特許第6378911号(P6378911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378911
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】手すりユニットおよび手すり設備
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   E04F11/18
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-58940(P2014-58940)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-183394(P2015-183394A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】511250910
【氏名又は名称】大日工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100178951
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 和家
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 昌之
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−113643(JP,U)
【文献】 特開2005−009093(JP,A)
【文献】 特開2004−003206(JP,A)
【文献】 特開2003−161018(JP,A)
【文献】 特開2006−152726(JP,A)
【文献】 特開平11−111016(JP,A)
【文献】 特開2009−087864(JP,A)
【文献】 特開2014−019530(JP,A)
【文献】 特開2001−164723(JP,A)
【文献】 実開平07−038387(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0315023(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
F21V 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な手すり構成部材に照明手段が内蔵された手すり本体と、
前記手すり本体を支え、前記照明手段に接続した導線を内部に有するブラケットとを備えたものであり、
前記ブラケットは、前記手すり本体の端部に装着され、該手すり本体から見た開放端面を形成するものであって、該開放端面から放音するスピーカを内蔵したものであることを特徴とする手すりユニット
【請求項2】
壁面に間隔をあけて取り付けられた、基体と蓋体を有するブラケットの間に、手すり本体が架設された手すり設備において、
前記基体は、固定部と、該固定部から、前記壁面とは反対側になる外側へ斜め上方に延設された連結部と、該連結部の上端に形成されて前記手すり本体が挿入され挿入された手すり本体を支持する支持部とが、一体的に形成されたものであり、
前記固定部が、表裏を貫通するねじ孔と、第1挿通孔とを有し、該ねじ孔にねじを通して前記壁面にねじ止めされたものであり、
前記連結部が、前記支持部の内周面に通ずる第2挿通孔を有するものであり、
前記手すり本体は、導線から電力が供給される一又は複数種類の電気部材を有するものであり、
前記第2挿通孔は、前記導線が挿通されたものであり、
前記第1挿通孔は、前記導線が挿通されたものであり、
前記蓋体は、前記導線の、前記第1挿通孔と前記第2挿通孔との間の部分と、前記ねじ孔に通されたねじの頭部とを含めて、前記連結部を外側から覆うものであり、
前記電気部材が、スピーカであり、
前記支持部が、前記手すり本体の端部を支持するものであって、該手すり本体の端面を覆う開放端面を有するものであり、
前記スピーカが、前記手すり本体の端面と前記開放端面との間にクッション材で挟まれた状態で配置されたものであることを特徴する手すり設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺な手すり構成部材に照明手段やスピーカ等の電気部品が内蔵された手すり本体と、その手すり本体を支えるブラケットとを備えた手すりユニット、および、手すりユニットを壁面等に固定した手すり設備に関する。
【背景技術】
【0002】
階段の昇り降りや廊下の歩行等を補助する手すりユニットが、階段や廊下等に設置される場合がある。このような手すりユニットには、壁面に固定されたブラケット等によって支えられた手すり本体を備えたものがあり、利用者は、この手すり本体を掴むことによって階段を昇り降りする際や廊下を歩行する際などに足腰にかかる負担を軽減することができる。しかしながら、例えば階段や廊下が暗い場合などに利用者が手すりユニットの存在に気付かないと、手すりユニットが利用者にとって障害物になってしまう場合がある。一方、建物側に備えられた蛍光灯などの照明器具を点灯させると必要以上に明るくなってしまい、消費電力の無駄が生じてしまったり、特に夜間にトイレに行く際には、明るさで目が覚めてしまう場合があるといった不都合もある。このため、建物側の照明器具を点灯させることなく、手すりユニットの存在や位置等を利用者に気付かせる工夫がなされた手すりユニットが提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3等参照)。
【0003】
特許文献1記載の手すりユニットは、長尺な手すり構成部材と、この手すり構成部材の長手方向の端部に取り付けられた機能ユニットを有する手すり本体を備え、機能ユニットに照明装置を設けたものである。また、特許文献2記載の手すりユニットは、長尺な手すり構成部材の長手方向の中間部分に機構部が組み込まれた手すり本体を備え、この機構部に発光ダイオード等の光源を設けたものである。さらに、特許文献3記載の手すりユニットは、階段に立設した複数の支持部材に支えられた手すり構成部材と、この手すり構成部材に点灯表示具が設けられた手すり本体を備えたものである。これら特許文献1〜特許文献3記載の手すりユニットは、手すり本体に設けられた照明装置等の照明手段を点灯させることによって、建物側の照明器具を点灯させることなく、手すりユニットの存在等を利用者に気付かせようと試みたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−3206号公報
【特許文献2】特開2003−97005号公報
【特許文献1】特開2005−133523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された手すりユニットは、照明手段の電源として、機能ユニットや機構部に内蔵された電池を用いているため、その交換作業が必要になる。ここで、電池の交換作業を不要にするには、照明手段の電源に商用電源等を用いることが考えられるが、商用電源のコンセント等から照明手段までの配線の取り回しが難しい。また、特許文献3には、照明手段の電源に関する記載はないが、特許文献3記載の手すりユニットにおいても、照明手段の電源に商用電源等を用いる場合には、その配線の取り回しが難しい点は同様である。さらに、複数の手すりユニットが間隔をあけて連設された手すり設備が、廊下や階段に設置される場合がある。この手すり設備に用いられる手すりユニットに照明手段を設け、照明手段の電源に商用電源等を用いる場合にも、それぞれの照明手段への配線の取り回しが問題になる。また、このような配線の取り回しの問題は、手すりユニットに照明手段を設けた場合だけでなく、例えば、手すりユニットにスピーカ等の他の電気部品を設けた場合においても同様に生じるものである。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、照明手段やスピーカ等の電気部品への配線の取り回しが容易な手すりユニットおよび手すり設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の手すりユニットは、長尺な手すり構成部材に照明手段が内蔵された手すり本体と、
前記手すり本体を支え、前記照明手段に接続した導線を内部に有するブラケットとを備えたものであることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記照明手段の光源は、発光ダイオード(以下、LEDという)であってもよいし、蛍光灯や白熱電球であってもよい。また、前記照明手段は、その光源が発光することで前記手すりユニットの存在や位置、形状等を利用者に知覚させるものであってもよいし、利用者の足元などを照らすものであってもよい。さらに、前記照明手段は、利用者が接近したことを人感センサ等が感知すると点灯するものであってもよいし、利用者が操作子を操作することで点灯するものであってもよい。
【0009】
本発明の手すりユニットによれば、前記照明手段に接続した導線を内部に有するブラケットを備えたものであるため、該導線を該ブラケットの内部から、例えば、該ブラケットが取り付けられた壁面の裏側にまわすことができ、配線の取り回しが容易になる。
【0010】
本発明の手すりユニットにおいて、前記手すり本体は、その手すり本体の端部となる開放端面から放音するスピーカを内蔵したものであってもよい。また、本発明の手すりユニットにおいて、前記ブラケットは、前記手すり本体の端部に装着され、該手すり本体から見た開放端面を形成するものであって、該開放端面から放音するスピーカを内蔵したものであってもよい。
【0011】
ここで、前記ブラケットは、前記スピーカに接続したリード線等の導線を内部に有するものであってもよい。また、前記手すり本体は、前記手すり構成部材の長手方向が水平方向に一致する姿勢で支えられたものであってもよいし、前記手すりユニットが階段の壁面などに設置される場合には、前記手すり本体は、前記手すり構成部材の長手方向が水平方向に対して傾斜した姿勢で支えられたものであってもよい。前記手すり構成部材の長手方向が水平方向に対して傾斜した姿勢で支えられた態様では、前記スピーカは、該手すり構成部材の長手方向に放音するものであってもよいし、水平方向に放音するものであってもよい。
【0012】
前記手すり本体が、前記開放端面から放音する前記スピーカを内蔵した態様、または前記ブラケットが、前記開放端面から放音する前記スピーカを内蔵した態様を採用することで、例えば、前記手すり構成部材から前記長手方向に離れた利用者に向けて放音することができる。これにより、前記スピーカから、例えば、前記手すりユニットの存在を知らせる音声等を放音することによって、前記長手方向に離れた利用者を該手すりユニットに効率的に誘導することができる。
【0013】
また、本発明の手すりユニットにおいて、前記ブラケットは、壁面または該壁面に取り付けられた補強材に固定されるものであり、
前記照明手段は、照射方向が真下よりも前記壁面側に向けられたものであることが好ましい。
【0014】
こうすることで、前記照明手段の光が利用者の目に直接入りにくくなり、該利用者が感じる眩しさを軽減することができる。
【0015】
さらに、本発明の手すりユニットにおいて、前記照明手段は、前記手すり構成部材の長手方向に配置された複数の光源を有するものであってもよい。
【0016】
ここで、前記複数の光源は、連続して発光させてもよいし、全て同時に、あるいは順番に点滅させてもよい。また、前記複数の光源は、前記手すり構成部材の長手方向における、一端側から他端側に向けて順番に発光あるいは点滅させてもよい。前記複数の光源を、前記手すり構成部材における、一端側から他端側に向けて順番に発光あるいは点滅させることで、例えば非常時に避難する方向を利用者に明確に示すことができる。さらに、前記複数の光源は、発光色や照度が異なる光源を組み合わせたものであってもよく、発光色や照度が異なる該複数の光源のうち、特定の発光色や照度の光源を選択して発光させてもよいし、発光色が異なる該複数の光源を同時に発光させてもよい。
【0017】
また、本発明の手すりユニットにおいて、前記手すり構成部材は、長手方向に延在し前記導線に接続した電力供給ラインを有するものであり、
前記照明手段は、おもて面に光源を有し、裏面に前記電力供給ラインに接触する電極部を有するものであり、
前記光源は、前記電力供給ラインから前記電極部を経由して供給された電力によって発光するものであることが好ましい。
【0018】
こうすることで、前記電極部を前記電力供給ラインに接触させるように前記照明手段を配置することによって前記光源に電力を供給することができる。
【0019】
またさらに、本発明の手すりユニットにおいて、前記手すり構成部材と前記ブラケットは、一体に成形されたものであってもよい。
【0020】
こうすることで、前記ブラケットを前記壁面等に固定すれば前記照明手段の照射方向が定まる。このため、例えば、前記照明手段の照射方向が所望の角度で前記壁面側に向くように前記手すり構成部材と前記ブラケットとを一体に成形することで、前記手すりユニットを該壁面等に取り付ける際に、該照明手段の照射方向の調整が不要になる。また、前記手すり構成部材と前記ブラケットとの間の段差をなくすことも容易になる。
【0021】
上記目的を解決する本発明の手すり設備は、長尺な手すり構成部材に照明手段が内蔵された手すり本体をそれぞれ備えた複数の手すりユニットが間隔をあけて連設された手すり設備であって、
前記手すりユニットは、
壁面または該壁面に取り付けられた補強材の表面に固定された状態で前記手すり本体を支え、前記照明手段に接続した導線を内部に有するブラケットとを備えたものであり、
隣り合う前記手すりユニットの前記導線どうしは、前記ブラケットが固定された面の裏側で接続したものであることを特徴とする。
【0022】
こうすることで、隣り合う該手すりユニット間に前記導線が接続される場合であっても配線の取り回しが容易になる。
【0023】
ここで、前記手すり設備は、前記複数の手すりユニットが、廊下に、前記手すり構成部材の長手方向に間隔をあけて連設されたものであってもよい。また、前記手すり設備は、前記複数の手すりユニットが、廊下や階段の踊り場と、階段とが接続する箇所を挟んで間隔をあけて連設されたものであってもよい。さらに、前記手すり設備は、前記複数の手すりユニットが、廊下の曲り角を挟んで間隔をあけて連設されたものであってもよい。
【0024】
上記目的を解決する本発明の手すり設備は、壁面に間隔をあけて取り付けられた、基体と蓋体を有するブラケットの間に、手すり本体が架設された手すり設備において、
前記基体は、固定部と、該固定部から、前記壁面とは反対側になる外側へ斜め上方に延設された連結部と、該連結部の上端に形成されて前記手すり本体が挿入され挿入された手すり本体を支持する支持部とが、一体的に形成されたものであり、
前記固定部が、表裏を貫通するねじ孔と、第1挿通孔とを有し、該ねじ孔にねじを通して前記壁面にねじ止めされたものであり、
前記連結部が、前記支持部の内周面に通ずる第2挿通孔を有するものであり、
前記手すり本体は、導線から電力が供給される一又は複数種類の電気部材を有するものであり、
前記第2挿通孔は、前記導線が挿通されたものであり、
前記第1挿通孔は、前記導線が挿通されたものであり、
前記蓋体は、前記導線の、前記第1挿通孔と前記第2挿通孔との間の部分と、前記ねじ孔に通されたねじの頭部とを含めて、前記連結部を外側から覆うものであることを特徴する。
【0025】
本発明の手すり設備によれば、前記導線の配線の取り回しが容易になるとともに、前記導線の、前記第1挿通孔と前記第2挿通孔との間の部分と、前記ねじ孔に通されたねじの頭部とを前記蓋体によって隠すことができる。
【0026】
本発明の手すり設備において、前記導線が、前記第1挿通孔から引き出された第1部分と、前記第2挿通孔から引き出された第2部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分が結線されたものであってもよい。
【0027】
こうすることで、前記導線の配線の取り回しがより容易になる。
【0028】
また、本発明の手すり設備において、前記電気部材が、照明手段であってもよい。
【0029】
さらに、本発明の手すり設備において、前記手すり本体は、長手方向に延在し前記導線に接続した電力供給ラインが設けられたものであり、
前記照明手段が、おもて面に光源を有し、裏面に前記電力供給ラインに接触する電極部を有するものであり、
前記光源は、前記電力供給ラインから前記電極部を経由して供給された電力によって発光するものであることが好ましい。
【0030】
また、本発明の手すり設備において、前記電気部材が、スピーカであってもよい。
【0031】
ここで、前記電気部材は、振動を発生するバイブレータであってもよい。
【0032】
さらに、本発明の手すり設備において、前記支持部が、前記手すり本体の端部を支持するものであって、該手すり本体の端面を覆う開放端面を有するものであり、
前記スピーカが、前記手すり本体の端面と前記開放端面との間にクッション材で挟まれた状態で配置されたものであることが好ましい。
【0033】
こうすることで、前記スピーカから出力された音声等の、いわゆるビビリ等が抑えられるとともに、前記手すり本体における長手方向の寸法誤差なども吸収することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、照明手段やスピーカ等の電気部品への配線の取り回しが容易な手すりユニットおよび手すり設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態である手すりユニットを廊下に設置した手すり設備の一例を示す側面図である。
図2】(a)は、図1に示す手すり本体の分解斜視図であり、(b)は、図1に示すブラケットの分解斜視図である。
図3】(a)は、図1に示す手すりユニットのA部を拡大して示す図であり、(b)は、図1に示す手すりユニットのB−B断面図である。
図4】(a)は、図1に示す手すりユニットのC部を拡大して斜めから示す分解斜視図であり、(b)は、本実施形態の変形例における、(a)に対応した態様を示す斜視図である。
図5】(a)は、手すり本体の変形例における端部を、握り棒の長手方向に見た図であり、(b)は、(a)に示す基板を握り棒に固定する状態を説明するための図である。
図6】(a)は、第2実施形態の手すり設備における、図3(a)に対応した態様を示す図であり、(b)は、第2実施形態の手すり設備における、図3(b)に対応した態様を示す図である。
図7】第2実施形態の手すり設備における、図4(a)に対応した態様を示す分解斜視図である。
図8】本発明の第3実施形態の手すり設備を、階段とその踊り場に設置した例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態である手すりユニットを廊下に設置した手すり設備の一例を示す側面図である。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の手すり設備10に用いられる手すりユニット1は、2本の手すり本体2と、これら手すり本体2,2を支える3つのブラケット3を備えたものである。これら3つのブラケット3は、壁面Wに取り付けられた補強材4の表面に水平方向に互いに間隔をあけて固定されている。以下、図の左側に示すブラケット3を第1端部ブラケット301と称することがあり、図の右側に示すブラケット3を第2端部ブラケット302と称することがある。また、第1端部ブラケット301と第2端部ブラケット302との間に示されたブラケットを中間ブラケット303と称することがある。第1端部ブラケット301と中間ブラケット303には、一方の手すり本体2の端部がそれぞれ支えられ、中間ブラケット303と第2端部ブラケット302には、他方の手すり本体2の端部がそれぞれ支えられている。なお、本実施形態では、手すり本体2の高さを、床面から80cm程度の位置に設定している。天井Cには、人感センサ5が設けられている。この人感センサ5は、手すりユニット1に接近した利用者を感知するためのものである。
【0039】
図1では、左右方向が、後述する握り棒の長手方向になり、以下、握り棒の長手方向を手すりユニット1の長手方向とも称することがある。また、以下では、握り棒の長手方向や手すりユニット1の長手方向を基準にして説明する場合がある。
【0040】
図2(a)は、図1に示す手すり本体の分解斜視図である。なお、図2(a)では、後述するLEDユニットを示すため、このLEDユニットを上方に向けた状態を示している。
【0041】
図2(a)に示すように、手すり本体2は、握り棒21と、LEDユニット22と、LEDユニット22に一端側が接続した導線23と、照明カバー24を備えている。握り棒21は長尺なものであり、本発明における手すり構成部材の一例に相当する。本実施形態では、握り棒21は木製であり、その長手方向の長さが例えば900mm程度に設定されている。また、握り棒21には、その長手方向に延在した凹部211が形成されている。LEDユニット22は、基板221と、この基板221のランド部221aに実装されたLED222を有するものであり、基板221が、握り棒21における凹部211の底面211aに固定されている。本実施形態では、2枚の基板221が、握り棒21の長手方向に配置され、この基板221には、複数のランド部221aが握り棒21の長手方向に所定の間隔をあけて設けられている。また、本実施形態では、それぞれの基板221に、6つのLED222が実装されている。すなわち、LED222は、握り棒21の長手方向に所定の間隔をあけて配置されている。LED222は、その発光色が限られるものではないが、本実施形態では、青白色、蛍光灯色、電球色、あるいは赤白色等の中から1種類の発光色のLED222を選択して基板221に実装している。図1に示すように、手すり本体2の高さが床面Fから80cm程度になるように手すりユニット1を設置した場合、各発光色のLED222における床面F付近の照度は、青白色が25ルクス〜35ルクス、蛍光灯色が20ルクス〜30ルクス、電球色が7ルクス〜17ルクス、赤白色が20ルクス〜30ルクスである。非常階段や倉庫の照度は、一般的に20ルクス〜50ルクス程度といわれており、本実施形態では、床面Fの照度が、非常階段や倉庫における一般的な照度の範囲の下限側、あるいは非常階段や倉庫における一般的な照度よりも低くなるように設けられている。なお、非常階段や倉庫における一般的な照度の範囲の下限側、あるいは非常階段や倉庫における一般的な照度よりも低い照度のLED222を用いてもよい。また、基板221に、複数の発光色のLED222を実装しておき、そのうちのいずれか1色のLED222を選択して発光させてもよいし、複数の発光色のLED222を同時に発光させてもよい。
【0042】
導線23は、商用電源から供給される電力をLEDユニット22に供給するものである。図示は省略するが、商用電源のコンセントに接続したACアダプタが電源ボックス等に接続し、この電源ボックス等から延びる分配線が導線23に接続される。商用電源からACアダプタに交流電力が入力されると、ACアダプタから12Vあるいは24Vの直流電力が出力され、この直流電力が電源ボックス等に供給される。この電源ボックスから、分配線と導線23を流れてLEDユニット22に直流電力が供給され、LEDユニット22のLED222が発光する。すなわち、LEDユニット22は、本発明における照明手段の一例に相当し、LED222が本発明における光源の一例に相当する。なお、光源として、蛍光灯や白熱電球を用いることもできる。ただし、LEDは、消費電力が少なく、また、発熱量も少ないため手すり本体2が熱くならない。このため、光源としてLEDを用いることが好ましい。手すり本体2における各基板221の回路は、導線やはんだ付け等によって並列に接続され、図1に示す2本の手すり本体2におけるそれそれの基板221どうしの回路も不図示の導線等によって並列に接続されている。
【0043】
照明カバー24は、例えばポリカーボネイト製の半透明のものであり、握り棒21の長手方向にわたって凹部211に取り付けられることで、凹部211内に固定されたLEDユニット22を覆うものである。なお、照明カバー24は、その長手方向の長さが、握り棒21の長手方向の長さよりも若干短寸に設定されている。
【0044】
図2(b)は、図1に示すブラケットの分解斜視図である。この図2(b)では、左下方と右上方とを結ぶ方向が、握り棒21の長手方向に相当する。ここでは、中間ブラケット303を例に挙げて説明し、第1端部ブラケット301と第2端部ブラケット302については、中間ブラケット303との違いを後述する。
【0045】
図2(b)に示すように、中間ブラケット303は、ブラケット本体31と、蓋体32を備えている。ブラケット本体31は、例えば金属製の一体のものであり、図1に示す補強材4の表面に固定される固定部311と、手すり本体2の端部を支える支持部312と、固定部311と支持部312とを連結する連結部313を有している。固定部311には、ねじ孔311aと、第1挿通孔311bが設けられている。ブラケット本体31は、ねじ孔311aに挿通されるねじ33(図3(a)参照)によって補強材4に固定される。支持部312は、握り棒21の長手方向における両側が開放したものであり、円筒状の内周面312aを有している。この内周面312aに、握り棒21の長手方向における両側それぞれから、手すり本体2の端部が突き合わされるように挿入され、不図示のねじ等によって手すり本体2,2と中間ブラケット303が固定される。また、連結部313には、支持部312の内周面312aに通ずる第2挿通孔313aが設けられている。蓋体32は、例えば樹脂製のものであり、ブラケット本体31の、固定部311と連結部313に着脱自在に取り付けられる。ブラケット本体31に蓋体32が取り付けられた状態では、ブラケット本体31と蓋体32との間に、所定の空間が形成され、この空間に第2挿通孔313aと第1挿通孔311bそれぞれが開口した状態になる。この空間が、本発明におけるブラケットの内部の一例に相当する。
【0046】
図3(a)は、図1に示す手すりユニットのA部を拡大して示す図であり、図3(b)は、図1に示す手すりユニットのB−B断面図である。図3(a)では、左右方向が握り棒の長手方向になり、図3(b)では、紙面と直交する方向が握り棒の長手方向になる。なお、図3(a)では、図面を簡略化するため、壁面は省略している。
【0047】
図3(a)に示すように、第2端部ブラケット302は、支持部312における、握り棒21の長手方向の一方側(図では右側)が、壁部3121で閉塞されている点が、図2(b)に示す中間ブラケット303と相違する。この壁部3121は、手すり本体2から見た開放端面を形成するものである。第2端部ブラケット302には、その支持部312における、握り棒21の長手方向の他方側(図では左側)に手すり本体2の端部が挿入され、不図示のねじ等によって第2端部ブラケット302に手すり本体2が固定されている。
【0048】
図3(b)に示すように、補強材4には、第2端部ブラケット302の第1挿通孔311bに対応する箇所に、補強材挿通孔4aが設けられている。また、補強材4には、壁面Wに取り付けられる側の面に、握り棒21の長手方向に延在した溝部4bが形成されている。この溝部4bと壁面Wによって握り棒21の長手方向に延在した空間が画定されている。以下、この空間を配線空間Vと称することがある。
【0049】
図3(a)および同図(b)に示すように、LEDユニット22に接続した導線23は、第2端部ブラケット302の第2挿通孔313aに挿通され、ブラケット本体31と蓋体32との間の空間、すなわち第2端部ブラケット302の内部に入り込んでいる。さらに、導線23は、第2端部ブラケット302の内部から、第1挿通孔311bと補強材挿通孔4aに挿通され、配線空間Vまで延び、電源ボックス等から延びる不図示の分配線等に接続されている。すなわち、第2端部ブラケット302は、LEDユニット22に接続した導線23を内部に有するものである。これにより、LEDユニット22への配線の取り回しを容易にすることができる。
【0050】
図3(b)では、LEDユニット22の照射範囲を二点鎖線で示している。本実施形態では、LEDユニット22の照射方向が真下よりも壁面W側に向けられている。ここでいう、照射方向が真下よりも壁面W側に向けられているとは、照射範囲における幅方向の中心が真下よりも壁面W側に向けられていることを意味する。このように、LEDユニット22の照射方向を真下よりも壁面W側に向けることで、LEDの光が利用者の目に直接入りにくくなり、利用者が感じる眩しさを軽減することができる。
【0051】
図4(a)は、図1に示す手すりユニットのC部を拡大して斜めから示す分解斜視図である。なお、図4(a)では、左斜め下方と右斜め上方とを結ぶ方向が、握り棒21の長手方向になる。また、図4(a)では、図面を簡略化するため、壁面は省略している。
【0052】
図4(a)に示すように、第1端部ブラケット301は、スピーカ6を内蔵し、支持部312に装着されるキャップ3122を有する点が、図2(b)に示す中間ブラケット303と相違する。第1端部ブラケット301には、その支持部312に、握り棒21の長手方向の一方側から手すり本体2の端部が挿入され、不図示のねじ等によって第1端部ブラケット301に手すり本体2が固定されている。また、支持部312に、握り棒21の長手方向の他方側からスピーカ6が挿入され、支持部312内にスピーカ6が遊嵌状態で配置されている。なお、スピーカ6は、例えばクッション性に優れた緩衝シート等を用いることで、支持部312内に遊嵌状態で配置してもよい。このスピーカ6の前方に位置するように、支持部312にキャップ3122が取り付けられる。すなわち、第1端部ブラケット301は、手すり本体2の端部に装着され、第1端部ブラケット301のキャップ3122が、手すり本体2から見た開放端面を形成するものであって、この開放端面であるキャップ3122から放音するスピーカ6を内蔵したものである。本実施形態では、スピーカ6から出力された音声等は、キャップ3122から略水平方向に放音される。
【0053】
また、スピーカ6はリード線等の導線61を有するものであり、この導線61は、図3(b)に示す、LEDユニット22に接続した導線23と同様にして、第2挿通孔313a(図3(b)参照)に挿通されて第1端部ブラケット301の内部に入り込み、第2挿通孔313aと補強材挿通孔4a(図3(b)参照)に挿通されて、配線空間Vに延びている。これにより、スピーカ6の導線61についても、その配線の取り回しを容易にすることができる。なお、配線空間Vまで延びた導線61は、不図示のアンプ等に接続されている。
【0054】
次いで、上述した手すり設備10を利用する態様の一例について説明する。
【0055】
図1に示す、廊下の天井Cに設けられた人感センサ5が、手すりユニット1に接近する利用者を検知すると、図2(a)および図3(b)に示すLEDユニット22に電力が供給され、LED222が発光する。これにより、建物側の照明器具が点灯していない暗い状態であっても、利用者は、手すりユニット1の存在や位置、形状等を明確に認識することができ、手すりユニット1を安全に使用することができる。また、図3(b)に示すように、LEDユニット22の照射方向が真下よりも壁面W側に向けられているため、利用者が感じる眩しさを軽減することができる。さらに、本実施形態では、例えば、発光色が青白色のLED222を用いた場合には、床面F付近における照度が、25ルクス〜35ルクス程度になる。これにより、床面Fに段差があったり床面Fに障害物が置いてあったりしても、利用者は十分に段差や障害物を認識することができる。また、例えば、夜間にトイレに行く際など、明るすぎて目が覚めてしまうようなことも生じにくくなる。なお、LEDユニット22の操作子を設け、この操作子を利用者が操作するとLEDユニット22が点灯する態様を採用してもよい。
【0056】
さらに、LEDユニット22の点灯と併せて、図4(a)に示す、第1端部ブラケット301に内蔵されたスピーカ6から音声等を出力し、この出力された音声等をキャップ3122から水平方向に放音する。これにより、手すりユニット1に近づいてくる利用者に、音声等によって手すりユニット1の存在等を知らせることもでできる。さらに、本実施形態では、第1端部ブラケット301から水平方向に放音されるため、これを聞いた利用者は方向性を判断しやすくなる。このため、例えば非常時などに、「音の聞こえる方向に避難してください」などの音声を放音することで、利用者に避難方向を示しやすい。本実施形態では、第1端部ブラケット301にスピーカ6を内蔵させているが、同様にして第2端部ブラケット302にもスピーカ6を内蔵させる態様も採用することができる。例えば、第1端部ブラケット301と第2端部ブラケット302からタイミングを異ならせて放音することによって、非常時など、利用者に避難方向をより示しやくなる。
【0057】
また、握り棒21の長手方向に配置された複数のLED222を、握り棒21の長手方向における一端側から他端側に順番に発光させてもよい。このように複数のLED222を順番に発光させることによっても、非常時などに利用者に避難する方向を示すことができる。
【0058】
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0059】
図4(b)は、本実施形態の変形例における、図4(a)に対応した態様を示す斜視図である。
【0060】
図4(b)に示すように、本変形例では、手すり本体2における、端部よりも長手方向の中央よりの部分を、中間ブラケット303によって支えている。手すり本体2の端部側の部分は、中空に形成され、この空間にスピーカ6が内蔵されている。また、手すり本体2の端部には、スピーカ6の前方を塞ぐようにキャップ25が取り付けられる。なお、スピーカ6に接続した不図示の導線は、図3(b)に示す、LEDユニット22に接続した導線23と同様に、配線空間Vまで配線されている。本変形例によっても、スピーカ6から出力した音声等を、キャップ25から水平方向に放音することができる。キャップ25は、本発明における、手すり本体の端部となる開放端面に相当するものであり、本変形例における手すり本体2は、開放端面から放音するスピーカ6を内蔵したものである。
【0061】
図5(a)は、手すり本体の変形例における端部を、握り棒の長手方向に見た図である。この図5(a)では、紙面と直交する方向が握り棒の長手方向になる。図5(b)は、同図(a)に示す基板を握り棒に固定する状態を説明するための図である。
【0062】
図5(a)に示すように、本変形例の手すり本体2は、その握り棒21の凹部211における底面211aに、凹部211の幅方向(図では左右方向)に間隔をあけて2つの電極テープ212が貼着されている。これら電極テープ212は、凹部211の長手方向の略全長にわたって延在し、図5(a)では不図示の導線23が接続したものである。すなわち、これら電極テープ212は、本発明における電力供給ラインの一例に相当する。図5(a)および同図(b)に示すように、基板221には、LED222が実装されたおもて面側から裏面側に貫通したスルーホール電極223が2つ設けられている。図5(b)に示すように、これらスルーホール電極223は、基板221の長手方向における一方側(ここでは、電力供給箇所側)の端部部分に設けられている。基板221には、その長手方向における中間よりも一方側の部分にねじ孔224が設けられており、このねじ孔224にねじが挿通され、このねじによって基板221が凹部211の底面211aに固定されている。なお、基板221における、その長手方向における中間よりも他方側(ここでは、電力供給箇所とは反対側)の部分をねじ等によって固定すると、バネ効果によって基板221が反り、スルーホール電極223が、電極テープ212から離間しやすくなるため好ましくない。また、図示は省略するが、図5(b)に示す基板221に対して凹部211の底面211aに並べて固定される隣の基板221にも同様にスルーホール電極223が設けられている。この隣の基板221も、同様にねじで凹部211の底面211aに固定することで、各基板221の回路が電気的に接続される。本変形例によれば、各基板221の回路どうしを導線やはんだ付け等によって接続する必要がなくなる。
【0063】
次いで、手すりユニット1を壁面に固定した第2実施形態の手すり設備について説明する。以下の説明では、図1図4に示す、手すりユニット1を補強材4に固定した手すり設備10との相違点を中心に説明し、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0064】
図6(a)は、第2実施形態の手すり設備における、図3(a)に対応した態様を示す図であり、図6(b)は、第2実施形態の手すり設備における、図3(b)に対応した態様を示す図である。
【0065】
図6(a)および同図(b)に示すように、第2端部ブラケット302の基体となるブラケット本体31は、固定部311と、固定部311から、壁面Wとは反対側になる外側へ斜め上方に延設された連結部313と、連結部313の上端に形成されて手すり本体2が挿入され挿入された手すり本体2を支持する支持部312とが、一体的に形成されたものである。図6(a)に示すように、固定部311は、表裏を貫通するねじ孔311a(図2(b)参照)と、第1挿通孔311bとを有するものであり、固定部311は、ねじ孔311aにねじ33を通して壁面Wにねじ止めされている。連結部313は、支持部312の内周面312aに通ずる第2挿通孔313aを有している。この第2挿通孔313aには、手すり本体2のLEDユニット22に接続された導線23が挿通され、第2挿通孔313aから導線23の第2部分23bが引き出されている。また、壁面Wには、第1挿通孔311bに対応する位置に壁孔Waが形成されており、この壁孔Waと第1挿通孔311bには、不図示の商用電源に接続された導線23が挿通され、第1挿通孔311bから導線23の第1部分23aが引き出されている。導線23の第1部分23aと導線23の第2部分23bは、第1挿通孔311bと第2挿通孔313aとの間の部分で結線されているが、図6(a)および同図(b)では、結線される箇所を明確にするため、結線される前の状態を示している。なお、導線23,23は、壁面Wの裏側で結線してもよい。
【0066】
蓋体32は、導線23の第1部分23aと導線23の第2部分23b、およびねじ孔311aに通されたねじ33の頭部とを含めて、連結部313を外側から覆っている。これにより、第2端部ブラケット302の内部に配線された導線23とねじ33を隠すことができる。
【0067】
図7は、第2実施形態の手すり設備における、図4(a)に対応した態様を示す分解斜視図である。
【0068】
図7に示すように、第1端部ブラケット301は、支持部312における、手すり本体2の長手方向の一方側(図では左斜め下側)に、壁部3121が設けられている。この壁部3121には、小孔が複数形成されている。この第1端部ブラケット301は、例えば、支持する手すり本体の長手方向における一方側に壁部が設けられた市販のブラケットを用い、壁部に複数の小孔を形成することで作製することができる。このため、第1端部ブラケット301を容易に作成することが可能になる。また、この壁部3121は、手すり本体2の端面を覆うものであり、本発明における開放端面の一例に相当する。第1端部ブラケット301の支持部312には、リング状の第1クッション材62、円盤状のスピーカ6、円盤状の第2クッション材63、および手すり本体2が、記載順に挿入され、これらが支持部312に挿入された状態で第1端部ブラケット301と手すり本体2とが不図示のねじ等によって固定される。これにより、第1端部ブラケット301の支持部312内に、スピーカ6が、第1クッション材62と第2クッション材63とによって挟まれた状態で配置される。この結果、スピーカ6から出力された音声等の、いわゆるビビリ等が抑えられるとともに、手すり本体2における長手方向の寸法誤差なども吸収することができる。なお、図7では、手すり本体2の端面は簡略化して示している。
【0069】
また、連結部313の第2挿通孔313aには、スピーカ6の導線61が挿通され、第2挿通孔313aから導線61の第2部分61bが引き出されている。壁面Wにおける、固定部311の第1挿通孔311bに対応した部分には不図示の壁孔が形成され、この壁孔と第1挿通孔311bには、不図示のアンプ等に接続された導線が挿通され、第1挿通孔311bから導線の第1部分61aが引き出されている。導線23の第1部分23aと導線23の第2部分23bは結線されているが、図7でも結線される前の状態を示している。なお、導線61も、壁面Wの裏側で結線してもよい。
【0070】
第2実施形態の第1端部ブラケット301においても、導線61の第1部分61aおよび導線61の第2部分61bと、ねじ孔311aに通されたねじ33の頭部とを含めて、蓋体32によって隠すことができる。
【0071】
手すりユニット1は、図1に示すように、廊下等に単体で設置した手すり設備10としてもよいし、複数の手すりユニット1を連接した手すり設備とすることもできる。
【0072】
図8は、本発明の第3実施形態の手すり設備を、階段とその踊り場に設置した例を示す側面図である。
【0073】
図8に示すように、階段Sの壁面Wに取り付けられた補強材4の表面には、手すりユニット1’が固定され、踊り場Lの壁面Wに取り付けられた補強材4の表面には、手すりユニット1’’が固定されている。手すりユニット1’は、3本の手すり本体2と、4つのブラケット3を備えたものである。手すりユニット1’の手すり本体2それぞれは、長手方向の長さが900mm程度に設定されている。また、4つのブラケット3のうち、手すりユニット1’の長手方向両端部分には、図3(a)に示す第2端部ブラケット302が配置され、これら第2端部ブラケット302の間には、図2(b)に示す中間ブラケット303が2つ配置されている。手すりユニット1’’は、長手方向の長さが1350mm程度の手すり本体2と、この手すり本体2の両端部分を支える2つの第2端部ブラケット302を備えたものである。
【0074】
手すりユニット1’における、階段Sの最下段付近に配置された第2端部ブラケット302の内部には、不図示の商用電源に接続された導線23が配線されている。手すりユニット1’の3本の手すり本体2それぞれに設けられた、図2に示す基板221は、導線やはんだ付け等によって、電気的に並列に接続されている。
【0075】
図8では、手すりユニット1’の導線23と手すりユニット1’’の導線23が接続された部分を拡大し、円で囲んで示している。手すりユニット1’における、階段Sの最上段付近に配置された第2端部ブラケット302の内部には、基板221に接続された導線23が配線されている。この導線23は、第1挿通孔311bと補強材挿通孔4a(図3(b)参照)に挿通され、配線空間V(図3(b)参照)を通って、手すりユニット1’’の第2端部ブラケット302における第1挿通孔311bから第1部分23aが引き出されている。また、手すりユニット1’’の第2端部ブラケット302における第2挿通孔313aから導線23の第2部分23bが引き出され、導線23の第1部分23aと導線23の第2部分23bとが結線されている。これにより、手すり設備10における、LEDユニット22への配線の取り回しが容易になる。
【0076】
なお、手すりユニット1’における、階段Sの最下段付近に配置された第2端部ブラケット302に、図4(a)に示すスピーカ6を内蔵した第1端部ブラケット301を用いてもよい。この態様では、図4(a)に示す、キャップ3122が垂直な姿勢になるように構成し、第1端部ブラケット301から水平方向に放音させてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、手すりユニット1’と手すりユニット1’’のブラケット3を補強材4に固定する態様を採用しているが、ブラケット3を、廊下等の壁面Wに直接固定してもよい。ブラケット3を壁面Wに固定する態様では、図6および図7に示す第2実施形態と同様に、ブラケット3の内部に配線された導線23を壁面Wの裏側に取りまわせばよい。さらに、手すり設備10は、平坦な床面が続く廊下の壁面に、複数の手すりユニット1を間隔をあけて連設してもよいし、複数の手すりユニット1を廊下の曲り角を挟んで連接してもよい。
【0078】
以上説明した、手すりユニット1および手すり設備10によれば、LEDユニット22への配線の取り回しが容易になる。
【0079】
本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことが出来る。例えば、上記実施形態では、握り棒21とブラケット3を別体に構成したが、握り棒21とブラケット3とを一体に構成してもよい。こうすることで、ブラケット3を補強材4に固定すればLEDユニット22の照射方向が定まる。このため、手すりユニット1を補強材4に固定する際に、LEDユニット22の照射方向の調整を不要にすることができ、ブラケット3と握り棒21との間に生じる段差をなくすことも容易になる。
【0080】
なお、以上説明した実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,1’,1’’ 手すりユニット
10 手すり設備
2 手すり本体
21 握り棒
22 LEDユニット
221 基板
222 LED
23,61 導線
23a,61a 第1部分
23b,61b 第2部分
3 ブラケット
301 第1端部ブラケット
302 第2端部ブラケット
303 中間ブラケット
31 ブラケット本体
311 固定部
311a 第1挿通孔
312 支持部
312a 内周面
313 連結部
313a 第2挿通孔
32 蓋体
4 補強材
6 スピーカ
62 第1クッション材
63 第2クッション材
V 配線空間
W 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8