特許第6379727号(P6379727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

特許6379727POSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法
<>
  • 特許6379727-POSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法 図000002
  • 特許6379727-POSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法 図000003
  • 特許6379727-POSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法 図000004
  • 特許6379727-POSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法 図000005
  • 特許6379727-POSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法 図000006
  • 特許6379727-POSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法 図000007
  • 特許6379727-POSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379727
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】POSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20180820BHJP
   G06F 9/06 20060101ALI20180820BHJP
   G06F 13/14 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   G07G1/00 331A
   G06F9/06
   G06F13/14 330C
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-130329(P2014-130329)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-9377(P2016-9377A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】新妻 信行
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−250802(JP,A)
【文献】 特開2013−058029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00− 1/12
G06F 9/06
G06F 13/10−13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台のPOSレジスタ装置に共通の釣銭機ドライバソフトウェアで接続可能な複数の自動釣銭機を接続し、複数のPOSアプリケーションソフトウェアが動作可能であるとともに各POSアプリケーションソフトウェアによって各自動釣銭機に対する同時並列処理が可能なPOSレジスタシステムであって、
前記1台のPOSレジスタ装置に共通の釣銭機ドライバソフトウェアで接続可能な自動釣銭機が接続される毎に、前記自動釣銭機の装置識別を定義するとともに、接続される前記POSアプリケーションソフトウェアとの接続関係を定義する釣銭機ドライバ識別情報が異なる前記共通の釣銭機ドライバソフトウェアを該自動釣銭機に割り付けて該自動釣銭機を接続する釣銭機ドライバ接続処理部と、
前記釣銭機ドライバ識別情報を用いて前記複数のPOSアプリケーションソフトウェアと前記釣銭機ドライバソフトウェアとの割り付けを行う割付処理部と、
を備えたことを特徴とするPOSレジスタシステム。
【請求項2】
前記共通の釣銭機ドライバソフトウェアは、該共通の釣銭機ドライバソフトウェアのクラスを定義するクラス情報によって得られ、
前記釣銭機ドライバ識別情報は、接続される自動釣銭機の装置識別を定義する情報であるプライマリディスパッチ、及び、接続される1つの前記POSアプリケーションソフトウェアとの接続関係を定義する情報であるセマフォオブジェクトであることを特徴とする請求項1に記載のPOSレジスタシステム。
【請求項3】
釣銭機ドライバ識別情報が異なる前記共通の釣銭機ドライバソフトウェアを前記1台のPOSレジスタ装置に接続される上限数分、予め保持しておくことを特徴とする請求項1または2に記載のPOSレジスタシステム。
【請求項4】
前記釣銭機ドライバ接続処理部は、前記自動釣銭機が前記1台のPOSレジスタ装置に接続される毎に、異なる釣銭機ドライバ識別情報を組み込んで釣銭機ドライバ識別情報が異なる前記共通の前記釣銭機ドライバソフトウェアを生成することを特徴とする請求項1または2に記載のPOSレジスタシステム。
【請求項5】
前記割付処理部は、接続された前記自動釣銭機の稼動状態及び/または稼動優先順位をもとに前記POSアプリケーションソフトウェアを自動割付することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のPOSレジスタシステム。
【請求項6】
前記割付処理部は、接続された前記自動釣銭機の中から割付指示入力された前記自動釣銭機を前記POSアプリケーションソフトウェアに割り付けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のPOSレジスタシステム。
【請求項7】
1台のPOSレジスタ装置に共通の釣銭機ドライバソフトウェアで接続可能な複数の自動釣銭機を接続し、複数のPOSアプリケーションソフトウェアが動作可能であるとともに各POSアプリケーションソフトウェアによって各自動釣銭機に対する同時並列処理が可能なPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法であって、
前記1台のPOSレジスタ装置は、
共通の釣銭機ドライバソフトウェアで接続可能な自動釣銭機が接続される毎に、前記自動釣銭機の装置識別を定義するとともに、接続される前記POSアプリケーションソフトウェアとの接続関係を定義する釣銭機ドライバ識別情報が異なる前記共通の釣銭機ドライバソフトウェアを該自動釣銭機に割り付けて該自動釣銭機を接続し、
前記POSアプリケーションソフトウェアが起動された場合、前記釣銭機ドライバ識別情報を用いて該POSアプリケーションソフトウェアと前記釣銭機ドライバソフトウェアとの割り付けを行うことを特徴とするPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既に作成された釣銭機ドライバソフトウェアの資産を有効活用して1台のPOS(Point Of Sales)レジスタ装置に複数の自動釣銭機を接続して同時に並列処理することができるPOSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等では、POS端末に自動釣銭機が接続されたレジスタシステムが用いられている。自動釣銭機は、買い物客から預かった紙幣や硬貨を入金して収納庫に収納するとともに、POS端末からの出金指示によって収納庫から釣銭を出金する。一方、POS端末は、端末自体の情報処理及び接続された自動釣銭機との情報の送受信処理を行うためのPOSアプリケーションソフトウェアが組み込まれている。このPOSアプリケーションソフトウェアは、自動釣銭機に対する入出金の処理状況などをその都度POS端末に備えられたタッチパネルなどの操作表示画面に表示し、レジ担当者に報知する。
【0003】
ここで、POS端末と自動釣銭機とを接続する場合、ドライバソフトウェアを必要とする。例えば、特許文献1では、POS端末と自動釣銭機との間のデータ送受信を、Windows(登録商標)環境下におけるPOSデバイス・インターフェース及びアプリケーション・サービス・インターフェースの標準化ドライバであるOPOS(Open Point Of Service)仕様に準拠したOPOSドライバを介して行うようにしている。
【0004】
なお、特許文献2では、レジスタ端末に釣銭機が接続されたレジ釣銭機システムにおいて、レジスタ端末のドライバソフトウェアに釣銭機の対話型インタフェース機能を持たせ、ドライバソフトウェアを介して、操作指示部で、釣銭機に対する操作指示を受け付けるとともに、情報の表示を行うようにしている。これによって、釣銭機に対する操作指示及び情報の表示に関して、レジスタ端末のアプリケーションソフトウェアを追加、変更する必要がなくなる。
【0005】
また、特許文献3には、POS端末と釣銭機との間に接続制御装置を設け、接続制御装置が、コマンド、ステータスコード、データ等を変換するものが記載されている。
【0006】
ところで、POSレジスタ端末が、このPOSレジスタ端末に接続する釣銭機を制御する場合、異なるメーカを含めた釣銭機の機種によらず釣銭機を接続可能とするために、上述した、POSアプリケーションソフトウェアを標準化するOPOS仕様がある。そして、このOPOS仕様では、釣銭機のハードウェアの相違部分を吸収する釣銭機ドライバソフトウェアを各メーカが供給することで、OPOS仕様のPOSアプリケーションソフトウェアの標準化が可能となる。このOPOS仕様に従ったPOSアプリケーションソフトウェアを開発することで、メーカ内で釣銭機の機種更新がなされた場合であっても、POSアプリケーションソフトウェアの変更が必要最小限で済むことなる。また、このOPOS仕様に従ったPOSアプリケーションソフトウェアを開発することで、異なるメーカの釣銭機をPOSレジスタ端末に接続しようとする場合でも、接続する釣銭機の釣銭機ドライバソフトウェアを用いることによって容易に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−199188号公報
【特許文献2】特開2010−140142号公報
【特許文献3】特開2011−128831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したOPOS仕様では、POSレジスタ装置1台につき1台の自動釣銭機が有線接続される構成を前提として策定されており、1台のPOSレジスタ装置では、1台の自動釣銭機のみが制御できるように制限する自動釣銭機の排他制御が行われていた。
【0009】
一方、近年のPOSレジスタシステムでは、無線機能を備えたタブレットなどの無線携帯端末から商品購入における精算などを行うシステムも一般化してきている。このシステムの変化に対応するため、上述したOPOS仕様もWEB対応を可能とするWSPOS(Web Service Point Of Service)が策定されている。
【0010】
このWSPOSに対応するPOSレジスタシステムを構築する場合、POSアプリケーションソフトウェア及びドライバソフトウェアを新規に開発する必要がある。
【0011】
ここで、WSPOS仕様のシステムを適用する場合、上述した自動釣銭機の排他制御をなくし、1台のPOSレジスタ装置に複数の自動釣銭機を接続して並列処理したいという要望があり、この場合におけるソフトウェア開発にかかる労力と時間とが削減できることが望ましい。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、既に作成された釣銭機ドライバソフトウェアの資産を有効活用して1台のPOSレジスタ装置に複数の自動釣銭機を接続して同時に並列処理することができるPOSレジスタシステム及びPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるPOSレジスタシステムは、1台のPOSレジスタ装置に複数の自動釣銭機を接続し、複数のPOSアプリケーションソフトウェアが動作可能であるとともに各POSアプリケーションソフトウェアによって各自動釣銭機に対する同時並列処理が可能なPOSレジスタシステムであって、前記1台のPOSレジスタ装置に自動釣銭機が接続される毎に、前記自動釣銭機の装置識別を定義するとともに、接続される前記POSアプリケーションソフトウェアとの接続関係を定義する釣銭機ドライバ識別情報が異なる釣銭機ドライバソフトウェアを該自動釣銭機に割り付けて該自動釣銭機を接続する釣銭機ドライバ接続処理部と、前記釣銭機ドライバ識別情報を用いて前記複数のPOSアプリケーションソフトウェアと前記釣銭機ドライバソフトウェアとの割り付けを行う割付処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるPOSレジスタシステムは、上記の発明において、前記釣銭機ドライバ識別情報は、プライマリディスパッチ、クラス情報、及びセマフォオブジェクトであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるPOSレジスタシステムは、上記の発明において、釣銭機ドライバ識別情報が異なる釣銭機ドライバソフトウェアを前記1台のPOSレジスタ装置に接続される上限数分、予め保持しておくことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるPOSレジスタシステムは、上記の発明において、前記釣銭機ドライバ接続制御部は、前記自動釣銭機が前記1台のPOSレジスタ装置に接続される毎に、異なる釣銭機ドライバ識別情報を組み込んで前記釣銭機ドライバソフトウェアを生成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかるPOSレジスタシステムは、上記の発明において、前記割付処理部は、接続された前記自動釣銭機の稼動状態及び/または稼動優先順位をもとに前記POSアプリケーションソフトウェアを自動割付することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかるPOSレジスタシステムは、上記の発明において、前記割付処理部は、接続された前記自動釣銭機の中から割付指示入力された前記自動釣銭機を前記POSアプリケーションソフトウェアに割り付けることを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかるPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法は、1台のPOSレジスタ装置に複数の自動釣銭機を接続し、複数のPOSアプリケーションソフトウェアが動作可能であるとともに各POSアプリケーションソフトウェアによって各自動釣銭機に対する同時並列処理が可能なPOSレジスタシステムの自動釣銭機制御方法であって、前記1台のPOSレジスタ装置に自動釣銭機が接続される毎に、前記自動釣銭機の装置識別を定義するとともに、接続される前記POSアプリケーションソフトウェアとの接続関係を定義する釣銭機ドライバ識別情報が異なる釣銭機ドライバソフトウェアを該自動釣銭機に割り付けて該自動釣銭機を接続し、前記POSアプリケーションソフトウェアが起動された場合、前記釣銭機ドライバ識別情報を用いて該POSアプリケーションソフトウェアと前記釣銭機ドライバソフトウェアとの割り付けを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、釣銭機ドライバ接続処理部が、1台のPOSレジスタ装置に自動釣銭機が接続される毎に、前記自動釣銭機の装置識別を定義するとともに、接続されるPOSアプリケーションソフトウェアとの接続関係を定義する釣銭機ドライバ識別情報が異なる釣銭機ドライバソフトウェアを該自動釣銭機に割り付けて該自動釣銭機を接続し、割付処理部が、前記釣銭機ドライバ識別情報を用いて複数の前記POSアプリケーションソフトウェアと前記釣銭機ドライバソフトウェアとの割り付けを行うようにしている。この結果、1台のPOSレジスタ装置に複数の自動釣銭機を接続して同時に並列処理することができるとともに、既に作成された釣銭機ドライバソフトウェアの資産に前記釣銭機ドライバ識別情報のみを付加するのみで釣銭機ドライバソフトウェアを作成できるので、釣銭機ドライバソフトウェアの資産を有効活用してソフトウェア開発にかかる労力と時間とを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施の形態1であるPOSレジスタシステムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、釣銭機ドライバ識別情報の一例を示す図である。
図3図3は、図2に示した釣銭機ドライバ識別情報とは異なる釣銭機ドライバ識別情報の一例を示す図である。
図4図4は、図1に示した割付処理部によるドライバ割付処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、図1に示した釣銭機ドライバ接続処理部によるドライバ接続処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施の形態2であるPOSレジスタシステムの全体構成を示すブロック図である。
図7図7は、図6に示した釣銭機ドライバ接続処理部によるドライバ接続処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1であるPOSレジスタシステムの全体構成を示すブロック図である。なお、このPOSレジスタシステムは、大型店舗などに適用されるものであり、図1に示すように、1台のPOSレジスタ装置1に、複数の自動釣銭機2(2−1〜2−n)が接続可能であるとともに、タブレットなどの携帯型の複数の無線端末3(3−1〜3−m)が接続可能である。そして、複数の無線端末3は、それぞれ割り付けられた複数の自動釣銭機2を同時に並列処理することができる。
【0024】
POSレジスタ装置1は、無線端末ドライバソフトウェア10、アプリケーション制御部20、ドライバ制御部30、入出力部40、及び記憶部50を有する。無線端末ドライバソフトウェア10は、それぞれ無線通信ポート60(60−1〜60−m)を介して無線端末3(3−1〜3−m)を接続するとともに、アプリケーション制御部20に接続される。
【0025】
アプリケーション制御部20は、無線端末3あるいは入出力部40からの指示によって起動する複数のPOSアプリケーションソフトウェア21(21−1〜21−m)を有する。このPOSアプリケーションソフトウェア21は、例えばWSPOS仕様に対応したソフトウェアである。また、割付処理部22は、起動したPOSアプリケーションソフトウェア21を、現在接続されている自動釣銭機2(2−1〜2−n)を接続処理する複数の釣銭機ドライバソフトウェア31(31−1〜31−n)の中から1つの釣銭機ドライバソフトウェア31を、入出力部40からの指示入力をもとに割り付け、あるいは自動釣銭機2の稼動状態及び/または稼動優先順位をもとに自動で割り付ける処理を行う。なお、図1では、POSアプリケーションソフトウェア21−1と釣銭機ドライバソフトウェア31−1とが1対1で割り付けられ、POSアプリケーションソフトウェア21−2と釣銭機ドライバソフトウェア31−2とが1対1で割り付けられているが、この割付は一例であり、例えば、図1の破線で示すように、POSアプリケーションソフトウェア21−1と釣銭機ドライバソフトウェア31−2とが1対1で割り付けられ、POSアプリケーションソフトウェア21−2と釣銭機ドライバソフトウェア31−1とが1対1で割り付けられていることが可能である。
【0026】
ドライバ制御部30は、通信ポートCOM(COM1〜COMn)に自動釣銭機2(2−1〜2−n)が接続されたときに起動する複数の釣銭機ドライバソフトウェア31(31−1〜31−n)を有する。なお、記憶部50内には、予め、上限の個数分(n個分)の釣銭機ドライバソフトウェア51(51−1〜51−n)が保持されており、釣銭機ドライバ接続処理部32は、自動釣銭機2が接続される毎に、1つずつ、釣銭機ドライバソフトウェア51を釣銭機ドライバソフトウェア31としてドライバ制御部30内に読み出すとともに、読み出した釣銭機ドライバソフトウェア31を通信ポートCOMに接続された自動釣銭機2に割り付ける処理を行う。なお、本実施の形態1では、各自動釣銭機2が各通信ポートCOMに、例えばRS−232Cケーブルを介してローカル接続されるようになっている。
【0027】
ところで、本実施の形態1では、自動釣銭機2(2−1〜2−n)が全て同一機種であり、この自動釣銭機2の全てが同一の釣銭機ドライバソフトウェアを用いて接続処理可能であり、各POSアプリケーションソフトウェア21がそれぞれ異なる自動釣銭機2を制御しようとする場合について説明する。また、同一の釣銭機ドライバソフトウェアは、プログラム部品であり、例えば、Windows(登録商標)のOS上で動作するDLL(Dynamic Link Library)である。ここで、複数の自動釣銭機2がそれぞれ同一の釣銭機ドライバソフトウェアに接続された場合、各釣銭機ドライバソフトウェアは、接続する自動釣銭機2と、接続するPOSアプリケーションソフトウェア21との各接続関係を確定することができない。
【0028】
このため、本実施の形態1では、同一の釣銭機ドライバソフトウェアに、接続する自動釣銭機2と、接続するPOSアプリケーションソフトウェア21との接続関係を明らかにするための釣銭機ドライバ識別情報としてのプライマリディスパッチD1(D1−1〜D1−n)、クラス情報D2(D2−1〜D2−n)、及びセマフォオブジェクトD3(D3−1〜D3−n)を組み込むようにしている。プライマリディスパッチD1(D1−1〜D1−n)、クラス情報D2(D2−1〜D2−n)、及びセマフォオブジェクトD3(D3−1〜D3−n)は、各釣銭機ドライバソフトウェア31間で異なる情報である。
【0029】
プライマリディスパッチD1及びクラス情報D2は、具体的には図2及び図3に示したプライマリディスパッチD1−1,D1−2及びクラス情報D2−1,D2−2であり、それぞれは、接続される自動釣銭機2の装置識別を定義する情報である。プライマリディスパッチD1は、UUID(Universally Unique IDentifier)であり、クラス情報D2は、釣銭機ドライバ識別情報を除いたもとの釣銭機ドライバソフトウェアのクラスを定義する情報である。すなわち、プライマリディスパッチD1及びクラス情報D2は、POSレジスタ装置1側で、接続される同一機種の自動釣銭機2を区別するものである。
【0030】
また、セマフォオブジェクトD3は、具体的には図2及び図3に示したセマフォオブジェクトD3−1,D3−2であり、1つのPOSアプリケーションソフトウェア21と1つの釣銭機ドライバソフトウェア31との接続関係を定義する情報である。釣銭機ドライバソフトウェア31は、釣銭機ドライバ識別情報以外は同じソフトウェアであるため、自動釣銭機2側からの同一イベントの情報は全て同じ情報に変換されてPOSアプリケーションソフトウェア21側に送信される。また、POSアプリケーションソフトウェア21側から自動釣銭機2側に送出される情報は全ての釣銭機ドライバソフトウェア31が受信可能となる。このため、割付処理部22は、セマフォオブジェクトD3を用いて1つのPOSアプリケーションソフトウェア21と1つの釣銭機ドライバソフトウェア31とを紐付けする処理を行う。例えば、割付処理部22は、POSアプリケーションソフトウェア21−1と釣銭機ドライバソフトウェア31−1とをセマフォオブジェクトD3−1を用いて紐付け、釣銭機ドライバソフトウェア31−1から出力された情報はPOSアプリケーションソフトウェア21−1のみが受信可能とし、POSアプリケーションソフトウェア21−1から出力される情報は釣銭機ドライバソフトウェア31−1のみが受信可能としている。換言すれば、セマフォオブジェクトD3は、POSアプリケーションソフトウェア21と釣銭機ドライバソフトウェア31と間の同一送受信信号を区別するための定義情報である。このセマフォオブジェクトD3を用いることによって、起動された各POSアプリケーションソフトウェア21は、各自動釣銭機2を独立して制御することができる。
【0031】
このような釣銭機ドライバ識別情報(プライマリディスパッチD1、クラス情報D2、及びセマフォオブジェクトD3)を同一の釣銭機ドライバソフトウェアに組み込むことによって、同一機種の自動釣銭機2が複数接続された場合であっても、各POSアプリケーションソフトウェア21がそれぞれ独立して、所望の通信ポートCOMに接続された各自動釣銭機2を同時並列で制御することができる。
【0032】
[割付処理部22によるドライバ割付処理]
ここで、図4に示したフローチャートを参照して割付処理部22によるドライバ割付処理手順について説明する。まず、割付処理部22は、POSアプリケーションソフトウェア21が起動されたか否かを判断する(ステップS101)。POSアプリケーションソフトウェア21が起動されていない場合(ステップS101,No)には、このステップS101の判断処理を繰り返す。一方、POSアプリケーションソフトウェア21が起動された場合(ステップS101,Yes)には、さらに、無線端末3あるいは入出力部40からの指示入力によって接続対象の自動釣銭機2の割付指示入力があったか否かを判断する(ステップS102)。
【0033】
割付指示入力があった場合(ステップS102,Yes)には、指示された自動釣銭機2を接続する釣銭機ドライバソフトウェア31を割り付け(ステップS103)、ステップS101に移行する。
【0034】
一方、割付指示入力がない場合(ステップS102,No)、割付処理部22は、起動されたPOSアプリケーションソフトウェア21を自動割付し(ステップS104)、ステップS101に移行する。例えば、割付処理部22は、POSレジスタ装置1に接続された自動釣銭機2の稼動状態及び/または稼動優先順位をもとに、起動されたPOSアプリケーションソフトウェア21を所定の釣銭機ドライバソフトウェア31に自動割付する。自動釣銭機2の稼動状態とは、例えば、自動釣銭機2の稼動状態が空きか否かであり、割付処理部22は、空きの自動釣銭機2を優先して割り付ける。なお、自動釣銭機2が空きか否かは、自動釣銭機2が「OPEN」状態であるか否かで判断でき、「OPEN」状態でない場合が「空き」となる。また、自動釣銭機2の稼動優先順位とは、予め設定される自動釣銭機2の稼動優先順位であり、割付処理部22は、稼動優先順位の高い順に自動釣銭機2を割り付ける。
【0035】
なお、割付処理部22は、アプリケーション制御部20に設けるようにしているが、この割付処理部22を各POSアプリケーションソフトウェア21内に設けるようにしてもよい。この場合、割付処理部22は、プログラム部品とし、上述したDLLファイルを展開することによって実現することができる。
【0036】
[釣銭機ドライバ接続処理部32によるドライバ接続処理]
ここで、図5に示したフローチャートを参照して釣銭機ドライバ接続処理部32によるドライバ接続処理手順について説明する。まず、釣銭機ドライバ接続処理部32は、自動釣銭機2が通信ポートCOMに接続されたことを検出したか否かを判断する(ステップS201)。釣銭機ドライバ接続処理部32は、自動釣銭機2が通信ポートCOMに接続されたことを検出しない場合(ステップS201,No)、このステップS201の判断処理を繰り返す。一方、釣銭機ドライバ接続処理部32は、自動釣銭機2が通信ポートCOMに接続されたことを検出した場合(ステップS201,Yes)、検出した通信ポートCOMに、1つの釣銭機ドライバソフトウェア31を割り付けて接続し(ステップS202)、ステップS201に移行する。この釣銭機ドライバ接続処理部32による釣銭機ドライバソフトウェア31の割付は、記憶部50内で未使用の釣銭機ドライバソフトウェア51を読み出し、この読み出した釣銭機ドライバソフトウェア51を、通信ポートCOMに接続された1つの自動釣銭機2に対する1つの釣銭機ドライバソフトウェア31として割り付ける。
【0037】
なお、POSアプリケーションソフトウェア21は、上述した釣銭機ドライバ識別情報を用いて、接続される自動釣銭機2に対して異なる論理名を定義することが好ましい。これにより、例えば、この論理名を用いてPOSアプリケーションソフトウェア21上で、例えば自動釣銭機2−1が通信ポートCOM1に接続されて「OPEN」状態か否かをユーザフレンドリーに表示することができる。
【0038】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、釣銭機ドライバ識別情報が異なる釣銭機ドライバソフトウェア31をPOSレジスタ装置1に接続される上限数分(n個分)、予め記憶部50に保持し、自動釣銭機2が通信ポートCOMに接続される毎に未使用の釣銭機ドライバソフトウェア31を、接続された自動釣銭機2に割り当てるようにしていた。本実施の形態2では、自動釣銭機2がPOSレジスタ装置1に接続される毎に、異なる釣銭機ドライバ識別情報を生成し、この生成した釣銭機ドライバ識別情報を組み込んだ釣銭機ドライバソフトウェア31を、接続された自動釣銭機2に割り当てるようにしている。
【0039】
図6は、本発明の実施の形態2であるPOSレジスタシステムの全体構成を示すブロック図である。図6に示したPOSレジスタ装置1の記憶部50には、プライマリディスパッチD1が組み込まれる空欄D1−0、クラス情報D2が組み込まれる空欄D2−0、セマフォオブジェクトD3が組み込まれる空欄D3−0が設けられた基準の釣銭機ドライバソフトウェア52が保持されている。そして、釣銭機ドライバ接続処理部32に対応する釣銭機ドライバ接続処理部33は、自動釣銭機2の接続毎に、異なるプライマリディスパッチD1、クラス情報D2、セマフォオブジェクトD3を生成し、この生成したプライマリディスパッチD1、クラス情報D2、セマフォオブジェクトD3を空欄D1−0、空欄D2−0、空欄D3−0にそれぞれ組み込んだ釣銭機ドライバソフトウェア31(31−1〜31−n)を割り付けるようにしている。
【0040】
[釣銭機ドライバ接続処理部33によるドライバ接続処理]
ここで、図7に示したフローチャートを参照して釣銭機ドライバ接続処理部33によるドライバ接続処理手順について説明する。まず、釣銭機ドライバ接続処理部33は、自動釣銭機2が通信ポートCOMに接続されたことを検出したか否かを判断する(ステップS301)。自動釣銭機2が通信ポートCOMに接続されたことを検出した場合(ステップS301,Yes)、釣銭機ドライバ接続処理部33は、既に接続されている他の釣銭機ドライバソフトウェア31と異なるプライマリディスパッチD1、クラス情報D2、及びセマフォオブジェクトD3を生成する(ステップS302)。さらに、釣銭機ドライバ接続処理部33は、検出した通信ポートCOMに、生成したプライマリディスパッチD1、クラス情報D2、及びセマフォオブジェクトD3を、釣銭機ドライバソフトウェア51の空欄D1−0、空欄D2−0、空欄D3−0に組み込んだ釣銭機ドライバソフトウェア31を割り付け(ステップS303)、ステップS301に移行する。なお、自動釣銭機2が通信ポートCOMに接続されたことを検出しない場合(ステップS301,No)には、ステップS301の判断処理を繰り返す。
【0041】
なお、釣銭機ドライバソフトウェア31を更新する場合、この更新した基準の釣銭機ドライバソフトウェアに上述した異なる釣銭機ドライバ識別情報を付加するのみでよいため、更新時の釣銭機ドライバソフトウェアの開発が容易となる。
【0042】
また、上述した実施の形態1,2では、同一機種の複数の自動釣銭機2がPOSレジスタ装置1に接続する場合について説明したが、他のメーカの異なる機種を接続してもよい。この場合、他のメーカの異なる機種の釣銭機と、この機種の釣銭機ドライバソフトウェアとの通信処理は、自動釣銭機2の場合と異なる場合があるため、釣銭機ドライバ接続処理部32,33は、他のメーカの機種の釣銭機が通信ポートCOMに接続された場合、クラス情報D2などを参照して、この他のメーカの機種の釣銭機ドライバソフトウェアに対応するものを選択して起動させるようにすればよい。
【0043】
なお、上述した無線端末3は、ブラウザによってPOSレジスタ装置1上のPOSアプリケーションソフトウェア21を遠隔操作してもよいし、POSアプリケーションソフトウェア21をダウンロードしてもよい。
【0044】
また、各自動釣銭機2は各通信ポートCOMに、例えばRS−232Cケーブルを介してローカル接続される構成であったが、LANケーブルを介して接続するようにしてもよいし、ハブを介して接続してもよい。
【0045】
なお、上述した釣銭機ドライバソフトウェア31、釣銭機ドライバ接続処理部32,33、割付処理部22は、これらの各プログラムを暗号化や圧縮した状態でインターネット等の回線を介して、あるいは記憶媒体を介して頒布してもよい。
【0046】
上述した実施の形態1,2では、1台のPOSレジスタ装置1に複数の自動釣銭機2を接続して同時に並列処理することができる。また、この場合、既に作成された釣銭機ドライバソフトウェアに釣銭機ドライバ識別情報を組み込むのみで複数の釣銭機ドライバソフトウェアを生成することができ、既に作成された釣銭機ドライバソフトウェアの資産を有効活用することができるので、ソフトウェア開発にかかる労力と時間とを削減することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 POSレジスタ装置
2,2−1〜2−n 自動釣銭機
3,3−1〜3−m 無線端末
10 無線端末ドライバソフトウェア
20 アプリケーション制御部
21,21−1〜21−m POSアプリケーションソフトウェア
22 割付処理部
30 ドライバ制御部
31,31−1〜31−n,51,51−1〜51−n,52 釣銭機ドライバソフトウェア
32,33 釣銭機ドライバ接続処理部
40 入出力部
50 記憶部
60 無線通信ポート
COM,COM1〜COMn 通信ポート
D1,D1−1〜D1−n プライマリディスパッチ
D1−0,D2−0,D3−0 空欄
D2,D2−1〜D2−n クラス情報
D3,D3−1〜D3−n セマフォオブジェクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7