特許第6379247号(P6379247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379247
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】ドリップフィルタ収容体
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20180813BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20180813BHJP
   A47J 31/02 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   A47J31/06 160
   B65D77/00 E
   A47J31/02
【請求項の数】27
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-53918(P2017-53918)
(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公開番号】特開2017-113615(P2017-113615A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05055311(US,A)
【文献】 特開平11−104018(JP,A)
【文献】 実開昭59−090725(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
B65D 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が抽出される抽出材料を通過させずに前記飲料を通過させるフィルタと、
前記フィルタを密封状態で収容し、開封時に上部及び下部を開口させることにより筒状となる包装袋と、を備え、
前記フィルタは、開封後の前記包装袋の内部空間において当該フィルタの縁部が環状に広がった状態で、当該包装袋に固定され
前記包装袋には、前記抽出材料から抽出された前記飲料を受ける容器に当該包装袋を固定するための固定部材が設けられており、
前記固定部材は、前記包装袋の内面に取り付けられていることを特徴とするドリップフィルタ収容体。
【請求項2】
請求項1に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記フィルタは、前記包装袋の内面に貼着されることにより、当該包装袋に固定されるドリップフィルタ収容体。
【請求項3】
請求項2に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記フィルタは、当該フィルタの前記縁部において前記包装袋の前記内面に貼着されるドリップフィルタ収容体。
【請求項4】
請求項3に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記フィルタの前記縁部の全体が、前記包装袋の前記内面に貼着されるドリップフィルタ収容体。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記フィルタには、当該フィルタを前記包装袋の前記内面に貼着するための粘着材が設けられているドリップフィルタ収容体。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記フィルタは、開封前の前記包装袋には固定されていないドリップフィルタ収容体。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記フィルタは、袋状をしているドリップフィルタ収容体。
【請求項8】
請求項7に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記フィルタは、周囲全体が閉じた袋状をしているドリップフィルタ収容体。
【請求項9】
請求項8に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記フィルタ内には、前記抽出材料が閉じ込められているドリップフィルタ収容体。
【請求項10】
請求項7乃至9の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記フィルタの径は、当該フィルタの上部から下部に向かうにつれて、単調に小さくなるドリップフィルタ収容体。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記包装袋の内径は、当該包装袋の前記上部から中間部に向かうにつれて、単調に小さくなるドリップフィルタ収容体。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記包装袋には、当該包装袋の変形に追随して塑性変形する第1の可塑性部材が取り付けられているドリップフィルタ収容体。
【請求項13】
請求項12に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記第1の可塑性部材は、前記包装袋の周方向に沿って延びているドリップフィルタ収容体。
【請求項14】
請求項13に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記第1の可塑性部材は、前記包装袋の周方向の全体に延在しているドリップフィルタ収容体。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記第1の可塑性部材は、前記フィルタが前記包装袋に固定された状態で、当該包装袋の前記上部と当該フィルタとの間の領域に位置するドリップフィルタ収容体。
【請求項16】
請求項12乃至15の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記包装袋には、前記第1の可塑性部材とは異なる位置に、当該包装袋の変形に追随して塑性変形する第2の可塑性部材が取り付けられているドリップフィルタ収容体。
【請求項17】
請求項16に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記第2の可塑性部材は、前記包装袋の周方向に沿って延びているドリップフィルタ収容体。
【請求項18】
請求項17に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記第2の可塑性部材は、前記包装袋の周方向の全体に延在しているドリップフィルタ収容体。
【請求項19】
請求項16乃至18の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記第2の可塑性部材は、前記フィルタが前記包装袋に固定された状態で、当該包装袋の前記下部と当該フィルタとの間の領域に位置するドリップフィルタ収容体。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記包装袋の一部には、当該包装袋の外部から内部を視認することが可能な覗き窓が設けられているドリップフィルタ収容体。
【請求項21】
請求項20に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記覗き窓は、前記包装袋の前記一部を透明にすることにより形成されているドリップフィルタ収容体。
【請求項22】
請求項20又は21に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記包装袋の外面には、前記覗き窓を覆うように、不透明のシールが剥離可能に貼付されているドリップフィルタ収容体。
【請求項23】
請求項1乃至22の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記包装袋には、前記固定部材として、前記容器の縁に掛止される掛止部材が設けられているドリップフィルタ収容体。
【請求項24】
請求項乃至23の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記包装袋には、前記固定部材として、伸縮性を有する環状部材が設けられており、
前記環状部材は、伸長した状態で前記容器の底部に掛止されるドリップフィルタ収容体。
【請求項25】
請求項1乃至24の何れかに記載のドリップフィルタ収容体において、
前記包装袋における前記上部から中間部までの領域を上部領域とし、当該包装袋における前記中間部から前記下部までの領域を下部領域としたとき、
前記上部領域における前記包装袋の内径は、前記下部領域における当該包装袋の内径よりも小さいドリップフィルタ収容体。
【請求項26】
請求項25に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記上部領域及び前記下部領域のうち前記下部領域においてのみ、前記包装袋の側面にガゼットが形成されているドリップフィルタ収容体。
【請求項27】
請求項25に記載のドリップフィルタ収容体において、
前記上部領域における前記包装袋の側面に第1のガゼットが形成されるとともに、前記下部領域における前記包装袋の側面に第2のガゼットが形成されており、
前記第1のガゼットの幅は、前記第2のガゼットの幅よりも小さいドリップフィルタ収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用のドリップフィルタが収容されたドリップフィルタ収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、袋状のドリップフィルタ(ドリップバッグ)が記載されている。このドリップバッグは、上端部に開口部を有する袋本体と、袋本体の対向する2面の外表面に設けられた掛止部材とからなる。袋本体には、コーヒー粉末が充填されている。コーヒーカップ等の容器の縁に掛止部材が掛止されることにより、当該容器にドリップバッグが固定される。その状態で袋本体の開口部から湯を注ぐことにより、コーヒー粉末からコーヒーを抽出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−95319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のドリップバッグは、使用前、密封された包装袋内に収容されている。それゆえ、ユーザは、ドリップバッグが包装袋内に収容されたドリップフィルタ収容体を購入することになる。ドリップバッグを使用する際には、包装袋を開封し、その中からドリップバッグを取り出す。その後の包装袋は、不要となるため、廃棄物として処理される。このように従来のドリップフィルタ収容体においては、開封後の包装袋が活用されないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、開封後の包装袋を活用できるドリップフィルタ収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるドリップフィルタ収容体は、飲料が抽出される抽出材料を通過させずに上記飲料を通過させるフィルタと、上記フィルタを密封状態で収容し、開封時に上部及び下部を開口させることにより筒状となる包装袋と、を備え、上記フィルタは、開封後の上記包装袋の内部空間において当該フィルタの縁部が環状に広がった状態で、当該包装袋に固定されることを特徴とする。
【0007】
このドリップフィルタ収容体においては、筒状となるように開封された包装袋にフィルタが固定される。フィルタは、包装袋の内部空間において縁部が環状に広がった状態で固定される。このため、筒状の包装袋をカップ等の容器にセットし、包装袋の上部の開口から湯を注ぐことにより、フィルタ上の抽出材料から飲料を抽出することができる。このように本発明においては、開封後の包装袋が飲料の抽出に用いられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開封後の包装袋を活用できるドリップフィルタ収容体が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるドリップフィルタ収容体の一実施形態を示す正面図である。
図2】開封後の包装袋20を示す斜視図である。
図3】包装袋20から取り出されたフィルタ10を示す正面図である。
図4】開封後の包装袋20にフィルタ10が固定された様子を示す斜視図である。
図5図4のフィルタ10及び包装袋20を上から見た平面図である。
図6図4の包装袋20が容器90にセットされた状態を示す斜視図である。
図7】一変形例に係る包装袋20を示す正面図である。
図8図7の包装袋20が開封されて筒状に広げられた状態を示す斜視図である。
図9】他の変形例に係る包装袋20を示す正面図である。
図10】他の変形例に係る包装袋20を示す正面図である。
図11】他の変形例に係る包装袋20を示す正面図である。
図12】他の変形例に係る包装袋20を示す正面図である。
図13】他の変形例に係る包装袋20を示す正面図である。
図14図13の包装袋20において下部20bが折り返された状態を示す正面図である。
図15図14の包装袋20が容器90に固定された状態を示す側面図である。
図16】他の変形例に係る包装袋20を示す正面図である。
図17図16の包装袋20において下部20bが折り返された状態を示す正面図である。
図18図17の包装袋20が容器90に固定された状態を示す側面図である。
図19】他の変形例に係る包装袋20を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明によるドリップフィルタ収容体の一実施形態を示す正面図である。ドリップフィルタ収容体1は、飲料用のドリップフィルタが収容されたドリップフィルタ収容体であり、フィルタ10(ドリップフィルタ)、及び包装袋20を備えている。
【0012】
フィルタ10は、飲料が抽出される抽出材料を通過させずに、当該抽出材料から抽出された飲料を通過させる。本実施形態において抽出材料は、コーヒー粉末である。フィルタ10は、周囲全体が閉じた袋状をしている。フィルタ10の径は、フィルタ10の上部から下部(底部)に向かうにつれて、単調に小さくなっている。フィルタ10内には、コーヒー粉末(図示せず)が閉じ込められている。フィルタ10は、その上部(縁部10a)が開口するように構成されている。詳細には、フィルタ10の縁部10aにおける対向する面どうしが剥離可能に接着されている。これらの面を互いに引き離すように外力を加えることにより、フィルタ10の縁部10aを開口させることができる。フィルタ10の材料としては、例えば不織布を用いることができる。
【0013】
フィルタ10は、包装袋20に収容されている。包装袋20は、密封されている。すなわち、包装袋20は、フィルタ10を密封状態で収容している。包装袋20には、上下2か所に開封口(図示せず)が設けられている。
【0014】
図2は、開封後の包装袋20を示す斜視図である。同図に示すように、上述の開封口から開封することにより、包装袋20の上部20a及び下部20bを開口させることができる。このように包装袋20は、開封時に上部20a及び下部20bを開口させることにより筒状となる。包装袋20の材料としては、例えば、プラスチック及び/又はアルミニウムを用いることができる。包装袋20は、プラスチック層の内側にアルミニウム層が設けられたアルミ蒸着フィルムからなっていてもよい。
【0015】
図3は、包装袋20から取り出されたフィルタ10を示す正面図である。フィルタ10には、粘着材12が設けられている。粘着材12は、フィルタ10の縁部10aの全体にわたって設けられることが好ましい。粘着材12は、フィルタ10を包装袋20の内面に貼着するためのものである。粘着材12は、剥離紙(図示せず)で覆われている。フィルタ10を包装袋20から取り出した後に剥離紙を除去することにより、粘着材12を介してフィルタ10を包装袋20の内面に貼着できるようになる。粘着材12としては、例えば粘着テープを用いることができる。なお、図1等においては、粘着材12の図示を省略している。
【0016】
図4は、開封後の包装袋20にフィルタ10が固定された様子を示す斜視図である。同図に示すように、フィルタ10は、開封後の包装袋20の内部空間において縁部10aが環状に広がった状態で、包装袋20に固定される。このとき、フィルタ10の縁部10aの延在方向は、包装袋20の周方向に一致する。フィルタ10は、上述の粘着材12を介して包装袋20の内面に貼着されることにより、包装袋20に固定される。詳細には、フィルタ10は、その縁部10aにおいて包装袋20の内面に貼着される。フィルタ10の縁部10aの全体が包装袋20の内面に貼着されることが好ましい。なお、フィルタ10は、開封前の包装袋20には固定されていない。
【0017】
図5は、図4のフィルタ10及び包装袋20を上から見た平面図である。同図からわかるように、フィルタ10の縁部10aの全体を含む平面内において、縁部10aの長さは、包装袋20の内面の長さに等しい。
【0018】
図1に戻って、包装袋20の一部には、包装袋20の外部から内部を視認することが可能な覗き窓22が設けられている。覗き窓22は、フィルタ10が包装袋20に固定された状態で、包装袋20の下部20bとフィルタ10との間の領域に位置する(図4参照)。覗き窓22は、包装袋20の上記一部を透明にすることにより形成されている。例えば、包装袋20がアルミ蒸着フィルムからなる場合、包装袋20の上記一部にアルミニウム層を設けずに、当該部分が透明なプラスチック層のみからなるようにすればよい。包装袋20の外面には、覗き窓22を覆うように、不透明のシールが剥離可能に貼付されていてもよい。その場合、シールを剥離することにより、覗き窓22を露出させることができる。
【0019】
包装袋20には、可塑性部材32(第1の可塑性部材)及び可塑性部材34(第2の可塑性部材)が取り付けられている。可塑性部材32及び可塑性部材34は、包装袋20の内面に取り付けられている。可塑性部材32と可塑性部材34とは、互いに異なる位置に配設されている。可塑性部材32は、フィルタ10が包装袋20に固定された状態で、包装袋20の上部20aとフィルタ10との間の領域に位置する。他方、可塑性部材34は、フィルタ10が包装袋20に固定された状態で、包装袋20の下部20bとフィルタ10との間の領域に位置する。
【0020】
可塑性部材32は、線状ないし帯状をしており、包装袋20の周方向に沿って延びている。可塑性部材32は、包装袋20の周方向の全体に延在している。可塑性部材32は、包装袋20の変形に追随して塑性変形する。同様に、可塑性部材34は、線状ないし帯状をしており、包装袋20の周方向に沿って延びている。可塑性部材34は、包装袋20の周方向の全体に延在している。可塑性部材34は、包装袋20の変形に追随して塑性変形する。各可塑性部材32,34の材料としては、例えば、金属又はプラスチックを用いることができる。なお、図2図4及び図5においては、可塑性部材32,34の図示を省略している。
【0021】
続いて、ドリップフィルタ収容体1の使用方法の一例を説明する。まず、包装袋20を開封し、フィルタ10を取り出すとともに、包装袋20の上部20a及び下部20bを開口させる。次に、フィルタ10の縁部10aを開口させてから、粘着材12を介してフィルタ10を包装袋20の内面に貼着する。その後、図6に示すように、フィルタ10が固定された包装袋20を容器90の上から被せるようにセットする。容器90は、抽出された飲料(コーヒー)を受ける容器である。容器90は、例えばコーヒーカップである。このとき、包装袋20の下部20bを折り返すことにより、包装袋20の高さを必要に応じて調整することができる。その後、包装袋20の上部20aの開口から湯を注ぐことにより、フィルタ10上のコーヒー粉末からコーヒーが抽出される。抽出されたコーヒーは、フィルタ10を通過して、容器90内に落下する。
【0022】
ドリップフィルタ収容体1の効果を説明する。ドリップフィルタ収容体1においては、筒状となるように開封された包装袋20にフィルタ10が固定される。フィルタ10は、包装袋20の内部空間において縁部10aが環状に広がった状態で固定される。このため、筒状の包装袋20を容器90にセットし、包装袋20の上部20aの開口から湯を注ぐことにより、フィルタ10上のコーヒー粉末からコーヒーを抽出することができる。このように本実施形態においては、開封後の包装袋20がコーヒーの抽出に用いられる。したがって、開封後の包装袋20を活用できるドリップフィルタ収容体1が実現されている。
【0023】
また、フィルタ10が包装袋20で覆われた状態でコーヒーの抽出が行われるため、抽出中に、湯及びコーヒーが冷めにくいという利点がある。これにより、コーヒー粉末が蒸されやすくなり、より美味しいコーヒーを抽出することができる。
【0024】
フィルタ10は、包装袋20の内面に貼着されることにより、包装袋20に固定される。このため、フィルタ10を包装袋20に対して容易かつ安定的に固定することができる。
【0025】
フィルタ10は、その縁部10aにおいて包装袋20の内面に貼着される。これにより、フィルタ10の縁部10aと包装袋20の内面との間に隙間が生じにくくなる。特にフィルタ10の縁部10aの全体が包装袋20の内面に貼着される場合、フィルタ10の縁部10aと包装袋20の内面との間に隙間が生じるのを確実に防ぐことができる。かかる隙間が生じると、包装袋20の上部20aの開口から注がれた湯がフィルタ10の外にこぼれるおそれがある。
【0026】
フィルタ10には、粘着材12が設けられている。このため、フィルタ10を包装袋20の内面に貼着するための手段を別途用意しなくても、フィルタ10を包装袋20の内面に貼着することができる。
【0027】
フィルタ10は、開封前の包装袋20には固定されていない。この場合、フィルタ10を包装袋20から容易に取り出すことができる。フィルタ10を包装袋20から一旦取り出すことにより、フィルタ10の縁部10aを開口させたり、粘着材12上の剥離紙を除去したりする作業を行いやすくなる。
【0028】
フィルタ10は、袋状をしている。これにより、包装袋20の開封前から、フィルタ10内にコーヒー粉末を入れておくことができる。特にフィルタ10は、周囲全体が閉じた袋状をしている。これにより、フィルタ10内にコーヒー粉末を閉じ込めておくことができる。このようにコーヒー粉末がフィルタ10内が閉じ込められることにより、包装袋20内でコーヒー粉末が散乱するのを防ぐことができる。
【0029】
フィルタ10の径は、フィルタ10の上部から下部に向かうにつれて、単調に小さくなっている。このようにフィルタ10の上部(縁部10a)の径を大きくすることは、湯をフィルタ10内に確実に導くのに有利である。他方、フィルタ10の下部の径を小さくすることは、抽出されたコーヒーを容器90内に確実に導くのに有利である。
【0030】
包装袋20には、覗き窓22が設けられている。これにより、包装袋20の外部からでも、コーヒーの抽出状況(例えば、容器90内に溜まったコーヒーの量)を確認することができる。ただし、覗き窓22を設けることは、必須でない。
【0031】
覗き窓22は、包装袋20の一部を透明にすることにより形成されている。これにより、開封前の包装袋20の気密性を保ちつつ、包装袋20の外部から内部を視認することが可能な構成を容易に実現することができる。
【0032】
包装袋20の外面に覗き窓22を覆うように不透明のシールが貼付されている場合、開封前の包装袋20の内部に覗き窓22を通じて光が射し込むのを防ぐことができる。包装袋20の内部に光が射し込むと、コーヒー粉末が劣化しやすくなってしまう。
【0033】
包装袋20には、包装袋20の変形に追随して塑性変形する可塑性部材32,34が取り付けられている。これにより、包装袋20が筒状に広がった状態を維持しやすくなる。特に可塑性部材32は、包装袋20の上部20aとフィルタ10との間の領域に位置するため、包装袋20の上部20aが開口した状態を維持するのに役立つ。他方、可塑性部材34は、包装袋20の下部20bとフィルタ10との間の領域に位置するため、包装袋20の下部20bが開口した状態を維持するのに役立つ。ただし、可塑性部材32,34を設けることは、必須でない。
【0034】
可塑性部材32,34は、包装袋20の周方向に沿って延びている。これにより、各可塑性部材32,34の面積を小さくしても、包装袋20が潰れるのを効率良く阻止することができる。特に可塑性部材32,34は、包装袋20の周方向の全体に延在している。これにより、包装袋20が筒状に広がった状態をより安定的に維持することができる。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態において包装袋20は、図7に示すように、上部領域24aと下部領域24bとで内径が異なっていてもよい。ここで、包装袋20の内径は、包装袋20を円筒状に広げたときの直径(内寸)として定義される。上部領域24aは、包装袋20における上部20aから中間部20cまでの領域である。下部領域24bは、包装袋20における下部20bから中間部20cまでの領域である。中間部20cは、包装袋20の上部20aと下部20bとの間に存在していればよく、包装袋20を上下に2等分する位置に存在する必要はない。
【0036】
本例において包装袋20の側面には、ガゼット26a(第1のガゼット)及びガゼット26b(第2のガゼット)が形成されている。ガゼット26aは、上部領域24aにおける包装袋20の側面に形成されている。他方、ガゼット26bは、下部領域24bにおける包装袋20の側面に形成されている。ガゼット26aの幅w1は、ガゼット26bの幅w2よりも小さい。これにより、図8に示すように、包装袋20を筒状に広げたとき、上部領域24aにおける包装袋20の内径が、下部領域24bにおける包装袋20の内径よりも小さくなる。
【0037】
このように上部領域24aにおける包装袋20の内径を下部領域24bにおける包装袋20の内径よりも小さくすることにより、中間部20cが容器の縁に乗るようにすることができる。これにより、容器に対して包装袋20を容易に固定することができる。また、上述のように幅が相異なる複数のガゼット26a,26bを形成することにより、包装袋20の開封前(ガゼット26a,26bが折り畳まれた状態)においては、包装袋20の幅を均一にすることができる。
【0038】
なお、上部領域24aにおける包装袋20の内径が下部領域24bにおける包装袋20の内径よりも小さい構成は、図9に示すように、上部領域24a及び下部領域24bのうち下部領域24bにおいてのみ、包装袋20の側面にガゼット26cを形成することによっても実現することができる。また、上記構成は、図10及び図11に示すように、包装袋20の側面の一部を圧着することによっても実現することができる。これらの図においては、包装袋20の側面が圧着された部分に斜線を付している。
【0039】
図10では、上部領域24a及び下部領域24bの双方において、包装袋20の側面が圧着されている。ただし、上部領域24aにおける包装袋20の側面が圧着された部分の幅w3の方が、下部領域24bにおける包装袋20の側面が圧着された部分の幅w4よりも大きい。図11では、上部領域24a及び下部領域24bのうち上部領域24aにおいてのみ、包装袋20の側面が圧着されている。
【0040】
上記実施形態において包装袋20の内径は、図12に示すように、包装袋20の上部20aから中間部20cに向かうにつれて、単調に小さくなっていてもよい。同図においても、包装袋20の側面の一部(斜線を付した部分)が圧着されている。詳細には、上部領域24aにおいて、包装袋20の側面が圧着されている。包装袋20の側面が圧着された部分の幅は、上部20aから中間部20cに向かうにつれて、単調に大きくなっている。上部領域24aの下端における包装袋20の内径は、フィルタ10が下部領域24bに落下しない程度の大きさとされる。なお、本例のように上部領域24aにおける包装袋20の内径が一定でない場合、上部領域24aにおける包装袋20の内径と下部領域24bにおける包装袋20の内径との大小関係は、上部領域24aにおける包装袋20の内径の平均値と下部領域24bにおける包装袋20の内径との大小関係によって判定するものとする。下部領域24bにおける包装袋20の内径が一定でない場合も同様である。
【0041】
このように包装袋20の内径が上部20aから中間部20cに向かうにつれて単調に小さくなっている場合、上部領域24aにフィルタ10を乗せるだけでも、フィルタ10を包装袋20に固定することができる。すなわち、フィルタ10を包装袋20に貼着等しなくても、フィルタ10を包装袋20に固定することができる。
【0042】
上記実施形態において包装袋20には、容器に包装袋20を固定するための固定部材が設けられていてもよい。固定部材としては、例えば、図13に示す掛止部材42を用いることができる。掛止部材42は、包装袋20の内面に取り付けられている。詳細には、包装袋20の内面には、2つの掛止部材42が互いに対向するように取り付けられている。図14に示すように、包装袋20の下部20bを外側に折り返すことにより、掛止部材42を包装袋20の外部に露出させることができる。図15に示すように、掛止部材42が容器90の縁に掛止されることにより、容器90に包装袋20が固定される。掛止部材42の材料としては、例えば紙を用いることができる。
【0043】
このように固定部材を設けることにより、容器90に対して包装袋20をより安定的に固定することができる。また、固定部材が包装袋20の内面に取り付けられていることにより、開封前の包装袋20の外部に固定部材が露出しないため、衛生的である。ただし、固定部材は、包装袋20の外面に取り付けられてもよい。その場合、包装袋20の下部20bを折り返す必要はない。
【0044】
なお、固定部材としては、図16に示すように、伸縮性を有する環状部材44を用いてもよい。環状部材44としては、例えば輪ゴムを用いることができる。環状部材44は、包装袋20の内面に取り付けられている。詳細には、包装袋20の内面には、2つの環状部材44が互いに対向するように取り付けられている。図17に示すように、包装袋20の下部20bを外側に折り返すことにより、環状部材44を包装袋20の外部に露出させることができる。図18に示すように、環状部材44が伸長した状態で容器90の底部に掛止されることにより、容器90に包装袋20が固定される。
【0045】
また、包装袋20の側面には、図19に示すように、切込予定線28が形成されていてもよい。切込予定線28は、例えばミシン目である。同図においては、2本の切込予定線28が形成されている。各切込予定線28は、包装袋20の幅方向(同図の左右方向)に延在している。2本の切込予定線28は、同一直線上に存在する。一方の切込予定線28は、包装袋20の左端から包装袋20の途中まで延びている。もう一方の切込予定線28は、包装袋20の右端から包装袋20の途中まで延びている。ただし、2本の切込予定線28は、連続していない。包装袋20の開封後、これらの切込予定線28に沿って包装袋20に切込みを入れることにより、当該部分を容器の縁に引っ掛けることができる。
【0046】
上記実施形態においては、フィルタ10が縁部10aにおいて包装袋20の内面に貼着される場合を例示した。しかし、フィルタ10は、縁部10a以外の部分において包装袋20の内面に貼着されてもよい。
【0047】
上記実施形態においては、フィルタ10に粘着材12が設けられた場合を例示した。しかし、粘着材12は、包装袋20に設けられていてもよい。ただし、粘着材12を設けることは、必須でない。フィルタ10は、別途用意された粘着材を介して包装袋20の内面に貼着されてもよい。
【0048】
上記実施形態においては、包装袋20内にコーヒー粉末が予め入っている場合を例示した。しかし、包装袋20内には、コーヒー粉末が入っていなくてもよい。その場合、フィルタ10を包装袋20に固定した後に、包装袋20内(フィルタ10上)にコーヒー粉末を供給すればよい。
【0049】
上記実施形態においては、フィルタ10が袋状をしている場合を例示した。しかし、フィルタ10が袋状をしていることは、必須でない。例えば、フィルタ10は、平坦なシート状をしていてもよい。
【0050】
上記実施形態においては、抽出材料がコーヒー粉末である場合を例示した。しかし、抽出材料は、フィルタ10上で飲料を抽出できるものである限り、コーヒー粉末以外の材料であってもよい。コーヒー粉末以外の抽出材料としては、例えば、緑茶葉、紅茶葉、漢方薬等が挙げられる。
【符号の説明】
【0051】
1 ドリップフィルタ収容体
10 フィルタ
10a 縁部
12 粘着材
20 包装袋
20a 上部
20b 下部
20c 中間部
22 覗き窓
24a 上部領域
24b 下部領域
26a ガゼット(第1のガゼット)
26b ガゼット(第2のガゼット)
26c ガゼット
28 切込予定線
32 可塑性部材(第1の可塑性部材)
34 可塑性部材(第2の可塑性部材)
42 掛止部材(固定部材)
44 環状部材(固定部材)
90 容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19