【実施例1】
【0011】
図1に、本発明に係る風管の分岐構造の概略図を示す。
本発明に係る風管の分岐構造は、複数の管体Cを接続してなる風管Bと、該管体Cの接続部Dに介設する風管分岐具Aとを、少なくとも具備してなる。
その他、本発明に係る風管の分岐構造は、風管Bの分岐部分から必要な箇所まで分岐路を構築するように、前記風管分岐具Aの解放端に接続可能な分岐用管体(図示せず)などを具備することができる。
以下、各構成要素について説明する。
【0012】
風管Bは、トンネルの換気ダクトなどを構成する部材である。
風管Bは、複数の管体Cを順次接続して構成する。
管体Cは、軸方向への伸縮が自在なように蛇腹構造とするなど、公知の構造を採用することができる。
【0013】
管体Cの端部には、隣り合う管体Cと接続するための接続部Dを設ける。
接続部Dには、公知の接続機構から、接続が容易で空気漏れの少ない接続機構を適宜選択することができる。
本実施例では、該管体Cの周縁に全周に亘って気密性を具備するファスナーを設けることによって、接続部Dを形成している。
【0014】
風管分岐具Aは、風管Bから分岐路を形成するための装置である。
図2に、風管分岐具Aを取り付けた状態の風管Bを、風管Bの軸方向から見た際の概略断面図を示す。
風管分岐具Aは、前記風管Bを構成する複数の管体Cの接続部Dに配置するとともに、前記管体Cの内周面および外周面から挟み込むように配置して一体化可能に構成した、一組の筐体を少なくとも備える。
以下、各構成要素について説明する。
【0015】
一組の筐体は、前記管体Cの内周面および外周面から挟み込むための部材である。
前記一組の筐体のうち、一方の筐体には上下に貫通する貫通孔を設け、他方の筐体には前記貫通孔に挿通可能な筒部を設ける。
以下、一組の筐体のうち、一方の筐体を「外側筐体10」と定義し、他方の筐体を「内側筐体20」と定義して説明する。
【0016】
外側筐体10は、前記管体Cの外周面側に配置する部材である。
本実施例では、外側筐体10の平面形状は円盤形状としているが、特に限定するものではない。
外側筐体10の本体部分の素材は、樹脂製としておくと、軽量で取付易く、風管の損傷を防止出来る点で好ましい。また、外側筐体10の本体部分の素材を鋼製とすると、転用回数が増える点で有益である。
外側筐体10には、上下に貫通する貫通孔11を設けておく。
【0017】
外側筐体10の底面には、前記貫通孔11の周囲を取り囲むようにシール部12を配置しておくことができる。
シール部12の素材には、公知の素材を用いれば良く特段限定するものではないが、一般的には、ゴム、発泡ゴム、スポンジ等の弾性体を用いるものとする
【0018】
内側筐体20は、前記管体Cの内周面側に配置する部材である。
本実施例では、内側筐体20の平面形状は円盤形状としているが、特に限定するものではない。
内側筐体20の本体部分の素材は、外側筐体10と同様、樹脂製や構成とすることができる。
【0019】
[筒部の形成]
内側筐体20には、前記した外側筐体10の貫通孔11に挿通可能な外径を呈する筒部21を立設しておく。
筒部21の外周面には、雄ねじ部22を形成しておく。
筒部21の上下端は開口しておくことで、管体C(風管B)の内部と連通する分岐路Fとすることができる。
内側筐体20の上面には前記管体Cの周囲を取り囲むようにシール部23を配置しておくことができる。シール部23の素材には前記外側筐体10のシール部12と同様、公知の素材を用いれば良い。
【0020】
再度
図2を参照しながら、本発明に係る風管分岐具Aの設置手順について説明する。
(1)風管分岐具を設ける箇所
管体Cの接続部DとしてファスナーEを用いた場合には、該ファスナーD1の始端(リテーナー)E1と終端(上止め)E2との間の間隙部分に、風管分岐具Aを配置する。
(2)各筐体の配置
風管Bの内周面側から内側筐体20を配し、外周面側に外側筐体10を配置し、前記内側筐体20の筒部21を前記外側筐体10の貫通孔11に挿通する。
このように、風管Bは、外側筐体10および内側筐体20によって内外周面から挟まれた状態となる。
(3)ナットによる締結
そして、筒部21の雄ねじ部22に対応するナット30を締結し、該ナット30によって、風管Bを外側筐体10および内側筐体20で強固に挟み込み、各筐体を一体化する。
(4)シール部による閉塞空間
前記したファスナーEの間隙部分は、外側筐体10および内側筐体20のシール部12,23によって閉塞した空間(閉塞空間G)内に留まるため、前記したファスナーEの間隙部分を経由して、風管Bの外へと空気が漏れることはない。
(5)分岐路の構築
筒部21の内部は、風管の内外を連通する分岐路Fとなる。
この筒体21の上端に、別途分岐用管体(図示せず)を連結するなどして、所望の箇所まで分岐路Fを延長する事ができる。
なお、風管Bについて、将来的な分岐が可能なように事前に風管分岐具Aを設けてある場合には、筒部21の上端に蓋材(図示せず)を設けるなどして閉口しておけばよい。
【0021】
以上、本願発明によれば、容易に風管から分岐路を形成することができる。
よって、作業員の熱中症対策用の送風や、ミスト発生装置との組み合わせによる覆工コンクリートの養生装置、エアカーテン、スポット的な換気、スポット的な粉塵作業(箱抜き作業、はつり、発電の設置等、トラミキポンプ車へのスポット送気、覆工、インバート打設時にスポット送気)、横連絡坑等の枝分かれしたトンネルへの送気など、多種多様な用途での活用が期待できる。
【実施例2】
【0022】
以下、本願発明に係る風管分岐具は、以下の様な変形例とすることができる。
【0023】
<1>第1変形例
実施例1に記載の外側筐体10の貫通孔11に、内側筐体20の筒部21に設けた雄ねじ部22に対応する雌ねじ部を形成して、前記ナット30を省略するとともに、外側筐体10にナット30の機能を兼用させることができる。
【0024】
<2>第2変形例
外側筐体10に筒部21を設け、内側筐体20に貫通孔11を設けた構造としてもよい。
このとき、内側筐体20の貫通孔11に雌ねじ部を形成しておき、外側筐体10に前記ナット30の機能を兼用させると、風管Bの内部から別途ナット30を締結する必要が無いため、有益である。
【0025】
<3>第3変形例
各筐体10,20と風管Bとの接触態様が十分に気密性を保持できる程度の状態であれば、実施例1で設けたシール部12,23は本発明において必須ではない。
例えば、各筐体10,20の素材を弾性変形可能な素材とすれば、各筐体10,20自身がシール部12,23の機能を兼用することができる。