特許第6379029号(P6379029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6379029光ネットワークにおけるパスに割り当てる周波数の決定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379029
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】光ネットワークにおけるパスに割り当てる周波数の決定装置
(51)【国際特許分類】
   H04J 14/02 20060101AFI20180813BHJP
   H04B 10/27 20130101ALI20180813BHJP
【FI】
   H04J14/02
   H04B10/27
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-265198(P2014-265198)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-127354(P2016-127354A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】角田 聖也
(72)【発明者】
【氏名】釣谷 剛宏
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−050658(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/162874(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 14/02
H04B 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワークのパスに割り当てる周波数の決定装置であって、
前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数の種別を保持する保持手段と、
前記光ネットワークで使用する総ての周波数スロットを複数の周波数スロットを含む複数のグループに分割する分割手段と、
パスを設定する際に、当該パスの周波数スロット数と同じ周波数スロット数のパスを収容しているグループが存在し、かつ、当該グループに当該パスを収容可能であると、当該パスに当該グループ内の周波数スロットを割り当て、当該パスの周波数スロット数と同じ周波数スロット数のパスを収容しているグループが存在するが、当該グループに当該パスを収容できないと、パスを収容していないグループを1つ選択し、当該パスに当該選択したグループの周波数スロットを割り当てる割当手段と、
を備えており、
前記分割手段は、前記総ての周波数スロットを、前記種別の数より多い数のグループに分割することを特徴とする決定装置。
【請求項2】
前記分割手段は、前記総ての周波数スロットを、前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数それぞれの最小公倍数で分割することで、前記複数のグループに分割することを特徴とする請求項1に記載の決定装置。
【請求項3】
前記分割手段は、前記総ての周波数スロットを前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数それぞれの最小公倍数で分割することで前記複数のグループに分割すると、前記グループの数が前記種別の数以下になる場合、前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数の小さいものから所定数の最小公倍数により、前記総ての周波数スロットを分割することで、前記複数のグループに分割することを特徴とする請求項2に記載の決定装置。
【請求項4】
前記分割手段は、前記総ての周波数スロットを前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数の最小公倍数で分割することで前記複数のグループに分割すると、前記グループの数が前記種別の数以下になる場合、前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数の1つを除いて最小公倍数を求め、前記求めた最小公倍数によりグループの数を求めることを、前記グループの数が前記種別数より大きくなるまで繰り返す探索処理を実行し、前記探索処理においては前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数の大きいものから順に除くことを特徴とする請求項2に記載の決定装置。
【請求項5】
前記分割手段は、前記総ての周波数スロットを前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数の最小公倍数で分割することで前記複数のグループに分割すると、前記グループの数が前記種別の数以下になる場合、前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数の内の少なくとも1つの素数に1を加えて最小公倍数を求め、前記求めた最小公倍数により、前記総ての周波数スロットを分割することで、前記複数のグループに分割することを特徴とする請求項2に記載の決定装置。
【請求項6】
前記割当手段は、パスを設定する際に、当該パスの周波数スロット数と同じ周波数スロット数のパスを収容しているグループが存在するが、当該グループに当該パスを収容できず、かつ、パスを収容していないグループが存在しないと、当該パスとは異なる周波数スロット数のパスを収容しているグループに当該パスを収容可能であるかを判定し、収容可能であると、当該パスに、当該パスとは異なる周波数スロット数のパスを収容している当該グループの周波数スロットを割り当てることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の決定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の決定装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ネットワークにおいて、パスの周波数を決定する決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークとして、様々な周波数帯域幅の波長パス(以下、単にパスと呼ぶ。)を使用するエラスティク光ネットワークが提案されている。なお、エラスティック光ネットワークにおいては、所定の周波数帯域幅を、周波数スロット(FS:Frequency Slot)とし、FSの整数倍の帯域幅のパスを設定する。エラスティック光ネットワークに新たなパスを設定するには、当該パスの2つの端点間において、当該パスが必要とする連続したFS数の経路が必要である。しかしながら、エラスティック光ネットワークにおいては、様々なFS数のパスを設定するため、不連続なFS、つまり、フラグメンテーションが生じ易い。このため、非特許文献1は、パスに必要なFS数の種別数と、各FS数毎のパスの需要数に応じて全帯域を分割してFS数毎のFSグループ(以下、FSG)を設定し、あるパスを設定する際には、当該パスのFS数に対応するFSGに収容することでフラグメンテーションの発生を抑える構成を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】草野 太希 他、"信号帯域幅毎の設定目標周波数を導入した光パス経路・周波数スロット割当法", 2014年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会、通信講演論文集2、B−12−11、p283
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の方法は、パスに必要なFS数と、各FS数のパスの需要に基づきFSGを設定するものである。つまり、例えば、パスに必要なFS数が2、3、4の3つであると、全帯域を3つに分割し、それぞれ、2FSのパス、3FSのパス、4FSのパスを収容するFSGとするものである。なお、各FSGの帯域は、対応するFS数のパスの需要に基づき決定する。しかしながら、非特許文献1の方法では、需要予測と、実際の需要が乖離すると、フラグメンテーションが生じ易くなる。
【0005】
本発明は、フラグメンテーションの発生を抑える決定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、光ネットワークのパスに割り当てる周波数の決定装置は、前記光ネットワークに設定するパスの周波数スロット数の種別を保持する保持手段と、前記光ネットワークで使用する総ての周波数スロットを複数の周波数スロットを含む複数のグループに分割する分割手段と、パスを設定する際に、当該パスの周波数スロット数と同じ周波数スロット数のパスを収容しているグループが存在し、かつ、当該グループに当該パスを収容可能であると、当該パスに当該グループ内の周波数スロットを割り当て、当該パスの周波数スロット数と同じ周波数スロット数のパスを収容しているグループが存在するが、当該グループに当該パスを収容できないと、パスを収容していないグループを1つ選択し、当該パスに当該選択したグループの周波数スロットを割り当てる割当手段と、を備えており、前記分割手段は、前記総ての周波数スロットを、前記種別の数より多い数のグループに分割することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
フラグメンテーションの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による周波数割り当ての説明図。
図2】一実施形態による決定装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0010】
まず、エラスティック光ネットワークにおいて使用する全FSの数をKとする。また、設定するパスの帯域幅の種類の数をMとする。例えば、パスの帯域幅として2FS、3FS、4FSの3つの帯域幅を使用する場合、M=3である。ここで、前提条件として、Kは数百以上の値、例えば、400以上であり、パスの帯域幅はFS数で最大でも10程度の値とする。つまり、パスの帯域幅や、その種類数(つまり、Mの値)は、Kに比べて十分小さいものとする。この条件は、実際のエラスティック光ネットワークに沿ったものである。
【0011】
本実施形態では、図1に示す様に、K個のFSを、S個のグループ(以下、FSGと呼ぶ。)に分割する。なお、1つのFSGに含まれるFS数は、最後のFSG#S以外はNである。最後のFSG#Sに含まれるFS数は、KがNで割り切れる場合には、Nであり、KがNで割り切れない場合には、KをNで割った余りである。図1から明らかな様に、FSGの数Sは、KをNで割った値の小数点以下を切り上げて整数にした値に等しい。
【0012】
例えば、パスの帯域幅として2FS、3FS、4FSの3つの帯域幅を使用するものとする(つまり、M=3)。決定装置は、初めて2FSのパスを設定する場合、未使用のFSG、例えば、FSG#1を選んで2FSのパスを設定する。なお、FSG#1内での周波数の割り当ては、例えば、周波数の低い側又は高い側から割り当てる。決定装置は、その後に2FSのパスを設定する場合には、選択したFSG#1に空き帯域が無くなるまで、FSG#1に2FSのパスを設定する。また、決定装置は、FSG#1に2FSのパスを設定するための空き帯域がなくなると、次に2FSのパスを設定する際に、未使用のFSGを選択して2FSのパス設定を行う。3FSのパスや、4FSのパスについても同様である。この様に、本実施形態では、1つのFSGには基本的には同じ帯域幅のパスのみを収容する。但し、ある帯域幅のパスの設定を行う際に、当該帯域幅に使用しているFSGに空きがなく、さらに、未使用のFSGもない場合には、他の帯域幅に使用しているFSGに当該パスを収容できるのであれば収容する。できないのであれば、当該パスの設定を拒絶する。
【0013】
本実施形態では、SがMより大きくなる様にFSGを設定する。そして、各FSGには、同一帯域幅のパスを優先して設定する。つまり、非特許文献1に記載の様に、S=Mに分割するのではなく、SをMより大きくする。言い換えると、1つのFSG内のFSの数を小さくする。そして、各FSGには同一帯域幅のパスを優先して収容する。この構成によりフラグメンテーションの発生を抑える。
【0014】
例えば、本実施形態では、フラグメンテーションの発生を抑えるため、Nの値を、パスに使用するFS数の最小公倍数とする。例えば、パスの帯域幅として2FS、3FS、4FSの3つの帯域幅を使用する場合、N=12とする。この構成によりFSGをいずれの帯域幅のパスに使用しても、FSG内のFSを余らせることなく総て使用できる。
【0015】
なお、例えば、パスの帯域幅として3FS、4FS、5FS及び7FSの3つの帯域幅を使用する場合、N=420になる。K=500とすると、S=2となり、Sの値はM=4より小さくなってしまう。この様に、最小公倍数によりSの値がMより小さくなると、決定装置は、FS数の小さい方から所定数の値のみの最小公倍数を使用する。例えば、所定数を3とすると、Nは3、4、5の最小公倍数、つまり、N=60となり、S=9となる。つまり、Sの値をMより大きくできる。また、帯域幅の一番大きいものを1つ除いてN及びSを求めることを、Sの値がMより大きくなるまで繰り返してNを決定する構成であっても良い。
【0016】
さらに、FS数が素数である帯域幅の大きい方から所定数のFS数に1を加えて偶数として、N及びSを求める構成であっても良い。例えば、所定数を2とすると、1を加える対象となるFS数は7及び5であり、それぞれ、8及び6になる。この場合、N=24でS=21となる。なお、一番大きな素数に1を加えてN及びSを求めることを、Sの値がMより大きくなるまで繰り返してNを決定する構成であっても良い。
【0017】
図2は、本実施形態による決定装置の構成図である。ユーザが入出力部12に、全帯域幅に対応するFS数=Kと、使用するパスの帯域幅に対応する複数のFS数を入力すると、決定部11は、上述した処理によりN及びSを求める。その後、ユーザが入出力部12により、新たに設定するパスのFS数を入力すると、決定部11は、上述した様に新たに設定するパスのFSGと、FSG内での位置を決定する。さらに、決定部11は、当該決定したFSG内の位置に基づき設定するパスの経路を決定し、新たに設定するパスを実際に生成するため、エラスティック光ネットワークの各光ノードにコマンドを送信する。
【0018】
なお、本発明による決定装置は、コンピュータを上記決定装置として動作させるプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
図1
図2