(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(以下、成分(a)とも記載する。)60〜90重量%と、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂及びそれらの水素添加誘導体からなる群から選ばれる脂環式炭化水素樹脂(以下、成分(b)とも記載する。)10〜40重量%を含む樹脂成分100重量部に対して、前記一般式(1)で表される造核剤(c)0.05〜1重量部を含有することを特徴とする。
以下、高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物について、項目毎に、詳細に説明する。
【0015】
1.プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(成分(a))
本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物には、成分(a)として、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体が用いられる。
【0016】
本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、好ましくはシングルサイト系触媒(坦持または非坦持メタロセン型化合物と有機アルミニウム化合物との組み合わせに基づくもの)にて重合されたものが用いられる。
シングルサイト系触媒とは、活性点が同種(シングルサイト)の触媒を指し、具体的にはメタロセン触媒などが挙げられる。このようなシングルサイト系触媒で得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、従来のチーグラー系触媒で得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体等に比して、柔軟性に富み、大量の無機充填剤が配合されても、可撓性を保つことができる。また、融点も、エチレン系共重合体に比して高く、ポリプロピレン系樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
【0017】
本発明に係るプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体において、用いられるα−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を例示できる。
また、プロピレンと共重合されるα−オレフィンは、一種類でも二種類以上併用してもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好適である。α−オレフィンの含有量は、剛性と透明性のバランスの観点からプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体100重量%に対して、好ましくは1.0〜10.0重量%、より好ましくは1.0〜5.5重量%である。
【0018】
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の重合法としては、特に限定されず、好ましくはシングルサイト系触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法や溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、成形性の観点からJIS K7210(230℃、2.1kg荷重)に準拠して測定されたメルトフローレート(MFR)が、好ましくは2〜15g/10分、より好ましくは2〜10g/10分である。MFR値の制御の方法は、周知であり、重合条件である温度や圧力を調節したり、重合時に添加する水素等の連鎖移動剤の添加量を制御することにより、容易に調節を行うことができる。
【0019】
本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の融点は、剛性と透明性のバランスの観点から好ましくは120〜155℃、より好ましくは125〜145℃である。プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の融点の制御は、周知であり、重合層に供給するプロピレンと、エチレンなどのα−オレフィンの量比を適宜調節する等により可能である。融点(Tm)を、例えば125〜145℃に制御するためには、使用する触媒の種類にも依存するが、エチレンなどのα−オレフィン含有量が概ね1.5〜3.5重量%程度の範囲で調整することにより、所望の融点を有するプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を製造できる。
なお、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の融点は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して、示差走査型熱量計(DSC)により測定され、本発明では、温度40℃から200℃まで、10℃/分の昇温速度で融解させた時の融解曲線のピーク温度である。融点の測定は、セイコー社製DSC/RDC220Uを用い、試料5.0mgを採り、40℃で1分間保持した後、200℃まで10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を融点(Tm)とした(単位:℃)。
このようなプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、市販品のものを用いることができる。具体的には、日本ポリプロ社製の商品名「WINTEC WFW5T」(プロピレンーエチレンランダム共重合体)などが挙げられる。
【0020】
本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物において、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の配合量は、60〜90重量%であり、好ましくは65〜85重量%、さらに好ましくは70〜80重量%である。
【0021】
2.脂環式炭化水素樹脂(成分(b))
本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物において、成分(b)として用いられる脂環式炭化水素樹脂成分は、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂及びそれらの水素添加誘導体からなる群から選ばれる一種類以上である。
これらの中で、極性基を有さないものや、あるいは、水素を添加して、95重量%以上の水添率とした樹脂が好ましい。さらに好ましい樹脂は、石油樹脂又は石油樹脂の水素添加誘導体であり、このような石油樹脂としては、例えば、荒川化学工業(株)製の商品名「アルコン」または東燃化学社製の商品名「オペラ(OPPERA)」等の市販品が挙げられる。
【0022】
また、脂環式炭化水素樹脂成分(b)は、軟化点温度が110〜160℃であることが好ましく、さらに好ましくは120〜145℃である。軟化点温度が110℃未満であると、フィルム表面へのブリードが発生して、透明性を低下させるおそれがあり、一方、軟化点温度が160℃を超えると、透明性が損なわれる場合がある。
脂環式炭化水素樹脂成分の軟化点は、例えばJIS K2207の方法によって測定することが可能である。
【0023】
本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物において、脂環式炭化水素樹脂成分(b)の配合量は、10〜40重量%であり、好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは20〜30重量%である。すなわち、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(a)の配合量は、60〜90重量%、好ましくは65〜85重量%、さらに好ましくは70〜80重量%である。
脂環式炭化水素樹脂成分(b)の配合量が上記範囲を下回ると、剛性が低下し、一方、上記範囲を上回ると、透明性が損なわれる。
【0024】
3.造核剤(c)
本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物には、造核剤(c)が配合される。
造核剤としては、下記一般式(1)で表される造核剤が用いられる。
【0025】
【化2】
(式中、nは、0〜2の整数であり、R
1〜R
5は、それぞれ独立に、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基もしくはフェニル基であり、R
6は、炭素数が1〜20のアルキル基である。)
【0026】
一般式(1)において、好ましくは、nは、0〜2の整数であり、R
1、R
2、R
4およびR
5は、それぞれ水素原子であり、R
3およびR
6は、同一または異なって、それぞれ炭素数が1〜20のアルキル基である。
さらに好ましくは、nは、0〜2の整数であり、R
1、R
2、R
4およびR
5は、それぞれ水素原子であり、R
3は、−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
3、−CH
2CH=CH
2、−CH(CH
3)CH=CH
2、−CH
2CH−X
1−CH
2−X
2、−CH
2CH−X
3−CH
2CH
3、−CH
2CH−X
4−CH
2OHもしくは−CH
2OH−CH(OH)−CH
2OHであり(但し、X
1〜X
4は、それぞれ独立したハロゲン原子を含む基である。)、R
6は、炭素数が1〜20のアルキル基であることが好ましい。
【0027】
また、造核剤が下記の化学構造式(2)で表される場合には、透明性がきわめて優れる上、ゲル−ゾル転移温度が170℃と従来の造核剤の代表であるジベンジリデンソルビトール系造核剤に比べて、約20℃も低下するため、成形温度を約20℃以上下げても良好な透明性を得ることが可能となり、非常に好ましい。
【0029】
このような造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、ミリケン社製、商品名ミラッドNX8000、NX8000Jを挙げることができる。
また、本発明に係る造核剤(c)は、単にポリプロピレン系重合体の結晶を微細化して球晶の発達を防ぐばかりでなく、融点の比較的低い非晶質部分を均質化および微細化することにより、ポリプロピレン系重合体の結晶化温度を上昇させるということで、包装用フィルムとしての腰の強さを高める結果となる。
【0030】
本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物において、造核剤(c)の配合量は、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(成分(a))と脂環式炭化水素樹脂成分(成分(b))の合計の樹脂成分100重量部に対し、0.01〜0.5重量部である。造核剤の配合量0.05〜0.4重量部がより好ましく、0.1〜0.3重量部がさらに好ましい。造核剤の配合量が上記範囲を下回ると透明性が低下し,上記範囲を上回ることは、経済上好ましくない。
【0031】
また、本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物では、本発明の効果を阻害しない範囲において、他の造核剤として、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族リン酸金属塩、ソルビトール系誘導体、アミン系化合物等を用いることができ、上記一般式(1)で表される造核剤と併用することができる。
これらの造核剤の中では、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)アルミニウム、p−メチル−ベンジリデンソルビトール、p−エチル−ベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルべンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3・4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、等の造核剤が挙げられる。
【0032】
4.その他の添加剤
本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物において、上記プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(a)、脂環式炭化水素樹脂(b)および造核剤(c)に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
【0033】
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
また、アミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワン等のラクトン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤などを挙げることができる。
【0034】
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
また、滑剤の具体例としては、既知の滑剤が挙げられるが、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイル等が挙げられる。
また、紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0035】
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、等の光安定剤を挙げることができる。
【0036】
さらに、その他に、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマー等を、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜配合することができる。直線状低密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマーを配合する場合は、透明性の観点からメタロセン触媒により重合されたものが好ましい。
【0037】
5.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(a)、脂環式炭化水素樹脂(b)、造核剤(c)及び必要に応じて用いる他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ロール等で180〜280℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
【0038】
6.ポリプロピレン系樹脂組成物の用途
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、剛性と透明さのバランスに、特に優れる。そのため、フィルム用途、特に、食品、医療、文具、雑貨などの包装用途に好適に用いられる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムは、白味がなく、すっきりした透明感があり、かつ、優れた剛性を持つ包装材料として極めて商品価値の高いものである。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなるフィルムは、電化製品もしくは家具、自動車などの工業製品の保護用フィルムにも、好ましく用いられる。
【0039】
このようなフィルムをつくるためには、公知のキャスト法、インフレーション法、延伸法等を用いて成形することができる。中でもキャスト法、水冷インフレーション法が好ましい。
キャスト法は、シート、フィルム(未延伸フィルム)等の押出成形体を製造する方法であり、押出機で溶融混練された樹脂組成物がTダイから押し出され、水等の冷媒を通したロールに接触させられることにより冷却されて、一般に透明性、光沢性が良く、厚み精度のよいフィルムを製造することができるので、フィルムにとって、好ましい製造方法である。
【0040】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムにおいて、それが単層フィルムとして成形され利用される場合は、その厚みは5〜500μm、好ましくは10〜200μmであるのが普通である。厚みが5μmより薄くとも、500μmより厚くとも加工が困難となる。
【0041】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムは、インフレーション法で製造してもよい。インフレーション法は、環状ダイ付きの押出し機により溶融させてチューブ状に押出し、水冷および空冷にて冷却し、フィルムを製造する方法である。フィルムの厚さは、通常10〜150μmであることが望ましい。
【0042】
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムは、延伸フィルムの形態であってもよく、その場合、延伸フィルムは、上記のようにして得られるシート又はフィルムを、公知の延伸装置で延伸することにより製造することができる。これら延伸装置としては、例えば、テンター法、同時二軸延伸法、一軸延伸法等を挙げることができる。延伸フィルムの延伸倍率は、二軸延伸フィルムの場合には10〜70倍であることが望ましく、一軸延伸フィルムの場合には2〜10倍であることが望ましい。また、延伸フィルムの厚さは通常5〜200μmであることが望ましい。
【0043】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムが有している透明性、剛性の特性の視点から、包装用フィルムという特定の用途におけるその有意性を、更に詳細に説明をする。
包装用フィルムは、その特性を生かして、特に包装形態の多様化にも適合できる特性を要求される。例えば、一般包装用途に加え、最近包装用フィルムの多くが使用されている利用形態の分野にも使用できる。
(I)ラップまたはストレッチ包装;成形した未延伸または延伸包装用フィルムにより、密着包装する通常の利用形態であり、これをラップまたはストレッチ包装と表現することができる。
(II)シュリンク包装;包装用フィルムの熱収縮性の性質を利用して包装する利用形態であり、これをシュリンク包装と表現する。
(III)真空包装;内容物をフィルムで覆い、介在する空気を真空成形機により吸引して、密着包装する手法である。
(IV)レトルト包装;レトルト処理対応の包装形態である。
(V)積層フィルム;本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムと、他のポリプロピレン系包装用フィルムやポリプロピレン系以外のポリエチレン系包装用フィルムなどと積層した複合フィルム形態。
このように、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムは、各種包装形態、包装方法に使用できる態様を包含しており、本発明のポリプロピレン系包装用フィルムとしての、そのような包装形態の多様化に適用できる特性と性能を備えている。
【0044】
上記の(V)積層フィルム(多層フィルム)において、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなるフィルム以外の層としては、例えば、本発明以外のポリプロピレンを主成分とする樹脂からなる層、エチレン系重合体を主成分とする樹脂からなる層、ポリエステル樹脂からなる層、ポリアミド樹脂からなる層などが挙げられる。
また、本発明に係る積層フィルム(多層フィルム)において、本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を含有する層が中間層であることが好ましい。
フィルム全体の厚みとしては、好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは10〜100μmである。フィルムには、通常工業的に採用されている方法によって、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理を施してもよい。
【0045】
包装フィルムに求められる一般的な機能は、次のようなことが挙げられる。
(i)内容物などの輸送、貯蔵、店頭陳列などにおける内容物の保護は勿論のこと、内容物の様子、状態、鮮度、および美的外観の表現を適切に表す品質機能を有する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムの剛性と透明性のバランスに優れるという性能は、前記要求を満たす性能を備えたものである。
(ii)商品価値を高める。
通常ポリプロピレン系包装用フィルムは、HAZEが3〜10%程度であり、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムは、HAZEが4%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1.0%以下、というような性能を有することは非常に優れているものと評価することができる。同様に、剛性も非常に優れているものである。
これら包装用フィルムの特性は、生鮮食品や、流行の繊維、衣類などの内視が求められる商品を包装した場合や内容物の商品価値を高める役割を果たす上で極めて有用である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムは、その(i)〜(ii)の要件を満たす性質、特性、機能、および作用効果を十分に備えているということができる。
【0046】
その他の使用形態に関しても、例えば前記(I)〜(V)のような用途において、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムは、有意性を備えたものであり、その高い透明性および剛性等から、(i)〜(ii)に示すような内容物の商品価値を高める上で極めて有用である。
このように、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた高剛性フィルムは、あらゆる包装形態において、商品価値を高める役割を果たすばかりでなく、成形においても、作業環境の維持、成形性の向上など、多面的な有意性を備えたものである。
【実施例】
【0047】
以下において、本発明をより具体的にかつ明確に説明するために、本発明を実施例及び比較例との対照において説明し、本発明の構成要件の合理性と有意性を実証するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた材料、物性測定法などは、以下の通りである。
【0048】
1.使用樹脂(中間層用高剛性フィルム用樹脂組成物)
(1)プロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(a))
プロピレン−α−オレフィン共重合体として、下記のものを使用した。
日本ポリプロ社製、商品名「WINTEC WFW5T」(プロピレン−エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒で重合、MFR:7g/10分、融点:145℃)
(2)脂環式炭化水素樹脂(成分(b))
脂環式炭化水素樹脂として、下記のものを使用した。
(B−1):東燃化学社製、商品名「OPPERA PR130」(軟化点:137℃)
(B−2):荒川化学工業社製、商品名「アルコン P140」(軟化点:140℃)
(3)造核剤(成分(c))
造核剤として、下記のものを使用した。
Milliken Chemical社製、商品名「Millad NX8000J」
【0049】
2.使用樹脂(外層及び内層使用樹脂)
(1)外層および内層使用樹脂
プロピレン系重合体として、下記のものを使用した。
日本ポリプロ社製、商品名「WINTEC WFX4TA」(プロピレン−エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒で重合、MFR:7g/10分、融点:125℃)
【0050】
3.造核剤マスターバッチのコンパウンド
高剛性フィルム用樹脂組成物を構成する造核剤を、分散良く添加するため、事前にプロピレンーエチレンランダム共重合体パウダーをベースとしたマスターバッチを製造した。
プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダー(WINTEC WFW5T)90重量%に、造核剤(Millad NX8000J)を10重量%、その他、適宜酸化防止剤などの添加剤を加えドライブレンドし、溶融混練し造核剤マスターバッチペレット(C)を得た。
【0051】
4.高剛性フィルム用樹脂組成物のコンパウンド
高剛性フィルム用樹脂組成物のベースとして、成分(a)と成分(b)を下記表1のようにドライブレンドし、溶融混練し、高剛性フィルム用樹脂組成物のベース材(A−1〜4)を得た。
【0052】
【表1】
【0053】
5.多層フィルムの製造
中間層用押出機として、口径35mmの単軸押出機、外層用及び内層用の押出機として、口径20mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmの3種3層マルチマニホールドダイから設定温度240℃にて押出し、温度30℃の水を流している冷却ロールにより冷却して、15m/minの速度で成形し、厚みが不均一な両端を切り落とし、各層の厚みが4μm(外層)/9μm(中間層)/12μm(内層)で、総厚み25μmのフィルムを得た。
次に、得られた多層フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下において24時間以上状態調整した。得られた多層フィルムの物性を評価した。
【0054】
6.多層フィルムの評価方法
(1)透明性(HAZE)
JIS K7136−2000に準拠し、成形した多層フィルムの透明性をヘイズメータで測定した。
得られた値が小さいほど透明性が良いことを意味し、この値が7%以下であるとディスプレイ効果(内容物の視認、ラミネート等の加工仕上がり)を得る点で優れており、4%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1.0%以下が特に好ましい。
【0055】
(2)剛性(引張弾性率)
JIS K7127−1989に準拠し、下記条件にて成形した多層フィルムの流れ方向(MD)及び幅方向(TD)についての引張弾性率を測定し、TDとMDの合計値により評価を行った。
得られた値が大きいほど剛性が高いことを意味し、TDとMDの合計値が1000MPa以上であるとラミネート等の後加工時の作業性(フィルムの切断作業等)に優れており、1200MPa以上が好ましく、1400MPa以上が特に好ましい。
・サンプル長さ:150mm
・サンプル幅:15mm
・チャック間距離:100mm
・クロスヘッド速度:1mm/min
【0056】
[実施例1]
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(成分(a))(日本ポリプロ社製、商品名「WINTEC WFW5T」(プロピレン−エチレンランダム共重合体))80重量%と、脂環式炭化水素樹脂(成分(b))(東燃化学社製商品名「OPPERA PR130」(軟化点:137℃)(B−1))20重量%をドライブレンドし、溶融混練し高剛性フィルム用樹脂組成物のベース材(A−1)を得た。
プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダー(WINTEC WFW5T)90重量%に、造核剤(Milliken Chemical社製 商品名「Millad NX8000J」)を10重量%、その他適宜酸化防止剤などの添加剤を加え、ドライブレンドし、溶融混練し、造核剤マスターバッチペレット(C)を得た。
ベース材(A−1)100重量部に対して、造核剤マスターバッチペレット(C)1重量部を配合して、中間層用使用樹脂を得た。
外層及び内層用の使用樹脂として、プロピレン系重合体( 日本ポリプロ社製 商品名「WINTEC WFX4TA」)を用いた。
中間層用押出機として、口径35mmの単軸押出機、外層用及び内層用の押出機として、口径20mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmの3種3層マルチマニホールドダイから設定温度240℃にて押出し、温度30℃の水を流している冷却ロールにより冷却して、15m/minの速度で成形し、厚みが不均一な両端を切り落とし、各層の厚みが4μm(外層)/9μm(中間層)/12μm(内層)で総厚み25μmのフィルムを得た。
次に、得られた多層フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下において24時間以上状態調整した。得られた多層フィルムの物性を評価した。
評価結果を下記表2に示す。
【0057】
[実施例2]
実施例1において、ベース材(A−1)100重量部に対し、造核剤マスターバッチペレット(C)の配合量を2重量部とした以外は、実施例1と同様にして、多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0058】
[実施例3]
実施例1において、ベース材(A−1)100重量部に対し、造核剤マスターバッチペレット(C)の配合量を3重量部とした以外は、実施例1と同様にして、多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0059】
[実施例4]
実施例1において、高剛性フィルム用樹脂組成物中、成分(a)の含有量を70重量%、成分(b)の含有量を30重量%とし、ベース材(A−2)を得た。更に、ベース材(A−2)100重量部に対し、造核剤マスターバッチペレット(C)の配合量を2重量部とした。それ以外は、実施例1と同様にして、多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0060】
[実施例5]
実施例2において、成分(b)として、東燃化学社製商品名「OPPERA PR130」(軟化点:137℃)(B−1)に替えて、荒川化学工業社製商品名「アルコン P140」(軟化点:140℃)(B−2)を用い、高剛性フィルム用樹脂組成物中、成分(b)の含有量はそのままに、ベース材(A−3)を得た。それ以外は、実施例2と同様にして、多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0061】
[実施例6]
実施例5において、高剛性フィルム用樹脂組成物中、成分(a)の含有量を70重量%、成分(b)の含有量を30重量%とし、ベース材(A−4)を得た。それ以外は、実施例5と同様にして多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0062】
[比較例1]
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(成分(a))(日本ポリプロ社製、商品名「WINTEC WFW5T」(プロピレン−エチレンランダム共重合体))を100重量%とし、成分(b)(脂環式炭化水素樹脂)及び成分(c)(造核剤マスターバッチペレット(C))を含有しない中間層用使用樹脂を得た。それ以外は、実施例1と同様にして、多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0063】
[比較例2]
実施例2において、フィルム用樹脂組成物のベース材の配合量を成分(a)80重量%、成分(b)20重量%からなるベース材(A−1)を得た。これに、成分(c)(造核剤マスターバッチペレット(C))を配合せずに、中間層用使用樹脂を得た。それ以外は、実施例2と同様にして、多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0064】
[比較例3]
実施例4において、フィルム用樹脂組成物のベース材の配合量を成分(a)70重量%、成分(b)30重量%からなるベース材(A−2)を得た。これに、成分(c)(造核剤マスターバッチペレット(C))を配合せずに、中間層用使用樹脂を得た。それ以外は、実施例4と同様にして、多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0065】
[比較例4]
実施例5において、フィルム用樹脂組成物のベース材の配合量を成分(a)80重量%、成分(b)20重量%からなるベース材(A−3)を得た。これに、成分(c)(造核剤マスターバッチペレット(C))を配合せずに、中間層用使用樹脂を得た。それ以外は、実施例5と同様にして、多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0066】
[比較例5]
実施例6において、フィルム用樹脂組成物のベース材の配合量を成分(a)70重量%、成分(b)30重量%からなるベース材(A−4)を得た。これに、成分(c)(造核剤マスターバッチペレット(C))を配合せずに、中間層用使用樹脂を得た。それ以外は、実施例6と同様にして、多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの物性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
表2から明らかなように、本発明の高剛性フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を中間層に用いた実施例1〜6の多層フィルムは、引張弾性率が高く、透明性も良好であることが判る。一方、比較例1〜5の多層フィルムは、引張弾性率と透明性のバランスが良好でないことが判る。特に、比較例4,5は、実施例5、6に比べ、透明性は同レベルであるが、引張弾性率が劣り、引張弾性率と透明性のバランスが良好でないことが判る。