(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作部材は、操作位置と前記操作位置よりも下方に位置する非操作位置との間を前記ハンドルのうちの前記操作部材が設けられている部分の長手方向に沿って移動可能であり、且つ、前記操作位置の側から前記非操作位置に向けて付勢されており、
前記操作部材は、前記ハンドルの揺動にともなって、前記切り替え部材に下方から当接して当該切り替え部材を動作させる、請求項1または2に記載の乳母車。
前記操作部材は、操作位置と前記操作位置よりも下方に位置する非操作位置との間を前記ハンドルのうちの前記操作部材が設けられている部分の長手方向に沿って移動可能であり、且つ、前記操作位置の側から前記非操作位置に向けて付勢されており、
前記状態維持部材は、前記非操作位置から前記操作位置へ移動する前記操作部材に押圧されて、前記規制位置から前記解除位置へと移動する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳母車。
前記操作部材は、前記ハンドルに対して摺動可能な操作基部と、前記ハンドルのうちの前記操作基部が設けられている部分の長手方向に対して交差する方向に突出し且つ前記接触面を含む操作突出部と、を有する、請求項6に記載の乳母車。
前記接触面は、前記ハンドルの揺動軸線と平行な方向から観察した場合に、前記ハンドルの前記第1位置から前記第2位置への揺動にともなった前記操作部材の移動経路における前方側から後方側へ向けて、前記揺動軸線からの距離がしだいに長くなっていく面を含んでいる、請求項6〜8のいずれか一項に記載の乳母車。
前記切り替え部材は、前記後脚に対して摺動可能な切り替え基部と、前記後脚のうちの前記切り替え基部が設けられている部分の長手方向に対して交差する方向に突出した切り替え突出部と、を有し、
前記切り替え突出部は、前記ハンドルの揺動軸線と平行な方向から観察した場合に、前記ハンドルの前記第1位置から前記第2位置への揺動にともなった前記操作部材の移動経路における前方側から後方側へ向けて、前記揺動軸線からの距離がしだいに長くなっていく受け面を含み、
前記操作部材は、前記ハンドルの前記第2位置への揺動にともなって、前記切り替え部材の前記受け面に接触する、請求項6〜11のいずれか一項に記載の乳母車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような切り替え機構は、非常に有用である一方で、構成が複雑であることから、乳母車の大型化、その結果として乳母車の重量化を引き起こしてしまう。
【0006】
加えて、昨今の乳母車は、通常、折り畳み可能に構成されている。折り畳み可能な乳母車では、一般的に、乳母車を展開状態に維持するための機構が、ハンドルおよびその近傍に設けられる。つまり、乳母車を展開状態に維持するための機構が、切り替え機構を構成する部材と同様の位置に配置される。したがって、切り替え機構を構成する部材の設置スペースを十分に確保することが困難であった。また、切り替え機構の設計の自由度にも制約が生じていた。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、ハンドルが揺動可能であり且つ乳母車本体が折り畳み可能な乳母車において、ハンドルの揺動に応じて車輪保持ユニットの状態を自動的に切り替える機構を小型化および軽量化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の乳母車は、
前脚および後脚を有する本体フレームと、前記本体フレームに揺動可能に接続されたハンドルと、を有する折り畳み可能な乳母車本体と、
前記前脚および前記後脚のうちの少なくとも一方の脚に設けられた車輪保持ユニットであって、車輪と、前記車輪を回転可能に支持する回転体と、前記少なくとも一方の脚に取り付けられ且つ前記車輪の回転軸線と非平行な軸線を中心として回転体を回転可能に支持する固定体と、前記回転体の前記固定体に対する回転を規制する非回転位置と前記回転体の前記固定体に対する回転を可能にする回転位置との間を移動可能なロック部材と、を有する車輪保持ユニットと、を備え、
前記乳母車本体の折り畳み動作が規制されるようになる規制位置と、前記乳母車本体の折り畳み動作が可能となる解除位置と、の間を移動可能な状態維持部材が、前記本体フレームに設けられ、
前記ハンドルに対して動作可能な操作部材が、前記ハンドルに設けられ、
前記ハンドルの前記本体フレームに対する揺動に応じて前記ロック部材を移動させる切り替え機構が、設けられ、
前記切り替え機構は、前記本体フレームに動作可能に設けられた切り替え部材と、前記切り替え部材の動作を前記ロック部材に伝達する伝達手段と、を含み、
前記操作部材は、
前記ハンドルに対して動作することによって、前記状態維持部材を押圧して移動させ、
前記ハンドルの揺動にともなって、前記切り替え部材を押圧して動作させる。
【0009】
本発明の乳母車において、
前記本体フレームは、
前記前脚および前記後脚と回動可能に接続されたアームレストと、
前記アームレストと回動可能に接続された第1リンクと、を有し、
前記状態維持部材は、前記第1リンクに支持され、
前記切り替え部材は、前記後脚に支持されているようにしてもよい。
【0010】
本発明の乳母車において、
前記本体フレームは、
前記前脚と回動可能に接続された第2リンクと、
前記後脚と回動可能に接続された第3リンクと、をさらに有し、
前記第2リンクは、前記第1リンク及び前記第3リンクの少なくとも一方と回動可能に接続され、
前記第3リンクは、前記第1リンク及び前記第2リンクの少なくとも一方と回動可能に接続されているようにしてもよい。
【0011】
本発明の乳母車において、
前記操作部材は、操作位置と前記操作位置よりも下方に位置する非操作位置との間を前記ハンドルのうちの前記操作部材が設けられている部分の長手方向に沿って移動可能であり、且つ、前記操作位置の側から前記非操作位置に向けて付勢されており、
前記操作部材は、前記ハンドルの揺動にともなって、前記切り替え部材に下方から当接して当該切り替え部材を動作させるようにしてもよい。
【0012】
本発明の乳母車において、
前記操作部材は、操作位置と前記操作位置よりも下方に位置する非操作位置との間を前記ハンドルのうちの前記操作部材が設けられている部分の長手方向に沿って移動可能であり、且つ、前記操作位置の側から前記非操作位置に向けて付勢されており、
前記状態維持部材は、前記非操作位置から前記操作位置へ移動する前記操作部材に押圧されて、前記規制位置から前記解除位置へと移動するようにしてもよい。
【0013】
本発明の乳母車において、
前記ハンドルは、前記操作部材が前記状態維持部材と係合可能となる第1位置と、前記操作部材が前記切り替え部材と係合する第2位置と、の間を揺動可能であり、
前記ハンドルが前記第1位置に位置している場合、前記操作部材は、前記切り替え部材から離間するようにしてもよい。
【0014】
本発明の乳母車において、
前記ハンドルは、前記操作部材が前記状態維持部材と係合可能となる第1位置と、前記操作部材が前記切り替え部材と係合する第2位置と、の間を揺動可能であり、
前記操作部材は、操作位置と前記操作位置よりも下方に位置する非操作位置との間を前記ハンドルのうちの前記操作部材が設けられている部分の長手方向に沿って移動可能であり、且つ、前記操作位置の側から前記非操作位置に向けて付勢されており、
前記操作部材は、前記ハンドルが前記第1位置に位置している場合に前記状態維持部材に下方から接触可能な接触面であって、前記ハンドルが前記第2位置に位置している場合に前記切り替え部材に下方から接触する接触面を有するようにしてもよい。
【0015】
本発明の乳母車において、前記操作部材は、前記ハンドルに対して摺動可能な操作基部と、前記ハンドルのうちの前記操作基部が設けられている部分の長手方向に対して交差する方向に突出し且つ前記接触面を含む操作突出部と、を有するようにしてもよい。
【0016】
本発明の乳母車において、前記ハンドルの揺動軸線と平行な方向から観察した場合に、前記接触面は曲線状となっているようにしてもよい。
【0017】
本発明の乳母車において、前記接触面は、前記ハンドルの揺動軸線と平行な方向から観察した場合に、前記ハンドルの前記第1位置から前記第2位置への揺動にともなった前記操作部材の移動経路における前方側から後方側へ向けて、前記揺動軸線からの距離がしだいに長くなっていく面を含んでいるようにしてもよい。
【0018】
本発明の乳母車において、前記ハンドルが前記第1位置に配置されている場合、前記操作部材は、前記接触面のうちの前記揺動軸線からの距離が最も長くなる部分において、前記状態維持部材へ接触可能であるようにしてもよい。
【0019】
本発明の乳母車において、前記接触面のうちの前記状態位置部材に接触するようになる部分は、前記ハンドルの揺動軸線と平行な方向から観察した場合に、前記ハンドルのうちの前記操作部材が設けられている部分の長手方向と直交するようにしてもよい。
【0020】
本発明の乳母車において、
前記切り替え部材は、前記後脚に対して摺動可能な切り替え基部と、前記後脚のうちの前記切り替え基部が設けられている部分の長手方向に対して交差する方向に突出した切り替え突出部と、を有し、
前記切り替え突出部は、前記ハンドルの揺動軸線と平行な方向から観察した場合に、前記ハンドルの前記第1位置から前記第2位置への揺動にともなった前記操作部材の移動経路における前方側から後方側へ向けて、前記揺動軸線からの距離がしだいに長くなっていく受け面を含み、
前記操作部材は、前記ハンドルの前記第2位置への揺動にともなって、前記切り替え部材の前記受け面に接触するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ハンドルが揺動可能であり且つ乳母車本体が折り畳み可能な乳母車において、ハンドルの揺動に応じて車輪保持ユニットの状態を自動的に切り替える機構を小型化および軽量化することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0024】
図1〜
図9は本発明による乳母車の一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1〜
図3には、乳母車の全体構成が示されている。
図1〜
図3に示すように、本実施の形態における乳母車10は、脚14,16を有した折り畳み可能な乳母車本体11と、脚14,16に取り付けられた車輪保持ユニット70と、を有している。乳母車本体11は、前脚14及び後脚16を有する本体フレーム12と、本体フレーム12に対して揺動可能となるように本体フレーム12に接続されたハンドル50と、を有している。また、図示は省略するが、乳母車本体11には、クッション性の座席材が取り外し可能に装着される。乳幼児は、この座席材上に着座する。
【0025】
本実施の形態において、乳母車10は、広く普及しているように(例えば、JP2006−117012A)、折り畳み可能に構成されている。また、本実施の形態の乳母車10においては、ハンドル50を本体フレーム12に対して揺動させることにより、操作者(保護者)が乳幼児の背面側からハンドル50を把持して乳母車10を操縦し、乳幼児が進行方向の前方を向くようにして乳母車10を走行させること、並びに、操作者が乳幼児に対面する前脚側の位置からハンドル50を把持して乳母車10を操縦し、乳母車10の後脚側が進行方向の前方となるようにして乳母車10を走行させること、の両方が可能となっている。
【0026】
ここで、本明細書中において、乳母車およびその構成要素に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車およびその構成要素に乗車する乳幼児を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。さらに詳しくは、「前後方向」とは、
図1における紙面の左下と右上とを結ぶ方向であって、
図2における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、乗車した乳幼児が向く側であり、
図1における紙面の左下側並びに
図2における紙面の左側が前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに接地面に直交する方向である。したがって、接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「横方向」とは幅方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0027】
まず、乳母車の全体構成として、乳母車本体11について説明する。
図1に示すように、本実施の形態における乳母車10は、全体的に、前後方向に沿った横方向中心面を中心として概ね対称な構成となっている。上述したように、乳母車本体11は、本体フレーム12及びハンドル50を有している。このうち本体フレーム12は、
図1に示すように、それぞれ左右に配置された一対の前脚14と、それぞれ左右に配置された一対の後脚16と、それぞれ左右に配置された一対のアームレスト19と、それぞれ左右に配置された一対の第1リンク20と、を有している。
【0028】
図1及び
図2に示すように、前脚14の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置されたアームレスト19の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。同様に、後脚16の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置されたアームレスト19の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。また、第1リンク20の上方部分が、対応する側(左側または右側)に配置されたアームレスト19の後方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。
図2に示されているように、図示された例において、第1リンク20は、主リンク材21と、主リンク材21の上端に固定された上接続材22と、を有している。主リンク材21は、例えば金属製パイプからなる。上接続材22は、例えば、樹脂成形物からなる。第1リンク20は、上接続材22において、アームレスト19の後端部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。
【0029】
図1及び
図2に示すように、本体フレーム12は、前脚14と回動可能(揺動可能)に接続された第2リンク25と、後脚16と回動可能(揺動可能)に接続された第3リンク30と、を有している。第2リンク25は、第1リンク20及び第3リンク30の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続される。第3リンク30は、第1リンク20及び第2リンク25の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続される。
【0030】
図1に示すように、図示された例において、第2リンク25をなす部材として、フレーム材26と、フレーム材26に固定された前接続材27及び後接続材28とが設けられている。フレーム材26は、例えば、曲げ加工した金属製パイプからなる。前接続材27及び後接続材28は、例えば樹脂成形物からなる。フレーム材26は、前後方向に延びる一対の側部26aと、一対の側部26a間を前方にて連結する連結部26bと、を有してU字状をなしている。前接続材27は、一端部分を前脚14と回動可能に接続され、他端部分を側部26aの前方部分に固定されている。後接続材28は、側部26aの後端部分に固定されている。この例において、右側に位置するフレーム材26の側部26aと、この右側の側部26aに固定された右側の前接続材27及び後接続材28とによって、右側の第2リンク25が形成されている。同様に、左側に位置するフレーム材26の側部26aと、この左側の側部26aに固定された左側の前接続材27及び後接続材28とによって、左側の第2リンク25が形成されている。
【0031】
図1に示すように、図示された例において、第3リンク30は、後脚16に回動可能に接続された主軸材31と、主軸材31の上端部分に固定された端部材32と、を有している。主軸材31は、例えば金属製パイプからなる。端部材32は、例えば樹脂成形物からなる。主軸材31は、下端部分において後脚16と回動可能に接続されている。端部材32は、第1リンク20及び第2リンク25に接続されている。
【0032】
図4及び
図5に示すように、図示された例において、第1リンク20、第2リンク25及び第3リンク30は、同一の軸部材34を用いて、互いに回動可能に接続されている。この軸部材34は、第1リンク20の主リンク材21、第3リンク30の端部材32、及び、第2リンク25をなす後接続材28を貫通している。この構成により、第1リンク20、第2リンク25及び第3リンク30は、軸部材34によって画成される同一の軸線を中心として、互いに回動可能となっている。
【0033】
また、図示された例において、
図1及び
図2に示すように、本体フレーム12は、ベースフレーム41及び上方フレーム42と、ベースフレーム41と上方フレーム42とを連結する連結フレーム43と、をさらに、有している。フレーム材26およびベースフレーム41には、ベース布材(図示せず)が張設される。ベース布材は、フレーム材26、ベースフレーム41、上方フレーム42及び連結フレーム43とともに、クッション性の座席材(図示せず)を支持する。ベースフレーム41及び上方フレーム42は、共にU字状に形成されている。ベースフレーム41は、その両端部において、軸部材34に貫通されている。そして、ベースフレーム41は、フレーム材26やその他の構成要素に対して回動可能(揺動可能)となっている。上方フレーム42は、その両端部において、アームレスト19の後端部分と回動可能(揺動可能)に接続されている。上方フレーム42のアームレスト19に対する回動軸線は、第1リンク20のアームレスト19に対する回動軸線と同一線上に位置している。ベースフレーム41及び上方フレーム42の間には、横方向に離間して一対の連結フレーム43が設けられている。連結フレーム43は、その両端において、ベースフレーム41及び上方フレーム42と回動可能に接続されている。
【0034】
図1に示すように、本体フレーム12は、横方向に延びる構成要素として、一対の前脚14間を連結する前方連結材15と、一対の後脚16間を連結する後方連結材17と、を有している。前方連結材15は、フットレストとして機能する。また、一対の後接続材28間には、中央連結材29が設けられている。前方連結材15、後方連結材17及び中央連結材29によって、乳母車10の横方向への変形を抑制することができる。さらに、一対のアームレスト19間に可撓性を有したガード部材38が取り外し可能に設けられている。
【0035】
以上の構成からなる本体フレーム12に対し、ハンドル50が揺動可能に連結されている。
図1に示すように、本実施の形態において、ハンドル50は、互いに略平行に延びる一対の軸部50aと、一対の軸部50a間を連結する中間部50bと、を含んでいる。ハンドル50は、全体として略U字状の形状を有している。ハンドル50は、U字の両端部において、本体フレーム12と回動可能(揺動可能)に接続されている。
図5に示されているように、ハンドル50は、軸部材34を用いて、本体フレーム12と回動可能に接続されている。したがって、第1リンク20、第2リンク25、第3リンク30、ベースフレーム41及びハンドル50は、軸部材34によって画成される同一の軸線を中心として、互いに対して回動可能となっている。
【0036】
この乳母車本体11において、ハンドル50は、側面視において垂直軸よりも後方に傾斜する第1位置(背面押し位置)と、垂直軸よりも前方に傾斜する第2位置(対面押し位置)と、の間を揺動可能となっている。
図1において、ハンドル50は、第1位置に配置されている。
図2において、ハンドル50は、第2位置に配置されている。ハンドル50の軸部50aには、保持係合部材51が設けられている。保持係合部材51は、軸部50aの長手方向に沿って軸部50aに対して摺動可能となっている。一方、本体フレーム12には、保持係合部材51と係合可能な第1位置保持部材35(
図2参照)及び第2位置保持部材36(
図1参照)が設けられている。保持係合部材51と第1位置保持部材35とが係合することにより、ハンドル50は、
図1に示すように第1位置に保持される。保持係合部材51と第2位置保持部材36とが係合することにより、ハンドル50は、
図2に示すように、第2位置に保持される。
【0037】
次に、乳母車本体11の脚14,16に取り付けられた車輪保持ユニット70について説明する。本実施の形態において、前脚14及び後脚16に取り付けられた車輪保持ユニット70は、すべて、所謂キャスターとして構成されている。
図8及び
図9に示すように、各車輪保持ユニット70は、対応する脚14,16に固定された固定体71と、固定体71に支持された回転体74と、車軸77を介して回転体74に回転可能に保持された車輪78と、を有している。車輪78は、車軸77によって画成される回転軸線Arを中心として回転可能となっている。
【0038】
なお、
図1に示すように、一対の車輪78が、固定体71及び回転体74の両側にそれぞれ位置するようにして、設けられている。ただし、
図8では、片側の車輪78の図示を省略している。
【0039】
図8に示すように、固定体71は、上下方向における下方に向けて延び出したキャスター軸部材72を有している。回転体74は、キャスター軸部材72によって貫通された貫通穴(図示せず)を有している。この結果、回転体74は、キャスター軸部材72によって画成されるキャスター軸線Acを中心として固定体71に対して回転可能となっている。回転体74の固定体71に対する回転軸線となるキャスター軸線Acは、車輪78の回転体74に対する回転軸線となる回転軸線Arと非平行となっている。典型的には、キャスター軸線Acは上下方向と平行になり、回転軸線Arは横方向と平行になる。
【0040】
図9に示すように、車輪保持ユニット70は、固定体71及び回転体74の相対回転を規制する部材としてのロック部材79を、さらに有している。本実施の形態において、ロック部材79は、固定体71に支持されている。ロック部材79は、固定体71に対して動作可能となっている。固定体71には、上下方向に長細く延び且つ回転体74に向けて開口した収容溝73が、形成されている。ロック部材79は、収容溝73内に配置され、固定体71に対して上下方向に相対移動する。この結果、ロック部材79は、回転体74の固定体71に対する回転を規制する非回転位置と、回転体74の固定体71に対する回転を可能にする回転位置との間を移動することができる。
【0041】
図9では、非回転位置に配置されたロック部材79を示している。
図9に示すように、ロック部材79が非回転位置に配置されると、当該ロック部材79は、固定体71から下方に突出する。回転体74には、固定体71から突出したロック部材79を受けるための受け凹部75が設けられている。すなわち、ロック部材79が非回転位置にある場合、ロック部材79の先端が受け凹部75内に挿入され、固定体71及び回転体74のキャスター軸線Acを中心とした相対回転が規制される。一方、ロック部材79が回転位置にある場合、ロック部材79の全体が固定体71の内部に位置し、固定体71及び回転体74のキャスター軸線Acを中心とした相対回転が可能となる。
【0042】
なお、
図9に示すように、固定体71の収容溝73には、付勢部材80が収容されている。付勢部材80は、例えば圧縮ばねからなる。付勢部材80は、ロック部材79を回転位置の側から非回転位置に向けて付勢している。また、ロック部材79は、後述する伝達手段85のリードワイヤ86に接続されている。ロック部材79の固定体71に対する相対位置は、伝達手段85を介して制御され得る。
【0043】
なお、一対の前脚14に取り付けられる車輪保持ユニット70は、同一または対称に構成され得る。同様に、一対の前脚16に取り付けられる車輪保持ユニット70は、同一または対称に構成され得る。また、前脚14に取り付けられる車輪保持ユニット70及び後脚16に取り付けられる車輪保持ユニット70は、脚への取り付け部位が異なるだけで、その他は、同一に構成され得る。
図8及び
図9では、代表として、前脚14に取り付けられた車輪保持ユニット70を図示している。
【0044】
以上の構成からなる乳母車10では、ハンドル50が第1位置に保持されている場合(
図1の状態)、操作者(保護者)は、乳幼児の背面側となる乳母車10の後脚側の位置からハンドル50を把持し、乳幼児が進行方向の前方を向くようにして乳母車10を押し進ませることができる。このとき、乳母車10の前脚側が、進行方向前方となる。一方、ハンドル50が第2位置に保持されている場合、操作者は、乳幼児に対面する乳母車10の前脚側の位置からハンドル50を把持し、乳母車10を押し進めることができる。このとき、乳母車10の後脚側が、進行方向前方となる。このような乳母車10では、進行方向の前方側の脚14,16に取り付けられた車輪保持ユニット70において回転体74の固定体71に対する回転が可能となり、進行方向の後方側の脚に取り付けられた車輪保持ユニット70において回転体74の固定体71に対する回転が規制されることが好ましい。
【0045】
すなわち、ハンドル50が第1位置に保持されている場合、前脚14に取り付けられた車輪保持ユニット70のロック部材79が回転位置に配置され、且つ、後脚16に取り付けられた車輪保持ユニット70のロック部材79が非回転位置に配置されることが好ましい。また、ハンドル50が第2位置に保持されている場合、前脚14に取り付けられた車輪保持ユニット70のロック部材79が非回転位置に配置され、且つ、後脚16に取り付けられた車輪保持ユニット70のロック部材79が回転位置に配置されることが好ましい。そして、本実施の形態の乳母車10では、後述するように、ハンドル50の本体フレーム12に対する揺動に応じてロック部材79を移動させる切り替え機構100が、設けられている。
【0046】
次に、以上のような構成からなる乳母車10を展開した状態から折り畳む際の動作について説明する。以上の構成を有した乳母車10は、各構成部材を相対回動させることにより、折り畳むことができる。具体的には、第1位置に配置されたハンドル50をいったん後上方に引き上げ、その後、下方に押し下げることによって、第3リンク30を後脚16に対し
図2において時計回り方向に回動させる。この操作にともなって、アームレスト19および第2リンク25は第1リンク20に対し
図2において時計回り方向に回動する。このような操作により、側面視においてハンドル50と前脚14とが略平行に配置されるとともに、ハンドル50の配置位置が下げられるようになる。以上のようにして、
図3に示すように、乳母車10を折り畳むことができる。
図3の折り畳まれた状態では、乳母車10の前後方向および上下方向に沿った寸法を小型化することができる。一方、乳母車10を折り畳み状態から展開するには、上述した折り畳み操作と逆の手順を踏めばよい。
【0047】
ところで、本実施の形態の乳母車10では、
図4〜7に示すように、展開状態から折り畳み状態への乳母車10の動作を規制する状態維持部材60が、本体フレーム12に設けられている。状態維持部材60は、乳母車10の折り畳み動作が規制されるようになる規制位置と、乳母車10の折り畳み動作が可能となる解除位置と、の間を移動可能となっている。本実施の形態において、状態維持部材60は、第1リンク20の主リンク材21に支持されている。規制位置と解除位置との間での状態維持部材60の移動は、主リンク材21の長手方向に沿った移動となっている。
【0048】
図6によく示されているように、状態維持部材60は、主リンク材21に装着された本体部61と、本体部61から突出した規制係合突起62及び受け板63と、を有している。規制係合突起62は、本体部61から横方向内側に突出している。一方、第3リンク30の端部材32には、規制係合突起62と係合可能な規制係合凹部33が形成されている。
図5に示すように、状態維持部材60が、第1リンク20に対して下方に摺動した場合、状態維持部材60の規制係合突起62が、第3リンク30の規制係合凹部33内に収容される。
図5に示された状態においては、状態維持部材60を支持する第1リンク20と、状態維持部材60と係合した第3リンク30は、相対回動することができない。したがって、状態維持部材60の規制係合突起62と、第3リンク30の規制係合凹部33が係合している場合、乳母車10は展開した状態に維持され、乳母車10を折り畳むことはできない。すなわち、
図5に示された状態維持部材60の位置が、状態維持部材60の規制位置である。
【0049】
一方、
図6に示すように、状態維持部材60が、第1リンク20に対して上方に摺動すると、規制係合突起62は、第3リンク30の規制係合凹部33から抜け出す。そして、規制係合突起62と規制係合凹部33の係合が解除されると、第1リンク20及び第3リンク30は相対回動可能となり、乳母車10を折り畳むことが可能となる。すなわち、
図6に示された状態維持部材60の位置が、状態維持部材60の規制位置である。
【0050】
なお、好ましくは、状態維持部材60の本体部61は、図示しない付勢部材により、解除位置(
図6参照)から規制位置(
図5参照)に向けて付勢されている。このような付勢力を用いることにより、積極的に外力を加えていない限り、乳母車10の折り畳み動作がより確実に規制されるようになる。すなわち、誤動作により、意図せず乳母車10の折り畳む動作が開始することを効果的に防止することができる。
【0051】
状態維持部材60の設置にともない、状態維持部材60を操作するための操作部材55が、ハンドル50の軸部50aに設けられている。操作部材55は、
図5に示された非操作位置と
図6に示された操作位置との間を、ハンドル50のうちの操作部材55が設けられている部分の長手方向に沿って、移動可能となっている。操作部材55は、ハンドル50の軸部50aに収容された付勢部材59(
図5参照)により、操作位置の側から非操作位置へと付勢されている。すなわち、操作部材55は、外力を加えられていない場合、付勢部材59からの付勢力によって、操作位置よりも下方に位置する非操作位置に位置するようになる。一例として、操作部材55は、図示しない操作伝達具によって、ハンドル50の中間部50bに設けられた遠隔操作装置52(
図1参照)と連結されている。そして、遠隔操作装置52を操作することによって、操作部材55を操作位置から非操作位置へと移動させることができる。
【0052】
図5に示すように、操作部材55は、ハンドル50に支持された操作基部56と、操作基部56から突出した操作突出部57と、を有している。操作基部56は、ハンドル50の軸部50aに装着されている。操作基部56は、ハンドル50の軸部50aの長手方向に沿って当該軸部50aに対して摺動可能となっている。また、操作突出部57は、ハンドル50のうちの操作基部56が設けられている部分50aの長手方向に対して直交する方向、より具体的には幅方向における内側に向けて、操作基部56から延び出している。一方、
図6に示すように、状態維持部材60の受け板63は、本体部61から幅方向における外側に延び出している。そして、操作部材55が非操作位置から操作位置へと移動すると、操作突出部57は、状態維持部材60の受け板63に下方から当接し、状態維持部材60を規制位置から解除位置に向けて押圧する。すなわち、
図5及び
図6に示すように、ハンドル50が第1位置に配置されている場合、操作部材55を非操作位置から操作位置へと移動させることによって、状態維持部材60を規制位置から解除位置へと移動させることができる。これにより、上述した乳母車10の折り畳み動作を開始することが可能となる。
【0053】
次に、切り替え機構100について説明する。切り替え機構100は、ハンドル50の本体フレーム12に対する揺動に応じて車輪保持ユニット70のロック部材79を移動させる機構である。
図5、
図7、
図8及び
図9に示すように、切り替え機構100は、本体フレーム12に設けられた切り替え部材65と、切り替え部材65の動作をロック部材に伝達する伝達手段85と、を含んでいる。切り替え部材65は、本体フレーム12に対して動作可能となっている。切り替え部材65は、後脚16に支持されている。切り替え部材65は、
図5に示された第1切り替え位置と
図7に示された第2切り替え位置との間を、後脚16のうちの切り替え部材65が設けられている部分の長手方向に沿って移動可能となっている。
【0054】
一方、伝達手段85は、切り替え部材65とロック部材79との間に設けられている。具体的な構成として、
図9に示すように、伝達手段85は、リードワイヤ86と、リードワイヤ86が挿通している筒状部材87と、を有している。リードワイヤ86は、ロック部材79と切り替え部材65とのそれぞれに取り付けられている。伝達手段85は、一端をロック部材79の近傍に固定され、他端を切り替え部材65の近傍に固定されている。したがって、切り替え部材65が、第1切り替え位置と第2切り替え位置との間で移動すると、リードワイヤ86が筒状部材87内を移動し、ロック部材79が回転位置と非回転位置との間を移動する。
【0055】
とりわけ図示された例では、前脚14に取り付けられた車輪保持ユニット70のロック部材79と、切り替え部材65との間に、前脚側の伝達手段85が設けられ、且つ、後脚16に取り付けられた車輪保持ユニット70のロック部材79と、切り替え部材65との間に、後脚側の伝達手段85が設けられている。前脚側の伝達手段85は、
図2に示すように、後脚16内および前脚14内を通過して、切り替え部材65から車輪保持ユニット70まで延びている。後脚側の伝達手段85は、
図2に示すように、後脚16内を通過して、切り替え部材65から車輪保持ユニット70まで延びている。切り替え部材65が
図5の第1切り替え位置に位置している場合、前脚14に取り付けられたロック部材79が非回転位置から回転位置へ引き上げられ、且つ、後脚16に取り付けられたロック部材79が付勢部材80の付勢力によって回転位置から非回転位置へ押し進められる。一方、切り替え部材65が
図7の第2切り替え位置に位置している場合、前脚14に取り付けられたロック部材79が付勢部材80の付勢力によって回転位置から非回転位置へ押し進められ、且つ、後脚16に取り付けられたロック部材79が非回転位置から回転位置へ引き上げられる。
【0056】
切り替え機構100の切り替え部材65は、ハンドル50の揺動位置に応じて、第1切り替え位置と第2切り替え位置とのいずれかに配置されるようになる。具体的には、ハンドル50に装着された操作部材55が、ハンドル50の揺動にともなって、切り替え部材65を押圧して動作させる。
図5に示すように、ハンドル50が第1位置に位置している場合、操作部材55は、切り替え部材65から離間している。ただし、操作部材55は、ハンドル50の揺動にともなって、切り替え部材65に下方から当接して当該切り替え部材65を動作させる。すなわち、
図5に示すように、ハンドル50が第1位置に配置されている場合、操作部材55が切り替え部材65から離間して、切り替え部材65を第1切り替え位置に配置する。一方、
図7に示すように、ハンドル50が第2位置に配置されている場合、切り替え部材65の切り替え突出部67に下方から当接して、切り替え部材65を第2切り替え位置に配置する。
【0057】
なお、
図5に示すように、後脚16内に設けられた付勢部材69によって、切り替え部材65は、第2切り替え位置の側から第1切り替え位置に向けて付勢されている。付勢部材69の付勢力は、車輪保持ユニット70内に設けられた付勢部材80の付勢力よりも大きい。したがって、操作部材55に当接されていない状態において、切り替え部材65は、第1切り替え位置に安定して位置するようになる。これにより、ハンドル50の揺動位置に応じた、切り替え部材65の位置制御を安定して実現することが可能となる。
【0058】
図5に示すように、切り替え部材65は、後脚16に支持された切り替え基部66と、切り替え基部66から突出した切り替え突出部67と、を有している。切り替え基部66は、後脚16の長手方向に沿って当該後脚16に対して摺動可能となるように、後脚16に装着されている。また、切り替え突出部67は、後脚16のうちの切り替え基部66が設けられている部分の長手方向に対して直交する方向、より具体的には前後方向における後方に向けて、切り替え基部66から延び出している。
図7に示すように、ハンドル50が第1位置から第2位置へと移動すると、操作部材55の操作突出部57は、切り替え部材65の切り替え突出部67に下方から当接し、切り替え部材65を第1切り替え位置から第2切り替え位置に向けて押圧する。
【0059】
すなわち、操作部材55の操作突出部57は、ハンドル50の第1位置から第2位置への揺動にともなって切り替え部材65に下方から接触するようになる接触面58を有している。逆に、切り替え部材65は、操作部材55の接触面58と接触するようになる受け面69を有している。
図4には、ハンドル50の揺動軸線Asと平行な方向からの観察における接触面58(点線)及び受け面69が示されている。
【0060】
図4に示すように、また
図5からも理解できるように、接触面58は曲面状に形成されている。したがって、ハンドル50の揺動にともなって移動する操作部材55によって、切り替え部材65を後脚16に対して滑らか且つ安定して動作させることが可能となる。これにより、ハンドル50の揺動に応じて、ロック部材79を回転位置と非回転位置との間でより確実に動作させることができる。また、
図4に示すように、接触面58は、ハンドル50の揺動軸線Asと平行な方向から観察した場合に、ハンドル50の第1位置から第2位置への揺動にともなった操作部材55の移動経路trにおける前方側から後方側へ向けて、揺動軸線Asからの距離daがしだいに長くなっていく曲面を含んでいる。したがって、ハンドル50の揺動にともなって、切り替え部材65を後脚16に対して少しずつ滑らかに動作させることが可能となる。これにより、ハンドル50の本体フレーム12に対する揺動に応じて、ロック部材79を回転位置と非回転位置との間でより確実に動作させることができる。
【0061】
同様に
図4に示すように、切り替え突出部67の受け面68は、ハンドル50の揺動軸線Asと平行な方向から観察した場合に、ハンドル50の第1位置から第2位置への揺動にともなった操作部材55の移動経路trにおける前方側から後方側へ向けて、揺動軸線Asからの距離dbがしだいに長くなっていく曲面を含んでいる。したがって、ハンドル50の揺動にともなって、切り替え部材65を後脚16に対して少しずつ滑らかに動作させることが可能となる。これにより、ハンドル50の本体フレーム12に対する揺動に応じて、ロック部材79を回転位置と非回転位置との間でより確実に動作させることができる。
【0062】
なお、
図5に示すように、後脚16には、後脚16の長手方向に沿って直線状に延びる誘導長穴16aが形成されている。この誘導長穴16aには、切り替え軸部材65aが挿入されている。切り替え軸部材65aは、誘導長穴16aの長手方向に沿って移動可能となっている。この切り替え軸部材65aは、切り替え部材65の切り替え基部66によって保持され、切り替え部材65とともに後脚16に対して動作する。上述した伝達手段85のリードワイヤ86は、切り替え軸部材65の切り替え軸部材65aまたは切り替え軸部材65aと固定され後脚16内を切り替え軸部材65と共に移動可能な連動部材(図示せず)に接続されていてもよい。
【0063】
ところで、上述したように、操作部材55は、ハンドル50が第1位置に位置している場合に、状態維持部材60に下方から接触し、状態維持部材60を規制位置から解除位置へと移動させることができる。本実施の形態では、ハンドル50が第1位置に配置されている場合、操作部材55は、その接触面58のうちのハンドル揺動軸線Asからの距離da(
図5参照)が最も長くなる頂部58aにおいて、状態維持部材60の受け板63へ接する。このような接触面58は、大型化を防止してコンパクトに設計することができる。すなわち、操作部材55の小型化を図り、乳母車10の簡易化および軽量化を図ることが可能となる。
【0064】
また、
図4に示すように、接触面58の頂部58aは、ハンドル50の揺動軸線Asと平行な方向から観察した場合に、ハンドル50のうちの操作部材55が設けられている部分の長手方向と直交する方向に沿っている。言い換えると、接触面58の頂部58aは、揺動軸線Asと平行な方向からの観察において、ハンドル50のうちの操作部材55が設けられている部分の長手方向と直交する方向と平行、または、この直交する方向に接する。このような操作部材55によれば、状態維持部材60と操作部材55との安定した接触状態を確保することができる。これにより、切り換え部材65の操作にも利用される操作部材55を用いて、状態維持部材60を安定して操作することが可能となる。とりわけ、本実施の形態のように、操作部材55がハンドル50の長手方向に沿って摺動する場合には、この操作部材55を用いて、状態維持部材60をより安定して操作することができる。
【0065】
以上のような本実施の形態によれば、操作部材55が、ハンドル50に対して動作することによって状態維持部材60を押圧して移動させることができるとともに、ハンドル50の揺動にともなって切り替え部材65を押圧して動作させることもできる。すなわち、本実施の形態によれば、ハンドル50の揺動時に、ハンドル50の揺動にともなって移動する操作部材55により、切り換え部材65を自動的に操作することができる。この操作部材55は、操作されることによってハンドル50に対して動作し、状態維持部材60を移動させることもできる。つまり、操作部材55は、乳母車10の展開状態を維持するための機構の一部分としても機能する。このような操作部材55を用いることにより、切り替え部材65を動作させるための部材を操作部材55とは別途に設けることと比較して、乳母車10の部品点数を低減することができる。また、部品点数が低減されるので、部品の設置スペースを十分に確保することも可能となる。さらに、乳母車10の構成を大幅に簡略化および小型化することも可能となり、同時に、乳母車10の軽量化を実現することもできる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、操作部材55は、操作位置と操作位置よりも下方に位置する非操作位置との間をハンドル50のうちの操作部材55が設けられている部分の長手方向に沿って移動可能であり、且つ、操作位置の側から非操作位置に向けて付勢されている。加えて、操作部材55は、ハンドル50の揺動にともなって、切り替え部材65に下方から当接して当該切り替え部材65を動作させる。つまり、操作部材55は、下方に位置する非操作位置に向けて付勢されるとともに、切り替え部材65を下方から押圧するようになる。これにより、ハンドル50の第2位置への揺動時には、付勢された位置にある操作部材55が、付勢方向とは逆向きに切り換え部材65を押圧するようになる。したがって、移動可能範囲の下限に維持された操作部材55が、ハンドル50の揺動にともなって、切り替え部材65に下方から接触して、切り替え部材65を上方に動作させることが可能となる。この場合、切り替え部材65の安定した動作を実現することができる。
【0067】
さらに、本実施の形態によれば、操作部材55は、操作位置と操作位置よりも下方に位置する非操作位置との間をハンドル50のうちの操作部材55が設けられている部分の長手方向に沿って移動可能であり、且つ、操作位置の側から非操作位置に向けて付勢されている。加えて、状態維持部材60は、操作位置から非操作位置へ移動する操作部材55に押圧されて、規制位置から解除位置へと移動する。つまり、操作部材55は、下方に位置する非操作位置に向けて付勢されるとともに、状態維持部材60を下方から押圧するようになる。これにより、ハンドル50が第1位置に配置されている場合には、付勢力に抗して操作位置に向けて操作される操作部材55によって、状態維持部材60を動作させるようになる。したがって、状態維持部材60が意図せず動作することを効果的に防止することができる。これにより、乳母車10を展開した状態に安定して維持することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態によれば、ハンドル50は、操作部材が状態維持部材60と係合可能となる第1位置と、操作部材55が切り替え部材65と係合する第2位置と、の間を揺動可能である。加えて、ハンドル50が第1位置に位置している場合、操作部材55は、切り替え部材65から離間している。したがって、ハンドル50が第1位置に配置された状態において乳母車10を折り畳み状態から展開した際に、切り替え部材65と操作部材55との間に隙間が形成されるようになる。このため、乳母車を展開する際に、切り換え部材65と操作部材55との間に衣服等が挟まれることを効果的に防止することができる。
【0069】
さらに、本実施の形態によれば、操作部材55は、ハンドル50に対して摺動可能な操作基部56と、ハンドル50のうちの操作基部56が設けられている部分の長手方向に対して交差する方向(幅方向)に突出し且つ接触面58を含む操作突出部57と、を有している。したがって、ハンドル50の揺動にともなって、操作部材55と切り替え部材65との接触を安定して確保することができる。
【0070】
なお、上述した実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。以下、変更の一例について説明する。
【0071】
上述した実施の形態において、前脚14及び後脚16の両方に取り付けられた車輪保持ユニット70のロック部材79が、切り替え機構100によって、ハンドル50の揺動位置に応じて自動的に動作する例を示したが、これに限られない。いずれか一方の脚に取り付けられた車輪保持ユニット70のロック部材79だけが、切り替え機構100によって、ハンドルの揺動位置に応じて自動的に動作するようにしてもよい。この際、他方の脚に取り付けられた車輪保持ユニットは、キャスターとして構成されていなくてもよい。
【0072】
また、上述した実施の形態において説明した乳母車10及び乳母車本体11の全体構成は、単なる例に過ぎない。
【0073】
さらに、上述した実施の形態において説明した車輪保持ユニット70の構成は、単なる例に過ぎない。例えば、日本国特許公開公報特開2008−254693号公報に開示されたキャスターの構成を採用してもよい。
【0074】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。