【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日:平成28年2月25日 公開場所:中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社 〔刊行物等〕 公開日:平成28年3月10日 公開場所:中日本高速道路株式会社 金沢支社敦賀保全サービスセンター 〔刊行物等〕 公開日:平成28年3月22日 公開場所:株式会社ケー・エフ・シー名古屋営業所
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
我が国では高度成長期に多くのトンネルが建設され、その後の経年によって老朽化の進むトンネルが増え続けている。そのため、今後のトンネルの維持管理の重要性が増しており、安全かつ効率の良い維持管理の方策が求められている。
トンネルの維持管理には、トンネルの内面を構成する覆工コンクリートや当該内面に設置された各種設備、例えば照明設備や消防設備等の点検や補修等が含まれる。この点検や補修等は高所における作業を伴うため、例えば、下記特許文献1に記載されるような高所作業車が用いられる。
【0003】
図14は、高所作業車を用いたトンネル内の点検・補修等の作業の様子を示す断面図である。
図14は、トンネル50内における一部の車線で車両(以下、走行車両ともいう)C1の通行を許容し、他の車線でトンネル50の点検・補修等の作業を行う例を示す。当該他の車線には高所作業車C4が配備され、この高所作業車C4の作業床(バケット)C4aを上昇させることによってトンネル50内の高所における作業を可能としている。なお、
図14に示す高所作業車C4は、作業床C4aを上下方向に昇降させる垂直昇降型である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図14に示すように、トンネル内で走行車両C1の通行を許容しつつ点検・補修を行う場合、トンネル幅方向の一方側に偏ったスペースにしか高所作業車C4を配備することができない。そのため、垂直昇降型の高所作業車C4では作業床C4aをトンネル50の天端50aに近づけることができず、天端50aにおける作業を行うことが困難であった。例えば、天端50aにおける覆工コンクリート51の背面に生じている空洞部に生コンクリート等の裏込め材を注入する場合、天端50aからずれた位置にしか注入孔を形成することができないので、天端50aの背面への裏込め材の注入が困難となる。
【0006】
また、ブーム型の高所作業車を用いれば、トンネル幅方向の一方側に配備した高所作業車からブームを斜めに伸張させて作業床を天端に近づけることが可能となるが、この場合、トンネル内を通行する走行車両に作業床が近づくために接触の危険性が高くなり、高所作業車自体の安定性も低下する。
【0007】
本発明は、上記のような実情に鑑み、トンネル内の高所において広範囲で安定して作業を行うことができるトンネル用作業台及びトンネル用作業セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トンネル内で使用されるトンネル用作業台であって、
左右一対の脚部と、
前記左右一対の脚部により下方から支持され、前記トンネルの覆工面に対面する作業面を有する作業床と、を備え、
前記一対の脚部は、少なくとも車両幅の一般的制限値を超える間隔をあけて配置され、
前記作業床は、少なくとも車両高さの一般的制限値を超える高さで前記一対の脚部により支持されているものである。
【0009】
この構成によれば、一対の脚部の間でかつ作業床の下方にトンネル内を走行する車両の通行空間を形成することができる。逆にいうと、通行空間の上方に作業床が配置されるので、当該車両の通行に影響されずに広い範囲、例えば天端の真下を含む範囲に作業床を設けることができ、天端における点検や補修等の維持管理作業を好適に行うことができる。また、一対の脚部によって作業床を安定して支持することが可能となる。
【0010】
ここで、「一般的制限値」とは、道路法並びに車両制限令に規定する車両幅及び車両高さの最高限度をいうものとする。一対の脚部は、車両幅の一般的制限値を超える間隔で配置され、作業床は、車両高さの一般的制限値を超える高さで一対の脚部によって支持されているので、法令上、道路の通行が認められる車両であれば一対の脚部の間でかつ作業床の下方を通行することができる。ただし、一対の脚部の間隔や作業床の高さは、一般的制限値を超える車両幅又は高さを有する特殊車両の通行をも可能とするように、一般的制限値よりもさらに大きな所定の制限値を超える寸法に設定されていてもよい。
【0011】
前記脚部は、高さ変更可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によって、作業床の高さを調整することができる。また、作業床を低くすることにより、運搬車両による作業台の運搬を容易に行うことができる。
【0012】
前記脚部の高さの下限が、前記作業床の運搬高さよりも低く設定されていることが好ましい。このような構成によって、運搬車両に作業床を積載したときに脚部が路面に接触しないようにすることができる。
【0013】
前記一対の脚部は、前記作業床に対して左右方向の一方側に偏った位置に配置されていることが好ましい。
このような構成によって、例えば作業床をトンネルの幅方向中央に配置した状態で、トンネルの幅方向一方側に走行車両の通行空間を形成し、幅方向他方側に維持管理のための作業スペースを確保することができる。
【0014】
前記脚部の下端には、路面走行用の車輪が設けられていることが好ましい。
このような車輪を備えることによって、トンネル内で作業台を容易に移動させることができる。
【0015】
前記作業床上に、前記作業面よりも高位に配置される補助作業面を有する補助台が設けられていることが好ましい。
このような補助台が設けられることによって、例えばトンネル内で最も高所となる天端に対する作業をより行い易くすることができる。
【0016】
前記補助台は、前記作業床上で左右方向に移動可能に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、トンネル延長方向に作業台を移動させるとき等に作業床上で補助台を左右方向に移動させることによって、トンネル内の天端付近に設けられた設備、例えば換気装置との干渉を避けることができる。
【0017】
本発明のトンネル用作業セットは、上述したトンネル用作業台と、
トンネルの坑口手前に設置され、前記トンネル用作業台における前記一対の脚部の間でかつ前記作業床の下方を通行できない幅及び高さを有する車両を検出するゲージ装置とを備えている。
この構成によれば、ゲージ装置によって、作業台における通行空間を通行できない車両を検出し、当該車両のトンネル内への侵入を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、トンネル内の高所において広い範囲で安定して作業を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る作業台を示す正面図である。
図2は、作業台の側面図、
図3は、作業台の平面図、
図4は、作業台の斜視図である。
本実施形態の作業台10は、既設のトンネル50内において、車両C1の走行を許容した状態で覆工コンクリート51や覆工コンクリート51に設置された各種設備の点検や補修の作業(以下、「維持管理作業」ともいう)を行うために使用されるものである。作業台10は、作業者の足場となる作業面11aを有する作業床11と、作業床11を下方から支持する左右一対の脚部12とによって主構成されている。作業台10は、その左右方向をトンネル幅方向に一致させ、その前後方向をトンネル延長方向に一致させた状態でトンネル50内に設置される。したがって、以下の説明において、作業台10がトンネル50内に設置された状態では、トンネル幅方向と左右方向とは同じ方向を意味し、トンネル延長方向と前後方向とは同方向を意味する。
【0021】
作業床11は、平面視で四角形の平板形状に形成され、その上面が作業面11aとされている。したがって、作業面11aは、覆工コンクリート51の内面(覆工面)に対面するように配置される。作業床11は、トンネル50の両側壁50c間の最大幅(内空幅)よりも小さく、後述する一対の脚部12の左右方向の間隔よりも大きい左右方向の幅を有している。本実施形態では、作業床11の左右方向の幅が約7.5mに設定されている。また、作業床11の前後方向の長さは、約10.5mに設定されている。
【0022】
また、作業床11は、トンネル50内の路面52を走行する車両C1の最大高さよりも高位置に配置される。具体的に、作業床11の高さHは、少なくとも車両高さの一般的制限値を超える寸法に設定されている。車両高さの一般的制限値とは、道路法(第47条第1項)並びに車両制限令(第3条)に規定する車両高さの最高限度をいい、当該最高限度は3.8m、又は4.1m(高さ指定道路の場合)と規定されている。本実施形態の作業床11は、後者の一般的制限値を採用し、これよりも0.6m以上高い高さ、すなわち略4.7m以上の高さに配置されている。ただし、作業床11は、車両高さの一般的制限値よりも大きい所定の制限値を超える高さに配置されていてもよい。
【0023】
図1に示す例では、トンネル50内の路面52から天端50aまでの高さの2/3程度の高さに作業床11が配置されている。作業床11は、その幅方向の中央がトンネル50の幅方向中央Cに略一致するように配置される。また、作業床11の左右両端は、トンネル50の肩部50bに干渉しない範囲で当該肩部50bの近傍に配置されている。作業床11の外周全周には、柵部材13が設けられている。
【0024】
作業床11の左右方向の中央には、補助台14が設けられている。トンネル50の内部は、天端50aが最も高く、その両肩部50bから側壁50cにかけて次第に低くなる。作業床11は、トンネル50の両肩部50bほどの高さにあり、作業床11から天端50aまでの距離が大きいため、作業床11から天端50a付近の作業が困難となる。そのため、作業床11上に補助台14を設け、この補助台14上で天端50a付近の作業を可能としている。補助台14は、例えば、直方体形状の枠組みに足場板を取り付けることによって構成される。補助台14の上面は、作業者の足場となる作業面(補助作業面)14bとなる。この作業面14bは、作業床11の作業面11aよりも高位である。
【0025】
図3に示すように、補助台14は、作業床11よりも前後方向に短く形成され、作業床11の前後端と補助台14の前後端との間には間隔があけられている。したがって、作業床11上で補助台14の周囲全周を通過することができる。補助台14の外周部にも、柵部材15が設けられている。
【0026】
脚部12は、左右方向に間隔をあけて一対設けられ、作業床11を下方から支持している。一対の脚部12は、トンネル50内を走行する車両C1の幅よりも大きい間隔Lをあけて配置される。具体的には、一対の脚部12の間隔は、少なくとも車両幅の一般的制限値を超える寸法に設定されている。車両幅の一般的制限値とは、道路法(第47条第1項)並びに車両制限令(第3条)に規定する車両幅の最高限度をいい、当該最高限度は2.5mと規定されている。本実施形態の一対の脚部12は、一般的制限値内の車両幅を有する車両だけでなく、当該一般的制限値を超えるような特殊車両の通行をも可能にする間隔に配置されている。具体的には、車両幅が3.2mである特殊車両の通行を想定し、これよりも1.0m以上広い間隔(車両幅の両側に各0.5m以上を加えた間隔)、すなわち4.2m以上の間隔に一対の脚部12が配置されている。
【0027】
以上のように、作業床11は、少なくとも車両高さの一般的制限値を超える高さHで一対の脚部12によって支持され、一対の脚部12は、少なくとも車両幅の一般的制限値を超える間隔Lで配置されている。そのため、法令上、道路の通行が認められる車両であれば一対の脚部12の間でかつ作業床の下方の空間(車両通行空間)Sを通行することができる。
【0028】
一対の脚部12は、作業床11に対して左右方向の一方側に偏心した位置に配置されている。
図1に示す例では、右側に偏心した位置に脚部12が配置されている。したがって、トンネル50内において、幅方向中央Cよりも右側に偏った位置で一対の脚部12の間を走行車両C1が通行可能となっている。
【0029】
図2に示すように、各脚部12は、上下方向に高さ変更(調整)可能に構成されている。具体的に、各脚部12は、第1の脚部材21と、第2の脚部材22とを有している。第1及び第2の脚部材21,22は、それぞれ長尺の部材であり、側面視で略X字状を呈している。第1の脚部材21と第2の脚部材22とは、互いに長さ方向の略中央部で交差し、その交差部分で左右方向に沿った軸心を有する連結軸23によって連結されている。そして、第1の脚部材21と第2の脚部材22とは、連結軸23を中心として回動することによって互いの交差角度を変更することができ、この交差角度の変更によって脚部12を上下方向に伸縮させることができる。この伸縮動作によって脚部12の高さが調整され、脚部12の上端に連結された作業床11の高さを調整することができる。
【0030】
また、第1の脚部材21と第2の脚部材22の上端部は、左右方向の軸心を有する連結軸29によって作業床11の下部に連結されている。そのため、第1及び第2の脚部材21,22の交差角度の変更に伴って第1及び第2の脚部材21,22の上端が連結軸29回りに回動する。また、一方の脚部材22の上端に設けられた連結軸29は、作業床11の下部に対して前後方向に移動可能に連結されている。そのため、第1及び第2の脚部材21,22は、交差角度の変更に伴って上端部の相対移動が許容される。
【0031】
第1の脚部材21と第2の脚部材22の間には、作業床11の高さ調整のためのアクチュエータ24が設けられている。本実施形態のアクチュエータ24は油圧シリンダとされている。油圧シリンダ24の一端は、第1の脚部材21に連結され、油圧シリンダ24の他端は、第2の脚部材22に連結されている。
【0032】
また、脚部12には、油圧シリンダ24を駆動するための駆動装置25(
図1参照)が設けられている。駆動装置25は、油圧シリンダ24に圧油を供給するための油圧ポンプや、油圧ポンプを制御するための油圧コントローラ等を含む。この駆動装置25により油圧シリンダ24を伸縮することによって、第1の脚部材21と第2の脚部材22との交差角度を変更し、作業床11の高さを調整することができる。なお、駆動装置25は、脚部12に設けられるに限らず作業床11に設けられていてもよく、作業床11及び脚部12とは別の離れた場所に設けられていてもよい。
【0033】
第1の脚部材21及び第2の脚部材22の下端部には路面走行用の車輪26が設けられている。各車輪26の回転軸心は、左右方向に沿って配置されている。したがって、第1及び第2の脚部材21,22は、交差角度の変更に伴う下端部の相対移動が車輪26によって許容される。また、車輪26によって、作業台10全体をトンネル50の延長方向に容易に移動させることができる。また、車輪26は、路面52上を直接走行するため、路面52にレールを敷設する必要がない。
【0034】
前後一方側に配置された左右の車輪26は、油圧モータ等のアクチュエータ30によって回転駆動可能に構成されている。アクチュエータ30は、前述した駆動装置25によって駆動される。アクチュエータ30により生成された回転動力は、チェーン伝動機構等を介して車輪26に伝達される。車輪26を回転駆動することによって作業台10を前後方向に自走させることができる。また、回転駆動可能な車輪26を進行方向の前側に配置し、左右の車輪26の回転速度を相違させることによって作業台10を左右に操舵したり旋回させたりすることも可能となる。なお、車輪26は、各脚部材21,22の下端に左右揺動可能に設けてもよく、油圧モータ等のアクチュエータによって各車輪26を揺動駆動することによって、左右方向に操蛇可能に構成されていてもよい。なお、アクチュエータ30は、電動モータ等の電動機器であってもよい。
【0035】
左右の脚部12には、前述の駆動装置25や、駆動装置25におけるポンプやコントローラ等の機器に電力を供給する発電機44等を搭載するための載置台43が設けられている。載置台43は、脚部12における第1の脚部材21と第2の脚部材22の下端部間に架設されている。具体的には、各脚部材21の下端部に設けられた車輪26の車軸26aを左右方向の外側に延長し、この車軸26aに載置台43が回動可能に連結されている。また、載置台43には、一方の車軸26aが前後方向に移動可能に連結されている。そのため、第1及び第2の脚部材21,22の交差角度を変更したときに当該一方の車軸26aが前後方向に移動することによって、脚部12の高さ調節が載置台43によって妨げられることもない。なお、載置台43には、駆動装置25や発電機44以外の各種機器を搭載してもよい。また、駆動装置25は、載置台43以外の場所(例えば、脚部材21,22の外側面等)に取り付けることもできる。
【0036】
図5は、作業台10の使用態様を示す平面説明図である。
本実施形態の作業台10は、
図5に示す態様で使用される。
図5において、符号53は、トンネル50内の道路で車線を規制するためのロードコーンやバリケード等からなる規制材であり、この規制材53によって区画された一方の車線54にトンネル50内の維持管理作業に必要な作業車C2、例えば、覆工コンクリート51の背面に裏込め材としての生コンクリートを注入するためのコンクリートポンプ車等が停車し、規制材53により区画された他方の車線55において走行車両C1の通行が許容されている。また、作業台10の作業床11は、トンネル50の幅方向の略中央に配置されている。そして、一対の脚部12は、走行車両C1の通行が許容された他方の車線55を挟んで配置されている。
【0037】
したがって、
図1に示すように、作業台10の作業床11上に作業者が載り、トンネル50の天端50a付近や両肩部50b等に対して維持管理作業を行うことができる。
図1には、覆工コンクリート51の天端50aに注入孔57を形成し、当該注入孔57から裏込め材58を注入した状態を示している。このような作業であっても作業台10上で容易に行うことができる。また、一対の脚部12は、車線55(
図5参照)を通行する走行車両C1の両側に配置されているので、作業台10を安定して支持することができる。作業台10の設置箇所において維持管理作業が終了すると、車輪26によって作業台10をトンネル延長方向に移動させ、次の場所で続けて維持管理作業を行うことができる。
【0038】
以上のように、作業台10は、一対の脚部12の間であって作業台10の下方に形成された空間(車両通行空間)Sにおける走行車両C1の通行を許容するため、当該空間Sからはみ出すような走行車両C1は通行することができず、仮にこのような走行車両C1がトンネル50内に進入したとすると、作業台10に接触してしまう可能性がある。そのため、本実施形態においては、車両通行空間Sからはみ出すような走行車両C1がトンネル50内へ進入するのを防止する措置を講じている。具体的には、所定の寸法を超える走行車両C1を検出するゲージ装置31を備えている。
【0039】
ゲージ装置31は、
図5に示すように、走行車両C1の通行が許容された他方の車線55の上流側であって、トンネル50の坑口手前の明かり部に設けられている。ゲージ装置31は、
図6に示すように、取り付け枠32とセンサ33,34とを備えている。取り付け枠32は、上下方向に沿って配置された左右一対の支柱35と、左右方向に沿って配置され、一対の支柱35の上端を繋ぐ連結部材36とを有し、正面視で略門形に形成されている。
【0040】
センサ33,34は、高さ検出センサ33と、幅検出センサ34とからなる。高さ検出センサ33は、一対の支柱35に設けられている。高さ検出センサ33は、作業台10における作業床11の下方を通行可能な走行車両C1の高さの上限値に対応する位置に配置されている。高さ検出センサ33は、例えば、赤外線等の光を利用した光電センサからなり、一方の支柱35に設けられた投光器33aと、他方の支柱35に設けられた受光器33bとを備えている。
【0041】
幅検出センサ34は、連結部材36に設けられている。幅検出センサ34は、作業台10における一対の脚部12の間を通行可能な走行車両C1の幅の上限に対応する位置に一対配置されている。幅検出センサ34は、高さ検出センサ33と同様に赤外線等の光を利用した光電センサからなり、連結部材36の左右両側に設けられた反射型の投受光器34a,34bを備えている。
図6における左側の投受光器34aは、走行車両C1の左端の限界を検出し、右側の投受光器34bは走行車両C1の右端の限界を検出する。
【0042】
以上のようなゲージ装置31を備えることによって、高さ検出センサ33が高さ制限を超える走行車両C1の通過を検出し、幅検出センサ34が幅制限を超える走行車両C1の通過を検出する。そのため、高さ制限及び/又は幅制限を超える走行車両C1がトンネル50内に進入する前に当該走行車両C1を検出することができ、その検出結果に基づいて当該走行車両C1のトンネル50内への進入を制限することが可能である。
【0043】
なお、幅検出センサ34は、一対の支柱35間における走行車両C1の左右方向の通過位置を考慮し、左右方向に位置をずらして複数対設けることが好ましい。
また、取り付け枠32は、門形に限られるものではなく、高さ検出センサ33及び幅検出センサ34を所定の位置に取り付けることができれば形状は特に限定されない。
【0044】
トンネル50の内部には、照明設備や消火設備等の各種の設備が設けられているが、特に大きな設備として換気装置(ジェットファン)が設けられている。この換気装置は、通常、トンネル50内の天端50a付近に設けられている。一方、作業台10の作業床11上には補助台14が設けられており、この補助台14は、天端50aに対する作業を可能とするために、天端50aの下方に配置されている。そのため、作業台10をトンネル延長方向に移動させたとき、換気装置が設置された箇所で補助台14が換気装置に干渉する可能性がある。
【0045】
本実施形態の作業台10は、換気装置との干渉を避けるために補助台14が作業床11上で左右方向に移動可能に構成されている。
図7は、補助台14を移動させた状態を示す正面図、
図8は、同平面図である。補助台14は、左右方向に二分割構造とされ、各分割体14aが左右方向に移動可能に構成されている。そして、各分割体14aをそれぞれ左右方向の外側に移動させることによって、両分割体14aの間に換気装置56を通過可能な間隔を形成することができる。これにより、作業台10をトンネル延長方向に移動させたときに、補助台14が換気装置56に干渉することがなく、スムーズに作業台10を移動させることができる。
【0046】
なお、作業台10や補助台14には、換気装置56と干渉する位置に柵部材13,15が設けられているが、この柵部材13,15についても移動させたり作業台10又は補助台14から取り外したりすることができる。また、トンネル50内に換気装置56が幅方向に一対設けられている場合においても補助台14の分割体14aを左右方向に移動させることによって換気装置56との干渉を防止することができる。
【0047】
図9は、運搬状態の作業台10を示す側面図、
図10は、同正面図である。
本実施形態の作業台10は、脚部12や作業床11を分解した状態でトンネル50の近傍まで、例えば高速道路におけるパーキングエリア等まで運搬され、そこで組み立てられた後にトンネル50内の所定位置まで運搬される。組み立てられた作業台10は、第1及び第2の脚部材21,22の交差角度を変えることによって脚部12を収縮させ、作業床11の高さを低くした状態で運搬車両C3に搭載される。
図9及び
図10に示す例では、運搬車両C3としてのトレーラーに運搬台C3aが設けられ、この運搬台C3a上に作業台10の作業床11が支持されている。一対の脚部12は、車輪26が路面52よりも高位置になるように収縮される。そのため、一対の脚部12が高さ変更する際の下限は、作業床11の運搬高さh(
図9参照)よりも低くなるように設定されている。このように作業床11を低位置にした状態で運搬することで、作業台10を車両高さの一般的制限値よりも低くすることができ、運搬車両C3が道路を走行する上での制限を少なくすることができる。また、運搬中に車輪26が路面52に接触することもない。
【0048】
[第2の実施形態]
図11は、第2の実施形態に係る作業台10を示す正面図である。
本実施形態の作業台10は、作業床11の左右方向の端部に、補助足場41が取り付けられたものである。この補助足場41は、作業床11の端部から下方に延びる支持腕41aと、支持腕41aから幅方向外側に延びる足場部材41bとを備えている。このような補助足場41を備えることによって作業床11よりも低位置において、トンネル50の肩部50bや側壁50cにおける維持管理作業を好適に行うことができる。つまり、作業台10を用いることによって、トンネル50の全断面に対する作業を行うことが可能となる。そのため、従来、高所作業車の配置場所に応じて工程(日程)を分けて行っていた作業を一つの工程で行うことが可能となり、作業効率の向上を図ることができる。
【0049】
[第3の実施形態]
図12は、第3の実施形態に係る作業台10を示す正面図である。
本実施形態の作業台10は、作業床11の左右方向の幅が第1の実施形態の作業床11よりも小さく、作業床11の左右方向の中心と、一対の脚部12間の左右方向の中心とが一致している。そして、作業床11の幅方向一端部に、補助作業床17が連結具45を介して着脱自在に取り付けられている。
【0050】
トンネル50の断面形状の大きさは様々であるため、作業床11の幅が一定であると単一の又は少数種類のトンネル50でしか使用することができない。そのため、本実施形態においては、トンネル50の内空幅等に応じて作業床11に補助作業床17を追加で取り付けることで、多くの種類のトンネル50において作業台10を使用可能である。なお、補助作業床17は、作業床11の左右方向の他端部に取り付けることもできる。
【0051】
[第4の実施形態]
図13は、第4の実施形態に係る作業台10を示す斜視図である。
本実施形態の作業台10は、第1の実施形態と脚部12の形状が異なる。本実施形態の一対の脚部12は、それぞれ前後方向に並べて配置された複数の脚部材27a〜27cを備えている。具体的に、各脚部12は、上下方向に沿って配置された前脚部材27a、後脚部材27b、中間脚部材27cの3本の脚部材を備えている。各脚部材27a〜27cの下端部には車輪26が設けられている。脚部材27a〜27cの上下方向の中間部及び下端部は、梁部材28によって連結されている。
図13には示していないが、駆動装置25や発電機44(
図2参照)は、脚部材27a〜27cや梁部材28に取り付けて支持することができる。
【0052】
また、各脚部材27a〜27cは、上下方向に伸縮自在に構成され、油圧シリンダ等のアクチュエータによって伸縮動作するように構成されている。そして、各脚部材27a〜27cを伸縮させることによって作業床11の高さを調整可能である。また、作業床11の高さを低くすることによって、運搬車両に搭載し易くし、かつ道路の通行を容易にすることができる。
【0053】
本発明は、上記各実施形態に限定されることものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で適宜変更することができる。