特許第6379587号(P6379587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6379587-誘導電動機 図000002
  • 特許6379587-誘導電動機 図000003
  • 特許6379587-誘導電動機 図000004
  • 特許6379587-誘導電動機 図000005
  • 特許6379587-誘導電動機 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379587
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】誘導電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 17/16 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   H02K17/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-72179(P2014-72179)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-195673(P2015-195673A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 英男
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−010910(JP,A)
【文献】 特開昭59−059052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力が110kW以下となる誘導電動機において、
導電率が所定の大きさの第1の回転子と、導電率が前記第1の回転子よりも小さい第2の回転子とのいずれか一方が択一的に用いられるものであり、かつ前記第1の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.05未満となる一方、前記第2の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.05以上となり、
前記第1の回転子及び前記第2の回転子の少なくとも一方には、筐体を構成するブラケットよりも外部に露出する構成要素に目印となる加工が施されていることを特徴とする誘導電動機。
【請求項2】
出力が110kWを超え、かつ375kW以下となる誘導電動機において、
導電率が所定の大きさの第1の回転子と、導電率が前記第1の回転子よりも小さい第2の回転子とのいずれか一方が択一的に用いられるものであり、かつ前記第1の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.03未満となる一方、前記第2の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.03以上となり、
前記第1の回転子及び前記第2の回転子の少なくとも一方には、筐体を構成するブラケットよりも外部に露出する構成要素に目印となる加工が施されていることを特徴とする誘導電動機。
【請求項3】
前記第1の回転子と前記第2の回転子とでは、円筒状の回転子コアの回転子導体の導電率が異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導電動機。
【請求項4】
前記第1の回転子と前記第2の回転子とでは、円筒状の回転子コアに形成されるコアスロットの断面積が異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導電動機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ等の駆動においては、特許文献1に提案されているような三相誘導電動機が用いられている。そして、このような三相誘導電動機については、省エネルギー化を図る観点から所定の基準を具備することが求められており、かかる基準を具備するものについては高効率誘導電動機と称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−174389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような高効率誘導電動機は、十分に高い電動機効率を得ることができるものの、定格回転速度が高くなるという特性を有する。そのため、かかる高効率誘導電動機をポンプやファン等の駆動に用いる場合、電動機効率を高くすることができるが、電動機の回転速度が高くなってしまう。ここでポンプ等の駆動においては、使用する電力は回転速度の3乗に比例することが知られており、これにより、ポンプ等の駆動に高効率誘導電動機を用いた場合、電動機効率を高くすることができても、回転速度の向上に伴い消費電力が増大してしまい、結果として省エネルギー化を図ることができない虞れがあった。
【0005】
また、高効率誘導電動機は、始動電流が大きくなる傾向があるという特性を有しているため、始動電流が大きくなることに対して配線用遮断器、電磁開閉器等を適正検討する必要がある等、何らかの対策を取る必要があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、回転速度が大きくなると消費電力が増大する負荷に対しても省エネルギー化を図ることができるとともに、始動電流の低減化を図ることができる誘導電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る誘導電動機は、出力が110kW以下となる誘導電動機において、導電率が所定の大きさの第1の回転子と、導電率が前記第1の回転子よりも小さい第2の回転子とのいずれか一方が択一的に用いられるものであり、かつ前記第1の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.05未満となる一方、前記第2の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.05以上となることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る誘導電動機は、出力が110kWを超え、かつ375kW以下となる誘導電動機において、導電率が所定の大きさの第1の回転子と、導電率が前記第1の回転子よりも小さい第2の回転子とのいずれか一方が択一的に用いられるものであり、かつ前記第1の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.03未満となる一方、前記第2の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.03以上となることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記誘導電動機において、前記第1の回転子と前記第2の回転子とでは、円筒状の回転子コアの回転子導体の導電率が異なることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記誘導電動機において、前記第1の回転子と前記第2の回転子とでは、円筒状の回転子コアに形成されるコアスロットの断面積が異なることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記誘導電動機において、前記第1の回転子及び前記第2の回転子の少なくとも一方には、筐体を構成するブラケットよりも外部に露出する構成要素に目印となる加工が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、出力が110kW以下であって、導電率が所定の大きさの第1の回転子と、導電率が第1の回転子よりも小さい第2の回転子とのいずれか一方が択一的に用いられるものであり、かつ第1の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.05未満となるので、第1の回転子を用いた場合には、いわゆる高効率誘導電動機としての機能を発揮して、十分に高い電動機効率を得ることができ、省エネルギー化を図ることができる。そして、例えばポンプやファン等のように回転速度が大きくなると消費電力が増大する負荷に対して適用される場合には、第2の回転子を用いることで、同期速度と回転子の速度との差の比が0.05以上とすることができ、これにより回転数を低下させることができ、結果的に回転速度を低下させることができる。このように回転速度を低下させることで、電動機効率が低下しても消費電力の低減化を図ることができる。また、上記誘導電動機では、第1の回転子よりも導電率の低い第2の回転子を用いる場合には、回転子導体の電気抵抗を大きくすることができ、これにより始動電流の低減化を図ることができる。従って、回転速度が大きくなると消費電力が増大する負荷に対しても省エネルギー化を図ることができるとともに、始動電流の低減化を図ることができるという効果を奏する。
【0013】
本発明によれば、出力が110kWを超えて375kW以下であって、導電率が所定の大きさの第1の回転子と、導電率が第1の回転子よりも小さい第2の回転子とのいずれか一方が択一的に用いられるものであり、かつ第1の回転子を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.03未満となるので、第1の回転子を用いた場合には、いわゆる高効率誘導電動機としての機能を発揮して、十分に高い電動機効率を得ることができ、省エネルギー化を図ることができる。そして、例えばポンプやファン等のように回転速度が大きくなると消費電力が増大する負荷に対して適用される場合には、第2の回転子を用いることで、同期速度と回転子の速度との差の比が0.03以上とすることができ、これにより回転数を低下させることができ、結果的に回転速度を低下させることができる。このように回転速度を低下させることで、電動機効率が低下しても消費電力の低減化を図ることができる。また、上記誘導電動機では、第1の回転子よりも導電率の低い第2の回転子を用いる場合には、回転子導体の電気抵抗を大きくすることができ、これにより始動電流の低減化を図ることができる。従って、回転速度が大きくなると消費電力が増大する負荷に対しても省エネルギー化を図ることができるとともに、始動電流の低減化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態である誘導電動機を模式的に示す側面図である。
図2-1】図2−1は、本発明の実施の形態である誘導電動機を模式的に示す側面図である。
図2-2】図2−2は、図2−1で示した第2の回転子を構成する回転軸の負荷側の端面を示す説明図である。
図3図3は、第1の回転子を構成する回転子コアの断面図である。
図4図4は、第2の回転子を構成する回転子コアの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る誘導電動機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態である誘導電動機を模式的に示す側面図であり、一部を断面で示している。ここで例示する誘導電動機は、出力が110kW以下となる三相誘導電動機と称されるもので、モータフレーム10と、反負荷側ブラケット20と、負荷側ブラケット30と、固定子40と、第1の回転子50と、ファンカバー60とを備えて構成されている。
【0017】
モータフレーム10は、筒状に形成されており、その内部に固定子40や第1の回転子50等の誘導電動機の駆動部を収納するものである。
【0018】
反負荷側ブラケット20は、モータフレーム10とともに筐体を構成するもので、モータフレーム10の反負荷側開口を閉塞する態様で該モータフレーム10に取り付けられている。この反負荷側ブラケット20は、環状の反負荷側軸受21を保持するものである。
【0019】
負荷側ブラケット30は、モータフレーム10とともに筐体を構成するもので、モータフレーム10の負荷側開口を閉塞する態様で該モータフレーム10に取り付けられている。この負荷側ブラケット30は、環状の負荷側軸受31を保持するものである。
【0020】
固定子40は、固定子コア41を備えている。固定子コア41は、内周側にティースが形成された環状の電磁鋼板を複数枚積層して筒状に形成されており、その外周面はモータフレーム10の内周面に固着されている。また、固定子コア41のティースには、固定子巻線42が巻回されている。また、図には明示しないが、固定子40には、駆動用の三相電力を固定子巻線42に供給するための固定子用配線が接続されている。
【0021】
第1の回転子50は、固定子40の内周側において所定の空隙を介して該固定子40に対向配置されている。この第1の回転子50は、回転子コア51と、回転軸52と、回転子導体53とを備えて構成されている。
【0022】
回転子コア51は、中心部に回転軸孔51aを有する円環状の電磁鋼板を複数枚積層して円筒状に形成されたものである。このような回転子コア51においては、回転軸孔51aの周囲において周方向に沿って所定間隔毎に設けられたコアスロット51b(図3参照)が設けられている。
【0023】
回転軸52は、回転子コア51の回転軸孔51aを貫通する態様で設けられており、より詳細には、回転軸52の外周面より径方向外部に突出する態様で形成された図示せぬ突部が回転子コア51の回転軸孔51aの内周面に形成された凹部51c(図3参照)に進入することにより、回転軸52は、回転子コア51に一体的に回転可能に貫通している。この回転軸52は、上記反負荷側軸受21及び上記負荷側軸受31に軸支されており、更に反負荷側ブラケット20及び負荷側ブラケット30を貫通する態様で設けられている。尚、図中の符号52aは、負荷を取り付けるための凸部である。
【0024】
そして、回転軸52の反負荷側端部、すなわち反負荷側ブラケット20を貫通して外部に露出する端部には、電動機の冷却用の冷却ファン61が取り付けられている。
【0025】
回転子導体53は、導体とリング部とから構成されている。導体は、アルミニウムやアルミニウム合金(以下、アルミニウム等とも称する)のような磁性材料からなるものである。この導体は、上記回転子コア51bの各コアスロット51bに鋳込まれて形成されるものである。ここでコアスロット51bは、回転子コア51の軸方向に沿って設けられているので、回転子コア51の両端面には導体の端部が露出することとなる。
【0026】
リング部は、例えばアルミニウム等のような磁性材料から形成された円環状のもので、回転子コア51の軸方向両端面に形成されている。このリング部は、回転子コア51の両端面において各コアスロット51bに鋳込まれた導体と一体的に形成されており、これによりリング部は、各コアスロット51b内の各導体をその両端で短絡している。
【0027】
ファンカバー60は、反負荷側ブラケット20の外部域、すなわち冷却ファン61や回転軸52の負荷側端部を覆う態様でモータフレーム10に取り付けられている。
【0028】
このような誘導電動機においては、図2−1に示すように、第1の回転子50の代わりに第2の回転子70を用いることができる。つまり、図2−1に例示する誘導電動機は、モータフレーム10と、反負荷側ブラケット20と、負荷側ブラケット30と、固定子40と、第2の回転子70と、ファンカバー60とを備えて構成されている。
【0029】
第2の回転子70は、固定子40の内周側において所定の空隙を介して該固定子40に対向配置されている。この第2の回転子70は、回転子コア71と、回転軸72と、回転子導体73とを備えて構成されている。
【0030】
回転子コア71は、中心部に回転軸孔71aを有する円環状の電磁鋼板を複数枚積層して円筒状に形成されたものである。このような回転子コア71においては、回転軸孔71aの周囲において周方向に沿って所定間隔毎に設けられたコアスロット71b(図4参照)が設けられている。
【0031】
回転軸72は、回転子コア71の回転軸孔71aを貫通する態様で設けられており、より詳細には、回転軸72の外周面より径方向外部に突出する態様で形成された図示せぬ突部が回転子コア71の回転軸孔71aの内周面に形成された凹部71cに進入することにより、回転軸72は、回転子コア71に一体的に回転可能に貫通している。この回転軸72は、上記反負荷側軸受21及び上記負荷側軸受31に軸支されており、更に反負荷側ブラケット20及び負荷側ブラケット30を貫通する態様で設けられている。尚、図中の符号72aは、負荷を取り付けるための凸部である。
【0032】
そして、回転軸72の反負荷側端部、すなわち反負荷側ブラケット20を貫通して外部に露出する端部には、冷却ファン61が取り付けられている。
【0033】
また、回転軸72の負荷側端部、すなわち負荷側ブラケット30を貫通して外部に露出する部分には、図2−2に示すように、刻印75のような目印となる加工が施されている。
【0034】
回転子導体53は、導体とリング部とから構成されている。導体は、アルミニウム等のような磁性材料からなるものである。この導体は、上記回転子コア71bの各コアスロット71bに鋳込まれて形成されるものである。ここでコアスロット71bは、回転子コア71の軸方向に沿って設けられているので、回転子コア71の両端面には導体の端部が露出することとなる。
【0035】
リング部は、例えばアルミニウム等のような磁性材料から形成された円環状のもので、回転子コア71の軸方向両端面に形成されている。このリング部は、回転子コア71の両端面において各コアスロット71bに鋳込まれた導体と一体的に形成されており、これによりリング部は、各コアスロット71b内の各導体をその両端で短絡している。
【0036】
ここで回転子導体73の導電率は、第1の回転子50を構成する回転子導体53の導電率よりも小さいものである。よって、第2の回転子70は、第1の回転子50よりも導電率が低いものである。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態の誘導電動機においては、第1の回転子50と第2の回転子70とのいずれかを択一的に用いることができる。そして、第1の回転子50を用いる場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.05未満となり、その一方、第2の回転子70を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.05以上となる。
【0038】
このように上記誘導電動機においては、第1の回転子50を用いた場合には、いわゆる高効率誘導電動機としての機能を発揮して、十分に高い電動機効率を得ることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0039】
そして、例えばポンプやファン等のように回転速度が大きくなると消費電力が増大する負荷に対して適用される場合には、第2の回転子70を用いることで、「すべり」と称される同期速度と回転子の速度との差の比が0.05以上とすることができる。このようにすべりを0.05以上とすることで、回転数を低下させることができ、結果的に回転速度を低下させることができる。このように回転速度を低下させることで、電動機効率が低下しても消費電力の低減化を図ることができる。
【0040】
尚、第1の回転子50は、回転子コア51と、回転軸52と、回転子導体53と、反負荷側軸受21、負荷側軸受31とを一体的にユニット化しておくとともに、同様に、第2の回転子70は、回転子コア71と、回転軸72と、回転子導体73と、反負荷側軸受21と、負荷側軸受31とを一体的にユニット化しておくことにより、第1の回転子50と第2の回転子70との組み替えを容易に実施することができる。
【0041】
また、上記誘導電動機では、第1の回転子50よりも導電率の低い第2の回転子70を用いる場合には、回転子導体53よりも回転子導体73の電気抵抗を大きくすることができ、これにより始動電流の低減化を図ることができる。
【0042】
従って、本実施の形態である誘導電動機によれば、回転速度が大きくなると消費電力が増大する負荷に対しても省エネルギー化を図ることができるとともに、始動電流の低減化を図ることができる。
【0043】
また、上記誘導電動機によれば、第2の回転子70を構成する回転軸72の負荷側ブラケット30よりも外部に露出する端部に刻印75のような目印となる加工が施されているので、利用者に対して、誘導電動機には第2の回転子70が用いられていることを容易に理解させることができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0045】
上述した実施の形態では、出力が110kW以下の誘導電動機について説明したが、本発明においては、出力が110kWを超え、かつ375kW以下となる誘導電動機においても用いることができる。この場合の誘導電動機も、導電率が所定の大きさの第1の回転子50と、導電率が第1の回転子50よりも小さい第2の回転子70とのいずれか一方が択一的に用いられるものである。そして、第1の回転子50を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.03未満となる一方、第2の回転子70を用いた場合には、同期速度と回転子の速度との差の比が0.03以上となるものである。
【0046】
上述した実施の形態では、第2の回転子70を構成する回転子導体73の導電率を第1の回転子50を構成する回転子導体53の導電率よりも小さくすることで、第2の回転子70は、第1の回転子50よりも導電率が低いものであったが、本発明においては、次のようにすることもできる。すなわち、図3及び図4に示すように、第2の回転子70を構成する回転子コア71のコアスロット71bの断面積(図4参照)を、第1の回転子50を構成する回転子コア51のコアスロット51bの断面積(図3参照)よりも小さくすることで、各コアスロット51b,71bに鋳込まれる導体の断面積が小さくなる結果、第2の回転子70の導電率を第1の回転子50の導電率よりも小さくするようにしてもよい。
【0047】
上述した実施の形態では、第2の回転子70を構成する回転軸72の負荷側の端部に刻印75等の目印となる加工を施していたが、本発明においては、負荷側の端部に限らず、ブラケットから外部に露出する構成要素に種々の目印となる加工を施すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 モータフレーム
20 反負荷側ブラケット
21 反負荷側軸受
30 負荷側ブラケット
31 負荷側軸受
40 固定子
41 固定子コア
42 固定子巻線
50 第1の回転子
51 回転子コア
51a 回転軸孔
51b コアスロット
51c 凹部
52 回転軸
52a 突部
53 回転子導体
60 ファンカバー
61 冷却ファン
70 第2の回転子
71 回転子コア
71a 回転軸孔
71b コアスロット
71c 凹部
72 回転軸
72a 突部
73 回転子導体
75 刻印
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4