(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
全体Si/Al原子比が5〜100の範囲内である構造型EUOを有する初期ゼオライトからの、分子当たり8個の炭素原子を含有する少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分を異性化させるための触媒の調製方法であって、前記触媒は、少なくとも1種のマトリクスと、第VIII族からの少なくとも1種の金属とを含み、前記方法は、少なくとも以下の工程:
i) 構造型EUOを有する前記初期ゼオライトを脱シリル化させる工程であって、0.1〜3Mの範囲内の濃度を有するアルカリ溶液中に懸濁させ、100〜1000rpmの範囲内の撹拌スピードで撹拌し、5分〜24時間の範囲内の期間にわたって40〜100℃の範囲内の温度に加熱することによる、工程;
ii) 工程i)から得られたゼオライトを蒸留水により洗浄する工程;
iii) 担体を調製する工程であって、工程ii)から得られた前記洗浄済みのEUOゼオライトをマトリクスにより、担体の重量に対するゼオライトの重量百分率が1〜90%の範囲内にあるように形付けすることによる、工程;
iv) 工程ii)から得られた洗浄済みゼオライトまたは工程iii)から得られた担体を、ゼオライト中のカチオン位置に存在するアルカリカチオンの少なくとも一部を除去するようにイオン交換させるための少なくとも1回の工程;
v) 元素周期律分類の第VIII族からの少なくとも1種の金属を、工程iv)から得られた前記交換済みゼオライトまたは工程iv)から得られた前記交換済み担体上に、触媒の重量に対する前記金属の重量百分率が0.01〜4%であるように沈着させる工程;
を含む、方法。
前記アルカリ溶液は、水酸化リチウムLiOH、水酸化ナトリウムNaOH、水酸化カリウムKOHまたは水酸化セシウムCsOHをベースとするアルカリ水溶液である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
担体を形付けするためのマトリクスは、粘土、マグネシア、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ホウ素、ジルコニア、リン酸アルミニウム、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、シリカ−アルミナおよびカーボン、またはこれらの組成物の少なくとも2種の混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
第VIII族からの金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から選択される、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
分子当たり8個の炭素原子を含有する少なくとも1種の芳香族化合物を含有する留分の異性化方法であって、前記芳香族留分を、請求項1〜9のいずれか1つに従って調製された触媒と少なくとも接触させる工程を含む、方法。
温度300〜500℃、水素分圧0.3〜1.5MPa、全圧0.45〜1.9MPaおよび触媒の重量(kg)当たりおよび時間当たりの導入される供給原料の重量(kg)で表される供給原料空間速度0.25〜30h−1で行われる、請求項10に記載の方法。
芳香族留分は、分子当たり8個の炭素原子を含有する芳香族化合物として、キシレンの混合物のみ、または、エチルベンゼンのみ、またはキシレン(単数種または複数種)とエチルベンゼンの混合物のいずれかを含む、請求項10または11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
本発明は、分子当たり8個の炭素原子を含有する少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分の異性化のための触媒の調製方法であって、前記触媒は、少なくとも1種の改変型EUOゼオライトと、少なくとも1種のマトリクスと、元素周期律分類の第VIII族からの少なくとも1種の金属とを含み、該改変型EUOゼオライトは、アルカリ処理を経たものである、調製方法に関する。
【0009】
本発明の方法は、全体Si/Al原子比が5〜100の範囲内である構造型EUOを有する初期ゼオライトからの、分子当たり8個の炭素原子を含有する少なくとも1種の芳香族化合物を含有する芳香族留分の異性化のための触媒の調製方法であって、前記触媒は、少なくとも1種のマトリクスと、第VIII族からの少なくとも1種の金属とを含み、前記方法は、少なくとも以下の工程:
i) 構造型EUOを有する前記初期ゼオライトを脱シリカする工程であって、0.1〜3Mの範囲内の規定度を有するアルカリ溶液中に懸濁させ、100〜1000rpmの範囲内の撹拌スピードで撹拌し、5分〜24時間の範囲内の期間にわたって40〜100℃の範囲内の温度に加熱することによる、工程;
ii) 工程i)から得られたゼオライトを蒸留水により洗浄する工程;
iii) 担体を調製する工程であって、工程ii)から得られた前記洗浄済みEUOゼオライトをマトリクスにより、担体の重量に対するゼラオライトの重量百分率が1〜90%の範囲内であるように形付けすることによる、工程;
iv) 工程ii)から得られた洗浄済みゼオライトまたは工程iii)から得られた担体を、ゼオライト中のカチオン位置中に存在するアルカリカチオンの少なくとも一部を除去するようにイオン交換させるための少なくとも1回の工程;
v) 元素周期律分類の第VIII族からの少なくとも1種の金属を、工程iv)から得られた前記交換済みゼオライトまたは工程iv)から得られた前記交換済み担体上に、触媒の重量に対する前記金属の重量百分率が0.01〜4%であるように沈着させる工程
を含む、方法である。
【0010】
(i)脱シリカ工程)
本発明において用いられる初期構造型EUOを有する初期ゼオライトは、EU−1ゼオライト、TPZ−3ゼオライトおよびZSM−50ゼオライトから選択されてよい;好ましくは、前記ゼオライトは、EU−1ゼオライトである。
【0011】
構造型EUOを有するEU−1、TPZ−3およびZSM−50のゼオライトは、従来技術において周知である(Atlas of Zeolite Framework Types, Ch. Baerlocher, W.M. Meier, D.H. Olson, 5
th edition, 2001)。構造型EUOを有するゼオライト、特にEU−1ゼオライトは、4.1×5.4Å(1Å =1オングストローム=10
−10m)の細孔径を有する一次元ミクロ細孔骨格を有することが知られている。さらに、それらの文献におけるゼオライトの総説(1988,
8, 74)において、N. A. Briscoeらは、これらの一次元チャネルは、8.1Åの深さおよび6.8×5.8Åの径を有する側方ポケットを有することを開示した。
【0012】
本発明において用いられる構造型EUOを有する初期ゼオライトの全体Si/Al原子比は、5〜100の範囲内、好ましくは10〜50の範囲内、非常に好ましくは10〜35の範囲内である。前記ゼオライトは、有利には、微結晶からなり、好ましくは等方性であり、5nm〜1μmの範囲内、好ましくは10〜500nmの範囲内、より好ましくは20〜100nmの範囲内の寸法を有する。本発明において用いられる初期ゼオライトは、合成されたままの形態(有機テンプレートを有する)であるかまたは、焼成されてよい;好ましくは、前記初期ゼオライトは、焼成された形態にある。
【0013】
本発明の脱シリカ工程は、アルカリ溶液、好ましくはアルカリ水溶液中で行われる。前記アルカリ溶液は、有利には、水酸化リチウムLiOH、水酸化ナトリウムNaOH、水酸化カリウムKOHまたは水酸化セシウムCsOHをベースとするアルカリ水溶液である。アルカリ溶液の規定度は、0.1〜3Mの範囲内、好ましくは0.5〜2Mの範囲内、より好ましくは0.7〜1.5Mの範囲内、一層より好ましくは0.8〜1.2Mの範囲内である。
【0014】
有利には、脱シリカ工程i)において用いられるアルカリ溶液の容積(mLで表される)と脱シリカするべき乾燥ゼオライトの質量(gで表される)との間の比は、2〜20の範囲内、好ましくは4〜18の範囲内である。ゼオライトとアルカリ溶液との混合物は、100〜1000rpmの範囲内、好ましくは200〜400rpmの範囲内の撹拌スピードで撹拌され、かつ、40〜100℃の範囲内、好ましくは50〜100℃の範囲内、より好ましくは50〜90℃の範囲内、一層より好ましくは60〜90℃の範囲内の温度に、5分〜24時間の範囲内、好ましくは15分〜10時間の範囲内、より好ましくは15分〜5時間の範囲内、一層より好ましくは30分〜3時間の範囲内の期間にわたって加熱されなければならない。
【0015】
(ii)洗浄工程)
改変型ゼオライトをもたらす脱シリカ工程i)に続いて、混合物は、本発明調製方法の洗浄工程ii)の前に、有利には、周囲温度に冷却される。
【0016】
工程i)から得られたゼオライトは、有利には、蒸留水により2〜10回洗浄される。用いられる蒸留水の容積(mL)とゼオライトの質量(g)との間の比は、典型的には2〜20の範囲内、好ましくは4〜18の範囲内である。洗浄済みゼオライトは、有利には2000〜14000rpmの範囲内、好ましくは5000〜10000rpmの範囲内のスピードで遠心分離することによって分離される。蒸留水による連続的な洗浄は、遠心分離することによって分離された水溶液において7前後のpHが得られるまで行われてよい。洗浄済みゼオライトは、場合によっては、1〜24時間の範囲内の期間にわたって60〜130℃の範囲内の温度でオーブン乾燥させられる。場合により乾燥させられたゼオライトは、次いで、調製方法の工程iv)、すなわち、イオン交換工程を経てよい。本発明の方法のバリエーションにおいて、前記ゼオライトは、最初に、担体の重量に対するゼオライトの重量百分率が1〜90%の範囲内であるようにマトリクスにより形付けするための工程iii)を経た後に、イオン交換工程iv)が行われる。
【0017】
(酸処理)
有利には、本発明によると、工程ii)から得られた洗浄済みEUOゼオライトまたは工程iii)から得られた担体のゼオライトは、酸溶液、好ましくは酸水溶液中に懸濁させることによる酸処理を経て、その後に、イオン交換工程iv)が行われる。
【0018】
酸処理は、無機または有機の酸、例えば、塩化水素酸HCl、リン酸H
3PO
4、硝酸HNO
3、クエン酸C
6H
8O
7、酢酸C
2H
4O
2あるいは硫酸H
2SO
4のあらゆる希釈水溶液により行われてよく、これらは、0.001〜2Mの範囲内、好ましくは0.01〜1.5Mの範囲内、より好ましくは0.02〜1Mの範囲内、一層より好ましくは0.05〜0.8Mの範囲内の規定度を有している。好ましくは、酸処理は、塩化水素酸の希釈水溶液により行われる。酸処理を行うために用いられる水溶液の容積(mL)と洗浄されかつ乾燥させられたゼオライトの質量または乾燥させられた担体(形付けがなされたゼオライト)の質量(g)との間の比は、2〜200の範囲内、好ましくは5〜150の範囲内である。混合物は、100〜1000rpmの範囲内、好ましくは200〜400rpmの範囲内の撹拌スピードで撹拌され、30〜100℃の範囲内、好ましくは40〜90℃の範囲内、より好ましくは45〜85℃の範囲内、一層より好ましくは50〜80℃の範囲内の温度に、5分〜24時間の範囲内、好ましくは15分〜10時間の範囲内、より好ましくは30分〜8時間の範囲内、一層より好ましくは45分〜8時間の範囲内の期間にわたって加熱される。酸処理の終わりに、混合物は、有利には、周囲温度に冷却される。この酸洗浄工程から得られたゼオライトまたは担体は、有利には、蒸留水により2〜10回洗浄される。用いられた蒸留水の容積(mL)とゼオライトまたは担体の質量(g)との間の比は、典型的には2〜200の範囲内、好ましくは5〜150の範囲内である。洗浄済みのゼオライト(酸洗浄)は、有利には、2000〜14000
rpmの範囲内、好ましくは5000〜10000rpmの範囲内のスピードで遠心分離することによって分離される。洗浄済み担体(酸洗浄)は、有利には、ろ過することによって分離される。蒸留水による連続的な洗浄は、洗浄水溶液中で7前後のpHに達するまで行われてよい。洗浄済みゼオライトまたは洗浄済み担体(酸洗浄)は、場合によっては、1〜24時間の範囲内の期間にわたって60〜130℃の範囲内の温度でオーブン乾燥させられる。
【0019】
(iii)担体の調製)
触媒は、前記担体調製工程iii)を行うことによって調製され、これは、工程ii)から得られた洗浄済みゼオライトをマトリクスにより形付けする工程としても知られている。
【0020】
工程ii)から得られた、構造型EUOを有する前記洗浄済みゼオライト、好ましくは洗浄済みEU−1ゼオライトを形付けすることによる担体の調製のための前記工程iii)を行うために、マトリクスが形付けのために用いられる。このマトリクスは、粘土、マグネシア、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ホウ素、ジルコニア、リン酸アルミニウム、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、シリカ−アルミナおよびカーボン、またはこれらの組成物の少なくとも2種の混合物から選択される。好ましくは、マトリクスはアルミナである。
【0021】
担体中のゼオライト含有率は、1〜90重量%の範囲内、好ましくは3〜80重量%の範囲内、一層より好ましくは4〜60重量%の範囲内である。
【0022】
より特定的には、前記工程iii)による担体の調製は、工程ii)から得られた構造型EUOを有する洗浄済みゼオライト、好ましくは洗浄済みEU−1ゼオライトをマトリクス、好ましくはアルミナ(マトリクスは、一般的には、少なくとも1種の酸とマトリクス粉体とを混合することによって得られる)の湿潤ゲル中でペーストにおける良好な均一性を得るために必要な期間にわたって、すなわち、例えば約10分にわたって混合し、次いで、得られたペーストをダイ中に通して、例えば0.4〜4mmの径を有する押出物を形成させることからなる。造粒技術によってビーズが得られてもよい。形付けに続いて、一般的には、乾燥、次いで、焼成が行われる。乾燥は、有利には、5〜20時間の範囲内の期間にわたって、100〜150℃の範囲内の温度でオーブン中において行われる。焼成は、有利には、1〜8時間の範囲内の期間にわたって250〜600℃の範囲内の温度で行われる。
【0023】
(iv)イオン交換工程)
本発明によると、工程ii)から得られた洗浄済みゼオライトまたは工程iii)から得られた担体は、ゼオライト中のカチオン位置に存在するアルカリカチオンの少なくとも一部を除去するために1回以上のイオン交換を経る。
【0024】
アンモニウム前駆体、例えば、硝酸アンモニウムNH
4NO
3、酢酸アンモニウムCH
3COONH
4、水酸化テトラプロピルアンモニウムC
12H
27NO、水酸化テトラメチルアンモニウムC
4H
13NOまたは水酸化テトラエチルアンモニウムC
8H
21NOを含有し、かつ、0.2〜12Mの範囲内の規定度を有する、水溶液が、交換工程iv)を行うために用いられてよい。交換を行うために用いられる水溶液の容積(mL)と交換されるべき乾燥ゼオライトまたは乾燥担体の質量(g)との間の比は、2〜20の範囲内、好ましくは5〜15の範囲内である。アンモニウム前駆体を有する水溶液を含有するフラスコまたはエルレンマイヤーフラスコに固体が注がれる。混合物は、撹拌され、場合によっては、2〜10時間の範囲内の期間にわたって50〜100℃の範囲の温度に加熱される。その後、溶液は、有利には、除去され、固体は、蒸留水により2〜10回洗い落とし処理され、次いで、場合によっては、1〜24時間の範囲内の期間にわたって60〜130℃の範囲内の温度でオーブン乾燥させられる。交換工程は、ゼオライト中のカチオン位置に存在し得る全てのアルカリカチオンを実質的に除去するように複数回繰り返されてよい。得られた固体は、次いで、有利には、1〜24時間の範囲内の期間にわたって、好ましくは乾燥空気中、300〜600℃の範囲内、好ましくは450〜550℃の範囲内の温度で、石英反応器において焼成される。この石英反応器は、フリットをその中心に備え、ガスは、底部から頂部に0.5〜3L/h/g(固体)の範囲内の流量で移動する。
【0025】
非常に有利には、本発明の触媒中に存在する、改変された構造型EUOを有するゼオライトは、そのプロトン型(水素H
+型)にある。好ましくは、プロトン型における前記ゼオライト中のアルカリカチオン含有率は、3000重量ppm未満である。
【0026】
(v)金属沈着工程)
触媒を調製するための工程v)は、元素周期律分類の第VIII族からの少なくとも1種の金属を、工程iv)から得られた前記交換済みゼオライトまたは工程iv)から得られた前記交換済み担体上に、最終触媒重量に対する前記金属の重量百分率が0.01〜4%、好ましくは0.05〜2%であるように沈着させることからなる。
【0027】
本発明によると、前記触媒は、第VIII族からの少なくとも1種の金属を含み、第VIII族からの少なくとも1種の金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から選択され、好ましくは、第VIII族からの貴金属から選択され、非常に好ましくはパラジウムおよび白金から選択され、一層より好ましくは白金である。
【0028】
第VIII族からの金属(単数種または複数種)の分散は、化学吸着、例えばH
2−O
2滴定によって、または一酸化炭素化学吸着によって測定されるものであり、これは、50〜100%の範囲内、好ましくは60〜100%の範囲内、一層より好ましくは70〜100%の範囲内である。第VIII族からの金属(単数種または複数種)の巨視的分布係数は、キャスタン・マイクロプローブ(Castaing microprobe)を用いて測定されたそのプロファイルから得られ、粒子の境界部に対する当該同一の粒子のコア部における第VIII族からの金属(単数種または複数種)の濃度の比として定義されるものであり、このものは、0.7〜1.3の範囲内、好ましくは0.8〜1.2の範囲内である。1前後のこの比の値は、触媒中の第VIII族からの金属(単数種または複数種)の分布の均一性の証拠である。
【0029】
触媒は、場合によっては、最終触媒の重量に対して少なくとも0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%の追加金属をさらに含む。この追加金属は、元素周期律分類の第IIIA族、第IVA族および第VIIB族からの金属によって形成される群から選択され、好ましくは、ガリウム、インジウム、スズおよびレニウムから選択される。前記追加金属は、好ましくは、インジウムおよびレニウムから選択される。
【0030】
元素周期律分類の第VIII族からの金属を沈着させるために、当業者に知られているあらゆる沈着技術およびそのような金属のあらゆる前駆体が適切であり得る。
【0031】
金属(単数種または複数種)が担体上に沈着させられる場合、沈着の間に利用される種々のパラメータ、特に、用いられる第VIII族からの金属(単数種または複数種)の前駆体の性質をコントロールすることは、前記金属(単数種または複数種)の沈着が、主として、マトリクス上または改変ゼオライト上に位置を定められ得ることを意味する。
【0032】
それ故に、第VIII族からの金属、好ましくは白金および/またはパラジウムを、主としてマトリクス上に導入するために、アニオン交換が、ヘキサクロロ白金酸および/またはヘキサクロロパラジウム酸により、競争剤、例えば、塩化水素酸の存在下に行われてよく、一般的に、沈着が行われた後には、焼成工程が行われ、この焼成工程は、例えば、1〜4時間の範囲内の期間にわたって350〜550℃の範囲内の温度で行われる。このタイプの前駆体により、第VIII族からの金属(単数種または複数種)は、主としてマトリクス上に沈着させられ、前記金属(単数種または複数種)は、触媒の粒子を通じて良好な分散および良好な巨視的分布を有する。
【0033】
カチオン交換によって第VIII族からの金属(単数種または複数種)、好ましくは白金および/またはパラジウムを沈着させて、前記金属(単数種または複数種)が主として改変ゼオライト上に沈着させられるようにすることを想定することも可能である。それ故に、白金の場合、前駆体は、例えば、アンモニア化合物、例えば、式Pt(NH
3)
4X
2の白金(II)テトラミンの塩、式Pt(NH
3)
6X
4を有する白金(IV)ヘキサミンの塩;式(PtX(NH
3)
5)X
3を有する白金(IV)ハロゲノペンタミンの塩;式PtX
4(NH
3)
2を有する白金 N−テトラハロゲノジアミンの塩;および式H(Pt(acac)
2X)を有するハロゲン化塩から選択されてよく;Xは、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素によって形成される群から選択されるハロゲンであり、Xは、好ましくは、塩素であり、「acac」は、アセチルアセトナート基(実験式C
5H
7O
2を有する)を表し、アセチルアセトンの誘導体である。このタイプの前駆体により、第VIII族からの金属(単数種または複数種)は、主として、ゼオライト上に沈着させられ、前記金属(単数種または複数種)は、触媒粒子を通じて良好な分散および良好な巨視的分布を有する。
【0034】
形付けされたゼオライト(担体)上への第VIII族からの金属の乾式含浸の結果、前記金属は、マトリクス上および金属ゼオライト上の両方に沈着させられる。
【0035】
本発明の触媒が第IIIA族、第IVA族および第VIIB族からの金属から選択される少なくとも1種の金属も含有する場合、当業者に知られている、このタイプの金属を沈着させるための技術のいずれかおよびこのような金属のあらゆる前駆体が適切であり得る。
【0036】
第VIII族からの金属(単数種または複数種)および第IIIA族、第IVA族および第VIIB族からの金属(単数種または複数種)を別々にまたは同時にかのいずれかで少なくとも1回の単位工程において加えることが可能である。第IIIA族、第IVA族および第VIIB族からの少なくとも1種の金属が別々に加えられる場合、それは、好ましくは、第VIII族からの金属の後に加えられる。
【0037】
第IIIA族、第IVA族および第VIIB族からの金属から選択される追加の金属は、第IIIA族、第IVA族および第VIIB族からの金属の塩化物、臭化物および硝酸塩等の化合物を介して導入されてよい。例として、インジウムの場合には、硝酸塩または塩化物が有利には用いられてよく、レニウムの場合には、過レニウム酸が有利には用いられる。第IIIA族、第IVA族および第VIIB族からの金属から選択される追加金属は、前記金属の錯体、特には、金属のポリケトン錯体、およびヒドロカルビル金属、例えば金属アルキル、金属シクロアルキル、金属アリール、金属アルキルアリールおよび金属アリールアルキルによって構成される群から選択される少なくとも1種の有機化合物の形態で導入されてもよい。この後者の場合、金属は、有利には、前記金属の有機金属化合物の有機溶媒中の溶液を用いて導入される。金属の有機ハロゲン化化合物を採用することも可能である。挙げられてよい有機金属化合物の特定の例は、スズの場合のテトラブチルスズ、インジウムの場合のトリフェニルインジウムである。
【0038】
第IIIA族、第IVA族および第VIIB族からの金属から選択される追加金属が、第VIII族からの金属の前に導入されるならば、用いられる第IIIA族、第IVA族および/または第VIIB族からの金属の化合物は、一般的には、金属のハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、カルボン酸塩およびシュウ酸塩によって構成される群から選択される。導入は、有利には、水溶液中で行われる。しかしながら、それは、金属の有機金属化合物、例えばテトラブチルスズの溶液を用いて導入されてもよい。この場合、第VIII族からの少なくとも1種の金属を導入することを続ける前に、焼成が空気中で行われる。
【0039】
さらに、焼成および/または還元等の中間処理が、種々の金属の連続する沈着の間に適用されてよい。
【0040】
水素の流れ中の最終触媒の現場外(ex situ)での先行する還元は、例えば、450〜600℃の温度で0.5〜4時間の期間にわたって行われてよい。
【0041】
触媒は、場合によっては、硫黄を、硫黄の原子数対第VIII族からの金属(単数種または複数種)の原子数の比が0.5〜2の範囲内であるような量で含む。
【0042】
触媒が硫黄を含有しない場合、水素中での金属の還元が現場内(in situ)で行われた後に、供給原料が注入される。
【0043】
本発明の触媒が硫黄を含有する場合、硫黄は、形付けされた触媒(焼成されたものであり、上記の単数種または複数種の金属を含有している)上に、触媒反応の前に現場内で、または現場外で導入される。還元の後にあらゆる硫化が行われる。現場内硫化の場合、触媒が未だ還元されていないならば、還元が行われた後に硫化が行われる。現場外硫化の場合、硫化に続いて還元が行われる。硫化は、水素の存在下に、当業者に周知であるあらゆる硫化剤、例えば、ジメチルスルフィドまたは硫化水素を用いて行われる。例として、触媒は、水素の存在下にジメチルスルフィドを含有する供給原料により処理され、濃度は、硫黄/金属の原子比が1.5であるようにされる。触媒は、次いで、水素の流れ中で約3時間にわたって約400℃に維持され、その後に供給原料が注入される。
【0044】
(特徴付け技術)
初期のEU−1ゼオライトの全体Si/Al原子比は、蛍光X線によって測定される。蛍光X線は、ホウ素から出発する周期律表の元素の全てを分析するために用いられ得る一般的な元素分析技術である。数ppm(parts per million)程度から100%までアッセイすることが可能である。本発明において、この技術は、ゼオライト中のケイ素およびアルミニウムを(重量百分率として)アッセイするために用いられ、それ故に、Si/Al原子比を計算するために用いられ得た。アルミニウムおよびケイ素のXRF分析は、粉体についてThermofischer Scientific Advant-Xの計器を用いて行われた。
【0045】
プロトン型(イオン交換工程後)の種々のゼオライト中のナトリウム含有率は、原子吸光分析または発光分析によって測定された。ナトリウム含有率は、発光分析装置(ICP-OES) SPECTRO, ARCOS SOPを用いて決定された。
【0046】
初期EUOゼオライトおよび改変型EUOゼオライトの表面組織特性(textural properties)は、−196℃における窒素の吸着/脱着によって測定された。比表面積は、BET法を用いて計算された。ミクロ細孔容積(V
micro)並びに外部表面積(S
ext)は、「t−プロット」法を用いて得られ、統計的な厚さは、ジュラ−ハーキンスの式を用いて計算された。メソ細孔容積(V
meso)は、全細孔容積からミクロ細孔容積を減算することによって得られた。用語「全細孔容積」は、相対窒素圧力(P/P
0):0.95で吸着された窒素の容積を意味する。サンプルについての吸着−脱着等温線測定は、Micromeritics ASAP 2024ポロシメータにより行われた。固体を脱気するための操作は、予め前処理ベイを用いることにより行われた。脱気は、2段階で加熱することによって行われた:第1の一定の温度段階は、100℃で2時間続き、続く第2の一定の温度段階は、500℃で6時間続いた;昇温速度は、約20℃/分であった。
【0047】
X線回折技術を採用して、用いられたゼオライトの結晶構造が種々のサンプル中に実際に存在するかどうかが確認された。これは、実験によるディフラクトグラムを理論ディフラクトグラム(ファイル番号JCPDS 04-007-2506)と比較することによって行われた。分析は、銅のKα線(λ=1.5402Å)を用いるPANanytical X'Pert PRO MPD q-qおよびX'celerator検出器により行われた。分析の間、2°と72°との間で、周囲温度において、0.02°のステップで、ステップあたり6秒の測定期間により走査が行われた。
【0048】
透過型電子顕微鏡法(transmission electron microscopy:TEM)を用いてゼオライト微結晶の典型的な寸法が評価された。TEM観察は、JEOL 21000F - FEG(Field Emission Gun)顕微鏡であって、加速電圧200kVを有するものを用いて行われた。
【0049】
(芳香族C8留分の異性化方法における触媒の使用)
本発明はまた、分子当たり8個の炭素原子を含有する少なくとも1種の芳香族化合物を含有する留分の異性化方法であって、前記芳香族留分を少なくとも本発明による前記触媒と接触させる工程を含む、方法に関連する。
【0050】
特に、分子当たり8個の炭素原子を含有する少なくとも1種の芳香族化合物を含有する前記芳香族留分は、分子当たり8個の炭素原子を含有する芳香族化合物として、キシレンの混合物のみまたはエチルベンゼンのみまたはキシレン(単数種または複数種)およびエチルベンゼンの混合物のいずれかを含む。
【0051】
前記異性化方法は、一般的には、以下の操作条件に従って行われる:温度:300〜500℃、好ましくは320〜450℃、より好ましくは340〜430℃;水素の分圧:0.3〜1.5MPa、好ましくは0.4〜1.2MPa、より好ましくは0.7〜1.2MPa;全圧:0.45〜1.9MPa、好ましくは0.6〜1.5MPa;供給原料の空間速度(触媒の重量(kg)当たりかつ時間(h)当たりの導入される供給原料(芳香族留分)の重量(kg)で表される):0.25〜30h
−1、好ましくは1〜10h
−1、一層より好ましくは2〜6h
−1。
【0052】
以下の実施例は、本発明を例証するが、本発明の範囲を限定しない。
【0053】
(実施例1(本発明に合致しない):EU−1ゼオライトの調製)
EU−1ゼオライトは、特許EP B1 0 042 226における開示に従って、有機テンプレート1,6−N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチルヘキサメチレン ジアンモニウムを用いて合成された。このタイプのゼオライトを調製するために、反応混合物は、以下のモル組成を有していた:60SiO
2:10.6Na
2O:5.27NaBr:1.5Al
2O
3:19.5 Hexa−Br
2:2777H
2O。Hexa−Br
2は、1,6−N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチルヘキサメチレン ジアンモニウムであり、臭素は、対イオンである。反応混合物は、オートクレーブ中に置かれ、180℃で5日間にわたって撹拌された(300rpm)。
【0054】
このEU−1ゼオライトは、最初に、乾式焼成として知られている焼成を、550℃で、乾燥空気の流れ中、10時間にわたって経て、有機テンプレートが除去された。固体は、次いで、4時間にわたって硝酸アンモニウムの溶液(固体の重量(g)当たり溶液100mL,硝酸アンモニウムの濃度10M)中で還流下に置かれ、アルカリカチオンがアンモニウムイオンと交換された。この交換工程は、4回行われた。固体は、次いで、550℃で4時間にわたって管状炉において焼成された。このようにして得られた固体は、参照EU−1(1)を与えられ、Si/Al原子比は15であり、ナトリウム含有率は73ppmであった。X線回折による分析により、EU−1ゼオライトが実際に得られたことが確認された。透過型電子顕微鏡法により、20〜80nmの範囲内の典型的な寸法を有する微結晶が存在し、これらの微結晶は、凝集体を形成していることが実証された。前記EU−1(1)ゼオライトは、窒素ポロシメトリによって分析され、その表面組織的特徴が決定された(表1)。
【0055】
(実施例2(本発明に合致する):改変型EU−1ゼオライトの調製)
EU−1(1)ゼオライトが、還流フラスコ(reflux flask)中に置かれた。この還流フラスコは、撹拌子を備えたものであり、ここで、それは、以下の条件下にアルカリ処理を経た:
・ 処理温度:85℃、
・ 水溶液中の水酸化ナトリウムの濃度:1M、
・ 処理継続期間:45分、
・ 溶液の容積/EU−1(2)の質量の比:15mL/g
・ 撹拌子のスピード:330ppm。
【0056】
改変型ゼオライトは、次いで、蒸留水により3回洗浄され、遠心分離すること(8000rpm)によって分離され、次いで、12時間にわたって110℃でオーブン乾燥させられた。このアルカリ処理の終わりに、EU−1(2)で表記される改変型ゼオライトが得られ、これは、そのナトリウム型にあった。固体は、4時間にわたって硝酸アンモニウムの溶液(固体の重量(g)当たり溶液100mL、硝酸アンモニウムの濃度10M)中で還流下に置かれて、アルカリカチオンをアンモニウムイオンと交換した。この交換工程は、5回行われた。固体は、次いで、管状炉中、4時間にわたって550℃で焼成された。ゼオライトは、その時、そのプロトン型にあり、ゼオライトEU−1(3)と表記された。ゼオライトのナトリウム含有率は95ppmであり、X線回折分析により、EU−1ゼオライトの特徴的な回折ピークが依然として存在していることが確認された。前記ゼオライトEU−1(3)は、窒素ポロシメトリによって分析され、その表面組織的特徴が決定された(表1)。
【0057】
(実施例3(本発明に合致する):改変型EU−1ゼオライトの調製)
実施例2において得られたEU−1(2)ゼオライトは、フラスコ中に置かれ、ここで、それは、以下の条件下に酸処理を経た:
・ 処理温度:65℃、
・ 水溶液中の塩酸の濃度:0.1M、
・ 処理継続期間:360分、
・ 溶液の容積/EU−1(2)の質量の比:100mL/g、
・ 撹拌子のスピード:330rpm。
【0058】
ゼオライトは、次いで、蒸留水により3回洗浄され、遠心分離すること(8000rpm)によって分離され、次いで、12時間にわたって110℃でオーブン乾燥させられた。
【0059】
この酸処理の終わりに、EU−1(4)で表記される改変型ゼオライトが得られた。固体は、4時間にわたって硝酸アンモニウムの溶液(固体の重量(g)当たり溶液100mL、硝酸アンモニウムの濃度10M)中で還流下に置かれ、アルカリカチオンをアンモニウムイオンと交換した。この交換工程は、5回行われた。固体は、次いで、管状炉中、4時間にわたって550℃で焼成された。ゼオライトは、その時、そのプロトン型にあり、ゼオライトEU−1(5)と表記された。前記ゼオライトのナトリウム含有率は、70ppmであり、X線回折分析により、EU−1ゼオライトの特徴的回折ピークが依然として存在していることが確認された。前記ゼオライトEU−1(5)は、窒素ポロシメトリによって分析され、その表面組織的特徴が決定された(表1)。
【0060】
(実施例4(本発明に合致しない):改変型EU−1ゼオライトの調製)
EU−1(1)ゼオライトが、撹拌子を備えた還流フラスコ中に置かれ、ここで、それは、以下の条件下にアルカリ処理を経た:
・ 処理温度:65℃、
・ 水溶液中の水酸化ナトリウムの濃度:0.05M、
・ 処理継続期間:60分、
・ 溶液の容積/EU−1(1)の質量の比:15mL/g、
・ 撹拌子のスピード:330rpm。
【0061】
改変型ゼオライトは、次いで、蒸留水により3回洗浄され、遠心分離すること(8000rpm)によって分離され、次いで、12時間にわたって110℃でオーブン乾燥させられた。
【0062】
このアルカリ処理の終わりに、EU−1(6)で表記される改変型ゼオライトが得られ、これは、ナトリウム型にあった。固体は、4時間にわたって硝酸アンモニウムの溶液(固体の重量(g)当たり溶液100mL、硝酸アンモニウムの濃度10M)中で還流下に置かれ、アルカリカチオンをアンモニウムイオンと交換した。この交換工程は、5回行われた。固体は、次いで、管状炉中4時間にわたって550℃で焼成された。ゼオライトは、その時、そのプロトン型にあり、ゼオライトEU−1(7)で表記された;そのナトリウム含有率は92ppmであった。X線回折による分析により、EU−1ゼオライトの特徴的回折ピークが依然として存在していたことが確認された。前記ゼオライトEU−1(7)は、窒素ポロシメトリによって分析され、その表面組織的特徴が決定された(表1)。
【0063】
表1には、窒素吸着等温線から決定された、ゼオライトEU−1(1)(親)および改変型EU−1である、EU−1(3)、EU−1(5)およびEU−1(7)の表面組織特徴が提供される。親EU−1ゼオライトEU−1(1)とゼオライトEU−1(7)との表面組織特性の比較により、本発明に合致しない条件下でEU−1ゼオライトにアルカリ処理を行っても、親ゼオライトの外部表面積を有意に発達させることはできず、または、それがメソ細孔容積を大きくもさせなかったことが示される。対照的に、本発明に合致する条件下でアルカリ処理を行うこと(EU−1(3))は、外部表面積が35m
2/gから94m
2/gに大きくなったこと、およびメソ細孔容積が0.24mL/gから0.41mL/gに大きくなったことを意味する。本発明に合致した条件下にアルカリ処理と連続して酸処理を行うこと(EU−1(5))は、外部表面積(160m
2/gの値を得た)並びにメソ細孔容積(0.59mL/gの値を得た)をさらに増加させた。さらに、酸処理により、ミクロ多孔度を開放することができ、ミクロ細孔容積は、0.103mL/gの値に達した。これは、アルカリ処理を経たがその後に酸により処理されなかった固体(EU−1(3))についての0.004mL/gとは対照的である。
【0065】
(実施例5(本発明に合致しない):未改変EU−1ゼオライトを含む触媒Aの調製)
実施例1からのゼオライトEU−1(1)(親)が、Condea-Sasolによって提供されたSB3タイプのアルミナゲルと混合された。混合されたペースト状物は、1.4mmダイ中を押し出された。110℃での終夜オーブン乾燥の後、押出物は、フラッシュベッド(flushed bed)において乾燥空気(2NL/h/g(固体))中で2時間にわたって500℃で焼成された(5℃/分の昇温)。押出物は、次いで、競争剤としての塩酸の存在下にヘキサクロロ白金酸によるアニオン交換を経て、触媒の重量に対して0.5重量%の白金を沈着させた。湿潤固体は、次いで、12時間にわたって120℃で乾燥させられ、乾燥空気の流れ中、1時間にわたって500℃の温度で焼成された。
【0066】
得られた触媒Aは、重量で、10%のゼオライトEU−1(1)、89.5%のアルミナおよび0.5%の白金を含有していた。
【0067】
(実施例6(本発明に合致する):改変型EU−1ゼオライトを含む触媒Bの調製)
実施例2からのゼオライトEU−1(3)(親)が、Condea-Sasolによって提供されたSB3タイプのアルミナゲルと混合された。混合されたペースト状物が、1.4mmダイ中を押し出された。110℃での終夜のオーブン乾燥の後、押出物は、フラッシュベッドにおいて乾燥空気(2NL/h/g(固体))で、2時間にわたって500℃(昇温5℃/分)で焼成された。押出物は、次いで、競争剤としての塩酸の存在下でヘキサクロロ白金酸によるアニオン交換を経て、触媒の重量に対して0.5重量%の白金が沈着させられた。湿潤固体は、次いで、12時間にわたって120℃で乾燥させられ、乾燥空気の流れ中、1時間にわたって500℃の温度で焼成された。
【0068】
こうして得られた触媒Bは、重量で、10%の改変型EU−1(3)ゼオライト、89.5%のアルミナおよび0.5%の白金を含有していた。
【0069】
(実施例7(本発明に合致する):改変型EU−1ゼオライトを含む触媒Cの調製)
実施例3からのゼオライトEU−1(5)が、Condea-Sasolによって提供されたSB3タイプのアルミナゲルと混合された。混合されたペースト状物は、1.4mmダイ中を押し出された。110℃での終夜オーブン乾燥の後、押出物は、2時間にわたって500℃で(昇温5℃/分)、フラッシュベッドにおいて乾燥空気(2NL/h/g(固体))中で焼成された。押出物は、次いで、競争剤としての塩酸の存在下でヘキサクロロ白金酸によるアニオン交換を経て、触媒の重量に対して0.5重量%の白金が沈着させられた。湿潤固体は、次いで、12時間にわたって120℃で乾燥させられ、乾燥空気の流れ中、1時間にわたって500℃の温度で焼成された。
【0070】
このようにして得られた触媒Cは、重量で、10%の改変型EU−1(5)ゼオライト、89.5%のアルミナおよび0.5%の白金を含有していた。
【0071】
(実施例8(本発明に合致しない):改変型EU−1ゼオライトを含む触媒Dの調製)
実施例4からのゼオライトEU−1(7)が、Condea-Sasolによって提供されたSB3タイプのアルミナゲルと混合された。混合されたペースト状物は、1.4mmダイ中を押し出された。110℃での終夜オーブン乾燥の後、押出物は、2時間にわたって500℃で(昇温速度5℃/分)、フラッシュベッドにおいて乾燥空気(2NL/h/g(固体))中で焼成された。押出物は、次いで、競争剤としての塩酸の存在下でのヘキサクロロ白金酸によるアニオン交換を経て、触媒の重量に対して0.5重量%の白金が沈着させられた。湿潤固体は、次いで、12時間にわたって120℃で乾燥させられ、乾燥空気の流れ中、1時間にわたって500℃の温度で焼成された。
【0072】
このようにして得られた触媒Dは、重量で、10%の改変型EU−1(7)ゼオライト、89.5%のアルミナおよび0.5%の白金を含有していた。
【0073】
(実施例9:エチルベンゼンの異性化における触媒A、B、CおよびDの触媒特性の評価)
供給原料(エチルベンゼンのみによって構成される)が、種々の触媒により、等温条件下に操作する反応器内のフラッシュベッドにおいて異性化させられ、水素が喪失された。触媒A、B、CおよびDの触媒特性は、エチルベンゼンの異性化について連続的に評価された。触媒試験の前に、各触媒は、水素の流れ中で、以下の操作条件下に還元工程を経た:
・ 全圧:1.3MPa;
・ 水素流量:4NL/h/g(触媒)
・ 周囲温度から450℃への昇温速度:10℃/分;
・ 1時間にわたる450℃での一定の温度段階;
・ 450℃から480℃への昇温速度:5℃/分;
・ 2時間にわたる480℃での一定の温度段階。
【0074】
還元工程の後、温度および圧力は、ターゲットの試験値に調節され、エチルベンゼン供給原料が注入された。異性化のための操作条件は、以下の通りであった:
・ 温度:400℃;
・ 全圧:1MPa;
・ 水素分圧:0.8MPa;
・ 供給原料:エチルベンゼン;
・ 供給原料の空間速度(触媒の重量(kg)当たりおよび時間当たりの導入された供給原料の重量(kg)で表される);10h
−1に等しい。
【0075】
触媒は、エチルベンゼンの転化率およびキシレンについての選択性に関して評価された。
【0076】
キシレンについての選択性は、生じたキシレンの収率を用いて計算された。キシレン収率は、生じたキシレンの重量百分率から測定され、この重量百分率は、気相クロマトグラフィーを用いた各流出物のインライン分析によって得られた(FID検出装置)。
【0077】
エチルベンゼンの転化率は、消費されたエチルベンゼンの百分率であった。
【0079】
表2に提示された結果により、本発明に記載された方法にしたがって改変されたEU−1ゼオライトをそれぞれ含む触媒BおよびCは、エチルベンゼンの転化率に関して、未改変EU−1ゼオライトを含んでいた触媒Aを用いておよび本発明に合致しない方法を用いて改変されたEU−1ゼオライトを含んでいた触媒Dを用いて得られた触媒性能よりはるかに良好な触媒性能を結果としてもたらすことが示される。本発明に合致する触媒BおよびCは、それ故に、従来技術の触媒Aおよび触媒Dよりはるかに活性である。さらに、本発明に合致する触媒BおよびCは、触媒AおよびDの選択性に実質的に匹敵する選択性を有する。結果として、本発明に合致する触媒BおよびCにより、比較の触媒AおよびDにより得られたキシレン収率よりはるかに優れたキシレン収率が結果としてもたらされる。