(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンター等の複写装置に求められる性能は高度化しており、装置の改良に加え、それらの装置に使用されるトナーについても高い性能が要求される。例えば、環境意識の高まりから、消費電力を低減するために、低温定着に適応したトナーが求められている。また、高画質化に対する要求が高まるとともに、光沢を抑えるなどの更なる高付加価値を志向した高度な画像特性を発現するトナーが求められる。
【0003】
低温定着を達成するためには、トナーが低温で機能する必要があるので、トナー用ワックスについても低温で融解するワックスが求められている。
特許文献1には、低温定着を発現する方法として、カルナバワックスやライスワックスの天然ワックス等を使用する方法が開示されている。これらのワックスによれば、低温定着は発現できるが、離型性が不十分となり耐オフセット性が十分発現できない場合がある。更にこれらの天然ワックスは、茶褐色の着色があり、カラー印刷時の色再現性の点で問題となることがある。
【0004】
近年、低温定着を達成する方法として、脂肪酸エステルワックスをトナー用ワックスとして使用することが多くなっている。
特許文献2には、トータルの炭素数が同一のエステル化合物50〜95重量%を含むモノエステルワックスを使用したトナーが、OHPフィルムの定着画像の透明性や耐オフセット性に優れることが開示されている。これらのモノエステルワックスを使用したトナーでは、低温定着性は優れるが、ワックスとバインダー樹脂との相性や複写装置とトナーとの相性が良くない場合には、OPCドラムやキャリアを汚染し、画質を悪化させることがある。
【0005】
特許文献3には、分子中に5個以上のエステル結合を有し、分子量が2000以上、35℃で測定したスチレン100gに対する溶解量が5g以上のエステルワックスを使用したトナーが、低温定着性や保存安定性、印刷画質の耐久性に優れることが開示されている。しかし、本ワックスをモノクロトナーに使用した場合、モノクロ印刷において好まれる、光沢を抑えた画像が得られ難いことがある。また、近年の低温定着を志向した、低温で機能するバインダー樹脂と併用する場合には、バインダー樹脂との相性によっては、画質の悪化を招くことがある。
【0006】
特許文献4には、平均重合度が3〜10であり、かつ分子中の水酸基のうち二級水酸基が50%以上であるポリグリセリンと直鎖飽和モノカルボン酸とのエステルワックスを使用したトナーが、高速印刷においても優れた画質を得られることが開示されている。しかし、本ワックスをモノクロトナーに使用した場合、モノクロ印刷において好まれる、光沢を抑えた画像が得られ難いことがある。また、近年の低温定着を志向した、低温で機能するバインダー樹脂と併用する場合には、バインダー樹脂との相性によっては、画質の悪化を招くことがある。
【0007】
特許文献5には、4価以上の多官能エステル化合物と単官能エステル化合物とを50:50〜95:5の重量比で含有するトナーが、保存安定性に優れ、低温定着性や印字耐久性に優れる画像を得られることが開示されている。しかし、本トナーをモノクロトナーとして使用した場合、モノクロ印刷において好まれる、光沢を抑えた画像が得られ難いことがある。
【0008】
他方、高画質化を達成するためには、熱ロールへのトナーの残存を防ぐ必要がある。そのため、加熱により融解したワックスが素早くトナー表面に染み出す必要があるが、近年の高速化や低温定着化技術を達成するためには、更に染み出しやすいワックスが必要となる。また、光沢が抑えられた画像を得るためには、トナー表面に染み出たワックスの光沢を低く抑える必要がある。このような更なる高付加価値化を志向した高度な画像特性を得るためには、上記の要求を満たすトナー用ワックス組成物が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、トナーに低温定着性を付与することができるとともに、高画質化を達成することができ、更には光沢が抑えられた画像を得ることができるトナー用ワックス組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の問題について鋭意検討を重ねた結果、特定のグリセリン縮合物エステルとモノエステルとが特定の質量比で構成された脂肪酸エステル組成物をトナー用ワックスとして使用した場合に、トナーに低温定着性が付与されることを見出した。また、定着の際のワックス溶融時にワックスが大幅に体積増加をすることから、トナー表面への染み出し性に優れ、熱ロールからの離型性が良好であることを見出した。更には、本ワックス自体の光沢が低く抑えられることから、紙等の印刷媒体にトナーが印字された場合、その画像の光沢を低く抑えることができることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明のトナー用ワックス組成物は、下記に示す脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBからなり、脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBとを
1:1.5〜1:2の質量比で含有するトナー用ワックス組成物である。
脂肪酸エステルA:
グリセリンの重合度が2〜6のグリセリン縮合物と
ベヘニン酸からなるエステル
脂肪酸エステルB:炭素数16〜24の直鎖飽和アルコールと炭素数16〜24の直鎖飽和脂肪酸からなるエステル
【0013】
本発明のトナー用ワックス組成物は、下記の式(1)を満たすことが好ましい。
脂肪酸エステルAの脂肪酸の炭素数>(脂肪酸エステルBの総炭素数)/2 ・・・式(1)
【発明の効果】
【0014】
本発明のトナー用ワックス組成物は、光沢を低く抑えることが可能である。本発明の組成物を用いたトナーは、低温定着性が付与されるとともに、熱ロールからの離型性が良好であり、更には、紙等の印刷媒体に印字された場合、その画像の光沢を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のトナー用ワックス組成物は、下記に示す脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBからなり、脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBとを2:1〜1:2の質量比で含有する。
なお、本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜5」は2以上5以下を表す。
【0016】
〔脂肪酸エステルA〕
脂肪酸エステルAは、グリセリン縮合物と炭素数16〜24の直鎖飽和脂肪酸からなるエステルである。
脂肪酸エステルAの原料アルコールであるグリセリン縮合物は、平均重合度が好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である。平均重合度が10以下の場合には、トナーの印字により得られる画像の光沢が抑えられ好ましい。
【0017】
脂肪酸エステルAの原料脂肪酸は、炭素数が16〜24、好ましくは16〜22の直鎖飽和脂肪酸である。炭素数が16未満の場合には、ワックスが低温下で融解して、トナーの高温保存時の安定性が低下するおそれがある。また、炭素数が24を超える場合には、定着時にワックスがすばやく染み出すことができず、特に高速印刷時において定着性や剥離性が低下することがある。
原料脂肪酸の具体例としては、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘネイコサン酸、ベヘニン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸等が挙げられる。これらの中でもベヘニン酸が特に好ましい。
脂肪酸エステルAとしては、上記原料脂肪酸と原料脂肪酸からなる脂肪酸エステルの中でも、グリセリンの重合度が2〜6のグリセリン縮合物とベヘニン酸からなるエステルが好ましい。
【0018】
脂肪酸エステルAは、酸価が3mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価が3mgKOH/g以下の場合、本発明のワックス組成物を含有するトナーの帯電性、耐ブロッキング性や保存安定性が更に良好となり好ましい。
また、脂肪酸エステルAは、グリセリン縮合物の水酸基が全てエステル化されたものが好ましい。
更に、脂肪酸エステルAは、水酸基価が10mgKOH/g以下であることが好ましく、7mgKOH/g以下であることが更に好ましい。水酸基価が10mgKOH/g以下の場合、本発明のワックス組成物を含有するトナーの帯電性、耐ブロッキング性や保存安定性が更に良好となり好ましい。
【0019】
〔脂肪酸エステルB〕
脂肪酸エステルBは、炭素数16〜24の直鎖飽和アルコールと炭素数16〜24の直鎖飽和脂肪酸からなるエステルである。
脂肪酸エステルBの原料アルコールは、炭素数が16〜24であり、好ましくは16〜22である。炭素数が16未満の場合には、低温からワックスの融解が始まることから、トナーの高温保存時の安定性が低下するおそれがある。また、炭素数が24を超える場合には、定着時にワックスがすばやく染み出すことができず、特に高速印刷時に定着性や剥離性が低下することがある。
【0020】
原料アルコールの具体例としては、パルミチルアルコール、ヘプタコサノール、ステアリルアルコール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、トリアコサノール、テトラコサノール等が挙げられる。
【0021】
脂肪酸エステルBの原料脂肪酸は、炭素数が16〜24、好ましくは16〜22の直鎖飽和脂肪酸である。炭素数が16未満の場合には、低温からワックスの融解が開始するため、トナーの高温保存時の安定性が低下するおそれがある。また、炭素数が24を超える場合には、定着時にワックスがすばやく染み出すことができず、特に高速印刷時において定着性や剥離性が低下することがある。
原料脂肪酸の具体例としては、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘネイコサン酸、ベヘニン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸等が挙げられる。
なお、脂肪酸エステルBとして、原料アルコール及び原料脂肪酸のうち少なくとも一方が異なる2種以上のエステルを用いることができる。
【0022】
脂肪酸エステルBは、酸価が3mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価が3mgKOH/g以下の場合、本発明のワックス組成物を含有するトナーの帯電性、耐ブロッキング性や保存安定性が更に良好となり好ましい。
また、脂肪酸エステルBは、水酸基価が5mgKOH/g以下であることが好ましく、3mgKOH/g以下であることが更に好ましい。水酸基価が5mgKOH/g以下の場合、本発明のワックス組成物を含有するトナーの帯電性、耐ブロッキング性や保存安定性が更に良好となり好ましい。
【0023】
〔トナー用ワックス組成物〕
本発明のトナー用ワックス組成物は、上記の脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBからなり、脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBとを2:1〜1:2の質量比で、好ましくは1:1〜1:2の質量比で、さらに好ましくは1:1.5〜1:2の質量比で含有する。
脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBの質量比(脂肪酸エステルA/脂肪酸エステルB)が2を超える場合、又は脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBの質量比(脂肪酸エステルA/脂肪酸エステルB)が1/2を下回る場合には、ワックス組成物自体の光沢の抑制が十分ではなく、その結果、画像の光沢の抑制も十分ではなくなることがある。
【0024】
脂肪酸エステルAを構成する脂肪酸の炭素数が脂肪酸エステルBの総炭素数の半分よりも大きい場合、すなわち下記の式(1)を満たす場合には、ワックス組成物自体の光沢を低く抑えることができ、その結果、画像の光沢も低く抑えることができるため、好ましい。
脂肪酸エステルAの脂肪酸の炭素数>(脂肪酸エステルBの総炭素数)/2 ・・・式(1)
【0025】
このように、上記の脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBを一定の質量比で混合することによって得られたワックスは、光沢を低く抑えることが可能となる。この機構については、以下のように考えられる。定着時に熱ロールで加熱されたワックスは融解して液体状になる。脂肪酸エステルAに一定量の脂肪酸エステルBが混合されることで、融解時にワックスが膨張して、トナー表面へ素早く染み出して、熱ロールからの離型性が良好となる。一方、熱ロールからトナーが離れ、トナー表面に染み出したワックスが固化する際には、ワックスの体積収縮が起こり、その結果、ワックス表面の平滑性が阻害されることによって、画像の光沢が低減される。
【0026】
本発明のトナー用ワックス組成物は公知の方法により製造することができる。例えば、2種以上の脂肪酸エステルをそれぞれ合成した後に、規定の比率になるように複数の脂肪酸エステルを配合して製造してもよいし、規定の比率になるように原料脂肪酸及び原料アルコールの量を調整して一括合成で製造しても良い。2種以上の脂肪酸エステルをそれぞれ合成した後に配合してトナー用ワックス組成物を製造する方法については、脂肪酸エステルを融点以上に加熱した上で、均一に混合した後に、冷却、微粒子化等を行うことが、品質のばらつき防止の観点から好ましい。
このようにして得られた本発明のトナー用ワックス組成物によれば、トナーに低温定着性を付与することができるとともに、高画質化を達成することができ、更には光沢が抑えられた画像を得ることができる。
【0027】
本発明のトナー用ワックス組成物は、バインダー樹脂、着色剤、荷電制御剤などとともに配合され、通常の製法によってトナーが製造される。トナー中における本発明のトナー用ワックス組成物の配合量は、バインダー樹脂100質量部に対して、通常、0.1〜40質量部である。トナー中には、本発明のトナー用ワックス組成物が単独であるいは2種類以上混合して配合される。
【実施例】
【0028】
以下に本発明のトナー用ワックス組成物の製造例を示し、本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において、「%」は質量部を示す。
【0029】
〔脂肪酸エステルの評価方法〕
本実施例及び比較例で採用した各種評価の方法を次に示す。
(1)脂肪酸エステルの酸価:JOCS(日本油化学会)2.3.1−96に準拠した。
(2)脂肪酸エステルの水酸基価:JOCS(日本油化学会)2.3.6.2−96に準拠した。
(3)脂肪酸エステルの透明融点:JOCS(日本油化学会)2.2.4.1に準拠した。
(4)脂肪酸エステルの光沢性:日本電色工業株式会社製VC−21−D3型デジタル携帯用光沢計により角度60°で光沢性を測定した。
(5)脂肪酸エステルの収縮性:固体状態(20℃)の密度及び液体状態の密度(90℃)をそれぞれJIS Z8804の液中ひょう量法及び浮ひょう法により測定し、以下の式に従って収縮性を求めた。
収縮性=(固体状態での密度)/(液体状態での密度)
【0030】
〔脂肪酸エステルAの製造例1〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽及び冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、表1中のエステル番号a−1に示すアルコール100g及び脂肪酸616g(アルコールに対して1.05モル過剰)を加え、窒素気流下、240℃で22時間反応させた。得られたエステル化粗生成物は680gであった。このエステル粗生成物にトルエン136g及びエタノール41gを入れ、エステル粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を分離・除去した。70℃のイオン交換水130gを入れて10分間攪拌後、30分間静置して水層部を分離・除去した。排水のpHが中性になるまでこの操作を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶剤を留去し、濾過を行い、脂肪酸エステルa−1を500g得た。得られた脂肪酸エステルの原料組成、酸価、水酸基価及び透明融点を表1に示す。
【0031】
〔脂肪酸エステルAの製造例2〕
アルコール及び脂肪酸を表1に記載のものに代えた以外は上記製造例1と同様の方法で脂肪酸エステルa−2からa−8を得た。得られた脂肪酸エステルa−2からa−8の原料組成、酸価、水酸基価及び透明融点を表1に示す。
【0032】
〔脂肪酸エステルのBの製造例〕
アルコール及び脂肪酸を表2に記載のものに代えた以外は上記製造例1と同様の方法で脂肪酸エステルb−1からb−7を得た。得られた脂肪酸エステルb−1からb−7の原料組成、酸価、水酸基価及び透明融点を表2に示す。
【0033】
〔トナー用ワックス組成物の調製例1〕
温度計、窒素導入管、攪拌羽及び冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、脂肪酸エステルa−1を66.6g、脂肪酸エステルb−1を33.4gとり、窒素下、100℃で加熱溶融して、均一になるように30分間加熱攪拌した。この混合物10gをアズワン株式会社製の持手付アルミケース(NO.3)に流し込みワックスを固化させて、ワックス組成物c−
8を得た。アルミケースからサンプルを取り出し、アルミと接触して平滑になった部分の光沢性を、光沢計を用いて測定した。また、このサンプルの液体状態及び固体状態の各密度を密度計により測定し、収縮性を求めた。これらの値を表3に示した。
【0034】
〔トナー用ワックス組成物の製造例2〕
脂肪酸エステルを表3に示す種類及び量に代えた以外は上記調製例1と同様の方法でワックス組成物を得た。得られたワックス組成物c−2からc−24の配合組成、液体及び固体状態での各密度、収縮性ならびに光沢性の値を表3及び表4に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
実施例1から
7のワックス組成物c−1からc−
7は、表3に示すように、いずれも光沢が低く抑えられているので、これら組成物をトナー用ワックスとして使用すると、トナーの定着後に形成される画像表面に存在するワックスの光沢が低く抑えられ、画像の光沢を低く抑えることができる。特に、脂肪酸エステルAの脂肪酸の炭素数が脂肪酸エステルBの総炭素数の半分よりも大きいとき、光沢を低く抑える効果が更に顕著となる傾向がある。
また、これら組成物は、表3に示すように、いずれも収縮性が高いので、これら組成物をトナー用ワックスとして使用すると、定着工程においてワックス溶融時にワックスの体積が大幅に増加する。すなわち、これら組成物はワックス染み出し性に優れ、素早くトナー表面に染み出すことができるので、熱ロールからの離型性が良好となる。
【0040】
一方、脂肪酸エステルAと脂肪酸エステルBの含有比率が本願発明と異なる比較例1から4は、光沢を低く抑えることができない。また溶融時の体積の増加も少ないので、定着時のワックス染み出し性についても劣る。
また、脂肪酸エステルAの化学構造が本願発明と異なる比較例5から8、ならびに脂肪酸エステルBの化学構造が本願発明と異なる比較例9及び10についても、光沢を低く抑えることができず、また溶融時の体積の増加も少なく、定着時のワックス染み出し性について劣る。