(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像処理システム1の全体構成の説明>
まず、本実施の形態に係る画像処理システム1の全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像処理システム1の全体構成例を示した図である。
図示するように、画像処理システム1は、画像処理装置2A、画像処理装置2Bと、携帯端末3A、携帯端末3B、携帯端末3Cと、操作端末4Aと、操作端末4Bと、管理サーバ5とを備えている。また、画像処理装置2A、画像処理装置2Bと、携帯端末3A、携帯端末3B、携帯端末3Cとの間では、無線通信が行われる。さらに、画像処理装置2A、画像処理装置2B、操作端末4A、操作端末4B、管理サーバ5は、ネットワーク6に接続され、各装置間で相互に通信が行われる。
【0009】
なお、
図1には画像処理装置2A、画像処理装置2Bを示したが、これらを区別する必要がない場合には画像処理装置2と称する。同様に、
図1には携帯端末3A、携帯端末3B、携帯端末3Cを示したが、これらを区別する必要がない場合には携帯端末3と称する。さらに、
図1には操作端末4A、操作端末4Bを示したが、これらを区別する必要がない場合には操作端末4と称する。また、
図1に示す例では2つの画像処理装置2を示したが、3つ以上の画像処理装置2を設けてもよい。さらに、
図1に示す例では3つの携帯端末3を示したが、4つ以上の携帯端末3を設けてもよい。そして、
図1に示す例では2つの操作端末4を示したが、3つ以上の操作端末4を設けてもよい。
【0010】
画像処理装置2は、画像の処理を行なう装置であり、例えば、スキャン機能、プリント(印刷)機能、コピー機能およびファクシミリ機能等を備えた装置であって、用紙等の記録媒体に画像を形成して出力する。ここで、画像処理装置2は、携帯端末3や操作端末4等から印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブをもとに印刷処理を実行する。印刷ジョブとは、印刷対象となる画像データと、印刷処理における設定が記述された制御命令とを含み、画像処理装置2で実行される印刷処理の単位となるデータである。
【0011】
携帯端末3は、画像処理装置2で画像処理を行なうための処理条件を作成するとともに画像処理装置2に送信する端末装置の一例であり、携帯型のコンピュータ装置である。携帯端末3としては、例えば、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC等を用いるとよい。
【0012】
操作端末4は、ユーザが文書ファイルの閲覧、編集等を行う際に用いられるコンピュータ装置である。操作端末4としては、例えば、ノートPC、デスクトップPC等を用いるとよい。但し、操作端末4として、スマートフォン等の携帯型のコンピュータ装置を用いてもよい。
【0013】
管理サーバ5は、画像処理システム1で処理される各種データを格納するコンピュータ装置である。
【0014】
ネットワーク6は、画像処理装置2、操作端末4、管理サーバ5の各装置間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、有線LAN(Local Area Network)である。
【0015】
また、本実施の形態では、画像処理装置2と携帯端末3との間で、近距離無線通信(例えば、近接場型の無線通信:NFC(Near Field Communication))、および近距離無線通信より高速な別の通信規格(例えば、Wi−Fi Direct)を用いた無線通信が行われる。NFCとは、通信距離が約10cmに限定された無線通信の規格である。また、Wi−Fi Directとは、Wi−Fi端末間で直接通信するための規格であり、Wi−Fi Directでは、各Wi−Fi対応機器がアクセスポイントとして動作する機能を搭載する。アクセスポイントとは、機器間の通信を無線により中継する中継機器である。付言すると、Wi−Fi Directでは、ネットワークに参加する複数台のWi−Fi対応機器の中で、いずれか一台の通信装置が実際にアクセスポイントとして動作し、アクセスポイントとなる機器と他のWi−Fi対応機器との間で直接通信が行われる。
【0016】
また、Wi−Fi Directでは、ある一つのネットワークに参加する各通信装置がP2P Deviceとして定義され、そのネットワークがP2P Groupとして定義される。そして、P2P Groupにおいて、実際にアクセスポイントとして動作するP2P DeviceがP2P Group Ownerとして定義され、P2P Group Owner以外のP2P DeviceがP2P Device Clientとして定義される。各P2P Deviceは、他のP2P Deviceと信号のやり取りを行うことで、Wi−Fi Directの接続先の候補となるP2P Deviceを検出し、複数のP2P DeviceからP2P Group Ownerが選出される。
【0017】
本実施の形態では、画像処理装置2がP2P Group Ownerとして機能する。また、Wi−Fi Directでは、P2P Group Ownerに同時に接続しているP2P Device Clientの数に上限が設けられるのが一般的である。本実施の形態では、Wi−Fi Directにより画像処理装置2に同時に接続している携帯端末3の数の上限は、例えば、3台である。
【0018】
上述した画像処理システム1では、ユーザは、携帯端末3や操作端末4から、ネットワーク6やWi−Fi Directを用いた無線通信により、印刷ジョブを画像処理装置2に送信し、画像処理装置2において印刷を行なうことができる。
またユーザは、画像処理装置2の設置場所に行くことで、原稿のスキャン(画像の読み取り)を行なったり、原稿のコピーを行なうことができる。さらに読み取った画像をネットワーク6や図示しない公衆通信網を介してファクシミリ送信することもできる。
なお管理サーバ5は、画像処理装置2で印刷する印刷ジョブを管理し、印刷ジョブを適切な順序で並び替え、画像処理装置2に対して送信することもできる。この場合、管理サーバ5は、プリントサーバとして機能する。また管理サーバ5は、ファイルを管理することで、携帯端末3や操作端末4でファイルを共有することができる。この場合、管理サーバ5は、ファイルサーバとして機能する。
【0019】
<画像処理装置2の説明>
図2は、本実施の形態に係る画像処理装置2の外観図である。
図3は、本実施の形態に係る画像処理装置2の内部構造を示す図である。
画像処理装置2は、原稿の画像を読み取る画像読取装置100と、記録媒体(用紙)上に画像を形成する画像形成装置200と、を備えている。また、画像処理装置2は、装置全体の動作を制御する制御装置300と、ユーザから受けた指示を制御装置300に出力するとともに制御装置300からの情報をユーザに提示するユーザインタフェース(UI)400を備えている。またさらに画像処理装置2は、携帯端末3との間でWi−Fi Directによる無線通信を行う無線インタフェース(以下、無線I/Fと称する)500と、携帯端末3との間でNFC通信を行うNFCインタフェース(以下、NFCI/Fと称する)600とを備える。
【0020】
画像読取装置100は、画像処理装置2の上部に配置される。また画像形成装置200は、画像読取装置100の下側に配置され、制御装置300を内蔵している。ユーザインタフェース400は、画像処理装置2の上部の手前側の中央部、つまり画像読取装置100の後述する画像読取部110の手前側中央部に配置されている。さらに無線I/F500は、画像処理装置2の上部の手前側左端部に配置され、NFCI/F600は、画像処理装置2の上部に内蔵されている。
【0021】
先ずは、画像読取装置100について説明する。
画像読取装置100は、原稿の画像を読み取る画像読取部110と、この画像読取部110に原稿を搬送する原稿搬送部120と、を備えている。原稿搬送部120は、画像読取装置100の上部に配置され、画像読取部110は、画像読取装置100の下部に配置されている。
原稿搬送部120は、原稿を収容する原稿収容部121と、この原稿収容部121から搬送された原稿が排出される原稿排出部122とを有し、原稿収容部121から原稿排出部122へ原稿を搬送する。原稿搬送部120は、原稿自動送り装置(ADF:Auto Document Feeder)とも呼ばれる。
【0022】
画像読取部110は、プラテンガラス111と、光を原稿の被読取面(画像面)へ照射する光照射ユニット112と、光照射ユニット112から原稿の被読取面へ光Lが照射されて原稿の被読取面で反射した光Lを導く導光ユニット113と、導光ユニット113によって導かれた光Lの光学像を結像する結像レンズ114と、を備えている。また、画像読取部110は、結像レンズ114によって結像された光Lを光電変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の光電変換素子で構成され、結像された光学像を検出する検出部115と、検出部115と電気的に接続されて、検出部115によって得られた電気信号が送られる信号処理部116と、を備えている。
画像読取部110は、原稿搬送部120によって搬送される原稿の画像、及びプラテンガラス111に載せられた原稿の画像を読み取る。
【0023】
次に、画像形成装置200について説明する。
画像形成装置200は、用紙上に画像を形成する画像形成部20と、画像形成部20に対して用紙Pを供給する用紙供給部60と、画像形成部20にて画像が形成された用紙Pを排出する用紙排出部70と、画像形成部20にて一方の面に画像が形成された用紙Pの表裏を反転させて再度画像形成部20に向けて搬送する反転搬送部80と、を備えている。
【0024】
画像形成部20は、一定の間隔を置いて並列的に配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kを備えている。各画像形成ユニット21は、感光体ドラム22と、感光体ドラム22の表面を一様に帯電する帯電器23と、後述する光学系ユニット50によるレーザ照射によって形成された静電潜像を予め定められた色成分トナーで現像し可視化する現像器24とを備えている。また、画像形成部20には、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの現像器24に対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kが設けられている。
【0025】
画像形成部20は、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの下方に、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22に対してレーザ光を照射する光学系ユニット50を備えている。光学系ユニット50は、図示しない半導体レーザ、変調器の他、半導体レーザから出射されたレーザ光を偏向走査するポリゴンミラー(不図示)と、レーザ光を通過するガラス製のウィンドウ(不図示)と、各構成部材を密閉するためのフレーム(不図示)とを備えている。
【0026】
また、画像形成部20は、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト31上に多重転写させる中間転写ユニット30と、中間転写ユニット30上に重畳されて形成されたトナー像を用紙Pに転写する二次転写ユニット40と、用紙P上に形成されたトナー像を加熱および加圧して定着する定着装置45と、を備えている。
【0027】
中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31を駆動するドライブローラ32と、中間転写ベルト31に一定のテンションを付与するテンションローラ33と、を備えている。また、中間転写ユニット30は、各感光体ドラム22と中間転写ベルト31を挟んで対向して感光体ドラム22上に形成されたトナー像を中間転写ベルト31上に転写するための複数(本実施の形態においては4つ)の一次転写ローラ34と、中間転写ベルト31を介して後述する二次転写ローラ41と対向するバックアップローラ35とを備えている。
【0028】
中間転写ベルト31は、ドライブローラ32、テンションローラ33、複数の一次転写ローラ34、バックアップローラ35および従動ローラ36などの複数の回転部材に張りかけられている。そして、中間転写ベルト31は、駆動モータ(不図示)によって回転駆動されるドライブローラ32により、矢印方向に予め定められた速度で循環駆動される。この中間転写ベルト31は、例えば、ゴムまたは樹脂にて成形されたものが使用される。
また、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置37を備えている。クリーニング装置37は、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト31の表面から残留トナーや紙粉等を除去する。
【0029】
二次転写ユニット40は、二次転写位置に設けられ中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35を押圧し、用紙P上に画像を二次転写する二次転写ローラ41を備えている。二次転写ローラ41と、中間転写ベルト31を介して二次転写ローラ41と対向するバックアップローラ35とで、中間転写ベルト31に転写されたトナー画像が用紙Pに転写される二次転写位置が構成される。
定着装置45は、中間転写ユニット30によって二次転写された用紙P上の画像(トナー像)を、加熱定着ローラ46と加圧ローラ47とにより、熱および圧力を用いて用紙Pに定着させる。
【0030】
用紙供給部60は、画像が形成される用紙Pを収容する用紙収容部61と、用紙収容部61の各々に収容された用紙Pを送り出す送出ロール62と、送出ロール62にて送り出された用紙Pが搬送される搬送路63と、搬送路63に沿って配置され送出ロール62によって送り出された用紙Pを二次転写位置へ搬送する搬送ロール64、65、66と、を備えている。
【0031】
用紙排出部70は、画像形成部20の上方に設けられて、画像形成部20にて画像が形成された用紙Pを積載する第1の積載トレイ71と、この第1の積載トレイ71と画像読取装置100との間に設けられて、画像形成部20にて画像が形成された用紙Pを積載する第2の積載トレイ72と、を備えている。
用紙排出部70は、定着装置45よりも搬送方向下流側に設けられて、トナー画像が定着された用紙Pを搬送する搬送ロール75と、この搬送ロール75の搬送方向下流側に設けられて、用紙Pの搬送方向を切り替える切替ゲート76と、を備えている。また、用紙排出部70は、切替ゲート76の搬送方向下流側に、切替ゲート76によって切り替えられた搬送方向の一方側(
図3における右側)に搬送される用紙Pを第1の積載トレイ71に排出する第1の排出ロール77を備えている。また、用紙排出部70は、切替ゲート76の搬送方向下流側に、切替ゲート76によって切り替えられた搬送方向の他方側(
図3における上側)に搬送される用紙Pを搬送する搬送ロール78と、搬送ロール78によって搬送される用紙Pを第2の積載トレイ72に排出する第2の排出ロール79と、を備えている。
【0032】
反転搬送部80は、定着装置45の側方に、搬送ロール78を第2の積載トレイ72に用紙Pを排出する方向とは反対の方向に回転させることで反転された用紙Pが搬送される反転搬送路81を備えている。この反転搬送路81には、反転搬送路81に沿って複数の搬送ロール82が設けられている。これらの搬送ロール82によって搬送された用紙Pは、搬送ロール82によって、再度二次転写位置へ送り込まれる。
【0033】
また、画像形成装置200は、画像形成部20、用紙供給部60、用紙排出部70、反転搬送部80および制御装置300を、直接的または間接的に支持する装置本体フレーム11と、この装置本体フレーム11に取り付けられて画像処理装置2の外面を形成する装置筐体12と、を備えている。
装置本体フレーム11は、画像処理装置2における横方向の一方の端部側で、内部に、切替ゲート76、第1の排出ロール77、搬送ロール78および第2の排出ロール79などを備えるとともに上下方向に伸びて、画像読取装置100を支持する読取装置支持部13を備えている。読取装置支持部13は、装置本体フレーム11における奥側の部位と協働して画像読取装置100を支持する。
【0034】
制御装置300は、装置全体の動作を制御する以外に、入力される画像データに色補正や階調補正等の画像処理を施す機能を有し、画像処理が施された画像データを生成する。
制御装置300は、実際には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などからなるコンピュータ装置である。つまりCPUが、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行する。またRAMは、CPUの作業用メモリ等として用いられるメモリである。さらにROMは、CPUが実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。そして、CPUは、ROM等に記憶された各種プログラムをRAMにロードして実行することにより、画像処理装置2の各機能を実現する。なお制御装置300は、画像形成動作で用いる画像データ等を記憶する、磁気ディスク装置であるHDD(Hard Disk Drive)などを備えていてもよい。
【0035】
ユーザインタフェース400は、各種情報の表示やユーザからの操作入力の受付を行うタッチパネルである。ここで、ユーザインタフェース400は、各種情報が表示されるディスプレイと、指やスタイラスペン等で接触された位置を検出する位置検出シートとからなる。接触された位置を検出する手段としては、接触による圧力をもとに検出する手段や、接触した物の静電気をもとに検出する手段等、どのようなものが用いられてもよい。また、タッチパネルに代えて、ディスプレイ、およびキーボード等の入力手段を用いてもよい。
【0036】
無線I/F500は、携帯端末3との間でWi−Fi Directによる無線通信を行うためのアンテナを含み、携帯端末3との間で各種データの送受信を行う通信インタフェースとして機能する。
【0037】
NFCI/F600は、携帯端末3との間でNFC通信を行うためのアンテナを含み、携帯端末3との間で各種データの送受信を行う通信インタフェースとして機能する。
【0038】
以上のように構成された画像処理装置2は、以下のように動作する。
例えば、画像形成装置200でコピーや印刷を行なう場合は、次のようになる。
コピーを行なうために画像読取装置100によって読み取られた原稿の画像データや、印刷を行なうために携帯端末3、操作端末4、または管理サーバ5から受信した画像データは、制御装置300において予め定められた画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材階調データに変換され、光学系ユニット50に出力される。
【0039】
光学系ユニット50は、入力された色材階調データに応じて、半導体レーザ(図示せず)から出射されたレーザ光を、f−θレンズ(不図示)を介してポリゴンミラーに出射する。ポリゴンミラーでは、入射されたレーザ光を各色の階調データに応じて変調し、偏向走査して、図示しない結像レンズおよび複数枚のミラーを介して画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22に照射する。
【0040】
画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22では、帯電器23で帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kにて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22上に形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト31上に多重転写される。
【0041】
一方、用紙供給部60では、画像形成のタイミングに合わせて送出ロール62が回転して用紙収容部61に収容されている用紙Pを取り上げ、搬送路63を介して搬送ロール64、65にて搬送される。その後、トナー像が形成された中間転写ベルト31の移動タイミングに合わせて搬送ロール66が回転し、用紙Pは、バックアップローラ35および二次転写ローラ41によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて、下方から上方に向けて搬送される用紙Pには、圧接力および予め定められた電界を用いて、4色が多重されているトナー像が副走査方向に順次、転写される。そして、各色のトナー像が転写された用紙Pは、定着装置45によって熱および圧力で定着処理を受けた後に排出され、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載される。
【0042】
両面印刷の要求があった場合には、一方の面に画像が形成された用紙Pは、反転搬送部80にて表裏が反転するように搬送され、再度二次転写位置に送られる。そして、二次転写位置にて、用紙Pの他方の面にトナー像が転写され、定着装置45にて転写された画像が定着される。その後、両面に画像が形成された用紙Pは、排出され、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載される。
【0043】
また画像読取装置100によって読み取られた原稿の画像データは、画像形成装置200で印刷を行なわずに、制御装置300で保存することができる。またこの画像データは、携帯端末3、操作端末4、または管理サーバ5に対し、ネットワーク6やWi−Fi Directを用いて送信することもできる。さらにこの画像データを、制御装置300から外部装置に対しファクシミリ送信することもできる。
【0044】
<携帯端末3の説明>
携帯端末3は、上述したように携帯型のコンピュータ装置であり、CPU、RAM、ROMなどを備える。そしてCPUは、ROM等に記憶された各種プログラムをRAMにロードしてOSや各種ソフトウェアを実行する。なお携帯端末3の場合、この各種ソフトウェアは、アプリと呼ばれる場合がある。
【0045】
なお携帯端末3は、記憶手段として、例えばHDDやフラッシュメモリなどを備えていてもよい。HDDやフラッシュメモリは、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する。また携帯端末3は、さらにキーボードやマウス等の入力デバイスを備えていてもよい。
そして携帯端末3は、本実施の形態では、さらに次のものを備えている。
【0046】
図4(a)〜(b)は、本実施の形態に係る携帯端末3の外観図である。
このうち
図4(a)は、携帯端末3をユーザが通常の操作を行なう側から見た図であり、
図4(b)は、
図4(a)で図示する側を表面とした場合に裏面から携帯端末3を見た図である。
ここで図示する携帯端末3は、いわゆるスマートフォンである。そして画像表示手段としてタッチパネルを採用している。そのため携帯端末3は、
図4(a)に示すように予め定められた領域でコンテンツ等の情報を画像として表示する液晶パネル3aを備えるとともに、液晶パネル3aに人の指、スタイラスペンに代表される接触物が接触したときに、接触物が液晶パネル3aに接触した位置を検知する位置検知部(図示せず)を備えている。本実施の形態において液晶パネル3aとして使用するタッチパネルは、特に限定されるものではなく、抵抗膜方式や静電容量方式など種々の方式のものが採用される。
【0047】
また携帯端末3は、
図4(b)に示すように、無線I/F3bと、NFCI/F3cとを備える。無線I/F3b、NFCI/F3cは、上述した画像処理装置2の無線I/F500、NFCI/F600とそれぞれ同様の構造、機能を有する。ユーザが、携帯端末3と画像処理装置2との間でNFC通信を行なう際は、携帯端末3を画像処理装置2のNFCI/F600の上でかざしたりタッチをする。これにより携帯端末3のNFCI/F3cと画像処理装置2のNFCI/F600との間で自動的にNFC通信が行なわれる。
【0048】
上記構成の画像処理システム1において、例えば、ユーザが原稿のコピーを行ないたい場合、ユーザは、まず画像処理装置2の設置場所まで行く。そして画像処理装置2の前でユーザインタフェース400を操作して、コピーを行なうための処理条件(例えば、解像度、用紙サイズ、拡大縮小の倍率などのパラメータ)を設定して、スタートキー(図示せず)を押下することでコピーする。そのため、ユーザが原稿のコピーを行ないたいと思い、画像処理装置2の設置場所に行ったときに他人が画像処理装置2を使っていると、その人が終了するまで何もできずに待たされてしまう。
【0049】
このような問題を抑制するため、近年の携帯端末3の発達により、携帯端末3に予めコピーを行なう際の処理条件を設定し、画像処理装置2が空いたら携帯端末3から画像処理装置2にこの処理条件を送ることで、すぐにコピーをスタートできるようにする機能が提案されている。
【0050】
しかしながら携帯端末3で設定した処理条件を、ユーザが画像処理装置2の設置場所に行った後、コピーを行なう直前で変更したくなった場合、従来は、画像処理装置2で処理条件の変更を行なうことは考慮されておらず、携帯端末3で処理条件を再設定することでしか変更できなかったため、ユーザにとって利便性の悪いものとなっていた。
【0051】
そこで本実施の形態では、ユーザが画像処理装置2の設置場所に行った後でも画像処理装置2にて処理条件を変更できるようにすることで、この問題の抑制を図っている。
以下、この事項を実現するための画像処理装置2の構成について説明を行なう。
【0052】
<画像処理装置2、携帯端末3の機能構成の説明>
図5は、画像処理装置2および携帯端末3の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように画像処理装置2は、Wi−Fi接続部701と、NFC接続部702と、画像処理装置側制御部703と、画像処理部704と、表示部705と、入力部706とを備える。また携帯端末3は、Wi−Fi接続部801と、NFC接続部802と、携帯端末側制御部803と、表示部804とを備える。なおここでは、画像処理装置2および携帯端末3が有する種々の機能のうち本実施の形態に関係するものを選択して図示している。
【0053】
Wi−Fi接続部701は、画像処理装置2側でWi−Fi Directによる無線通信を行なうための機能部である。Wi−Fi接続部701は、
図2の無線I/F500に対応する。
【0054】
NFC接続部702は、画像処理装置2側でNFCによる無線通信を行なうための機能部である。NFC接続部702は、
図2のNFCI/F600に対応する。NFC接続部702は、携帯端末3に保存され、携帯端末3で指定される画像処理を行なうための処理条件に関する情報の受信を無線通信にて行なう通信部の一例として機能する。
【0055】
画像処理装置側制御部703は、Wi−Fi接続部701、NFC接続部702、および画像処理部704、表示部705、入力部706の制御を行なう。画像処理装置側制御部703は、
図3の制御装置300に対応する。
【0056】
画像処理部704は、画像の処理を行なう機能部である。本実施の形態で画像処理部704は、画像を形成する画像形成装置200および原稿の画像を読み取る画像読取装置100の少なくとも一方に対応する。
よってここで処理条件と言った場合、画像形成装置200や画像読取装置100で実行される画像処理の処理条件となる。具体的には、処理条件は、画像形成装置200で画像を形成する条件、画像読取装置100で画像を読み取る条件、および画像読取装置100で読み取った画像の情報を外部装置に出力する条件の少なくとも1つである。なおこの場合、読み取った画像の情報を外部装置に出力する、というのは、ファクシミリ送信に対応する。
【0057】
本実施の形態では、画像処理部704で画像形成を行なうための画像情報(画像データ)は、NFC接続部702ではなく、Wi−Fi接続部701で受信する。これは一般にNFCよりWi−Fi Directの方が通信速度が速く、そのため画像情報のようにそのデータ量が大きくなりやすいものについては、Wi−Fi Directを利用した方が画像情報の送信がより高速になるためである。一方、処理条件については、一般にデータ量が少ないため、NFCを使用する場合でも問題は生じにくい。
【0058】
表示部705は、NFC接続部702にて受信した処理条件について表示を行なう機能部である。
また入力部706は、ユーザが表示部705に表示された処理条件の変更を行ないたいときに、変更後の処理条件を入力する機能部である。本実施の形態では、NFC接続部702が処理条件を受信したときには、表示部705において表示される画面は処理条件を表示するものに切り替わる。またこの画面は、処理条件を表示するとともに、処理条件が変更可能な画面となっており、ユーザは、表示部705に表示された処理条件を見て、変更を行いたいときには、入力部706を使用して変更後の処理条件を入力する。
【0059】
表示部705および入力部706は、
図2のユーザインタフェース400に対応する。即ち、ユーザインタフェース400は、本実施の形態ではタッチパネルであり、処理条件の表示を行なうとともに、タッチパネルにユーザがタッチすることでユーザが変更後の処理条件を入力する。
【0060】
Wi−Fi接続部801は、携帯端末3側でWi−Fi Directで通信を行なうための機能部である。Wi−Fi接続部801は、
図4の無線I/F3bに対応する。
【0061】
NFC接続部802は、携帯端末3側でNFCで通信を行なうための機能部である。NFC接続部802は、
図4のNFCI/F3cに対応する。
【0062】
携帯端末側制御部803は、Wi−Fi接続部801、NFC接続部802の制御を行なう。携帯端末側制御部803は、携帯端末3に備えられるCPU、RAM、ROMに対応する。
【0063】
表示部804は、携帯端末3でコンテンツ等の情報を画像として表示する機能部であり、
図4の液晶パネル3aに対応する。
【0064】
<画像処理装置2、携帯端末3の動作の説明>
次に画像処理装置2および携帯端末3の動作の説明を行なう。
図6は、画像処理装置2および携帯端末3の動作について説明したフローチャートである。また
図7(a)〜(d)は、このとき携帯端末3の液晶パネル3aに表示される画面の一例を示している。さらに
図8−1(a)〜(b)、
図8−2(c)〜(e)は、このとき画像処理装置2のユーザインタフェース400に表示される画面の一例について示した図である。
以下、
図5〜
図8−2を使用して画像処理装置2および携帯端末3の動作について説明を行なう。なおここでは、ユーザが画像処理装置2および携帯端末3を使用して原稿のコピーを行なう場合について例示して説明する。
【0065】
まずユーザが携帯端末3を操作し、画像処理装置2にて原稿のコピーを行なうための処理条件を設定する(ステップ101)。これはユーザが携帯端末3の表示部804に表示される画面を見ながら操作をすることで行なう。
【0066】
実際には、ユーザは、携帯端末3においてこの処理条件を設定するアプリを起動し、このアプリを使用して処理条件を設定する。具体的には、処理条件を設定するアプリを起動すると
図7(a)の画面が液晶パネル3aに表示される。この画面は、ユーザに画像処理装置2で行なわせる機能を選択させるものであり、この場合、ユーザは、「コピー」をタップすることでコピー機能の選択を行なう。
【0067】
図7(b)は、「コピー」をタップした後に液晶パネル3aに表示される画面であり、原稿としてどのようなものをコピーするのかを選択させる画面である。この画面では、ユーザは、「ふつうのコピー」(片面コピー)、「免許証/名刺コピー」、「両面コピー」、「2枚を1枚コピー」(2アップ)、「ポスターコピー」の中から選択できる。そしてここではユーザは、「ふつうのコピー」をタップするものとする。
【0068】
この場合、画面は、
図7(c)のものに切り替わる。
図7(c)は、コピーを行なう際の種々の条件であり、ここでは、カラーモード、用紙サイズ、倍率、コピー濃度、原稿の画質の設定を行なうことができる。そしてユーザは、カラーモードとして「白黒」、用紙サイズとして「A4」、倍率として「100%」、コピー濃度として「ふつう」、原稿の画質として「文字/写真」を設定したものとする。
以上のようにして携帯端末3において、画像処理装置2でコピーを行なうための処理条件を設定することができる。
【0069】
そしてユーザは、
図7(c)の画面が表示されている状態で、「これで決定」のボタンをタップすると、
図7(d)の画面に切り替わる。
図7(d)の画面は、画像処理装置2に対し処理条件をNFCにより送信するための待機画面である。
【0070】
図6に戻り、ユーザは、NFCを用いて携帯端末3から画像処理装置2に対し、処理条件の送信を行なう(ステップ102)。即ち、携帯端末3のNFC接続部802と画像処理装置2のNFC接続部702との間で自動的にNFCによる接続が行なわれ、携帯端末3から画像処理装置2に対し、処理条件の送信が行なわれる。処理条件は、例えば、NDEF(NFC Data Exchange Format)を利用して送信がなされる。
【0071】
実際には、ユーザは、
図7(d)の画面が表示されている状態で、携帯端末3を画像処理装置2のNFCI/F600の上にかざす。そして画面の何れかの箇所をタップすると、携帯端末3のNFCI/F3cから画像処理装置2のNFCI/F600へ処理条件の送信が行なわれる。
【0072】
また画像処理装置2側では、NFC接続部702が処理条件を受信したときには、画像処理装置側制御部703は、表示部705において表示される画面を処理条件を表示するものに切り替える(ステップ103)。
【0073】
次に画像処理装置側制御部703は、コピー開始のスタートキーが押下されたか否かを判定する(ステップ104)。
そしてスタートキーが押下されなかった場合(ステップ104でNo)、ユーザが入力部706から処理条件の変更の入力を行なったか否かを判定する(ステップ105)。そして処理条件の変更の入力があった場合(ステップ105でYes)、処理条件を変更するとともに表示部705において表示される画面を変更後の画面に更新する(ステップ106)。その後、ステップ104に戻る。また処理条件の変更の入力がなかった場合(ステップ105でNo)も、ステップ104に戻る。
【0074】
一方ユーザが原稿をセットして、スタートキーが押下された場合(ステップ104でYes)、画像処理部704により原稿のコピーが行なわれる(ステップ107)。
【0075】
実際には、画像処理装置2では、最初に操作の待ち受け画面である
図8−1(a)の画面がユーザインタフェース400に表示されている。そしてこの状態からNFCI/F600が携帯端末3から処理条件の受信をしたときは、
図8−1(b)の画面に切り替わる。
図8−1(b)で示した画面は、処理条件を表示するとともに、処理条件が変更可能な画面となっている。つまり処理条件として、上述した
図7(c)のものと同様ものがユーザインタフェース400に表示される。そしてユーザは、ユーザインタフェース400に表示された処理条件を見て、変更を行いたいときには、ユーザインタフェース400をタッチして変更後の処理条件を入力する。変更後の処理条件は、ユーザインタフェース400の表示に反映される。
【0076】
また本実施の形態では、
図8−1(b)の画面から「原稿セット方法へ」のボタンをタッチすることで、ユーザインタフェース400で表示する画面を、
図8−2(c)、
図8−2(d)に示すような画面へ移行させてもよい。
【0077】
このうち
図8−2(c)は、画像読取部110のプラテンガラス111(
図3参照)に原稿をセットする方法を説明する画面である。図示するように用紙の大きさとプラテンガラス111上で原稿をセットする位置との関係について図を併用して説明している。
【0078】
また
図8−2(d)は、原稿搬送部120(
図3参照、原稿自動送り装置)を使用できる場合に原稿をセットする方法を説明する画面である。
図8−2(d)では、「原稿送り装置を使う場合」にチェックを入れない状態では、
図8−2(c)と同様の画面がユーザインタフェース400に表示される。対してユーザがチェックを入れると、
図8−2(e)の画面に表示が切り替わり、原稿自動送り装置上で原稿をセットする方法を説明する画面となる。
【0079】
そしてユーザが、
図8−2(c)〜(e)で例示した画面の指示に従い原稿をセットし、スタートキーを押下すると、原稿のコピーが行なわれる。
【0080】
以上詳述した例によれば、携帯端末3から画像処理装置2にNFCにより処理条件が送信された後でも、携帯端末3で再度処理条件の設定を行なわなくても、画像処理装置2のユーザインタフェース400において処理条件の変更を行なうことができる。つまりユーザがNFCにより処理条件を画像処理装置2に送信する場合は、通常は、画像処理装置2の前にいる場合であり、このことを利用して画像処理装置2側で処理条件の変更を行なうことができるようにする。この場合、携帯端末3から処理条件を設定するより、操作がより容易であり、ユーザの利便性がより向上する。
【0081】
なお上述した例では、画像処理装置2の通信部はNFC接続部702であり、NFC通信を行なうものであったが、これに限られるものではない。例えば、画像処理装置2と携帯端末とが赤外線通信やBluetooth(登録商標)(ブルートゥース)で通信を行ない、処理条件の送受信を行なってもよい。
また
図6〜
図8−2では、画像処理装置2と携帯端末3を使用して原稿のコピーを行なう場合について説明したが、印刷、スキャン、ファクシミリ送信を行なう場合にも適用できることはもちろんである。
さらに上述した例では、画像形成装置200は、電子写真方式のものを例に採り説明を行なったが、インクジェット方式のものでもよい。
さらに上述した例では、画像処理装置2側では、NFC接続部702により画像処理を行なうための処理条件に関する情報の受信を無線通信にて行なっていたがこれに限られるものではない。例えば、
図1の操作端末4や管理サーバ5等からネットワーク6などを使用して処理条件に関する情報を有線通信にて送信し、画像処理装置2の有線I/F等で受信してもよい。この場合、有線I/Fが通信部として機能する。
【0082】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。