(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザは、過去に行われた設計変更の内容を把握することが困難である場合があった。
【0006】
本発明の目的は、過去に行われた設計変更の内容をより容易に把握することを可能とする部品表管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、製品の設計情報を保持する主部品表を記憶する第1の記憶部と、少なくとも同じ設計情報で製造される製品で構成される所定の単位ごとに、前記製品の設計情報と、前記設計情報の更新期限とを保持する副部品表を記憶する第2の記憶部と、前記主部品表が変更されたか否かを判定する第1の判定部と、現在の日付が
前記更新期限以前か否かを判定する第2の判定部と、を備え、前記第2の判定部は、前記第1の判定部が前記主部品表が変更されたと判定し、かつ現在の日付が
前記更新期限以前である場合、前記主部品表に対して行われた変更内容を前記副部品表に反映する、部品表管理システムである。
【0008】
本発明の一態様は、上記の部品表管理システムであって、副部品表に対して前記更新期限後の変更を許可する許可情報が入力されたか否かを判定する第3の判定部をさらに備え、前記第3の判定部は、前記第1の判定部が前記主部品表が変更されたと判定し、かつ前記第2の判定部が現在の日付が
前記更新期限後であると判定し、かつ前記許可情報が入力されたと判定した場合、前記主部品表に対して行われた変更内容を前記副部品表に反映する。
【0009】
本発明の一態様は、上記の部品表管理システムであって、前記副部品表は、前記設計情報の版数に関する情報を保持する。
【0010】
本発明の一態様は、上記の部品表管理システムであって、前記第2の記憶部は、前記副部品表を前記製品の個体ごとに記憶する。
【0011】
本発明の一態様は、上記の部品表管理システムであって、前記第2の記憶部は、前記副部品表を前記製品のロットごとに記憶する。
【0012】
本発明の一態様は、上記の部品表管理システムであって、前記主部品表又は前記副部品表に保持される情報を外部のシステムに提供する提供部をさらに備える。
【0013】
本発明の一態様は、製品の設計情報を保持する主部品表を記憶する第1の記憶部と、少なくとも同じ設計情報で製造される製品で構成される所定の単位ごとに、前記製品の設計情報と、前記設計情報の更新期限とを保持する副部品表を記憶する第2の記憶部と、を備える部品表管理システムが行う部品用管理方法であって、前記主部品表が変更されたか否かを判定する第1の判定ステップと、現在の日付が
前記更新期限以前か否かを判定する第2の判定ステップと、前記第1の判定ステップにおいて前記主部品表が変更されたことが判定され、かつ前記第2の判定ステップにおいて現在の日付が
前記更新期限以前であると判定された場合、前記主部品表に対して行われた変更内容を前記副部品表に反映するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、過去に行われた設計変更の内容をより容易に把握することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態の部品表管理システムを、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、実施形態の部品表管理システム1の適用例を示す概略図である。
部品表管理システム1は、設計図面管理システム2から管理対象の製品の設計に関する情報(以下、「設計情報」という。)を取得する。部品表管理システム1は、設計情報から品目データ及び構成データを生成し、E−BOMに登録する。品目データは、製品を構成する全ての部品の一覧を示す情報である。構成データは、品目データに含まれる部品の親子関係を示す情報である。例えば、部品Aが部品B及び部品Cで構成される場合、構成データは、部品Aが部品B及び部品Cの親品目であり、部品B及び部品Cが部品Aの子品目であることを示す情報となる。部品表管理システム1は、E−BOMにて管理する設計情報を関連システム3に提供する。
【0018】
設計図面管理システム2は、設計図面を管理するシステムである。設計図面管理システム2は、設計図面21の登録又は訂正の入力を受け付ける。設計図面管理システム2は、設計図面21の入力が行われたことを部品表管理システム1に通知する。設計図面管理システム2は、部品表管理システム1の要求に応じて、設計図面21に記載された設計情報を部品表管理システム1に出力する。
【0019】
関連システム3は、設計情報を必要とする外部システムの総称である。関連システム3に含まれる外部システムは1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、関連システム3には、営業部門や設計部門、調達部門、品質管理部門、製造部門、アフターサービス部門などのシステムが含まれる。
【0020】
図2は、部品表管理システム1の機能構成を示す機能ブロック図である。
部品表管理システム1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、部品表管理プログラムを実行する。部品表管理システム1は、部品表管理プログラムの実行によって通信部11、E−BOM記憶部12、号機BOM記憶部13、入力部14、E−BOM登録部15、号機BOM登録部16及びBOM情報提供部17を備える装置として機能する。なお、部品表管理システム1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。部品表管理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。部品表管理プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0021】
通信部11は、LAN(Local Area Network)等の通信インターフェースを用いて構成される。通信部11は、設計図面管理システム2及び関連システム3と通信する。
E−BOM記憶部12(第1の記憶部)は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。E−BOM記憶部12は、E−BOM121を記憶する。
号機BOM記憶部13(第2の記憶部)は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。号機BOM記憶部13は、号機BOM131−1〜
131−n(nは1以上の整数)を記憶する。
【0022】
図3は、E−BOM121の具体例を示す図である。
E−BOM121(主部品表)は、生産対象の製品の全ての部品を管理するデータベースである。E−BOM121は、品番マスタ1211及び構成マスタ1212を備える。品番マスタ1211は、品番ごとに品番レコードを有する。品番レコードは、品番及び部品の属性情報の各値を有する。品番は、部品の識別情報である。部品の属性情報とは、例えば品名、材質、重量等の情報である。構成マスタ1212は、親品番ごとに構成レコードを有する。構成レコードは、親品番、子品番及び員数の各値を有する。親品番は、親部品の品番である。子品番は、子部品の品番である。員数は、親部品を1つ作るために、その子部品が何個必要かを表す。品番レコード及び構成レコードは、E−BOM登録部15によって登録又は更新される。
【0023】
図4は、号機BOM131の具体例を示す図である。
号機BOM131(副部品表)は、生産対象の製品について、号機(個体)ごとの部品表を管理するデータベースである。号機BOM131は、更新期限マスタ1311、品番版数マスタ1312及び号機構成マスタ1313を備える。例えば、ある自動車について受注生産を受けた場合、受注した自動車の台数分の号機BOM131が予め号機BOM記憶部13に登録される。具体的には、n(nは1以上の整数)台の自動車を受注生産する場合、号機BOM131は、号機BOM131−1〜131−nとして予め号機BOM記憶部13に登録される。なお、品番版数マスタ1312に登録される情報は、号機BOM−131−1〜131−nで同一となるため、1つの品番版数マスタ1312が号機BOM131−1〜131−nで共有されてもよい。また、更新期限マスタ1311、品番版数マスタ1312及び号機構成マスタ1313が、管理対象の号機の識別情報を示す項目を有する場合、号機BOM131−1〜131−nは、1つのテーブルで構成される号機BOMとして構成されてもよい。
【0024】
更新期限マスタ1311は、更新期限の値を持つ1つの更新期限レコードを有する。更新期限は、号機BOM131の更新が許可される期間の終了日を表す。すなわち、各号機BOM131が有する更新期限マスタ1311は、号機BOM131−1〜131−nごとの更新期限を表す。
【0025】
品番版数マスタ1312は、品番ごとに品番版数レコードを有する。品番版数レコードは、品番、図面版数及び部品の属性情報の各値を有する。品番及び部品の属性情報の各値は、E−BOM121の品番レコードの各値と同様である。図面版数は、号機BOM131が登録又は更新されたときの図面の版数を示す。すなわち、図面版数は、号機BOM131が登録又は更新されたときの設計のバージョンを表す。
【0026】
号機構成マスタ1313は、親品番ごとに号機構成レコードを有する。号機構成レコードは、親品番、子品番、子図面版数及び員数の各値を有する。親品番、子品番及び員数の各値は、E−BOM121の構成レコードの各値と同様である。子図面版数は、子品番が示す部品の図面版数である。
【0027】
更新期限レコードは、部品表管理システム1の管理者によって予め登録される。品番版数レコード及び号機構成レコードは、号機BOM登録部16によって登録又は更新される。
【0028】
図2の説明に戻る。
入力部14は、変更処置票の入力を受け付ける。変更処置票(許可情報)は、更新期限後に号機BOM131を変更する場合に入力される情報である。入力部14は、マウスやキーボード等の入力装置を用いて構成され、入力された変更処置票を第3判定部163に出力する。
【0029】
E−BOM登録部15は、設計図面管理システム2から出力される設計情報に基づいてE−BOM121の登録又は更新を行う。E−BOM登録部15は、設計情報が新規の設計を示す場合、設計情報が示す設計内容をE−BOM121に登録する。また、E−BOM登録部15は、設計情報が既存の設計の変更を示す場合、その変更内容でE−BOM121を更新する。
【0030】
号機BOM登録部16は、E−BOM121に基づいて号機BOM131の登録又は更新を行う。号機BOM登録部16は、第1判定部161、第2判定部162及び第3判定部163を備える。
第1判定部161(第1の判定部)は、E−BOM121に対する変更を監視する。第1判定部161は、E−BOM121に変更が発生した場合、変更が発生したことを第2判定部162に通知する。以下、E−BOM121に変更が発生したことの通知を変更通知という。このとき、第1判定部161は、変更通知を行うとともに、E−BOM121に対して行われた変更内容を第2判定部162に出力する。
【0031】
第2判定部162(第2の判定部)は、変更通知を受けると、自装置の現在日付が更新対象となる号機BOM131の更新期限以前であるか否かを判定する。第2判定部162は、自装置の現在日付が更新対象となる号機BOM131の更新期限以前である場合、第1判定部161から出力された変更内容で対象の号機BOM131を更新する。一方、第2判定部162は、自装置の現在日付が更新対象となる号機BOM131の更新期限後である場合、第3判定部163に変更通知を行うとともに、変更内容を第3判定部163に出力する。
【0032】
第3判定部163(第3の判定部)は、変更処置票に基づいて号機BOM131を更新する。具体的には、第3判定部163は、第2判定部162から変更通知を受けると、変更処置票の入力有無を判定する。第3判定部163は、入力部14から変更処置票が入力された場合、更新期限後の変更が許可されたと判断して、第2判定部162から出力された変更内容で対象の号機BOM131を更新する。
【0033】
BOM情報提供部17は、号機BOM記憶部13から号機BOM131の情報を取得し、取得した号機BOM131の情報を、通信部11を介して関連システム3に送信する。
【0034】
図5は、製品の製作スケジュールの具体例を示すタイムチャートである。
図5には、号機ごとの生産スケジュールにおける、部品手配の指示日(手配指示日)と、製作期間とが示されている。手配指示日と製作期間との間の期間は、指示された部品が製作現場に到着するまでに要する時間であり、部品リードタイムと呼ぶ。このようなスケジュールで製品が製作される場合、例えば号機BOM131における更新期限は手配指示日に設定される。更新期限が手配指示日に設定されることによって、各号機に対する設計変更は、基本的に手配指示日までに行われるように管理される。手配指示日を過ぎた後での設計変更には、変更処置票の入力が必要となる。このような管理が行われることによって、設計期間を最大限に確保しながら部品の発注遅れを抑制することが可能となる。
【0035】
なお、更新期限は、生産体制に応じて手配指示日以外の日に設定されてもよい。例えば、更新期限は、当該号機の設計が完了する設計完了日(出図日)や、製造開始日、製造開始日を起点として所定期間遡った日、部品の発注日等に設定されてもよい。
【0036】
図6は、実施形態の部品表管理システム1における号機BOM131の更新処理の流れを示すフローチャートである。
まず、設計者によって製品図面の変更が設計図面管理システム2に登録される。この図面の登録を出図と呼ぶ。設計図面管理システム2は、出図が行われたことを部品表管理システム1に通知し、設計変更の内容を部品表管理システム1に出力する。E−BOM登録部15は、設計図面管理システム2から設計の変更内容を取得する。E−BOM登録部15は、取得した変更内容をE−BOM121に登録する。
【0037】
号機BOM登録部16の第1判定部161は、E−BOM121が変更されたか否かを判定する(ステップS101)。E−BOM121が変更されていないことが判定された場合(ステップS101−NO)、第1判定部161はステップS101の判定を繰り返し、E−BOM121の変更を監視する。一方、E−BOM121が変更されたことが判定された場合(ステップS101−YES)、第1判定部161は、設計図面管理システム2から、出図された図面の図面版数を取得する(ステップS102)。第1判定部161は、E−BOM121を参照し、変更された構成レコード及び品番レコードを選択する。第1判定部161は、第2判定部162に変更通知を行うとともに、選択された構成レコード及び品番レコードの各値と取得された図面版数とを第2判定部162に出力する。
【0038】
第2判定部162は、第1判定部161から変更通知を受けると、変更された構成レコード及び品番レコードの各値と図面版数とを第1判定部161から取得する。第2判定部162は、各号機の号機BOM131を参照し、品番版数レコードの品番に、品番レコードから取得された品番の値を持つ号機BOM131を選択する。また、第2判定部162は、各号機の号機BOM131を参照し、号機構成レコードの親品番及び子品番に、それぞれ構成レコードから取得された親品番及び子品番の値を持つ号機BOM131を選択する。第2判定部162は、選択された号機BOMを変更対象の号機BOMとする(ステップS103)。第2判定部162は、変更対象の号機BOM131の更新期限レコードを選択する(ステップS104)。第2判定部162は、選択された更新期限レコードから更新期限の値を取得する。第2判定部162は、現在日付が更新期限以前の日付であるか否かを判定する(ステップS105)。
【0039】
現在日付が更新期限より後の日付であることが判定された場合(ステップS105−NO)、第2判定部162は、第3判定部163に変更通知を行うとともに、変更された構成レコード及び品番レコードの各値と図面版数とを第3判定部163に出力する。第3判定部163は、第2判定部162から変更通知を受けると、変更された構成レコード及び品番レコードの各値と図面版数とを第2判定部162から取得する。第3判定部163は、変更処置票の入力有無を判定する(ステップS105)。
【0040】
変更処置票の入力有りと判定された場合(ステップS106−YES)、第3判定部163は、更新期限後における号機BOM131の変更が許可されたと判断する。第3判定部163は、変更された構成レコード及び品番レコードの各値と図面版数とで、選択された号機BOM131を更新する(ステップS107)。具体的には、第3判定部163は、変更された品番レコードの各値及び図面版数から品番版数レコードを生成し、品番版数マスタ1312に登録する。また、第3判定部163は、変更された構成レコードの各値及び図面版数から号機構成レコードを生成し、号機構成マスタ1313に登録する。
【0041】
一方、ステップS105において、現在日付が更新期限以前の日付であることが判定された場合(ステップS105−YES)、第2判定部162は、ステップS107に進む。このとき、第2判定部162は、第3判定部163に変更通知を通知せず、変更された構成レコード及び品番レコードの各値と図面版数とで、選択された号機BOM131を更新する。
【0042】
一方、ステップS106において、変更処置票の入力無しと判定された場合(ステップS106−NO)、又はステップS107において号機BOM131が更新された後、第2判定部162は、処理対象として選択された全ての号機BOM131について変更処理を完了したか否かを判定する(ステップS108)。
【0043】
処理対象として選択された全ての号機BOM131において未処理の号機BOM131が存在すると判定された場合(ステップS108−NO)、第2判定部162は、処理対象として選択された全ての号機BOM131の中から、次の処理対象となる号機BOM131を選択する(ステップS109)。第2判定部162は、ステップS105に進み、以降の処理を繰り返し実行する。一方、処理対象として選択された全ての号機BOM131について変更処理が完了したと判定された場合(ステップS108−YES)、第2判定部162は、処理を終了する。
【0044】
なお、上記のフローチャートでは、E−BOM121において、品番マスタ1211及び構成マスタ1212の両方が変更される場合について説明したが、E−BOM121の変更は、品番マスタ1211及び構成マスタ1222のいずれか一方に対する変更であってもよい。また、E−BOM121に対する変更は、既存のレコードの変更であってもよいし、新規レコードの登録であってもよい。E−BOM121に対する変更がいずれの場合であっても、各号機の号機BOM131には、E−BOM121に対して行われた変更内容が図面版数ごとに蓄積される。
【0045】
図7及び
図8は、実施形態の部品表管理システム1の動作例を示す図である。
図7及び
図8では、各号機の更新期限は各号機の手配指示日に設定されている。
図7では、新規図面の出図及び訂正図面の出図は、第1号機の手配指示日以前に行われている。また、
図8では、新規図面の出図は、第1号機の手配指示日と第2号機の手配指示日との間のタイミングで行われ、訂正図面の出図は、第2号機の手配指示日と第3号機の手配指示日との間のタイミングで行われている。
【0046】
図7の場合、新規図面の出図及び訂正図面の出図は、最も早い更新期限となる第1号機の手配指示日より前に行われるため、各号機の号機BOM131−1〜131−nには、出図によるE−BOM121の変更が自動的に反映される。
【0047】
これに対して
図8の場合、新規図面の出図は、第1号機の更新期限となる第1号機の手配指示日より後であり、かつ第2号機の更新期限となる第2号機の手配指示日より前に行われる。そのため、新規図面の出図によるE−BOM121の変更は、第2号機〜第n号機においては自動的に号機BOM131−2〜131−nに反映されるが、第1号機の号機BOM131−1への反映には変更処置票が必要となる。
【0048】
また、訂正図面の出図は、第2号機の更新期限となる第2号機の手配指示日より後であり、かつ第3号機の更新期限となる第3号機の手配指示日より前に行われる。そのため、訂正図面の出図によるE−BOM121の変更は、第3号機〜第n号機においては自動的に号機BOM131−3〜131−nに反映されるが、第1号機及び第2号機の号機BOM131−1及び131−2への反映には変更処置票が必要となる。
【0049】
従来、E−BOM方式による部品表の管理では、製品仕様の変更など大規模な設計変更(以下、「メジャー変更」という。)が行われる場合、変更後のE−BOMは元のE−BOMと異なるE−BOMとして管理される。そのため、部品表管理システムの利用者は、それぞれのE−BOMから設計変更前後の情報を取得することができる。
しかしながら、互換性を維持した形での小規模な設計変更(以下、「マイナー変更」という。)が行われる場合、設計変更前のE−BOMの情報は設計変更後の設計情報で置き換えられてしまう。これは、E−BOMが常に最新情報のみを保持するためである。そのため、部品表管理システムの利用者は、設計変更後に設計変更前のE−BOMの情報を取得することが困難となる場合があった。
【0050】
上記のように構成された実施形態の部品表管理システム1では、E−BOMに基づいて、各号機の部品表が号機BOMとして管理される。号機BOMは、図面版数を有し、各号機に関するE−BOMを保持する。そのため、部品表管理システムの利用者は、過去に行われた設計変更の内容をより容易に把握することが可能となる。
【0051】
以下、実施形態の部品表管理システム1を用いることによって、関連システム3にもたらされるメリットの具体例について説明する。
【0052】
例えば、関連システム3が設計部門のシステムである場合、設計部門の担当者は、各部品のコストの情報と号機BOM131とを紐づけることにより、各号機の製造コストだけでなく、部位又は部品単位の製造コストを容易に取得することができる。これにより、設計部門の担当者は、設計変更に伴う製造コストの変動の比較や分析を容易に行うことが可能となる。
【0053】
また、製品の重量が重要な設計事項となる場合、設計部門の担当者は、各部品の重量の情報と号機BOM131とを紐づけることにより、各号機の設計重量を詳細に管理することが可能となる。なお、各部品の重量の情報がE−BOM121に保持される場合、号機BOM登録部16は、各部品の重量の情報を号機BOM131に登録してもよい。
【0054】
また、号機BOM131は、すなわち当該号機の竣工図面を表すこととなる。竣工図面とは、製品の完成形を表す図面のことである。そのため、製造された製品の図書として竣工図面が必要な場合、設計部門の担当者は、号機BOM131を用いることにより、より正確かつ効率的に図書を作成することが可能となる。
【0055】
また、例えば、関連システム3が調達部門のシステムである場合、調達部門の担当者は、手配情報と号機BOM131とを紐づけることにより、各号機の部品手配の管理を容易に行うことが可能となる。手配情報とは、部品手配における手配指示の管理番号や、発注状況、納期などの情報である。調達部門の担当者は、号機BOM131を用いることにより、号機ごとの手配情報を管理するための手配BOMを容易に作成することが可能となる。この手配BOMにより、調達部門の担当者は、各部品の使用開始日の把握を容易に行うことができ、生産スケジュールと連動したタイムリーな部品調達を行うことが可能となる。このことは、部品在庫の最小化につながり、仕掛コストの低減を可能とする。
【0056】
また、例えば、関連システム3が製造部門のシステムである場合、製造部門の担当者は、製造工程や製造手順などの製造情報と号機BOM131とを紐づけることにより、号機ごとのM−BOM(ManufacturingBOM)を容易に作成することができる。この場合、M−BOMは号機BOM131に基づいて作成されるため、製造途中に設計が変更された場合であっても、製造部門の担当者は変更処置の管理を正確かつ効率的に行うことが可能となる。
【0057】
また、例えば、関連システム3が品質管理部門のシステムである場合、品質管理部門の担当者は、シリアルナンバーや検査記録などの品質管理情報と号機BOM131とを紐づけることにより、号機ごとの品質管理を正確かつ効率的に行うことが可能となる。そのため、品質管理部門の担当者は、各号機の品質管理情報の追跡を効率的に行うことができ、きめ細やかな品質管理を行うことが可能となる。
【0058】
また、例えば、関連システム3がアフターサービス部門のシステムである場合、アフターサービス部門の担当者は、保守期間や耐用年数等の保守情報と号機BOM131とを紐づけることにより、各号機のメンテナンスを効率的に行うことができる。さらに、ユーザ情報と号機BOM131とを紐づけることにより、アフターサービス部門の担当者は、修理等で部品交換が行われた号機の部品構成をユーザごとに把握することが可能となる。このことは、アフターサービス面での大きなアピールポイントとなる。
<変形例>
【0059】
図面版数の情報は、E−BOM121に記憶されてもよい。この場合、号機BOM登録部16は、最新の図面版数をE−BOM121から取得する。号機BOM登録部16は、E−BOM121から取得される図面版数を号機BOM131に登録することにより、号機BOM131−1〜nを構築してもよい。
【0060】
号機BOMが設けられる単位は、製品の号機ごとに限定されない。例えば、製品のロットごとに号機BOMが設けられてもよい。このように、製品の号機ごとよりも大きな単位で号機BOMが設けられることによって、管理対象の号機BOMの数を低減することができる。このようにロットごとに設けられる号機BOMをロットBOMと呼ぶ。また、号機BOMやロットBOMは、必要に応じて複製されてもよい。号機BOMやロットBOMが複製されることにより、同一ロット内での設計変更でBOMを分割する必要が生じた際にも柔軟な対応が可能となる。すなわち、この場合、ユーザは1つの号機BOM又はロットBOMで構成される初期状態から運用を開始することができる。これにより、ユーザは、小さいデータ量で号機BOM又はロットBOMの運用を開始することが可能となる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。