特許第6378913号(P6378913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イリソ電子工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000002
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000003
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000004
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000005
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000006
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000007
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000008
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000009
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000010
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000011
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000012
  • 特許6378913-コネクタ及びコネクタの中継接続構造 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378913
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタの中継接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/73 20110101AFI20180813BHJP
【FI】
   H01R12/73
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-61651(P2014-61651)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-185421(P2015-185421A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年12月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】行武 広章
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−111871(JP,A)
【文献】 特開2009−199766(JP,A)
【文献】 特開2001−143786(JP,A)
【文献】 米国特許第05800186(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 −12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに固定される複数の端子とを備え、
前記ハウジングは接続対象物を挿入する挿入口と、前記挿入口に連通して内側で前記接続対象物と前記端子を接触させる嵌合室とを有し、
前記端子の各々は、前記接続対象物と接触するフロント端子とリア端子とを有しており、
前記フロント端子は、前記接続対象物と接触するフロント接点部と、前記フロント接点部を弾性変位可能に支持する弾性片部とを有し、
前記リア端子は、前記接続対象物の挿入方向で前記フロント接点部に続いて前記接続対象物と接触するリア接点部と、前記リア接点部を弾性変位可能に支持する弾性片部とを有するコネクタにおいて、
前記嵌合室は、前記接点部の各々と前記接続対象物との接触方向に沿う幅が、前記接続対象物の厚みよりも大きく且つ前記接続対象物が前記嵌合室の室内で傾倒した際にいずれか一方の前記フロント接点部が前記接続対象物から離れる程度の大きさで設けられ、前記嵌合室と前記接続対象物との間には前記接続対象物が前記嵌合室の室内で傾倒した際にいずれか一方の前記フロント接点部が前記接続対象物から離れる程度の前記接続対象物の傾倒を許容する隙間が形成されており、
前記フロント接点部が前記接続対象物の傾倒軸よりも前記挿入口側に設けられ、前記リア接点部が前記傾倒軸よりも前記接続対象物の挿入方向奥側に設けられるとともに、前記端子が前記嵌合室を挟んで対向する端子対を形成し、それら端子対の一方の前記端子と他方の前記端子の前記フロント接点部と前記リア接点部とを結ぶ2本の直線同士の交差部が、前記嵌合室における前記接続対象物の前記挿入方向の中間よりも前記挿入口側に位置することで、前記接続対象物が前記嵌合室内で傾倒する際に、前記端子の前記フロント接点部と前記リア接点部の少なくとも何れか一方が前記接続対象物との接触を維持することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
リア端子の接圧がフロント端子の接圧よりも高く設定されている請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子対の2つの前記フロント接点部と前記交差部とのなす角が鈍角である請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記接続対象物が、一方の前記端子の前記フロント接点部と、他方の前記端子の前記リア接点部とを結ぶ直線同士の前記交差部を傾倒軸として前記嵌合室の内側で傾倒する請求項1〜請求項3何れか1項記載のコネクタ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4何れか1項記載のコネクタを2つ備え、これらの前記コネクタがそれぞれ異なる基板に実装されており、単一の接続対象物に対してその両端側から接触し、前記接続対象物を介して2つの前記基板が導通接続することを特徴とするコネクタの中継接続構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板間接続を行うコネクタ及びコネクタの中継接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用電子機器や民生用電子機器等の高性能化、多機能化に伴いプリント基板(以下「基板」という。)同士を接続する基板間接続用のコネクタが使用されている。このコネクタは通常、異なる基板に実装されるプラグとソケットとを備えており、それらは互いに接触することで導通接続する接点部を有する。そして、プラグとソケットとを嵌合させることで各接点部同士が接触して、基板間の導通接続がなされる。
しかし、基板間の距離が離れている場合には、上記のようにプラグとソケットとを備えるコネクタで基板間を接続することが困難になる場合がある。そこで、各基板にコネクタを実装し、コネクタ間を中継用基板で接続するコネクタが提案されている。このコネクタでは、中継用基板の高さを変えることで基板間の距離を容易に変更することが可能になるという利点がある。
その一方で、このタイプのコネクタでは、中継用基板の嵌合時のねじれやズレによってコネクタの接点部が変位して位置ずれを生じ、導通不良を起こす場合があるという課題がある。そこで、そのような課題に対応するコネクタとして、可動機構を備えるフローティングコネクタが知られている(フローティングコネクタの一例として、特許文献1参照)。このコネクタでは中継用基板の嵌合時のねじれやズレに合わせて可動部が変位し、各接点部の変位を吸収することができる。よって、接点部同士の接触を維持させやすくなるため、接続信頼性が高いコネクタとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−109600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基板間の距離は搭載される機器によって異なっており、通常、基板間の距離が大きくなる程、コネクタ嵌合時のねじれやズレが大きくなる。その場合、従来のフローティングコネクタの可動機構では接点部の変位を吸収することが困難になり、基板間の導通不良が生じやすくなるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、基板間の距離が大きい場合であっても接点部が確実に接続対象物に接触する、接続信頼性の高いコネクタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明は以下のように構成される。
すなわち、本発明はハウジングと、前記ハウジングに固定される複数の端子とを備え、前記ハウジングは接続対象物を挿入する挿入口と、前記挿入口に連通して内側で前記接続対象物と前記端子を接触させる嵌合室とを有し、前記端子の各々は、前記接続対象物と接触するフロント端子とリア端子とを有しており、前記フロント端子は、前記接続対象物と接触するフロント接点部と、前記フロント接点部を弾性変位可能に支持する弾性片部とを有し、前記リア端子は、前記接続対象物の挿入方向で前記フロント接点部に続いて前記接続対象物と接触するリア接点部と、前記リア接点部を弾性変位可能に支持する弾性片部とを有するコネクタについて、前記嵌合室は、前記接点部の各々と前記接続対象物との接触方向に沿う幅が、前記接続対象物の厚みよりも大きく設けられ、前記接続対象物が前記嵌合室内で前記各接点部との前記接触方向に傾倒可能になるように前記嵌合室と前記接続対象物の間に隙間が形成されており、前記フロント接点部が前記接続対象物の傾倒軸よりも前記挿入口側に設けられ、前記リア接点部が前記傾倒軸よりも前記接続対象物の挿入方向奥側に設けられるとともに、前記端子が前記嵌合室を挟んで対向する端子対を形成し、それら端子対の一方の前記端子と他方の前記端子の前記フロント接点部と前記リア接点部とを結ぶ2本の直線同士の交差部が、前記嵌合室における前記接続対象物の前記挿入方向の中間よりも前記挿入口側に位置することで、前記接続対象物が前記嵌合室内で傾倒する際に、前記端子の前記フロント接点部と前記リア接点部の少なくとも何れか一方が前記接続対象物との接触を維持することを特徴とするコネクタを提供する。
【0007】
コネクタに接続対象物を挿入する際に大きなねじれやズレが生じると、接続対象物がコネクタに対して傾斜してしまい、接点部から意図せず離れてしまうことがある。そこで、本発明では、嵌合室を、各接点部と接続対象物との接触方向に沿う幅を、接続対象物の厚みよりも大きく設け、接続対象物については嵌合室内で各接点部との接触方向に傾倒可能になるように嵌合室と接続対象物の間に隙間を形成することで、接続対象物を意図的に嵌合室内で傾倒させることができるようにしている。そして、フロント接点部については接続対象物の傾倒軸よりも挿入口側に設け、リア接点部については前記傾倒軸よりも接続対象物の挿入方向奥側に設ける。こうすることで、接続対象物は嵌合室内で傾倒軸を支点としてシーソーのように傾倒することができる。よって、コネクタに接続対象物を挿入する際にねじれやズレが生じて、仮に接続対象物がフロント接点部から離れても、傾倒軸よりも挿入端側でリア接点部に対して押圧接触することができる。また、反対に接続対象物はリア接点部から離れる場合には、傾倒軸よりも挿入口側でフロント接点部に対して押圧接触することができる。したがって、端子のフロント接点部とリア接点部の少なくとも何れか一方が接続対象物との接触を維持することができる。
【0008】
本発明について、リア端子の接圧がフロント端子の接圧よりも高く設定されるものとすることができる。こうすることで、嵌合室の奥側にあるリア接点部に対しても接続対象物を確実に接触させることができる。また、フロント端子より基板の挿入端側に接触するリア端子の接圧を、フロント端子よりも高く設定することで、接圧の高いリア端子の保持力によって端子と接続した状態で基板を傾倒させ難くし、基板の動きを安定させることができる。これとは反対に、フロント端子の接圧をリア端子の接圧よりも高くする場合には、フロント端子による異物除去効果をより向上させることができる。
【0009】
本発明について、端子が嵌合室を挟んで対向する端子対を形成するものとすることができる。これにより、端子が接続対象物に対して相対する双方向から押圧するように接触するため、より確実にコネクタが導通接続しやすくなる。また、例えば接続対象物がコネクタに対して傾倒して、一方の端子のフロント接点部から離れると、対向する他方の端子のフロント接点部に対して接触する。また同様に接続対象物は、一方の端子のリア接点部から離れると、対向する他方の端子のリア接点部に対して接触する。よって、接続対象物は傾倒した状態で端子対が備える双方の端子に対して確実に接触することができる。
【0010】
本発明について、接続対象物が、一方の端子のフロント接点部と、他方の端子のリア接点部とを結ぶ直線同士の交差部を傾倒軸として嵌合室の内側で傾倒することができる。これにより、傾倒軸を挟んだ対角に、端子対における一方の端子のフロント接点部と他方の端子のリア接点部とが位置することになる。したがって、傾倒軸を支点として接続対象物が傾倒する際に、前記対角にあるフロント接点部とリア接点部に対して同時に接触することができるため、一つの端子が備えるフロント接点部又はリア接点部の少なくとも何れか一方に対して確実に接触することができる。
また、例えば接続対象物が基板である場合には、表面に基板かすなどの異物が付着している場合がある。そのような大きな異物をフロント接点部とリア接点部の間に収容できるように、フロント接点部とリア接点部とは離れていることが好ましい。
【0011】
本発明は、上記何れか記載のコネクタを2つ備え、これらのコネクタがそれぞれ異なる基板に実装されており、単一の接続対象物に対してその両端側から接触し、前記接続対象物を介して2つの基板が導通接続することを特徴とするコネクタの中継接続構造を提供することができる。
こうすることで、例えば離れた距離にある2つの基板にそれぞれ上記何れか記載のコネクタを固定して、第3の基板をコネクタ間の中継用に使用するといったことが可能となる。また、導通接続する基板間の距離に合わせて中継用基板の長さを自由に変更することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコネクタによれば、嵌合時に接続対象物のねじれやズレが生じても、フロント接点部又はリア接点部の少なくともいずれか一方で接続対象物との接触を維持することができる。よって接続信頼性の高いコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態によるコネクタの斜視図。
図2図1のコネクタの正面図。
図3図1のコネクタの平面図。
図4図1のコネクタの底面図。
図5図1のコネクタの右側面図。
図6図1のコネクタの左側面図。
図7図2の矢示SA−SA断面図。
図8図7の矢示B部分の部分拡大図。
図9】中継用基板の傾倒状態を示す説明図。
図10図1のコネクタと中継用基板との嵌合前の状態を示す説明図。
図11図10のコネクタと中継用基板との嵌合状態を示す説明図。
図12】変形例のコネクタの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では中継用基板P3を介して基板P1と基板P2とを導通接続する基板対基板用のコネクタ1の例を説明する。以下の各実施形態で共通する構成については同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0015】
また本明細書、特許請求の範囲、図面では、図1図12で示すようにコネクタ1の長手方向をX方向(左右方向)、短手方向をY方向(前後方向)、「接続対象物」としての中継用基板P3とコネクタ1との挿抜方向をZ方向(上下方向)とし、挿抜方向Zにおける中継用基板P3の側を「上側」、コネクタ1の側を「下側」として説明する。なお、上下、左右、前後の方向の説明は本発明のコネクタの実装方向、使用方向を限定するものではない。
【0016】
実施形態〔図1図11〕:
ここではコネクタ1について説明するが、本実施形態のコネクタ1とコネクタ2とは同一の形状で形成されており、同様の作用・効果を奏する。また、本実施形態のコネクタ1は、正面図と背面図が同様に表される。
コネクタ1は、図1図6で示すように端子3と、ハウジング4とを備えており、図7図11で示すように、コネクタ1、2は基板P1、P2にそれぞれ実装される。そして、コネクタ1と中継用基板P3とが嵌合し、さらにコネクタ2が中継用基板P3に嵌合することで基板P1と、中継用基板P3と、基板P2とが導通接続される。
【0017】
〔ハウジング〕
ハウジング4は絶縁性樹脂でなり、略直方体形状に設けられる。またハウジング4は図7で示すように、端子3を収容する収容部4aと、中継用基板P3の挿入口4bと、挿入口4bに連通する嵌合室4cと、仕切壁4dとを有する。収容部4aはコネクタ1の長手方向Xに沿って複数並列に設けられ、各収容部4aには端子3が1本ずつ収容されている。
挿入口4bの上側には、ハウジング4の外側に向けて間口が拡がるように誘込み部4b1が形成されている。これにより、中継用基板P3の嵌合時に中継用基板P3を挿入口4bからずらして挿入してしまう場合であっても、誘込み部4b1に先端を沿わせて容易に挿入口4bに挿入することができる(図10では、コネクタ2をコネクタ1に対して距離L1程度ずらした状態で、中継用基板P3をコネクタ2に挿入する状態を示す)。
また、嵌合室4cは前記端子3の収容部4aと連通し、その内壁4c1のスリット4c2からは後述する端子3の接触部5c、6cが部分的に突出する。そして端子3は、嵌合室4cの内側で中継用基板P3と導通接続する。前記仕切壁4dは嵌合室4cの下側に設けられ、後述の端子対7の端子3、3同士を絶縁する(図7
【0018】
〔端子〕
本実施形態の端子3は、平板の導電性金属をプレス加工で打ち抜いた抜き端子として形成したものである。この端子3はハウジング4の収容部4aに収容されており、コネクタ1の長手方向Xに沿って等間隔に複数並列に設けられる。
端子3は図7で示すように、基板P1に接続する基板接続部3aと、基端部3bと、フロント端子5と、リア端子6とを有する。
【0019】
端子3は嵌合室4cを挟んで対向する端子対7を形成する。この端子対7が中継用基板P3に対して両面側から相互に押圧し合うように接触するため、より確実にコネクタ1と中継用基板P3とが導通接続することができる。また、中継用基板P3は後述の傾倒軸9を支点としてコネクタ1に対して傾倒することができる。この場合、中継用基板P3は、一方の端子3のフロント接点部5aと他方の端子3のリア接点部6aに対して同時に接触する。よって中継用基板P3は、傾倒した状態で各端子3、3におけるフロント接点部5a又はリア接点部6aの少なくとも何れか一方に対して確実に接触することができる。
【0020】
〔基板接続部〕
基板接続部3aは、端子3の末端に設けられて基板P1に接続する。また、端子3は板面がハウジング4の短手方向Yに対して平行になるように取り付けられ、ハウジング4の収容部4aの内部で、対向した状態で端子対7を形成して取り付けられている。
【0021】
〔基端部〕
端子3の基端部3bは、図7で示すように基板接続部3aに隣接して設けられる。その上端には、フロント端子5とリア端子6とが上側に向けて片持ち梁状に設けられている。
また基端部3bにおいて、ハウジング4の仕切壁4d側の縁には係止部3cが設けられている。端子3は、ハウジング4の収容部4aに圧入されて、係止部3cが仕切壁4dに噛み込むことでハウジング4に対して固定されている。
【0022】
〔フロント端子〕
フロント端子5は図7図8で示すように、弾性腕5bと、接触部5cとを有する。弾性腕5bは基端部3bから延出し、接触部5cを変位可能に支持する。また、接触部5cは弾性腕5bの先端側に設けられている。
接触部5cは、接触縁5c1と、フロント接点部5aと、後縁5c2とを有する。この接触縁5c1と後縁5c2とは内角が91°以上となるように形成される。接触縁5c1は、ハウジング4の内壁4c1のスリット4c2から突出し、嵌合室4cの内側で中継用基板P3に対して押圧接触する。その際、接触縁5c1は中継用基板P3に付着する異物の除去機能を発揮する。なお、接触縁5c1は傾斜する全長ではなく部分的にスリット4c2から突出する。フロント接点部5aは、接触縁5c1と同様にハウジング4の内壁4c1のスリット4c2から突出し、嵌合室4cの内側で中継用基板P3と接触する。
【0023】
〔リア端子〕
リア端子6はフロント端子5と隣接して設けられ、基端部3bから上側に向けて延出して形成される。リア端子6は図7図8で示すように、弾性腕6bと、接触部6cとを有しており、この弾性腕6bは基端部3bから延出し、接触部6cを変位可能に支持する。また、接触部6cは弾性腕6bの先端側に設けられている。
【0024】
接触部6cは中継用基板P3と押圧接触する接触縁6c1を有しており、ハウジング4の内壁4c1のスリット4c2から突出し、嵌合室4cの内側で中継用基板P3と押圧接触する。この接触縁6c1には中継用基板P3と押圧接触するリア接点部6aが形成される。リア接点部6aはフロント接点部5aよりも嵌合室4c内における奥側に設けられる。そして接触縁6c1と同様にハウジング4の内壁4c1のスリット4c2から突出し、嵌合室4cの内側で中継用基板P3と接触する。このリア端子6の接圧はフロント端子5の接圧よりも高く設定されている。そしてバネ定数についてもまた、リア端子6ではフロント端子5よりも高く設定されている。これらにより、リア接点部6aは嵌合室4cにおいてフロント接点部5aよりも挿抜方向Zにおける奥側にあっても、中継用基板P3と確実に接触することができる。よってリア端子6の接続信頼性をより高めることができる。
【0025】
〔コネクタの作用・効果の説明〕
次に、本実施形態のコネクタ1の作用・効果を説明する。
【0026】
〔フロント端子による異物除去機能〕
中継用基板P3をコネクタ1に嵌合させることで、中継用基板P3と端子3とが接触し導通接続する。しかし、この中継用基板P3には、例えば基板かすやほこりなどの異物が付着している場合がある。この状態でリア接点部6aが中継用基板P3に対して接触すると、リア接点部6aと中継用基板P3との間に異物が挟まり、リア接点部6aと中継用基板P3との導通接続が不安定になるおそれがある。
これに対し、本実施形態のコネクタ1では、図7図8で示すようにリア接点部6aよりも挿入口4b側にフロント接点部5aを設ける。こうすることで、中継用基板P3をコネクタ1に挿入した際に、中継用基板P3に対してフロント接点部5aとリア接点部6aを順次摺動接触させて、フロント接点部5aとその接触縁5c1により中継用基板P3に付着している異物をワイピングすることができる。その後、リア接点部6aが、中継用基板P3における異物がワイピングされた部分に接触することで、リア接点部6aと中継用基板P3の間に異物が挟まることなく両者が安定して導通接続することができる。
【0027】
〔各接点部が確実に中継用基板に接触する構造〕
コネクタ1に中継用基板P3を挿入する際にねじれやズレが生じ、中継用基板P3がコネクタ1に対して意図せず傾斜してしまい、各接点部から意図せず離れてしまうことがある。そこで、本実施形態のコネクタ1では図8で示すように、嵌合室4cについて、各接点部と中継用基板P3との接触方向に沿う幅W1を、中継用基板P3の厚みW2よりも大きく設け、中継用基板P3については嵌合室4c内で各接点部との接触方向に傾倒可能になるように嵌合室4cと中継用基板P3の間に隙間8を形成する。これにより、図11で示すように、中継用基板P3を意図的に嵌合室4c内で傾倒させることができる。
また、フロント接点部5aは中継用基板P3の傾倒軸9よりも挿入口4b側に設け、リア接点部6aは前記傾倒軸9よりも中継用基板P3の挿入方向奥側に設ける。こうすることで、中継用基板P3は図9で示すように、嵌合室4c内で傾倒軸9を支点としてシーソーのように傾倒する。
また、中継用基板P3の傾倒は、挿入口4bや嵌合室4cの内壁4c1に当接することで止まる。この場合、傾倒軸9を挿入口4bにより近い側に設け、中継用基板P3を嵌合室4cの内壁4c1に当接させることで傾倒を止める方が好ましい。こうすることで、中継用基板P3の板面をハウジング4に接触しにくくし、中継用基板P3の基板回路を保護することができる。
【0028】
中継用基板P3は図11で示すように、傾倒することで一方の端子3のフロント接点部5aから離れると、傾倒軸9よりも挿入端側で、この端子3のリア接点部6aに対して押圧接触する。また、反対に中継用基板P3が一方の端子3のリア接点部6aから離れる場合には、傾倒軸9よりも挿入口4b側でこの端子3のフロント接点部5aに対して押圧接触することができる。したがって、端子3のフロント接点部5aとリア接点部6aの少なくとも何れか一方が中継用基板P3との接触を維持することができる。これにより例えば基板P1、P2の間の距離が大きく離れており、コネクタ1と基板P1との嵌合時のねじれやズレが大きくなってしまう場合であっても端子3と中継用基板P3とを確実に接触させることができる。
【0029】
また中継用基板P3は、図8図9で示すように、一方の端子3のフロント接点部5aと、他方の端子3のリア接点部6aとを結ぶ直線同士の交差部10を傾倒軸9として嵌合室4cの内側で傾倒する。これにより、傾倒軸9を挟んだ対角に一方の端子3のフロント接点部5aと他方の端子3のリア接点部6aとが位置することになる。したがって、傾倒軸9を支点として中継用基板P3が傾倒する際に、前記一方の端子3におけるフロント端子5と、前記他方の端子3におけるリア端子6に対して中継用基板P3が同時に押圧接触する。よって1つの端子対7における双方の端子3がそれぞれフロント接点部5aまたはリア接点部6aの少なくとも何れか一方で中継用基板P3と確実に導通接続することができる。
【0030】
本実施形態のコネクタ1によれば、嵌合時に中継用基板P3のねじれやズレが生じても、フロント接点部5a又はリア接点部6aの少なくともいずれか一方で中継用基板P3との接触を維持することができる。よって接続信頼性の高いコネクタ1とすることができる。
【0031】
前記実施形態の変形例
前記実施形態では、嵌合室4cを挟んで対向する端子対7を有するコネクタ1を示した。しかし例えば端子対7を形成せず、幅方向Yにおける何れか一方にのみ端子3を有するコネクタとしても良い。この場合、中継用基板P3の一方の面に対して端子3が接触する。
【0032】
前記実施形態では、フロント接点部5aとリア接点部6aの距離を特定しないコネクタ1を示した。これに対し、フロント接点部5aとリア接点部6aとの間の距離をより大きくすることができる。これにより、例えば糸くず状の基板かすなどの大きな異物を、フロント接点部5aとリア接点部6aとの間の空間に収容することができる。
このようにフロント接点部5aとリア接点部6aとの間の距離を大きくする場合には、図12で示すように端子対7における一方の端子3のフロント接点部5aと、交差部10と、対向する他方の端子3のフロント接点部5aとを結んでできる内角Rが、鋭角となる程度までフロント接点部5aとリア接点部6aとを離すことが好ましい。
また別の好ましい例として、図12で示すように、挿入口4bから嵌合室4cの最奥部S1との中間位置S2よりも挿入口4b側にフロント接点部5aを配置し、最奥部S1側にリア接点部6aを位置させる。この場合には、中継用基板P3に対して挿入口4b側でフロント接点部5aが、挿入端側でリア接点部6aが接触するため、中継用基板P3の動きを抑えて嵌合室4c内で安定させやすくなるという利点もある。
【0033】
前記実施形態では、「接続対象物」として中継用基板P3を用いるコネクタ1を示した。この中継用基板P3を用いることで、距離が異なる基板P1、P2についても、その距離に合わせて中継用基板P3の長さを変更することで容易に対応できるという利点がある。しかし、そのような必要が無い場合には、「接続対象物」としてコネクタ1、2の間を接続する第3のコネクタを用いても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 コネクタ
2 コネクタ
3 端子
3a 基板接続部
3b 基端部
3c 係止部
4 ハウジング
4a 収容部
4b 挿入口
4b1 誘込み部
4c 嵌合室
4c1 内壁
4c2 スリット
4d 仕切壁
5 フロント端子
5a フロント接点部
5b 弾性腕(フロント端子)
5c 接触部(フロント端子)
5c1 接触縁(フロント端子)
5c2 後縁
6 リア端子
6a リア接点部
6b 弾性腕(リア端子)
6c 接触部(リア端子)
6c1 接触縁(リア端子)
7 端子対
8 隙間
9 傾倒軸
10 交差部
W1 嵌合室の幅
W2 基板の厚み
X 長手方向、幅方向
Y 短手方向、前後方向
Z 挿抜方向、高さ方向
P1 基板
P2 基板
P3 中継用基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12