(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は光源装置20のブロック図を示し、
図2は各LD1−1〜1−3の周辺部の構成図を示す。この光源装置20は、発光素子である複数の半導体レーザ(LD)、例えば3個のLD1−1〜1−3を備える。これらLD1−1〜1−3は、マウント部材2上に固定されている。これらLD1−1〜1−3は、それぞれ駆動波形として周期的なパルス波形を有する電流を印加することによりレーザ光を発光する。複数の半導体レーザ(LD)は、例えば3個としているが、これに限らず、2個又は4個以上でも良い。
[熱的な接続関係の説明]
各LD1−1〜1−3は、それぞれレーザ光を発光する際に熱を発生する。マウント部材2と各LD1−1〜1−3とは、それぞれ熱的に接続されている。このマウント部材2には、放熱器3が設けられ、この放熱器3によって各LD1−1〜1−3から発せられた熱が当該光源装置外(雰囲気中など)に放出されるようになっている。
[光学的な接続関係の説明]
各LD1−1〜1−3の各出力端は、各光ファイバ4−1〜4−3を介して光コンバイナ5に光学的に接続されている。これらLD1−1〜1−3の各出力端と各光ファイバ4−1〜4−3との間には、それぞれ光学レンズが配置され、これら光学レンズによって各LD1−1〜1−3の出力端と各光ファイバ4−1〜4−3との間が光学的に結合されている。
光コンバイナ5の出力端には、光ファイバ6を介して照明ユニット7が光学的に接続されている。この光コンバイナ5は、各光ファイバ4−1〜4−3により導光された各レーザ光を合波し、この合波されたレーザ光を光ファイバ6を介して照明ユニット7に出力する。
照明ユニット7は、例えば蛍光体を有し、光ファイバ6から出射されたレーザ光を受光して蛍光を発し、かつ当該蛍光と蛍光体を透過したレーザ光とを混合して成る照明光Lを生成する。
[電気的な接続関係の説明]
入力部10と記憶素子13とが設けられ、これら入力部10と記憶素子13とがそれぞれ温度制御回路11と実効光量設定回路12とに接続されている。
入力部10は、例えばオペレータのマニュアル操作を受けて各LD1−1〜1−3の出力指令値、すなわち各LD1−1〜1−3に対して設定するレーザ光の所定の実効光量を入力する。この入力部10には、本装置20に3個のLD1−1〜1−3が設けられているので、これらLD1−1〜1−3に対する各所定の実効光量の値が入力される。例えば、LD1−1の実効光量Peff1と、LD1−2の実効光量Peff2と、LD1−3の実効光量Peff3とが入力部10から入力される。この入力部10に入力された各LD1−1〜1−3の所定の実効光量は、温度制御回路11と実効光量設定回路12とに送られる。
【0012】
記憶素子(記憶手段)13には、各LD1−1〜1−3の駆動特性情報が記録されている。この駆動特性情報は、本装置20の使用前、例えば工場出荷時等に予め各LD1−1〜1−3の特性が測定されて取得されたものである。この記憶素子13には、各LD1−1〜1−3の駆動特性情報として後述する閾値電流Ith、LD1−1〜1−3の順方向電圧Vf、スロープ効率η、LD1−1〜1−3の出力光量の最大定格値Pmaxが記憶される。この記憶素子13は、例えば不揮発性メモリー素子などから成る。
【0013】
温度制御回路11は、各LD1−1〜1−3の駆動条件を設定する。各LD1−1〜1−3を駆動する駆動波形が周期的なパルス波形であれば、各LD1−1〜1−3の駆動条件は、周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比のいずれか一方である。この温度制御回路11は、設定された駆動条件としてのピーク電流値又はデューティー比を実効光量設定回路12に送る。
この温度制御回路11は、記憶素子13に記憶されている駆動特性情報に基づいて上記駆動条件である周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比を導出する。
【0014】
この温度制御回路11は、周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比の駆動条件を調整して各LD1−1〜1−3から発光されるレーザ光の実効光量を変えず、各LD1−1〜1−3の発熱量を増減して、各LD1−1〜1−3を所定の発熱状態に制御する。この所定の発熱状態は、各LD1−1〜1−3の発熱量が等しくなる状態である。しかるに、当該温度制御回路11は、各LD1−1〜1−3の各発熱量が等しくなるように駆動条件である周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比を調整する。
【0015】
実効光量設定回路12は、温度制御回路11により設定された駆動条件(ピーク電流値又はデューティー比)に従い、入力部10から入力されたレーザ光の所定の実効光量で各LD1−1〜1−3が発光するように各駆動回路14−1〜14−3を駆動する。この実効光量設定回路12は、パルス波形のデューティー比を可変するパルス幅変調(PWM)を用いるに限らず、パルス波形のパルス幅を一定にして周期を可変するようにしてもよい。
【0016】
この実効光量設定回路12は、各LD1−1〜1−3から発光されるレーザ光の実効光量が所定の実効光量になるように、周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比のうち駆動条件として設定されなかったデューティー比又はピーク電流値を決定する。
【0017】
又、
温度制御回路11は、入力部10から入力された所定の実効光量に従って各LD1−1〜1−3が発光するように連続的な駆動波形で各駆動回路14−1〜14−3を駆動し、当該駆動により各LD1−1〜1−3が発光したときの予想発熱量を当該各LD1−1〜1−3の駆動特性情報から導出する。
ここで、各LD1−1〜1−3のうち予想発熱量が最も大きいLD1−1、1−2又は〜1−3を第1の発光素子とし、当該第1の発光素子に含まれないLDを第2の発光素子とすると、上記温度制御回路11は、第1の発光素子の駆動条件を当該第1の発光素子の発光効率が最も高くなるように設定する。
【0018】
各駆動回路14−1〜14−3の各出力端には、それぞれ各LD1−1〜1−3が接続されている。これら駆動回路14−1〜14−3は、それぞれ各LD1−1〜1−3に駆動波形を印加して駆動し、当該各LD1−1〜1−3からレーザ光を発光させる。
これら駆動回路14−1〜14−3は、上記実効光量設定回路12により設定された駆動条件としてのピーク電流値又はデューティー比に従い、
図3に示すような周期的なパルス波形を有する駆動電流パルスPI1〜PI3を各LD1−1〜1−3に印加する。
【0019】
駆動電流パルスPI1〜PI3を印加している期間をT1、印加していない期間をT2とすると、デューティー比Dは、
D=T1/(T1+T2) …(1)
となる。
期間T1に印加している電流をピーク電流と呼ぶ。(T1+T2)は、駆動電流パルスPI1〜PI3の周期となる。
駆動電流パルスPI1〜PI3の周期(T1+T2)は、各LD1−1〜1−3が熱的に応答しない周期、すなわち各LD1−1〜1−3の温度がパルス駆動の一つ一つに応答できないような速度となる周期、熱的に応答できないような速度となる周期に設定、又は当該駆動電流パルスPI1〜PI3に応答した各LD1−1〜1−3の温度の変動量が問題にならない量になるように短く設定された周期である。
[LD1−1〜1−3の特性とパルス駆動時の発熱量の説明]
3個のLD1−1〜1−3の特性について説明をする。これらLD1−1〜1−3は、同一の特性を持つ。
ここでの説明は、実効光量というような積分値的な議論ではなく、各時点々での値についての議論である。
各LD1−1〜1−3より発生する発熱量Qは、当該LD1−1〜1−3に印加する電力をPin、
LD1−1〜1−3の光出力をPout、LD1−1〜1−3の順方向電圧をVf、LD1−1〜1−3の駆動電流パルスPI1〜PI3をIdrvとすると、
Q=Pin−Pout
=Vf・Idrv−Pout …(2)
なる関係を有する。
【0020】
一方、各LD1−1〜1−3は、駆動電流パルスPI1〜PI3が閾値電流に到達するまでレーザ光を発光せず、閾値電流を超えるとレーザ光を発光し、かつレーザ光の出力光量は、
図4に示すように閾値電流を超えた電流量に略比例して増加する特性を持つ。
各LD1−1〜1−3の発光効率は、駆動電流パルスPI1〜PI3及びレーザ光の出力(
光出力Pout)により異なる特性を有する。
光出力Poutと、スロープ効率ηと、駆動電流パルスPI1〜PI3(Idrv)と、駆動電流パルスPI1〜PI3の閾値電流Ithとは、
Pout=η×(Idrv−Ith) …(3)
なる関係を有する。
【0021】
よって、LD1−1〜1−3から発する発熱は、
図4に示すように閾値電流Ithまでの駆動電流パルスPI1〜PI3により決まる発熱量Q1と、閾値電流Ithを超えた駆動電流パルスPI1〜PI3により決まる発熱量Q2との総和(Qall=Q1+Q2)となる。
ここで、
Q1=Ith×Vf
Q2=(Idrv−Ith)×Vf−Pout
=Pout(Vf/η−1)
=Pout×K …(4)
Q1は
光出力Poutに依らず一定となり、Q2は光出力Poutの光量に比例する。
【0022】
次に、上記各LD1−1〜1−3の特性に基づいて実効光量について説明する。
先に述べた様に、駆動電流パルスPI1〜PI3のようなパルス状の駆動電流の波形により各LD1−1〜1−3を駆動すると、各LD1−1〜1−3から発光されるレーザ光も、駆動電流パルスPI1〜PI3に応じたパルス状の光となって出力される。
実効光量をPeffとすると、当該実効光量Peffは、
図3に示すようにパルス駆動を行ったときに、パルス駆動の周期よりも十分長い期間で光量を積分した値に相当する。例えば肉眼や撮像素子などでは、パルス状の光それぞれを区別して感じず、パルス状の光を積分した実効光量Peffに相当する光を感じることになる。
実効光量Peffは、
Peff=D×Pout …(5)
により表される。ここでの
光出力Poutは、パルス状の光出力のピーク光量、すなわちピーク出力に相当する。
【0023】
一方、発熱量Qについて、実効発熱量をQeffとすると、当該実効発熱量をQeffは、
Qeff =D×Qall
=D×(Q1+Q2)
=D×Q1+D×Pout×K
=D×Q1+Peff×K …(6)
となる。
【0024】
よって、上記式(6)の示す実効発熱量Qeffにおいて、2項目の(Peff×K)は、所望の実効光量Peffを得るために値が変わらないが、1項目の(D×Q1)は、デューティー比Dとパルス状光出力のピーク光量Poutとを変えることで増減できる。
【0025】
一方、光出力Poutの上限は、各LD1−1〜1−3の出力光量の最大定格値Pmaxであるので、デューティー比Dが取れる範囲は限定される。
(Peff/Pmax)≦D≦1 …(7)
デューティー比Dの範囲で変化させたとき、このときの実効発熱量Qeffの調整可能な範囲は、
(Peff/Pmax)×Q1+(Peff×K)≦Qeff≦Q1+Peff×K …(8)
となる。
【0026】
例として、
図5A及び
図5Bは実効光量Peffが等しいとしたときの発熱と光出力との関係を示し、
図5Aはデューティー比100%のときの発熱量と光出力との関係、
図5Bはデューティー比50%のときの発熱と光出力との関係を示す。
同図に示すようにデューティー比100%における閾値電流Ithを超えた駆動電流パルスPI1〜PI3により決まる発熱量Q2と、デューティー比50%における発熱量Q2は、時間平均を取れば等しい。
一方、閾値電流Ithまでの駆動電流パルスPI1〜PI3により決まる発熱量Q1については、デューティー比50%ではデューティー比100%の半分(デューティー比D分)となる。
【0027】
次に、上記通り構成された光源装置20の動作について説明する。
入力部10からは、LD1−1の実効光量Peff1と、LD1−2の実効光量Peff2と、LD1−3の実効光量Peff3とが入力される。これら実効光量Peff1、Peff2、Peff3は、温度制御回路11と実効光量設定回路12とに送られる。これら実効光量Peff1、Peff2、Peff3の大小関係は、例えばPeff1<Peff2<Peff3であり、LD1−3の実効光量Peff3が最も高いものとする。
【0028】
温度制御回路11は、記憶素子13に記憶されている各LD1−1〜1−3の駆動特性情報を読み込み、この駆動特性情報に基づいて当該各LD1−1〜1−3の駆動条件であるピーク電流値を決定し、当該ピーク電流値を実効光量設定回路12に送る。
この実効光量設定回路12は、温度制御回路11より入力されたピーク電流値を基にデューティー比Dを求め、ピーク電流値又はデューティー比Dを各LD1−1〜1−3に接続された各駆動回路14−1〜14−3に送る。
【0029】
具体的に説明すると、先ず、温度制御回路11は、各LD1−1〜1−3のうち発熱量が最も多いLD(第1の発光素子群)を特定する。
温度制御回路11は、記憶素子13に記憶されている駆動特性情報から各LD1−1〜1−3の閾値電流Ith、順方向電圧Vf、スロープ効率ηを読み込み、パルス波形ではなく
図5Aに示すような連続波形(デューティー比100%)での各LD1−1〜1−3の各発熱量Q2をそれぞれ上記式(2)の演算によって求める。本実施の形態では、3個のLD1−1〜1−3が略等しい特性を持っているので、実効光量(Peff3)が最も高いLD1−3の発熱量Qが最も高いと特定される。
【0030】
次に、実効光量Peff3が最大であるLD1−3について、より発熱を低減できるようにパルス駆動のデューティー比Dを高効率になるように決める。すなわち、温度制御回路11は、実効光量(Peff3)が最も高いLD1−3について、記憶素子13に記憶されている駆動特性情報、すなわち閾値電流Ithと、
LD1−3の順方向電圧Vfと、スロープ効率ηと、
LD1−3の出力光量の最大定格値Pmaxとに基づいて周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比を導出する。
【0031】
この温度制御回路11は、周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比の駆動条件を調整して各LD1−1〜1−3から発光されるレーザ光の実効光量を変えず、各LD1−1〜1−3の発熱量を増減して、各LD1−1〜1−3を所定の発熱状態、すなわち各LD1−1〜1−3の発熱量が等しくなるように周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比を調整する。
【0032】
本実施の形態におけるLD1−1〜1−3では、各LD1−1〜1−3の出力光量の最大定格値Pmaxにおいて発光効率が最大になるので、温度制御回路11は、記憶素子13に記憶されている駆動特性情報から
実効光量Peff3が最大であるLD1−3の出力光量の最大定格値Pmaxを読み込み、LD1−3の出力光量の最大定格値Pmaxとなる電流値を導出し、実効光量設定回路12にピーク電流値として出力する。
【0033】
この実効光量設定回路12は、温度制御回路11により設定された駆動条件(ピーク電流値又はデューティー比)に従い、入力部10から入力されたレーザ光の所定の実効光量で各LD1−1〜1−3が発光するように各駆動回路14−1〜14−3を駆動する。
具体的に、実効光量設定回路12は、入力された駆動条件がピーク電流値であると、発熱量Qが最も高いと特定されているLD1−3の実効光量がPeff3になるように当該LD1−3のデューティー比D3、すなわち
D3=Peff3/Pmax …(9)
を駆動回路14−1に設定する。
このとき、LD1−3の実効発熱量Qeff3は、
Qeff3=D3×Q1+D3×Pmax×K …(10)
となる。
【0034】
次に、残りのLD1−1、1−2(第2の発光素子群)について、上記同様の動作でLD1−3と発熱量Qが等しくなるようにピーク電流値又はデューティー比Dが設定される。
例えば、LD1−1の実効発熱量Qeff1は、
Qeff1=D1×(Q1+P1×K) …(11)
P1は、LD1−1のピーク出力となる。
当該LD1−1の実効発熱量Qeff1がLD1−3の実効発熱量Qeff3と等しくなる状態、すなわち、上記式(6)を用いて、
Qeff1 =D1×Q1+Peff1×K
Qeff3 =D3×Q1+Peff3×K
Qeff1 = Qeff3であるので、
D1×Q1+Peff1×K=D3×Q1+Peff3×K
から
LD1−1のデューティー比D1を、
D1=D3+K/Q1×(Peff3−Peff1)
に設定する。
このLD1−1のデューティー比D1は、LD1−3のデューティー比D3からデューティー比を増やした状態である。
又、上記式(11)により、
【0036】
である。
このように残りのLD1−1、1−2の実効発熱量Qeff1、Qeff2をLD1−3の実効発熱量Qeff3と等しくなるようにピーク電流値又はデューティー比Dを設定するので、これらLD1−1、1−2、1−3の実効発熱量Qeff1、Qeff2、Qeff3は、互いに等しくできる。
【0037】
このように第1の実施の形態によれば、温度制御回路11によって記憶素子13に記憶されている駆動特性情報に基づいて駆動条件である周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比を導出し、かつこれらピーク電流値又はデューティー比の駆動条件を調整して各LD1−1〜1−3から発光されるレーザ光の実効光量を変えず、各LD1−1〜1−3の発熱量を増減して各LD1−1〜1−3を所定の発熱状態に制御し、実効光量設定回路12によって温度制御回路11により設定されたピーク電流値又はデューティー比に従って各LD1−1〜1−3を駆動する。これにより、複数のLD1−1〜1−3等を異なる出力光量に設定したとしても、各LD1−1〜1−3等の発熱量を等しくでき、温度を制御するための素子、例えばペルチェ素子等を別途設ける必要がなく、簡単な構成で、かつ性能を低下させずに、各LD1−1〜1−3等の温度を等しく制御でき、出力の安定性を高めることができる。
【0038】
第2の発光素子群(発熱量が最も多い第1の発光素子群のLD以外)について求めたデューティー比Dが100%を超えた場合、デューティー比Dを上げても各LD1−1〜1−3の発熱量を等しくできないということがあっても、この場合には、デューティー比Dを100%として、照明光Lの光出力Pout(ピーク出力)を増加させることで実効光量Peffを確保し、可能な限り発熱量を近づける処理を行う。
【0039】
なお、駆動パルス波形の駆動条件、すなわちデューティー比やピーク電流は、入力部10から入力される実効光量の値に基づいて常に演算して設定したり、又は入力部10から入力される実効光量の値が変動した際に演算して設定するようにしてもよい。
さらに、各LD1−1〜1−3は、温度調節素子との間の各熱コンダクタンスが等しくなるように配置してもよい。すなわち、上記実施の形態では、各LD1−1〜1−3の発熱量を等しく設定したが、各LD1−1〜1−3は、当該各LD1−1〜1−3と放熱先の大気との熱コンダクタンス、又は当該各LD1−1〜1−3と放熱器3との熱コンダクタンスが等しくなるように配置してもよい。
【0040】
各LD1−1〜1−3と放熱先の大気との熱コンダクタンス、又は当該各LD1−1〜1−3と放熱器3との熱コンダクタンスが異なる場合、それぞれの値を設計値又は実測値から求め、その値に反比例するように各LD1−1〜1−3の発熱量を設定してもよい。
本実施の形態では、複数のLD1−1〜1−3等を1つの放熱器3に接続しているが、これに限らず、各LD1−1〜1−3は、
図6に示すようにそれぞれ別々の放熱器3−1〜
3−3に接続してもよい。
【0041】
[第1の変形例]
図7は光源装置20の第1の変形例の構成図を示す。なお、
図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
この光源装置20は、1個のLD1−1を設け、当該LD1−1の実効発熱量Qeffを調整する。すなわち、この光源装置20では、上記式(8)に示すように実効発熱量Qeffの調整可能な範囲で、LD1−1の実効光量Peff1を変えずに、当該LD1−1の実効発熱量Qeff1を可変できるので、上記第1の実施の形態と同様に、ペルチェ素子などの安定した動作の為にそれぞれ温度調整用の素子を別途設けることなく、温度の安定性を上げることができる。
【0042】
[第2の変形例]
図8は光源装置20の第2の変形例の構成図を示す。なお、
図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
この光源装置20には、各LD1−1〜1−3のそれぞれ近傍に温度検出器としての温度センサ30−1〜30−3が配置されている。
図9は温度センサ30−1〜30−3の配置図を示す。これら温度センサ30−1〜30−3は、マウント部材2上で、かつ各LD1−1〜1−3に接触するように設けられている。これら温度センサ30−1〜30−3は、それぞれ各LD1−1〜1−3の温度を検出してその電気信号を出力する。これら温度センサ30−1〜30−3は、例えば、サーミスタや熱電対、非接触で温度を測定するセンサなど一般的な温度センサであれば何でもよい。これら温度センサ30−1〜30−3から出力される電気信号は、温度制御回路11に送られる。
この温度制御回路11は、温度センサ30−1〜30−3から出力された各電気信号を入力し、これら電気信号(各LD1−1〜1−3の温度)に基づいて各LD1−1〜1−3の温度がそれぞれ所定の温度の状態になるように駆動条件である周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比を調整する。所定の
温度の状態とは、温度センサ30−1〜30−3により検出される各LD1−1〜1−3の温度が所定の温度となる状態である。
【0043】
このように第2の変形例であれば、温度センサ30−1〜30−3から出力される各LD1−1〜1−3の温度)に基づいて各LD1−1〜1−3の温度がそれぞれ所定の温度の状態になるように駆動条件である周期的なパルス波形のピーク電流値又はデューティー比を調整するので、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0044】
[第3の変形例]
図10は光源装置20の第3の変形例の構成図を示す。なお、
図8と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
この光源装置20には、上記第2の変形例と同様に、各LD1−1〜1−3のそれぞれ近傍に温度検出器としての各温度センサ30−1〜30−3が配置されている。
マウント部材2には、温度調整素子としてのペルチェ素子40を介して放熱器3が設けられている。
図11はペルチェ素子40の配置を示す。このペルチェ素子40は、マウント部材2と放熱器3との間に設けられている。このペルチェ素子40は、各LD1−1〜1−3の加熱又は冷却の温度調整を行う。このペルチェ素子40は、例えば1個設けられている。このペルチェ素子40の個数は、3個の各LD1−1〜1−3の個数よりも少ない。
温度制御回路11は、各温度センサ30−1〜30−3から出力される電気信号から各LD1−1〜1−3の温度を求め、これら温度に基づいて当該各温度センサ30−1〜30−3により検出される温度が所定の温度になるようにペルチェ素子40を駆動制御し、各LD1−1〜1−3を加熱又は冷却する。
【0045】
各LD1−1〜1−3は、それぞれ種類の異なるものであり、その特性も異なる。
記憶素子13に記憶されている各LD1−1〜1−3の各駆動特性情報は、それぞれ各LD1−1〜1−3毎に記憶されている。
各LD1−1〜1−3は、当該各LD1−1〜1−3とペルチェ素子40との熱コンダクタンスが等しくなるように配置される。
【0046】
温度制御回路11は、LD1−1、1−2又は1−3のうち発熱量が最も高いLD、又はLD1−1、1−2又は1−3のうち必要な実効出力が最も高いLD、若しくはLD1−1、1−2又は1−3のうち温度が最も高いLDの近傍に設けられた温度センサ30−1、30−2又は30−3により検出される温度に基づいてペルチェ素子40の温度を制御する。
【0047】
具体的に温度制御回路11は、LD1−1〜1−3の近傍の温度センサ30−1、30−2又は30−3により検出される温度と所定の温度とを比較し、検出される温度が所定の温度より高い場合はペルチェ素子40に印加する電流値を減少し、検出される温度が所定の温度より低い場合はペルチェ素子40に印加する電流値を増加する。
なお、温度制御回路11は、PID制御理論などで電流値を決定しても良い。
【0048】
このように構成された第3の変形例であれば、LD1−1〜1−3の近傍に設けられた温度センサ30−1、30−2又は30−3によって検出される温度と所定の温度とを比較し、この比較結果に基づいてペルチェ素子40の温度を制御するので、複数のLD1−1〜1−3を異なる出力に設定したとしても、各LD1−1〜1−3の発熱量Qを等しくできるので、1つのペルチェ素子40により温度調整機構を構成しても、各LD1−1〜1−3の温度を等しく制御でき、出力の安定性を高めることができる。
【0049】
なお、各LD1−1〜1−3の順方向電圧Vfは、駆動電流により変動する特性を持つ場合がある。この場合、
記憶素子13に有するLD1−1〜1−3の駆動特性情報として順方向電圧Vfと駆動電流のテーブルデータとを保存しておくのが良い。効率が最大で、かつピークが定格のときには最適である。
【0050】
一方、各LD1−1〜1−3の順方向電圧Vfが駆動電流により変動する特性を持つ場合でなければ、発熱量Qが最大となるLD1−1〜1−3についてデューティーDを求める際、温度制御回路11は、光出力が最大定格値Pmaxとなる電流ではなく、効率が最大となる駆動電流パルスPI1〜PI3(Idrv)をピーク電流とすると良い。
又、効率最大となる電流では電流が足りない(デューティー比Dが100%を超える)場合は、ディーティー比Dが100%以下となる最小の電流とすると良い。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、
図10と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図12は光源装置20を組み込んだ内視鏡装置50の全体ブロック構成図を示す。撮像素子51は、内視鏡挿入部の先端部に設けられている。内視鏡挿入部は、例えば被検体内に挿入されて当該被検体内を撮像してその画像を取得したり、被検体内に対する治療・処置を行う。撮像素子51は、被検体内に挿入されたときには当該被検体内を撮像してその撮像信号を出力する。この撮像素子51から出力された撮像信号は、画像処理回路52に送られる。
この画像処理回路52は、撮像素子51から出力された撮像信号を入力し、この撮像信号を画像処理して被検体の画像を取得する。この画像処理回路52は、同期信号を生成し、この同期信号を撮像素子51に送る。この撮像素子51は、画像処理回路52からの同期信号に同期して撮像動作(露光動作)する。
【0052】
これと共に、画像処理回路52は、同期信号を各駆動回路14−1〜14−3に送る。これら駆動回路14−1〜14−3は、それぞれ各LD1−1〜1−3に駆動波形を印加して駆動し、当該各LD1−1〜1−3からレーザ光を発光させる。画像処理回路52からの同期信号に従って駆動回路14−1〜14−3から各LD1−1〜1−3に印加する駆動電流パルスPI1〜PI3の立ち上がりタイミングを調整する。
図13は撮像素子51とLD1−1〜1−3との動作タイミングを示す。撮像素子51は、撮像フレームを取得する撮像周期TP毎に撮像動作(露光動作)を行う。各LD1−1〜1−3に印加される駆動電流パルスPI1〜PI3は、パルス周期PIWでハイレベルとローレベルとを繰り返す。このパルス周期PIWは、上記
図3に示す周期(T1+T2)に相当する。
従って、画像処理回路52は、各LD1−1〜1−3に印加する駆動電流パルスPI1〜PI3のパルス周期PIWを、撮像素子51の撮像周期(撮像フレームを取得する周期)TPの自然数分の1に設定する。
【0053】
このように上記第2の実施の形態であれば、像素子51を撮像動作(露光動作)させる同期信号に従って各LD1−1〜1−3に印加する駆動電流パルスPI1〜PI3の立ち上がりタイミングを調整、例えば駆動電流パルスPI1〜PI3のパルス周期PIWを、撮像素子51の撮像周期TPの自然数分の1に設定するので、ちらつきのない撮像情報を得ることができる。
なお、本実施の形態は、パルス波形のデューティー比を可変するパルス幅変調(PWM)を用いるに限らず、駆動電流パルスPI1〜PI3のパルス幅を一定にして周期を可変するようにしてもよい。この場合は、駆動電流パルスPI1〜PI3のパルス幅を撮像素子51の撮像フレーム周期に比べて十分短くする必要が有る。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。