(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379024
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】レンズキャップ
(51)【国際特許分類】
G03B 11/04 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
G03B11/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-249973(P2014-249973)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2016-110017(P2016-110017A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】安富 暁
【審査官】
高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−175348(JP,A)
【文献】
特開2012−47804(JP,A)
【文献】
特開2006−65097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラのアスペクト比に応じた長い花弁状部分および短い花弁状部分を交互に有するレンズ鏡筒のフードに装着するレンズキャップであって、
上記短い花弁状部分に係合する係合爪と、
上記長い花弁状部分の先端が当該レンズキャップの底壁の内面に当接するように当該レンズキャップの装着をガイドするガイド部と、
を有するレンズキャップ。
【請求項2】
上記ガイド部は、当該レンズキャップの周壁の内面に凸設した複数本のリブを有し、上記フードの隣接する上記長い花弁状部分と上記短い花弁状部分をつなぐ傾斜縁部に上記複数本のリブの端部を当接させて当該レンズキャップの装着をガイドする、
請求項1のレンズキャップ。
【請求項3】
上記周壁の内面の上記長い花弁状部分に対向する位置にキズ防止部材を備えている、
請求項2のレンズキャップ。
【請求項4】
上記係合爪を収容して上記底壁の内面に突設した爪収容部をさらに有し、
上記爪収容部が、上記レンズ鏡筒の上記フードに最も近いレンズを逃がす凹面を有する、
請求項1のレンズキャップ。
【請求項5】
当該レンズキャップの外面に露出して設けた上記係合爪を動作させるためのプッシュボタンをさらに有し、
上記プッシュボタンは、当該レンズキャップを上記フードに装着した状態で、上記短い花弁状部分に対向する、
請求項1のレンズキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラのレンズ鏡筒に装着するレンズキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラのレンズ鏡筒として、入射光を制限する花弁形状のフードを備えたものが知られている。このフードは、カメラのアスペクト比に応じた長さの異なる2種類の花弁を交互に有する。この種のレンズ鏡筒にレンズキャップを取り付ける場合、一般に、長い方の花弁にキャップの爪を係合させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−175348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、レンズキャップを装着した状態のレンズ鏡筒の光軸方向の長さが長くなり、レンズ鏡筒をコンパクトに収納できない問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、レンズ鏡筒の光軸方向の長さを短くできるレンズキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレンズキャップの一態様は、カメラのアスペクト比に応じた長い花弁状部分および短い花弁状部分を交互に有するレンズ鏡筒のフードに装着するレンズキャップであって、上記短い花弁状部分に係合する係合爪と、上記長い花弁状部分の先端が当該レンズキャップの底壁の内面に当接するように当該レンズキャップの装着をガイドするガイド部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レンズ鏡筒の光軸方向の長さを短くできるレンズキャップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るレンズキャップをレンズ鏡筒と分離した状態を示す外観斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のレンズキャップをフード側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のレンズキャップをフードに装着した状態を示す部分断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のレンズキャップを装着した状態のレンズ鏡筒を光軸を通る面で切断した断面図である。
【
図5】
図5は、フードの長い花弁状部分にレンズキャップの爪を係合せしめた場合の比較例を示すレンズ鏡筒の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るレンズキャップ10をレンズ鏡筒100と分離した状態を示す外観斜視図である。
【0010】
レンズ鏡筒100は、必要以上に強い光が入射するのを防ぐため花形のフード110を備えている。フード110は、レンズ鏡筒100の図示しない被写体側の先端に取り付けられる。フード110は、カメラのアスペクト比に応じて長さを異ならせた2種類の花弁状部分112、114を有する略円環状の部材である。撮影する画像が矩形であるため、花弁状部分112、114は、画像領域の4辺に対応して全部で4枚設けられている。
【0011】
互いに対向した比較的長い方の2枚の花弁状部分112は、レンズ鏡筒100を図示しないカメラに取り付けた状態で、撮影する画像の長辺に対応する位置(縦方向に並ぶ位置)に配置される。一方、互いに対向した比較的短い方の2枚の花弁状部分114は、レンズ鏡筒100をカメラに取り付けた状態で、撮影する画像の短辺に対応する位置(横方向に並ぶ位置)に配置される。つまり、長い花弁状部分112と短い花弁状部分114は、フード110の周方向に沿って90°ずつ位相を異ならせて交互にレイアウトされている。なお、長い花弁状部分112の突出方向の先端縁112aは、レンズキャップ10の底壁12の平らな内面12a(
図2)に線で当接するように平らにされている。
【0012】
図2は、レンズキャップ10を裏側から見た斜視図であり、
図3は、レンズキャップ10をフード110に取り付けた状態の部分断面図である。
図3ではフード110を点線で示してある。レンズキャップ10は、略円板状の底壁12、および底壁12の周縁部から一体に立設された略円筒形の周壁14を有する。このレンズキャップ10は、周壁14の内側にフード110の4枚の花弁状部分112、114を挿入するように、フード110に被せられる。レンズキャップ10をフード110に被せると、長い花弁状部分112の先端縁112aがレンズキャップ10の底壁12の内面12aに当接する。
【0013】
レンズキャップ10の周壁14の内面14aには、2枚のシート状のキズ防止部材11が貼り付けられている。各キズ防止部材11は、レンズキャップ10をフード110に装着する際に、長い花弁状部分112が摺接する位置に貼設されている。言い換えると、2枚のキズ防止部材11は、レンズキャップ10をフード110に装着した状態で、長い花弁状部分112に対向する位置に設けられている。キズ防止部材11は、レンズキャップ10の周壁14の内面14aが長い花弁状部分112の摺接によって傷付くことを防止するとともに、長い花弁状部分112の外面がレンズキャップ10の摺接によって傷付くことを防止するよう機能する。
【0014】
また、レンズキャップ10の周壁14の内面14aには、当該レンズキャップ10のフード110への装着をガイドする複数本のリブ13(ガイド部)が一体に凸設されている。複数本のリブ13は、それぞれ、周壁14の軸方向に延びている。このため、レンズキャップ10を射出成形により形成できる。複数本のリブ13の底壁12から離間した先端13aは、フード110の互いに隣接する長い花弁状部分112と短い花弁状部分114をつなぐ傾斜縁部113(
図1)に当接し、長い花弁状部分112の先端縁112aがレンズキャップ10の底壁12の内面12aに当接するように、レンズキャップ10の装着をガイドする。すなわち、複数本のリブ13は、4枚の花弁状部分112、114の間にある4つの傾斜縁部113に対応して、周壁14の内面14aに沿って4か所に数本ずつ並べて設けられている。
【0015】
また、レンズキャップ10の底壁12の内面12aには、2つの係合爪15をそれぞれ動作可能に収容した爪収容部16が突設されている。2つの係合爪15は、それぞれ、フード110の短い花弁状部分114に係合する。このため、2つの爪収容部16は、レンズキャップ10の底壁12の径方向に互いに離間して、上述した2枚のキズ防止部材11と90°位相を異ならせて配置されている。また、2つの爪収容部16は、底壁12の中心に向けて内面12a方向に湾曲して凹んだ凹面16aをそれぞれ有する。これら2つの凹面16aは、レンズキャップ10をフード110に装着した状態で、レンズ鏡筒100のフード110に最も近いレンズ100a(
図1)を逃がす形状に湾曲している。
【0016】
各係合爪15は、レンズキャップ10の底壁12の内面12aに沿って径方向に移動可能な状態で、各爪収容部16内にそれぞれ収容配置されている。各爪収容部16の内部には、径方向に延設された押圧バネ17がそれぞれ配置されている。それぞれの押圧バネ17の一端は係合爪15のピン15a(
図3)に装着され、他端は爪収容部16の壁16b(
図3)に当接している。
【0017】
また、レンズキャップ10の周壁14には、各係合爪15の一部を露出するための2つの開口部14bが設けられている。各開口部14bから外部へ露出した係合爪15の部分は、係合爪15を動作させるためのプッシュボタン18(
図1)として機能する。プッシュボタン18は、操作性を高めるため、光軸方向の幅をある程度確保する必要がある。
【0018】
しかして、レンズキャップ10の外側から2つのプッシュボタン18を互いに近付く方向に押し込むと、押圧バネ17が圧縮されて係合爪15がレンズキャップ10の中心方向へ移動される。係合爪15は、フード110の短い花弁状部分114の先端縁に沿って内側に突出した係合縁116(
図1)に係合するため、プッシュボタン18を押し込むことで係合が解除される。
【0019】
逆に、レンズキャップ10をフード110に装着する場合、レンズキャップ10をフード110に被せた状態で押し込むだけでよい。つまり、このとき、2つの係合爪15が、押圧バネ17の押圧力に抗してレンズキャップ10の中心方向へ僅かに移動し、フード110の係合縁116を乗り越えて係合する。また、このとき、レンズキャップ10の周壁14の内面14aに設けた複数本のリブ13の先端13aがフード110の傾斜縁部113に当接し、長い花弁状部分112の先端縁112aがレンズキャップ10の底壁12の内面12aに当接するようにガイドする。
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、レンズキャップ10の2つの係合爪15をフード110の短い花弁状部分114の係合縁116に係合させてレンズキャップ10を装着するようにしたため、
図4に示すように、レンズキャップ10の底壁12の内面12aをレンズ鏡筒100の最も被写体に近いレンズ100aに近付けることができ、レンズキャップ10を装着した状態のレンズ鏡筒100の光軸方向の長さを最小にできる。
【0021】
これに対し、仮に、フード110の長い花弁状部分112の先端にある係合縁にレンズキャップ10の2つの係合爪15を係合させた場合、
図5に比較例として示したように、レンズキャップ10の底壁12の内面12aとレンズ100aとの間の距離が離れてしまう。つまり、
図5に示すようにレンズキャップ10の係合爪15を長い花弁状部分112の係合縁に係合させた場合、
図4に示すようにレンズキャップ10の係合爪15を短い花弁状部分114の係合縁116に係合させた場合と比較して、レンズキャップ10を装着した状態のレンズ鏡筒100の光軸方向の長さが長くなってしまう。
【0022】
図5に示す比較例においてレンズ鏡筒100の光軸方向の長さを短くするため、プッシュボタン18の光軸方向の幅を短くする方法が考えられるが、プッシュボタン18の幅を短くすると、その分、操作性が損なわれてしまう。本実施形態のレンズキャップ10は、プッシュボタン18の操作性(大きさ)を確保した上でレンズ鏡筒100の光軸方向の長さを短くできている。
【0023】
また、本実施形態によると、フード110の傾斜縁部113を案内するガイド部を複数本のリブ13により構成したため、レンズキャップ10を肉薄にでき、機械強度を保った上で軽量化ができる。このため、レンズキャップ10を何回も着脱しても変形したり割れたりする心配がなく、信頼性の高いレンズキャップを提供できる。
【0024】
また、フード110の傾斜縁部113に沿ってリブ13の長さを徐々に異ならせているため、レンズキャップ10を装着する際に、長い花弁状部分112の先端がレンズキャップ10の底壁12の内面12aに接触するまで装着をガイドでき、ユーザーがレンズキャップ10の装着姿勢(回転方向の位置)を気にすることなく容易に装着できる。
【0025】
さらに、フード110の長い花弁状部分112の先端縁112aが平らにされているため、レンズキャップ10を装着した状態で、長い花弁状部分112の先端縁112aがレンズキャップ10の底壁12の内面12aに安定して接触し、レンズキャップ10がぐらつくことがない。また、このとき、短い花弁状部分114の係合縁116がレンズキャップ10の係合爪15によって係合されるため、レンズキャップ10のがたつきを確実に防止できる。
【0026】
また、本実施形態によると、レンズキャップ10をフード110に装着した状態で、カメラを台の上に置いた場合、レンズキャップ10が不用意に外れてしまう不具合を防止することができる。つまり、カメラに取り付けたレンズ鏡筒100のフード110は、長い花弁状部分112が縦方向に並び、短い花弁状部分114が横方向に並ぶ。このため、仮に、
図5のように長い花弁状部分112に係合爪15を設けると、プッシュボタン18が台に接触して係合爪15の係合が解除されしまう場合がある。これに対し、本実施形態では、短い花弁状部分114に係合爪15をレイアウトしたため、レンズ鏡筒100が前方に倒れてレンズキャップ10が台に接触しても、プッシュボタン18が不用意に押されることがなく、レンズキャップ10が外れる心配も無い。
【0027】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
10…レンズキャップ、 11…キズ防止部材、 12…底壁、 12a…内面、 13…リブ、 13a…先端、 14…周壁、 14a…内面、 14b…開口部、 15…係合爪、 15a…ピン、 16…爪収容部、 16a…凹面、 16b…壁、 17…押圧バネ、 18…プッシュボタン、 100…レンズ鏡筒、 100a…レンズ、 110…フード、 112…長い花弁状部分、 113…傾斜縁部、 114…短い花弁状部分、 116…係合縁。