(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379043
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4184 20060101AFI20180813BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20180813BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20180813BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20180813BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20180813BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20180813BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
A61K31/4184
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/34
A61P43/00 116
A61P9/12
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-559742(P2014-559742)
(86)(22)【出願日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2014052126
(87)【国際公開番号】WO2014119667
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2013-15099(P2013-15099)
(32)【優先日】2013年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000209049
【氏名又は名称】沢井製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】福原 康史
(72)【発明者】
【氏名】植月 賢治
(72)【発明者】
【氏名】中川 知哉
【審査官】
金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−528171(JP,A)
【文献】
特開2012−025715(JP,A)
【文献】
特開2006−070046(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/068727(WO,A1)
【文献】
特表2010−535212(JP,A)
【文献】
特開2007−137802(JP,A)
【文献】
特許第3122141(JP,B2)
【文献】
特開平05−194218(JP,A)
【文献】
J. Neeharika, et al,Formulation and evaluation of Candesartan cilexetil immediate release tablets,International Research Journal of Pharmacy,2012年,3(7),271-284
【文献】
7 製剤の基本問題,薬剤学マニュアル,株式会社南山堂,1989年 3月20日,第108頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4184
A61K 9/0JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
0
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性高分子及びマンニトールを含むカンデサルタンシレキセチルの分散液を用いて粉体の添加物とともに湿式造粒することを特徴とするカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造方法。
【請求項2】
前記水溶性高分子はヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項1に記載のカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造方法。
【請求項3】
前記分散液は安定化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造方法。
【請求項4】
前記安定化剤はラウロマクロゴールであることを特徴とする請求項3に記載のカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物に関する。特に、溶出不良が改善されたカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高血圧症の治療薬の1つとして、アンジオテンシンII受容体に拮抗作用を示すカンデサルタンシレキセチルが広く用いられている。
【0003】
カンデサルタンシレキセチルは水に難溶性であるため、生体に良好に吸収されるためには、固形製剤からの溶出性を改善する必要がある。例えば、カンデサルタンシレキセチルを微粉化することにより、固形製剤からの溶出性を改善する方法が知られている。しかしながら、カンデサルタンシレキセチルを粉砕する際の圧力等によってカンデサルタンシレキセチルの結晶性が低下し、それに伴ってカンデサルタンシレキセチルの純度が低下することが知られている。そこで、特許文献1では、微粒子サイズのカンデサルタンシレキセチルのスラリーを加温条件下で一定時間維持した後、濾過、乾燥することにより安定な微粒子サイズのカンデサルタンシレキセチルを得る方法が、また特許文献2では、カンデサルタンシレキセチルを結合剤等とともに水に溶解ないし懸濁させた後、湿式粉砕法により微粉化する方法が提案されているが、いずれも製造時の操作が煩雑となる。
【0004】
また、特許文献3では、カンデサルタンシレキセチルを可溶化剤または水溶性ポリマーを含むマトリクス中に分散することによって非晶質化し、生体内の吸収性を向上させる方法が提案されているが、溶融・固化、粉砕など製造時の操作が非常に煩雑である。
【0005】
さらに、特許文献4〜6では、製剤中に界面活性剤等を添加することによりカンデサルタンシレキセチルの固形製剤からの溶出性などの改善を図る方法が提案されている。しかし、これらの方法も実用上望ましい程度まで改善されたとは言いがたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2008−505935号公報
【特許文献2】特開2012−153631号公報
【特許文献3】特表2010−502698号公報
【特許文献4】特表2008−536929号公報
【特許文献5】特表2010−522692号公報
【特許文献6】特表2010−535212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、カンデサルタンシレキセチルの溶解性を改善する方法がそれぞれ多数報告されているものの、製造工程が煩雑になるなどの問題があり、実用面で十分とは言いがたい方法であった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであって、溶出不良が改善されたカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によると、カンデサルタンシレキセチルを溶剤に分散させた分散液を用いて粉体の添加物とともに湿式造粒することによって製造されるカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物が提供される。
【0010】
前記カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造工程において用いる前記分散液は、水溶性高分子を含んでもよい。
【0011】
前記カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造工程において用いる前記分散液中の水溶性高分子は、ヒドロキシプロピルセルロースであってもよい。
【0012】
前記カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造工程において用いる前記分散液は糖アルコールをさらに含んでもよい。
【0013】
前記カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造工程において用いる前記分散液中の前記糖アルコールは、マンニトールであってもよい。
【0014】
前記カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造工程において用いる前記分散液は安定化剤をさらに含んでもよい。
【0015】
前記カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造工程において用いる前記分散液中の前記安定化剤はラウロマクロゴールであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、溶出不良が改善されたカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例に係るカンデサルタンシレキセチルの溶出性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らは、カンデサルタンシレキセチルを溶剤に分散させた分散液を用いて粉体の添加物とともに湿式造粒することにより、溶出不良の改善が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0019】
従来技術においては、粉末状のカンデサルタンシレキセチルを他の添加物とともに造粒する方法が一般的である。本発明では、カンデサルタンシレキセチルを予め微粉砕する必要はなく、カンデサルタンシレキセチルを溶剤に分散させた分散液を用いて粉体の添加物とともに湿式造粒する方法であり、これまでに報告されていない簡便な製造方法である。
【0020】
以下、本発明に係るカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物及びその製造方法について説明する。但し、本発明のカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物及びその製造方法は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
カンデサルタンシレキセチルは、本発明に係るカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の薬効成分であり、化学名が(RS)−1−〔(シクロヘキシルオキシ)カルボニルオキシ〕エチル 2−エトキシ−1−{〔2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル〕メチル}−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボキシレートである。
【0022】
本発明においては、カンデサルタンシレキセチルを薬理学的に許容可能な溶剤に分散させた分散液を用いて粉体の添加物とともに湿式造粒する。カンデサルタンシレキセチルを分散させる薬理学的に許容可能な溶剤としては水が好ましく、精製水を用いることができる。
【0023】
一実施形態において、カンデサルタンシレキセチルの分散液は、水溶性高分子を含むことが好ましい。水溶性高分子は、カンデサルタンシレキセチルの溶剤への分散性を向上させることができる。
【0024】
また、本実施形態に係る水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール等を用いることができる。本実施形態においては、水溶性高分子として、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を好適に用いることができる。本実施形態において、水溶性高分子は、カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物100重量部に対して、0.01重量部以上3重量部以下の範囲であることが好ましく、0.05重量部以上0.5重量部以下がより好ましい。
【0025】
一実施形態において、カンデサルタンシレキセチルの分散液は、糖アルコールをさらに含むことができる。本実施形態において、糖アルコールとしては、例えば、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、トレハロース、マルチトール等を用いることができる。本実施形態においては、糖アルコールとして、マンニトールを好適に用いることができる。本実施形態において、糖アルコールは、カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物100重量部に対して、0.5重量部以上50重量部以下の範囲であることが好ましく、5重量部以上20重量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0026】
一実施形態において、カンデサルタンシレキセチルの分散液は、安定化剤をさらに含むことができる。本実施形態においては、安定化剤として、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール等のアルキレンオキサイドの重合体や共重合体、ラウロマクロゴール等の多価アルコールの高級アルコールエーテルを用いることができる。好適に用いることができるラウロマクロゴールとしては、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、または、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテルがある。特に、固体状のポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテルは、本発明に係るカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物により好適に用いることができる。本実施形態において、安定化剤は、カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物100重量部に対して、0.01重量部以上2.4重量部以下含むことが好ましい。
【0027】
本発明に係るカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物は、一般に用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤及び安定化剤の少なくとも1種の薬理学的に許容可能な添加剤と組み合わせることができる。
【0028】
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、トウモロコシデンプンなどのデンプン類、ショ糖、乳糖、ブドウ糖などの糖類、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールなどの糖アルコール、軽質無水ケイ酸、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、第三リン酸カルシウムなどが挙げられる。これらの賦形剤は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
崩壊剤としては、例えば、結晶セルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、架橋化ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、デンプン類などが挙げられる。これらの崩壊剤は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0030】
結合剤としては、薬理学的に許容可能な結合剤、例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、結晶セルロース・カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、α化デンプン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらの結合剤は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0031】
安定化剤としては、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール等のアルキレンオキサイドの重合体や共重合体、ラウロマクロゴール等の多価アルコールの高級アルコールエーテル等が挙げられる。これらの安定化剤は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0032】
カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物には、賦形剤、崩壊剤、結合剤、安定化剤などの薬理学的に許容可能な添加剤の他に、さらに、薬理学的に許容可能な慣用の他の添加剤、例えば、滑沢剤、コーティング剤、防腐剤、矯味剤、甘味剤、着色剤、着香剤、香料、流動化剤、光沢化剤などを加えてもよい。
【0033】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、L−ロイシンなどを挙げることができる。甘味剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、ブドウ糖などの糖類、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールなどの糖アルコール、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、タウマチンなどを挙げることができる。これら慣用の他の添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0034】
(製造方法)
上述したように、本発明に係るカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物は、カンデサルタンシレキセチルを溶剤に分散させた分散液を用いて粉体の添加物とともに湿式造粒することにより製造することができる。
【0035】
本実施形態に係るカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造工程のうち、カンデサルタンシレキセチルの分散液を調製する工程を示す。まず、水溶性高分子を溶剤に添加して、攪拌機で溶解させる。この際には、水溶性高分子に加えて糖アルコール、安定化剤を添加してもよい。その後、この溶液にカンデサルタンシレキセチルを添加し、分散機で分散させる。
【0036】
本実施形態に係るカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造工程を示す。カンデサルタンシレキセチル分散液を用いて粉体添加物とともに湿式法で造粒し、得られた造粒物を常法により乾燥、整粒、打錠する。ここで、粉体添加物は、上述した賦形剤、崩壊剤、結合剤及び安定化剤の少なくとも1種の薬理学的に許容可能な添加剤である。また、整粒後打錠前に、さらに賦形剤、崩壊剤、滑沢剤等を混合してもよい。
【0037】
本実施形態において、造粒操作は、例えば、流動層造粒機、撹拌造粒機、双軸造粒機等の装置を使用して行うことができる。本実施形態においては、カンデサルタンシレキセチル分散液を用いる湿式造粒及び乾燥を連続で行うことができる流動層造粒法を用いることが好ましい。打錠は、市販の打錠機を使用して、行うことができる。
【0038】
本実施形態において、素錠又は造粒後の素顆粒等に、コーティングを施してもよい。コーティングをする場合は、フィルムコーティング機、流動層造粒機等の手段により実施するのが好ましい。コーティングには、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒプロメロースフタル酸エステル、酢酸フタル酸セルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、白糖等の当該分野で周知のコーティング剤を用いることができる。
【0039】
本実施形態に係るカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の製造方法は、カンデサルタンシレキセチルを溶剤に分散させた分散液を用いて粉体の添加物とともに湿式造粒することにより、カンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物からのカンデサルタンシレキセチルの溶出性を向上させることができる。
【実施例】
【0040】
上述した本発明に係るカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物の具体的な製造例及び試験結果を示して、より詳細に説明する。
【0041】
(実施例)
精製水848.75gに、D−マンニトール65g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)0.75g及びラウロマクロゴール0.5gを添加して、攪拌機(プライミクス社製)を用いて、2000rpmで20分撹拌して、溶解させた。続いて、分散機(プライミクス社製)に溶液を移し、カンデサルタンシレキセチル60gを添加して8000rpmで20分撹拌して、カンデサルタンシレキセチルを溶液中に分散させた。
【0042】
D−マンニトール367.25g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)70g、粉末還元麦芽糖水アメ2g及びスクラロース3gを30号篩で分級し、流動層造粒機(パウレック(株)製)に投入し、得られたカンデサルタンシレキセチル分散液を添加して流動層造粒を行った。得られた造粒物を乾燥後、22号篩で整粒し、得られた整粒物、ステアリン酸40g、結晶セルロース32.5g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリンUFL2)6.5g及びステアリン酸マグネシウム2.5gをV型混合機(不二パウダル(株)製)にて混合し、得られた混合末をロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)で、1錠当たりの重量130.0mg、厚み3.30mmとなるよう打錠し、錠剤を得た。
【0043】
(比較例)
精製水908.75gに、D−マンニトール65g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)0.75g及びラウロマクロゴール0.5gを添加して、攪拌機(プライミクス社製)を用いて、2000rpmで20分撹拌して、溶解させた。カンデサルタンシレキセチル60g、D−マンニトール367.25g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)70g、粉末還元麦芽糖水アメ2g及びスクラロース3gを30号篩で分級し、流動層造粒機(パウレック(株)製)に投入し、得られた溶液を添加して流動層造粒を行った。得られた造粒物を乾燥後、22号篩で整粒し、得られた整粒物、ステアリン酸40g、結晶セルロース32.5g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリンUFL2)6.5g及びステアリン酸マグネシウム2.5gをV型混合機(不二パウダル(株)製)にて混合し、得られた混合末をロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)で、1錠当たりの重量130.0mg、厚み3.30mmとなるよう打錠し、錠剤を得た。
【0044】
なお、上述した打錠機で実施例及び比較例のカンデサルタンシレキセチル含有医薬組成物を打錠した際、比較例では激しいスティッキングが認められたのに対して、実施例においてはスティッキングが認められなかった。
【0045】
(溶出性)
実施例及び比較例について、溶出性を検討した。カンデサルタンシレキセチルの溶出性は、後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに準じて溶出試験を実施し、0.1% Tween pH6.8の溶液を用いて、50回転/分の条件で120分後までのカンデサルタンシレキセチルの溶出率(%)を求めた。実施例及び比較例のカンデサルタンシレキセチルの溶出性の測定結果を
図1に示す。
図1から明らかなように、本実施例においては比較例に比して優れた溶出性が認められた。