特許第6378839号(P6378839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6378839部品実装装置および部品実装装置における部品実装判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378839
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装装置における部品実装判定方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20180813BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H05K13/08 Q
   H05K13/04 A
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-524258(P2017-524258)
(86)(22)【出願日】2015年6月19日
(86)【国際出願番号】JP2015067707
(87)【国際公開番号】WO2016203639
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】高間 和志
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−167300(JP,A)
【文献】 特開平06−045796(JP,A)
【文献】 特開平05−198999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30,13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(P)における実装位置(Pa)に部品(31)を実装する実装ヘッド(42)と、
撮像方向が互いに異なる複数の視野(V1、V2)により前記実装位置を撮像可能な撮像ユニット(8)と、
前記実装位置周辺の遮蔽物(Sa〜Sd)の状態に応じて、前記複数の視野のうちから、前記部品が前記実装位置に実装されたか否かの成否判定に用いる成否判定用視野を選択する制御部(9)と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記実装位置周辺の前記遮蔽物の状態に応じて、前記遮蔽物による前記複数の視野の各々の遮蔽度合を取得するとともに、取得された前記複数の視野の各々の遮蔽度合に基づいて、前記複数の視野のうちから、前記成否判定用視野を選択するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記遮蔽度合は、前記部品の全体の大きさに対する前記遮蔽物により遮蔽される前記部品の遮蔽部分の大きさの割合である遮蔽割合を含み、
前記制御部は、前記複数の視野の各々の遮蔽割合に基づいて、前記複数の視野のうちから、前記成否判定用視野を選択するように構成されている、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記実装位置周辺の遮蔽物は、前記実装ヘッドに吸着されている実装前の前記部品(Sa)、前記実装位置周辺において前記基板に実装されている前記部品(Sb)、および前記部品を吸着した前記実装ヘッド(Sc、Sd)の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項5】
撮像方向が互いに異なる前記複数の視野は、前記基板の前記部品が実装される基板面(Pb)に対してそれぞれの撮像方向が互いに異なる傾き角度となるように配置されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
撮像方向が互いに異なる前記複数の視野は、前記基板面に対する鉛直面内において隣接して配置されている、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記撮像ユニットは、
前記実装位置を撮像する撮像部(81)と、
前記撮像部の視野を、撮像方向が互いに異なる前記複数の視野に分割する第1光学系(83)と、を含む、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記実装ヘッドは、複数設けられており、
前記撮像ユニットの前記第1光学系は、複数の前記実装ヘッドに対応するように複数設けられており、
前記撮像ユニットは、前記撮像部の視野を、複数の前記第1光学系の各々に向けて分割する第2光学系(82)をさらに含む、請求項7に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記撮像ユニットから前記複数の視野による各々の撮像画像を取得するとともに、前記実装位置周辺の遮蔽物の状態に応じて、取得された前記複数の視野による各々の撮像画像のうちから、前記成否判定用視野による撮像画像を選択するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記実装位置周辺の遮蔽物の状態に加えて、前記実装位置に実装される前記部品の種類または前記実装位置周辺の前記部品の背景の少なくともいずれかにも応じて、前記複数の視野のうちから、前記成否判定用視野を選択するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項11】
前記撮像ユニットは、前記複数の視野の各々により、前記部品の実装前の前記実装位置と前記部品の実装後の前記実装位置とを撮像するように構成されており、
前記制御部は、前記複数の視野の各々による撮像画像のうちから選択された前記成否判定用視野による前記部品の実装前の前記実装位置の撮像画像、および実装後の前記実装位置の撮像画像に基づいて、前記成否判定を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記複数の視野の各々による前記実装位置の撮像画像に基づいて、基準面(Ps)に対する前記基板の基板面(Pa)の高さを取得するとともに、取得された前記基板面の高さに基づいて、前記成否判定用視野による撮像画像のうち成否判定に用いる判定領域を補正するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項13】
基板(P)における実装位置(Pa)に部品(31)を実装ヘッド(42)により実装するステップと、
撮像方向が互いに異なる複数の視野(V1、V2)により前記実装位置を撮像ユニット(8)により撮像するステップと、
前記実装位置周辺の遮蔽物(Sa〜Sd)の状態に応じて、前記複数の視野のうちから、前記部品が前記実装位置に実装されたか否かの成否判定に用いる成否判定用視野を制御部(9)により選択するステップと、を備える、部品実装装置における部品実装判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置およびこの部品実装装置における部品実装判定方法に関し、特に、基板における部品の実装位置を撮像可能な部品実装装置およびこの部品実装装置における部品実装判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板における部品の実装位置を撮像可能な部品実装装置が知られている。このような部品実装装置は、たとえば、特開2014−93390号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2014−93390号公報には、電子部品を吸着し、吸着された電子部品を基板に実装する吸着ノズルと、吸着ノズルにより基板に実装される電子部品の基板における実装位置を撮像するカメラと、カメラにより撮像された実装位置の画像に基づいて、電子部品が正常に実装位置に実装されたか否かを検査(判定)する制御部と、を備える電子部品実装装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−93390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特開2014−93390号公報の電子部品実装装置では、基板の実装位置周辺に、背の高い他の電子部品などの遮蔽物が存在する場合には、遮蔽物によりカメラの視野が遮蔽され、実装位置を正確に撮像することができないと考えられる。この場合、電子部品が実装位置に実装されたか否かを安定して判定することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品が実装位置に実装されたか否かを安定して判定することが可能な部品実装装置および部品実装装置における部品実装判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品実装装置は、基板における実装位置に部品を実装する実装ヘッドと、撮像方向が互いに異なる複数の視野により実装位置を撮像可能な撮像ユニットと、実装位置周辺の遮蔽物の状態に応じて、複数の視野のうちから、部品が実装位置に実装されたか否かの成否判定に用いる成否判定用視野を選択する制御部と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように制御部を構成することにより、遮蔽物に起因して一の視野により実装位置を正確に撮像できなかったとしても、複数の視野のうち一の視野よりも遮蔽物による遮蔽の影響が少ない他の視野を成否判定用視野として制御部により選択することができる。その結果、遮蔽物による遮蔽の影響がより少ない視野での撮像結果に基づいて成否判定を行うことができるので、部品が実装位置に実装されたか否かを安定して判定することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装位置周辺の遮蔽物の状態に応じて、遮蔽物による複数の視野の各々の遮蔽度合を取得するとともに、取得された複数の視野の各々の遮蔽度合に基づいて、複数の視野のうちから、成否判定用視野を選択するように構成されている。なお、本発明において、遮蔽度合とは、複数の視野が遮蔽物により遮蔽される領域の大きさや遮蔽物により遮蔽される領域の割合などを含む広い概念である。このように構成すれば、複数の視野のうち一の視野よりも遮蔽物による遮蔽の影響が少ない他の視野を成否判定用視野としてより確実に選択することができる。その結果、部品が実装位置に実装されたか否かをより安定して判定することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、遮蔽度合は、部品の全体の大きさに対する遮蔽物により遮蔽される部品の遮蔽部分の大きさの割合である遮蔽割合を含み、制御部は、複数の視野の各々の遮蔽割合に基づいて、複数の視野のうちから、成否判定用視野を選択するように構成されている。このように構成すれば、遮蔽部分の大きさのみに基づいて成否判定用視野を選択する場合と異なり、通常部品の種類毎に異なる部品の全体の大きさも考慮して成否判定用視野を選択することができる。その結果、遮蔽物による遮蔽の影響をより適切に評価することができるので、遮蔽物による遮蔽の影響が少ない成否判定用視野をより確実に選択することができる。
【0011】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、実装位置周辺の遮蔽物は、実装ヘッドに吸着されている実装前の部品、実装位置周辺において基板に実装されている部品、および部品を吸着した実装ヘッドの少なくともいずれかを含む。このように構成すれば、視野を遮蔽する遮蔽物となり易い実装ヘッドに吸着されている実装前の部品、実装位置周辺において基板に実装されている部品、または部品を吸着した実装ヘッドの状態に応じて、成否判定用視野を制御部により選択することができる。その結果、複数の視野のうちから遮蔽物により遮蔽の影響が少ない視野を成否判定用視野として制御部により確実に選択することができる。
【0012】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、撮像方向が互いに異なる複数の視野は、基板の部品が実装される基板面に対してそれぞれの撮像方向が互いに異なる傾き角度となるように配置されている。このように構成すれば、異なる傾き角度から実装位置を撮像することができるので、複数の視野のうちに遮蔽物による遮蔽の影響が少ない視野を容易に設けることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、撮像方向が互いに異なる複数の視野は、基板面に対する鉛直面内において隣接して配置されている。このように構成すれば、複数の視野が基板面に対して平行な方向に離間して配置される場合と比べて、複数の視野をコンパクトに配置することができる。その結果、撮像ユニットが大型化するのを抑制しつつ、複数の視野のうちに遮蔽物による遮蔽の影響が少ない視野を容易に設けることができる。
【0014】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、撮像ユニットは、実装位置を撮像する撮像部と、撮像部の視野を、撮像方向が互いに異なる複数の視野に分割する第1光学系と、を含む。このように構成すれば、複数の撮像部を用いて複数の視野を撮像する場合と異なり、単一の撮像部を用いて複数の視野を撮像することができる。その結果、撮像ユニットの撮像部の構成が複雑化するのを抑制しつつ、複数の視野を撮像することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、実装ヘッドは、複数設けられており、撮像ユニットの第1光学系は、複数の実装ヘッドに対応するように複数設けられており、撮像ユニットは、撮像部の視野を、複数の第1光学系の各々に向けて分割する第2光学系、をさらに含む。このように構成すれば、複数の撮像部を用いて実装ヘッド毎に複数の視野を撮像する場合と異なり、単一の撮像部を用いて実装ヘッド毎に複数の視野を撮像することができる。その結果、撮像ユニットの撮像部の構成が複雑化するのを抑制しつつ、実装ヘッド毎に複数の視野を撮像することができる。
【0016】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、撮像ユニットから複数の視野による各々の撮像画像を取得するとともに、実装位置周辺の遮蔽物の状態に応じて、取得された複数の視野による各々の撮像画像のうちから、成否判定用視野による撮像画像を選択するように構成されている。このように構成すれば、複数の視野のうち一の視野よりも遮蔽物による遮蔽の影響が少ない他の視野を成否判定用視野として制御部により容易に選択することができるので、部品が実装位置に実装されたか否かを容易に安定して判定することができる。
【0017】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装位置周辺の遮蔽物の状態に加えて、実装位置に実装される部品の種類または実装位置周辺の部品の背景の少なくともいずれかにも応じて、複数の視野のうちから、成否判定用視野を選択するように構成されている。このように構成すれば、実装位置に実装される部品の種類または実装位置周辺の背景の少なくともいずれかも考慮して成否判定用視野を選択できるので、遮蔽物による遮蔽の影響が少なくかつ部品の特徴点をより多く撮像可能な視野を容易に選択することができる。
【0018】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、撮像ユニットは、複数の視野の各々により、部品の実装前の実装位置と部品の実装後の実装位置とを撮像するように構成されており、制御部は、複数の視野の各々による撮像画像のうちから選択された成否判定用視野による部品の実装前の実装位置の撮像画像、および実装後の実装位置の撮像画像に基づいて、成否判定を行うように構成されている。このように構成すれば、選択された成否判定用視野による部品の実装前および実装後のそれぞれの実装位置の撮像画像に基づいて、成否判定を制御部により容易に行うことができる。
【0019】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、複数の視野の各々による実装位置の撮像画像に基づいて、基準面に対する基板の基板面の高さを取得するとともに、取得された基板面の高さに基づいて、成否判定用視野による撮像画像のうち成否判定に用いる判定領域を補正するように構成されている。このように構成すれば、たとえば基板の反りにより基準面に対する基板の基板面の高さが変化することによって、判定領域に対して実装位置が位置ずれするような場合にも、制御部により判定領域が補正されるので、適切に成否判定を行うことができる。
【0020】
この発明の第2の局面による部品実装装置における部品実装判定方法は、基板における実装位置に部品を実装ヘッドにより実装するステップと、撮像方向が互いに異なる複数の視野により実装位置を撮像ユニットにより撮像するステップと、実装位置周辺の遮蔽物の状態に応じて、複数の視野のうちから、部品が実装位置に実装されたか否かの成否判定に用いる成否判定用視野を制御部により選択するステップと、を備える。
【0021】
この発明の第2の局面による部品実装装置における部品実装判定方法では、上記のような制御部によるステップを設けることにより、上記第1の局面による部品実装装置の場合と同様に、部品が実装位置に実装されたか否かを安定して判定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記のように、部品が実装位置に実装されたか否かを安定して判定することが可能な部品実装装置および部品実装装置における部品実装判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態による部品実装装置の全体構成を示した図である。
図2】本発明の実施形態による部品実装装置のヘッドユニットおよび撮像ユニットを側方から見た模式図である。
図3】本発明の実施形態による部品実装装置の撮像ユニットの全体構成を説明するための模式的な斜視図である。
図4】本発明の実施形態による部品実装装置の撮像ユニットによる部品の実装前の撮像の状態と部品の実装後の撮像の状態とを説明するための図である。
図5】本発明の実施形態による部品実装装置の撮像ユニットの第1視野と第2視野とにより撮像される撮像画像を説明するための図である。
図6】本発明の実施形態による部品実装装置における成否判定用視野を選択するために算出される吸着部品遮蔽割合の算出方法を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態による部品実装装置における成否判定用視野を選択するために算出される手前部品遮蔽割合の算出方法を説明するための図である。
図8】本発明の実施形態による部品実装装置における成否判定用視野を選択するために算出されるノズル遮蔽割合の算出方法を説明するための図である。
図9】本発明の実施形態による部品実装装置における成否判定用視野を選択するために算出されるノズル遮蔽割合の算出方法の他の例を説明するための図である。
図10】本発明の実施形態による部品実装装置における補正前の判定枠の状態と補正後の判定枠の状態とを説明するための図である。
図11】本発明の実施形態による部品実装装置における判定枠を補正するために算出される基板面高さのステレオマッチングによる算出方法を説明するための図である。
図12】本発明の実施形態による部品実装装置の実装成否判定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
[本実施形態]
(部品実装装置の構成)
まず、図1および図2を参照して、本発明の本実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板PをX1側からX2側に搬送し、実装作業位置Mにおいて基板Pに部品31を実装する部品実装装置である。
【0027】
部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、支持部5と、一対のレール部6と、部品認識カメラ7と、撮像ユニット8と、制御部9とを備えている。
【0028】
一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板PをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2は、搬送中の基板Pを実装作業位置Mで停止させた状態で保持するように構成されている。また、一対のコンベア2は、基板Pの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0029】
部品供給部3は、一対のコンベア2の両外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ3aが装着されている。
【0030】
テープフィーダ3aは、複数の部品31を所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き付けられたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ3aは、リールを回転させて部品31を保持するテープを送出することにより、テープフィーダ3aの先端から部品31を供給するように構成されている。ここで、部品31は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品を示す概念である。
【0031】
ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3の上方位置に配置されており、ノズル41(図2参照)を下端に含む複数(5つ)の実装ヘッド42と、基板認識カメラ43とを含んでいる。
【0032】
実装ヘッド42は、昇降可能に構成され、負圧発生機(図示せず)によりノズル41の先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ3aから供給される部品31を吸着して保持し、基板Pにおける実装位置Pa(図2参照)に搭載(実装)するように構成されている。
【0033】
基板認識カメラ43は、基板Pの位置を認識するために、基板PのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Pにおける部品31の実装位置Paを正確に取得することが可能である。
【0034】
支持部5は、モータ51を含んでいる。支持部5は、モータ51を駆動させることにより、支持部5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。支持部5は、両端部が一対のレール部6により支持されている。
【0035】
一対のレール部6は、基台1上に固定されている。X1側のレール部6は、モータ61を含んでいる。レール部6は、モータ61を駆動させることにより、支持部5を一対のレール部6に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が支持部5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部5がレール部6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4はXY方向に移動可能である。
【0036】
部品認識カメラ7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識カメラ7は、部品31の実装に先立って部品31の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31の吸着状態を制御部9により取得することが可能である。
【0037】
撮像ユニット8は、撮像ユニット支持部8aによりヘッドユニット4に取り付けられている。これにより、撮像ユニット8は、ヘッドユニット4がXY方向に移動することにより、ヘッドユニット4と共にXY方向に移動するように構成されている。また、図2に示すように、撮像ユニット8は、部品31が実装位置Paに正常に実装されたか否かの成否判定を行うために、撮像方向が互いに異なる第1視野V1と第2視野V2との2つの視野により実装位置Paを撮像するように構成されている。第1視野V1および第2視野V2は、それぞれ、実装位置Paを含む所定領域を撮像可能な視野である。この撮像ユニット8の詳細な構成は、後述する。
【0038】
図1に示すように、制御部9は、CPUを含んでおり、一対のコンベア2による基板Pの搬送動作、ヘッドユニット4による実装動作、認識カメラ7や撮像ユニット8による撮像動作などの部品実装装置100の全体の動作を制御するように構成されている。
【0039】
(撮像ユニットの構成)
次に、図2図5を参照して、撮像ユニット8の詳細な構成を説明する。
【0040】
図2および図3に示すように、撮像ユニット8は、成否判定用カメラ81と、光学系82と、複数(5つ)の光学系83と、照明部84とを含んでいる。なお、成否判定用カメラ81は、本発明の「撮像部」の一例である。また、光学系82および光学系83は、それぞれ、本発明の「第2光学系」および「第1光学系」の一例である。
【0041】
成否判定用カメラ81は、撮像素子81aと、レンズ81bとを有している。成否判定用カメラ81は、レンズ81bを介して入射された光を撮像素子81aにより電気信号に変換することにより、実装位置Paなどの被写体を撮像するように構成されている。
【0042】
光学系82は、図3に示すように、複数のミラー82aを有している。光学系82は、複数のミラー82aにより光路を変更することにより、成否判定用カメラ81の視野を、複数(5つ)の光学系83の各々に向けて分割するように構成されている。また、複数のミラー82aは、成否判定用カメラ81から光学系83までの各光路の光路長が略同じになるように配置されている。これにより、いずれの光路により被写体が撮像されたとしても、ボケの少ない明瞭な画像を容易に撮像することが可能である。
【0043】
光学系83は、複数(5つ)の実装ヘッド42に対応するように複数(5つ)設けられている。また、複数の光学系83の各々は、プリズム83aと、一対のミラー83bとを有している。また、図2に示すように、光学系83は、光学系82により分割された成否判定用カメラ81の視野を、プリズム83aにより第1視野V1と第2視野V2との2つの視野にさらに分割するように構成されている。また、光学系83は、プリズム83aにより分割された第1視野V1と第2視野V2との2つの視野の光路を、一対のミラー83bの各々により実装位置Paを撮像可能な角度に変更するように構成されている。
【0044】
具体的には、光学系83において、上側(Z1側)のミラー83bは、基板Pの部品31が実装される基板面Pbに対して傾き角度θH(0度<θH<90度)の撮像方向から実装位置Paを撮像可能なように、第1視野V1の光路を変更するように配置されている。また、光学系83において、下側(Z2側)のミラー83bは、基板Pの部品31が実装される基板面Pbに対して傾き角度θL(0度<θL<θH)の撮像方向から実装位置Paを撮像可能なように、第2視野V2の光路を変更するように配置されている。
【0045】
この結果、第1視野V1および第2視野V2は、基板面Pbに対してそれぞれの撮像方向が互いに異なる傾き角度(θHおよびθL)となるように配置されている。また、互いに異なる傾き角度を有する第1視野V1および第2視野V2は、基板面Pbに対する実装位置Paを含む鉛直面内(YZ面内)において隣接して配置されている。また、第1視野V1は、実装位置Paを上側(Z1側)(高い位置)から撮像可能な視野であり、第2視野V2は、実装位置Paを第1視野V1よりも下側(低い位置)から撮像可能な視野である。
【0046】
照明部84は、複数の光学系83の各々に対して一組(3つ)ずつ設けられている。また、照明部84は、LED(発光ダイオード)などの光源を有し、成否判定用カメラ81により実装位置Paが撮像されるタイミングで、実装位置Paに光を照射するように構成されている。なお、図3では、照明部84の図示を省略している。
【0047】
これらの構成により、撮像ユニット8は、単一の成否判定用カメラ81により、基板面Pbに対して傾き角度θHおよびθLで斜方から、実装ヘッド42毎に第1視野V1と第2視野V2との2つの視野により実装位置Paを撮像可能に構成されている。
【0048】
また、図4に示すように、撮像ユニット8は、部品31が実装位置Paに正常に実装されたか否かの成否判定を行うために、部品31の実装前の実装位置Paを含む所定領域(破線により示す)と、部品31の実装後の実装位置Paを含む所定領域(破線により示す)とを、第1視野V1および第2視野V2の各々により撮像するように構成されている。なお、図4では、図示の都合上、第1視野V1と第2視野V2の2つの視野のうち一の視野について図示している。
【0049】
詳細には、撮像ユニット8は、部品31を吸着し、吸着された部品31を基板Pの実装位置Paに実装する前、実装位置Paに向かって実装ヘッド42が下降している際に、第1視野V1および第2視野V2の各々により部品31の実装前の実装位置Paを含む所定領域を撮像するように構成されている。また、撮像ユニット8は、部品31を基板Pの実装位置Paに実装した後、実装位置Paから実装ヘッド42が上昇している際に、部品31の実装後の実装位置Paを含む所定領域を撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42の上昇中または下降中に実装前後の実装位置Paを含む所定領域を撮像することができるので、実装ヘッド42を停止させて実装前後の実装位置Paを含む所定領域を撮像する場合と異なり、成否判定用の撮像によりタクトロスが生じるのを抑制することができる。なお、この際、図5に示すように、撮像ユニット8は、第1視野V1と第2視野V2とを一度に(同時に)撮像するように構成されている。図5では、部品31の実装後の実装位置Paを含む所定領域の撮像画像について示している。
【0050】
(実装部品の成否判定)
ここで、本実施形態では、制御部9は、実装位置Pa周辺の遮蔽物Sa〜Sd(図6図9参照)の状態に応じて、第1視野V1と第2視野V2とのうちから、部品31が実装位置Paに正常に実装されたか否かの判定に用いる成否判定用視野を選択するように構成されている。
【0051】
具体的には、制御部9は、撮像ユニット8から第1視野V1による撮像結果と第2視野V2による撮像結果とを取得するとともに、実装位置Pa周辺の遮蔽物Sa〜Sd(図6図9参照)の状態に応じて、取得された第1視野V1による撮像結果と第2視野V2による撮像結果とのうちから、成否判定用視野による撮像結果を選択するように構成されている。
【0052】
なお、図6に示すように、遮蔽物Saは、実装ヘッド42に吸着されている実装前の部品31(吸着部品)である。また、図7に示すように、遮蔽物Sbは、実装位置Pa周辺において基板Pに既に実装されている部品31(手前部品)である。また、図8および図9に示すように、遮蔽物Scおよび遮蔽物Sdは、部品31を吸着した実装ヘッド42のノズル41である。
【0053】
そして、制御部9は、選択された成否判定用視野による部品31の実装前の実装位置Paを含む所定領域の撮像画像と、部品31の実装後の実装位置Paを含む所定領域の撮像画像とに基づいて、成否判定を行うように構成されている。詳細には、図4に示すように、制御部9は、実装位置Paを含む所定領域の撮像画像のうちに成否判定に用いる判定枠D(二点鎖線により示す)を設定し、設定された判定枠D内の部品31の実装前の撮像画像と部品31の実装後の撮像画像との差画像を生成するとともに、生成された差画像に基づいて、成否判定を行うように構成されている。なお、判定枠Dは、本発明の「判定領域」の一例である。
【0054】
(遮蔽度合の取得)
本実施形態では、制御部9は、実装位置Pa周辺の遮蔽物Sa〜Sdの状態に応じて、遮蔽物Sa〜Sdによる第1視野V1および第2視野V2の各々の遮蔽度合を取得し、取得された遮蔽度合に基づいて、第1視野V1と第2視野V2とのうちから、遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少ない成否判定用視野を選択するように構成されている。
【0055】
以下に、図6図8を参照して、遮蔽物Sa〜Sdによる第1視野V1および第2視野V2の各々の遮蔽度合を取得する方法について説明する。ここでは、遮蔽物Sa〜Sdにより視野(第1視野V1または第2視野V2)が遮蔽されない場合に撮像ユニット8により撮像可能な実装後の部品31の全体の大きさ(部品全体長)に対する、遮蔽物Sa〜Sdが存在する場合に遮蔽物Sa〜Sdにより視野(第1視野V1または第2視野V2)が遮蔽される場合に遮蔽物Sa〜Sdにより遮蔽される実装後の部品31の遮蔽部分(部品遮蔽部分長)の大きさの割合(遮蔽割合=部品遮蔽部分長/部品全体長×100(%))を、遮蔽度合として取得する方法について説明する。なお、図6図8の説明では、第1視野V1および第2視野V2を、単に視野として記載し、第1視野V1の傾き角度θH(図2参照)および第2視野V2の傾き角度θL(図2参照)を、単にθとして記載する。
【0056】
〈吸着部品遮蔽割合の取得〉
まず、図6を参照して、実装ヘッド42に吸着されている実装前の部品31(吸着部品)である遮蔽物Saについて説明する。遮蔽物Sa(吸着部品)の場合には、実装前の撮像画像を撮像するタイミングで、遮蔽物Saにより視野のうち成否判定に用いる部分の一部(つまり、部品遮蔽部分長Xiの部分)が遮蔽されてしまう。この場合、吸着部品遮蔽割合は、以下のように算出(取得)することができる。
【0057】
すなわち、実装前の撮像ユニット8による撮像時における部品31(遮蔽物Sa)の撮像高さをhとし、部品31のZ方向の部品厚みをtとし、部品31のY方向の部品幅をyとし、撮像ユニット8による撮像角度(傾き角度)をθ(θ=θHまたはθL)とする。これにより、以下の式(1)により上側可視部分長ypを求めることができる。
yp=(h−t)/tanθ ・・・(1)
【0058】
そして、式(1)により求めた上側可視部分長ypを用いて、以下の式(2)により部品遮蔽部分長Xiを求めることができる。
Xi=(y−yp)×sinθ ・・・(2)
【0059】
また、以下の式(3)により部品全体長Xtを求めることができる。
Xt=y×sinθ+t×cosθ ・・・(3)
【0060】
この結果、以下の式(4)により遮蔽物Sa(吸着部品)による吸着部品遮蔽割合X(%)を求めることができる。
X=Xi/Xt×100 ・・・(4)
【0061】
〈手前部品遮蔽割合の取得〉
次に、図7を参照して、実装位置Pa周辺において基板Pに既に実装されている部品31(手前部品)である遮蔽物Sbについて説明する。遮蔽物Sb(手前部品)の場合には、実装前および実装後の撮像画像を撮像する両方のタイミングで、遮蔽物Sbにより視野のうち成否判定に用いる部分の一部(つまり、部品遮蔽部分長Yiの部分)が遮蔽されてしまう。この場合、手前部品遮蔽割合は、以下のように算出(取得)することができる。
【0062】
すなわち、遮蔽物Sb(手前部品)のZ方向の部品厚みをtaとし、実装された部品31と遮蔽物Sb(手前部品)との間の部品間隙間長をcとする。これにより、以下の式(5)により部品遮蔽部分長Yiを求めることができる。なお、図6と同一の値については、同じ記号を付し、その説明を省略する。
Yi=(ta−c×tanθ)×cosθ ・・・(5)
【0063】
また、以下の式(6)により部品全体長Ytを求めることができる。
Yt=y×sinθ+t×cosθ ・・・(6)
【0064】
この結果、以下の式(7)により遮蔽物Sb(手前部品)による手前部品遮蔽割合Y(%)を求めることができる。
Y=Yi/Yt×100 ・・・(7)
【0065】
〈ノズル遮蔽割合の取得〉
次に、図8および図9を参照して、部品31を吸着した実装ヘッド42のノズル41である遮蔽物ScおよびSdについて説明する。なお、図8および図9では、便宜的に、ノズル41に対する部品31の吸着位置ずれを誇張して示している。図8に示す遮蔽物Sc(ノズル)の場合には、吸着時に部品31がノズル中心からずれて吸着されたときに、実装前の撮像画像を撮像するタイミングで、遮蔽物Sc(ノズル)により視野のうち成否判定に用いる部分の一部(つまり、部品遮蔽部分長Ziの部分)が遮蔽されてしまう。この場合、ノズル遮蔽割合は、以下のように算出(取得)することができる。
【0066】
すなわち、実装前の撮像ユニット8による撮像時のノズル41のフランジまでのノズルフランジ高さをh_nuとし、部品31のY方向の吸着ズレ量をdとし、ノズル41の中心からY2側のノズル41のフランジの端部までのノズル中心−ノズルフランジ間長をaとする。これにより、以下の式(8)により上側可視部分長zpを求めることができる。なお、図6と同一の値については、同じ記号を付し、その説明を省略する。
zp=(h_nu−t)/tanθ ・・・(8)
【0067】
また、以下の式(9)によりY1側の部品31の端部からY2側のノズル41のフランジの端部までの部品端−ノズルフランジ間長Lを求めることができる。
L=(y/2)+d+a ・・・(9)
【0068】
そして、式(8)により求めた上側可視部分長zpと、式(9)により求めた部品端−ノズルフランジ間長L用いて、以下の式(10)により部品遮蔽部分長Ziを求めることができる。
Zi=(L−zp)×sinθ ・・・(10)
【0069】
また、以下の式(11)により部品全体長Ztを求めることができる。
Zt=y×sinθ+t×cosθ ・・・(11)
【0070】
この結果、以下の式(12)により遮蔽物Sc(ノズル)によるノズル遮蔽割合Z(%)を求めることができる。
Z=Zi/Zt×100 ・・・(12)
【0071】
〈ノズル遮蔽割合の取得の他の例〉
図8では、遮蔽物Sc(ノズル)のフランジにより視野が遮蔽される場合について説明したが、ノズル41の形状によっては、図9に示す遮蔽物Sdのように、ノズル41の先端部分により視野が遮蔽される場合もある。この場合、実装前の撮像ユニット8による撮像時のノズル41の先端部分の角部までのノズル角高さをh_nbとして、上記した式(8)〜(12)におけるh_nuをh_nbに置き換える。これにより、ノズル41の先端部分により視野が遮蔽される場合における、上側可視長部分zp、ノズル中心−ノズル角間長L、部品遮蔽部分長Zi、部品全体長Zt、およびノズル遮蔽割合Zをそれぞれ求めることができる。
【0072】
以上のようにして、制御部9は、遮蔽物Saによる視野(第1視野V1および第2視野V2)の遮蔽割合(吸着部品遮蔽割合X)、遮蔽物Sbによる視野の遮蔽割合(手前部品遮蔽割合Y)、および遮蔽物Scまたは遮蔽物Sdによる視野の遮蔽割合(ノズル遮蔽割合Z)を取得するように構成されている。そして、制御部9は、取得された遮蔽割合に基づいて、第1視野V1と第2視野V2とのうちから、遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少ない成否判定用視野を選択するように構成されている。
【0073】
また、本実施形態では、制御部9は、取得された遮蔽割合に加えて、実装位置Paに実装される部品31の種類および実装位置Pa周辺の部品31の背景(基板Pの基板面Pb)にも基づいて、第1視野V1と第2視野V2とのうちから、成否判定用視野を選択するように構成されている。これにより、遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少なくかつ部品31の特徴点がより多く撮像可能な成否判定用視野を選択することが可能となる。
(判定枠の補正)
また、上記のように、制御部9は、成否判定を行う場合には、実装位置Paを含む所定領域の撮像画像のうちに成否判定に用いる判定枠D(図4参照)を設定し、設定された判定枠D内の部品31の実装前の撮像画像と部品31の実装後の撮像画像との差画像を生成する。この際、基板Pの反り(上反り、下反り)に起因して基板面Pbの高さ位置が変化した場合や、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31に吸着ズレがある場合などには、判定枠Dに対して実装位置Paが位置ずれするおそれがある。
【0074】
したがって、本実施形態では、図10に示すように、制御部9は、基板面Pbの高さ(図11に示す基板面高さhp)および部品31の吸着ズレに基づいて、判定枠D内に実装位置Paが含まれるように、成否判定用視野による撮像画像のうち判定枠Dの位置を補正するように構成されている。また、制御部9は、補正後の判定枠D内の部品31の実装前の撮像画像と部品31の実装後の撮像画像との差画像を生成し、生成された差画像に基づいて、成否判定を行うように構成されている。
【0075】
〈基板高さの取得〉
制御部9は、第1視野V1による撮像画像と第2視野V2による撮像画像とに基づいて、基準面Ps(図11参照)に対する基板Pの基板面Pbの高さをステレオマッチングにより取得するように構成されている。
【0076】
具体的には、図11に示すように、まず、第1視野V1により傾き角度θHで対象物(基板面Psの所定位置)が撮像され、第2視野V2により傾き角度θLで対象物が撮像される。そして、第1視野V1による撮像画像と、第2視野V2による撮像画像とをステレオマッチングすることにより、第1視野V1による撮像画像と第2視野V2による撮像画像との間の視差p(pixel)を求める。そして、成否判定用カメラ81のカメラ分解能をR(μm/pixel)とすると、以下の式(13)により距離A(μm)を求めることができる。
A=p×R/sin(θH−θL) ・・・(13)
【0077】
そして、式(13)により求めた距離Aを用いて、以下の式(14)により基準面Psに対する基板面Pbの基板面高さhp(μm)を求めることができる。
hp=A×sin(θL) ・・・(14)
【0078】
〈吸着ズレ量の取得〉
制御部9は、部品認識カメラ7により撮像された部品31の吸着状態(吸着姿勢)に基づいて、部品31の吸着ズレ量を取得するように構成されている。そして、制御部9は、取得された部品31の吸着ズレ量に基づいて、判定枠D内に実装位置Paが含まれるように、成否判定用視野による撮像画像のうち判定枠Dの位置を補正するように構成されている。
(実装成否判定処理)
次に、図12を参照して、上記した実装成否判定処理についてフローチャートに基づいて説明する。部品実装装置100の動作は、制御部9により行われる。
【0079】
まず、ステップS1において、基板データが選択される。これにより、これから実装される部品31の大きさなどの情報が取得される。すなわち、部品31の実装位置Paや、部品厚みt、部品幅y、手前部品の部品厚みta、部品間隙間長c、ノズルフランジ高さh_nu、ノズル角高さh_nb、ノズル中心−ノズルフランジ(ノズル角)間長aなどの情報が取得される。
【0080】
そして、ステップS2において、上記した式(1)〜式(4)により、吸着部品遮蔽割合X(図6参照)が取得される。この際、撮像高さhおよび撮像角度θとしては、予め設定された値を用いる。
【0081】
そして、ステップS3において、ヘッドユニット4による部品31の実装動作が開始される。すなわち、ヘッドユニット4の実装ヘッド42により部品供給部3から部品31が吸着される。
【0082】
そして、ステップS4において、実装される部品31が二点目以降の部品31であるか否かが判断される。二点目以降の部品31であると判断される場合には、ステップS5に進む。
【0083】
そして、ステップS5において、上記した式(5)〜式(7)により、手前部品遮蔽割合Y(図7参照)が取得される。
【0084】
また、ステップS4において、二点目以降の部品31ではないと判断される場合には、ステップS5を飛ばして、ステップS6に進む。つまり、実装される部品31が一点目の部品である場合には、遮蔽物Sb(手前部品)が存在しないので、ステップS5の処理を飛ばして、ステップS6に進む。
【0085】
そして、ステップS6において、部品認識カメラ7により部品31の吸着状態(吸着姿勢)が撮像される。
【0086】
そして、ステップS7において、部品認識カメラ7により撮像された部品31の吸着状態に基づいて、吸着ズレ量d(図8および図9参照)が取得される。
【0087】
そして、ステップS8において、上記した式(8)〜式(12)により、ノズル遮蔽割合Z(図8および図9参照)が取得される。この際、ノズル41の形状に応じて、図8または図9に示すノズル遮蔽割合Zが取得される。
【0088】
そして、ステップS9において、実装ヘッド42の下降中に、実装前の実装位置Paを含む所定領域が撮像ユニット8により撮像される。この際、第1視野V1と第2視野V2との各々により、実装前の実装位置Paを含む所定領域が撮像される。そして、実装前の第1視野V1の撮像画像と、実装前の第2視野V2の撮像画像とが取得される。
【0089】
そして、ステップS10において、取得された第1視野V1の撮像画像と、第2視野V2との撮像画像とに基づいて、上記した式(13)および式(14)により、ステレオマッチングにより基板面高さhp(図11参照)が取得される。また、ステップS9とステップ11との間に、実装ヘッド42に吸着された部品31が、基板Pの実装位置Paに実装される。
【0090】
そして、ステップS11において、実装ヘッド42の上昇中に、実装後の実装位置Paを含む所定領域が撮像ユニット8により撮像される。この際にも、第1視野V1と第2視野V2との各々により、実装後の実装位置Paを含む所定領域が撮像される。そして、実装後の第1視野V1の撮像画像と、実装後の第2視野V2の撮像画像とが取得される。
【0091】
そして、ステップS12において、ステップS2で取得された吸着部品遮蔽割合X、ステップS5で取得された手前部品取得割合Y、およびステップS8で取得されたノズル遮蔽割合Zの3つの遮蔽割合と、実装位置Paに実装される部品31の種類および実装位置Pa周辺の部品31の背景(基板Pの基板面Pb)とに基づいて、第1視野V1と第2視野V2とのうちから、成否判定用視野として用いられる視野が選択される。
【0092】
そして、ステップS13〜ステップS17において、選択された成否判定用視野の実装前の撮像画像と実装後の撮像画像とに基づいて、部品31が実装位置Paに正常に実装されたか否かの成否判定が行われる。
【0093】
具体的には、まず、ステップS13において、実装前の撮像画像と、実装後の撮像画像との重ね位置合わせが行われる。
【0094】
そして、ステップS14およびステップS15において、判定枠Dの位置補正が行われる。ステップS14では、部品認識カメラ7により撮像された部品31のノズル41に対する吸着ズレに基づいて、実装位置Paが判定枠D内に収まるように、判定枠Dの位置補正が行われる。また、ステップS15では、ステップS10で取得された基板面高さhpに基づいて、実装位置Paが判定枠D内に収まるように、判定枠Dの位置補正が行われる。
【0095】
そして、ステップS16において、補正後の判定枠D内の部品31の実装前および実装後の撮像画像の差画像が生成される。
【0096】
そして、ステップS17において、生成された差画像に基づいて、部品31が実装位置Paに正常に実装されたか否かの成否判定が行われる。部品31が実装位置Paに正常に実装されたと判断される場合には、実装成否判定処理が終了する。また、部品31が実装位置Paに正常に実装されたと判断されない場合には、ステップS18に進む。
【0097】
そして、ステップS18において、部品実装装置100がエラー停止される。その後、ステップS19において、実装前の撮像画像と実装後の撮像画像とが外部に向けて出力される。これにより、部品実装装置100を使用するユーザは、どのような異常が生じたかを確認することが可能である。
【0098】
なお、上記した実装成否判定処理では、ステップS2、ステップS5およびステップS8で、それぞれ、吸着部品遮蔽割合X、手前部品取得割合Yおよびノズル遮蔽割合Zが順次取得(算出)された。このように、各遮蔽割合を取得(算出)するための値が取得されたタイミングで、各遮蔽割合を取得(算出)することにより、たとえばステップS12で3つの遮蔽割合を一度に取得(算出)する場合と異なり、制御部9による処理負荷を分散し、軽減しつつ、各遮蔽割合を取得することが可能になる。
【0099】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0100】
本実施形態では、上記のように、実装位置Pa周辺の遮蔽物Sa〜Sdの状態に応じて、第1視野V1および第2視野V2のうちから、部品31が実装位置Paに実装されたか否かの成否判定に用いる成否判定用視野を選択するように制御部9を構成する。これにより、遮蔽物Sa〜Sdに起因して一の視野により実装位置Paを正確に撮像できなかったとしても、第1視野V1および第2視野V2のうち一の視野よりも遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少ない他の視野を成否判定用視野として制御部9により選択することができる。その結果、遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響がより少ない視野での撮像結果に基づいて成否判定を行うことができるので、部品31が実装位置Paに実装されたか否かを安定して判定することができる。
【0101】
また、本実施形態では、実装位置Pa周辺の遮蔽物Sa〜Sdの状態に応じて、遮蔽物Sa〜Sdによる第1視野V1および第2視野V2の各々の遮蔽度合を取得するとともに、取得された第1視野V1および第2視野V2の各々の遮蔽度合に基づいて、第1視野V1および第2視野V2のうちから、成否判定用視野を選択するように制御部9を構成する。これにより、第1視野V1および第2視野V2のうち一の視野よりも遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少ない他の視野を成否判定用視野として制御部9により確実に選択することができる。その結果、部品31が実装位置Paに実装されたか否かをより安定して判定することができる。
【0102】
また、本実施形態では、遮蔽度合を、部品31の全体の大きさに対する遮蔽物Sa〜Sdにより遮蔽される部品31の遮蔽部分の大きさの割合である遮蔽割合(吸着部品遮蔽割合X、手前部品遮蔽割合Yおよびノズル遮蔽割合Z)とする。また、第1視野V1および第2視野V2の各々の遮蔽割合に基づいて、第1視野V1および第2視野V2のうちから、成否判定用視野を選択するように制御部9を構成する。これにより、遮蔽部分の大きさのみに基づいて成否判定用視野を選択する場合と異なり、通常部品31の種類毎に異なる部品31の全体の大きさも考慮して成否判定用視野を選択することができる。その結果、遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響をより適切に評価することができるので、遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少ない成否判定用視野をより確実に選択することができる。
【0103】
また、本実施形態では、実装位置Pa周辺の遮蔽物(Sa〜Sd)は、実装ヘッド42に吸着されている実装前の部品31(吸着部品)、実装位置Pa周辺において基板Pに実装されている部品31(手前部品)、および部品31を吸着した実装ヘッド42のノズル41である。これにより、視野を遮蔽する遮蔽物となり易い実装ヘッド42に吸着されている実装前の部品31、実装位置Pa周辺において基板Pに実装されている部品31、および部品31を吸着した実装ヘッド42の3種類の遮蔽物(Sa〜Sd)の状態に応じて、成否判定用視野を制御部9により選択することができる。その結果、第1視野V1および第2視野V2のうちから遮蔽物Sa〜Sdにより遮蔽の影響が少ない視野を成否判定用視野として制御部9により確実に選択することができる。
【0104】
また、本実施形態では、撮像方向が互いに異なる第1視野V1および第2視野V2を、基板Pの部品31が実装される基板面Pbに対してそれぞれの撮像方向が互いに異なる傾き角度(θHおよびθL)となるように配置する。これにより、異なる傾き角度から実装位置Paを撮像することができるので、第1視野V1および第2視野V2のうちに遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少ない視野を容易に設けることができる。
【0105】
また、本実施形態では、撮像方向が互いに異なる第1視野V1および第2視野V2を、基板面Pbに対する鉛直面内(YZ面内)において隣接して配置されている。これにより、第1視野V1および第2視野V2が基板面Pbに対して平行な方向に離間して配置される場合と比べて、第1視野V1および第2視野V2をコンパクトに配置することができる。その結果、撮像ユニット8が大型化するのを抑制しつつ、第1視野V1および第2視野V2のうちに遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少ない視野を容易に設けることができる。
【0106】
また、本実施形態では、撮像ユニット8に、実装位置Paを撮像する成否判定用カメラ81と、成否判定用カメラ81の視野を、撮像方向が互いに異なる第1視野V1および第2視野V2に分割する光学系83と、を設ける。これにより、複数の成否判定用カメラを用いて第1視野V1および第2視野V2を撮像する場合と異なり、単一の成否判定用カメラ81を用いて第1視野V1および第2視野V2を撮像することができる。その結果、撮像ユニット8の成否判定用カメラ81の構成が複雑化するのを抑制しつつ、第1視野V1および第2視野V2を撮像することができる。
【0107】
また、本実施形態では、撮像ユニット8に、成否判定用カメラ81の視野を、複数の光学系83の各々に向けて分割する光学系82、を設ける。これにより、複数の成否判定用カメラを用いて実装ヘッド42毎に第1視野V1および第2視野V2を撮像する場合と異なり、単一の成否判定用カメラ81を用いて実装ヘッド42毎に第1視野V1および第2視野V2を撮像することができる。その結果、撮像ユニット8の成否判定用カメラ81の構成が複雑化するのを抑制しつつ、実装ヘッド42毎に第1視野V1および第2視野V2を撮像することができる。また、本実施形態の部品実装装置100のように、XY方向に移動可能なヘッドユニット4に撮像ユニット8が固定される構成では、ヘッドユニット4の移動を容易にする観点から、ヘッドユニット4自体の重量に加えて、固定された撮像ユニット8の重量も軽量であるほうが好ましい。したがって、上記のように撮像ユニット8の成否判定用カメラ81の構成が複雑化するのを抑制し、成否判定用カメラ81の数や成否判定用カメラ81に付随するケーブルなどの部品が増加するのを抑制することにより、撮像ユニット8の重量が増加するのを抑制することができることは非常に効果的である。
【0108】
また、本実施形態では、撮像ユニット8から第1視野V1および第2視野V2による各々の撮像画像を取得するとともに、実装位置Pa周辺の遮蔽物Sa〜Sdの状態に応じて、取得された第1視野V1および第2視野V2による各々の撮像画像のうちから、成否判定用視野による撮像画像を選択するように制御部9を構成する。これにより、第1視野V1および第2視野V2のうち一の視野よりも遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少ない他の視野を成否判定用視野として制御部9により容易に選択することができるので、部品31が実装位置Paに実装されたか否かを容易に安定して判定することができる。
【0109】
また、本実施形態では、実装位置Pa周辺の遮蔽物Sa〜Sdの状態に加えて、実装位置Paに実装される部品31の種類または実装位置Pa周辺の部品31の背景にも応じて、第1視野V1および第2視野V2のうちから、成否判定用視野を選択するように制御部9を構成する。これにより、実装位置Paに実装される部品31の種類または実装位置Pa周辺の背景も考慮して成否判定用視野を選択できるので、遮蔽物Sa〜Sdによる遮蔽の影響が少なくかつ部品31の特徴点をより多く撮像可能な視野を容易に選択することができる。
【0110】
また、本実施形態では、第1視野V1および第2視野V2の各々により、部品31の実装前の実装位置Paと部品31の実装後の実装位置Paとを撮像するように撮像ユニット8を構成する。そして、第1視野V1および第2視野V2の各々による撮像画像のうちから選択された成否判定用視野による部品31の実装前の実装位置Paの撮像画像、および実装後の実装位置Paの撮像画像に基づいて、成否判定を行うように制御部9を構成する。これにより、選択された成否判定用視野による部品31の実装前および実装後のそれぞれの実装位置Paの撮像画像に基づいて、成否判定を制御部9により容易に行うことができる。
【0111】
また、本実施形態では、第1視野V1および第2視野V2の各々による実装位置Paの撮像画像に基づいて、基準面Psに対する基板Pの基板面Pbの高さを取得するとともに、取得された基板面Pbの高さに基づいて、成否判定用視野による撮像画像のうち成否判定に用いる判定枠Dを補正するように制御部9を構成する。これにより、たとえば基板Pの反りにより基準面Psに対する基板Pの基板面Pbの高さが変化することによって、判定枠Dに対して実装位置Paが位置ずれするような場合にも、制御部9により判定枠Dが補正されるので、適切に成否判定を行うことができる。
【0112】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0113】
たとえば、上記実施形態では、第1視野V1と第2視野V2との2つの視野により実装位置Paを撮像可能に撮像ユニット8を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、3つ以上の視野により実装位置を撮像可能に撮像ユニットを構成してもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、単一の成否判定用カメラ81を用いて第1視野V1と第2視野V2との2つの視野により実装位置Paを撮像可能に撮像ユニット8を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の成否判定用カメラを用いて複数の視野により実装位置を撮像可能に撮像ユニットを構成してもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、第1視野V1と第2視野V2とを一度に撮像するように撮像ユニット8を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、成否判定用視野を選択してから、選択された1つの視野でのみ撮像するように撮像ユニットを構成してもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、単一の成否判定用カメラ81を用いて実装ヘッド42毎の第1視野V1と第2視野V2との2つの視野により実装位置Paを撮像可能に撮像ユニット8を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装ヘッド毎に成否判定用カメラを設けてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、複数(5つ)の実装ヘッド42を含むヘッドユニット4に、1つの撮像ユニット8を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装ヘッドの数に応じて、1つのヘッドユニットに対して複数の撮像ユニットを設けてもよい。たとえば、10本の実装ヘッドをヘッドユニットが含む場合には、このヘッドユニットに対して上記実施形態の撮像ユニット8を2つ設けてもよい。
【0118】
また、上記本実施形態では、プリズム83aと一対のミラー83bとを有する光学系83により、成否判定用カメラ81の視野を、第1視野V1と第2視野V2との2つの視野に分割した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記実施形態で示した光学系以外の光学系により、成否判定用カメラの視野を複数の視野に分割してもよい。たとえば、鏡面加工を施したプリズムを有する光学系や、プリズムのみからなる光学系、ミラーのみからなる光学系などの光学系により成否判定用カメラの視野を複数の視野に分割してもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、遮蔽度合として、吸着部品遮蔽割合X、手前部品遮蔽割合Y、およびノズル遮蔽割合Zなどの遮蔽割合を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、遮蔽度合として、遮蔽割合以外が用いられてもよい。たとえば、遮蔽度合として、部品遮蔽部分長Xi(Yi、Zi)などの遮蔽物による遮蔽部分の大きさが用いられてもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、遮蔽物Sa〜Sdとして、実装ヘッド42に吸着されている実装前の部品31(吸着部品)実装位置Pa周辺において基板Pに既に実装されている部品31(手前部品)部品31を吸着した実装ヘッド42のノズル41の3種類を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、遮蔽物として、上記の3種類以外の遮蔽物を考慮してもよい。また、遮蔽物として、上記3種類の遮蔽物のうちいずれか1つのみ、または2つの組み合わせを用いてもよい。
【0121】
また、上記本実施形態では、基板面Pbの高さおよび部品31の吸着ズレに基づいて、判定枠D内に実装位置Paが含まれるように判定枠Dの位置を補正した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、判定枠内に実装位置Paが含まれるように判定枠の形状を補正してもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部9の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部9の処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0123】
8 撮像ユニット
9 制御部
31 部品
42 実装ヘッド
81 成否判定用カメラ(撮像部)
82 光学系(第2光学系)
83 光学系(第1光学系)
100 部品実装装置
P 基板
Pa 実装位置
Pb 基板面
Ps 基準面
V1 第1視野
V2 第2視野
Sa〜Sd 遮蔽物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12