特許第6378906号(P6378906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6378906電子回路モジュール用基板、電子回路モジュール用基板のための多面取り基板、及び電子回路モジュール用基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378906
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】電子回路モジュール用基板、電子回路モジュール用基板のための多面取り基板、及び電子回路モジュール用基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20180813BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20180813BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H05K1/11 C
   H01L23/12 L
   H05K3/00 X
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-54282(P2014-54282)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2015-177141(P2015-177141A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高野 出
(72)【発明者】
【氏名】木田 真吾
【審査官】 ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−073842(JP,A)
【文献】 特開平10−270819(JP,A)
【文献】 特開2004−342930(JP,A)
【文献】 特開2002−261412(JP,A)
【文献】 特開平08−298362(JP,A)
【文献】 特開2003−174258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/11
H01L 23/12
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板に取り付けられて電気的に接続される電子回路モジュールに用いられる電子回路モジュール用基板であって、
前記プリント配線板への取り付け面側の周縁に沿って配置された電極パッドのそれぞれから一体的に延在して前記電子回路モジュール用基板の端面に配置される端面電極を備え、各前記端面電極は、前記電子回路モジュール用基板を個片として切り出す際に当該電子回路モジュール用基板同士の境界面に設けられている、底面に向けて縮径する切頭錐台形状の縦断面を有するブラインドビアを半割することによって形成される、
電子回路モジュール用基板。
【請求項2】
請求項1に記載の電子回路モジュール用基板を個片として切り出すために、前記電子回路モジュール用基板の端面電極となるブラインドビアが前記電子回路モジュール用基板の切り出し区画ライン上に所定の間隔で形成されている、
電子回路モジュール用基板のための多面取り基板。
【請求項3】
個片として形成される電子回路モジュール用基板に設ける電極パッドと、前記電極パッドと一体的に延在して前記電子回路モジュール用基板の端面に配置される端面電極を形成することとなる、底面に向けて縮径する切頭錐台形状の縦断面を有するブラインドビアが前記電子回路モジュール用基板の切り出し区画ライン上に所定の間隔で形成されている多面取り基板を用意し、
前記多面取り基板について、前記ブラインドビアを半割するように前記電子回路モジュール用基板を切り出す、
電子回路モジュール用基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子回路モジュール用基板、電子回路モジュール用基板のための多面取り基板、及び電子回路モジュール用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンを始めとする各種携帯端末が急速に普及するにつれ、小型化、高性能化への要求がよりいっそう強くなっている。この点から、携帯端末に内蔵されるマザーボード等のプリント配線板に取り付ける電子部品に対しても、高密度実装の観点から高集積化によるいっそうの小型化が求められている。高集積化を実現するために、プリント配線板に取り付ける電子部品はモジュール化されており、例えばLGA(Land Grid Array)型の基板上にLSI(Large Scale Integrated circuit)チップ等を実装して構成される電子回路モジュールが採用される。LGA型基板は基板の裏面に、マザーボード等の他のプリント配線板へ電気的に接続及び機械的に固着させるための複数の電極パッドが設けられている。
【0003】
図6図7に、一般的なLGA型基板の構成を模式的に示している。図6はLGA型基板100をその裏面側から見た平面図、図7は、図6の基板100のVII−VII矢視部分断面図である。基板100は、ガラスエポキシ樹脂等の適宜の材料で平板状に形成されたサブストレート110と、サブストレート110の裏面側(他のプリント配線板への取付面側)にその周縁にそって配設されている複数の電極パッド120を有している。サブストレート110の表面側中央部には、LSIチップ等を配置するための凹部であるキャビティ130が設けられている。レジスト層140は、電極パッド120同士のハンダショートを防止するための絶縁膜である。図8に、図6の基板100をプリント配線板200に取り付けた状態を示す部分断面図を示している。LSIチップ等が配設された電子回路モジュールの基板100は、その電極パッド120とプリント配線板200の対応する表面電極210をリフローハンダ付けすることにより、ハンダ接合部300により機械的及び電気的に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−204730
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、LGA型基板は電極パッド120を裏面に配置しているためにモジュールの小型化には適しているものの、図8に例示しているように、LGA型基板で構成した電子回路モジュールをマザーボード等の他のプリント配線板にハンダ接合した場合、ハンダ接続の部分が基板の裏面に隠れてしまうので、ハンダ接続の状態を目視で確認することができないという問題がある。また、従来のLGA型基板では、モジュール小型化の要請に応えて基板の寸法を縮小した場合に、LSIチップ等の搭載エリアを確保すれば、基板に設けられる電極パッド120のサイズを縮小する必要があり、モジュール用基板の他のプリント配線板への実装固着強度を十分に確保することが難しくなるという問題もある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決し、電子回路モジュールとプリント配線板との接続部分の状態を目視で確認することを可能とし、また電子回路モジュールのプリント配線板に対する実装固着強度を確保することを可能とする電子回路モジュール用基板、電子回路モジュール用基板のための多面取り基板、及び電子回路モジュール用基板の製造方法を提供することを一つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、プリント配線板に取り付けられて電気的に接続される電子回路モジュールに用いられる電子回路モジュール用基板であって、前記プリント配線板への取り付け面側の周縁に沿って配置された電極パッドのそれぞれから一体的に延在して前記電子回路モジュール用基板の端面に配置される端面電極を備え、各前記端面電極は、前記電子回路モジュール用基板を個片として切り出す際に当該電子回路モジュール用基板同士の境界面に設けられている、底面に向けて縮径する切頭錐台形状の縦断面を有するブラインドビアを半割することによって形成される、電子回路モジュール用基板である。
【0008】
前記の電子回路モジュール用基板は、個片として形成される電子回路モジュール用基板に設ける電極パッドと、前記電極パッドと一体的に延在して前記電子回路モジュール用基板の端面に配置される端面電極を形成することとなる、底面に向けて縮径する切頭錐台形状の縦断面を有するブラインドビアが前記電子回路モジュール用基板の切り出し区画ライン上に所定の間隔で形成されている多面取り基板を用意し、前記多面取り基板について、前記ブラインドビアを半割するように前記電子回路モジュール用基板を切り出すことにより製造することができる。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の一態様によれば、電子回路モジュールとプリント配線板との接続部分の状態を目視で確認することを可能とし、また電子回路モジュールのプリント配線板に対する実装固着強度を確保することを可能とする電子回路モジュール用基板、電子回路モジュール用基板のための多面取り基板、及び電子回路モジュール用基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール用基板10の裏面側からみた模式平面図である。
図2図2は、図1の電子回路モジュール用基板10の端面電極を含む模式部分断面図である。
図3図3は、図1の電子回路モジュール用基板10の端面電極と、取り付け対象であるプリント配線板との接合状態を示す模式部分断面図である。
図4図4は、図1の電子回路モジュール用基板10を多面取りするための多面取り基板40の、ブラインドビア13Aを含む部分模式断面図である。
図5図5は、図4の多面取り基板40の一例を示す斜視図である。
図6図6は、従来の電子回路モジュール用基板100の裏面側から見た模式平面図である。
図7図7は、図6の従来の電子回路モジュール用基板100の電極パッド120を含む模式部分断面図である。
図8図8は、図6の電子回路モジュール用基板100の電極パッド120と、取り付け対象であるプリント配線板との接合状態を示す模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態につき、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール用基板10の裏面側から見た模式平面図、図2は、図1の電子回路モジュール用基板10の端面電極を含むII−II矢視模式部分断面図である。
【0012】
図1に示すように、電子回路モジュール用基板10は、ガラスエポキシ樹脂等の基板に適する任意の材料から選択した材料で平板状に形成されているサブストレート11と、その裏面側に配設されている電極パッド12及び端面電極13と、レジスト層16とを備える。サブストレート11は例えば略矩形に形成されており、図1に示すように8組の電極パッド12及び端面電極13を備えているが、特にこの構成に限定されることはない。
【0013】
電子回路モジュール用基板10の表面(マザーボード等の他のプリント配線板への取り付け側と反対側)には、LSIチップ等の電子回路要素部品を配置するための凹所であるキャビティ14が設けられている。キャビティ14は、例えば図1に示すように平面矩形として形成されるが、特にこの構成に限定されることはない。ただしキャビティを有する電子回路モジュール用基板10では、中央部に補強用ハンダ付けパッドを設置することができないため、より本発明の効果が得られる。
【0014】
各電極パッド12には、端面電極13が一体的に設けられている。端面電極13は、電極パッド12から一体的に連なって凹設される、切頭錐台を半割状とした凹部として形成されている。端面電極13は、サブストレート11の裏面側に設けられている導体層でなる電極パッド12の表面からレーザ光を照射してビアを形成したあとに銅めっきを施したブラインドビア(後述)を半割することによって形成される。ブラインドビアの内表面に電極パッド12表面と同様の表面処理を行うことにより、端面電極13の凹部表面も電極パッド12と同様のハンダ接合に適した表面性状とされている。
【0015】
サブストレート11の内部には、表面に設けられている電極パッド12と略平行に、ブラインドビアの底部を構成するように、レーザ受けランド15が埋め込まれている。端面電極13は、サブストレート11の表面に設けられている電極パッド12を形成する導体層にレーザービアを形成し、銅めっきを施すことによって得られたブラインドビアの中心付近を縦断面でダイシングすることにより得られる。
【0016】
図3に、電子回路モジュール用基板10の電極パッド12及び端面電極13と、取り付け対象であるプリント配線板30との接合状態を、部分断面図として模式的に示している。電子回路モジュール用基板10のプリント配線板30への取り付けは、通常リフローハンダ付けで行われる。リフローハンダ付けにより、電子回路モジュール用基板10の電極パッド12及び端面電極13と、プリント配線板30のランド31との間にハンダ接合部20が形成され、その電子回路モジュール用基板10端面側には外方へせり出すようにハンダフィレット21が形成される。
【0017】
このように、ハンダ接合部20が電極パッド12だけでなく端面電極13にも固着されることにより、電子回路モジュール用基板10の小型化に伴い電極パッド12が縮小された場合でも、所要の固着強度を確保することが可能となる。また、プリント配線板30に取り付けた電子回路モジュール用基板10をその表面あるいは側面側から見ると、基板10の外縁からせり出しているハンダフィレット21を視認することができるので、ハンダ接合部20の状態を、電子回路モジュール用基板10取り付け後に目視で確認することができる。さらに、キャビティ14のLSIチップ等の電子回路要素を、端面電極13となるブラインドビアと内層で接続できるので、キャビティ14の層と電極パッド12とを別途の手段で接続する必要がなく、配線パターンの引き回しが容易となる。
【0018】
次に、以上説明した本実施形態の電子回路モジュール用基板10を多面取りするための多面取り基板について説明する。図4に、図1の電子回路モジュール用基板10を多面取りするための多面取り基板30の、ブラインドビア13を含む部分模式断面図を、図5に、図4の多面取り基板40の一例を示す斜視図を示している。
【0019】
図4図5に示すように、多面取り基板40は、電子回路モジュール用基板10を構成するサブストレート11に、電極パッド12を構成する導体層と、ブラインドビア13Aの底部をなすレーザ受けランド15とをあらかじめ設けてなる。多面取り基板40には、電子回路モジュール用基板10として個切される多数の区画が設けられており、その互いの境界部に配置されている電極パッド12に、所望のブラインドビア13Aが形成される。前記したように、各ブラインドビア13Aは、電極パッド12の表面からレーザ光を照射してビアを形成したあとに銅めっきを施すことにより形成する。
【0020】
多面取り基板40の電極パッド12の部分にブラインドビア13Aを形成した後、多面取り基板40に形成されている電子回路モジュール用基板10を分離するために、各電子回路モジュール用基板10の境界線(図4のL−L線)に沿って、ダイシングにより切断を行う。このようにして、多面取り基板40から多数の電子回路モジュール用基板10を得ることができる。
【0021】
以上説明した本実施形態の電子回路モジュール用基板10によれば、電子回路モジュール用基板10の小型化のために電極パッド12のサイズを縮小した場合であっても、端面電極13によりハンダフィレット21が形成されるので、所要の実装固着強度を確保することができる。また、端面電極13に形成されるハンダフィレット21により、ハンダ付け部の状態を外観検査することができるので、特に高信頼性が要求される車載機器に適した電子回路モジュール用基板10を得ることができる。さらに、多面取り基板40から多数の電子回路モジュール用基板10を得ることができるため、従来の一般的な端面スルーホール基板よりも安価に製造することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 電子回路モジュール用基板 11 サブストレート
12 電極パッド 13 端面電極 13A ブラインドビア
14,130 キャビティ 15 レーザ受けランド
16,140 レジスト層 20 ハンダ接合部
21 ハンダフィレット 30,200 プリント配線板
31 ランド 40 多面取り基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8