(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結機構は、前記電動駆動源を、前記電動駆動源から前記ギヤ列に駆動力を伝達する状態に前記連結機構に連結可能であるとともに、前記電動駆動源を前記連結機構から取り外し可能である、請求項1に記載の挿入具。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
第1実施形態について
図1から
図7を用いて説明する。
【0010】
図1に示すように、この実施形態に係る挿入システム10は、挿入機器12と、コントローラ14とを有する。この挿入システム10は、更に、後述するハンドルユニット160(
図4A及び
図5参照)及び/又は補助駆動源180(
図6A及び
図7参照)を有する。挿入機器12は、ここでは内視鏡を例にして説明するが、照明光学系及び/又は観察光学系を有していないカテーテルのようなものとしても良い。
【0011】
挿入機器12は、挿入具22と挿入具22に取り付けられる装着具(スパイラルユニット)24とを有する。装着具24は挿入具22の後述する回転ユニット58と一緒に挿入部32の中心軸Lの軸周りに回転可能である。
【0012】
挿入具22は、中心軸Lに沿って延出され被検体内に挿入される挿入部32と、挿入部32の基端部に設けられた駆動力伝達機構34と、駆動力伝達機構34に駆動力を伝達する駆動源(電動駆動源)36と、挿入部32の基端部に設けられた操作部38と、操作部38から延出されたユニバーサルコード40とを有する。ユニバーサルコード40はコントローラ14のメインコネクタ14aに着脱可能に接続される。
【0013】
なお、本実施形態では、コントローラ14は、駆動源36に電力を供給するケーブル(図示しない)が着脱可能に接続されるコネクタ15aと、補助駆動源180(
図6A及び
図7参照)に電力を供給するケーブル(図示しない)が着脱可能に接続される予備のコネクタ15bとを有する。
【0014】
挿入部32は、先端側から基端側に向かって順に、先端構成部52と、湾曲部54と、第1可撓管56と、回転ユニット58と、第2可撓管60とを有する。先端構成部52、湾曲部54及び第1可撓管56の構造は公知の内視鏡の挿入部の構造を適宜に採用すれば良い。第2可撓管60の基端は、公知の内視鏡の構造と同様に、操作部38に固定されている。
【0015】
回転ユニット58は、一例として、筒状のベース72と、ベース72の外側に配設され内ギヤ74aを有する回転体74(被駆動部材)と、回転体74の外側に配設された支持部76aを介して回転体74の中心軸Lの軸周りに移動するとともに中心軸Lに平行な自転軸Pの軸周りに回転する複数の内ローラ(被駆動部材)76と、回転体74及び複数の内ローラ76の外側を覆う筒状の被膜78とを有する。ベース72は第1可撓管56の基端と第2可撓管60の先端との間に固定されている。被膜78の先端は第1可撓管56の基端に固定され、基端は第2可撓管60の先端に固定されている。
【0016】
ベース72には、駆動ギヤ82が配置される。第2可撓管60の内側には、基端側から先端側へドライブシャフト84が延設される。ドライブシャフト84の中心軸(回転軸)は、挿入部32の中心軸Lに対して略平行である。ドライブシャフト84の基端(一端)には、連動ギヤ86が固定されている。連動ギヤ86は、挿入部32の基端部、ここでは操作部38の内部において、駆動力伝達機構34の後述する駆動力伝達ギヤ列114の出力ギヤ124に噛み合わせられている。
【0017】
そして、装着具24は、筒状体92を有し、回転ユニット58の被膜78の外側に適宜の構造により着脱可能に装着される。なお、装着具24は、挿入部32の回転ユニット58の被膜78の外側に取り付けられた状態では、中心軸Lの軸周りに回転可能であるが、中心軸Lの軸方向に沿った移動は防止されている。筒状体92は、図示しないが、筒状体92の外周面から中心軸Lに対して径方向外方に突出する螺旋突起を有することが好適である。一例として、操作部38から挿入部32の先端側を見た状態で、挿入部32に対して装着具24の筒状体92を時計回り(第1方向)に回転させると、装着具24の外周面と、例えば大腸などの管腔の内周面との間の摩擦により、挿入部32の先端が大腸の管腔の奥側(肛門から離れる方向)に移動する。操作部38から挿入部32の先端側を見た状態で、挿入部32に対して装着具24の筒状体92を反時計回り(第2方向)に回転させると、装着具24の外周面と、例えば大腸などの管腔の内周面との間の摩擦により、大腸の管腔の手前側(肛門側)に移動する。なお、この挿入システム10は、管腔として例えば食道などにも用いることができる。
【0018】
図2Aに示すように、駆動力伝達機構34及び駆動源36は、挿入部32の基端部、ここでは操作部38に配置され、中心軸Lから離れる方向に突出したブラケット(収納ケース)42に支持されている。駆動源36は、モータ102と、モータ102の出力軸102aに固定された出力歯車104とを有する。モータ102は、出力歯車104の回転トルクを調整するため、図示しないギヤヘッドを有することが好適である。図示しないギヤヘッドは減速ギヤ列として形成されることが好適である。
【0019】
駆動力伝達機構34は、中継ギヤ112と、駆動力伝達ギヤ列114とを有する。中継ギヤ112は、駆動源36からの駆動力を駆動力伝達ギヤ列114に伝達する。駆動力伝達ギヤ列114は、減速ギヤ列として形成されることが好適である。
【0020】
中継ギヤ112は駆動源36の出力歯車104に噛み合わせられる。このため、駆動源36及び駆動力伝達機構34は、モータ102の出力軸102aの駆動力(回転トルク)を、出力歯車104、中継ギヤ112を介して駆動力伝達ギヤ列114に伝達する。そして、駆動力伝達ギヤ列114に伝達された駆動力が、連動ギヤ86、ドライブシャフト84及び駆動ギヤ82を介して内ギヤ74aを有する回転体74に伝達される。回転体74の回転により、内ローラ76が支持部76aにより自転しながら挿入部32の中心軸Lの軸周りに公転する。このため、被膜78の外側の装着具24の筒状体92が回転する。
【0021】
駆動力伝達ギヤ列114は、駆動源36からの駆動力が入力される入力ギヤ122と、ドライブシャフト84に駆動力を出力する出力ギヤ124とを有する。
図2A中には、駆動力伝達ギヤ列114は入力ギヤ122及び出力ギヤ124を有する例について示しているが、ギヤの数は2つに限ることはなく、更に多くても良いことはもちろんである。駆動力伝達ギヤ列114は、入力ギヤ122への入力から、出力ギヤ124からの出力に至る際に、適宜に減速する構成であることが好適である。
【0022】
図2Aに示すように、中継ギヤ112は駆動力伝達ギヤ列114の入力ギヤ122と共通の回転シャフト130を有する。
図3B及び
図3Cに示すように、回転シャフト130は、横断面が略楕円状など、円形以外の形状に形成されていることが好適である。
図3Aから
図3Cに示すように、中継ギヤ112は、その中心軸Cを含む位置に、回転シャフト130を空回りさせる大きさの貫通孔132を有する。すなわち、回転シャフト130は、中継ギヤ112の中心軸C上に配設される。中継ギヤ112は、中心軸Cを含む位置に凹部134を有する。凹部134は円形以外の形状に形成されている。凹部134は、駆動力伝達ギヤ列114に対向する位置とは反対側に形成されている。凹部134には、ハブ(アダプタ)142を係合可能である。より具体的には、凹部134には、ハブ(アダプタ)142を嵌合可能である。そして、ハブ142は回転シャフト130の外周面に沿う貫通孔144を有する。
【0023】
凹部134にハブ142が嵌合された状態でモータ102を駆動させると、出力歯車104、中継ギヤ112、ハブ142、回転シャフト130の順に回転力が伝達される。このため、中継ギヤ112は、凹部134にハブ142が嵌合された状態で、出力歯車104の回転駆動力を駆動力伝達ギヤ列114に伝達する。
【0024】
凹部134からハブ142が取り外された状態でモータ102を駆動させると、出力歯車104、中継ギヤ112の順に回転力が伝達される。このため、中継ギヤ112は、駆動源36の駆動力に応じて回転する。しかしながら、中継ギヤ112が回転しても、回転シャフト130はそのままの状態(回転しない状態)を維持する。このため、中継ギヤ112の凹部134からハブ142が取り外された状態で出力歯車104を回転させても回転シャフト130に対して中継ギヤ112が空回りし、回転シャフト130及び駆動力伝達ギヤ列114に回転駆動力が伝達されない。
【0025】
このため、後述する連結機構150は、駆動源(第1電源駆動源)36と駆動力伝達ギヤ列114との間を連動状態と非連動状態とに切替可能である。ハブ142は、中継ギヤ112に係合されると駆動源36と駆動力伝達ギヤ列114との間を連動状態にし、中継ギヤ112から取り外されると駆動源36と駆動力伝達ギヤ列114との間を非連動状態にする。
【0026】
なお、中継ギヤ112の凹部134には、雌ネジ136が形成されている。ハブ142には、中継ギヤ112の凹部134に嵌合された状態で中継ギヤ112の凹部134の雌ネジ136と同軸上に形成される雌ネジ146が形成されている。ハブ142は、中継ギヤ112に対して例えばイモネジ148等により固定される。
【0027】
なお、これら、中継ギヤ112、回転シャフト130及びハブ142は、駆動源36からの駆動力を駆動力伝達ギヤ列114に対して伝達することが可能な状態に連結することが可能であるとともに、駆動力伝達ギヤ列114に対して駆動源36の連結を解除することが可能な連結機構150を形成する。なお、連結機構150には、ハンドルユニット(手動駆動源)160の連結軸172、補助駆動源180の連結軸186が含まれる。
【0028】
ところで、モータ102は、故障等により、突如、動作しなくなることが有り得ると考えられる。すなわち、挿入部32に装着具24を装着した状態で挿入部32を体腔内に挿入した状態でモータ102が動作しなくなることがある。このような場合、本実施形態では、駆動源36とは別に、ハンドルユニット160(
図4Aから
図5参照)又は補助駆動源180(
図6Aから
図7参照)を使用可能である。
【0029】
図4Aには、駆動源36とは別に、駆動力伝達ギヤ列114に駆動力を出力可能なハンドルユニット160を示す。
図4Bには、ハンドルユニット160の連結軸172を
図4A中の矢印4Bの方向から見た図を示す。
図5には、ハンドルユニット160の連結軸172の嵌合孔172aを回転シャフト130に嵌合させた状態を示す。
【0030】
ハンドルユニット160は、挿入具22とともに用いられ、連結軸172から駆動力伝達ギヤ列114を通して回転体74及び内ローラ76に駆動力を伝達可能である。
【0031】
図4Aから
図5に示すように、ハンドルユニット160は、ハウジング162と、入力ハンドル164と、入力回転軸166と、第1傘歯車168と、第2傘歯車170と、ハウジング162に支持された連結軸(連結部)172とを有する。ハウジング162はブラケット42の所定の位置に、公知の適宜の構造により嵌合可能であることが好適である。
【0032】
入力ハンドル164及び連結軸172はそれぞれハウジング162に支持されている。第1傘歯車168は入力回転軸166の一端に一体化されている。入力ハンドル164は入力回転軸166の他端に連結されている。第2傘歯車170は連結軸172の一端に一体化されている。第1傘歯車168及び第2傘歯車170は噛み合わせられている。このため、手動操作により、入力ハンドル164を入力回転軸166の軸周りに回転させる駆動力を入力すると、第1傘歯車168から第2傘歯車170に駆動力が伝達されて連結軸172がその軸周りに回転する。
【0033】
第1傘歯車168の歯数が第2傘歯車170の歯数よりも少ない場合、第1傘歯車168の回転により第2傘歯車170、すなわち連結軸172を回転させる際に、入力回転軸166よりも減速させる。このとき、第1傘歯車168の回転トルクに比べて第2傘歯車170の回転トルクを増加させることができる。第1傘歯車168の歯数が第2傘歯車170の歯数よりも多い場合、第1傘歯車168の回転により第2傘歯車170、すなわち連結軸172を回転させる際に、入力回転軸166よりも増速させる。このとき、第1傘歯車168の回転トルクに比べて第2傘歯車170の回転トルクを減少させることができる。なお、第1傘歯車168の歯数及び第2傘歯車170の歯数は、ハンドル164の入力回転軸166を回転させる操作力の大きさを考慮して適宜に設定される。
【0034】
図4A及び
図4Bに示すように、連結軸172は嵌合孔172aを有する。嵌合孔172aは本実施形態では楕円状に形成され、回転シャフト130を嵌合可能である。このため、連結軸172は、駆動力伝達ギヤ列114に連結可能である。
【0035】
図2B及び
図2Cに示すように、ブラケット42には窓部44が形成されている。窓部44は、ハブ142を中継ギヤ112に対して着脱可能で、かつ、ハブ142を中継ギヤ112に対して取り外した状態で連結軸172の嵌合孔172aが回転シャフト130に嵌合可能とする位置に、形成されている。窓部44は、例えばスライド可能なシャッタ46により、
図2Bに示すように通常は閉じられている。挿入システム10のブラケット42にハンドルユニット160又は補助駆動源180が取り付けられる場合、シャッタ46が窓部44を覆った状態(
図2B参照)から解放された状態(
図2C参照)に切り替えられる。シャッタ46が破壊されることにより窓部44を通して中継ギヤ112及びハブ142が露出されても良い。
【0036】
ブラケット42にハンドルユニット160が取り付けられる場合、例えばハウジング162が窓部44の縁部に嵌合される。ブラケット42に補助駆動源180が取り付けられる場合、例えば後述するハウジング182が窓部44の縁部に嵌合される。
【0037】
なお、ブラケット42に窓部44が形成される代わりに、ブラケット42の一部が分離可能に形成されていることが好適である。ブラケット42の一部が分離可能に形成されている場合、分離されることにより、ハブ142及び中継ギヤ112が露出され、ハブ142を中継ギヤ112に対して取り外した状態で連結軸172の嵌合孔172aが回転シャフト130に嵌合可能に形成されている。その他、ブラケット42は、一部を破壊される状態に形成することにより、ハブ142を中継ギヤ112に対して着脱可能で、かつ、ハブ142を中継ギヤ112に対して取り外した状態で連結軸172の嵌合孔172aが回転シャフト130に嵌合可能とすることも好適である。
【0038】
図5に示すように、駆動力伝達ギヤ列114の回転シャフト130にハンドルユニット160の連結軸172の嵌合孔172aを嵌合させる場合、ハブ142及び中継ギヤ112にアクセス可能に露出させる。そして、イモネジ148を取り外して、ハブ142を中継ギヤ112及び回転シャフト130から取り外す。この状態で、駆動力伝達ギヤ列114の回転シャフト130にハンドルユニット160の連結軸172の嵌合孔172aを嵌合可能である。
【0039】
図示しないが、駆動力伝達ギヤ列114の回転シャフト130にハンドルユニット160の連結軸172の嵌合孔172aを嵌合させる際、ハンドルユニット160のハウジング162がブラケット42に嵌合されることが好適である。
【0040】
そして、ハンドルユニット160の入力ハンドル164を回転させると、連結軸172がその軸周りに回転し、回転シャフト130を回転させる。このとき、中継ギヤ112は回転シャフト130に対して空回りする(回転しない)ため、モータ102に起電力が発生することは防止されている。
【0041】
したがって、駆動力伝達機構34は、ハンドルユニット160の連結軸172の駆動力(回転トルク)を、駆動力伝達ギヤ列114に伝達する。そして、駆動力伝達ギヤ列114に伝達された駆動力が、連動ギヤ86、ドライブシャフト84及び駆動ギヤ82を介して内ギヤ74aを有する回転体74に伝達される。回転体74の回転により、内ローラ76が支持部76aにより自転しながら挿入部32の中心軸Lの軸周りに公転する。このため、被膜78の外側の装着具24の筒状体92を挿入部32の中心軸Lの軸周りに回転させる。このとき、挿入部32を基端側に軽く引っ張りながら挿入部32に対して装着具24の筒状体92を例えば反時計回り(第2方向)に回転させると、装着具24の外周面と、例えば管腔の内周面との間の摩擦により、挿入部32の先端が次第に手前側(基端側)に移動する。
【0042】
連結機構150において駆動源36と駆動力伝達ギヤ列114との間が非連動状態のときに、連結機構150には、駆動源36とは異なる駆動源としてハンドルユニット160を連結可能であり、ハンドルユニット160は、連結機構150に連結されることにより、駆動力伝達ギヤ列114との間が連動状態になる。このため、挿入システム10は、連結機構150において駆動源36と駆動力伝達ギヤ列114との間が非連動状態のときに、連結機構150に連結されることにより駆動力伝達ギヤ列114との間が連動状態になる、駆動源36とは異なる別の駆動源160を有する。
【0043】
したがって、本実施形態に係る挿入システム10によれば、体腔内に装着具24が装着された挿入部32を挿入している使用中に電動式のモータ102が適切に動作しなくなったとしても、ハンドルユニット160を用いることにより、装着具24が装着された挿入部32を体腔内などから容易に抜去することができる。この場合、モータ102が故障した場合であっても、コントローラ14の故障によりモータ102が適切に動作しなくなった場合であっても、ハンドルユニット160を用いることにより、装着具24が装着された挿入部32を体腔内などから容易に抜去することができる。
【0044】
図6Aには、駆動力伝達ギヤ列114に駆動力を出力可能な補助駆動源180を示す。
図6Bには、補助駆動源180の後述する連結軸186を
図6A中の矢印6Bの方向から見た図を示す。
図7には、補助駆動源180の連結軸186を回転シャフト130に嵌合させた状態を示す。
【0045】
補助駆動源180は、挿入具22とともに用いられ、連結軸186から駆動力伝達ギヤ列114を通して回転体74及び内ローラ76に駆動力を伝達可能である。
【0046】
図6Aから
図7に示すように、補助駆動源180は、ハウジング182と、電動モータ184と、連結軸(連結部)186とを有する。連結軸186は楕円状の嵌合孔186aを有する。ハウジング182はブラケット42の所定の位置に、公知の適宜の構造により嵌合可能であることが好適である。モータ184はケーブル188に固定されたコネクタ188aを介してコントローラ14の予備のコネクタ15bに接続可能である。なお、補助駆動源180は、必ずしもコントローラ14に接続される必要はなく、ハウジング182にバッテリが配設されていても良いことはもちろんである。この場合、モータ184の出力軸184aの回転方向は、図示しないスイッチにより切り替え可能である。
【0047】
なお、モータ184は、連結軸186の回転トルクを調整するため、図示しないギヤヘッドを有することが好適である。
【0048】
図7に示すように、駆動力伝達ギヤ列114の回転シャフト130にハンドルユニット160の連結軸172の嵌合孔172aを嵌合させる場合、上述したのと同様に、ハブ142を中継ギヤ112及び回転シャフト130から取り外す。この状態で、駆動力伝達ギヤ列114の回転シャフト130に補助駆動源180の連結軸186の嵌合孔186aを嵌合可能である。このため、連結軸186は、駆動力伝達ギヤ列114に連結可能である。
【0049】
図示しないが、駆動力伝達ギヤ列114の回転シャフト130に補助駆動源180の連結軸186の嵌合孔186aを嵌合させる際、補助駆動源180のハウジング182がブラケット42に嵌合されることが好適である。
【0050】
そして、補助駆動源180のモータ184に電力を供給して、出力軸184aを回転させると、連結軸186がその軸周りに回転し、回転シャフト130を回転させる。このとき、中継ギヤ112は連結軸186の回転に対して空回りする(回転しない)ため、モータ102に起電力が発生することは防止されている。
【0051】
したがって、駆動力伝達機構34は、連結軸186の駆動力(回転トルク)により、被膜78の外側の装着具24の筒状体92を挿入部32の中心軸Lの軸周りに回転させる。このとき、挿入部32に対して装着具24の筒状体92を例えば反時計回り(第2方向)に回転させると、装着具24の外周面と、例えば管腔の内周面との間の摩擦により、挿入部32の先端が次第に手前側に移動する。このとき、上述したハンドルユニット160のように手動でハンドル164を動かす必要がない。
【0052】
連結機構150において駆動源36と駆動力伝達ギヤ列114との間が非連動状態のときに、連結機構150には、駆動源36とは異なる駆動源として補助駆動源180を連結可能であり、補助駆動源180は、連結機構150に連結されることにより、駆動力伝達ギヤ列114との間が連動状態になる。このため、挿入システム10は、連結機構150において駆動源36と駆動力伝達ギヤ列114との間が非連動状態のときに、連結機構150に連結されることにより駆動力伝達ギヤ列114との間が連動状態になる、駆動源36とは異なる別の駆動源180を有する。
【0053】
したがって、本実施形態に係る挿入システム10によれば、体腔内に装着具24が装着された挿入部32を挿入している使用中に電動式のモータ102が適切に動作しなくなったとしても、補助駆動源180を用いることにより、装着具24が装着された挿入部32を体腔内などから容易に抜去することができる。特に、モータ102が故障した場合、補助駆動源180を用いることにより、装着具24が装着された挿入部32を体腔内などから容易に抜去することができる。
【0054】
なお、コントローラ14の故障によりモータ102が適切に動作しなくなった場合は、補助駆動源180のうち、ハウジング182に図示しないバッテリが配設されたタイプのものを使用することができる。このため、補助駆動源180を用いることにより、装着具24が装着された挿入部32を体腔内などから容易に抜去することができる。
【0055】
以上説明したように、この実施形態に係る挿入システム10によれば、以下のことが言える。
【0056】
例えばモータ102が適切に動作しなくなった場合、
図1に示す装着具24の筒状体92を回転させることは容易ではない。この実施形態では、中継ギヤ112にハブ142を装着することで、駆動源36から駆動力伝達機構34に駆動力を伝達し、中継ギヤ112からハブ142を取り外すことで駆動源36から駆動力伝達機構34への駆動力の伝達を遮断しながら、別の手動のハンドルユニット(駆動源)160又は電動の補助駆動源180を用いて、駆動力伝達機構34に駆動力を伝達することができる。このため、仮に駆動源36のモータ102が故障した場合であっても、回転シャフト130を回転させて、装着具24の筒状体92を回転させることができる。このため、体腔内などに装着具24の筒状体92が存在する場合であっても、挿入具22の挿入部32の先端を体腔内などの管路から抜去することができる。また、モータ102ではなく、コントローラ14が故障する場合もあり得る。この場合であっても、手動のハンドルユニット160を用いることで、挿入部32及び装着具24の筒状体92を一緒に中心軸Lの軸周りに回転させながら体腔内などから抜去するよりも、容易に、挿入具22の挿入部32の先端を体腔内などの管路内から抜去することができる。したがって、この実施形態に係る挿入システム10によれば、挿入部32と装着具24とを一緒に引っ張りながら回転させるという手間をかけることなく、装着具24を挿入部32の中心軸Lの軸周りに適宜に回転させることによって、挿入部32を体腔内などの管路内から抜去することができる。
【0057】
次に、第2実施形態について
図8から
図11を用いて説明する。この実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0058】
図8及び
図9に示すように、この実施形態に係る挿入システム10は、挿入機器12と、コントローラ14とを有する。この挿入システム10は、更に、ハンドルユニット160(
図4A、
図9及び
図11参照)及び/又は駆動源(電動駆動源)280(
図8から
図10参照)を有する。駆動源280は、1つであっても良く、複数であっても良い。
【0059】
この実施形態では、駆動源(第1電動駆動源)280をブラケット42に着脱可能である。この実施形態では、第1実施形態で説明した中継ギヤ112(
図2A参照)は配設されていない。ここでは、駆動力伝達ギヤ列114の例えば楕円状の断面を有する回転シャフト130に対して電動の駆動源280及び手動の駆動源としてのハンドルユニット160が選択的に取り付けられる。通常、ブラケット42には電動の駆動源280が連結される。電動の駆動源280が故障した場合、故障した駆動源280がブラケット42から取り外されて、予備の新たな電動の駆動源280がブラケット42に取り付けられて使用される。電動の駆動源280が故障した場合、又は、コントローラ14が故障した場合などにハンドルユニット160の連結軸172が回転シャフト130に取り付けられて使用される。第1実施形態で説明したように、コントローラ14が故障した場合、バッテリから電力を確保するタイプの駆動源を用いることも好適である。
【0060】
なお、ブラケット42には、コントローラ14のコネクタ15aに接続されるケーブル192の端子192aが固定されている。この端子192aには、駆動源280の後述するコネクタ292aが接続可能である。
【0061】
図8から
図10に示すように、駆動源280は、ハウジング282と、出力軸284aを有する電動モータ284と、出力歯車286と、連動歯車288と、連結軸(連結部)290とを有する。なお、これら、回転シャフト130及び連結軸(連結部)290は、駆動源280のモータ284からの駆動力を駆動力伝達ギヤ列114に対して伝達することが可能な状態に連結することが可能であるとともに、駆動力伝達ギヤ列114に対して駆動源280の連結を解除することが可能な連結機構250を形成する。連結機構250は、ハンドルユニット160を、ハンドルユニット160から駆動力伝達ギヤ列114に駆動力を伝達する状態に連結機構250に連結可能であるとともに、ハンドルユニット160を連結機構250から取り外し可能である。連結機構250は、駆動源280を、駆動源280から駆動力伝達ギヤ列114に駆動力を伝達する状態に連結機構250に連結可能であるとともに、駆動源280を連結機構250から取り外し可能である。
【0062】
ハウジング282はブラケット42の所定の位置に、公知の適宜の構造により嵌合可能であることが好適である。モータ284、出力歯車286、連動歯車288及び連結軸290はそれぞれハウジング282に支持されている。連結軸290は嵌合孔290aを有する。嵌合孔290aは本実施形態では楕円状に形成され、回転シャフト130を嵌合可能である。
【0063】
モータ284には、ケーブル292を介してコネクタ292aが配設されている。コネクタ292aはブラケット42に固定された端子192aに接続可能である。このため、モータ284は、コントローラ14からの電力により、駆動される。
【0064】
本実施形態では、ブラケット42には窓(図示せず)が形成されている。窓は、回転シャフト130を露出させている。このため、連結軸290の嵌合孔290aは、回転シャフト130に嵌合可能である。
【0065】
図10に示すように、駆動力伝達ギヤ列114の回転シャフト130に駆動源280の連結軸290の嵌合孔290aを嵌合させる。図示しないが、駆動力伝達ギヤ列114の回転シャフト130に駆動源280の連結軸290の嵌合孔290aを嵌合させる際、駆動源280のハウジング282がブラケット42に嵌合されることが好適である。
【0066】
そして、駆動源280のモータ284の出力軸284aを回転させると、出力歯車286及び連動歯車288を介して連結軸290がその軸周りに回転し、回転シャフト130を回転させる。
【0067】
したがって、駆動力伝達機構34は、連結軸290の駆動力(回転トルク)を、駆動力伝達ギヤ列114に伝達する。そして、駆動力伝達ギヤ列114に伝達された駆動力が、連動ギヤ86、ドライブシャフト84及び駆動ギヤ82を介して内ギヤ74aを有する回転体74に伝達される。回転体74の回転により、内ローラ76が支持部により自転しながら挿入部32の中心軸Lの軸周りに公転する。このため、被膜78の外側の装着具24の筒状体92を挿入部32の中心軸Lの軸周りに回転させる。
【0068】
一例として、操作部38から挿入部32の先端側を見た状態で、挿入部32に対して装着具24の筒状体92を時計回り(第1方向)に回転させると、装着具24の外周面と、例えば大腸などの管腔の内周面との間の摩擦により、挿入部32の先端が大腸の管腔の奥側(肛門から離れる方向)に移動する。操作部38から挿入部32の先端側を見た状態で、挿入部32に対して装着具24の筒状体92を反時計回り(第2方向)に回転させると、装着具24の外周面と、例えば大腸などの管腔の内周面との間の摩擦により、大腸の管腔の手前側(肛門側)に移動する。このように、挿入システム10によれば、駆動源280の駆動力により、管路に対する挿入部32の先端の挿入及び抜去を補助することができる。
【0069】
本実施形態に係る挿入システム10では、体腔内に装着具24が装着された挿入部32を挿入している使用中に電動式のモータ102が適切に動作しなくなった場合、駆動源280を新たな駆動源280に交換するか、駆動源280をハンドルユニット160に交換する。
【0070】
駆動源(第1電動駆動源)280を新たな駆動源(第2電動駆動源)280に交換する場合、駆動源280のハウジング282をブラケット42に対して取り外すとともに、回転シャフト130に対して連結軸290の嵌合孔290aの嵌合を解除する。そして、上述したのと同様に、新たな駆動源280のハウジング282をブラケット42に対して取り付けるとともに、回転シャフト130に対して連結軸290の嵌合孔290aを嵌合させる。このため、モータ284が故障し、コントローラ14が正常に作動している場合、挿入機器12を用いた処置等をそのまま続けることができる。
【0071】
駆動源280をハンドルユニット160に交換する場合、駆動源280のハウジング282をブラケット42に対して取り外すとともに、回転シャフト130に対して連結軸290の嵌合孔290aの嵌合を解除する。そして、ハンドルユニット160のハウジング162をブラケット42に対して取り付けるとともに、回転シャフト130に対してハンドルユニット160の連結軸172の嵌合孔172aを嵌合させる。
【0072】
なお、これら、回転シャフト130及び連結軸(連結部)172は、ハンドルユニット(駆動源)160の手動ハンドル164からの駆動力を駆動力伝達ギヤ列114に対して伝達することが可能な状態に連結することが可能であるとともに、駆動力伝達ギヤ列114に対してハンドルユニット(駆動源)160の連結を解除することが可能な連結機構250を形成する。
【0073】
そして、ハンドルユニット160の入力ハンドル164を回転させると、連結軸172がその軸周りに回転し、回転シャフト130を回転させる。したがって、駆動力伝達機構34は、連結軸172の駆動力(回転トルク)を、駆動力伝達ギヤ列114に伝達する。このとき、挿入部32に対して装着具24の筒状体92を例えば反時計回り(第2方向)に回転させると、装着具24の外周面と、例えば管腔の内周面との間の摩擦により、挿入部32の先端が次第に手前側に移動する。
【0074】
したがって、本実施形態に係る挿入システム10によれば、体腔内に装着具24が装着された挿入部32を挿入している使用中に電動式のモータ284が適切に動作しなくなったとしても、ハンドルユニット160を用いることにより、装着具24が装着された挿入部32を体腔内などから容易に抜去することができる。この場合、モータ284が故障した場合であっても、コントローラ14の故障によりモータ284が適切に動作しなくなった場合であっても、ハンドルユニット160を用いることにより、装着具24が装着された挿入部32を体腔内などから容易に抜去することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る挿入システム10によれば、体腔内に装着具24が装着された挿入部32を挿入している使用中に電動式のモータ284が適切に動作しなくなったとしても、動作しなくなった駆動源280に代えて新たな駆動源280を用いることにより、装着具24が装着された挿入部32を体腔内などから容易に抜去することができる。特に、モータ284が故障した場合、別の新たな駆動源280を用いることにより、挿入システム10を用いた処置をそのまま続けることができる。
【0076】
なお、コントローラ14の故障によりモータ284が適切に動作しなくなった場合は、新たな駆動源280のうち、ハウジング282に図示しないバッテリが配設されたタイプのものを使用することができる。このため、駆動源280を用いることにより、装着具24が装着された挿入部32を体腔内などから容易に抜去することができる。
【0077】
これまで、幾つかの実施形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。