(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部分的に又は全体的に、前記複数の主面の高さが均一に調整されたマルチ電子部品モジュール構造を有する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一記載の電子装置。
前記調整要素は、前記複数の実装領域と前記複数の下層電子部品間に形成されて両者を接合する複数の接合層および前記複数の実装領域のいずれか一以上である、ことを特徴とする請求項8記載の電子装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
形態1は、第1の視点に記載のとおりである。なお、下層および上層電子部品は、半導体チップ、半導体チップ以外の能動部品又は受動部品のいずれか一以上から選択することができる。
【0020】
形態2において、電子装置は、前記調整要素として、前記複数の実装領域と前記複数の下層電子部品間に形成されて両者を接合する、複数の接合層を備えている。前記複数の接合層の相対的な厚み調整によって、前記上層電子部品が跨る前記複数の主面の高さが均一にされる。
【0021】
形態3において、前記調整要素は前記複数の実装領域である。前記複数の実装領域の相対的な高さ調整によって、前記上層電子部品が跨る前記複数の主面の高さが均一にされる。
【0022】
形態4においては、前記複数の実装領域の高さが互いに異なるよう、前記基板に、段差、複数の凹部、基板厚みの相違および基板高さの相違のいずれか一以上が形成される。
【0023】
形態5において、電子装置は、前記下層電子部品である複数の下層半導体チップと、前記複数の下層半導体チップに、該複数の下層半導体チップと平行な状態でバンプ接続される、前記上層電子部品である少なくとも一つの上層半導体チップと、を備えている。
【0024】
形態6においては、一つの前記上層電子部品が有する入出力端子間距離と、前記上層電子部品が跨る二つの前記下層電子部品のうち、一方の前記下層電子部品が有し前記上層電子部品が有する前記入力端子に接続される出力端子と、他方の前記下層電子部品が有し前記上層電子部品の前記出力端子に接続される入力端子との間の距離と、が等しい。
【0025】
形態7において、電子装置は、部分的に又は全体的に、前記複数の主面の高さが均一に調整されたマルチ電子部品モジュール構造を有している。電子部品を三層以上に積層することもできる。
【0026】
形態8は、第2の視点に記載のとおりである。
【0027】
形態9において、前記調整要素は、前記複数の実装領域と前記複数の下層電子部品間に形成されて両者を接合する複数の接合層および前記複数の実装領域のいずれか一以上である。
【0028】
形態10は、第3の視点に記載のとおりである。
【0029】
上記各形態の電子装置および製造方法は、特に、マルチ部品モジュール構造を有する電子装置およびその製造方法に利用され、中でも、マルチチップモジュール構造を有する半導体装置およびその製造方法に利用され、例えば、回路基板上に複数の半導体チップが配置され、複数の半導体チップの端子間が電気的に接続されたマルチチップモジュール構造を有し、端子間を短距離で接続することが求められる高周波通信用モジュールに好適に利用される。
【0030】
本発明の一実施形態の概要について、図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0031】
図1(A)および(B)を参照すると、実施形態の半導体装置(電子装置)は、下記の要素を備えている:
回路基板1;
回路基板1が有する複数の実装領域1a,1b,1c上に、フェイスアップで搭載される複数の下層電子部品11,13,15;
複数の下層電子部品11,13,15が有する複数の主面11a,13a,15aに跨って、フェイスダウンで搭載される少なくとも一つの上層電子部品12,14;
複数の主面11a,13a,15aの高さが均一となるよう形成される調整要素。
【0032】
図1(A)および(B)に示した実施形態において、調整要素は複数の接合層5a,5b,5cである。接合層5a,5b,5cの厚みを調整することによって、上層電子部品12,14が跨る複数の主面11a,13a,15aの高さを容易に均一化することができる。
【0033】
図5(A)等に示す他の実施形態においては、調整要素は、回路基板1が有する乃至それと一体の複数の実装領域1a,1b,1cである。複数の実装領域1a,1b,1cの高さを調整することによって、上層電子部品12,14が跨る複数の主面11a,13a,15aの高さを容易に均一化することができる。
【0034】
実施形態の半導体装置は、電子部品をフリップチップ構造ないしバンプを用いて回路基板又は他の電子部品に接続できるため、配置長が短縮でき、複数の電子部品間の伝送損失を抑制できる。
【0035】
実施形態の半導体装置は、複数の下層電子部品11,13,15間の厚みの相違が、接合層5a,5b,5cの厚み調整、および、回路基板1が有する複数の実装領域1a,1b,1cの高さ調整のいずれか一以上によって、補償され、上層電子部品12,14が跨る複数の主面の高さを容易に均一化することができる。例えば、上層電子部品12,14を、回路基板1および下層電子部品に対する平行度を維持して、積層することができる。かくして、マルチ電子部品モジュール構造の強度および組立性が向上する。
【0036】
実施形態の半導体装置のさらなる効果を、上述した特許文献1と対比しながら説明する。
【0037】
第1の効果は、電子部品、例えば、半導体チップを回路基板へ接続するための端子数を増加させることができることである。
【0038】
一般的に、半導体チップは、電源用、グランド用および信号用などの多数の端子を有する方が電気特性上に有利である。
【0039】
これに対して、特許文献1によれば、チップ間配線層を有する半導体基板は、配線基板への接続を取ることができず、半導体チップへの接続のみとなる。また、半導体チップから接続を取り出すことが可能なエリアは、チップ間配線層を有する半導体基板が遮蔽していないエリアに限定されている。
【0040】
第2の効果は、一体構造の回路基板1に強固に固定された下層電子部品11,13,15に上層電子部品12,14が高い強度で接続されているため、マルチ電子部品モジュール構造を補強するアンダーフィル樹脂が不要になることである。
【0041】
一般的に、アンダーフィル樹脂は、半導体装置の誘電率を高める。高周波向けのマルチチップモジュールにおいては、誘電率を低く抑えることが強く求められている。
【0042】
これに対して、特許文献1のマルチチップモジュール構造によれば、アンダーフィル樹脂による補強が必要であり、誘電率の上昇を招く傾向がある。
【0043】
第3の効果は、装置全体の配線長を短縮できることである。
【0044】
これに対して、特許文献1のマルチチップモジュール構造によれば、バンプ接続される、半導体チップの端子と、チップ間配線層を有する半導体基板の端子との接続においては、ワイヤ接続する場合と比べて配線長が短縮される。しかしながら、チップ間配線層内部での配線の引き回し又は半導体チップ内での外部接続先までの引き回しに起因して、全体的には配線長が長くなる。
【0045】
続いて、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以降の記述において、多くの具体的事項は、説明のため、本発明の理解を助けるためになされたものである。
【0046】
(実施形態1)
実施形態1の電子装置は、マルチチップモジュール構造を有する半導体装置である。実施形態1の半導体装置は、回路基板上にフェイスアップに搭載される下層半導体チップの接続端子に、フェイスダウンに搭載される上層半導体チップの接続端子が、位置合わせされ、バンプ接合によって電気的に接続されている。半導体チップの電源およびグランドは、個別にワイヤボンディングもしくはフリップチップのバンプにより回路基板へ直接接続してもよい。
【0047】
以下の実施形態等では、電子部品として、主として、半導体チップを用いた例を説明するが、これに代えて、半導体チップ以外の能動部品、あるいはアンテナ、分岐パターンもしくはコンデンサのような受動部品を用いてもよい。なお、採用される半導体チップは、目的に応じて、種々の回路構成を有するものを適宜選択できる。
【0048】
以下の実施形態等では、半導体装置は、回路基板1上に実装ないし積層される五個の半導体チップを備えている。しかし、特に半導体チップの個数に制限はない。奇数個又は偶数個の半導体チップを用いて、マルチチップモジュール構造を有する半導体装置を構成することができる。
【0049】
図1(A)および(B)を参照すると、実施形態1の半導体装置は、下記の要素を備えている:
回路基板1;
回路基板1が有する複数の実装領域1a,1b,1c上に、フェイスアップで搭載される複数の下層半導体チップ11,13,15;
複数の下層半導体チップ11,13,15が有する複数の主面11a,13a,15aに跨って、フェイスダウンで搭載される上層半導体チップ12,14;
複数の実装領域1a,1b,1cと複数の下層半導体チップ11,13,15間に形成されて両者を接合する、複数の接合層(調節要素)5a,5b,5c。
【0050】
複数の接合層5a,5b,5cの相対的な厚み調整によって、上層半導体チップ12,14が跨る、下層半導体チップ11,13,15上の複数の主面11a,13a,15aの高さが均一となる。
【0051】
さらに詳細に、実施形態1の半導体装置の構成を説明する。
【0052】
回路基板1の片面には、Au又はCuなどの金属材料で覆われ、グランド接続機能および放熱機能を有する平坦な金属主面2と、Au又はCuなどの金属材料で覆われた信号供給端子3と、が設けられている。
【0053】
なお、回路基板1において、金属主面2の反対面には、ビアホールなどによって電気的接続される金属面を形成し、回路基板1を両面板とすることができる。
【0054】
下層および上層半導体チップ11〜15は、主面側に信号ラインに接続される信号入力端子7と信号出力端子8とを有している。なお、信号入力端子7と信号出力端子8以外にも、電源およびグランドと接続される端子が設けられるが、図示は省略する。
【0055】
下層および上層半導体チップ11〜15は、信号ラインの接続順に、フェイスアップにした下層半導体チップ11,13,15と、フェイスダウンにした上層半導体チップ12,14が交互に配置されている。
【0056】
下層および上層半導体チップ11〜15が有する信号入力端子7と信号出力端子8は電気的に接続されている。下層半導体チップ11の信号出力端子8(11)と上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)、上層半導体チップ12の信号出力端子8(12)と下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)、下層半導体チップ13の信号出力端子8(13)と上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)、上層半導体チップ14の信号出力端子8(14)と下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)とが、バンプ6を介してそれぞれ接続されている。
【0057】
下層半導体チップ11,13,15は、回路基板1の金属主面2上に、接合層5a,5b,5cを介して接合されている。接合層5a,5b,5cは、種々の金属を主成分とするろう材、又は、Ag若しくはCuなどの金属フィラーを含有する導電性接着材などから形成することができる。
【0058】
下層半導体チップ11は、信号ラインの先頭に位置し、その信号入力端子7(11)は、回路基板1に設けられた信号供給端子3に、信号接続ワイヤ4を介して電気的に接続されている。
【0059】
下層半導体チップ13は、下層半導体チップ11の信号出力端子8(11)と下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)間の距離が、上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)と信号出力端子8(12)間の距離と等しくなるよう、搭載されている。
【0060】
下層半導体チップ15は、下層半導体チップ13の信号出力端子8(13)と下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)間の距離が、上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)と信号出力端子8(14)間の距離と等しくなるように搭載されている。
【0061】
上層半導体チップ12,14は、下層半導体チップ11,13,15の信号入力端子7と信号出力端子8上に搭載されている。
【0062】
上層半導体チップ12は、上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)と下層半導体チップ11の信号出力端子8(11)の位置が整合し、および、上層半導体チップ12の信号出力端子8(12)と下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)の位置が整合するよう、バンプ6を介して、下層半導体チップ11,13に接続されている。
【0063】
上層半導体チップ14は、上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)と下層半導体チップ13の信号出力端子8(13)の位置が整合し、および、上層半導体チップ14の信号出力端子8(14)と下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)の位置が整合するよう、バンプ6を介して、下層半導体チップ13,15に接続されている。
【0064】
次に、複数の接合層5a,5b,5cの相対的な厚み調整によって、上層電子部品12,14が跨る複数の主面11a,13a,15aの高さを均一とする方法について詳細に説明する。
【0065】
一般的に、マルチチップモジュール構造を有する半導体装置は、チップ厚みの異なる複数の半導体チップ(下層半導体チップ11,13,15)が用いられる。チップ厚みの異なる複数の半導体チップ11,13,15を、そのまま、回路基板1に搭載すると、複数の半導体チップ11,13,15の主面(上層半導体チップ12,14を搭載する面、回路面)11a,13a,15aの高さに、段差が発生する。このように高さが異なる主面11a,13a,15aに跨って、上層半導体チップ12,14を搭載すると、上層半導体チップ12,14は傾いた状態となる。すなわち、上層半導体チップ12,14の信号入力端子7の面と信号出力端子8の面とが平行でない状態で、下層半導体チップ11,13,15とのバンプ接続が行われる。この場合、接続強度が低下したり、入力端子側と出力端子側で接続強度が異なったりして、接続信頼性が低下するおそれがある。
【0066】
そこで、チップ厚みの異なる複数の下層半導体チップ11,13,15を使用する場合においても、複数の主面11a,13a,15aの高さが等しく揃うよう、下層半導体チップ11,13,15と回路基板1の金属主面2との間に形成する接合層5a,5b,5cの厚み(接合材料の形成厚み)を調整する。例えば、下層半導体チップ11,13,15の厚みと接合層5,5b,5cの厚みとの合計が、互いに一定になるように、接合層5a,5b,5cの厚みを計算すればよい。
【0067】
接合層5a,5b,5cの厚みは、ベースとなる基準厚みに、一番厚い半導体チップの厚みからの差分を加えて計算することが好ましい。
【0068】
例えば、実用されている半導体チップの厚みを参照して、下層半導体チップ11,13,15の厚み等を下記のとおり設定することができる。
【0069】
下層半導体チップ11の厚み:t11 = 0.100mm;
下層半導体チップ13の厚み:t13 = 0.120mm;
下層半導体チップ15の厚み:t15 = 0.080mm;
接合層の基準厚み:t0(5)=0.010mm
【0070】
下層半導体チップ11の接合層5aの厚み:t5(11) = t0 + (t13 - t11) = 0.030mm;
下層半導体チップ13の接合層5bの厚み:t5(13) = t0 + (t13 - t13) = 0.010mm;
下層半導体チップ15の接合層5cの厚み:t5(15) = t0 + (t13 - t15) = 0.050mm。
【0071】
このようにして、フェイスアップ(主面を上向き)で搭載される下層半導体チップ11,13,15の主面11a,13a,15aの高さは、回路基板1の金属主面2から0.130mmの高さに統一される。かくして、上層半導体チップ12,14においては、信号入力端子7と信号出力端子8が同じ高さに位置し、入出力端子面が平行な状態でバンプ接続される。
【0072】
次に、
図1(A)および(B)を参照しながら説明した実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を、さらに
図2および
図3を参照しながら説明する。
【0073】
図2は、実施形態1の半導体装置の製造に好適に使用されるチップ搭載機100を示している。
【0074】
チップ搭載機100は、半導体チップ11〜15をセットするチップ供給ステージ101と、下層および上層半導体チップ11〜15が搭載される回路基板1をセットするチップ搭載ステージ102と、フェイスアップに搭載する下層半導体チップ11,13,15のハンドリングを行うフェイスアップチップ搭載用ヘッド103と、フェイスダウンに搭載する上層半導体チップ12,14のハンドリングを行うフェイスダウンチップ搭載用ヘッド104と、チップ供給ステージ101上の認識を行う第1の認識カメラ105と、フェイスダウンチップ搭載用ヘッド104でハンドリングした上層半導体チップ12,14の入出力端子7,8を下側から認識する第2の認識カメラ106と、チップ搭載ステージ102上の認識を行う第3の認識カメラ107と、を備えている。
【0075】
チップ搭載ステージ102は、接合層を硬化させる加熱機能を備えている。チップ搭載ステージ102は、エアブローまたはN2ブロー式による冷却機能を備えており、加熱した半導体チップ11〜15を急速に冷却することができる。
【0076】
チップ供給ステージ101上に、下層半導体チップ11,13,15はフェイスアップにセットされ、上層半導体チップ12,14はフェイスダウンにセットされている。
【0077】
チップ搭載ステージ102上には、回路基板1が金属主面2を上向きにセットされている。
【0078】
なお、実施形態1では、便宜上、下層半導体チップ11,13,15の厚みを上記のように仮定し、接合層5a,5b,5cの厚みを上記のように計算したが、上記厚みの設定値および計算値は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、上記以外の厚みを有する半導体チップに対しても好適に適用される。
【0079】
接合層5a,5b,5cの形成材料には、上述したろう材又は導電性接着材などを使用できるが、以下の説明においては、Agフィラーを含有した導電性接着材を使用する。
【0080】
なお、チップ搭載機100は、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103とフェイスダウンチップ搭載用ヘッド104という二つの搭載用ヘッドを使用しているが、半導体チップ11〜15に接触する部分に制限がない場合は、一つの搭載用ヘッドを共有することができる。また、接触する部分に制限がある場合であっても、その部位の部品を交換することができれば一つの搭載用ヘッドを用いることができる。
【0081】
[第1の製造方法]
次に、
図2に示したチップ搭載機100を用いた、
図1(A)および(B)に示した実施形態1の半導体装置の第1の製造方法(ステップ1〜14)を、さらに
図3のフローチャート(S101〜109)を参照しながら説明する。
【0082】
下記のステップ1〜8が、
図3のS101〜S105の工程に対応する。ステップ8の終了後、
図3のS106が実行され、すなわち、下層半導体チップ11,13,15の搭載確認が、第3の認識カメラ107等によって実行される。搭載が完了していない場合には、
図3のS104の工程に戻り、完了している場合はS107(ステップ9)に処理を移行する。
【0083】
下記のステップ9の工程が、
図3のS107の工程に対応する。すなわち、下層半導体チップ11,13,15が回路基板1上の複数の実装領域1a,1b,1cに固定される。
【0084】
下記のステップ10〜14の工程が、
図3のS108の工程に対応する。下記のステップ14の工程後、
図3のS109が実行され、上層半導体チップ12,14の搭載確認が、第3の認識カメラ107等によって実行される。搭載が完了していない場合には、
図3のS108の工程に戻り、完了している場合は処理を終了する。
【0085】
特に、S104(ステップ7)の工程が、下層半導体チップ11,13,15の回路基板1への搭載前、上層半導体チップ12,14が跨る複数の主面11a,13a,15aの高さが均一となるよう、調整要素を形成する工程である。
【0086】
特に、S105(ステップ8)の工程が、下層電子部品11,13,15を、下層電子部品11,13,15に跨る上層電子部品12,14が有する信号入出力端子7,8間距離に合わせて、回路基板1上に搭載する工程である。
【0087】
特に、S108(ステップ12,14)の工程が、上層電子部品12,14の入出力端子7,8を、下層電子部品11,13,15のうち、一方の下層電子部品11,13が有する入力端子7と、他方の下層電子部品13,15が有する出力端子8にそれぞれバンプ接続する工程である。
【0088】
〔ステップ1〕
チップ供給ステージ101上の上層半導体チップ12について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形を認識し、フェイスダウンチップ搭載用ヘッド104でピックアップして、第2の認識カメラ106上に移動させ、上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)および信号出力端子8(12)の位置を認識し、信号入力端子7(12)と信号出力端子8(12)との距離を測定したのち、チップ供給ステージ101の元の場所に戻す。
【0089】
〔ステップ2〕
チップ供給ステージ101上の上層半導体チップ14について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形を認識し、フェイスダウンチップ搭載用ヘッド104でピックアップして、第2の認識カメラ106の上に移動させ、上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)および信号出力端子8(14)の位置を認識し、信号入力端子7(14)と信号出力端子8(14)との距離を測定したのち、チップ供給ステージ101の元の場所に戻す。
【0090】
〔ステップ3〕
回路基板1上の下層半導体チップ11を搭載する位置(実装領域1a)に、接合層5aを形成するため、Agフィラーを含有した導電性接着材である接合材料5(11)を供給する。供給量はチップを搭載したときに接合層5aの厚みが狙った値になるよう考慮する。下層半導体チップ11では、〔t5(11)×半導体チップ11の面積〕の量のAgペーストを供給する。
【0091】
〔ステップ4〕
チップ供給ステージ101上の下層半導体チップ11について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形と信号入力端子7(11)および信号出力端子8(11)の位置を認識し、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103でピックアップして回路基板1上に移動させ、搭載角度を所定の角度に合わせ、また、信号入力端子7(11)の位置を信号入力端子7との接続位置に合わせて、下層半導体チップ11裏面の高さが回路基板1の金属主面2より、t5(11) = 0.030mm、主面(主面)11aの高さが0.130mmになるように、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させる。
【0092】
〔ステップ5〕
回路基板1上の下層半導体チップ13を搭載する位置(実装領域1b)に、接合層5bを形成するため、接合材料5(13)を供給する。供給量はチップを搭載したときに接合層5bの厚みが狙った値になるよう考慮し、下層半導体チップ13では〔t5(13)×半導体チップ13の面積〕の量のAgペーストを供給する。
【0093】
〔ステップ6〕
チップ供給ステージ101上の下層半導体チップ13について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形と信号入力端子7(13)および信号出力端子8(13)の位置を認識し、フェイスアップ搭載用ヘッド103でピックアップして回路基板1上に移動させ、搭載角度を所定の角度に合わせ、また、下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)と下層半導体チップ11の信号出力端子8(11)との距離が、事前に測定した上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)と信号出力端子8(12)との距離に等しくなる位置に、下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)を合わせて、下層半導体チップ13裏面の高さが回路基板1の金属主面2より、t5(13) = 0.010mm、主面(主面)13aの高さが0.130mmになるように、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させる。
【0094】
〔ステップ7〕
回路基板1上の下層半導体チップ15を搭載する位置に接合材料5(15)を供給する。供給量はチップを搭載したときに接合層5cの厚みが狙った値になるよう考慮し、半導体チップ15では〔t5(15)×半導体チップ15の面積〕の量のAgペーストを供給する。
【0095】
〔ステップ8〕
チップ供給ステージ101上の下層半導体チップ15について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形と信号入力端子7(15)および信号出力端子8(15)の位置を認識し、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103でピックアップして回路基板1上に移動させ、搭載角度を所定の角度に合わせ、また、下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)と下層半導体チップ13の信号出力端子8(13)との距離が、事前に測定した上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)と信号出力端子8(14)との距離に等しくなる位置に、下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)を合わせて、下層半導体チップ15裏面の高さが回路基板1の金属主面2より、t5(15) = 0.050mm、主面(主面)11aの高さが0.130mmになるように、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させる。
【0096】
〔ステップ9〕
チップ搭載ステージ102を加熱して、Agペーストを硬化させる。所定の時間経過後は、下層半導体チップ11,13,15の主面11a,13a,15aの高さが0.130mmとなる。
【0097】
〔ステップ10〕
下層半導体チップ11,13,15の信号入力端子7と信号出力端子8の上に、バンプ6を載せる。このため、チップ搭載機100に供給機能を追加してもよく、ピンセットなどを用いて手作業で載せてもよい。
【0098】
〔ステップ11〕
チップ供給ステージ101上の上層半導体チップ12について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形を認識し、フェイスダウンチップ搭載用ヘッド104でピックアップし、第2の認識カメラ106上に移動させて、上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)および信号出力端子8(12)の位置を認識する。
【0099】
〔ステップ12〕
上層半導体チップ12をピックアップしたフェイスダウンチップ搭載用ヘッド104を回路基板1上に移動させ、上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)と下層半導体チップ11の信号出力端子8(11)、および上層半導体チップ12の信号出力端子8(12)と下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)とを合わせ、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させて、バンプ6を熱圧着させて、端子を接続させる。
【0100】
〔ステップ13〕
チップ供給ステージ101上の上層半導体チップ14について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形を認識し、フェイスダウンチップ搭載用ヘッド104でピックアップし、第2の認識カメラ106の上に移動させて、上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)および信号出力端子8(14)の位置を認識する。
【0101】
〔ステップ14〕
上層半導体チップ14をピックアップしたフェイスダウンチップ搭載用ヘッド104を回路基板1上に移動させ、上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)と下層半導体チップ13の信号出力端子8(13)、および上層半導体チップ14の信号出力端子8(14)と下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)とを合わせ、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させて、バンプ6を熱圧着させて、端子を接続させる。
【0102】
以上により、下層および上層半導体チップ11〜15の搭載が完了する。
【0103】
第1の製造方法によれば、接合材料(接合層)5を硬化させるときに、フェイスアップで搭載した下層半導体チップ11,13,15のフェイスアップチップ搭載用ヘッド103による固定が解除されているため、硬化中に位置が変位する可能性を考慮することが好ましい。よって、信号入力端子7と信号出力端子8とのバンプ接続を確実にするため、信号入力端子7の径を、信号出力端子8の径よりも大きく設定することが好ましい。これによって、フェイスアップで搭載した下層半導体チップ11,13,15が互いに逆方向(離間方向)に変位した場合でも安定的な接続が維持できる。
【0104】
また、端子の径を変えられない場合や位置の仕様が厳密な場合などは、次の第2の製造方法〔ステップ2−1〕〜〔ステップ2−15〕を用いて、精度のよい搭載を実行することができる。
【0105】
[第2の製造方法]
第1の製造方法では、下層半導体チップ11,13,15が完全に固定されていない状態で、上層半導体チップ12,14の搭載を行った。第2の製造方法では、下層半導体チップ11,13,15を完全に固定した後、上層半導体チップ12,14の搭載を行う。
【0106】
第1の製造方法では、最初に、上層半導体チップ12(14)の測定を行った。第2の製造方法では、一方の下層半導体チップ11(13)を固定した後、上層半導体チップ12(14)の測定を行い、この測定結果に応じて、他方の下層半導体チップ13(15)を位置決めして、固定する。
【0107】
次に、
図2に示したチップ搭載機100を用いて、
図1(A)および(B)に示した実施形態1の半導体装置の第2の製造方法を説明する。なお、第1および第2の製造方法の共通点については、適宜第1の製造方法に関する記載を適宜参照することができるものとする。
【0108】
〔ステップ2−1〕
回路基板1上の下層半導体チップ11を搭載する位置(実装領域1a)に、Agフィラーを含有した導電性接着材である接合材料5(11)を供給する。供給量はチップを搭載したときに接合層5aの厚みが狙った値になるよう考慮し、下層半導体チップ11では〔t5(11)×半導体チップ11の面積〕の量のAgペーストを供給する。
【0109】
〔ステップ2−2〕
チップ供給ステージ101上の下層半導体チップ11について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形と信号入力端子7(11)および信号出力端子8(11)の位置を認識し、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を用いて回路基板1上に移動させ、搭載角度を所定の角度に合わせ、また、信号入力端子7(11)の位置を信号出力端子8との接続位置に合わせて、下層半導体チップ11裏面の高さが回路基板1の金属主面2より、t5(11) = 0.030mmになるように、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させる。
【0110】
〔ステップ2−3〕
この状態で、チップ搭載ステージ102を加熱して、Agペーストを硬化させる。所定の時間経過後は下層半導体チップ11裏面の高さが0.030mmで固定され、主面(主面)11aの高さが0.130mmとなる。
【0111】
〔ステップ2−4〕
チップ供給ステージ101上の上層半導体チップ12について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形を認識し、フェイスダウンチップ搭載用ヘッド104でピックアップして、第2の認識カメラ106の上に移動させ、上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)および信号出力端子8(12)の位置を認識し、信号入力端子7(12)と信号出力端子8(12)との距離を測定する。
【0112】
〔ステップ2−5〕
回路基板1上の下層半導体チップ13を搭載する位置(実装領域1b)に接合材料5(13)を供給する。供給量はチップを搭載したときに接合層5bの厚みが狙った値になるよう考慮し、下層半導体チップ13では〔t5(13)×半導体チップ13の面積〕の量のAgペーストを供給する。
【0113】
〔ステップ2−6〕
チップ供給ステージ101上の下層半導体チップ13について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形と信号入力端子7(13)および信号出力端子8(13)の位置を認識し、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103でピックアップして回路基板1上に移動させ、搭載角度を所定の角度に合わせ、また、下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)と下層半導体チップ11の信号出力端子8(11)との距離が、当該ステップで測定した上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)と信号出力端子8(12)との距離に等しくなる位置に、下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)を合わせて、下層半導体チップ13裏面の高さが回路基板1の金属主面2より、t5(13) = 0.010mmになるように、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させる。
【0114】
〔ステップ2−7〕
この状態で、チップ搭載ステージ102を加熱して、Agペーストを硬化させる。所定の時間経過後は下層半導体チップ13裏面の高さが0.010mmで固定され、主面(主面)11aの高さが0.130mmとなる。
【0115】
〔ステップ2−8〕
下層半導体チップ11の信号出力端子8(11)と下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)の上にバンプ6を載せる。
【0116】
〔ステップ2−9〕
上層半導体チップ12をピックアップしたフェイスダウンチップ搭載用ヘッド104を回路基板1上に移動させ、上層半導体チップ12の信号入力端子7(12)と下層半導体チップ11の信号出力端子8(11)、および上層半導体チップ12の信号出力端子8(12)と下層半導体チップ13の信号入力端子7(13)とを合わせ、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させて、バンプ6を熱圧着させて、端子を接続させる。
【0117】
〔ステップ2−10〕
チップ供給ステージ101上の上層半導体チップ14について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形を認識し、フェイスダウンチップ搭載用ヘッド104でピックアップして、第2の認識カメラ106の上に移動させ、上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)および信号出力端子8(14)の位置を認識し、信号入力端子7(14)と信号出力端子8(14)との距離を測定する。
【0118】
〔ステップ2−11〕
回路基板1上の下層半導体チップ15を搭載する位置(実装領域1c)に接合材料5(15)を供給する。供給量はチップを搭載したときに接合材料5の厚みが狙った値になるよう考慮し、下層半導体チップ15では〔t5(15)×半導体チップ15の面積〕の量のAgペーストを供給する。
【0119】
〔ステップ2−12〕
チップ供給ステージ101上の下層半導体チップ15について、第1の認識カメラ105を用いてチップ外形と信号入力端子7(15)および信号出力端子8(15)の位置を認識し、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103でピックアップして回路基板1上に移動させ、搭載角度を所定の角度に合わせ、また、下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)と下層半導体チップ13の信号出力端子8(13)との距離が、ステップ2−10で測定した上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)と信号出力端子8(14)との距離に等しくなる位置に、下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)を合わせて、下層半導体チップ15の裏面の高さが回路基板1の金属主面2より、t5(15) = 0.050mmになるように、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させる。
【0120】
〔ステップ2−13〕
この状態で、チップ搭載ステージ102を加熱して、Agペーストを硬化させる。所定の時間経過後は下層半導体チップ15裏面の高さが0.050mmで固定され、主面15aの高さが0.130mmとなる。
【0121】
〔ステップ2−14〕
下層半導体チップ13の信号出力端子8(13)と下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)の上にバンプ6を載せる。
【0122】
〔ステップ2−15〕
上層半導体チップ14をピックアップしたフェイスダウンチップ搭載用ヘッド104を回路基板1上に移動させ、上層半導体チップ14の信号入力端子7(14)と下層半導体チップ13の信号出力端子8(13)、および上層半導体チップ14の信号出力端子8(14)と下層半導体チップ15の信号入力端子7(15)とを合わせ、フェイスアップチップ搭載用ヘッド103を降下させて、バンプ6を熱圧着させて、端子を接続させる。以上により、下層および上層半導体チップ11〜15の搭載が完了する。
【0123】
以上の製造方法では、二つのチップ搭載用ヘッド103,104を使用して、搭載の流れの中で、フェイスダウンで搭載する上層半導体チップ12,14の信号入力端子7および信号出力端子8の位置認識と、信号入出力端子7,8間距離を測定しているが、事前にピックアップして測定し、その後供給ステージに戻すよう運用すれば、一つの搭載用ヘッドを用いてもよい。
【0124】
実施形態1の半導体装置およびその製造方法等の効果を説明する。
【0125】
第1の効果は、回路基板1の金属主面2と、フェイスアップで搭載する下層半導体チップ11,13,15との接合に介在する接合材料(接合層5a,5b,5c)の厚みを、下層半導体チップ11,13,15の厚みに合わせて設定することにより、下層半導体チップ11,13,15の主面11a,13a,15aの高さを水平方向に等しく揃えることができることである。これによって、主面11a,13a,15aに跨って搭載される、フェイスダウンで搭載する上層半導体チップ12,14を荷重バランス良く搭載することができるため、歩留りが良くなり、接続信頼性が向上する。
【0126】
第2の効果は、下層半導体チップ11,13,15と回路基板1との接続において、用途に応じてワイヤ接続を取り入れることもでき、接続の自由度が高く、接続範囲が広いということである。
【0127】
第3の効果は、下層半導体チップ11,13,15を一体構造の回路基板1に強固に固定し、隣り合う下層半導体チップ11,13,15の各々の端子面の高さを一定にすることにより、フェイスダウンで搭載する上層半導体チップ12,14を荷重バランス良く接合することができ、接続信頼性が向上することである。これによって、アンダーフィル樹脂による補強が不要とすることができる。
【0128】
第4の効果は、フェイスアップで搭載する下層半導体チップ11,13,15と、フェイスダウンで搭載する上層半導体チップ12,14を交互に配置させ、半導体チップ11〜15の端子間をバンプ接続することで、従来のワイヤ接続や配線部材による接続よりも配線長が短縮されることである。
【0129】
第5の効果は、フェイスアップで搭載する下層半導体チップ11,13,15と、フェイスダウンで搭載する上層半導体チップ12,14を交互に配置することにより、チップ面(主面、回路面又は搭載面)を重ねて搭載することができることである。これによって、従来のフェイスアップに搭載の場合よりも、実装面積を小さくすることができる。
【0130】
第6の効果は、下層半導体チップ11,13,15と上層半導体チップ12,14において、信号出力端子8と信号入力端子7とが向かい合うよう配置させてバンプ接続させることで、ワイヤや配線部材が不要になり資材費を低減でき、また、ワイヤボンディング工程や配線部材の接続工程が不要になることである。
【0131】
第7の効果は、下層半導体チップ11,13,15が有する主面11a,13a,15aの高さが同一とされることによって、上層半導体チップ12,14の位置合わせ及びバンプ接続が容易となることである。
【0132】
(実施形態2)
実施形態2では、主として、実施形態2と実施形態1の相違点について説明し、両実施形態の共通点については、実施形態1の記載を適宜参照するものとする。
【0133】
図1(A)を参照すると、実施形態1では、複数の下層半導体素子11,13(13,15)に跨って、上層半導体素子12(14)が搭載された。
図4を参照すると、実施形態2では、下層半導体素子11と回路基板1に跨って、上層半導体素子12が搭載される。
【0134】
図4を参照すると、実施形態2の半導体装置においては、フェイスアップに搭載した下層半導体チップ11の信号出力端子8と回路基板1の信号入力端子7に、フェイスダウンに搭載される上層半導体チップ12の信号入出力端子7,8の位置が合わされ、バンプ6を用いて接合されている。このように、上層半導体チップ12が跨る複数の電子部品1,11のうち、少なくとも一方が半導体チップ以外の電子部品であってもよい。
【0135】
(実施形態3)
図1(A)を参照すると、実施形態1等では、複数の厚みの異なる下層半導体チップ11,13,15を使用し、接合層5a,5b,5cの厚みを調整することにより、主面(下層半導体素子の主面)11a,13a,15aの高さを統一している。
【0136】
図5(A)を参照して、実施形態3では、回路基板1上の実装領域1a,1b,1cの相対的な高さを調整することにより、主面11a,13a,15aの高さを統一する。
【0137】
実施形態1の接合層5a,5b,5cの厚み調整と、実施形態3の実装領域1a,1b,1cの高さ調整を、半導体チップの厚みの個体差又は機材の寸法精度に応じて、併用してもよい。
【0138】
実施形態3では、主として、実施形態3と実施形態1の相違点について説明し、両実施形態の共通点については、実施形態1の記載を適宜参照するものとする。
【0139】
図5(A)を参照すると、実施形態3の半導体装置は、主として、回路基板1と、回路基板1上に搭載される五個の半導体チップ11〜15とから構成されている。
【0140】
回路基板1上、フェイスアップに搭載される下層半導体チップ11,13の実装領域1a,1bには、凹部51,52が形成されている(回路基板1上に段差が形成されている)。実装領域1a,1b(それらが設けられた凹部51,52の底面)および実装領域1cの面は、Au又はCuなどの金属膜(2)で覆われていて、それぞれが金属ワイヤ20を介してグランド(金属主面2)に接続されている。
【0141】
凹部51,52の深さは、回路基板1の厚みと下層半導体チップ11,13,15の厚みとの合計が互いに一定になるよう設定されている。すなわち、下層半導体チップ11,13,15のチップ厚みの相違に応じて、回路基板1上に部分的に凹部51,52を形成し、回路基板1の厚みを部分的に変えることによって、実装領域1a,1b,1cの高さを調整し、もって、主面11a,13a,15aの高さを均一にしている。
【0142】
凹部51,52の深さは、一番薄い下層半導体チップ15の厚みからの差分を加えて計算する。例えば、実用されている半導体チップの厚みから、次のように計算する。
【0143】
下層半導体チップ11の厚み:t11 = 0.100mm;
下層半導体チップ13の厚み:t13 = 0.120mm;
下層半導体チップ15の厚み:t15 = 0.080mm。
【0144】
下層半導体チップ11の凹部51深さ:凹(11)はt11 - t15 = 0.020mm;
下層半導体チップ13の凹部52深さ:凹(13)はt13 - t15 = 0.040mm;
下層半導体チップ15の凹部深さ(凹部なし):凹(15)はt15 - t15 = 0.000mm。
【0145】
実施形態3のさらなる効果を説明する。
【0146】
第1の効果は、回路基板1上、例えば、回路基板1上の金属主面2に、例えば、下層半導体チップ11,13,15の厚みに合わせた凹部51,52ないし段差を設けることによって、フェイスアップに搭載する下層半導体チップ11,13,15の主面11a,13a,15aの高さを水平方向に面一にできることである。これによって、フェイスダウンに搭載する上層半導体チップ12,14の接続時、信号出力端子8と信号入力端子7に同等の荷重がかかり、接続信頼性が向上される。
【0147】
第2の効果は、接合層5a,5b,5cの厚みを、下層半導体チップ11,13,15毎に設定しなくてもよいことである。これによって、工程管理が容易になる。
【0148】
第3の効果は、接合層5a,5b,5cの厚みを、放熱性と接合信頼性のバランスが両方確保される厚みに統一することができることである。これによって、品質が向上する。
【0149】
(実施形態4)
実施形態4では、主として、実施形態4と実施形態3の相違点について説明し、両実施形態の共通点については、実施形態3の記載を適宜参照するものとする。
【0150】
図5(B)を参照すると、実施形態4の半導体装置は、主に、回路基板1と、回路基板1に搭載された五個の半導体チップ11〜15とから構成されている。回路基板1は積層構造を有している。回路基板1において、下層半導体チップ11,13,15の実装領域1a,1b,1cの高さは、回路基板1の厚みと下層半導体チップ11,13,15の厚みとの合計が互いに一定になるよう、回路基板1が部分的に厚くされたり薄くされたりすることによって調整されている。回路基板1中、層間には、Au又はCuなどの金属膜2a,2b,2cが形成され、ビアホール21を通じて電気的に接続されている。
【0151】
実施形態4では、下層半導体チップ11,13,15のチップ厚みの相違に応じて、回路基板1の厚みを部分的に変えることによって、実装領域1a,1b,1cの高さを調整し、もって、主面11a,13a,15aの高さを均一にしている。
【0152】
実施形態4は、実施形態3と同様の効果を奏することができる。
【0153】
(実施形態5)
実施形態5では、主として、実施形態5と実施形態4の相違点について説明し、両実施形態の共通点については、実施形態4の記載を適宜参照するものとする。
【0154】
図6(A)および(B)を参照すると、実施形態5の半導体装置は、主に、回路基板1と、回路基板1に搭載される五個の半導体チップ11〜15とから構成されている。回路基板1、複数枚のサブ基板1001a〜1001cを重ね合わせて形成されている。フェイスアップに搭載される下層半導体チップ11,13,15が搭載される実装領域1a,1b,1cは、回路基板1の厚みと下層半導体チップ11,13,15の厚みとの合計が互いに一定となるようサブ基板1001a〜1001cが積層されている。なお、これによって、回路基板1において、中央には凹部52が形成され、凹部52の両側には段差54,55が形成されている。サブ基板1001a〜1001c間には、Au又はCuなどの金属膜が形成され、ビアホール21を通じて電気的に接続されている。
【0155】
実施形態5では、下層半導体チップ11,13,15のチップ厚みの相違に応じて、回路基板1の厚みを、サブ基板1001a〜1001cの積層状態の調整によって、部分的に変えることによって、実装領域1a,1b,1cの高さを調整し、もって、主面11a,13a,15aの高さを均一にしている。
【0156】
実施形態5は、実施形態4と同様の効果を奏することができる。
【0157】
(実施形態6)
実施形態6では、主として、実施形態6と実施形態3の相違点について説明し、両形態の共通点については、実施形態3の記載を適宜参照するものとする。
【0158】
図7(A)および(B)を参照すると、実施形態6の半導体装置は、主として、回路基板1と、回路基板1の裏面に貼り付けられた金属スペーサ22と、回路基板1上に搭載された五個の半導体チップ11〜15とから構成されている。
【0159】
回路基板1の表面は、Au又はCuなどの金属膜ないし金属主面2で覆われていて、それぞれが金属ワイヤ20を介してグランドに接続されている。
【0160】
金属スペーサ22上、下層半導体チップ13の実装領域1bに対応して、凹部52が形成されている。これによって、中間の実装領域1bと、左右の実装領域1a,1cとの間には、段差54,55がそれぞれ形成されている。回路基板1と一体の金属スペーサ22において、左右の実装領域1a,1cに対応する左右表面の高さと、中間の実装領域1bに対応する凹部52の底面の高さは、金属スペーサ22の部分的な厚みと下層半導体チップ11,13,15の厚みとの合計が互いに一定になるように形成されている。
【0161】
実施形態6の半導体装置は、金属スペーサ22を用いることによって、回路基板1に凹部ないし段差を直接的に形成することなく、上述した実施形態4の効果を奏することができる。
【0162】
(実施形態7)
実施形態7では、主として、実施形態7と実施形態3の相違点について説明し、両形態の共通点については、実施形態3の記載を適宜参照するものとする。
【0163】
図8を参照すると、実施形態7の半導体装置は、主に、金属スペーサ22と、金属スペーサ22の表面に張り付けられた回路基板1と、回路基板1(11,13,15)上に搭載された五個の半導体チップ11〜15とから構成されている。
【0164】
回路基板1(11,13,15)は互いに厚みが異なっている。すなわち、主面11a,13a,15aを上向きにして搭載される下層半導体チップ11,13,15の実装領域1a,1b,1cの厚みと下層半導体チップ11,13,15の厚みとの合計が互いに一定になるよう、回路基板1(11,13,15)をそれぞれ構成する基材が割り当てられている。回路基板1の表面には、Au又はCuなどの金属膜ないし金属主面2で覆われていて、それぞれが金属ワイヤ20でグランドに接続されている。
【0165】
実施形態7の半導体装置は、異なる厚みを有する複数の回路基板1(11,13,15)を用いることにより、上述した実施形態3の効果を奏することができる。
【0166】
(実施形態8)
実施形態8では、主として、実施形態8と実施形態3の相違点について説明し、両形態の共通点については、実施形態3の記載を適宜参照するものとする。
【0167】
図9(A)および(B)を参照すると、実施形態8の半導体装置は、主に、回路基板1と、回路基板1の表面に張り付けられた金属スペーサ(金属基板)22と、金属スペーサ22上に搭載される五個の半導体チップ11〜15とから構成されている。
【0168】
金属スペーサ22上、フェイスアップに搭載される下層半導体チップ11,13の実装領域1a,1bには、凹部51,52が形成されている(金属スペーサ22上に段差が形成されている)。凹部51,52の底面および実装領域1cの面は、Au又はCuなどの金属膜で覆われていて、それぞれが金属ワイヤ20を介してグランドに接続されている。
【0169】
凹部51,52の深さは、金属スペーサ22の厚みと下層半導体チップ11,13,15の厚みとの合計が互いに一定になるよう設定されている。すなわち、下層半導体チップ11,13,15のチップ厚みの相違に応じて、金属スペーサ22上に部分的に凹部51,52を形成し、回路基板1と一体の金属スペーサ22の厚みを部分的に変えることによって、実装領域1a,1b,1cの高さを調整し、もって、主面11a,13a,15aの高さを均一にしている。
【0170】
実施形態8の半導体装置は、回路基板1と一体化される金属スペーサ22を段差加工することによって、回路基板1の形状を変更することなく、上述した実施形態3の効果を奏することができる。さらに、下層半導体チップ11,13,15が、熱容量が大きい金属スペーサ22に直接搭載されることによって、放熱性が向上される。また、下層半導体チップ11,13,15を金属スペーサ22上に直接搭載することによって、グランド接続ができるため、回路基板1の表面上に金属膜を形成しなくてもよくなる。
【0171】
(実施形態9)
実施形態9では、主として、実施形態9と実施形態8の相違点について説明し、両形態の共通点については、実施形態8の記載を適宜参照するものとする。
【0172】
図10(A)および(B)を参照すると、実施形態9の半導体装置は、主に、回路基板1と、回路基板1の内側をくりぬいたスペースに挿入した金属スペーサ(金属基板)22と、金属スペーサ22上に搭載される五個の半導体チップ11〜15とから構成されている。
【0173】
金属スペーサ22は、実装領域1a,1b,1cが設けられる複数の頂面22a,22b,22cを有している。複数の頂面22a,22b,22cの間には、段差54,55がそれぞれ形成されている。複数の頂面22a,22b,22cは、複数の頂面22a,22b,22cの回路基板1表面からの突出高さと、下層半導体チップ11,13,15の厚みとの合計が互いに一定になるよう形成されている。
【0174】
実施形態9の半導体装置は、上述した実施形態8の半導体装置と同様の効果を奏することができる。
【0175】
(実施形態10)
実施形態10では、主として、実施形態10と実施形態3の相違点について説明し、両形態の共通点については、実施形態1の記載を適宜参照するものとする。
【0176】
図11を参照すると、実施形態10の半導体装置は、主に、回路基板1と、金属スペーサ(金属基板)22と、金属スペーサ22に実装された五個の半導体チップ11〜15とから構成されている。
【0177】
金属スペーサ22は、実装領域1a,1b,1cが設けられる複数の頂面(実装領域)22a,22b,22cを有している。複数の頂面(実装領域)22a,22b,22cの間には、段差54,55がそれぞれ形成されている。複数の頂面(実装領域)22a,22b,22cは、複数の頂面(実装領域)22a,22b,22cの基準面からの突出高さと、下層半導体チップ11,13,15の厚みとの合計が互いに一定になるよう形成されている。
【0178】
フェイスダウンに搭載した上層半導体チップ12,14の側に、回路基板1が貼り合わされ、電気回路が形成されている。このように、フェイスダウン搭載した上層半導体チップ12,14の裏面を回路基板1に固定することによって、構造を強固となり、接続信頼性が向上する。
【0179】
さらに、実施形態10の半導体装置は、上述した実施形態9の半導体装置と同様の効果を奏することができる。
【0180】
以上、本発明の一実施形態等を説明したが、本発明は、上記した実施形態等に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形、置換又は調整を加えることができる。
【0181】
(付記1)
基板と、
前記基板が有する複数の実装領域上に、フェイスアップで搭載される複数の下層電子部品と、
前記複数の下層電子部品が有する複数の主面に跨って、フェイスダウンで搭載される少なくとも一つの上層電子部品と、
前記上層電子部品が跨る前記複数の主面の高さが均一となるよう形成される調整要素と、
を備え、
前記調整要素は前記複数の実装領域であり、
前記複数の下層電子部品の厚みの相違に応じた、前記複数の実装領域の相対的な高さ調整によって、前記上層電子部品が跨る前記複数の主面の高さが均一にされる電子装置。
(付記2)
前記調整要素は、回路基板の表面又は裏面に接合され、或いは嵌合される、別の基板である付記1記載の電子装置。
(付記3)
前記複数の下層電子部品が実装される前記基板が金属板であり、
さらに、前記上層電子部品が回路基板に接続される付記1又は2記載の電子装置。
(付記4)
基板が有する第1および第2の実装領域に、第1および第2の下層半導体チップを固定する工程と、
上層半導体チップを、固定された前記第1および第2の下層半導体チップに跨って搭載する工程と、
上層半導体チップを、前記第1および第2の下層半導体チップに固定する工程と、
を備える、半導体装置の製造方法。
(付記5)
基板が有する第1の実装領域上に、第1の下層半導体チップをフェイスアップで搭載する工程と、
上層半導体チップを測定する工程と、
少なくとも前記上層半導体チップの測定結果に応じて、前記基板が有する第2の実装領域上に、第2の下層半導体チップ電子部品をフェイスアップで搭載する工程と、
前記第1および第2の下層電子部品に跨って、前記上層半導体チップ部品を搭載する工程と、
前記第1および第2の半導体チップ並びに前記上層半導体チップを固定する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記上層半導体チップは、前記第1および第2の下層半導体チップに跨ってバンプ接続される付記4又は5記載の半導体装置の製造方法。
【0182】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。