(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378722
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】金属表面改変法
(51)【国際特許分類】
C23F 1/00 20060101AFI20180813BHJP
C23C 28/00 20060101ALI20180813BHJP
C25F 5/00 20060101ALI20180813BHJP
C23C 18/32 20060101ALI20180813BHJP
C23C 10/20 20060101ALI20180813BHJP
C23C 12/02 20060101ALI20180813BHJP
C23C 10/08 20060101ALI20180813BHJP
C25D 5/48 20060101ALI20180813BHJP
C25D 5/50 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
C23F1/00 103
C23C28/00 A
C25F5/00
C23C18/32
C23C10/20
C23C12/02
C23C10/08
C25D5/48
C25D5/50
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-160270(P2016-160270)
(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公開番号】特開2017-40001(P2017-40001A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】14/831,930
(32)【優先日】2015年8月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ローラ・セルリー・ダイアル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・トーマス・カーター
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・フランシス・ザヴィエール・ジグリオッティ,ジュニア
【審査官】
萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0311389(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02570595(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0060403(US,A1)
【文献】
特表2016−533433(JP,A)
【文献】
特開2000−192258(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0243464(US,A1)
【文献】
特開2015−108175(JP,A)
【文献】
特開平09−312275(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02236652(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F 1/00−4/04
C23C 8/00−12/02
C23C 18/00−20/08
C23C 24/00−30/00
C25D 5/00−7/12
C25F 1/00−7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属物品(100)の表面(204)を改変するための方法であって、
金属基材(101)の表面(204)にニッケル富化領域(202)を配置するステップであって、金属基材(101)が、配置ステップ前の50重量%以上のコバルトを含む初期組成を有し、表面(204)が、初期粗さを有し、ニッケル富化領域(202)が、金属基材(101)の初期組成よりも高いニッケル濃度を有するステップと、
ニッケル富化領域(202)が配置された金属基材(101)に第1の加熱処理を適用して、金属基材(101)内にニッケルの拡散帯を形成するステップと、
第1の加熱処理されたニッケル富化領域(202)の少なくとも一部をアルミニウムで富化して、アルミナイズ処理領域を形成するステップと、
アルミナイズ処理領域の少なくとも一部を除去して、金属基材(101)の処理表面を形成するステップと
を含んでいて、除去ステップ後の処理表面が初期粗さ未満の処理表面粗さを有する、方法。
【請求項2】
除去が化学的又は電気化学的に材料を除去することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
金属物品(100)が、タービンのローターブレードまたはステータベーンであり、
処理表面粗さが初期粗さの95%未満である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
表面(204)が、配置ステップの前に、200マイクロインチ(5.1μm)以上の算術平均粗さ(Ra)を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
配置が、50μm以上の厚さを有するニッケル富化領域(202)を配置することを含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
配置が、化学蒸着法、物理蒸着法、スラリーに基づく堆積法、無電解めっき法、電気めっき法又はこれらの1以上を含む組合せを含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
金属基材(101)が、コバルト、ニッケル、鉄又はこれらの1種以上を含む組合せを含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
アルミナイズ処理領域が形成された金属基材(101)に第2の加熱処理を適用して、金属基材(101)内にアルミニウムを拡散させるステップを含む、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
積層造形ステップにより積層造形材料を含む金属基材(101)を形成するステップを含み、
積層造形ステップが、金属粉末を融解、硬化又は焼結するステップを含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
表面(204)が金属基材(101)の内部表面(110)であり、
内部表面(110)が冷却エア又は冷却材を含む流体の流れを容易にするための内部チャネル(112)を形成する、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
第1の加熱処理が約1000℃以上の温度で実施される、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
金属物品(100)を静水圧プレスすることを更に含む、請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
アルミニウムでの富化が、気相アルミナイズ、スラリーアルミナイズ又はこれらの1以上を含む組合せを含む、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
配置ステップ、第1の加熱処理ステップ、富化ステップ、及び除去ステップとを含むステップシーケンスを1回以上繰り返すことを更に含む、請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
初期組成が、25重量%以下のニッケルを含む、請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、物品を製造するため方法に関する。より具体的には、本開示は、物品の、限定ではないが、積層造形により形成される金属物品等の物品の表面粗さを低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料を追加して、部分毎に、例えば層毎に部品を「構築する」ことに依存する製造方法には、表面粗さが過度に高いレベルになるという問題がある。これは、部分的には、例えば融解(部分的に融解)及び固化された粉末供給原料により形成される表面の高さ合わせが不完全であるためである。コーティング又は自立型物品を成形するために使用される2つのそのようなプロセスは、スプレー成形及び溶射である。いわゆる「積層造形」法は、そのようなプロセスの更なる例であり、こうした方法は、複雑な立体構造品を低コストで製造する能力があり、鋳造及び鍛冶等の従来の金属加工処理よりも処理能力が高いため、工業的に特に注目されている。用語「積層造形」は、米国材料試験協会によると、「従来の機械加工及び鋳造等の減法製造法とは対照的に、材料を通常は層毎に接合して、三次元モデルデータから物体を製作するプロセス」と定義されている。そのようなプロセスは、例えば、冷却又は流体送達等のために流体の流れを容易にするための内部チャネルを含む、複雑な特徴を有する部品を製造する能力があることが実証されている。
【0003】
外部表面又は内部チャネル壁の表面粗さが粗いと、例えば、流体の流れが部品の働きに影響を及ぼす場合には、部品の機能性を妨げるように作用する場合がある。例えば、ブレード及びベーン等のタービン翼形部部品の場合、ガス流の空気力学的特性を設計パラメータ内に維持するために、ある外部表面の粗さに上限が指定されることが一般的である。更に、液体の流れを容易にする部品は、典型的には、効率的な流れを容易にし、残屑によるチャネルの付着物を低減するためにチャネル壁表面粗さが指定の限度未満である、内部フローチャネル等のフローチャネルを有することが望ましい。最後に、表面粗さが過度に粗いと、物品の機械的特性を損なう場合もある。例えば、表面粗さが粗いと、用途によっては疲労亀裂の発生が起こりやすくなり、より滑らかな表面を有するものと比べて、部品の寿命が低減される場合がある。
【0004】
表面粗さが粗いことによる潜在的な有害効果を考慮すると、表面粗さが一般に問題となる積層造形法により製造される部品等の部品の表面粗さを低減するための方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8506836号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、この必要性及び他の必要性を満たすために提供される。1つの実施形態は、物品の表面を改変するための方法である。この方法は、少なくとも以下のステップ:基材の表面にニッケル富化領域を配置するステップであって、基材が、この配置ステップ前に初期組成を有し、表面が初期粗さを有し、ニッケル富化領域が、基材の初期組成よりも高いニッケル濃度を有するステップと、基材を熱処理して、基材内に拡散帯を形成するステップと、ニッケル富化領域の少なくとも一部をアルミニウムで富化して、アルミナイズ処理領域を形成するステップと、アルミナイズ処理領域の少なくとも一部を除去して、基材の処理表面を形成するステップとを含む。除去ステップの後、処理表面は、初期粗さ未満の処理表面粗さを有する。
【0007】
別の実施形態は、表面の粗さを低減するための方法である。この方法は、少なくとも以下のステップ:基材の表面にニッケル富化領域を配置するステップであって、ニッケル富化領域が、基材の初期組成よりも高いニッケル濃度を有し、表面が初期表面粗さを有し、初期表面粗さが、約200マイクロインチ以上の算術平均粗さ(Ra)であるステップと、基材を熱処理して、基材内に拡散帯を形成するステップと、ニッケル富化領域の少なくとも一部をアルミニウムで富化して、アルミナイズ処理領域を形成するステップと、アルミナイズ処理領域の少なくとも一部を除去して、基材の処理表面を形成するステップとを含む。除去ステップの後、表面は、初期粗さ未満の処理粗さを有する。
【0008】
本発明のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な記載を添付の図面を参照して読むと、より良好に理解されるだろう。図面では、類似の部品は、類似の記号により示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書に記載の技術の幾つかの実施形態による例示的な物品の断面模式図である。
【
図2】本明細書に記載の技術の幾つかの実施形態による例示的な物品の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで及び本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される場合、近似の文言は、関連する基本的機能を変更することなく変化させることが許容され得るあらゆる量的表現の変更に適用することができる。したがって、「約」及び「実質的に」等の1以上の用語により修飾される値は、指定されている正確な値に限定されない。幾つかの場合では、近似の文言は、値を測定のための器具の精度に相当する場合がある。ここで並びに本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、範囲限定は、組合せてもよく及び/又は相互に交換してもよく、そのような範囲には、状況又は文言により別様に示されない限り、そこに含まれる部分範囲が全て特定又は含まれる。
【0011】
以下の明細書及び特許請求の範囲では、単数形「1つの(a、an)」、及び「この(the)」は、状況が明白にそうではないと示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書で使用される場合、用語「又は」は、排他的であることを意味しておらず、存在している参照要素の少なくとも1つを指し、状況が明白にそうではないと示さない限り、参照要素の組合せが存在してもよい場合を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「〜してもよい(may)」及び「〜であってもよい(may be)」は、一連の状況内での発生の可能性を示し;指定されている特性、特徴、又は機能の所有の可能性を示し;及び/又は修飾されている動詞に関連する能力、性能、又は可能性の1以上を表現することにより別の動詞を修飾する。したがって、用語「〜してもよい(may)」及び「〜であってもよい(may be)」の使用は、修飾される用語が、示されている能力、機能、又は使用に、見かけ上適切であり、能力があり、好適であることを示すが、幾つかの場合では、修飾される用語が、適切でなく、能力がなく、又は好適でない場合があり得ることが考慮される。
【0013】
本明細書に記載の技術は、物品がどのように製造されるかに関わらず、物品の表面粗さの低減に役立つものである。しかしながら、積層造形法が、過度に粗い表面粗さを有する物品を生産する傾向があることを考慮すると、下記の記載では、本記載の方法を応用して積層造形物品を向上させる可能性が強調されるだろう。しかしながら、この強調は、限定として解釈されるべきではなく、製造技術分野の実務者であれば、本記載の方法には、より一般的な応用可能性があることが明らかであろう。
【0014】
本明細書で使用されているように、及び表面計測技術分野において一般的に使用されているように、用語「表面粗さ」(本明細書では、同義的に「粗さ」とも呼ばれる)は、一般的に、名目基線値からの表面高さ、多くの場合は局所平均表面高さの高頻度偏差の統計的表現を指す。当技術分野で周知のように、多くの様々なパラメータを使用して、所与の表面の粗さを記述することができるが、これらパラメータの各々には、長所及び短所がある。絶対値の算術平均の粗さ(R
a)及び二乗平均平方根の粗さ(R
q)等の粗さ特徴パラメータは、そのような測定が、表面の粗さ特徴の最も有用な記述を必ずしも提供するとは限らないが、標準的なプロフィロメトリー装置を使用して容易に測定され、容易に算出されるため、一般的に使用されるパラメータである。米国機械学会(ASME)の基準B46.1には、上述のものを含む、幾つかの異なる粗さ特徴パラメータを測定及び算出するための手順が提供されている。他のタイプの粗さ測定としては、国際標準化機構が発行しているISO25178に記載されているような、ある面積にわたって算出されるパラメータが挙げられる。更なる他のパラメータが知られており、文献に記載されている。
【0015】
本明細書の目的では、「表面粗さ」(及び、それと同義の略語「粗さ」)は、これらパラメータのいずれか1以上を含むと理解されるだろう。その場合、本明細書の記載に従って処理された物品の目的表面は、本方法に供される前の「初期粗さ」、及び本方法に供された後の「処理粗さ」を有する。1つの実施形態では、粗さパラメータは、R
a等の粗さ特徴パラメータである。例えば、幾つかの実施形態では、物品の表面は、約200マイクロインチ以上(5μm)R
aの初期粗さを有する。
【0016】
本記載の方法の実施形態では、物品の表面は、まず、基材の表面にニッケル富化領域を配置し、その後、ニッケル富化領域をアルミニウムで富化して、アルミナイズ処理領域を形成し、最後に、アルミナイズ処理領域の少なくとも一部を除去して、基材の処理表面を形成することにより、改変される。この材料を除去すると、表面の粗さは、比較的高い初期粗さ値から比較的低い処理粗さ値へと低減される。幾つかの実施形態では、処理粗さは、初期粗さの約95%未満である。更に、本明細書に記載の一連のステップは、基材表面粗さの更なる低減を達成するために、1回又は複数回繰り返すことができる。
【0017】
アルミナイズ処理領域の厚さは、表面粗さの所望の低減を達成するために除去する必要がある物質の量と、少なくとも同等であるはずである。下記でより詳細に考察されることになるように、50μm超等の、アルミナイズ処理領域の相当程度の厚さを達成することは、相当量のコバルトを含む材料等の、ある基材材料の場合、非常に困難であり得る。本明細書に記載の技術は、部分的に、十分なアルミナイズ処理領域の厚さを達成して、粗表面の望ましい平滑化をもたらすという、本課題に取り組むものである。
【0018】
本明細書で使用される場合、「表面」は、物品の周囲環境に接している物品の任意の部分を構成し、用語「基材」は、表面に下にある材料を包含する。ここで、例示的な物品100の断面図である
図1を参照すると、物品100に関する「表面」という用語は、外部表面102、104、106、108だけでなく、物品100内に配置されている内部チャネル112の壁110等の内部表面も包含する。したがって、1つの特定の例では、配置ステップは、内部チャネル112の表面にニッケル増強領域を配置することを含み、改変しようとする表面は、チャネル壁110を含む。基材101は、本記載の技術に従って処理しようとする任意の表面、つまり外部表面(表面102等)又は内部表面110の下にある、ある量の材料である。
【0019】
幾つかの実施形態では、物品、例えば基材101の少なくとも一部は、積層造形材料、すなわち積層造形技術により配置された材料を含む。典型的な積層造形法は、材料を精密に配置して(液体をマイクロペンで配置してから硬化させること等により)、又は材料を選択的に局所的に高密度化して(レーザー又は他の高度集束形態のエネルギーを使用して、粉末を選択的に融解及び硬化又は焼結すること等により)、一緒になると立体構造品を形成する一連の薄い断面スライス又は層を形成することを含む。層形成は、一般的に、三次元空間における物品の内部表面及び外部表面の位置及び寸法が記述されているコンピュータモデル又は他の設計モデルに従って実施される。1つの特定の例は、当技術分野では直接金属レーザー溶解(DMLM)と呼ばれるプロセスである。DMLMプロセスは、レーザーを使用して、粉末開始材料を層毎に融解及び硬化させて、三次元物体にすることを含む。したがって、「積層造形材料」は、焼結操作、又は金属材料が関与するほとんどの場合、積層造形プロセスに伴う融解及び硬化操作により共に接合されている、以前は粉末粒子だったものの一連の層を含む材料であると特定されることが多い。
【0020】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、積層造形ステップとを含むプロセスにより基材101を形成することを含む。基材101は、1以上の積層造形プロセスを使用して形成した場合、例えば、融解が不完全な金属粉末が含まれることに起因する、並びに夾雑物、残渣、酸化、貯留融解物の不安定性、及びこれら種々のプロセスのいずれかの副産物として生じる場合がある他の望ましくない機序に起因する著しい表面粗さを有する場合がある。
【0021】
幾つかの実施形態では、物品は、タービンアセンブリの部品である。そのような部品の例としては、ローターブレード及びステータベーン等の翼形部部分を含む部品が挙げられる。他の例としては、シャフト、シュラウド、ファン部品、コンプレッサ部品、及び燃焼部品が挙げられる。種々のタービンアセンブリ部品は、例えば、冷却エア、又は別の例として冷却材もしくは燃料等の液体を含む流体の流れを容易にするための内部チャネル112を含むことが多い。したがって、本明細書に記載の技術は、そのような部品に又はそのような部品内にある、外部表面、内部表面、又はそれら両方に応用することができる。
【0022】
基材101は、典型的には、これらに限定されないが、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、又はそれらの1以上を含む任意の組合せ等の金属を含む。ニッケル富化領域を配置する前に、基材101は、初期組成を有する。1つの実施形態では、基材101のこの初期組成は、50重量%以上のコバルトを含む。コバルトを多く含む金属組成物は、アルミナイドの厚い層(50μmを超える厚さを有する層等)でコーティングすることが比較的困難であることが多い。これは、コバルトアルミナイド内のコバルトの拡散速度が比較的遅いことに部分的に関連する種々の問題があるためである。まず処理しようとする表面をニッケルで富化することにより、アルミナイド等のアルミニウム富化化合物の形成が十分に容易となり、実際的な処理条件下での厚層の形成を可能にすることができる。本明細書に記載の技術から利益を得ることができるコバルト含有合金の例としては、これらに限定されないが、ASTM F75、Stellite(登録商標)21、Alloy L−605、MAR−M(登録商標)509、FSX−414、X−40、MULTIMET(登録商標)、及びHaynes(登録商標)188等の、25重量%未満のニッケルを含むコバルト含有合金が挙げられる。この効果は、特にコバルト含有基材に有利であるが、その後のアルミナイズ処理を容易にするニッケル富化領域の存在がもたらす有益性は、そのような基材材料に限定されない。
【0023】
ある特定の実施形態では、基材101の初期組成は、コバルト及びクロムを含む合金を含む。そのような合金の一例は、約26重量%から約30重量%までのクロム、及び約4重量%から約7重量%までのモリブデンを含み、残部がコバルトを含む合金を含む。他の添加元素も同様に存在していてもよい。この例示的な合金は、幾つかの金属部品の積層造形での使用にある程度の成功をおさめている。基材101の初期組成に有用な合金の他の例としては、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、及び鉄基超合金、及び相当量のニッケル、コバルト、及び/又は鉄を含有する他の高温合金が挙げられる。合金は、本明細書に記載の種々のステップの実施により、例えば、材料を融解又は部分的に融解すること等により、基材材料の特性が修復不能なまでに損なわれない場合、本明細書の目的では「高温」とみなされる。
【0024】
ここで
図2を参照すると、ニッケル富化領域202が、基材101の表面204に配置されている。表面204は、上述のように、基材101のいかなる外部表面又は内部表面であってもよい。ニッケル富化領域202の範囲は、基材101の初期組成よりも高いニッケル濃度を有する領域と規定される。ニッケル富化領域202を配置するために使用されるプロセスが、基材101の断面の厚さの全体にわたってニッケルを拡散するのに不十分な時間及び温度の組合せで実施されると、基材101の初期組成を保持する、基材101の未反応バルク部分206が存在する場合がある。その一方で、プロセスを十分な時間及び温度で実施すると、基材101の厚さ全体にわたってニッケル濃度をある程度まで富化することができ、そのような場合、富化領域202は、基材101の断面の厚さ全体を包含し、したがって未反応バルク部分206は存在しない。
【0025】
種々のプロセスを使用して、ニッケル増強領域202を配置することができる。例えば、物理蒸着法(例えば、蒸発、イオンめっき堆積、及びスパッタリング等)及び化学蒸着法等の技術を含む気相堆積技術を応用することができる。これら技術は、堆積させようとする材料と基材101に由来する元素との間の少なくともある程度の相互拡散が可能になる高温において応用することができる。応用することができる他の技術としては、無電解めっきプロセス及び/又は電気めっきプロセス、並びにスラリーに基づく堆積プロセスが挙げられる。また、種々の堆積プロセスの組合せを応用することができる。
【0026】
配置ステップにより形成されるニッケル増強領域の厚さ(t)は、一般的には、その後のアルミナイズ処理領域に十分な厚さを提供して、アルミナイズ処理領域の除去時に所望のレベルの粗さ低減もたらすように選択される。幾つかの実施形態では、ニッケル増強領域は、厚さが約50μm以上である。他の実施形態では、ニッケル増強領域は、厚さが50μm未満であるが、下述のように、その後の熱処理ステップでは、十分なニッケルがニッケル増強領域から基材101へと拡散して、表面204下の望ましい深さまでのその後のアルミナイズ処理が容易になる。十分な量のニッケルが拡散してアルミナイズ処理を適切に容易にする深さは、典型的には50μm以上であり、典型的には、処理しようとする表面204の粗さに基づいて選択される。典型的には、比較的粗い表面の場合は、より大きな深さが選択され、比較的平滑な表面の場合は、より小さな深さを選択することができる。
【0027】
基材を熱処理して、基材内に拡散帯を形成する。すなわち、ニッケルは、ニッケル富化領域から基材へと拡散する。上述のように、この熱処理ステップは、少なくとも部分的には、多くの物理蒸着法及び化学蒸着法による場合と同様に、堆積プロセスが高温度を伴う等の場合、ニッケル増強領域の堆積と同時に実施してもよい。電気めっき及び無電解めっき等の他のプロセスは、基材への著しい拡散を活性化するに至らない温度にてニッケル含有金属を表面204に堆積させることを含み、したがって、熱処理は、ニッケルを基材101へと拡散させて、ニッケル富化領域を基材101とより良好に結合させ、基材のニッケル含有量を増強させることができる深さを増加させ、つまりニッケル増強領域のサイズを増加させるのに有用である。
【0028】
熱処理温度及び熱処理時間は、ニッケルを基材へと拡散させるように選択される。有効な拡散プロセスに望ましいレベルの熱活性化を提供するためには、温度は、典型的には約1000℃以上である。温度を維持する時間は、典型的には1時間を超えるが、無論、より低い温度では、より高い温度よりも、材料を所定の距離にわたって移動させるのにより長い時間が必要である。例示的な実施形態では、熱処理ステップは、基材を、約8時間にわたって約1100℃の温度に加熱することを含む。
【0029】
ある実施形態では、熱処理ステップは、ニッケルが基材へと拡散すると共に形成される、当技術分野ではカーケンドールボイドと呼ばれることが多い拡散主導性のボイド形成を防止又は閉鎖するために、大気圧よりも高い圧力で実施される。例えば、幾つかの実施形態では、本方法は、熱間等静圧圧縮成形(HIP)することを更に含む。HIPステップは、熱処理とは別々に実施してもよく、又はHIPステップの温度及び時間は、追加の熱処理ステップとしての役目を果たすように選択してもよい。HIPステップで使用される圧力レベルは、典型的には、1000℃を超える温度にて、このステップの目標(つまり、所望の程度に多孔性を閉鎖すること、材料を所望の深さに拡散させること等)を達成するのに十分な時間にわたって、10ksi(約70MPa)超である。例示的な実施形態では、HIPステップは、1200℃の温度及び15ksi(約103MPa)の圧力で約4時間、基材をプレスすることを含む。
【0030】
本発明の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ニッケル増強領域の1以上の部分をアルミニウムで富化して、アルミナイズ処理領域を形成することを含む。アルミナイズ処理領域は、本明細書の目的では、基材の初期組成のアルミニウム濃度よりも高いアルミニウム濃度を含有する領域を意味すると規定される。用語「アルミナイズ処理」は、本明細書で使用される場合、基材の表面又は表面付近にアルミニウム含有材料の形成をもたらすあらゆるプロセスを包含する。で示したように、ニッケル増強領域の堆積及び基材へのニッケルの拡散により、基材が相当濃度のコバルトを含む等、基材の初期組成よりもアルミナイズ処理しやすい場合がある基材の表面に及び表面付近に材料組成物が形成される。基材にアルミニウム含有コーティングを形成するための種々の周知の方法はいずれも、この富化ステップでの使用に好適であり得る。例えば、気相アルミナイズ法(VPA)は、高温合金の表面をアルミニウムで富化するために当技術分野で一般に使用される種類のプロセスである。VPAプロセスでは、基材表面の金属と反応して、アルミニウム、又はより一般的には、ニッケルアルミナイド等の金属間化合物を形成する、高温のアルミニウム塩等の、アルミニウムのガス供給源が使用される。アルミナイズ処理の他のプロセスとしては、アルミニウム含有スラリーを基材表面にコーティングし、その後加熱して、スラリー中のアルミニウムを基材の表面と反応させ、アルミナイド材料を形成する、スラリーに基づくプロセスが挙げられる。他のプロセスとしては、スパッタリング又は蒸発等により、アルミニウム又はアルミニウム富化層を基材の表面に堆積させ、その後加熱処理してアルミニウムを基材へと拡散させ、その際にアルミニウムが、基材材料と反応してアルミナイドが形成されるものが挙げられる。幾つかの実施形態では、ニッケル増強領域にアルミニウム含有材料を配置するために使用される方法又は方法の組合せに関わらず、領域のアルミニウム富化は、加熱処理して、ニッケル増強領域内にアルミニウムを拡散及び/又は反応させることを含む。
【0031】
1以上のアルミナイド相が、アルミナイズ処理ステップ中に形成されてもよい。例えば、アルミニウム活性が比較的高い表面204付近にはNiAlの層が形成され、アルミニウム活性が比較的より低い表面204の更に下方の領域には、Ni
3Alの層が形成される場合がある。無論、アルミナイズ処理中に形成されるアルミナイド相を記載するために本明細書で示される式は、名目上の組成であり、当業者であれば、アルミナイド相には、限定ではないがコバルト等の、基材材料に存在する少量の他の要素も含まれていてもよいことが理解されるだろう。例示的な実施形態では、富化ステップは、深さが、ニッケル増強領域の厚さ合計の80%以上であるアルミナイド相を形成することを含む。例えば、1つの実施形態では、増強ステップ中に、表面下40μm以上の深さでニッケル含有アルミナイド相が基材内に形成され、幾つかの実施形態では、この深さは、約50μm以上である。上述のように、比較的より深いアルミナイズ処理は、通常、比較的よりも粗い表面の処理に望ましい。
【0032】
アルミナイズ処理領域の形成後、その領域の少なくとも一部が、除去される。典型的には、除去は、アルミナイド材料は優先的に除去されるが、アルミナイズ処理領域下の基材材料が実質的無傷で残るように実施される。このようにして、表面の凸凹を除去又は凸凹の大きさを相当程度低減することができ、初期表面粗さの値未満の処理表面粗さを有する処理表面(つまり、アルミナイズ処理領域を除去して形成した基材の表面)がもたらされる。特定の実施形態では、実質的に全てのアルミナイズ処理領域が除去される。
【0033】
アルミナイズ処理領域からの材料除去は、金属基材からアルミナイドコーティングを除去するために使用される種々の周知のプロセスのいずれを使用して実施してもよい。化学ストリップ法が、当技術分野で利用可能であり、幾つかの実施形態で使用することができる。例えば、同一出願人によるKoolらの米国特許第6833328号明細書に開示されている酸性ストリップ溶液は、式H
xAF
6の酸及び/又はその前駆体を含有する水溶液であり、式中Aは、ケイ素、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、又はガリウムであり、xは1〜6の値を有する。Koolらが教示するストリップ溶液は、硝酸、リン酸等のリン含有化合物、塩酸等の鉱酸等の、1以上の追加の酸を更に含有していてもよい。同一出願人による米国特許第6599416号明細書、第6758914号明細書、第6793738号明細書、第6863738号明細書、及び第6953533号明細書に教示されているように、Koolらの酸性溶液は、これらコーティングの下にある基材を著しくは攻撃せずに、拡散アルミナイドを含む様々なコーティング組成物の除去に効果的である。基材からアルミナイドコーティングを除去するための他の化学薬品及びプロセスが、当技術分野で知られており、本除去ステップでの使用に好適であり得る。例えば、米国特許第6494960号明細書、第7270764号明細書、及び第4425185号明細書を参照されたい。同様に、電気化学的プロセスが当技術分野で知られており、幾つかの実施形態で使用することができる。例示的なプロセスは、例えば、米国特許第6969457号明細書及び米国特許第6352636号明細書に記載されている。
【0034】
本明細書で提供される技術を更に例示するために示される特定の実施形態では、表面の粗さを低減するための方法は、基材の表面にニッケル富化領域を配置ステップであって、ニッケル富化領域が、基材の初期組成よりも高いニッケル濃度を有し、表面が、初期表面粗さを有し、初期表面粗さが、約200マイクロインチ以上(約5μm)の算術平均粗さ(R
a)であるステップと、基材を加熱して、基材内に拡散帯を形成するステップと、ニッケル富化領域の少なくとも一部をアルミニウムで富化して、アルミナイズ処理領域を形成するステップと、及びアルミナイズ処理領域の少なくとも一部を除去して、基材の処理表面を形成することを含み、除去ステップの後、処理表面は、初期粗さ未満の処理粗さを有する。上述のように、基材は、幾つかの実施形態では50重量%以上のコバルトを含み、処理表面粗さは、幾つかの実施形態では、初期表面粗さの約95%未満である。更に、上述の一連のステップは、基材表面粗さの更なる低減を達成するために、1回又は複数回繰り返すことができる。
【実施例】
【0035】
以下の例は、本発明の非限定的な実施形態を更に例示するために示されている。
【0036】
名目組成Co−28Cr−6Moの試料基材をDMLMで製作した。この部品の表面を、市販のめっき浴組成物を使用して、厚さがおよそ60μmになるようにニッケルで電気めっきした。第2の表面にはめっきしなかった。その後、試料を、1100℃で8時間加熱処理して、ニッケルを基材に拡散させた。その後、この部品を標準的な気相アルミナイズ(VPA)プロセスにかけ、その後、試料を、1200℃の温度にて4時間、約15ksi(約103MPa)で熱間等静圧圧縮成形(HIP)にかけた。ニッケルでめっきした表面は、50μmを超えるアルミナイド層を示したが、めっきしていない表面は、10μm未満のアルミナイドを示した。アルミナイズ処理層を化学的にストリップすると、Niめっき表面の表面粗さは、50%を超えて低減された。
【0037】
本発明のある特徴のみが、本明細書に例示及び記載されているが、当業者であれば、多くの改変及び変更を思い付くだろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神内に入るそのような改変及び変更を全て包含することが意図されている。
[実施態様1]
物品(100)の表面(204)を改変するための方法であって、
基材(101)の表面(204)にニッケル富化領域(202)を配置するステップであって、基材(101)が、配置ステップ前の初期組成を有し、表面(204)が、初期粗さを有し、ニッケル富化領域(202)が、基材(101)の初期組成よりも高いニッケル濃度を有するステップと、
基材(101)を加熱処理して、基材(101)内に拡散帯を形成するステップと、
ニッケル富化領域(202)の少なくとも一部をアルミニウムで富化して、アルミナイズ処理領域を形成するステップと、
アルミナイズ処理領域の少なくとも一部を除去して、基材(101)の処理表面を形成するステップとを含んでいて、除去ステップ後の処理表面が初期粗さ未満の処理表面粗さを有する、方法。
[実施態様2]
除去が、化学的又は電気化学的に材料を除去することを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
処理表面粗さが、初期表面粗さの約95%未満である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様4]
表面(204)が、配置ステップの前に、約200マイクロインチ以上の算術平均粗さ(R
a)を有する、実施態様1に記載の方法。
[実施態様5]
配置が、約50μm以上の厚さを有するニッケル富化領域(202)を配置することを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様6]
配置が、化学蒸着法、物理蒸着法、スラリーに基づく堆積法、無電解めっき法、電気めっき法又はこれらの1以上を含む組合せを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様7]
基材(101)が、コバルト、ニッケル、鉄又はこれらの1種以上を含む組合せを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様8]
基材(101)の初期組成が、50重量%以上のコバルトを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様9]
基材(101)の初期組成が、コバルト及びクロムを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様10]
基材(101)が、積層造形材料を含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様11]
表面(204)が、基材(101)の内部表面(110)である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様12]
熱処理が、約100℃以上の温度で実施される、実施態様1に記載の方法。
[実施態様13]
物品(100)を静水圧プレスすることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様14]
富化が、気相アルミナイズ、スラリーアルミナイズ又はこれらの1以上を含む組合せを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様15]
配置ステップ、熱処理ステップ、富化ステップ、及び除去ステップとを含むステップシーケンスを1回以上繰り返すことを更に含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様16]
初期組成が、最大25重量%のニッケルを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様17]
表面(204)の粗さを低減するための方法であって、
基材(101)の表面(204)にニッケル富化領域(202)を配置し、ニッケル富化領域(202)が、基材(101)の初期組成よりも高いニッケル濃度を有し、表面(204)が初期表面粗さを有し、初期表面粗さが、約200マイクロインチ以上の算術平均粗さ(R
a)であること、
基材(101)を加熱処理して、基材(101)内に拡散帯を形成するステップと、
ニッケル富化領域(202)の少なくとも一部をアルミニウムで富化して、アルミナイズ処理領域を形成するステップと、
アルミナイズ処理領域の少なくとも一部を除去して、基材(101)の処理表面を形成するステップとを含み、除去ステップの後、表面(204)が、初期粗さ未満の処理表面粗さを有する方法。
[実施態様18]
基材(101)の初期組成が、50重量%以上のコバルトを含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様19]
配置ステップ、熱処理ステップ、富化ステップ、及び除去ステップとを含むステップシーケンスを1回以上繰り返すことを更に含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様20]
基材(101)の処理表面が、初期表面粗さの約95%未満の処理表面粗さを有する、請求項15に記載の方法。
【符号の説明】
【0038】
100 物品
101 基材
102 外部表面
104 外部表面
106 外部表面
108 外部表面
110 チャネル壁、内部表面
112 内部チャネル
202 ニッケル富化領域、ニッケル増強領域
204 表面
206 未反応バルク部分
t 厚さ