明を限定するよう意図されるものではないが、本発明のデバイス、方法、及びコンピュータ・プログラムを利用することができる他の例は、化学療法を受けているがん患者、(血液)透析処置を受けている腎臓透析患者、ブドウ糖の制御をモニタリングしている糖尿病患者、(原因不明の)不妊症を患っている女性のモニタリング、及び/又は家族のためにフィードバックとしてデータ視覚化を提供することにより集中治療を要する患者のモニタリングを含む。
【0102】
プロセス300に関して、このプロセスは、機能ブロック310、320、340、360、及び380により表され得る等の有限数の状態間を遷移し得る有限状態マシン(FSN)により実行され得る。
【0103】
機能ブロック310の動作311を参照すると、この機能ブロックは、「子宮収縮外」(例えば、子宮収縮状態の外)を表し得る。プロセス300中、クリーン信号s[n]は、1以上の異なる部分を含み得る。任意の所与の時点(t)において、FSMは、(子宮)収縮状態又は非(子宮)収縮状態にあり得る。したがって、「子宮収縮外」と呼ばれるFSMの状態は、非(子宮)収縮状態(例えば、子宮収縮の外)にあるときのシステムの状態を表し、機能ブロック310により表され得る。明らかなことに、「子宮収縮外」状態にあるとき、プロセスは、(例えば、動作311の)適切な条件が満たされるまで、留まるだけである。そのような条件が満たされると、プロセスは、機能ブロック340により表される「子宮収縮の上行部」と呼ばれる状態に遷移し得る。機能ブロック340は、子宮収縮の上行部を表す。したがって、図3のPDSM図に示されるように、動作311は、機能ブロック340により表される「子宮収縮の上行部」状態に遷移するために満たされる必要がある3つの条件をリストしている。第1の条件は、前の時間インデックスn−1において、クリーン信号sが閾信号zよりも小さいことを要求し、第2の条件は、現時間インデックスnにおいて、クリーン信号sが閾信号zよりも大きいことを要求する。これらの最初の2つの条件は、したがって、閾信号zとクリーン信号sとの交差を表し、それにより、候補となる子宮収縮の開始を示す。それが適切な子宮収縮の開始であって、単なる小さな遅い上昇(bump)ではないことを確実にするために、第3の条件は、sの時間微分からzの時間微分を引いた値が、調整可能な閾値よりも大きいことを要求するので、十分に速く上昇するsにおける上昇が保たれ、小さな局所的上昇が排除される(sの傾きとzの傾きとの差が十分に大きい)。次いで、動作313中、とりわけ、プロセスは、考えられる子宮収縮が開始する時間と、対応するsの値とを記録し得る。
【0104】
他の機能ブロック及び対応する状態の推論も概して同様である。例えば、任意の状態を考えたとき、時間tにおけるいくつかのポイントにおいて、プロセスは、「適切な子宮収縮」にまだあるかどうかを判定し、したがって、そのようなことを確実にするためにいくつかの判定を行い得る。例えば、時間におけるいくつかのポイントにおいて、「上行時間」Tascが、現在の時間と、現在のピーク/子宮収縮の開始時間との差として計算され得る。同様に、ピーク時間から現在の時間までの下行時間Tdescが計算され得る。両方の値は、明らかなことに、臨床診療において観測される間隔に制限され得る。そのような間隔は、上行時間に関する[Tasc,min,Tasc,max]と、下行時間に関する[Tdesc,min,Tdesc,max]とにより定められ得る。これらの時間が適切な間隔内にない場合、現在の候補となる子宮収縮は、「中止」され、プロセスは、ブロック310の動作311の「子宮収縮外」状態に戻る。判定される必要があり得る他の条件は、現在のピーク値が十分に大きいかどうかであり、この判定は、例えば、動作351及び動作393中に実行され得る(spkは、ピークにおけるsの値であり、sは、対応する子宮収縮の開始におけるsの値である)。子宮収縮の上行部にあるとき、子宮収縮の主ピーク等の、子宮収縮にとって望ましくない小さな局所的ピークが存在し得る。したがって、考えらえる極大が検出された後に子宮活動信号が下降するとき、プロセスは、子宮活動信号が上昇/増加を再度開始するかどうかを判定するために、「ピーク決定時間」TDPだけ待機し得る(TPPは、考えられるピークにおいて費やされる時間を追跡する)。この条件が生じたと判定された場合、プロセスは、上行状態を保ち得る。そうではない場合、プロセスは、この最新のピークが真のピークであるか否かを判定し得る。この動作が、動作351及び動作393中に実行され得る。
【0105】
本明細書で説明したこれらの動作及び他の動作は、このような状態及び他の状態がどのように判定され得るかの単なる例示として意図されることをはっきりと理解すべきである。他の動作、アルゴリズム、パラメータ等が、当業者には容易に思い付くものであり、本システムの記載に含まれるものとして意図される。
【0106】
図9は、本システムの実施形態に従ったシステム900の一部分を示している。例えば、本システム900の一部分は、メモリ920に動作可能に結合されたプロセッサ910(例えば、コントローラ)、ユーザ・インタフェース930、センサ940、及びユーザ入力デバイス970を含み得る。メモリ920は、アプリケーション・データ及び説明したオペレーションに関連する他のデータを記憶するための任意のタイプのデバイスであり得る。アプリケーション・データ及び他のデータは、本システムに従ったオペレーション動作を実行するようプロセッサ910を構成する(例えば、プログラムする)ために、プロセッサ910により受信される。そのように構成されたプロセッサ910は、本システムの実施形態に従って実行するのに特に適した専用マシンになる。センサは、例えば、陣痛計、IPC、及び/又はEHGデバイス等といった、患者の子宮活動を検出するセンサを含み得る。
【0107】
オペレーション動作は、例えば、ユーザ入力からの情報を取得するようプロセッサ910、センサ940、及び/又はメモリ920を構成することにより、システム900を構成すること、及び患者の子宮活動に関連する情報を取得するために、本システムの実施形態に従ってこの情報を処理することを含み得る。患者の子宮活動に関連する情報は、本システムの実施形態に従ったUAS情報の少なくとも一部を形成し得る。ユーザ入力部970は、キーボード、マウス、トラックボール、及び/又はタッチ式ディスプレイ等の他のデバイスを含み得る。これらは、スタンド・アロン型であってもよいし、システムの一部であってもよい。そのようなシステムとして、パーソナル・コンピュータ、ノートブック・コンピュータ、ネットブック、タブレット、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、携帯電話機、及び/又は動作可能なリンクを介してプロセッサ910と通信する他のデバイス等がある。ユーザ入力部970は、本明細書で説明したようなUI内でのインタラクションを可能にすることを含め、プロセッサ910とインタラクトするよう動作可能であり得る。明らかなことに、プロセッサ910、メモリ920、UI930、及び/又はユーザ入力デバイス970は、コンピュータ・システム、又は本明細書で説明するクライアント及び/又はサーバ等の他のデバイスの全て又は一部であり得る。
【0108】
オペレーション動作は、例えば、患者の子宮活動に関連する情報等の情報をリクエストすること、提供すること、形成すること、及び/又はレンダリングすることを含み得る。プロセッサ910は、システムのディスプレイ等のUI930上にその情報をレンダリングすることができる。センサは、本システムの実施形態に従ったさらなる処理のために所望の情報をプロセッサ910に提供する適切なセンサをさらに含み得る。
【0109】
本システムの方法は、説明した且つ/あるいは本システムにより想定されている個々のステップ又は動作の1以上に対応するモジュールを含むプログラム等のコンピュータ・ソフトウェア・プログラムによりプログラムされたプロセッサにより実行されるのに特に適している。
【0110】
プロセッサ910は、ユーザ入力デバイス970からの入力信号及びネットワークの他のデバイスに応答して、制御信号を提供する、且つ/あるいはオペレーションを実行するとともに、メモリ920に記憶された命令を実行するよう動作可能である。例えば、プロセッサ910は、センサ940からフィードバック情報を取得することができ、本明細書で説明したユーザ・インタフェース及びレンダリングを生成するために、この情報を処理することができる。プロセッサ910は、マイクロプロセッサ、1以上の特定用途向け集積回路又は汎用集積回路、論理デバイス等のうちの1以上を含み得る。さらに、プロセッサ910は、本システムに従って実行する専用プロセッサであってもよいし、本システムに従って実行する、多くの機能のうちの1機能のみを動作させる汎用プロセッサであってもよい。プロセッサ910は、プログラム部分、複数のプログラム・セグメントを使用するよう動作してもよいし、専用集積回路又は多目的集積回路を使用するハードウェア・デバイスであってもよい。
【0111】
したがって、本システムの実施形態は、陣痛計、IUPC、及び/又はEHGデバイスを用いて取得することができるような子宮活動信号を自動的に解析するための1以上のアルゴリズムを提供する。子宮収縮の開始時間、ピーク時間、及び終了時間、並びにそれらの時間間の間隔、子宮収縮の継続期間、強度、タイミング・パターン、波形形状等といった産科的情報及び/又は婦人科的情報が、決定され得、その後、ユーザ及び/又は患者の利便性のために、グラフィカル表現を生成するために使用され得る。
【0112】
したがって、本システムの実施形態は、(1)従来の陣痛計、IUPC、及び/又はEHGデバイスを用いてリアルタイムに又はオフライン・モードで取得されるような子宮活動信号を自動的に解析し、対応する情報を形成することができるアルゴリズムと、(2)適切にタイミングが取られた呼吸サポート及び/又は陣痛プロセスの状態及び進行の視覚化により病院内での女性の陣痛及び出産経験を改善するために情報をレンダリングすることができる、このアルゴリズムにより提供される情報の特定のアプリケーションと、の2つの部分を含み得る。さらに、本システムの実施形態は、よりポジティブな陣痛及び/又は出産経験を妊婦に提供し得るインタラクティブな分娩プロセスを円滑にするレンダリングを提供するために、本システムの実施形態により提供される情報をさらに使用し得る。本システムの実施形態は、陣痛プロセス中の妊娠中の母親に個人に合わせて控えめにガイダンスを提供する環境を提供し得る。このガイダンスは、陣痛プロセスを視覚化し且つ/あるいは妊娠中の母親の呼吸プロセス(例えば、吸気)を支援するレンダリング情報を含み得る。
【0113】
一般に、高さ及び子宮収縮間の時間間隔等の、子宮収縮に関連する様々なパラメータは、変わりやすいので、開始時間、ピーク時間、及び終了時間の検出は、(ほぼ)リアルタイムに自動的に実行することは非常に難しい。したがって、子宮収縮を表すどんな入力信号が使用されようとも、それらのパラメータを自動的に抽出するためのアルゴリズムは、信頼できる検出を得るために、高度なピーク検出を必要とする。子宮収縮を検出し得る信頼性は、とりわけ、どれだけの遅延が許容されるかに依存する。提供したアルゴリズムは、一方では可能な処理及び検出遅延と他方では結果の信頼性との間の明確なトレードオフがなされ得るピーク検出を含む。
【0114】
さらに、このアルゴリズムは、以下の間でなされる明確なトレードオフを許容する:
−一方では可能な処理及び検出遅延と、他方では抽出されたパラメータの信頼性;オフライン・モードで、ほぼ完璧な解析が可能である;
−子宮収縮の開始が検出される信号レベル及びそれを超える信号レベルと、誤検出及び/又は中止された検出の数。
【0115】
さらに、とりわけ、様々なパラメータは、一方では可能なピーク検出及び確定されたピーク検出と他方ではピーク検出の信頼性との間の時間間の明確なトレードオフを許容する。
【0116】
さらに、本システムの変形例が、当業者には容易に思いつくであろう。そのような変形例は、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【0117】
最後に、上記の説明は、本システムの単なる例示であることを意図するものであり、添付の特許請求の範囲を特定の実施形態又は実施形態のグループに限定するものとして解釈すべきではない。したがって、例示的な実施形態を参照して本システムについて説明したが、特許請求の範囲において記載する本システムのより広く且つ意図される精神及び範囲から逸脱することなく、多数の変更形態及び代替実施形態が当業者により考え出され得ることを理解すべきである。したがって、本明細書及び図面は、例示的なものとしてみなされるべきであり、添付の特許請求の範囲を限定するよう意図するものではない。
【0118】
添付の特許請求の範囲を解釈するにあたり、以下のことを理解すべきである:
a)「備える(comprising)」という語は、所与の請求項にリストされている要素又は動作以外の他の要素又は動作の存在を排除しない;
b)要素に先行する「a」又は「an」という語は、そのような要素の複数の存在を排除しない;
c)請求項中のいかなる参照符号もその範囲を限定しない;
d)いくつかの「手段」は、同じアイテム、ハードウェア、又はソフトウェア実装の構造若しくは機能により表される場合がある;
e)開示した要素のいずれもが、ハードウェア部分(例えば、ディスクリート集積電子回路等)、ソフトウェア部分(例えば、コンピュータ・プログラミング)、及びそれらの組合せから構成され得る;
f)ハードウェア部分は、アナログ部分及びデジタル部分の一方又は両方から構成され得る;
g)開示したデバイス又はその部分のいずれもが、別途具体的に述べられない限り、一緒に組み合わされてもよいし、さらなる部分に分割されてもよい;
h)具体的に示されない限り、動作又はステップの特定の順序が必要とされることを意図していない;
i)要素の「複数の」という語は、請求項中の要素の2以上を含み、要素の数の特定の範囲を示唆するものではない;すなわち、複数の要素は、2つの要素であってもよいし、莫大な数の要素を含んでもよい。
図1
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図9