(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動回路は、前記定電流電源回路を有するセンサ駆動電流供給回路と、予熱電流供給回路と、当該センサ駆動電流供給回路および当該予熱電流供給回路のいずれか一方をガス検知器に接続する、ガス検知器の各々に対応する複数のスイッチ手段とを具えており、
前記管理装置は、前記予熱電流供給回路に、センサ駆動電流の大きさとの関係において設定された大きさの定電圧を入力することを特徴とする請求項3に記載のガス検出システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、フロンガスの検出にあっては、半導体式ガスセンサが広く利用されている。半導体式ガスセンサは、その検知原理上、ガス測定に際してセンサ素子を特定の温度に保つことが必要されている。従って、特許文献1のようなガス漏洩を常時監視するシステムにおいては、すべてのガス検知器におけるガスセンサに対して規定の大きさの電流供給が必要となり、また、ガス検知器の各々に対応した複数の電源回路が必要となるため、消費電力が増大する、という問題がある。
【0007】
また、
図3を参照して説明すると、半導体式ガスセンサ11は、通常、半導体物質よりなる感応部12を負荷抵抗52を介して基準電源51に直列に接続し、検知対象ガスの濃度により変化する感応部12の抵抗(電気抵抗)を負荷抵抗52の端子電圧として検出するように回路構成されて使用される。
しかしながら、上記のようなガス漏洩監視システムにおいては、ガス検知器と管理装置とが、例えば数百メートルオーダのケーブルにより接続される場合があり、また、ケーブルの長さが不定であるため、ケーブルの線路抵抗に起因した誤差が測定結果に含まれてしまう、という問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、ガス検知器と管理装置とがケーブルにより接続されて構築されるガス検出システムにおいて、検知対象ガスの濃度を、ケーブルの線路抵抗による影響を受けることなく、高い信頼性をもって検出することのできるガス検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のガス検出システムは、検知対象ガスの接触によって抵抗値が変化する
感応部および当該感応部を加熱するヒーターにより構成されたセンサ素子を有する
半導体式ガスセンサを具えた
互いに異なる測定ポイントに設置された複数のガス検知器
を1つのグループとするガス検知器群と、当該
複数のガス検知器
の各々と離れた位置に設置されて当該
複数のガス検知器
の各々とケーブルにより接続された管理装置とにより構成された
、冷凍空調機器からの冷媒ガスの漏れを監視するガス検出システムにおいて、
前記管理装置は、
前記ガス検知器群に属する各ガス検知器に共有の駆動回路と、前記センサ素子の抵抗値に基づいて検知対象ガスの濃度を算出するガス濃度算出手段とを具えており、
ガス検知器の各々を作動モードと休止モードとを繰り返すよう間欠的に駆動し、かつ、ガス検知器を順次に連続して作動モードとする動作シーケンスを実行する機能を有し、
前記駆動回路は、前記センサ素子に定電流を供給する定電流電源回路と、前記センサ素子に供給される電流を検出する電流検出回路と、当該センサ素子に印加される電圧を検出する電圧検出回路とを具えており、
前記ガス濃度算出手段は、前記電流検出回路により検出される電流値と、前記電圧検出回路により検出される電圧値とに基づいて、前記ケーブルの線路抵抗値を算出し、センサ出力として取得される前記ケーブルの線路抵抗値を含んだ検出抵抗値より当該線路抵抗値の影響分、並びに、前記ガスセンサに定電流を供給することにより生ずるオフセット電圧による影響分を排除することにより、センサ素子自体の抵抗値を取得する機能を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のガス検出システムにおいては、
前記管理装置は、基準電源が負荷抵抗を介して前記半導体式ガスセンサにおける感応部に直列に接続されて構成された、当該負荷抵抗の端子電圧を検出することによりセンサ出力としての検出抵抗値を取得するセンサ信号処理回路を具えており、
前記ガス濃度算出手段は、前記負荷抵抗の抵抗値をR
L 〔Ω〕、前記基準電源の電源電圧をV
O 〔mV〕、前記負荷抵抗の端子電圧をV
L 〔mV〕、前記半導体式ガスセンサに定電流を供給することにより生ずるオフセット電圧をVoff〔mV〕、前記ケーブルの線路抵抗値をR〔Ω〕としたとき、前記半導体式ガスセンサにおける感応部の抵抗値Rs〔Ω〕を、下記式(1)により、算出する構成のものとすることができる。
【0011】
【数1】
【0012】
さらにまた、本発明のガス検出システムにおいては
、前記管理装置は
、作動モードにある一のガス検知器に、一定の大きさに制御されたセンサ駆動電流を供給しながら、休止モードにある他のガス検知器に、当該センサ駆動電流より小さい予熱電流を供給する構成とされていることが好ましい。
このような構成のものにおいては、前記駆動回路は、前記定電流電源回路を有するセンサ駆動電流供給回路と、予熱電流供給回路と、当該センサ駆動電流供給回路および当該予熱電流供給回路のいずれか一方をガス検知器に接続する、ガス検知器の各々に対応する複数のスイッチ手段とを具えており、
前記管理装置は、前記予熱電流供給回路に、センサ駆動電流の大きさとの関係において設定された大きさの定電圧を入力する構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のガス検出システムによれば、センサ出力として得られる検出抵抗値よりケーブルの線路抵抗による影響分を排除したセンサ素子自体の抵抗値を得ることができ、検知対象ガスの濃度が当該センサ素子自体の抵抗値に基づいて算出されるので、得られる測定結果は、高い信頼性を有するものとなる。
また、演算によりガス濃度を算出することができるので、例えばガス検知器の校正処理を行う場合には、ガス検知器に対して校正用ガスを供給する必要がなく、また、必ずしも、ガス検知器が設置された場所での作業自体を行う必要もないため、高い作業効率が得られる。従って、複数のガス検知器により構築されたシステムにおいて極めて有用である。
【0014】
また、複数のガス検知器によるガス検出システムにおいては、複数のガス検知器を1つのグループとしてグループ化されたガス検知器群毎に、ガス検知器におけるガスセンサの動作状態が制御されるので、規定の大きさのセンサ駆動電流を供給するための電源回路は、一のガス検知器群につき一のガス検知器に対するもののみでよく、従って、システム全体における電源回路の数を低減することができて、消費電力の低減を図ることができる。
しかも、作動モードとされる一のガス検知器におけるガスセンサにセンサ駆動電流が供給されながら、当該ガス検知器と同一のガス検知器群に属する他のガス検知器におけるガスセンサの各々に予熱電流が供給されるので、休止モードから作動モードに移行されたときに、ガスセンサの出力を安定させるために必要とされる暖機処理時間を大幅に短縮することができ、しかも、休止モード時に供給される予熱電流はセンサ駆動電流以下の大きさであるため、休止モード時にガスセンサに対する給電が停止されるよう間欠制御される構成のものに比して、システム全体として消費電力の低減を図ることができる。
【0015】
さらにまた、管理装置が、ガスセンサの休止モード時において、予熱電流供給回路に一定の大きさの電圧を入力する構成とされていることにより、ガスセンサに供給される予熱電流の大きさは、管理装置とガス検知器との設置位置との距離に応じた線路抵抗による電圧降下に依存することとなり、別個の電源回路を設けることなく、所期の大きさの予熱電流をガス検知器に供給することができ、消費電力が増大することを回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、例えば大型スーパーストアの冷蔵ショーケースなどの冷凍空調機器からの冷媒ガスの漏れを監視する場合を例に挙げて、詳細に説明する。
図1は、本発明のガス検出システムに係るガス漏洩監視システムの一例における構成の概略を示すブロック図である。このガス漏洩監視システムは、例えば、互いに異なる測定ポイントに配置された複数のガス検知器10(a
1〜a
4,b
1〜b
4,c
1〜c
4,d
1〜d
4,e
1〜e
4)(以下、特定のものについて言及する場合を除いて、一部を省略して単に符号「10」を用いる。)と、これらのガス検知器10の各々が適宜の給電用/信号伝送用ケーブル18により接続された管理装置20とにより構成されている。
そして、このガス漏洩監視システムにおいては、各々複数のガス検知器10を一のグループとする複数のガス検知器群15a〜15eが設定されている。この例においては、一のガス検知器群に属するガス検知器10の数が4台、ガス検知器群の数が5つに設定されており、同一のガス検知器群に属するガス検知器10については、例えば同一の長さの給電用/信号伝送用ケーブル18が用いられている。ここに、給電用/信号伝送用ケーブル18の長さは、特に制限されるものではないが、通常、例えば2000m以下のものが用いられる。
【0018】
ガス検知器10としては、検知対象ガスの接触によって抵抗値が変化するセンサ素子を有するガスセンサ、例えば半導体式ガスセンサを具えたものが用いられており、例えば冷凍サイクルにおける高温高圧ガス冷媒や高圧液冷媒が流れる配管及び機器の継手部分の近傍位置などに配置される。
【0019】
半導体式ガスセンサにおけるセンサ素子は、
図2に示すように、通電により発熱する抵抗体の周囲に、金属酸化物半導体よりなる感応部12が形成されて、構成されている。
感応部12を構成する金属酸化物半導体としては、例えば、酸化スズ(SnO
2)などの酸化触媒がアルミナ(Al
2O
3)担体と共に焼結されてなるものを用いることができる。
抵抗体は、例えば白金またはその合金よりなる金属素線がコイル状に巻回されてなるコイル部13aおよびこのコイル部13aの両端に連続する直線状のリード部13bを有するヒーター13よりなる。
【0020】
管理装置20は、半導体式ガスセンサにおける感応部12の抵抗値に基づいて検知対象ガスの濃度を算出する機能を有するマイコン21と、複数のガス検知器群15a〜15eの各々に対応する複数のセンサ駆動回路30a〜30eとを具えている。
【0021】
センサ駆動回路30aは、ガス検知器群15aに属するガス検知器10(a
1〜a
4)の各々を、それぞれ、半導体式ガスセンサの暖機処理および当該暖機処理に連続してガス測定が行われる作動モードと休止モードとが繰り返して行われるよう、間欠的に駆動する機能を有する。センサ駆動回路30aは、作動モード時には、所定の大きさの定電流であるセンサ駆動電流を半導体式ガスセンサにおけるヒーター13に供給すると共に、休止モード時には、センサ駆動電流より小さい電流である予熱電流を半導体式ガスセンサにおけるヒーター13に供給する。
【0022】
センサ駆動回路30aは、
図3に示すように、ガス検知器10(a
1〜a
4)における半導体式ガスセンサ11のヒーター13にセンサ駆動電流を供給する定電流電源回路31を有するセンサ駆動電流供給回路35と、休止モードにあるガス検知器における半導体式ガスセンサ11のヒーター13に予熱電流を供給する予熱電流供給回路38と、センサ駆動電流供給回路35および予熱電流供給回路38のいずれか一方を選択的にガス検知器10a
1〜10a
4に接続する動作モード切り替えスイッチ401〜404とを具えている。
【0023】
センサ駆動電流供給回路35には、半導体式ガスセンサ11に供給すべきセンサ駆動電流の大きさを監視するヒーター電流検出回路32が設けられている。ヒーター電流検出回路32は、定電流電源回路31と動作モード切り替えスイッチ401〜404との間に介挿された、半導体式ガスセンサ11のヒーター13に供給される電流(ヒーター電流)を検出するヒーター電流検出抵抗32aを有する。
ヒーター電流検出回路32の出力端子はマイコン21に接続されており、ヒーター電流検出回路32よりの電流検知信号がマイコン21における電流検知信号入力端子21aに入力される。そして、電流検知信号に基づいて設定された電流調整信号がマイコン21より定電流電源回路31に入力されて供給電流の調整がなされる。31aは、定電流電源回路31における電源入力端子であって、所定の大きさの定電圧が図示しない電源より入力される。また、21bは、マイコン21における電流調整信号出力端子である。
【0024】
また、センサ駆動電流供給回路35には、ガス検知器10(a
1〜a
4)における半導体式ガスセンサ11のヒーター13に印加される電圧を監視するヒーター電圧検出回路33が設けられている。ヒーター電圧検出回路33における出力端子はマイコン21に接続されており、ヒーター電圧検出回路33よりの電圧検知信号がマイコン21における電圧検知信号入力端子21gに入力される。
図3における33aは、ヒーター電圧検出回路33の電源入力端子である。
【0025】
予熱電流供給回路38における電源入力端子39には、ガス検知器10(a
1〜a
4)における半導体式ガスセンサ11に供給される予熱電流が、管理装置20とガス検知器10(a
1〜a
4)との間の線間抵抗による電圧降下によって、センサ駆動電流以下の大きさとなるよう設定された所定の大きさの定電圧が入力される。
【0026】
動作モード切り替えスイッチ401〜404は、ガス検知器群15aに属する複数のガス検知器10a
1〜10a
4の各々に対応して設けられている。各動作モード切り替えスイッチ401〜404は、a接点(常時開成)41およびb接点(常時閉成)42を具備しており、ガス検知器10(a
1〜a
4)は、a接点41を介してセンサ駆動電流供給回路35に接続されていると共にb接点42を介して予熱電流供給回路38に接続されている。そして、各ガス検知器10a
1〜10a
4は、対応する動作モード切り替えスイッチ401〜404を介して、センサ駆動電流供給回路35および予熱電流供給回路38に対して並列に接続されている。
各動作モード切り替えスイッチ401〜404におけるa接点41およびb接点42は、マイコン21より入力される動作モード切り替え信号によって、いずれか一方が閉成されるよう互いに連動して制御される。21c〜21fは、マイコン21における動作モード切り替え信号出力端子である。
【0027】
各ガス検知器10a
1〜10a
4におけるセンサ信号出力端子141〜144は、それぞれ、スイッチ手段45を介して信号処理回路50に接続されている。信号処理回路50は、負荷抵抗52を介して半導体式ガスセンサ11における感応部12に直列に接続された基準電源51を具えており、半導体式ガスセンサ11における感応部12の抵抗値および給電用/信号伝送用ケーブル18の線路抵抗値を含む検出抵抗値を、負荷抵抗52の端子電圧(センサ出力)として検出する。
各スイッチ手段45は、対応するガス検知器に係る動作モード切り替えスイッチのa接点41と連動して動作され、当該a接点41が閉成されることに伴って、スイッチ手段45が閉成される。そして、信号処理回路50よりの作動モードにあるガス検知器に係るセンサ出力(電圧信号)がマイコン21におけるガス検知信号入力端子21hに入力される。
【0028】
以上において、ガス検知器群15b〜ガス検知器群15eに係るセンサ駆動回路30b〜30eは、センサ駆動回路30aと同一の構成とされており、説明は省略する。
【0029】
而して、上記のガス漏洩監視システムにおいては、管理装置20におけるマイコン21は、ヒーター電流検出回路32により検出されるヒーター電流値と、ヒーター電圧検出回路33により検出されるヒーター電圧値とに基づいて、給電用/信号伝送用ケーブル18の線路抵抗値Rを算出し、センサ出力として取得される検出抵抗値(Rs+2R)より当該線路抵抗値の影響分(2R)を排除することにより、半導体式ガスセンサ11における感応部12自体の抵抗値(Rs)を取得する機能を有する。
【0030】
すなわち、マイコン21は、先ず、ヒーター電流検出回路32によって検出されるヒーター電流値をAh〔mA〕、ヒーター電圧検出回路33によって検出されるヒーター電圧値をVh〔mV〕としたとき、下記式(2)より、給電用/信号伝送用ケーブル18の線路抵抗値Rを算出する。
【0032】
上記式(2)において、「n」は、半導体ガスセンサ11の信号電圧(センサ信号)を検出する回路構成に基づいて設定される1以上の整数であり、Vcは、半導体式ガスセンサ11に固有の規定のヒーター電圧値〔mV〕である。なお、この例のセンサ駆動回路30aは、半導体ガスセンサ11の信号電圧(センサ信号)を例えば分圧により検出する構成とされており、検出されるヒーター電圧値Vhは、例えば定電流電源回路31よりの出力電圧を例えば1/4に分圧したものとなる。従って、上記式(2)において、n=4に設定される。
【0033】
また、半導体式ガスセンサ11に定電流(センサ駆動電流)を供給することにより生ずるオフセット電圧値V
off〔mV〕を、下記式(3)により、算出する。
【0035】
次いで、半導体式ガスセンサ11における感応部12のセンサ抵抗値Rs〔Ω〕を、上記式(2)により算出された線路抵抗値R〔Ω〕および上記式(3)により算出されたオフセット電圧値V
off〔mV〕を用い、下記式(1)により、算出する。
【0037】
上記式(1)において、R
Lは負荷抵抗52の抵抗値〔Ω〕、V
0は基準電源51の電源電圧〔mV〕、V
Lは負荷抵抗52の端子電圧(センサ出力)〔mV〕である。
【0038】
そして、マイコン21は、以上のようにして算出された感応部12のセンサ抵抗値Rsに基づいて検知対象ガスの濃度を算出する。
【0039】
以下、上記のガス漏洩監視システムにおけるガス漏洩監視動作について説明する。
図4は、
図1に示すガス漏洩監視システムにおける各ガス検知器の動作シーケンスを示すタイミングチャートである。
この例の動作シーケンスにおいては、例えば、すべてのガス検知器10の動作条件が同一であって、同一のガス検知器群に属するガス検知器が順次に連続して作動モードとされると共に、各ガス検知器群における一のガス検知器が同時に作動モードとされる。
【0040】
動作シーケンスについて、一のガス検知器群15aに着目して具体的に説明すると、マイコン21より動作モード切り替え信号が各動作モード切り替えスイッチ401〜404に入力される。例えば、作動モードとされるべき一のガス検知器10a
1に係る動作モード切り替えスイッチ401においては、a接点41が閉成されると共にb接点42が開成され、また、他のガス検知器10a
2〜10a
4に係る動作モード切り替えスイッチ402〜404においては、a接点41が開成され、b接点42が閉成される。
これにより、センサ駆動電流供給回路35における定電流電源回路31よりガス検知器10a
1に対してのみセンサ駆動電流が供給されて当該ガス検知器10a
1が作動モードされると共に、予熱電流供給回路38における電源入力端子39より定電圧が入力されることにより、同一のガス検知器群15aに属する他のガス検知器10(a
2〜a
4)の各々に対して予熱電流が供給されて当該ガス検知器10(a
2〜a
4)が休止モードとされる。
【0041】
そして、作動モードにあるガス検知器10a
1にあっては、先ず、半導体式ガスセンサ11の暖機処理が所定時間t1の間行われる。その後、半導体式ガスセンサ11の暖機処理に連続してガス測定が所定時間t2の間行われる。一方、休止モードにあるガス検知器10(a
2〜a
4)にあっては、半導体式ガスセンサ11の予熱処理が行われる。
【0042】
次いで、所定時間T
0が経過した後、マイコン21より動作モード切り替え信号が各動作モード切り替えスイッチ401〜404に入力されて、作動モードにあるガス検知器10a
1が休止モードに移行されるのと同時に、休止モードにある他のガス検知器の一が作動モードに移行される。すなわち、作動モードにあるガス検知器10a
1に係る動作モード切り替えスイッチ401においては、a接点41が開成されると共にb接点42が閉成され、また、休止モードにあるガス検知器10a
2に係る動作モード切り替えスイッチ402においては、a接点41が閉成され、b接点42が開成される。他のガス検知器10a
3,10a
4に係る動作モード切り替えスイッチ403,404においては、a接点41が開成されると共にb接点42が閉成された状態が維持される。
これにより、センサ駆動電流供給回路35における定電流電源回路31よりガス検知器10a
2に対してのみセンサ駆動電流が供給されて当該ガス検知器10a
2が作動モードされると共に、予熱電流供給回路38における電源入力端子39より定電圧が入力されることにより、同一のガス検知器群15aに属する他のガス検知器10(a
1,a
3,a
4)に対して予熱電流が供給されて当該ガス検知器10(a
1,a
3,a
4)が休止モードとされる。
【0043】
以上のような制御が繰り返して行われ、ガス検知器群15aに属するガス検知器10(a
1〜a
4)の各々が順次に連続して作動モードとされるよう間欠的に駆動される。
【0044】
また、他のガス検知器群15b〜15eについても、同一の動作シーケンスで各ガス検知器10が動作される。
そして、この例においては、各ガス検知器群15a〜15eにおける一のガス検知器が同時に作動モード、より具体的にはガス測定状態とされるよう、同期がとられた状態(動作モードの切り替えタイミングが同一となる状態)で、各ガス検知器10の動作状態が制御される。
このように、このガス漏洩監視システムにおいては、ガス検知器群の各々において、一のガス検知器によるガス測定が行われながら、他のガス検知器に対する予熱処理が行われる。従って、ガス検知器10が休止モードから作動モードに移行されたときに、半導体式ガスセンサ11の検知原理上必要とされる半導体式ガスセンサ11の暖機処理に要する時間を短縮することができる。
【0045】
作動モードにあるガス検知器よりのセンサ信号は、信号処理回路50に入力されて負荷抵抗52の端子電圧が検出され、センサ出力(電圧信号)としてマイコン21に入力される。そして、マイコン21によって、上述した方法によって、検知対象ガスの濃度が算出され、検知対象ガスが漏洩していることが検出された場合には、例えば、適宜の警報報知手段(図示せず)による警報動作が行われる。
【0046】
以上において、ガス検知器10の動作条件を示すと、作動モード時に供給されるセンサ駆動電流は、例えば130〜280mAの範囲内の大きさ、例えば167mAであり、暖機処理の時間t1は、例えば2〜10分間、例えば3分間であり、ガス測定の時間t2は、例えば1〜5分間、例えば2分間、作動モードの時間T0が3〜15分間、例えば5分間である。また、休止モード時に供給される予熱電流は、例えばセンサ駆動電流の60〜100%の範囲内の大きさである。一のガス検知器10についての間欠動作の周期Tは、例えば10〜60分間、例えば20分間である。
【0047】
而して、上記構成のガス漏洩監視システムによれば、マイコン21によって、ガス検知器10と管理装置20とを接続する給電用/信号伝送用ケーブル18の線路抵抗値Rが算出される。そして、センサ出力として取得される検出抵抗値(Rs+2R)より、ガス検知器10と管理装置20と間の線間抵抗による影響分、具体的には、給電用/信号伝送用ケーブル18の線路抵抗値Rの2倍の大きさ(2R)を排除した半導体式ガスセンサ11の感応部12自体のセンサ抵抗値Rsが算出され、検知対象ガスの濃度が当該センサ抵抗値Rsに基づいて算出されるので、得られるガス濃度値は信頼性の高いものとなる。
また、演算によりガス濃度を算出することができるので、ガス検知器10の校正処理を行う場合には、ガス検知器10に対して校正用ガスを供給する必要がなく、また、必ずしも、ガス検知器10が設置された場所での作業自体を行う必要もないため、高い作業効率が得られる。特に、複数のガス検知器により構築されたガス検出システムにおいて極めて有用である。
【0048】
また、上記構成のガス漏洩監視システムによれば、次のような効果を得ることができる。すなわち、複数のガス検知器10が1つのグループとしてグループ化された複数のガス検知器群15a〜15e毎に、ガス検知器10における半導体式ガスセンサ11の動作状態が制御されるので、センサ駆動電流を供給するための電源回路は、一のガス検知器群につき一のガス検知器に対するもののみでよく、従って、システム全体における電源回路の数を低減することができて、消費電力の低減を図ることができる。
【0049】
しかも、作動モードとされる一のガス検知器における半導体式ガスセンサ11にセンサ駆動電流が供給されながら、当該ガス検知器と同一のガス検知器群に属する他のガス検知器における半導体式ガスセンサ11の各々に予熱電流が供給されるので、休止モードから作動モードに移行されたときに、半導体式ガスセンサ11の出力を安定させるために必要とされる暖機処理時間を大幅に短縮することができ、しかも、休止モード時に供給される予熱電流はセンサ駆動電流以下の大きさであるため、休止モード時に半導体式ガスセンサ11に対する給電が停止されるよう間欠制御される構成のものに比して、システム全体として消費電力の低減を図ることができる。
具体的には例えば、休止モード時に半導体式ガスセンサ11に対する給電が停止されるよう間欠制御されることの他は、本発明に係るガス漏洩監視システムと同一の構成を有するガス漏洩監視システム(参照ガス漏洩監視システム)においては、センサ駆動電流を167mAとしたとき、例えば120分間以上の暖機処理が必要となるのに対して、上述したように、本発明に係るガス漏洩監視システムにおいては、暖機処理時間は例えば3分間でよく、従って、システム全体では、本発明に係るガス漏洩監視システムは、参照ガス漏洩監視システムの30〜60%の消費電力に抑えることができる。
【0050】
そして、半導体式ガスセンサ11にあっては、その特性上、無通電時間が長くなるに従って必要とされる暖機処理時間が長くなる。従って、ガス検知器を上記の特定の動作シーケンスで動作させるガス漏洩監視システムは、半導体式ガスセンサ11を具えたガス検知器を用いた場合に極めて有用なものとなる。
【0051】
さらにまた、半導体式ガスセンサ11の休止モード時において、予熱電流供給回路38に一定の大きさの電圧を入力する構成とされていることにより、半導体式ガスセンサ11に供給される予熱電流の大きさは、管理装置20とガス検知器10との設置位置との距離に応じた線間抵抗による電圧降下に依存することとなり、別個の電源回路を設けることなく、所期の大きさの予熱電流をガス検知器に供給することができ、消費電力が増大することを回避することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、本発明は、冷媒ガスの漏洩監視システムに限定されるものではなく、互いに離れた位置に設置されるガス検知器と管理装置とが給電用/信号伝送用ケーブルによって接続されて構築されるガス検出システムであればよい。従って、ガス検知器としては、半導体式ガスセンサを具えたものに限定されるものではなく、検知対象ガスの接触によって抵抗値が変化するセンサ素子を有するガスセンサ、例えば接触燃焼式ガスセンサなどを具えたものを用いることができる。
また、上記のガス漏洩監視システムにおいては、一のガス検知器群に属するガス検知器の数は、ガス検知器群間で異なっていてもよい。また、実際のガス漏洩監視システムにおいて、ガス検知器群の設定方法(グループ設定方法)は特に制限されるものではないが、例えば、給電用/信号伝送用ケーブルの長さが同等のものが同一のグループに含まれるよう設定することができる。さらにまた、ガス検知器の具体的な制御条件は適宜に変更可能である。