特許第6379417号(P6379417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6379417部品固定構造体及び部品固定構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379417
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】部品固定構造体及び部品固定構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20180820BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H01L21/52 A
   H01L23/12 F
   H01L21/52 D
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-35617(P2015-35617)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-157861(P2016-157861A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 晴義
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−260788(JP,A)
【文献】 特開2012−227436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品と、
前記複数の部品が搭載される基材と、
前記複数の部品と前記基材とを接着する光硬化樹脂と、を備え、
前記基材には、前記複数の部品それぞれと対向する複数の領域と、前記複数の部品の間の領域とを連通する溝部が形成されるとともに、
前記溝部には、前記光硬化樹脂が、前記複数の部品それぞれと対向する領域と、前記複数の部品の間の領域とにわたって連続して充填されてなる、部品固定構造体。
【請求項2】
前記基材は、前記複数の部品それぞれと対向する領域に形成された第2の溝部をさらに有し、
前記第2の溝部には、前記光硬化樹脂が充填されている、請求項1に記載の部品固定構造体。
【請求項3】
基材上に複数の部品を光硬化樹脂によって固定する方法であって、
前記基材には、前記複数の部品それぞれと対向する複数の領域と、前記複数の部品の間の領域とを連通する溝部が配置されており、
前記複数の部品それぞれと対向する複数の領域と、前記複数の部品の間の領域とにわたって連続して、前記光硬化樹脂を充填する工程と、
前記光硬化樹脂に光を照射して、硬化させる工程と、
を含む部品固定構造体の製造方法。
【請求項4】
前記複数の部品は、第1の部品と、前記光硬化樹脂を硬化させるための光源からの直線距離が、前記第1の部品よりも近い第2の部品とを含み、
前記基材と前記第2の部品とが対向する領域の前記光硬化樹脂が、前記基材と前記第1の部品とが対向する領域における前記光硬化樹脂を経由して硬化するように、前記溝部が連通している請求項3に記載の部品固定構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品固定構造体及び部品固定構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板と部品とが紫外線硬化樹脂によって接着される基板接着構造が知られている。例えば、特許文献1には、基板と、この基板上に塗布される紫外線硬化樹脂と、塗布された紫外線硬化樹脂の上に載置される半導体ペレットとを備えた基板接着構造が開示されている。この基板接着構造では、紫外線硬化樹脂に透光性のビーズが混入されており、照射された紫外線が基板と半導体ペレットとの接合部の内方に導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−275661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような技術では、半導体ペレットと基板との間からはみ出した紫外線硬化樹脂に対して紫外線が照射されることによって、このはみ出した部分の紫外線硬化樹脂から硬化が開始される。そのため、このような基板接着構造を安定的に利用するためには、半導体ペレットと基板との間から紫外線樹脂が確実にはみ出るように制御する必要がある。また、紫外線照射装置との関係から、はみ出しの位置、範囲、方向等についても制御される必要がある。
【0005】
しかしながら、紫外線硬化樹脂のはみ出しを制御するためには、紫外線硬化樹脂の温度、粘度、塗布時の形状、半導体ペレットとの相対的な位置関係、絶対量等といった多くの要素を考慮する必要がある。そのため、はみ出しの位置、範囲、方向等を制御することが困難な場合があり、紫外線硬化樹脂に対する紫外線照射を安定して行うことができない虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、光硬化樹脂のはみ出しを制御することによって、光硬化樹脂に対する光の照射を安定して行うことができる部品固定構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る部品固定構造体は、光が透過されない部品と、部品が搭載される基材と、部品と基材とを接着する光硬化樹脂と、を備え、基材には、部品と対向する領域の内側と外側とを連通する溝部が形成され、溝部には、内側から外側までの間に連続して光硬化樹脂が充填されている。
【0008】
また、本発明の一態様に係る部品固定構造体の製造方法は、基材上に複数の部品を光硬化樹脂によって固定する方法であって、基材には、複数の部品それぞれと対向する複数の領域と、複数の部品の間の領域とを連通する溝部が配置されており、複数の部品それぞれと対向する複数の領域と、複数の部品の間の領域とにわたって連続して、光硬化樹脂を充填する工程と、光硬化樹脂に光を照射して、硬化させる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光硬化樹脂に対する光の照射を安定して行うことができる部品固定構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る構造体を示す斜視図であり、(a)は基板に対して部品が搭載される前の状態を示し、(b)は基板に対して部品が搭載された状態を示す。
図2】(a)〜(c)は、基板に形成される溝部のバリエーションを示す横断面図である。(d)は、基板に形成される溝部の変形例を示す縦断面図である。
図3図3は、第2実施形態に係る構造体を示す断面図である。
図4図4は、第3実施形態に係る構造体を示す平面図である。
図5図5は、第4実施形態に係る構造体を示す平面図である。
図6図6は、第5実施形態に係る構造体を示す平面図である。
図7図7は、第6実施形態に係る構造体を示す平面図である。
図8図8は、第6実施形態に係る構造体を示す斜視図である。
図9図9は、第7実施形態に係る構造体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る部品固定構造体は、光が透過されない部品と、部品が搭載される基材と、部品と基材とを接着する光硬化樹脂と、を備え、基材には、部品と対向する領域の内側と外側とを連通する溝部が形成され、溝部には、内側から外側までの間に連続して光硬化樹脂が充填されている。
【0012】
この部品固定構造体では、基材における部品の搭載領域の内側と外側とを連通する溝部に対して、搭載領域の内側から外側まで連続して光硬化樹脂が充填されている。そのため、部品と基材との間に塗布された光硬化樹脂は、その一部が確実に外部に露出することになる。また、光硬化樹脂は、溝部に沿って外部に露出するので、露出する光硬化樹脂の位置、範囲、方向等を容易に制御することができる。したがって、露出した光硬化樹脂に対して所定の光を安定して照射することができる。
【0013】
また、一実施形態に係る部品固定構造体は、複数の部品と、複数の部品が搭載される基材と、複数の部品と基材とを接着する光硬化樹脂と、を備え、基材には、複数の部品それぞれと対向する複数の領域と、複数の部品の間の領域とを連通する溝部が形成されるとともに、溝部には、光硬化樹脂が、複数の部品それぞれと対向する複数の領域と、複数の部品の間の領域とにわたって連続して充填されてなる。これによれば、外部に露出した光硬化樹脂の一カ所に光を照射することによって、連続して充填された光硬化樹脂の硬化がなされ、複数の部品を接着することができる。
【0014】
一実施形態に係る部品固定構造体の製造方法は、基材上に複数の部品を光硬化樹脂によって固定する方法であって、基材には、複数の部品それぞれと対向する複数の領域と、複数の部品の間の領域とを連通する溝部が配置されており、複数の部品それぞれと対向する複数の領域と、複数の部品の間の領域とにわたって連続して、光硬化樹脂を充填する工程と、光硬化樹脂に光を照射して、硬化させる工程と、を含む。
【0015】
この製造方法では、複数の部品それぞれと対向する領域と、複数の部品の間の領域とにわたって連続して、光硬化樹脂が充填される。そのため、複数の部品の間の領域に塗布された光硬化樹脂は、その一部が確実に外部に露出することになる。また、光硬化樹脂は、溝部に沿って外部に露出するので、露出する光硬化樹脂の位置、範囲、方向等を容易に制御することができる。したがって、露出した光硬化樹脂に対して所定の光を安定して照射することができる。
【0016】
上記の製造方法では、複数の部品は、第1の部品と、光硬化樹脂を硬化させるための光源からの直線距離が、第1の部品よりも近い第2の部品とを含み、基材と第2の部品とが対向する領域の光硬化樹脂が、基材と前記第1の部品とが対向する領域における光硬化樹脂を経由して硬化するように、溝部が連通してもよい。これによれば、光源からの直線距離に関わらず、複数の部品が接着する順番を設定することができる。
【0017】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る構造体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る構造体(部品固定構造体)101を模式的に示す斜視図であり、(a)は基板103に対して部品105が搭載される前の状態を示し、(b)は基板103に対して部品105が搭載されている状態を示す。まず、図1及び図2を参照しながら構造体101について説明する。図1に示されるように、構造体101は、光が透過されない部品105と、部品105が搭載される板状の基板103と、基板103と部品105とを接着する紫外線硬化樹脂(光硬化樹脂)107とを備えている。部品105は、例えば光を透過しない台座や筐体を備えたプリズム、光学フィルタ、レンズ等の光学部品のほか、種々の電子部品や機械部品のように多様な形状を有するが、図示例では、直方体形状をなすものとして示している。
【0019】
基板103は、部品105が搭載される搭載領域111が予め特定された面を有している。搭載領域111は、基板103に対する部品105の接着面(例えば底面)と同じ形状として特定される。本実施形態では、部品105が直方体形状であるので、搭載領域111は矩形状となっている。搭載領域111は、基板103の上面103Aの所定の範囲を占めるものであり、上面103Aには、搭載領域111の内側の範囲と、搭載領域111の外側の範囲とが規定される。
【0020】
基板103の上面103Aには、部品105と対向する搭載領域111の内側と外側とを連通する溝部113が形成されている。すなわち、溝部113は搭載領域111の周縁の少なくとも一部を横切るように形成されている。本実施形態では、溝部113は、基板103上で直交する2本の溝からなっており、平面視において十字状をなしている。溝部113を形成する2本の溝は、いずれも搭載領域111における対向する2辺のうちの一方の辺から他方の辺まで連続して形成される。また、2本の溝は、一端において搭載領域111の内側と外側とを連通し、他端においても搭載領域111の内側と外側とを連通している。
【0021】
溝部113は、特にその形状が限定されるものではない。溝部113は、例えば図2(a)〜(c)に示す形状を有する。図2(a)〜(c)はいずれも溝部113の横断面図である。図2(a)に示される溝部113は、底面113aと側面113bとが略直角をなすU字状の断面を備えている。図2(b)に示される溝部113は、底面113cが円弧状をなすU字状の断面を備えている。図2(c)に示される溝部113は、側面113dが内向きに傾斜しているV字状の断面を備えている。図1に例示される溝部113は、図2(a)に示されるU字状として描画されているが、他の形状であってもよい。
【0022】
また、図1に示される溝部113の底面は、長さ方向において平坦であるが、他の形状であってもよい。例えば図2(d)は、溝部113の縦断面図であり、溝部113の底面の形状を示している。この図2(d)に示されるように、溝部113の底面は、傾斜面113eと垂直面113fとからなる鋸刃状に形成されてもよい。このように溝部113の底面が鋸刃状に形成されている場合には、低粘度の樹脂が流れ出してしまうことを抑制することができる。
【0023】
部品105と基板103とは、光硬化樹脂によって接着される。本実施形態における光硬化樹脂は、例えば紫外線硬化樹脂107である。紫外線硬化樹脂107は、硬化前においては所定の粘度を備えた液状であり、所定の波長を含む紫外線がその一部に照射されることによって、照射された部分から硬化が始まり、最終的に全体が硬化する。
【0024】
紫外線硬化樹脂107は、溝部113内において、少なくとも搭載領域111の内側の一部から外側の一部まで連続して充填されている。本実施形態においては、紫外線硬化樹脂107は、溝部113における内側の全体にわたって充填されているとともに、搭載領域111と部品105の底面との間にも広がっている。これにより、紫外線硬化樹脂107は、基板103に対して部品105が搭載された状態において、溝部113における搭載領域111の外側に形成された部分から少なくともその一部が露出している。図示例では、紫外線硬化樹脂107が、搭載領域111の外側における溝部113の上方に隆起しているが、紫外線硬化樹脂107は溝部113の内側に収まった状態で露出していてもよい。
【0025】
次に、上述した構造体101の製造方法について説明する。
【0026】
構造体101の製造方法は、塗布工程、搭載工程及び照射工程からなり、最初に塗布工程が行われる。塗布工程では、溝部113における少なくとも搭載領域111の内側から外側まで連続するように紫外線硬化樹脂107が塗布される。本実施形態では、搭載領域111の略中央における溝部113を含む上面103Aの領域に対して硬化前の液状の紫外線硬化樹脂107が塗布される。これにより、紫外線硬化樹脂107は、溝部113に沿って流れることによって溝部113の内側の全体にわたって充填される。また、紫外線硬化樹脂107は、搭載領域111の内側のうち、溝部113だけではなく基板103の上面103Aにも塗布される。溝部113内に充填された紫外線硬化樹脂107と、基板103の上面103Aに塗布された紫外線硬化樹脂107とは、少なくとも一部で繋がることによって連続して存在する。なお、紫外線硬化樹脂107は、溝部113内において搭載領域111の内側から外側まで連続して充填されていればよく、必ずしも溝部113の全域に亘って充填されている必要はない。
【0027】
続いて、搭載工程によって搭載領域111に対して部品105が搭載される。この工程では、部品105の底面が搭載領域111に接するように、部品105が基板103上に載置される。このとき、搭載領域111の内側のうち、基板103の上面103Aにも紫外線硬化樹脂107が塗布されているので、部品105は紫外線硬化樹脂107を介して基板103上に載置される。
【0028】
続いて、照射工程によって紫外線硬化樹脂107に対して紫外線が照射される。この工程では、使用される紫外線硬化樹脂107に対応した波長を含む紫外線が利用される。紫外線は少なくとも溝部113における搭載領域111の外側に充填された紫外線硬化樹脂107に照射される。これにより、紫外線が照射された範囲の紫外線硬化樹脂107から硬化の反応が始まる。硬化の反応は、照射位置を起点として樹脂全体に進行し、最終的に樹脂全体が硬化する。これにより、基板103と部品105とが紫外線硬化樹脂107によって接着される。
【0029】
以上の構成を備える本実施形態の構造体101によって得られる効果について説明する。
【0030】
この構造体101では、基板103における部品105の搭載領域111の内側と外側とを連通する溝部113に対して、搭載領域111の内側から外側まで連続して紫外線硬化樹脂107が充填されている。そのため、部品105と基板103との間に塗布された紫外線硬化樹脂107は、その一部が確実に外部に露出することになる。また、紫外線硬化樹脂107は、溝部113に沿って外部に露出するので、露出する紫外線硬化樹脂107の位置、範囲、方向等を容易に制御することができる。したがって、露出した紫外線硬化樹脂107に対して安定して紫外線を照射することができる。
【0031】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る構造体(部品固定構造体)201を示す断面図である。図3に示されるように、本実施形態に係る構造体201では、第1実施形態と同様に、基板203と光が透過されない部品205とが紫外線硬化樹脂207によって接着されている。基板203には、第1実施形態同様に、略矩形状をなす搭載領域211が特定されている。また、基板203の上面203Aには、部品205と対向する搭載領域211として特定された範囲の内側と外側とを連通する溝部213が形成されている。
【0032】
溝部213は、例えば、底面と側面とが略直角をなすU字状の横断面(図2(a)参照)を備えるものであり、その底面は長手方向に平坦となるように形成されている。また、溝部213は、内側の全面(すなわち底面及び側面)において、高い反射率で紫外線を反射する紫外線反射膜214が形成されている。これにより、溝部213内は、紫外線の高反射率導波路となる。このような紫外線反射膜214は、例えばアルミニウムを用いた金属膜コーティングによって実現される。
【0033】
本実施形態における構造体201の製造方法は、第1実施形態と同様であり、塗布工程、搭載工程及び照射工程からなっている。本実施形態では、照射工程において、溝部213における搭載領域211の外側に充填された紫外線硬化樹脂207に対して紫外線UVが照射されると、紫外線UVが紫外線反射膜214で反射される。これにより、溝部213に充填された紫外線硬化樹脂207のうち部品205の陰になっている部分まで紫外線UVが到達する。そのため、紫外線硬化樹脂207に対してより広範囲にわたって紫外線UVが到達することによって、硬化反応が促進される。
【0034】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る構造体(部品固定構造体)301を示す平面図である。図4では、基板303に形成された溝部313を実線で表し、部品305(搭載領域311)を二点鎖線で表している。図4に示されるように、本実施形態に係る構造体301では、第1実施形態同様に、基板303と光が透過されない部品305とが紫外線硬化樹脂307によって接着されている。また、基板303の上面303Aには、部品305と対向する搭載領域311として特定された範囲の内側と外側とを連通する溝部313が形成されている。
【0035】
部品305は、例えば直方体形状であり、その底面が矩形状をなしている。図示例では、図面紙上、左右方向が搭載領域311の長手方向であり、上下方向が搭載領域311の幅方向となっている。溝部313は、搭載領域311の長手方向の一方側において、搭載領域311の内側と外側とを連通している。また、溝部313は、搭載領域311の長手方向に延びる主溝313Aと、主溝313Aから搭載領域311の幅方向に延びる副溝313Bとを備えている。主溝313Aは、搭載領域311の長手方向の他方側において、搭載領域311の端部近傍まで形成されている。この主溝313Aの幅は、副溝313Bの幅よりも広く形成されている。また、副溝313Bは、搭載領域311の幅方向の端部に向かって形成されている。この副溝313Bは、平面視において主溝313Aに対して長手方向の他方側に向かって傾いて形成されている。
【0036】
本実施形態における構造体301の製造方法は、第1実施形態と同様であり、塗布工程、搭載工程及び照射工程からなっている。例えば、高精度部品実装においては、樹脂が硬化する際の応力バランスの不均衡の発生により、部品の搭載位置がずれてしまう虞がある。本実施形態では、照射工程において、溝部313における搭載領域311の外側に充填された紫外線硬化樹脂307に対して紫外線UVが照射されると、当該照射位置から紫外線硬化樹脂307の硬化が開始される。樹脂の硬化は、溝部313の幅に応じた速度で進行する傾向にある。図4における溝部313内には、硬化反応の向きを表す矢印を硬化速度に応じた太さで模式的に示している。図4に示されるように、幅の広い主溝313Aが形成されている搭載領域311の幅方向の中央部分の硬化が比較的早く進行し、副溝313Bが形成されている搭載領域311の幅方向の両端部分の硬化が比較的ゆっくりと進行する。これにより、樹脂硬化時における応力を分散させることができ、部品305の搭載位置がずれることを抑制できる。
【0037】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態に係る構造体(部品固定構造体)401を示す平面図である。図5では、基板403に形成された溝部413を実線で表し、部品405(搭載領域411)を二点鎖線で表している。図5に示されるように、本実施形態に係る構造体401では、第1実施形態同様に、基板403と光が透過されない部品405とが紫外線硬化樹脂407によって接着されている。また、基板403の上面403Aには、部品405と対向する搭載領域411として特定された範囲の内側と外側とを連通する溝部413が形成されている。
【0038】
部品405は、例えば直方体形状であり、その底面が矩形状をなしている。図示例における溝部413は、矩形状に特定された搭載領域411の四隅から対角線上に延びるように形成される溝413Aと、搭載領域411の内側に収まる大きさの楕円形状の溝413Bとを備えている。また、四隅から延びる溝413Aが重なり合う搭載領域の中心には、円形の溝413Cが形成されている。この溝部413では、搭載領域411の四隅のそれぞれにおいて、搭載領域411の内側と外側とが連通されている。
【0039】
本実施形態における構造体401の製造方法は、第1実施形態と同様であり、塗布工程、搭載工程及び照射工程からなっている。本実施形態では、照射工程によって、搭載領域411の四隅において外部に露出した紫外線硬化樹脂407に対して紫外線UVが照射される。この場合、図5において溝部413内に矢印で模式的に示されるように、樹脂の硬化は四隅から均等に中心に向かって進行する。これにより、樹脂硬化時における応力バランスの不均衡を抑え、部品405の搭載位置がずれることを抑制できる。
【0040】
(第5実施形態)
図6は、第5実施形態に係る構造体(部品固定構造体)501を示す平面図である。図6に示されるように、本実施形態における基板503には、複数の部品505A〜505Iが搭載されており、この複数の部品505A〜505Iによって溝部513A,513Bが共有されている。この図6では、基板503に形成された溝部513A,513Bを実線で表し、部品505A〜505I(各部品に対向する搭載領域511A〜511I)を二点鎖線で表している。
【0041】
本実施形態において、基板503には、光が透過されない複数の部品505A〜505Iそれぞれと対向する搭載領域511A〜511Iと、複数の部品505A〜505Iの間の領域とを連通する2つの溝部513A,513Bが形成されている。一方の溝部513Aには、その上方に4つの部品505A〜505Dが搭載され、他方の溝部513Bには、その上方に5つの部品505E〜505Iが搭載される。溝部513Aは、搭載領域511A〜511Dの内側と外側とを連通するとともに、搭載領域511A〜511D同士を連通している。また、溝部513Bは、搭載領域511E〜511Iの内側と外側とを連通するとともに、搭載領域511E〜511I同士を連通している。溝部513Aに搭載される部品505Dは、他の部品505A〜505C、505E〜505Iに比し大きく形成されている。そのため、部品505Dの下方では、溝部513Aが、他の部分より広い幅の溝514を有している。溝部513Bに搭載される部品505E〜505Iは、いずれも部品505Dより小さく形成されている。そのため、搭載されるいずれの部品505E〜505Iの下方においても、溝514よりも狭い溝となっている。
【0042】
溝部513A,513Bには、複数の部品505A〜505Iそれぞれと対向する搭載領域511A〜511Iと、複数の部品505A〜505Iの間の領域とにわたって連続して紫外線硬化樹脂が充填される。本実施形態では、例えば、幅の広い溝514を備える溝部513Aに対して高粘度の紫外線硬化樹脂507Aが充填され、溝部513Bに対して低粘度の紫外線硬化樹脂507Bが充填される。溝部513A,513Bの断面形状は、充填される樹脂の性質に合わせて変更してもよい。例えば、高粘度の紫外線硬化樹脂507Aが充填される溝部513Aでは、樹脂が充填されやすいように、図2(a)や(b)のような断面U字状としてもよい。また、低粘度の紫外線硬化樹脂507Bが使用される溝部513Bでは、使用量を少量とすることができるように、図2(c)のような断面V字状であってもよい。
【0043】
本実施形態における構造体501の製造方法は、第1実施形態と同様であり、塗布工程、搭載工程及び照射工程からなっている。本実施形態では、塗布工程において、複数の部品505A〜505Dそれぞれと対向する搭載領域511A〜511Dと、複数の部品505A〜505Dの間の領域とにわたって連続して、紫外線硬化樹脂507Aが充填される。また、複数の部品505E〜505Iそれぞれと対向する搭載領域511E〜511Iと、複数の部品505E〜505Iの間の領域とにわたって連続して、紫外線硬化樹脂507Bが充填される。また、照射工程によって、溝部513Aに充填された紫外線硬化樹脂507Aが連続的に硬化するとともに、溝部513Bに充填された紫外線硬化樹脂507Bが連続的に硬化する。紫外線硬化樹脂507A,507Bは、それぞれの溝部513A,513Bの少なくとも一カ所に紫外線が照射されることにより硬化するが、本実施形態では、外部に露出した複数個所に紫外線が照射される。
【0044】
(第6実施形態)
図7は、第6実施形態に係る構造体(部品固定構造体)601を示す平面図である。また、図8は、第6実施形態に係る構造体601を示す斜視図である。図7では、基板603に形成された溝部613を実線で表し、搭載領域611を破線で表し、部品605A〜605Cを二点鎖線で表している。図7に示されるように、本実施形態における構造体601では、基板603上における搭載領域611として特定された範囲内に、複数の部品605A〜605Cが搭載されている。
【0045】
構造体610において、基板603の上面603Aに形成された溝部613は、直線状に形成されている。この溝部613は、搭載領域611における対向する2辺の一端から他端まで連続して形成されるとともに、一端において内側と外側とを連通し、他端においても内側と外側とを連通している。本実施形態では、搭載領域611の内側において、溝部613に沿って光が透過されない3つの部品605A〜605Cが光源側から順番に配置される。そのため、溝部613は、搭載領域611の内側において、各部品605A〜605Cが配置されている領域同士を連通している。これにより、溝部613に充填された紫外線硬化樹脂607は、各部品605A〜605Cに連続して接することになる。
【0046】
本実施形態における構造体601の製造方法は、第1実施形態と同様であり、塗布工程、搭載工程及び照射工程からなっている。本実施形態では、搭載工程において、搭載領域611の内側に3つの部品605A〜605Cが搭載された際に、これら3つの部品605A〜605C同士が溝部613に充填されている紫外線硬化樹脂607によって連通される。
【0047】
図8に示されるように、本実施形態では、例えば、基板603上に搭載される部品605Aがプリズムミラーであり、部品605Bがフィルタであり、部品605Cがレンズとなっている。この例では、各部品605A〜605Cをレーザ光LBが通るようになっている。このように部品605A〜605Cが光学部品であっても、それぞれの部品605A〜605Cは紫外線UVを透過しない台座606Aや筐体606B,606Cを備えていることがある。そのため、複数の部品605A〜605Cが基板603上に実装される場合には、紫外線UVを照射しても、基板603上における部品605A〜605Cの間に紫外線UVが当たらないことがある。特に、複数の部品が高密度で搭載される場合には、内側に配置される部品の接着が困難になる虞がある。しかしながら、本実施形態では、各部品605A〜605Cが配置されている領域同士が溝部613によって連通されているので、外部に露出した一カ所に対する紫外線UVの照射によって、搭載領域611内における複数の部品605A〜605Cの接着を行うことができる。
【0048】
(第7実施形態)
図9は、第7実施形態に係る構造体(部品固定構造体)701を示す平面図である。第7実施形態は、第6実施形態と同様に、基板703上において搭載領域711として特定された範囲内に、光が透過されない複数の部品705A〜705Eが搭載されている。この図9では、基板703に形成された溝部713を実線で表し、搭載領域711を破線で表し、部品705A〜705Eを二点鎖線で表している。
【0049】
構造体701において、基板703の上面703Aに形成された溝部713は、搭載領域711の一端において内側と外側とを連通している。本実施形態では、搭載領域711の内側に配置される部品705A〜705Eは、搭載領域711の一端側(光源からの直線距離が近い側)から部品705A、部品705Bの順に配置され、搭載領域711の他端側に部品705Dが配置されている。そして、部品705C及び部品705Eは、部品705Bと部品705Dとの間に並置されている。溝部713は、搭載領域711の一端側から他端側に向かって、部品705A、部品705B、部品705C、部品705Dの順に連続して形成され、さらに、部品705Dから一端側に向かって部品705Eまで連続している。このように、溝部713は、搭載領域711の内側において、各部品705A〜705Eが配置されている領域同士を連通している。これにより、溝部713に充填された紫外線硬化樹脂707は、各部品705A〜705Eに連続して接することになる。図示例では、部品705Dよりも部品705Eの方がUV光源からの直線距離が近くなっているが、溝部713は、部品705Eに対向する領域の紫外線硬化樹脂707が部品705Dに対向する領域の紫外線硬化樹脂707を経由して硬化するように、連通している。
【0050】
本実施形態における構造体701の製造方法は、第1実施形態と同様であり、塗布工程、搭載工程及び照射工程からなっている。本実施形態では、搭載工程において、搭載領域711の内側に5つの部品705A〜705Eが搭載された際に、これら5つの部品705A〜705E同士が溝部713に充填されている紫外線硬化樹脂707によって連通される。
【0051】
本実施形態では、第6実施形態と同様に、各部品705A〜705Eが配置されている領域同士が溝部713によって連通されているので、外部に露出した一カ所に対する紫外線UVの照射によって、搭載領域711内における複数の部品705A〜705Eの接着を行うことができる。また、各部品705A〜705Eに対して所定の順番で紫外線硬化樹脂707が接するように溝部713が形成されているので、基板703に対する各部品705A〜705Dの接着する順番を決めることができる。これにより、紫外線硬化樹脂707が硬化する際に部品の搭載位置がずれることや、基板と部品との応力干渉等を効果的に抑制することができる。
【0052】
本発明による構造体は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、光硬化樹脂として紫外線硬化樹脂を例示したが、これに限定されず、可視光硬化樹脂や赤外線硬化樹脂であってもよい。
【0053】
また、基板上に搭載される部品の数は一例であり、例えば搭載領域内に複数の部品が搭載される例として、第7実施形態に部品が5つである例を示したがこれに限定されず、部品は4つ以下や6つ以上であってよい。
【0054】
また、部品が搭載される基材として、板状の基板を例示したが、これに限定されない。基材は、部品を搭載するための平面を備えるものであればよく、例えば底面を備える箱状等であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
101…構造体、103…基板(基材)、105…部品、107…紫外線硬化樹脂(光硬化樹脂)、111…搭載領域、113…溝部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9