(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒンジ軸の外周面に、前記補助カバーを開方向へ回転させた場合に、前記両弾性保持片の対向面の少なくともいずれか一方に弾性的に面接触し、前記ヒンジ軸と前記弾性保持片との相対回転を規制することにより、前記補助カバーを第2開放位置に仮保持可能な回転規制部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアラッチ装置。
前記ヒンジ軸における長軸方向の両外周面に、前記回転規制部を、互いに平行をなすように設け、前記両回転規制部が前記両弾性保持片の対向面に弾性的に面接触することにより、前記補助カバーがほぼ180度開いた第2開放位置に仮保持されるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の車両用ドアラッチ装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るドアラッチ装置を、図面に基づいて説明する。
図1〜
図9は、本発明の第1の実施形態に係るドアラッチ装置を示すもので、このドアラッチ装置1は、例えば車両の右側のフロントドア(以下、ドアと略称する)D内において、ドアDのインナパネルD1の後端部に固定されるもので、ドアDを閉状態に保持するための噛合ユニット2と、この噛合ユニット2を操作するための操作ユニット3とからなり、これら噛合ユニット2と操作ユニット3とを一体化することにより構成されている。
【0014】
噛合ユニット2は、合成樹脂製の箱状のボディ4と、ボディ4の後面に固定され、かつ3本のボルト5により、ボディ4と共にドアD内のインナパネルD1の後部に固定される金属製のカバープレート6とを有し、ボディ4とカバープレート6との間の内部空間には、ドアを閉状態に拘束する噛合機構7が収容されている。ボディ4とカバープレート6には、ドアDを閉めるのに応じて車体側のストライカ8が進入するほぼ同形のストライカ進入溝9が形成されている。
【0015】
カバープレート6におけるストライカ進入溝9の上方には、1個の雌ねじ孔10aが、また同じく下方には、前後2個の雌ねじ孔10b、10cがバーリング加工により前方に向かってそれぞれ形成され、これらの雌ねじ孔10a、10b、10cに、ボルト5を螺合することにより、噛合ユニット2はインナパネルD1に固定される(
図1参照)。
【0016】
噛合機構7は、ボディ4内に枢軸11により枢支されるとともに、図示しないばねによりオープン方向(
図2において時計方向)に付勢され、ストライカ8と係合可能なラッチ12と、ボディ4内に枢軸13により枢支され、ラッチ12の外周縁に係合可能なラチェット14とを有している。ドアDが閉じられると、ストライカ8がラッチ12に係合するとともに、ラチェット14がラッチ12の外周縁に係合し、ラッチ12のオープン方向への回動を阻止することにより、ドアDが閉状態に保持される。
【0017】
また、操作ユニット3の後述するロッキングレバー20がアンロック位置にある場合に、ドアDの車外側に設けられたアウトサイドハンドル、または車内側に設けられたインサイドハンドル(いずれも図示略)の開操作に基づいて、後述するアウトサイドレバー24またはインサイドレバー22が回動させられると、アウトサイドレバー24に連係されたオープンレバー(図示略)により、ラッチ12の外周縁に係合しているラチェット14がリリース作動させられ、解除方向(
図2において時計方向)へ回動することにより、ドアDを開けることができる。
【0018】
操作ユニット3は、平面視ほぼL字状をなす合成樹脂製のケーシング15を備えている。ケーシング15は、ドアD内においてインナパネルD1の車内側の側面に近接して配置され、車内側が開口する操作機構収容部16を有する合成樹脂製の第1ケーシング151と、この第1ケーシング151における上下方向の中間部の後端部から、車外方向に向かってほぼ直角に延出し、後面側が開口するボディ収容部17を有する合成樹脂製の第2ケーシング152と、第1ケーシング151の操作機構収容部16の開口部を、噛合ユニット2におけるボディ4のストライカ進入溝9付近を露出させて閉塞する合成樹脂製のカバー18とを備えている。
【0019】
第1ケーシング151の操作機構収容部16とカバー18との間に形成される収容空間には、噛合ユニット2の噛合機構7を操作することにより、噛合機構7を、ストライカ8との係合状態を解除可能とするアンロック状態、及び解除不能とするロック状態に切り替え可能な操作機構が収容されている。操作機構は、ロック・アンロック操作を自動で行うモータを含むアクチュエータ(図示略)と、キーシリンダの操作に連動するキーレバー(いずれも図示略)と、ドアDの車内側に設けられるロックノブ(図示略)に、操作力伝達部材である第1ボーデンケーブル19(
図5参照)を介して連係され、ロックノブの操作またはアクチュエータによりロック位置とアンロック位置とに作動させられるロッキングレバー20と、ドアDの車内側に設けられるインサイドハンドル(図示略)に、操作力伝達部材である第2ボーデンケーブル21(
図5参照)を介して連係され、インサイドハンドルの開操作に連動して回動させられるインサイドレバー22と、ドアDの車外側に設けられるアウトサイドハンドル(図示略)の開操作に連動する後述のアウトサイドレバー24の車内側の端部に連結されるとともに、キーレバー及びロッキングレバー20に連係され、ロック位置とアンロック位置とに移動可能なオープンレバー(図示略)等とからなっている。なお、操作機構の構成部品は、本発明とは直接関係せず、また、通常のドアラッチ装置に組み込まれる公知のものであるので、その詳細な説明は省略する。
【0020】
図2に示すように、噛合ユニット2よりも下方に突出する第2ケーシング152の後面下部には、前後方向の支持軸23が後向きに一体的に突設され、この支持軸23には、車内外方向を向くアウトサイドレバー24の中間部が、車外側の端部が第2ケーシング152より突出するようにして、上下方向に回動可能に枢支されている。
【0021】
支持軸23の後面及びアウトサイドレバー24の中間部付近の後面は、ボディ4の前面(裏面)に固定される上下方向を向く金属製のバックプレート25の下端部により覆われるようになっている。支持軸23と対向するバックプレート25の下端部には、雌ねじ孔26が形成され、この雌ねじ孔26に、第2ケーシング152の前面側から挿入したボルト27を、支持軸23を貫通させて螺合することにより、アウトサイドレバー24の中間部が、第2ケーシング152とバックプレート25との対向面に回動可能に保持されている。アウトサイドレバー24の車内側の端部は、第1ケーシング151における操作機構収容部16内に収容された操作機構の一部をなすオープンレバー(図示略)に連結されている。
【0022】
図5及び
図6に示すように、カバー18における車内側を向く側面の下部には、車内方向に突出し、かつ後下がりに傾斜する庇状の上部雨水誘導突部28と下部雨水誘導突部29が形成されている。この上部雨水誘導突部28と下部雨水誘導突部29は、カバー18の表面を伝って流れ落ちる雨水を後下方に誘導し、後述するケーブル連結領域部181に向かって流れるのを防止するためのものである。
【0023】
カバー18における下部雨水誘導突部29の下方には、第1、第2ボーデンケーブル19、21を、それぞれロッキングレバー20とインサイドレバー22に連結するためのケーブル連結領域部181が、後下がりに傾斜するようにして形成されている。このケーブル連結領域部181は、下部雨水誘導突部29とカバー18の前縁に沿って設けられ、車内側へ突出する斜め上下方向の前壁部30と、カバー18の後下がりに傾斜する下縁に沿って設けられ、車内側へ突出する前後方向の下壁部31とにより囲まれて形成されている。
【0024】
ケーブル連結領域部181には、前壁部30と対向し、車内方向に突出する上下方向の中間壁部32と、この中間壁部32のやや後方においてそれと対向し、車内方向に突出する上下方向のケーブル保持部33と、ケーシング15の操作機構収容部16の内部に連通するように開口し、ロッキングレバー20の下端部の回動軌跡に沿う形状の長孔34と、同じく操作機構収容部16の内部に連通し、インサイドレバー22の下端部がケーブル連結領域部181側に突出するとともに、その下端部の回動軌跡に沿う形状の切欠き35とが形成されている。前壁部30には、第1、第2ボーデンケーブル19、21のアウタチューブ191、211の端部がそれぞれ嵌合される2個の嵌合溝30a、30aが形成され、中間壁部32には、第1、第2ボーデンケーブル19、21の大径端部192、212がそれぞれ嵌合される2個の嵌合溝32a、32aが形成されている。また、ケーブル保持部33には、第1、第2ボーデンケーブル19、21の大径端部192、212の先端部に形成されたそれぞれの環状溝を嵌合することにより、両大径端部192、212を軸方向に移動不能に保持する保持溝33a、33aが形成されている。
【0025】
第1ボーデンケーブル19におけるインナケーブル193の端末部の球形をなす連結部193aは、ロッキングレバー20の下端部に形成された車内側が開口する半球面状の凹部20aに、長孔34を介して嵌合されている。また、第2ボーデンケーブル21におけるインナケーブル213の端末部の軸状をなす連結部213aは、インサイドレバー22における切欠き35より突出する下端部に形成された嵌合孔22aに嵌合されている。両連結部193a、213aは、ケーブル連結領域部181を閉塞する後述の補助カバー36により、凹部20a及び嵌合孔22aから離脱するのが防止される。なお、上記ロッキングレバー20の凹部20aとインサイドレバー22の嵌合孔22aは、被連結部に相当する。
【0026】
ケーブル連結領域部181は、第1、第2ボーデンケーブル19、21をそれぞれロッキングレバー20とインサイドレバー22に連結した後、カバー18と別体をなす合成樹脂製の補助カバー36により閉塞されるようになっている。
【0027】
図3に示すように、補助カバー36は、ケーブル連結領域部181とほぼ同形をなし、前縁には、ケーブル連結領域部181を閉塞した状態において、カバー18の前壁部30の前面と接触する側壁部361が、ケーブル連結領域部181方向に向かって突出されている。また、補助カバー36には、ケーブル連結領域部181を閉塞した状態において、カバー18の下部雨水誘導突部29と近接する下方において車内側の側面に当接可能な上壁部362が、側壁部361と連続するようにして、ケーブル連結領域部181方向に向かって突出されている。側壁部361には、ケーブル連結領域部181を閉塞した状態において、第1、第2ボーデンケーブル19、21のアウタチューブ191、211を車内側から押さえて保持可能な押え溝361a、361aが形成されている。
【0028】
さらに、補助カバー36の裏面(ケーブル連結領域部181を閉塞した状態において、それと対向する面)の前部には、ケーブル連結領域部181を閉塞した状態において、カバー18の前壁部30と中間壁部32間に位置する第1中間側壁部363と、カバー18の中間壁部32とケーブル保持部33間に位置する第2中間側壁部364とが、それぞれケーブル連結領域部181方向に向かって突出されている。第1中間側壁部363と第2中間側壁部364には、ケーブル連結領域部181を閉塞した状態において、第1、第2ボーデンケーブル19、21の大径端部192、212を車内側から押えて保持可能な上下2個ずつの押え溝363a、364aが形成されている。
【0029】
図3〜
図7に示すように、補助カバー36の上端面(ケーブル連結領域部181を閉塞した状態においては下端面)365の前後方向の中央部には、上部が裏面方向に屈曲された前後1対の突片37、37が上向きに一体的に突設され、両突片37の先端部の対向面間には、前後方向を向くヒンジ軸38が、
上端面365と平行に離間するようにして、両突片37と一体的に設けられている。
【0030】
ヒンジ軸38の長手方向と直交する横断面形状は、ほぼ楕円形とされ、その長軸方向である上下の外周面には、互いに平行をなす平坦部38a、38aが、長手方向(前後方向)に沿って形成されている。なお、この実施形態では、上下の平坦部38a、38a間の寸法を、カバー18に設けられた後述する上下1対の弾性保持片42、42の対向面間の寸法より僅かに小としてある。
【0031】
補助カバー36の上端面365における前後の突片37、37間の中央部には、補助カバー36と共にヒンジ軸38回りに回転することにより、カバー18に設けられた後述するストッパ部43を乗り越えてその反対側に移動可能な先細り形状の被ストッパ部39が、上向きに(ケーブル連結領域部181を閉塞した状態においては下向きに)突設されている。
【0032】
図3及び
図7の断面図に示すように、ケーシング15の一部をなしているカバー18におけるケーブル連結領域部181の下端の前後方向の中央部には、方形の開口40を有する、補助カバー36を取付けるための板状の取付部41が下向きに突設され、この取付部41の車内側の面には、補助カバー36のヒンジ軸38を回転可能に保持する上下1対の弾性保持片42、42が、開口40を挟んで対向するように、車内方向に向かって一体的に突設されている。
【0033】
上下の弾性保持片42の先端部には、互いに対向する爪部42a、42aが内向きに突設されている。両爪部42aの対向面間の寸法は、両弾性保持片42間に嵌合されたヒンジ軸38が離脱しないように、ヒンジ軸38の短軸方向の最小外径寸法よりも若干小とされている。下方の弾性保持片42の車外側の端部には、
図9に示すように、被ストッパ部39が上方より当接することにより、補助カバー36を第1開放位置に停止させて仮保持するためのストッパ部43が、被ストッパ部39の先端部の回転軌跡上に位置するようにして一体的に連設されている(詳細な説明は後述する)。
【0034】
カバー18におけるケーブル連結領域部181の下端には、補助カバー36が前後方向に移動するのを規制する前後動規制片44、44が、取付部41を挟んで対向するように下向きに突設されている。この両前後動規制片44の対向面間の寸法は、補助カバー36における前後の突片37、37の外側面の離間寸法よりも僅かに大とされ、上下の弾性保持片42間にヒンジ軸38を嵌合した際に、前後の突片37の外側面が1対の前後動規制片44の対向面に近接または接触することにより、カバー18に対し補助カバー36が前後方向に移動するのが防止されるようになっている(
図5、
図6参照)。
【0035】
図3に示すように、補助カバー36の上端面365と近接する裏面の前端部と後部には、ケーブル連結領域部181を閉塞した状態では車外方向を向き、かつ先端部に係合爪45a、45aを有する係合片45、45が突設されている。
また、補助カバー36の上壁部362における前後両端部の下面(ケーブル連結領域部181を閉塞した状態においては上面)には、係合爪部46、46が突設されている。
【0036】
上記前後の両係合片45は、ケーブル連結領域部181を補助カバー36により閉塞した際に、カバー18におけるケーブル連結領域部181の下端部の前端部と後部に設けられた係合孔47、47に嵌合されて、それらの奥端の開口縁に係合爪45a、45aが係合するようになっている。
また、上記の両係合爪部46は、ケーブル連結領域部181を補助カバー36により閉塞した際に、カバー18における下部雨水誘導突部29の下面の前後両端部に設けられた被係合爪部48、48に係合するようになっている。これら前後2個ずつの係合45と係合爪部46により、補助カバー36の4箇所が、カバー18のケーブル連結領域部181に、がたなく安定的に固定される。
【0037】
補助カバー36をカバー18に取付けるには、カバー18の上下の弾性保持片42間に、補助カバー36に設けたヒンジ軸38を、両弾性保持片42を拡開方向に弾性変形させながら嵌合する。この際、ヒンジ軸38を長軸方向から嵌合すると、両弾性保持片42の弾性変形量が小さくなるので、嵌合し易い。
【0038】
補助カバー36は、
図6及び
図7に示すように、ケーブル連結領域部181を閉塞する閉塞位置と、
図5及び
図9に示すように、閉塞位置から例えばほぼ210度開いた位置で仮保持される第1開放位置に、ヒンジ軸38を中心として上下方向に回転することができる。
【0039】
補助カバー36を
図9に示す第1開放位置に仮保持する場合は、ヒンジ軸38を取付部41の開口40側(車外方向)に移動させながら開方向に回転させる。すると、
図8に示すように、カバー18に設けたストッパ部43の先端部が、補助カバー36に設けた被ストッパ部39の先端により上方に弾性変形させられ、
図9に示すように、被ストッパ部39がストッパ部43の先端を乗り越えてその上方に移動する。これにより、被ストッパ部39の下面がストッパ部43の先端部の上面に当接し、補助カバー36の閉方向の回転が阻止されることにより、補助カバー36は第1開放位置に確実に停止して仮保持される。
【0040】
第1開放位置に停止している補助カバー36を閉方向に回転させると、上記と反対に、ストッパ部43が被ストッパ部39により下向きに弾性変形させられるので、補助カバー36を閉塞位置方向まで支障なく回転させることができる。なお、ヒンジ軸38を開口40側に大きく移動させうるようにして、被ストッパ部39がストッパ部43の先端を乗り越えるようにすれば、ストッパ部43を被ストッパ部39により弾性変形させることなく、被ストッパ部39の下面をストッパ部43の上面に当接させて、補助カバー36を第1開放位置に仮保持することも可能である。
【0041】
このように、補助カバー36を第1開放位置に仮保持させうるようにすると、補助カバー36が閉方向に回転するのが確実に阻止されるので、ドアラッチ装置をドアD内に組み付けたり、ケーブル連結領域部181に第1、第2ボーデンケーブル19、21を組付けたり、インナケーブル193、213をロッキングレバー20及びインサイドレバー22に連結したりする際に、補助カバー36が妄りに回転して邪魔になるというおそれがなく、それらの作業性を向上させることができる。
【0042】
以上説明したように、上記第1の実施形態に係るドアラッチ装置1においては、補助カバー36に設けたヒンジ軸38を、カバー18に設けた1対の弾性保持片42、42間に回転可能に嵌合し、補助カバー36を開方向へ回転させた場合に、被ストッパ部39がストッパ部43の先端部を乗り越えて反対側に移動し、補助カバー36の閉方向への回転を阻止して補助カバー36を第1開放位置に仮保持しうるようにしたので、補助カバー36を第1開放位置に仮保持する手段の構成が、従来のドアラッチ装置の仮止め手段に比して簡単であり、ケーシング15や補助カバー36を成形する際のコストが低減される。
【0043】
図10及び
図11は、第2の実施形態に係るドアラッチ装置の補助カバー36取付部の断面図を示す。この第2の実施形態では、ヒンジ軸38に形成された上下の平坦部38a、38aを回転規制部として、補助カバー36を、ほぼ180度開放された第2開放位置に仮保持しうるようにしたものである。
すなわち、この第2の実施形態においては、上下の弾性保持片42、42の対向面間の寸法を、ヒンジ軸38における上下の平坦部(回転規制部)38a、38a間の上下寸法よりも所要寸法小とし、補助カバー36が、ケーブル連結領域部181を閉塞する閉塞位置、及び180度回転してケーブル連結領域部181を開放する第2開放位置にあるとき、両弾性保持片42間に嵌合されたヒンジ軸38の上下の平坦部38a、38aに、両弾性保持片42の対向面が弾性的に圧接しうるようにしたものである。
【0044】
ヒンジ軸38の断面形状をほぼ楕円形とし、その長軸方向の外周面に回転規制部としての平坦部38aを設けると、補助カバー36が閉塞位置及び第2開放位置にあるとき、両弾性保持片42の拡開方向への弾性変形量が最大となり、その反力も最大となる。その結果、上下の平坦部38aに両弾性保持片42が強く圧接するため、ヒンジ軸38と両弾性保持片42との相対回転が規制されて、補助カバー36を第2開放位置に停止させて仮保持する保持力が大となる。また、補助カバー36が上記閉塞位置から第2開放位置方向へ、またはその逆方向へ回転する際には、両弾性保持片42の弾性変形量が徐々に小さくなり、ヒンジ軸38に加わる押圧力も小となるので、補助カバー36を抵抗なく回転させることができる。
【0045】
第2の実施形態に係るドアラッチ装置においては、閉塞位置にある補助カバー36を開方向へ180度回転させると、上述したように、カバー18の上下の弾性保持片42の対向面が、ヒンジ軸38の上下の平坦部38aに弾性的に圧接し、ヒンジ軸38と両弾性保持片42との相対回転が規制されて、補助カバー36の開閉方向への回転も規制されることにより、補助カバー36は、180度開いた第2開放位置に停止して仮保持される。なお、
図11に示すように、補助カバー36が第2開放位置に停止しているときには、被ストッパ部39の先端(上端)が、ストッパ部43の下面に近接または当接するので、補助カバー36が第2開放位置を超えて回転することはない。また、この第2の実施形態においては、補助カバー36を第2開放位置を超えて回転させれば、上記第1の実施形態と同様に、補助カバー36を第1開放位置に仮保持することも可能である。
【0046】
第2の実施形態に係るドアラッチ装置においても、補助カバー36に、上下の外周面に互いに平行をなす平坦部(回転規制部)38a、38aを有するほぼ楕円形のヒンジ軸38を設け、このヒンジ軸38を、カバー18側に設けた上下1対の弾性保持片42、42間に嵌合して、上下の回転規制部38aに両弾性保持片42を弾性的に圧接させるだけの簡単な構成で、補助カバー36を、180度開いた第2開放位置に停止させて仮保持しうるので、補助カバー36を開放位置に仮保持する手段の構成が、従来のドアラッチ装置の仮止め手段に比して簡単であり、カバー18や補助カバー36を成形する際のコストが低減される。
【0047】
また、補助カバー36を180度開いた第2開放位置に停止させて仮保持しうるので、上記第1の実施形態と同様に、ドアラッチ装置をドアD内に組み付ける際の組付作業性や、ケーブル連結領域部181への第1、第2ボーデンケーブル19、21の組付け作業性等を向上させることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、例えば次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
上記実施形態では、補助カバー36側にヒンジ軸38を設け、このヒンジ軸38を、カバー18側に設けた上下1対の弾性保持片42間に嵌合しているが、それらの嵌合関係を、
図12に示すように逆としてもよい。すなわち、例えばカバー18の下面に、補助カバー36取付用の互いに対向する1対の取付部49を下向きに突設し、両取付部49の対向面間に、上記第1の実施形態と同様のヒンジ軸38を設け、このヒンジ軸38に、補助カバー36の下面に突設された、上記実施形態とは逆向きの上下1対の弾性保持片42、42を、車内側より回転自在に嵌合する。また、例えば補助カバー36の下端部(閉塞状態では上端部)とカバー18の下面とに、それぞれ、上記実施形態と同様の被ストッパ部39とストッパ部43を設け、補助カバー36を180度を超える位置まで開方向へ回転させたとき、被ストッパ部39がストッパ部43を乗り越えるようにすれば、
図13に示すように、補助カバー36を、上記第1の実施形態と同様に、第1開放位置に停止させて仮保持することができる。
【0049】
上記第2の実施形態では、ヒンジ軸38における長軸方向の上下両面に平坦部(回転規制部)38aを設けているが、上下いずれか一方の平坦部38aを省略して実施することもある。このようにしても、補助カバー36を180度回転させたとき、いずれか一方の平坦部38aが、上下いずれか一方の弾性保持片42に弾性的に圧接するので、補助カバー36を第2開放位置に仮保持することができる。なお、上下いずれか一方の平坦部38aを省略した場合には、弾性保持片42による補助カバー36の仮保持力を大とするために、平坦部38aの前後寸法(幅寸法)を、上記実施形態よりも大とするのがよい。
【0050】
上記実施形態では、ヒンジ軸38と弾性保持片42を、それぞれ補助カバー36とカバー18の前後方向の中央部に設けているが、それらを、例えば、補助カバー36とカバー18における前後方向の両端部の2箇所に設けてもよい。
【0051】
ヒンジ軸38の断面形状を円形とし、その上下両面、またはいずれか一方の面に、平坦部38aを設けてもよい。