特許第6378692号(P6378692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378692
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】高圧バルブ
(51)【国際特許分類】
   F02M 63/00 20060101AFI20180813BHJP
   F02M 55/00 20060101ALI20180813BHJP
   F02M 55/02 20060101ALI20180813BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20180813BHJP
   F16K 1/36 20060101ALI20180813BHJP
   F16K 1/42 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   F02M63/00 R
   F02M55/00 D
   F02M55/02 350P
   F02M55/02 360Z
   F16K31/06 385A
   F16K31/06 305L
   F16K1/36 K
   F16K1/42 G
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-548378(P2015-548378)
(86)(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公表番号】特表2016-505757(P2016-505757A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】EP2013076450
(87)【国際公開番号】WO2014095595
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年11月25日
(31)【優先権主張番号】1262266
(32)【優先日】2012年12月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514160386
【氏名又は名称】デルファイ・インターナショナル・オペレーションズ・ルクセンブルク・エス・アー・エール・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】マレシャル,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ソヴァージュ,フレデリック
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−107873(JP,A)
【文献】 特開2007−040106(JP,A)
【文献】 特開2007−032483(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0034819(US,A1)
【文献】 特表2013−540237(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0221137(US,A1)
【文献】 特表2011−506839(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0269792(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0112105(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 63/00
F02M 55/00
F02M 55/02
F16K 1/36
F16K 1/42
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内燃エンジンのディーゼル噴射システム(6)のコモンレール(8)内の燃料の圧力を調節するためのバルブ(10)であって、
本体(12)と、シャフト(16)と、アクチュエータ(14)と、ノズル(20)とを備え、
ノズル座部(44)を有する固定部材(22)であって、前記ノズル座部の中央に、前記コモンレール(8)を排出ダクト(40)に接続する排出オリフィス(46)が開口する固定部材(22)を備え、
前記シャフト(16)は、
前記本体(12)内で軸線方向(A)に摺動するように配置され、
前記ノズル(20)が、前記コモンレール(8)内の圧力が予め定められた限度値(L)よりも大きいときに前記排出オリフィス(46)が開状態(EO)にあることと、前記コモンレール(8)内の圧力が前記予め定められた限度値(L)よりも小さいときに前記排出オリフィス(46)が閉状態(EF)にあることと、の間で切り替えることができるように、前記アクチュエータ(14)によって移動され、
前記バルブ(10)は、さらに、前記シャフト(16)と前記座部(44)との間に配置された遮断部材(24)であって、前記閉状態(EF)において前記シャフト(16)が前記遮断部材(24)を押圧して前記座部(44)に当接し前記排出オリフィス(46)を遮断するとともに、前記開状態(EO)において加圧燃料が前記遮断部材(24)を押し戻して前記排出オリフィス(46)を開け、前記シャフト(16)自体は、前記遮断部材(24)によって押し戻されるように配置された遮断部材(24)を備え、
前記ノズル(20)の前記固定部材(22)は、内部ガイドシリンダ(42)を形成するチューブ状部分(26)を備え、
前記内部ガイドシリンダ(42)は、第1の解放端から、前記ガイドシリンダ(42)の底部端を形成する前記座部(44)まで延在し、
前記遮断部材(24)は、前記ガイドシリンダ(42)内に配置されるとともに案内され、
前記ガイドシリンダ(42)は、前記排出ダクト(40)と流体連通する
バルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブ(10)であって、
前記固定部材(22)のチューブ状部分(30)は、前記ガイドシリンダ(42)を前記排出ダクト(40)に接続する接続オリフィス(48)を備え、
前記コモンレール(8)から流出する燃料は、前記ノズル(20)が前記開状態(EO)にあるときに、前記排出オリフィス(46)、前記ガイドシリンダ(42)、前記接続オリフィス(48)および前記排出ダクト(40)を連続的に通過する
バルブ。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブ(10)であって、
前記本体(12)は、前記チューブ状部分(26)が内部に配置されるハウジング(36)を備え、
前記チューブ状部分(26)と前記ハウジング(36)との間に中間チューブ状空間(38)が形成され、
前記排出ダクト(40)および前記接続オリフィス(48)は、前記ノズル(20)が前記開状態(EO)にあるときに、前記コモンレール(8)から流出する燃料が、前記排出ダクト(40)に流入する前に、前記中間チューブ状空間(38)を通過するように、前記中間チューブ状空間(38)に表れる
バルブ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のバルブ(10)であって、
前記ノズル(20)の前記固定部材(22)は、追加的に、軸線方向の円筒状ベース(30)を備え、
前記円筒状ベース(30)は、該ベース(30)が相補的なカウンターボア(34)内に配置されることによって前記固定部材(22)を位置決めするように、2つの径方向面(28,32)の間を延在し、
前記2つの径方向面(28,32)のうちの一方は、前記カウンターボア(34)の端部に当接する
バルブ。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブ(10)であって、
前記カウンターボア(34)は、前記バルブ(10)の前記本体(12)に設けられ、
前記ノズル(20)の前記固定部材(22)は、前記本体(12)に固定される
バルブ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のバルブ(10)であって、
前記座部(44)と協働する前記遮断部材(24)の端部は、球状面を有しており、
前記座部(44)は、円錐状面を有しており、該円錐状面の頂点は、前記コモンレール(8)に向けられる
バルブ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のバルブ(10)であって、
前記アクチュエータ(14)は、中央ユニットによって制御される電磁石のプランジャである
バルブ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のバルブ(10)であって、
前記アクチュエータ(14)は、前記予め定められた限度値(L)の軸線方向の力で前記シャフト(16)を常に押圧する圧縮ばね(56)であり、その結果、前記シャフト(16)は、前記ノズル(20)を前記閉状態(EF)に向けて押圧する
バルブ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のバルブ(10)であって、
軸線方向穴(18)の直径と前記シャフト(16)の直径との寸法公差は、30μmである
バルブ。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のバルブ(10)であって、
前記シャフト(16)が内部で案内される軸線方向穴(18)は、Ra3.2未満の表面粗さを有する
バルブ。
【請求項11】
自動車両の内燃エンジンのディーゼル噴射システム(6)のコモンレール(8)であって、
請求項に記載のバルブ内に配置されたノズル(20)を受け入れることができるカウンターボア(34)を備え、
ベース(30)が、前記カウンターボア(34)内に嵌合され、
前記固定部材(22)は、前記コモンレール(8)に固定される
コモンレール。
【請求項12】
コモンレール(8)タイプのディーゼル燃料噴射システム(6)であって、
請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のバルブ(10)を備える
ディーゼル燃料噴射システム。
【請求項13】
請求項12に記載の噴射システムであって、
請求項11に記載のコモンレール(8)を備える
噴射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼル噴射回路用の高圧バルブに関し、より詳細には、これらの構成要素の構成およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料を内燃エンジンに直接噴射する回路は、加圧燃料をインジェクタに移送する制御弁(コモンレール上に直接的に係合されてもよい)を備えている。このバルブは、通常、閉状態にあり、通路の遮断を取り除いて燃料が出ることを可能にするために開状態に切り替えられることができ、したがって、噴射回路内の圧力を常に調節することが可能になる。
【0003】
とりわけ公知なものは、チューブ状本体を備えるバルブである。チューブ状本体では、軸線方向に移動可能な中央シャフトが燃料出口通路を遮断するか、あるいは、この遮断を取り除く。中央シャフトは、電磁石のプランジャと接触する平坦な端部と、固定された円錐状の座部と協働する、尖ったまたは半球状の端部と、を有している。座部の中央には、出口通路が開口している。通常動作では、通路は、閉じられたままであり、電磁石のプランジャは、コモンレールに沿って流れる加圧燃料によってシャフトの尖った端部に作用される反対方向の力よりも大きな閉鎖力を中央シャフトに作用させる。
【0004】
移動可能なシャフトは、本体の中央穴内を軸線方向に案内される。出口通路を遮断するために、中央穴および移動可能なシャフトの各々は、優れた表面仕上げ、および、非常に小さい程度の非円筒度を有する必要がある。組立体も小さい程度の非円筒度を有していなければならない。さらに、高い負荷が繰り返し与えられるので、移動可能なシャフトは、700HVのオーダーの表面硬度を得るために、高品質な鋼材(例えば、焼き入れおよび添加剤を有する100Cr6スチール)から製造される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この高精度な加工は、技術的な複雑さを招き、製造および組立が簡単であると同時に完全に動作するバルブを提案することによって簡略化することが緊急の課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の内燃エンジンのディーゼル噴射システムのコモンレール内の燃料の圧力を調節するためのバルブを提案することによって、上述の問題を解決する。このバルブは、本体と、シャフトと、アクチュエータと、ノズルと、を備えている。ノズル自体は、ノズル座部を有する固定部材を備えている。ノズル座部の中央には、コモンレールを排出ダクトに接続する排出オリフィスが開口している。
【0007】
シャフトは、本体内で軸線方向に摺動するように構成され、コモンレール内の圧力が予め定められた限度値よりも高いときに排出オリフィスが開状態にあることと、コモンレール内の圧力が予め定められた限度値よりも低いときに排出オリフィスが閉状態にあることと、の間でノズルに切り替えを行わせるように、アクチュエータによって移動される。
【0008】
有利には、このバルブは、さらに、遮断部材を備えている。この遮断部は、材閉状態においてシャフトが遮断部材を押して座部に当接させ、排出オリフィスを遮断するとともに、開状態において加圧燃料が遮断部材を押し戻して排出オリフィスを開けるように、シャフトと座部との間に配置される。シャフト自体は、遮断部材によって押し戻される。この形態の実施形態によれば、シャフトの役割(この場合、押すだけである)と、遮断部材の役割(この役割は、遮断することである)と、役割を切り離すことが可能である。
【0009】
ノズルの固定部材は、内部ガイドシリンダを形成するチューブ状部分を備えている。内部ガイドシリンダは、第1の解放端から、ガイドシリンダの底部端を形成する座部に至るまで軸線方向に延在する。ノズルの遮断部材は、ガイドシリンダ内に配置されるとともに案内され、ガイドシリンダは、外部に開口する排出ダクトと流体連通する。
【0010】
固定部材のチューブ状部分には、接続オリフィスが設けられる。接続オリフィスは、ノズルが開状態にあるときにコモンレールから流出する燃料が連続して排出オリフィス、ガイドシリンダ、接続オリフィスおよび排出ダクトを通過するように、ガイドシリンダを排出ダクトに接続する。
【0011】
本体には、ハウジングが設けられる。ハウジング内には、チューブ状部分が配置される。ハウジングとチューブ状部分との間には、中間チューブ状空間が形成され、排出ダクトおよび接続オリフィスが中間チューブ状空間に流出する。ノズルが開状態にあるときに、コモンレールから流出した燃料は、排出ダクトに入る前に中間チューブ状空間を通過する。
【0012】
ノズルの固定部材は、さらに、軸線方向の円筒状ベースを備えている。このベースは、相補的なカウンターボア内にベースを配置することによって固定部材を位置決めするように、2つの径方向面の間を延在する。2つの面のうちの一方は、カウンターボアの端部に当接する。
【0013】
一代替形態では、カウンターボアは、バルブの本体に設けられ、ノズルの固定部材は、本体に固定される。
【0014】
他の代替形態では、コモンレールは、とりわけ、ノズルを受け入れることができるカウンターボアを備えている。ベースは、カウンターボアに嵌合され、固定部材は、コモンレールに固定される。
【0015】
座部と協働する遮断部材の端部は、球状、円錐状または卵形の面を有しており、その座部としては、円錐状面を有しており、当該円錐状面の頂点は、コモンレール側に向けられている。あるいは、遮断要素と座部との間にボールが介在し、遮断要素がボールを押圧し、ボールは、排出オリフィスを遮断することができる十分な大きさを有している。
【0016】
アクチュエータは、中央ユニットによって制御される電磁石のプランジャである。
【0017】
代替形態では、アクチュエータは、予め定められた圧力制限値Lの軸線方向の力でシャフトを常に付勢する圧縮ばねである。その結果、シャフトは、ノズルを閉状態に向けて押圧する。
【0018】
有利には、軸線方向穴の直径とシャフトの直径との寸法公差は、30μmである。
【0019】
同様に、その中でシャフトが案内される軸線方向穴は、Ra3.2未満の表面粗さを有している。
【0020】
また、本発明は、コモンレールタイプのディーゼル燃料噴射システムに関し、このシステムは、上述の段落のいずれか1つにしたがって製造されたバルブを備えている。
【0021】
本発明の一実施形態を次の図面を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による高圧バルブの軸線方向の断面図である。
図2】第2実施形態にしたがって製造されたバルブである。
図3図1または図2の実施形態に適用され得る代替的な機械バルブである。
図4】前述の図のバルブのノズルの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図2および図3は、内燃エンジンのディーゼル噴射システム6のコモンレール8に取り付けられることが意図された高圧バルブ10を示している。
【0024】
図1および図2に示される好ましい実施形態によれば、バルブ10は、長手方向軸線Aに沿って延在する本体12と、そのコイルが本体12に固定される電磁石14と、本体12内で移動することができ、本体12の中央穴18内において、押圧(押された)位置PAと後退位置PRとの間で軸線方向に案内されるシャフトを作動させるプランジャと、を備えている。本体12の電磁石14と反対側の端部には、ノズル24が配置されている。ノズル24は、シャフト16によって、シャフト16が後退位置PRにあるときに開状態EOに切り替えられ、シャフト16が押圧位置PAにあるときに閉状態EFに切り替えられる。バルブ10は、相補的な雌穴が設けられたレール8内の空間内に本体12の円筒表面を配置することによって、レール8に固定される。シールが本体12とレール8との境界のところに配置されている。
【0025】
ノズル24(特に図4に詳しく示されている)は、基本的には、移動可能な遮断部材24と協働する固定部材22を備えている。
【0026】
固定部材22は、円筒状のチューブ状部分26に沿って軸線方向に延在しており、それに続いて、大径の円筒状ベース30につながる径方向肩部28が形成されている。ベース30は、径方向面32まで延在している。ベース30は、相補的な態様でカウンターボア34内に配置されている。図1の構成によれば、カウンターボア34は、本体12に形成され、固定部材22は、本体12に固定され、径方向肩部28は、カウンターボア34の端部に当接する。
【0027】
図2に示される代替構成では、相補的なカウンターボア34は、レール8に形成されている。ベース30は、カウンターボア34に嵌合し、径方向面32は、固定部材22がレール8に固定されるように、カウンターボア34の端部に当接する。径方向肩部28自体は、本体12に当接する。
【0028】
固定部材22のチューブ状部分26は、本体12の円筒状かつ軸線方向のハウジング36内に配置され、したがって、中間チューブ状空間38が、固定部材22と本体12との間に形成される。この空間38への開口は、本体12に形成された交差方向の排出ダクト40である。
【0029】
チューブ状部分26の内部は、ノズル20の座部44を形成する円錐状面で終端するガイドシリンダ42である。座部44の中央にある開口は、ベース30を軸線方向に貫通してレール8に到達する排出オリフィス46である。チューブ状部分26の壁部には、中間空間38をガイドシリンダ42に接続する少なくとも1つの接続オリフィス48が設けられている。
【0030】
代替的に、チューブ状部分26は、中間空間を形成することなくハウジング36に密接に嵌合されていてもよい。この場合、本体12に設けられる排出ダクト40は、接続オリフィス48と直接的に位置整合する。
【0031】
遮断部材24は、ガイドシリンダ42内に配置されるとともに案内される。例示目的で選択された描写によれば、遮断部材24は、ガイドシリンダ42内での摺動嵌めを形成する直径の円柱状第1部分52として、次いで、点で終端してノズル20の座部44と協働する円錐状第2部分54として、シャフト16と接触する平坦な径方向面50から延在するニードルの端部の形態をとる。
【0032】
説明されたニードル端部の代替形態として、遮断部材24は、球状、円錐状、または、他の何らかの形状の末端部を有していてもよい。この末端部は、同様にして、同じ目的で座部44と協働する。また、遮断要素24は、シャフト16が押圧する単純なボールであってもよい。このボールは、排出オリフィス46を遮断する。遮断要素24と座部44との間に遮断要素24が押圧するボールが介在することも考えられる。このボールは、排出オリフィス46を遮断するのにちょうどな大きさを有している。
【0033】
バルブ10が組み立てられると、本体12、シャフト16、遮断要素24、座部44および排出オリフィス46は、それらの位置が整合される。
【0034】
動作時において、加圧燃料は、レール8に沿って流れる。予め定められた限度圧Lよりも低い圧力で、電磁石14は、シャフトを押圧位置PAに保持する。遮断部材24の径方向面50と接触するシャフト16の端部は、遮断部材24の円錐状部分54が、座部44と相補的に接触した状態に維持されて排出オリフィス46を遮断するように径方向面50を押圧する。レール8内の燃料の圧力が予め定められた限度値Lを越えると、燃料は、その円錐状部分54を押圧することによって遮断部材24を押し戻し、排出オリフィス46を開ける。次いで、加圧燃料は、レール8から排出オリフィス46へ連続的に通過して排出され、次いで、ガイドシリンダ42に入り、接続オリフィス48を通って中間空間38に入り、排出ダクト40に到達することができる。
【0035】
図3に示される他の実施形態では、電磁石は、作動圧縮ばね56に置き換えられる。作動圧縮ばね56は、シャフト16を押圧位置PAに常に押圧する。ばね56は、レール8内の燃料の予め定められた限度圧Lの力をシャフト16に加える。レール8内の圧力が限度値Lを越えると、わずかに圧縮するばね56の力に打ち勝ち、排出オリフィス46を介して燃料が流出することができる。圧力が限度圧Lよりも低い圧力まで戻ると、ばね56によって加えられる力が勝り、排出オリフィス46が再び遮断される。
【0036】
シャフト16の役割が、遮断要素24を押圧する押圧ロッドの役割に限定され、遮断要素24の役割が、排出オリフィス46を遮断する役割そのものとなる。製造の観点からは、加工公差は、各々の構成要素によって果たされる役割に適したものとなっている。したがって、シャフト16と、本体12の軸線方向穴18とは、一方では、それらのそれぞれの直径間についての30μmの寸法公差(以前は12μmであった)で製造されることができ、他方では、Ra3.2の表面仕上げ(以前は、Ra1.6であった)を有している。最後に、遮断部材24用の鋼材は、高品質鋼材のままであり、シャフト16に使用される鋼材は、より一般的なものとすることができる。
【符号の説明】
【0037】
6…ディーゼル噴射システム
8…コモンレール
10…バルブ
12…本体
14…電磁石
16…シャフト
18…軸線方向穴
20…ノズル
22…固定部材
24…遮断部材
26…チューブ状部分
28…径方向肩部
30…ベース
32…径方向面
34…カウンターボア
36…ハウジング
38…中間チューブ状空間
40…排出ダクト
42…ガイドシリンダ
44…座部
46…排出オリフィス
48…接続オリフィス
50…径方向面
52…円柱状第1部分
54…円錐状第2部分
56…作動圧縮ばね
A…長手方向軸線
図1
図2
図3
図4