(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールジエステル組成物を製造する方法において、カルボン酸組成物を用いて1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールをエステル化するステップを含み、前記カルボン酸組成物が、式C7H15COOH(X)の少なくとも1種の酸と、式C9H19COOH(Y)の1種の酸とを含み、質量比(X)/(Y)が10/90〜90/10の範囲であり、
前記1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールがイソソルビドであり、
前記カルボン酸組成物が、酸(X)及び(Y)から構成され、
前記エステル化するステップにおいて、反応温度は100〜160℃の範囲であり、反応媒質を10〜200mbarの範囲のレベルの真空下に置くことを特徴とする製造方法。
【背景技術】
【0002】
合成ポリマーには多くの利点があるため、その使用は、21世紀に入る頃から多くの用途で一般化されてきている。
【0003】
しかし、これらのポリマーは、特に、特定の用途には不十分となり得るその機械的性質などの問題を有する。例えば、これらのポリマーは、室温での非常に低い破断伸び又は不十分な衝撃強さを有する場合がある。
【0004】
さらに、特に、コーティング又はカレンダー加工などの変形工程でこれらを使用できるようにするためには、これらポリマーの融液相挙動を改変する必要があると考えられる。言い換えれば、ポリマーがその融点又はゲル化温度を超え、従って、ポリマーがこのゲル化状態で適正に変形することができるように、形成工程に適した粘度を有する必要がある。
【0005】
より広範な用途に使用できるようにするため、これらのポリマーの特性を改変、例えば、より可撓性に、又は衝撃に対してより耐性にするか、或いはより柔軟な外観を備えることができるようにする必要もある。
【0006】
これを実現するため、これらのポリマーを「可塑剤」と混合することができる。
【0007】
「可塑剤」という用語は、十分な量でポリマーと混合すると、前記ポリマーのガラス転移温度を低下させる機能を有する任意の物質を意味する。
【0008】
ポリマーのガラス転移温度を低下させることにより、その柔軟性が増大し、この可塑化ポリマーの機械的性質が改変される。従って、ポリマー組成物に可塑剤を添加することにより、モジュラス、とりわけ100%伸長時のモジュラスの低下、破壊強さの低減及び/又は破断点歪みの増大が一般に観察される。
【0009】
従って、ポリマーのこれらの改変された特性により、ポリマーをより多様な用途、例えば、フィルム又は軟質シートで使用することが可能になる。
【0010】
プラスチック製造工程中、一般に可塑剤はポリマーと混合され、可塑剤はポリマーの軟化点の低下を可能にする。
【0011】
この混合は、様々な製造方法を介して行うことができる。
【0012】
例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)の場合、熱可塑性材料を変形させる様々な技術、特に、押出、カレンダー加工又はプラスチゾル型の処理を用いたコーティングにより、ポリマーを対象物品に変形させることができる。
【0013】
この熱可塑性混合物を取得するために、温度及び機械的エネルギーの形態で、このシステムにエネルギーを供給しながら、PVCを可塑剤と一緒に混合する。押出の場合、この
混合は閉鎖系で行う。ロールで混合する場合には、この混合は開放系で行う。続いて、例えば熱成形又はカレンダー加工工程により、ポリマーを形成することができる。一般に、熱機械的混合工程の前に、乾燥混合工程を実施する。
【0014】
プラスチゾル製法によれば、一般に、混合物を調製してPVCペーストを形成し、次にこのペーストをコーティング又は成形ステップにより形成した後、ペーストをオーブン内で加熱して部品を形成する。
【0015】
この製法とは関係なく、ポリマーは、製法の終了時に得られる対象物品を充分に形成することができるように、適正に融解又はゲル化する必要がある。
【0016】
可塑剤の貯蔵、使用及び計量の容易さのために、一般に、室温で液体である可塑剤を用いる。
【0017】
PVCから熱可塑性混合物を取得するためのこれら全ての製法について、いまだにフタル酸エステル類の可塑剤がよく用いられている。これらは、現時点でも、非常に一般的に、フタル酸ジオクチル又はフタル酸ジイソノノニルである。これらの可塑剤は、ポリマーを可塑化する上で非常に有効であり、しかも、比較的低コストで市販のものが容易に入手できる。
【0018】
しかし、フタル酸エステルの毒性の問題のために、近年では、シクロヘキサンポリカルボン酸及びその誘導体などの他の可塑剤も開発され、これは特許出願国際公開第00/78853号パンフレット及び国際公開第99/32427号パンフレットの主題である。例として、Hexamoll(登録商標)の商品名でBASFから販売されている、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸(DINCH)のジイソノニルエステルを挙げることができる。
【0019】
他の可塑剤として、グリセロールエステル誘導体も挙げることができ、例えばグリセロール及びヒマシ油から得られ、Danisco社から販売されている、Grindsted(登録商標)Soft−N−Safeなどがある。これらの可塑剤は、生物起源の物質から得られるという利点がある。
【0020】
ポリマー可塑剤としての1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール誘導体の使用は、文献国際公開第99/45060号パンフレットに既に記載されている。これらの誘導体には、フタル酸エステルの毒性の問題がない。これらの可塑剤には、部分的に生物起源であるか、又は完全に生物起源でさえあるという利点もある。前記特許出願は、実施例において、室温で液体である以下の可塑剤を記載している:イソソルビドジオクタノエート、イソソルビドジブタノエート、イソソルビドジヘキサノエート及びイソソルビドビス(2−エチルヘキサノエート)。これらの可塑剤は、文献国際公開第2008/095571A1号パンフレットにも記載されており、ここには、9個の炭素原子を含む脂肪族ジエステルが記載されている。文献Preparation of plasticizers
from carbohydrate sources.I.Levulinic acid esters.II.Sorbide esters,(Hachihama et al.,Technology reports of the Osaka University,Vol.3,No.72,1953,191〜200頁)では、8個の炭素原子を含む脂肪族エステル、また10個の炭素原子を含む脂肪族エステルも記載されている。米国特許第2 387 842A号明細書には、混合脂肪族ジエステルが記載されており、これらも可塑剤として有用である。
【0021】
これらの誘導体で可塑化したポリマーの機械的性質は優れており、フタル酸エステル型
の可塑剤で得られたものに近い。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の方法は、カルボン酸組成物で1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールをエステル化するステップを含む。
【0029】
実際のエステル化ステップを実施する前に、本発明の方法は、一般に、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールを導入するステップ、及びカルボン酸又はカルボン酸組成物を反応器に導入するステップを含む。
【0030】
本発明の方法に用いられる1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、イソマンニド、イソイジド及びイソソルビド、又はこれらの混合物から選択してよく、優先的にはイソソルビドである。本発明の方法によってこのように製造したジエステルは、それぞれ、イソマンニド、イソイジド若しくはイソソルビドジエステル又はこれらジエステルの混合物である。
【0031】
本発明の方法で有用なカルボン酸組成物は、式C
7H
15COOH(X)及び式C
9H
19COOH(Y)の少なくとも2種のカルボン酸と、任意選択で(X)及び(Y)以外の1種又は複数のカルボン酸とを含む。
【0032】
2つの酸X及びYは、互いに依存的に又は独立して、直鎖状若しくは分岐状であってよく、優先的には直鎖状である。
【0033】
カルボン酸組成物に用いることができる、酸(X)及び(Y)以外のこれらの任意選択のカルボン酸は、飽和又は不飽和のいずれでもよく、好ましくは飽和モノカルボン酸である。これらのカルボン酸は2〜36個の炭素原子を含んでよいが、但し、式(X)又は式(Y)に対応しないものとする。これらのカルボン酸は、6、12又は14又は18個の炭素原子、特に12個の炭素原子を含む酸であってもよい。これらは、例えば、ヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸又はリノール酸であり、優先的にはラウリン酸である。
【0034】
本発明の方法で用いるカルボン酸組成物は、その全質量に対して、少なくとも50質量%、例えば少なくとも65%、少なくとも80%、例えば少なくとも90%の酸(X)及び(Y)を含んでよく、とりわけ、酸(X)及び(Y)から構成され得る。
【0035】
有利には、質量比(X)/(Y)は、15/85〜75/25の範囲である。
【0036】
好ましくは、質量比(X)/(Y)は、20/80〜65/35の範囲である。
【0037】
質量比(X)/(Y)が、65/35以下である場合、本発明の方法により得ることができる組成物は、揮発性が著しく低いという利点も有する。
【0038】
最も優先的には、質量比(X)/(Y)は、25/75〜55/45の範囲である。
【0039】
本発明の方法のこの特に好ましい変形形態によれば、得ることができる組成物は、ポリマーの可塑化に用いるとき、非常に低い移動度の達成を可能にする。これはまた、安価であるという利点も有する。
【0040】
最も好ましい変形形態によれば、質量比(X)/(Y)は、25/75〜45/55、最も優先的には、26/74〜34/66である。これらの最も好ましい範囲において、前述の最も改善された特性を有する組成物が得られる。
【0041】
一実施形態によれば、モル比(X)/(Y)は、25/75、及び/又は40/60、及び/又は45/55、及び/又は50/50、及び/又は57/43、及び/又は58/42、及び/又は65/35、及び/又は75/25及び/又は80/20及び/又は85/15以外である。
【0042】
一実施形態によれば、モル比(X)/(Y)は、以下の範囲に含まれない:45/55〜85/15、45/55〜75/25、45/55〜65/35又は50/50〜65/35。
【0043】
本発明の方法のエステル化ステップは、カルボン酸を用いて1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールをエステル化する任意の公知の方法により実施してもよく、前記方法は、以下の点で従来技術の方法と異なる:従来使用されているカルボン酸の代わりに、少なくとも1種の酸(X)および1種の酸(Y)を含むカルボン酸組成物を使用し、質量比(X)/(Y)が、10/90〜90/10の範囲である。
【0044】
以下に説明するように、脂肪酸の質量比を変えることにより、このステップで形成されるジエステルの量を変える。
【0045】
文献にすでに用いられている標準的実施条件下で、エステル化反応を実施することができる。これらのエステル化方法は、例えば、文献国際公開第99/45060A1号パンフレット又は国際公開第2006/103 338A1号パンフレットに記載されている。
【0046】
ジエステル組成物を形成するために、一般的に、エステル化反応器において1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール1モル当たり2モルのカルボン酸を反応させる。
【0047】
反応器に導入されるカルボン酸(X)、(Y)及び他の任意選択のカルボン酸のモルの総和は、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール1モル当たり2〜20、好ましくは2.5〜5、及び最も優先的には2.8〜3.5の範囲である。
【0048】
エステル化ステップは、少なくとも1種の酸触媒の存在下で実施してもよい。エステル化に用いる酸触媒は、多種多様な性質のものであってよく、例えば、次亜リン酸、塩酸、硫酸、パラ−トルエンスルホン酸(PTSA)、メタンスルホン酸(MSA)、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、2−エチルヘキサン酸スズ、リンタングステン酸及びケイタングステン酸から選択される酸、若しくはこれらの酸の混合物、又はこれらの酸の少なくとも1つを含むマクロポーラス若しくは非マクロポーラス樹脂であってもよい。好ましくは、触媒は次亜リン酸を含む。
【0049】
触媒の混合物の場合、これらを反応媒質に同時又は個別に導入することができる。
【0050】
酸触媒の質量総計は、反応器に導入される1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの質量に対して0.05%〜20%、例えば0.1%〜10%の範囲であってよい。
【0051】
反応器内の温度は90〜200℃、一般に100〜160℃の範囲であってよい。エステル化反応を実施するために、一般にジエステルの形成を可能にするように水を除去し、この除去は、例えば、反応媒質の蒸留によって行うことも可能である。この除去を容易にするために、反応媒質を、例えば10〜200mbarの範囲のレベルまでの真空下に置いてもよい。反応中の真空のレベル及び温度などの反応条件は変動してもよい。
【0052】
エステル化反応は、一般に、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールジエステルへの満足な変換を達成する時間にわたり持続する。この時間は広く変動してもよく、1〜10時間の範囲であってよい。
【0053】
導入した触媒を中和するステップは、塩基、例えば、水酸化ナトリウムを、導入した触媒のモル量に相当するモル量で導入することにより実施してもよい。
【0054】
製造方法は、エステル化ステップから得られる組成物を精製するステップを含んでもよい。これは、有利には、エステル化ステップ後にまだ存在するカルボン酸の大部分又はほ
ぼ全部を除去するための、例えば、蒸留による少なくとも1つの蒸発ステップからなる。このステップ中に、ジエステル組成物を100〜250℃の温度条件及び0.1〜50mbarの減圧に付してもよい。好ましくは、このステップは、連続的蒸発器内で実施する。このような蒸発器、例えば、「流下膜」式、又はさらにより良くは、スクレープトフィルム(scraped film)又は「短経路」式の蒸発器により、エステル化ステップ後に組成物が被る温度及び滞留時間を限定することが可能になる。
【0055】
また、製造方法は、例えば、活性炭又は過酸化水素を用いることにより、ジエステル組成物を脱色するステップを含んでもよい。活性炭による処理は、例えば、1重量%〜3重量%の活性炭と接触させることにより実施する。この処理中の温度は、100℃程度であってよい。時間は、一般に、数十分、例えば、約1時間であってよい。処理の終了時に、濾過により活性炭を分離する。過酸化水素による標準的脱色処理は、脱色しようとする組成物に、例えば、90℃〜100℃の温度で、0.5%〜2%の100%過酸化水素を30〜60分の範囲の時間にわたり導入するものであり、その後、組成物をこの温度で1〜2時間撹拌する。これら2つのタイプの脱色処理を組み合わせたい場合には、活性炭による処理の前に過酸化水素処理を実施するのが好ましい。その理由は、活性炭によって、存在し得る過酸化物を破壊することが可能になるからである。
【0056】
既に説明したように、本発明のもう1つの主題は、前述した製造方法によって得ることができる1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールジエステル組成物に関する。
【0057】
酸(X)及び(Y)に加えて、1種又はさらには複数の他のカルボン酸を含むカルボン酸組成物から得ることができるこのジエステル組成物は、その製造方法によってより十分に定義することができない。
【0058】
具体的には、このカルボン酸組成物が、酸(X)及び(Y)以外の1種又は複数のカルボン酸を含む場合、非常に複雑かつ多様な組成物が得られ、これは、用いた酸(X)及び(Y)以外のカルボン酸の性質及び量に左右される。
【0059】
しかし、本発明の組成物は、(X)及び(Y)の混合物だけをカルボン酸組成物として使用するとき、より容易に規定することができる。
【0060】
例として、(X)及び(Y)からなるカルボン酸組成物を用いて本発明の方法を実施し、ここで、質量比(X)/(Y)が70/30に等しい場合、製造される組成物は、以下を含む:
・約48質量%の式:
【化1】
のジエステル(A);
・約43質量%の式:
【化2】
のジエステル(B);
・約9質量%の式:
【化3】
のジエステル(C)。
【0061】
このように、当業者は、前述した方法を用いて、また質量比(X)/(Y)を変えることにより、本発明の組成物を、さらにはその好ましい変形形態も製造することができる。本発明の方法により製造することができるジエステル組成物の他の例も本特許出願の実施例に記載する。
【0062】
従って、本発明の主題は、前述した方法を用いて得ることができる組成物でもあり、前記組成物は、:
・0.5質量%〜82質量%のジエステル(A);
・15質量%〜55質量%のジエステル(B);
・0.5質量%〜82質量%のジエステル(C)
を含み、この量は、ジエステル(A)、(B)及び(C)の全質量に対して表される。
【0063】
様々なジエステルの質量総計は、ガスクロマトグラフィーにより決定することができる。例えば、実施例に記載する詳細な分析方法を参照することができる。
【0064】
有利には、組成物は、:
・1質量%〜57質量%のジエステル(A);
・25質量%〜54質量%のジエステル(B);
・5質量%〜73質量%のジエステル(C)
を含み、この量は、ジエステル(A)、(B)及び(C)の全質量に対して表される。
【0065】
優先的には、組成物は、:
・3質量%〜43質量%のジエステル(A);
・31質量%〜53質量%のジエステル(B);
・11質量%〜65質量%のジエステル(C)
を含み、この量は、ジエステル(A)、(B)及び(C)の全質量に対して表される。この好ましい組成物は、揮発性が著しく低いという利点も有する。
【0066】
最も優先的には、組成物は、:
・5質量%〜31質量%のジエステル(A);
・37質量%〜52質量%のジエステル(B);
・19質量%〜57質量%のジエステル(C)
を含み、この量は、ジエステル(A)、(B)及び(C)の全質量に対して表される。
【0067】
この組成物は、ポリマーを可塑化するために用いる場合、最も低い移動度を達成することを可能にするものであるため、とりわけ好ましい。これはまた、安価であるという利点も有する。
【0068】
好ましくは、組成物は、次の通りである:
・ジエステル(A)が下記式:
【化4】
を有し、
・ジエステル(B)が下記式:
【化5】
を有し、
・ジエステル(C)が下記式:
【化6】
を有する。
【0069】
既述した本発明の方法により得ることができる組成物は、時に微量の下記の残留種:1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールモノエステル、残留酸、又は水さえも含む。
【0070】
従って、本発明の組成物は、その全質量に対して、少なくとも80質量%のジエステル、例えば、少なくとも90%、優先的には少なくとも95%、最も優先的には少なくとも98%のジエステルを有し得る。
【0071】
優先的には、ジエステル(A)、(B)及び(C)は、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールジエステルの質量の少なくとも50%、優先的には少なくとも80%、最も優先的には少なくとも90%を占め、例えば、これらは、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールジエステルの全部を占める。
【0072】
好ましくは、組成物のジエステルの少なくとも1つは、イソソルビドジエステルである。好ましくは、ジエステル組成物は、イソソルビドジエステル組成物である。
【0073】
本発明の組成物の一変形形態によれば、組成物は、規格ASTM D6866に従い、再生可能材料から得られる少なくとも90%の炭素を含有する。
【0074】
1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、マンニトール、イジトール及びソルビトールから得ることもでき、これらは、それ自体、デンプンから得られるため、本発明で有用な1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールエステルは、部分的に生物起源であるか、又はこれも完全に生物起源であるカルボン酸組成物を使用すれば、完全に生物起源でさえあることができるという利点も有する。
【0075】
既述したように、室温(25℃)で液体であるという利点を有する本発明の組成物は、ポリマーの可塑化に特に有用である。
【0076】
本出願人は、可塑化用組成物が、非常に良好に、少なくとも1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールジオクタノエートを用いた場合と同じくらい満足のゆくようにポリマーを可塑化することを可能にすることをみいだした。さらに、やはりこれらのジオクタノエートで可塑化したポリマーと比較して、ポリマーからの可塑化用組成物の移動の現象が著しく低減する。
【0077】
ポリマーは、ポリ塩化ビニル及び塩化ビニルコポリマーなどのビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、セルロース系ポリマー、デンプン、アクリルポリマー、ポリアセテート、天然若しくは合成ゴム、特に、スチレン及び/又はブタジエン製のゴム、例えばSBR、BR若しくはNBRなどのタイプのゴム、ポリアミド、並びにこれらのポリマーの混合物から選択することができ、優先的にはポリ塩化ビニルである。本発明によれば、
「ポリ塩化ビニル」という用語は、塩化ビニルを含む塩化ビニルホモポリマー又はコポリマー、例えば、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマーを意味する。
【0078】
このようにして得られたポリマーは、本発明の組成物で可塑化したポリマーである。当業者には、これは、ポリマーと可塑化用組成物を均質に混合することを意味する。可塑化用組成物の成分は、固体ポリマー鎖の間に導入され、これによって、変形後に、固相から構成される可塑化ポリマーが得られる。
【0079】
可塑化用組成物との混合前に、ポリマーは、任意の形態、例えば、顆粒又は粉末の形態であってよい。
【0080】
また、ポリマー粉末と本発明の組成物の混合物を含むポリマーペーストを製造してもよい。このペーストは、一般に、プラスチゾルとして知られ、これによって、以下に記載する方法により対象物品を形成することができる。優先的には、粉末の平均粒径は、1〜30μm、例えば、1〜20μmである。ポリ塩化ビニルの場合、このタイプの粉末は、乳化又は微細懸濁重合法によりPVCを調製することによって得ることができる。このペーストは、一般に、優先的には加熱なしで、ポリマー粉末と可塑化用組成物の機械的混合により取得される。
【0081】
このようにして得られた混合物はプラスチゾルとして知られ、これは、ポリマー及び可塑化用組成物の量に応じてほぼ流体である。従来、プラスチゾルは、ターボミキサータイプの高速ミキサー、遊星型ミキサー又は水平Z形パドル付の遊星型ミキサーである低速ミキサーで調製される。
【0082】
可塑化用組成物とポリマーは、可塑化用組成物の量が、ポリマー100部当たり1〜900部、有利には5〜180部の範囲であり、優先的には15〜120部の可塑化用組成物となるような質量比率で混合するのが有利である。これらは、供給ホッパーなどの任意の好適な手段で、又は手動で混合装置に導入してよい。
【0083】
ポリマーペーストの場合、可塑化用組成物の量は、ポリマー粉末100部当たり30〜120部の範囲であるのが好ましい。
【0084】
可塑化ポリマー組成物には、可塑化用組成物及びポリマーに加えて、任意選択の添加剤を用いてもよい。これらの添加剤は、安定剤、抗UV剤、充填剤、染料、顔料、膨潤剤、乳化剤、可塑化用組成物以外の粘度降下剤、増粘剤、離型剤、不透明化剤、接着剤、帯電防止剤、殺菌剤及び芳香剤から選択することができる。各添加剤の量は、製法の実施中に、又は最終的に得られる対象物品に対して要望される特性を付与するように選択する。これらの添加剤は、組成物に直接又はマスターバッチの形態のいずれで導入してもよい。任意選択の添加剤の量は、概してポリマー(C)100部当たり1〜600部、一般に、2〜80部の範囲である。
【0085】
可塑化ポリマーを製造する方法の第1の変形形態によれば、この方法は、熱機械的混合のステップを含む。
【0086】
この第1変形形態によれば、熱機械的混合ステップは、熱可塑性物質用のミキサーである混合装置内で実施する。このミキサーは、ブレンダー、バスミキサー、ロールミキサー及び押出機から選択することができる。
【0087】
可塑化用組成物は、マスターバッチの形態で導入してもよい。
【0088】
熱機械的混合ステップは、ポリマーの変形温度に適した温度で実施する。例として、熱機械的混合ステップ中の混合物の温度は、PVCの場合、優先的には60〜200℃である。
【0089】
熱機械的混合のために、あらゆるタイプの形態、特に顆粒又は粉末状のポリマーを使用してよい。
【0090】
この第1変形形態によれば、熱機械的混合の前に、可塑化用組成物をポリマーと乾式ブレンドする予備ステップを実施するのが有利である。この乾式ブレンドは、単純な機械的ミキサーで実施することができ、ミキサーは、ポリマーの融点又はゲル化点より低い温度に加熱されてもよい。
【0091】
対象物品は、カレンダー加工、射出成形、押出射出成形、注入、流動層浸漬、静電塗装、成形、回転成形、押出成形、焼結、熱成形、プレス成形、押出成形、押出クラッディング又は押出吹込み成形により有利に形成することができる。また、多層物品を形成するために同時押出技術を用いてもよい。
【0092】
第2の変形形態によれば、プラスチゾル型の方法を用いて、既述したポリマーペーストで本発明の対象物品を形成することができる。
【0093】
このタイプの方法では、実施ステップは、一般に、ポリマーペーストのコーティング、浸漬、パディング、鋳造、成形、流し込み又は回転成形のステップであり、これによって、予成形された物品を形成することができる。
【0094】
この方法の加熱ステップは、前記の予成形物品を焼成するステップであり、このステップは、一般に、予成形ステップ後に実施する(例えば、コーティングの場合がそうである)。場合によっては、予成形対象物品を形成するステップ中に行うこともある(例えば、浸漬、流し込み又は回転成形の場合がそうである)。この焼成ステップは、60〜300℃、例えば、100〜250℃、一般に、140〜220℃の温度で行われ得る。これは、大気中又は制御雰囲気下、例えば、不活性雰囲気下で行ってもよい。
【0095】
対象物品を形成するステップは、優先的には、ポリマーペーストを支持体にコーティングするステップであり、このコーティングは、前記のコーティングした支持体の焼成ステップの前に実施する。コーティングステップは、テキスタイル支持体、サーフェイスマット、金属、合成ポリマー若しくは紙に対して実施することができる。
【0096】
コーティングは、任意の塗布ヘッドを用いて、例えば、ドクターブレード又はロールを用いて実施することができる。
【0097】
第1サブ変形形態に従い、このコーティングは、前述したような「支持体へのコーティング」であってもよいし、又は第2サブ変形形態に従い、「支持体なしのコーティング」であってもよい。後者の場合、コーティング支持体は、焼成後に分離することができ、本製法は、支持体を分離して可塑化ポリマーのフィルム又はシートを形成する、次のステップも含む。このような支持体は、シリコーン紙から製造されたものでもよい。
【0098】
焼成ステップは、一般に、例えば、トンネルオーブン等のオーブン中で、ゲル化ドラム上又は赤外線ランプの下で実施する。
【0099】
また、可塑化ポリマー組成物を含む対象物品を形成することもできる。
【0100】
可塑化ポリマー組成物を含む対象物品は、あらゆるタイプの物品であってよく、例えば、フィルム、シート、顆粒、床敷物、壁紙、プラスチックコーティング繊維、特に、例えば、靴、鞄又は家具用の人工皮革、防水布、例えば水泳プール用のライナー、日よけ、フレキシブルコンテナ、衣類、医療用品、手袋、瓶、シール、保護コーティング、ショールームダミー、例えばボール若しくは人形などの玩具、チューブ、形材、特に窓枠、ダッシュボード、座席、燃料タンク若しくはヘッドレストなどの自動車両部品が挙げられる。これらの部品は、多孔性、発泡体又はスポンジ部品、すなわちエアセルを含む部品であってもよい。これらはまた、圧縮された部品であってもよい。
【0101】
本発明の組成物の1つの利点は、これら組成物が、既知の1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールジエステルで可塑化したポリマー部品と比較して、本組成物で可塑化したポリマー、特に、PVCから製造された部品のフォギング性の改善を可能にすることである。これは、自動車両又は輸送における使用に関して特に重要である。
【0102】
本発明の組成物の別の利点は、これら組成物が、既知の1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールジエステルで可塑化したポリマーから製造される部品と比較して、本組成物で可塑化したポリマー、特に、PVCから製造された部品の浸出性の改善を可能にすることである。これは、部品が屋外に露出される場合に特に重要である。
【0103】
明らかに、これらの組成物がジエステルに富んでいるとき、すなわち、組成物中の1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールモノエステル及び/又は残留酸の量が低いときに改善はさらに増大する。なぜなら、これらの種はより移動しやすいことがわかっているからである。
【0104】
これらの部品は、ワニスの塗装でコーティングしてもよく、これにより、この浸出及び/又はこの移動をさらに制限することが可能になる。
【0105】
以下の実施例において本発明を詳述する。これらの実施例は、本発明の主題を何ら限定するものではないことが指摘される。
【実施例】
【0106】
分析方法
組成物中のジエステルの質量総計及び形成される各ジエステル(A)、(B)及び(C)の質量比率は、FID検出及び1077スプリット/スプリットレスインジェクターを備えるVarian 3400機械でのガスクロマトグラフィーにより測定する。用いるカラムは、内径0.32mm及びフィルム厚さ0.25μmで、長さ30メートルのJ&W ScientificブランドのDB1カラムである。温度条件は以下の通りである:インジェクター及び検出器:300℃;カラム:7℃/分の速度で100℃から320℃までのプログラム、320℃で15分間維持。注入は、80ml/分のスプリットモードで行い、カラムヘッド圧は14psiとし、用いるキャリアガスはヘリウムである。
【0107】
ジエステルの質量の合計は、化合物面積の合計に対する、保持時間が4〜40分であるイソソルビドジエステルに対応する化合物の面積の和の割合で得られる。
【0108】
ジエステルの質量分布は、ジエステル(A)、(B)又は(C)の面積の、これらジエステルの面積の和に対する割合で得られる。
【0109】
例1(比較)
従来技術による試験(試験1)を下記の一般的操作プロトコルに従って実施する。
【0110】
146gのイソソルビド(1モル)と423gのn−オクタン酸(3モル)を、恒温浴によりオイル循環が供給されるジャケット、撹拌パドル、温度計、並びに冷却器及び蒸留レシーバを兼備するに結合された蒸留ヘッドを備える1リットルガラス反応器に導入する。
【0111】
撹拌装置を400rpmでスイッチオンし、恒温槽を100℃の公称温度でスイッチオンする。反応媒体の温度が60℃に達したら、2.92gのp−トルエンスルホン酸(PTSA)一水和物(乾燥イソソルビドに対して2%の市販品)及び0.90gの50%次亜リン酸(すなわち、乾燥イソソルビドに対して0.3%の乾物)を添加する。続いて、恒温槽の公称温度を150℃に設定し、撹拌を650rpmに設定する。次に、組立て集合体を、真空計を備えた真空ポンプに接続し、その呼び圧力を100mbarに設定する。
【0112】
反応媒体の温度が約115℃に達したら、エステル化反応から生じる水を蒸留して除去し、レシーバ中に回収する。2時間の反応後、蒸留された水の量は全反応のための水の理論量の約85%に相当する。続いて、真空をさらに3時間かけて25mbarまで徐々に低下させ、その間、反応媒体の温度は自然に140℃に達する。5時間の反応後、蒸留して除去された水は、理論量の97%に達する。
【0113】
次に、反応媒体を約100℃に冷却し、1.8gの50%水酸化ナトリウムを添加することにより、PTSA及び次亜リン酸強酸を中和する。続いて、反応していないオクタン酸を真空(5mbar、蒸気温度:115℃)下で蒸留して除去する。ボイラー温度は、この蒸発の間、約130℃から約220℃に変化する。100℃に冷却した後、活性炭を用いた処理により、生成物を脱色する。このようにして精製した組成物はDEI 1と称され、99.5%のイソソルビドジエステルの質量総計を有する。この組成物は、液体の外観を有する。
【0114】
実施例2(本発明による)
試験1の操作プロトコルに従って試験2を実施するが、n−オクタン酸の代わりに、70重量%のn−オクタン酸及び30重量%のn−デカン酸からなる脂肪酸の混合物を用いる。
【0115】
得られた最終組成物はDEI 2と称され、99.4%のイソソルビドジエステルの質量総計を有する。この組成物は、液体の外観を有する。
【0116】
実施例3(本発明による)
試験1の操作プロトコルに従って試験3を実施するが、n−オクタン酸の代わりに、60重量%のn−オクタン酸と40重量%のn−デカン酸からなる脂肪酸の混合物を用いる。
【0117】
得られた最終組成物はDEI 3と称され、99.8%のイソソルビドジエステルの質量総計を有する。この組成物は、液体の外観を有する。
【0118】
実施例4(本発明による)
試験1の操作プロトコルに従って試験4を実施するが、n−オクタン酸の代わりに、30重量%のn−オクタン酸と70重量%のn−デカン酸からなる脂肪酸の混合物を用いる。
【0119】
得られた最終組成物はDEI 4と称され、99.4%のイソソルビドジエステルの質量総計を有する。この組成物は、液体の外観を有する。
【0120】
例5(比較)
試験1の操作プロトコルに従って試験5を実施するが、n−オクタン酸の代わりに、n−デカン酸を用いる。
【0121】
得られた最終組成物はDEI 5と称され、99.5%のイソソルビドジエステルの質量総計を有する。この組成物は、固体の外観を有する。
【0122】
液体組成物の各々について可塑化用組成物の揮発性を決定する。
【0123】
これらの可塑化用組成物の揮発性の決定は、換気オーブン内での規定滞留時間後の重量差によって実施する。結晶皿を正確に計量し、正確に計量した約5gの量の試験物質をそこに載せる。次に、結晶皿を180℃のオーブン内に30分間配置する。この時間が経過したら、結晶皿を冷却するまで乾燥器内に配置し、その後、再度計量する。続いて、次の式に従い、揮発性を算出する:(可塑剤の出発質量−オーブン内滞留後の可塑剤の質量)×100/可塑剤の出発質量。
【0124】
試験1〜5の組成物中のイソソルビドジエステル(A)、(B)及び(C)の分布を、組成物DEI 1〜DEI 4の揮発性と共に以下の表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
組成物DEI 1〜4のみが室温で液体の外観を有する。
【0127】
組成物DEI 5は固体であり、このことは、例えば、これをポリマーの可塑化に用いようとする場合、取扱いに問題(ポンピング又は流し込みができない)を呈する。
【0128】
今度は、以下の実施例6及び7で、ポリマーの可塑化のために組成物DEI 1〜4を使用する。
【0129】
実施例6:機械的性質の評価
本発明に従い可塑化したPVCの配合物を下記の物質を用いて調製する。
PVC Marvylan(登録商標)S7102:100部
安定剤Baerostab(登録商標)NT319P(Ca/Zn粉末):1.5部
補助安定剤Baerostab(登録商標)LSA(エポキシ化ダイズ油):2部
可塑剤:34部
【0130】
機械的性質を特徴づけるためのプレス成型試験片の調製を複数のステップで実施する。
【0131】
第1段階では、温度調節回路を備えるPlanetmix 500遊星型ミキサー(Thermo Scientific社製)中で可塑化用組成物を用いてPVCを可塑化する必要がある。質量500gのPVCを、対応量の熱安定剤及び熱安定助剤と一緒にミキサーに導入する。混合物の温度が85℃に達したら、可塑化用組成物をPVC粉末の表面全体に添加する。可塑剤をPVCへ吸収させた後、さらに8分間調製物を混合する。
【0132】
第2段階では、Carverプレス、並びに厚さ2mmのフレームと鏡面研磨ステンレス鋼蓋を備える鏡面研磨ステンレス鋼30×30cm型を用いて、可塑化PVCのプレートを形成する。180gの可塑化PVC粉末を型内部に配置されたフレーム中に均質に流し込んだ後、全体を蓋で覆った。この集合体を185℃に予熱したプレスのプラトー上に配置し、185℃で18000kgの型締め力を2分間適用することからなるプログラムを開始する。45℃に近い温度まで冷却した後、このようにして得られたPVCプレートを型から取り外す。
【0133】
最終段階は、前述のように得られた可塑化PVCプレートを用いて、パンチにより5Aタイプ(寸法:25mm×4mm;厚さ2mm)の10個の試験片を切断することからなる。
【0134】
次に、これらの試験片を、下記パラメータを用いて、引張り試験台又はIstronタイプ、モデル5966の伸び計での牽引で特徴づけられる:スループット速度=50mm/分;セル=5KN。試験片を適所に配置したら、プレストレス印加をゼロに戻し、ジョーは締め付けられている。伸び計は、試験片の応力/ひずみ曲線を破損点までプロットする。試験終了時に、100%ひずみ応力値及び極限ひずみ値を記録する。
【0135】
表2は、試験した各組成物について、得られた100%ひずみ応力値及び極限ひずみ値を示す。
【0136】
【表2】
【0137】
これらの試験は、本発明の組成物が、従来技術のDEIと少なくとも同じくらい満足にポリマーを可塑化することを示している。
【0138】
実施例7:可塑化用組成物の移動性に対する効果
あらゆる可塑化ポリマーについて重要な基準の1つは、用いる可塑化用組成物の移動度である。具体的には、材料の特性を経時的に保存することが要望される場合、これは最小
限でなければならない。
【0139】
試験体の調製:
実施例C−1で調製したように、可塑化PVCプレートから出発して、PVC試験片を切断する(40×40mm、厚さ2mm)。これらを20℃−65%RHで72時間コンディショニングする。試験しようとする各PVC試験片について、寸法が80×80mmで厚さ1mmのKomadurタイプの非可塑化PVC(Sigma PLV社製)の2つの吸収性支持体を用意する。試験片及び吸収性支持体を精密はかりで計量する。次に、可塑化PVC試験片を2つの吸収性支持体の間の中央に配置する。この集合体を2枚のガラスプレートの間に配置した後、5kgのおもりを上に載せる。この全体を70℃の換気オーブン内に1週間配置する。オーブン内で1週間後、試験片を20℃−65%RHで2日間再コンディショニングする。最後に、これらを再度計量して、下記の計算方法により試験片の移動度を決定する:
(焼成前の試験片の質量−焼成後の試験片の質量)×100/焼成前の試験片の質量。
【0140】
従来技術のDEI 1と比較した移動度の低減も計算する。
【0141】
結果を以下の表3に示す。
【0142】
【表3】
【0143】
この表から、本発明の組成物は、従来技術のDEI 1と比較して、移動度の低減を可能にすることがわかる。
【0144】
この低減は、特にDEI 4が顕著である。