(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378922
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】蒸着源アセンブリー
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20180813BHJP
C23C 14/14 20060101ALI20180813BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20180813BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20180813BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
C23C14/24 B
C23C14/14 B
C23C14/14 D
H05B33/14 A
H05B33/10
H05B33/26 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-88321(P2014-88321)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-218740(P2014-218740A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2017年4月21日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0050805
(32)【優先日】2013年5月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】車 龍 俊
【審査官】
岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭52−100052(JP,U)
【文献】
特開2003−313654(JP,A)
【文献】
特開2010−255019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内に配された基板に蒸着物質を蒸着するための蒸着源アセンブリーにおいて、
前記チャンバ内に配されて、蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記チャンバを貫通するように形成され、前記蒸着源を加熱するための電源を供給する電極と、
前記電極と前記チャンバが相互に接触しないように、前記電極と前記チャンバとの間に介在される絶縁体と、
前記絶縁体の一側に、前記絶縁体を覆うように形成される絶縁体キャップと、を備え、
前記絶縁体は、前記チャンバに形成されたホールにはめ込まれ、前記電極が前記絶縁体を貫通するように設けられ、
前記絶縁体は、前記チャンバの内面及び外面と密着して結合するように設けられている蒸着源アセンブリー。
【請求項2】
前記蒸着物質は、負極電極を形成するための金属であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着源アセンブリー。
【請求項3】
前記蒸着物質は、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びそれらの化合物のうち一つ以上を含むことを特徴とする請求項2に記載の蒸着源アセンブリー。
【請求項4】
前記絶縁体キャップは、前記絶縁体と面接触するベースと、前記ベースから一方向に突設される突出部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の蒸着源アセンブリー。
【請求項5】
前記突出部は、前記チャンバの下面方向に突設されることを特徴とする請求項4に記載の蒸着源アセンブリー。
【請求項6】
前記突出部は、前記チャンバと所定間隔ほど離隔するように形成されることを特徴とする請求項4に記載の蒸着源アセンブリー。
【請求項7】
前記絶縁体キャップは、前記蒸着物質が前記絶縁体に蒸着されることを防止することを特徴とする請求項1に記載の蒸着源アセンブリー。
【請求項8】
前記絶縁体キャップは、セラミックを含むことを特徴とする請求項1に記載の蒸着源アセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着源アセンブリーに係わり、さらに詳細には、大型基板の量産工程に容易に適用され、製造収率の向上した蒸着装置用蒸着源アセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
移動性に基づく電子機器が幅広く使われている。移動用電子機器には、モバイルフォンのような小型電子機器以外にも、最近、タブレットPCが広く使われている。
【0003】
このような移動型電子機器は、多様な機能を支援するために、イメージまたは映像のような視覚情報をユーザに提供するために、ディスプレイ装置を含む。最近、ディスプレイ装置を駆動するためのその他の部品が小型化されるにつれて、ディスプレイ装置が電子機器で占める比重が次第に増大しており、平坦な状態で所定の角度を有するように曲げられる構造も開発されている。
【0004】
このようなディスプレイ装置のうち、有機発光ディスプレイ装置は、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという長所を有しているので、次世代ディスプレイ装置として注目されている。
【0005】
一般的に、有機発光ディスプレイ装置は、多様な層を積層または蒸着して形成し、有機材質で形成される発光層と、発光層の下面及び表面にそれぞれ形成される負極(Cathode)電極及び正極(Anode)電極と、を含む。この時、正極電極及び負極電極、発光層は、金属材質または有機物を蒸発させて蒸着させることによって形成する。このように、金属材質または有機物を蒸着するために、ルツボにヒータを設置した蒸着源を備えて、金属材質または有機物を加熱する。
【0006】
この時、ヒータを加熱するために、外部から電源を供給する電極が備えられ、また、電極及びチャンバを絶縁させるための絶縁体がさらに備えられるが、このような絶縁体に金属材質の蒸着物質が蒸着されて、絶縁破壊が発生するという問題点があった。
【0007】
前述した背景技術は、発明者が本発明の導出のために保有しているか、あるいは本発明の導出過程で習得した技術情報であり、必ずしも本発明の出願前に一般に公開された公知技術とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−255019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用され、製造収率及び蒸着効率の向上した蒸着源アセンブリーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を達成するために、本発明は、チャンバ内に配された基板に蒸着物質を蒸着するための蒸着源アセンブリーにおいて、前記チャンバ内に配され、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記チャンバを貫通するように形成され、前記蒸着源を加熱するための電源を供給する電極と、前記電極と前記チャンバが相互に接触しないように、前記電極と前記チャンバとの間に介在される絶縁体と、前記絶縁体の一側に前記絶縁体を覆うように形成される絶縁体キャップと、を備える蒸着源アセンブリーを提供する。
【0011】
本発明において、前記蒸着物質は、負極電極を形成するための金属である。
【0012】
ここで、前記蒸着物質は、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物のうち一つ以上を含む。
【0013】
本発明において、前記絶縁体は、前記チャンバに形成されたホールにはめ込まれ、前記電極が前記絶縁体を貫通するように形成される。
【0014】
ここで、前記絶縁体は、前記チャンバの内面及び外面に密着して結合するように形成される。
【0015】
本発明において、前記絶縁体キャップは、前記絶縁体と面接触するベースと、前記ベースから一方向に突設される突出部と、を備える。
【0016】
ここで、前記突出部は、前記チャンバの下面方向に突設される。
【0017】
ここで、前記突出部は、前記チャンバと所定間隔ほど離隔して形成される。
【0018】
本発明において、前記絶縁体キャップは、前記蒸着物質が前記絶縁体に蒸着されることを防止する。
【0019】
本発明において、前記絶縁体キャップは、セラミックを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、アルミニウムのような蒸着物質及び蒸着源を構成する金属材料が、高温でガス化されて、絶縁体に蒸着されることによって、電極の絶縁性が低下することを防止し、蒸着源の寿命を延ばす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による蒸着源アセンブリーを示す図面である。
【
図3A】
図1の蒸着源キャップの多様な形態を示す図面である。
【
図3B】
図1の蒸着源キャップの多様な形態を示す図面である。
【
図3C】
図1の蒸着源キャップの多様な形態を示す図面である。
【
図4】本発明の蒸着源アセンブリーを利用して製造されたアクティブマトリックス型有機発光ディスプレイ装置の断面を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明についての詳細な説明は、本発明が実施される特定の実施形態の例示として示す添付図面を参照する。このような実施形態は、当業者が本発明を実施できるように詳細に説明される。本発明の多様な実施形態は、それぞれ異なるが、互いに排他的である必要はないと理解されねばならない。例えば、本明細書に記載されている特定形状、構造及び特性は、本発明の精神及び範囲を離脱せず、一実施形態から他の実施形態に変更されて具現される。また、それぞれの実施形態内の個別構成要素の位置または配置も、本発明の精神及び範囲を離脱せずに変更されると理解されねばならない。したがって、後述する詳細な説明は、限定的な意味として行われるものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲の請求項が請求する範囲、及びそれと均等なすべての範囲を包括すると理解されねばならない。図面で類似した参照符号は、多様な側面で同一か、または類似した構成要素を表す。
【0023】
以下では、当業者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の多様な実施形態について、添付図面を参照して、詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による蒸着源アセンブリーを示す図面であり、
図2は、
図1のA部分の拡大図である。
【0025】
図1及び
図2を参照すれば、本発明の一実施形態による蒸着源アセンブリー100は、チャンバ110内に配された蒸着源120と、電極130と、絶縁体140と、絶縁体キャップ150と、を備える。これを、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0026】
真空が維持されるチャンバ110内に配された基板1は、OLED(Organic Light Emitting Device)パネル用基板である。もちろん、本発明は、OLEDパネル用基板だけに適用されるものではなく、金属膜が蒸着されて形成される基板ならば、いずれのものでも適用可能である。
【0027】
蒸着源120は、蒸着物質を気化させて、被蒸着体である基板1上に薄膜を形成する。ここで、本発明の一実施形態による蒸着源アセンブリー100は、特に、負極電極用金属膜の成膜のための蒸着源アセンブリーである。詳細には、大面積有機発光ディスプレイ装置の負極電極用金属膜の成膜のための蒸着源は、ヒータ(図示せず)でアルミニウム(Al)などの金属物質を加熱して気化させ、気化した金属物質が基板1に凝集されて、薄膜を形成する方法が使われている。この時、アルミニウムを気化させるためには、1300℃以上の高温が必要であるので、蒸着源120を構成する物質も、高温に安定したタンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの金属材料及びPBN(α−Phenyl−N−tert−Butylnitrone)、Al
2O
3のようなセラミック材料が使われている。
【0028】
このような蒸着源120において、高温のヒータ(図示せず)を支持するためには、セラミック材料で構成されたガイドを使用し、蒸着源120の下部の電極130を強く固定して、ヒータ(図示せず)に電流が安定的に供給されるように、蒸着源120を構成せねばならない。そのために、ヒータ(図示せず)と連結される電極130は、金属で製作されたチャンバ110と絶縁が維持されねばならず、そのために、電極130に絶縁体140を配して、チャンバ110と電極130との間に絶縁状態を維持させることが必要である。
【0029】
ところで、1300℃以上の高温で進められる蒸着工程中に発生する金属微粒子の蒸気(以下、フューム(Fume)と称する)が、蒸着源の上部や側面部の組立上の公差によって発生した間隙に入って、チャンバ110に結合された絶縁体140に蒸着されて、電極130と蒸着源120の絶縁を低下させる現象が発生している。
【0030】
すなわち、真空であるチャンバ110の内部で発生するアルミニウムのような蒸着物質のフュームは、高温で活発に動き、多様な方向への自由度をもって運動している。蒸着源120の内部では、持続的にアルミニウムの気化が発生し、そのように気化したアルミニウムの一部が、蒸着源の内部部品に蒸着される。または、蒸着源120を構成する導電性物質が、高温でフューム化して、蒸着源の内部部品に蒸着されることもある。それにより、蒸着源の内部に蒸着された導電性物質は、ヒータ及びヒータを支持する蒸着源の内部部品、特に、絶縁体140との絶縁状態を低下させてヒータの抵抗を高め、電流の流れを妨げて、ヒータが自体の役割を担えないようにする。したがって、ヒータが蒸着物質の気化に必要な1300℃以上の高温を維持できなくなる。
【0031】
そのような問題点を解決するために、本発明の一実施形態による蒸着源アセンブリー100は、絶縁体140の上部に別途のキャップ状の絶縁体キャップ150をさらに備え、蒸着物質による絶縁破壊を防止することを一特徴とする。以下では、それをさらに詳細に説明する。
【0032】
蒸着源120(または、その内部に配されたヒータ)を加熱するためには、外部から一定の電源供給が必要である。したがって、蒸着源120を加熱するための電源を供給する電極130が、チャンバ110を貫通するように形成される。すなわち、電極130は、チャンバ110の下面を貫通する導電性の棒状の部材であり、チャンバ110の内部側が蒸着源120に、チャンバ110の外部側が電源供給装置(図示せず)に接続されて、蒸着源120に電力を供給する役割を担う。
【0033】
一方、絶縁体140は、電極130とチャンバ110との間に介在されて、電極130とチャンバ110とを互いに接触させない役割を担う。詳細には、チャンバ110の下面には、電極130が貫通してはめ込まれるように、ホール(図示せず)が形成される。そして、このホール(図示せず)には、絶縁体140がはめ込まれる。絶縁体140は、その断面がI字状に形成されて、チャンバ110の内面及び外面と密着して結合し、チャンバ110を密封するように形成される。また、絶縁体140の中心部には、電極130がはめ込まれるホールが形成されている。そして、このような絶縁体140に電極130が貫通してはめ込まれることによって、電極130とチャンバ110との絶縁が確保される。
【0034】
一方、絶縁体キャップ150は、絶縁体140の一側に絶縁体140を覆うように形成される。詳細には、絶縁体キャップ150は、絶縁体140の上部面と面接触するベース151と、ベース151から一方向に突設される突出部152と、を備える。ここで、突出部152は、チャンバ110の下面方向に突設されて、絶縁体キャップ150とチャンバ110の下面との間隔を狭めることによって、チャンバ110の内部で発生するアルミニウムのような蒸着物質のフュームが絶縁体140に蒸着されることを防止する役割を担う。ここで、絶縁体キャップ150の突出部152の一端部とチャンバ110との間隔が所定間隔(たとえば1〜5mm)となるように、絶縁体キャップ150が形成される。この時、絶縁体キャップ150は、セラミックのような素材で形成されて、絶縁体140を保護する。
【0035】
すなわち、
図2に示したように、本発明の一実施形態による絶縁体キャップ150を装着すれば、絶縁体キャップ150の表面及びチャンバ110の表面に導電性蒸着物質のフュームFが蒸着されても、絶縁体140及びヒータ(図示せず)のような蒸着源120の内部構成要素に、導電性蒸着物質のフュームFが蒸着されることを防止して、絶縁状態を維持する。もし、二つの電極130にそれぞれ絶縁体キャップ150を装着しない場合、チャンバ110の表面に蒸着された導電性物質が、絶縁体キャップ150の表面にも蒸着されて、従来のように、絶縁破壊を誘発するため、それぞれの絶縁体140に絶縁体キャップ150を形成することが望ましい。
【0036】
図3A、
図3B及び
図3Cは、
図1の絶縁体キャップの多様な形態を示す図面である。
図3A、
図3B及び
図3Cに示したように、絶縁体キャップ150は、多様な形状を有しうる。通常の電極端子は、ボルトとナットの形態で締結されるので、その間に電極を装着するためには、内部に円形のホールが形成されねばならない。そして、装着時、絶縁体140とチャンバ110との間隔を維持すれば、外形は、
図3Aに示された円形の絶縁体キャップ150a、
図3Bに示された四角形の絶縁体キャップ150b、
図3Cに示された多角形の絶縁体キャップ150cなど、多様な形態で製作される。
【0037】
このような本発明によれば、アルミニウムのような蒸着物質、及び蒸着源を構成する金属材料が、高温でガス化されて、絶縁体に蒸着されることによって、電極の絶縁性が低下することを防止し、蒸着源の寿命を延ばす効果が得られる。
【0038】
図4は、本発明の蒸着源アセンブリーを利用して製造されたアクティブマトリックス型有機発光ディスプレイ装置の断面を示した図面である。
【0039】
図4を参照すれば、前記アクティブマトリックス型の有機発光ディスプレイ装置10は、基板30上に形成される。前記基板30は、透明な素材、例えば、ガラス材、プラスチック材、または金属材で形成される。前記基板30上には、全体的にバッファ層のような絶縁膜31が形成されている。
【0040】
前記絶縁膜31上には、
図4に示したようなTFT(Thin Film Transistor)40と、キャパシタ50と、有機発光素子60と、が形成される。
【0041】
前記絶縁膜31の上面には、所定パターンで配列された半導体活性層41が形成されている。前記半導体活性層41は、ゲート絶縁膜32によって埋め込まれている。前記活性層41は、p型またはn型の半導体で備えられる。
【0042】
前記ゲート絶縁膜32の上面には、前記活性層41に対応する所にTFT40のゲート電極42が形成される。そして、前記ゲート電極42を覆うように、層間絶縁膜33が形成される。前記層間絶縁膜33が形成された後には、ドライエッチングなどのエッチング工程によって、前記ゲート絶縁膜32及び層間絶縁膜33をエッチングしてコンタクトホールを形成させて、前記活性層41の一部を露出させる。
【0043】
次いで、前記層間絶縁膜33上にソース/ドレイン電極43が形成されるが、コンタクトホールを通じて露出された活性層41に接触するように形成される。前記ソース/ドレイン電極43を覆うように保護膜34が形成され、エッチング工程を通じて、前記ドレイン電極43の一部を露出させる。前記保護膜34の上には、保護膜34の平坦化のために、別途の絶縁膜をさらに形成してもよい。
【0044】
一方、前記有機発光素子60は、電流の流れによって、赤色、緑色、青色の光を発光して、所定の画像情報を表示するためのものであって、前記保護膜34上に第1電極61を形成する。前記第1電極61は、TFT40のドレイン電極43と電気的に連結される。
【0045】
そして、前記第1電極61を覆うように、画素定義膜35が形成される。この画素定義膜35に所定の開口を形成した後、その開口で限定された領域内に、発光層を含む有機層63を形成する。そして、有機層63の上には、第2電極62を形成する。
【0046】
前記画素定義膜35は、各画素を区画するものであって、有機物で形成され、第1電極61が形成されている基板の表面、特に、保護膜34の表面を平坦化する。
【0047】
前記第1電極61と第2電極62は、相互絶縁されており、発光層を含む有機層63に、それぞれ異なる極性の電圧を加えて発光させる。
【0048】
前記発光層を含む有機層63は、低分子または高分子の有機物が使われるが、低分子有機物を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)が、単一あるいは複合構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc:Copper Phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(N,N’−Di(Naphthalene−1−yl)−N,N’−diphenyl−Benzidine:NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(tris−8−hydroxyquinolinealuminum)(Alq3)を始めとして多様に適用可能である。
【0049】
このような有機発光膜を形成した後には、第2電極62も、同じ蒸着工程で形成する。
【0050】
一方、前記第1電極61は、正極電極の機能を果たし、前記第2電極62は、負極電極の機能を果たせるが、もちろん、これらの第1電極61と第2電極62の極性は、逆になってもよい。そして、第1電極61は、各画素の領域に対応するようにパターニングされ、第2電極62は、すべての画素を覆うように形成される。
【0051】
前記第1電極61は、透明電極または反射型電極で備えられるが、透明電極として使われる時には、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO、またはIn
2O
3で備えられ、反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びそれらの化合物で反射層を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3で透明電極層を形成する。そのような第1電極61は、スパッタリング法によって成膜された後、フォトリソグラフィ法によってパターニングされる。
【0052】
一方、前記第2電極62も、透明電極または反射型電極で備えられるが、透明電極として使われる時には、この第2電極62が負極電極として使われるので、仕事関数が小さい金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びそれらの化合物が発光層を含む有機層63の方向に向くように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3で補助電極層やバス電極ラインを形成する。そして、反射型電極として使われる時には、前記Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びそれらの化合物を全面蒸着して形成する。この時、蒸着は、前述した発光層を含む有機層63の場合と同じ方法で行える。
【0053】
ここで、前記第2電極62は、
図1に示された蒸着源アセンブリー100(
図1)によって蒸着される。すなわち、チャンバ内に配されて蒸着物質を放射する蒸着源、チャンバを貫通するように形成され、蒸着源を加熱するための電源を供給する電極、電極とチャンバが互いに接触しないように、電極とチャンバとの間に介在される絶縁体、及び絶縁体の一側に、絶縁体を覆うように形成される絶縁体キャップを含む蒸着源アセンブリーによって、蒸着源アセンブリー100(
図1)で放射される蒸着物質が基板1(
図1)上に蒸着される。
【0054】
本発明は、それ以外にも、第1電極の蒸着にも使用され、その他、多様な素材の成膜工程に適用可能である。
【0055】
本明細書では、本発明を限定された実施形態を中心に説明したが、本発明の範囲内で多様な実施形態が可能である。また、説明されていないが、均等な手段も、本発明にそのまま結合されるものである。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、移動型電子機器関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
100 蒸着源アセンブリー、
110 チャンバ、
120 蒸着源、
130 電極、
140 絶縁体、
150 絶縁体キャップ。