特許第6379628号(P6379628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379628
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】無人搬送車
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   G05D1/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-88588(P2014-88588)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2015-207224(P2015-207224A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】曲田 吉史
(72)【発明者】
【氏名】門間 隆司
(72)【発明者】
【氏名】川本 拓哉
【審査官】 加藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−269831(JP,A)
【文献】 特開平08−022326(JP,A)
【文献】 特開平04−043411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段からの駆動力を受けて回転駆動される左右一対の駆動輪と、
床面に設けられた軌道線と車体基準点とのずれ量及びずれ方向を検知する検知手段と、
前記ずれ量に応じて複数の制御パターンにより前記各駆動輪の相対的な速度差を段階的に制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は前記ずれ量が閾値以内の場合にはずれ方向とは逆側の前記駆動輪の速度を低下させる第1軌道修正動作を行い前記車体基準点を前記軌道線上に戻し、前記ずれ量が前記閾値を超えている場合には前記第1軌道修正動作後にずれ方向側の前記駆動輪の速度を低下させる第2軌道修正動作を行い前記車体基準点を前記軌道線上に戻すことを特徴とする無人搬送車。
【請求項2】
請求項1記載の無人搬送車において、
前記制動手段は前記第1軌道修正動作と前記第2軌道修正動作との間に、前記各駆動輪の速度を等速に制御する等速制御を行うことを特徴とする無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人搬送車の走行制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内の生産ライン等における物品の搬送手段として無人搬送車(オートガイドビークル:AGV)が広く使用されている。この無人搬送車は主にバッテリが搭載された自走式が使用されており、運行システムには予め記憶しているプログラムに従って走行するもの、あるいは無線通信によって統括制御されたもの等がある。
【0003】
このような無人搬送車には、バッテリ等の電源部、電源部からの電力を受けて駆動力を発生させる駆動部、駆動部の動作を制御する制御部、他の台車等を牽引する牽引部等が設けられている。そして無人搬送車は、床面に貼られた軌道線を駆動部に設けられたセンサによって認識し、軌道線に沿うように駆動部に設けられた駆動輪を回転駆動させて走行する。
【0004】
上述した無人搬送車のうち走行プログラムに従って走行するものにおいて、無人搬送車の旋回走行動作を円滑に行う技術が知られている(例えば「特許文献1」参照)。この技術では、無人搬送車の分岐走行時において、制御ユニットにより旋回方向内側の分岐ガイド手段の側端縁に誘導センサの中心位置が一致するように制御されるので、複雑な演算動作が不要となり、旋回制御のための動作プログラムの作成を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−8598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上述の技術では、直線部分の走行に関しては問題ないものの、曲線部分の走行において内側の車輪を減速しないと軌道線から脱線してしまうため、直線部分から曲線部分及び曲線部分から直線部分に変わる位置において走行プログラム上に設定を行う必要があった。この設定は、走行トライを実施して設定変更を繰り返すため、最適な設定値を求めるまでに長時間のトライ走行及び設定作業が必要であった。
本発明は上述の問題点を解決し、面倒な設定を行うことなく曲線路であっても精密に軌道線上を走行することが可能な無人搬送車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、駆動手段からの駆動力を受けて回転駆動される左右一対の駆動輪と、床面に設けられた軌道線と車体基準点とのずれ量及びずれ方向を検知する検知手段と、前記ずれ量に応じて複数の制御パターンにより前記各駆動輪の相対的な速度差を段階的に制御する制御手段とを有し、前記制御手段は前記ずれ量が閾値以内の場合にはずれ方向とは逆側の前記駆動輪の速度を低下させる第1軌道修正動作を行い前記車体基準点を前記軌道線上に戻し、前記ずれ量が前記閾値を超えている場合には前記第1軌道修正動作後にずれ方向側の前記駆動輪の速度を低下させる第2軌道修正動作を行い前記車体基準点を前記軌道線上に戻すことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の無人搬送車において、さらに前記制動手段は前記第1軌道修正動作と前記第2軌道修正動作との間に、前記各駆動輪の速度を等速に制御する等速制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軌道線に対する無人搬送車のずれ量を制御手段が複数のブロックのうちの何れに該当するかを判断し、該当したブロックに応じて制御手段が各駆動輪の相対的な速度差を段階的に制御するので、面倒な設定を行うことなく曲線路であっても精密に軌道線上を走行することが可能な無人搬送車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態を適用した無人搬送車の概略正面図である。
図2】本発明の一実施形態を適用した無人搬送車の概略平面図である。
図3】本発明の一実施形態における軌道線及び検知手段及び無人搬送車の状態を説明する概略図である。
図4】本発明の一実施形態に用いられる車両制御装置のブロック図である。
図5】本発明の一実施形態における走行制御動作を説明するフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態における走行制御動作を説明するフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態における走行制御動作を説明するフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態の他の例における走行制御動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の一実施形態に用いられる無人搬送車1の正面図を、図2は同平面図をそれぞれ示している。この無人搬送車1は、床面2に貼られた後述する軌道線に沿って走行し、生産ラインでは無人搬送車1に載置したボディ本体に各種艤装部品を順次組み付ける方法が知られている。この際、無人搬送車の走行が種々の方法で制御され、例えば多数の無人搬送車の走行が中央のコントローラによって一括して制御される。
【0013】
無人搬送車1は、図1及び図2に示すように、制御部3、牽引部4、駆動部5、電源部6を有しており、制御部3は箱型のフレーム3aに、牽引部4は同フレーム4aに、駆動部5は同フレーム5aに、電源部6は同フレーム6aにそれぞれ収納されている。各フレーム3a,4a,5a,6aはそれぞれ着脱自在に構成されており、各フレーム3a,4a,5a,6aはそれぞれ組み合わせ自在に構成されている。
【0014】
制御部3は無人搬送車1の動作制御を行っており、複数のスイッチやモニタ等が設けられた制御板3bを有している。牽引部4は無人搬送車1に牽引される台車等の一部が係合する係合部4bを有している。駆動部5は制御部3によって動作制御される図示しないモータによって回転駆動される2個の駆動輪5bを有しており、各駆動輪5bはそれぞれ別々のモータによって駆動される。電源部6は駆動部5に供給するための電力を発生させるバッテリ6bを有している。また制御部3の前方にはバンパ3cが、制御部3と電源部6の下方には従動輪3d,6cがそれぞれ設けられている。
【0015】
駆動部5の進行方向前方側底面には、図3に示すように床面2に敷設された軌道線8を読み取るための検知手段としてのセンサ7が設けられている。センサ7は8ビットのアナログセンサであり、軌道線8からの車体基準点のずれ量を常時監視可能である。なお、図3ではセンサ7の8ビット中4ビットのみを表示している。またセンサ7は、以前の位置信号と現在位置とを比較し、軌道線8からの車体のずれ方向を検知可能に構成されている。本実施形態において車体基準点は車体の中心線を指すが、センサ7の配置状況に応じてはこれに限られない。
【0016】
図4は、本実施形態に用いられる制御手段としての車両制御装置を示している。同図において制御部3に設けられた車両制御装置9は、CPU、RAM、ROM等を有する周知のマイクロコンピュータであり、駆動部5における各駆動輪5bの作動を制御している。また車両制御装置9は、駆動部5において各駆動輪5bに対応して設けられた各電磁ブレーキ10の作動を制御している。
【0017】
上述の構成に基づき、以下に無人搬送車1の軌道制御について説明する。なお、本発明では軌道線8に対する無人搬送車1の状態を5個のブロックに分けており、各ブロックにおいて無人搬送車1の動作、すなわち各駆動輪5bの相対的な速度差を、駆動輪5b及び電磁ブレーキ10の動作を制御することにより段階的に制御している。ここで、この5個のブロックについて説明する。
【0018】
先ずブロック「ア」は、センサ7が軌道線8のほぼ中央位置を検知している場合であり、図3において状態aで示している。次にブロック「イ」は、センサ7が軌道線8の中央から5mm以内の範囲で外れている位置を検知している場合であり、図3において状態b,hで示している。次にブロック「ウ」は、センサ7が軌道線8の中央から10mm以内の範囲で外れている位置を検知している場合であり、図3において状態c,gで示している。次にブロック「エ」は、センサ7が軌道線8の中央から15mm以内の範囲で外れている位置を検知している場合であり、図3において状態d,fで示している。最後にブロック「オ」は、センサ7が軌道線8の中央から15mmを超える範囲で外れている位置を検知している場合であり、図3において状態eで示している。
【0019】
次に、各ブロックにおける車両制御装置9による各駆動輪5bの段階的な速度差制御について説明する。先ずブロック「ア」の場合には、外れ方向の内側動輪を無人搬送車1の速度指令値よりも5%下げた速度で駆動すると共に、外れ方向の外側動輪を速度指令値で駆動する。ここでいう外れ方向とは、無人搬送車が軌道線8の中心からずれている場合にその位置から軌道線8の中心に戻ろうとする方向を指している。具体的には、無人搬送車1が軌道線8の中心から右側にずれていたとすると、外れ方向の内側とは左側を、外れ方向の外側とは右側をそれぞれ示す。
【0020】
次にブロック「イ」の場合には、外れ方向の内側動輪を無人搬送車1の速度指令値よりも10%下げた速度で駆動すると共に、外れ方向の外側動輪を速度指令値で駆動する。そしてブロック「ウ」の場合には、外れ方向の内側動輪を無人搬送車1の速度指令値よりも20%下げた速度で駆動すると共に、外れ方向の外側動輪を速度指令値で駆動する。そしてブロック「エ」の場合には、外れ方向の内側動輪を無人搬送車1の速度指令値よりも20%下げた速度で駆動すると共に、外れ方向の外側動輪を速度指令値よりも15%上げた速度で駆動する。最後にブロック「オ」の場合には、外れ方向の内側動輪を無人搬送車1の速度指令値よりも50%下げた速度で駆動すると共に、外れ方向の外側動輪を速度指令値よりも20%下げた速度で駆動する。これ等一連の制御動作を第1軌道修正動作とする。
【0021】
上述した条件において無人搬送車1の走行駆動制御が行われるが、本発明では上述の各ブロックのうちブロック「ウ」とブロック「エ」との間に閾値を設定しており、ブロック「ア」「イ」「ウ」の場合には第1軌道修正動作のみを、ブロック「エ」「オ」の場合には第1軌道修正動作後に後述する第2軌道修正動作を行う。これは、外れ量が大きいブロック「エ」「オ」の場合には、第1軌道修正動作のみでは無人搬送車1が軌道線8を超えてしまう虞があるためである。このような大きな外れ量は、主に無人搬送車1が軌道線8の曲線部分を走行する際に発現する。
【0022】
第1軌道修正動作後に行われる第2軌道修正動作は、第1軌道修正動作によって無人搬送車1が最大外れ量から1/3の位置まで戻った後に各駆動輪5bの等速制御が行われ、この等速制御によって無人搬送車1が最大外れ量から2/3の位置まで戻った後に行われる。この第2軌道修正動作は、ブロック「エ」の場合もブロック「オ」の場合も同様であり、外れ方向の内側動輪を無人搬送車1の速度指令値で駆動すると共に、外れ方向の外側動輪を速度指令値よりも20%上げた速度で駆動する。
【0023】
以下に、無人搬送車1の走行動作を図5図6図7に示すフローチャートに従って説明する。
センサ7の検知によって無人搬送車1が軌道線8の中心から外れたことが検知されると、車両制御装置9は外れ量が10mmを超えているか否か、すなわち図3に示す状態d、f以上であるか否かを判断し、外れ量が10mm以内の場合にはステップST02に進んで第1軌道修正動作のみが行われる。外れ量が10mmを超えている場合にはステップST03に進んで第1軌道修正動作後に第2軌道修正動作が行われる。
【0024】
先ず、第1軌道修正動作のみの場合を説明する。本例では、無人搬送車1が軌道線8から右側にずれた場合を説明する。図6に示すように無人搬送車1が軌道線8から右側にずれたことが車両制御装置9によって認識されると(ST11)、センサ7からの信号に基づいてそのずれ量が検知される。そしてずれ量が5mm以内の場合(ブロック「イ」の場合)には左側の駆動輪5bが速度指令値よりも10%ダウンで駆動され、ずれ量が10mm以内の場合(ブロック「ウ」の場合)には左側の駆動輪5bが速度指令値よりも20%ダウンで駆動される(ST12)。
【0025】
軌道線8に対して無人搬送車1が戻り始めると(ST13)状態aになったか否かが判断され(ST14)、状態aになると無人搬送車1が軌道線8の中央に戻るように左側の駆動輪5bが速度指令値よりも5%ダウンで駆動される(ST15)。そして軌道線8の中央であることが検知されると(ST16)、左右の駆動輪5bが等速制御されて(ST17)第1軌道修正動作が完了する。
【0026】
次に、第1軌道修正動作後に第2軌道修正動作が行われる場合を説明する。図7に示すように無人搬送車1が軌道線8から右側にずれたことが車両制御装置9によって認識されると(ST21)、センサ7からの信号に基づいてそのずれ量が検知される。そしてずれ量が15mm以内の場合(ブロック「エ」の場合)には左側の駆動輪5bが速度指令値よりも20%ダウンで駆動されると共に右側の駆動輪5bが速度指令値よりも15%アップで駆動され、ずれ量が15mmを超える場合(ブロック「オ」の場合)には左側の駆動輪5bが速度指令値よりも50%ダウンで駆動されると共に右側の駆動輪5bが速度指令値よりも20%ダウンで駆動される(ST22)。
【0027】
軌道線8に対して無人搬送車1が戻り始めると(ST23)最大外れ量から1/3の位置まで戻ったか否かが判断され(ST24)、戻ったと判断されると左右の駆動輪5bが等速制御されて(ST25)第1軌道修正動作が完了する。次に最大外れ量の2/3まで戻ったか否かが判断され(ST26)、戻ったと判断されると等速制御が完了して第2軌道修正動作が行われ、右側の駆動輪5bが速度指令値よりも20%ダウンで駆動される(ST27)。そして軌道線8の中央であることが検知されると(ST28)、左右の駆動輪5bが等速制御されて(ST29)第2軌道修正動作が完了する。
【0028】
上述した動作では、センサ7によって無人搬送車1の位置を検知し、その位置が閾値を超えているか否かを判断した例を示した。次に、センサ7によって検知した無人搬送車1の位置に応じて走行制御を行う例を、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。なおここでは、第1軌道修正動作を等速補正、第2軌道修正動作を逆補正という場合がある。
【0029】
先ずセンサ7の検知結果から無人搬送車1の位置情報を取得し(ST31)、前の位置情報と比較して無人搬送車1の進行方向を記憶する(ST32)。次にブロック「ア」の範囲であるか否かが判断され(ST33)、範囲内である場合は第2軌道修正動作(逆補正動作)記憶がオンしているか否かが判断される(ST34)。オフの場合には外れ方向内側の駆動輪5bが速度指令値よりも5%ダウンで駆動されると共に外れ方向外側の駆動輪5bが速度指令値で駆動され(ST35)、車両制御装置9が無人搬送車1の位置情報を記憶して(ST36)制御が終了する。ステップST34でオンしている場合には第2軌道修正動作記憶がオフされた(ST37)後、ステップST35に進む。
【0030】
ステップST33において範囲外である場合には、第2軌道修正動作記憶がオンしているか否かが判断され(ST38)、オフの場合にはブロック「イ」の範囲であるか否かが判断される(ST39)。範囲内である場合には、外れ方向内側の駆動輪5bが速度指令値よりも10%ダウンで駆動されると共に外れ方向外側の駆動輪5bが速度指令値で駆動され(ST40)、ステップST36に進む。ステップST39において範囲外である場合にはブロック「ウ」の範囲であるか否かが判断され(ST41)、範囲内である場合には、外れ方向内側の駆動輪5bが速度指令値よりも20%ダウンで駆動されると共に外れ方向外側の駆動輪5bが速度指令値で駆動され(ST42)、ステップST36に進む。
【0031】
ステップST41において範囲外である場合には、第2軌道修正動作記憶がオンされた(ST43)後、ブロック「エ」の範囲であるか否かが判断される(ST44)。範囲内である場合には、無人搬送車1が軌道線8より外れる方向に移動しているか否かが判断され(ST45)、外れる方向に移動していないと判断されるとステップST42に進む。外れる方向に移動していると判断されると、外れ方向内側の駆動輪5bが速度指令値よりも20%ダウンで駆動されると共に外れ方向外側の駆動輪5bが速度指令値よりも15%アップで駆動され(ST46)、ステップST36に進む。
【0032】
ステップST44において範囲外である場合には、無人搬送車1が軌道線8より外れる方向に移動しているか否かが判断され(ST47)、外れる方向に移動していないと判断されるとステップST42に進む。外れる方向に移動していると判断されると、外れ方向内側の駆動輪5bが速度指令値よりも50%ダウンで駆動されると共に外れ方向外側の駆動輪5bが速度指令値よりも20%ダウンで駆動され(ST48)、ステップST36に進む。
【0033】
ステップST38において第2軌道修正動作記憶がオンされていると判断されると、第1軌道修正動作によって無人搬送車1が最大外れ量から1/3以上戻っているか否かが判断され(ST49)、戻っていないと判断されると最大外れ量が15mm以内であるか否かが判断される(ST50)。最大外れ量が15mm以内である場合にはステップST46に進み、最大外れ量が15mm以内ではない場合にはステップST48に進む。
【0034】
ステップST49において無人搬送車1が最大外れ量から1/3以上戻っていると判断されると、第2軌道修正動作によって無人搬送車1が最大外れ量から2/3以上戻っているか否かが判断される(ST51)、戻っていないと判断されると、各駆動輪5bがそれぞれ速度指令値で駆動されて等速制御が開始され(ST52)、ステップST36に進む。戻っていると判断されると、第2軌道修正動作が行われて外れ方向内側の駆動輪5bが速度指令値で駆動されると共に外れ方向外側の駆動輪5bが速度指令値よりも20%ダウンで駆動され(ST53)、ステップST36に進む。
【0035】
上述の構成によれば、軌道線8に対する無人搬送車1のずれ量を車両制御装置9が複数のブロックのうちの何れに該当するかを判断し、該当したブロックに応じて車両制御装置9が各駆動輪5bの相対的な速度差を段階的に制御するので、面倒な設定を行うことなく曲線路であっても精密に軌道線8上を走行することが可能な無人搬送車を提供することができる。また、ずれ量に応じて第1軌道修正動作後に第2軌道修正動作を行うので、ずれ量が大きい場合であっても無人搬送車1が軌道線8を超えてしまうことを防止することができる。さらに第1軌道修正動作と第2軌道修正動作との間で等速制御を行うので、軌道線8に対する車体の戻りを素早く行うことができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、本発明の実施の形態に記載された効果は本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
1 無人搬送車
2 床面
5b 駆動輪
7 検知手段(センサ)
8 軌道線
9 制御手段(車両制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8