(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0021】
<0.導入>
本発明の各実施形態は、一例として、金融機関の自動取引装置に適用される。自動取引装置は、金融機関の顧客による操作に基づいて金銭の取引を実行する顧客操作型端末である。この自動取引装置は、金融機関の営業店、コンビニエンスストア、駅構内、ホテル、病院、アミューズメントパーク、飲食店、オフィスビルディングなどの多様な施設に設置され得る。
【0022】
特に、本発明の各実施形態による自動取引装置は、入金取引における紙幣投入口の開口量を制御する機能を有する。かかる構成により、紙幣投入口への硬貨の誤投入を防止しつつ、紙幣投入口への円滑な紙幣投入を実現することが可能である。以下、このような本発明の各実施形態について順次詳細に説明する。
【0023】
<1.第1の実施形態>
(1−1.自動取引装置の外観構成)
図1は、本発明の第1の実施形態による自動取引装置20の外観構成を示した説明図である。
図1に示したように、本実施形態による自動取引装置20は、操作表示部22、通帳挿入口24、音声出力部25、カード挿入口26、および紙幣投入口28を備える。通帳挿入口24、カード挿入口26および紙幣投入口28など、顧客との間で媒体(通帳、カードおよび紙幣など)の授受を行う構成は接客部とも称される。
【0024】
操作表示部22は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部および顧客が操作入力を行うための操作部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、操作部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。なお、
図1においては表示部および操作部の機能が自動取引装置20において一体的に構成される例を示しているが、表示部および操作部の機能は分離して構成されてもよい。
【0025】
通帳挿入口24は顧客の通帳を挿入および排出するための開口部である。音声出力部25は、音声を出力する機能を有し、例えばスピーカで構成される。カード挿入口26は、顧客の磁気カードを挿入および排出するための開口部である。
【0026】
紙幣投入口28は、顧客による紙幣の入金口、および顧客への紙幣の出金口としての機能を有する。一方、本実施形態による自動取引装置20は硬貨投入口を有さない。すなわち、本実施形態による自動取引装置20は、紙幣の取り扱い機能は有するが、硬貨の取り扱い機能は有さない。
【0027】
(1−2.自動取引装置の内部構成)
以上、第1の実施形態による自動取引装置20の外観構成を説明した。続いて、
図2を参照し、第1の実施形態による自動取引装置20の内部構成を説明する。
【0028】
図2は、第1の実施形態による自動取引装置20の構成を示すブロック図である。
図2に示したように、本実施形態による自動取引装置20は、操作表示部22と、音声出力部25と、紙幣口シャッタ32と、インタフェース部210と、カード読取部220と、紙幣入出金部230と、通帳記帳部250と、記憶部270と、制御部280と、を備える。操作表示部22および音声出力部25については
図1を参照して説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0029】
インタフェース部210は、専用網12を介して金融機関ホスト(図示せず。)と各種情報を送受信する。例えば、インタフェース部210は、顧客の磁気カードなどから読み取られた口座番号を示す情報を金融機関ホストに送信し、当該口座番号に対応する顧客の情報を金融機関ホストから受信する。また、インタフェース部210は、取引を実行するための情報(取引種別、取引金額など)を金融機関ホストと通信する。
【0030】
なお、金融機関ホストは、専用網12を介して自動取引装置20と通信することにより、各種取引を制御する。例えば、金融機関ホストは、自動取引装置20を操作する顧客の認証を行ったり、自動取引装置20において顧客により指示された入金や振込などの金銭取引(勘定の取引処理)を実行したりする。また、専用網12は、金融機関のネットワークであり、例えばIP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)により構成される。
【0031】
カード読取部220は、カード挿入口26から挿入された顧客の磁気カードに記録された磁気情報を読み取る。磁気情報は、例えば、口座番号および口座種別などを示す情報を含んでもよい。
【0032】
紙幣入出金部230は、紙幣の搬送路、紙幣カセットおよび紙幣の正当性を鑑別する紙幣鑑別部などを有する。入金時に紙幣投入口28に投入された紙幣は、搬送路を介して紙幣鑑別部へ搬送され、紙幣鑑別部により正常な鑑別結果が得られた場合、金種に応じた紙幣カセットに搬送される。また、出金時には、紙幣カセットから紙幣が分離され、紙幣鑑別部が分離された紙幣を鑑別し、正常な鑑別結果が得られた場合に紙幣投入口28に紙幣が搬送される。
【0033】
通帳記帳部250は、磁気ヘッド、ページ送り部および印字部などを含み、通帳挿入口24から挿入された通帳に記帳を行う。例えば、通帳挿入口24から通帳が挿入されると、通帳のカバー紙に形成された磁気ストライプから磁気ヘッドが磁気情報を読み出す。また、ページ送り部が通帳の記入ページを開き、印字部が通帳の記入ページに取引情報を印字する。
【0034】
紙幣口シャッタ32は、紙幣投入口28を開閉する開閉部材である。紙幣口シャッタ32は、制御部280からの制御に従い、紙幣投入口28を開口または閉鎖させる。特に、本実施形態による紙幣口シャッタ32は、制限された開口量で紙幣投入口28を開口させることが可能である。
【0035】
記憶部270は、自動取引装置20の動作のために用いられる各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部270は、制御部280が操作表示部22、音声出力部25、紙幣口シャッタ32、インタフェース部210、カード読取部220、紙幣入出金部230および通帳記帳部250などを制御するためのプログラムを記憶する。
【0036】
制御部280は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)などのハードウェアとソフトウェアの協働により実現される機能であり、自動取引装置20の動作全般を制御する。例えば、制御部280は、操作表示部22、音声出力部25、紙幣口シャッタ32、インタフェース部210、カード読取部220、紙幣入出金部230、および通帳記帳部250の各々の動作を制御する。特に、本実施形態による制御部280は、紙幣投入口28への硬貨の誤投入を抑制するための機能を有する。以下、紙幣投入口28への硬貨の誤投入を抑制するための機能について詳細に説明する。
【0037】
(1−3.制御部の詳細)
制御部280は、操作表示部22に表示させるための各種画面を生成するための表示制御部としての機能を有する。各種画面の一例として、本実施形態による制御部280は、取引選択画面および注意喚起画面を生成する。
【0038】
図3は、取引選択画面40の具体例を示す説明図である。
図3に示したように、取引選択画面40は、複数の選択ボタン41〜48からなり、各選択ボタンは、所定の取引と関連付けられている。具体的には、取引選択画面40は、入金取引ボタン41、通帳記帳ボタン42、お振り替えボタン43、お振り込みボタン44、出金取引ボタン45、残高照会ボタン46、クレジットボタン47、および暗証番号変更ボタン48を含む。
【0039】
この取引選択画面40においていずれかの選択ボタンが顧客に選択されると、制御部280は、選択された選択ボタンに関連付けられた取引を進行するための画面を生成する。
【0040】
ここで、本実施形態による自動取引装置20は、上述したように硬貨の取り扱い機能を有さない。しかし、自動取引装置20が硬貨の取り扱い機能を有さないことに顧客が気付かない場合、入金取引において紙幣投入口28に誤って硬貨が投入され得る。そこで、取引選択画面40において入金取引ボタン41が選択されると、制御部280は、
図4に示す注意喚起画面50を生成する。
【0041】
図4は、注意喚起画面50の具体例を示す説明図である。
図4に示したように、注意喚起画面50は、自動取引装置20が硬貨の取り扱い機能を有さない旨を示すメッセージ51、取消ボタン52、および確認ボタン54を含む。メッセージ51の表示により、自動取引装置20が硬貨の取り扱い機能を有さないことを顧客に伝えることができる。
【0042】
また、制御部280は、注意喚起画面50を生成すると共に、自動取引装置20が硬貨の取り扱い機能を有さない旨を示す注意喚起メッセージを音声出力部25に音声出力させてもよい。当該音声出力およびメッセージ51の表示により、自動取引装置20が硬貨の取り扱い機能を有さないことをより確実に顧客に伝えることが可能である。
【0043】
注意喚起画面50において取消ボタン52が選択されると、自動取引装置20は手続を中止する。一方、確認ボタン54が選択されると、制御部280は、紙幣口シャッタ32を制御することにより、紙幣投入口28を開口させる。確認ボタン54を選択した顧客は、自動取引装置20が硬貨の取り扱い機能を有さないことをメッセージ51から理解していると考えられるので、確認ボタン54の選択後に紙幣投入口28を開口させることにより、紙幣投入口28に硬貨が誤投入されてしまう場合を抑制することが可能である。
【0044】
さらに、制御部280は、制限された開口量で紙幣投入口28を開口させる。以下、
図5を参照して、この点についてより詳細に説明する。
【0045】
図5は、紙幣口シャッタ32の動作を示す説明図である。なお、
図5は、自動取引装置20の前後方向上の紙幣口シャッタ32の断面を示している。注意喚起画面50において確認ボタン54が選択される前は、
図5に閉鎖として示したように、紙幣投入口28は紙幣口シャッタ32により閉鎖されている。一方、注意喚起画面50において確認ボタン54が選択されると、制御部280は、
図5に制限開口として示したように、紙幣口シャッタ32を移動させることにより、紙幣投入口28を開口させる。
【0046】
具体的には、制御部280は、
図5に示したように、開口の短手方向の長さが20mm以内に制限されるように紙幣投入口28を開口させる(制限開口)。日本において流通する硬貨のなかで最も小さい硬貨は1円硬貨であり、1円硬貨の直径は20mmである。このため、開口の短手方向の長さが20mm以内に制限することにより、開口の短手方向に沿った向きで硬貨を投入することが困難になるので、紙幣投入口28への硬貨の誤投入を一層確実に防止することが可能となる。あるいは、制御部280は、開口の短手方向の長さが15mm以上〜20mm未満の範囲内に制限されるように紙幣投入口28を開口させてもよい。開口の短手方向の長さが15mm以上〜20mm未満の範囲内であれば、紙幣の投入を阻害せずに、紙幣投入口28への硬貨の誤投入をさらに抑制することが可能である。なお、上記では紙幣投入口28の開口量の一例として15mm以上〜20mm未満の範囲を説明したに過ぎず、紙幣投入口28の開口量は15mm以上〜20mm未満の範囲に限定されない。例えば、上記では対象硬貨が日本の硬貨であることを想定して紙幣投入口28の開口量について説明したが、対象硬貨が他国の硬貨である場合、紙幣投入口28の開口量は、他国の硬貨の大きさに応じて20mmを超えてもよいし、15mmを下回ってもよい。このような紙幣投入口28の開口量の制限、および注意喚起画面50の表示により、硬貨の誤投入を抑制する効果を得ることができる。
【0047】
ところで、制御部280は、出金取引においても紙幣の出金のために紙幣投入口28を開口させる。出金取引は、取引選択画面40において顧客が出金取引ボタン45を選択した場合に行われるので、出金取引において顧客は硬貨の投入の意思を持っていないと考えられる。このため、出金取引において紙幣投入口28へ硬貨が誤投入される恐れは少ないので、制御部280は、出金取引における紙幣投入口28の開口量を、入金取引における紙幣投入口28の開口量よりも広くしてもよい。かかる構成により、顧客は、紙幣投入口28からの紙幣の取り出しを容易に行うことが可能となる。
【0048】
(1−4.動作)
以上、本実施形態による自動取引装置20の構成を説明した。続いて、
図6を参照し、本実施形態による自動取引装置20の動作を整理する。
【0049】
図6は、第1の実施形態による自動取引装置20の動作を示すフローチャートである。
図6に示したように、まず、取引選択画面40において入金取引ボタン41が選択されると(S304)、制御部280が、注意喚起画面50の表示および注意喚起メッセージの音声出力などの注意喚起制御を実行する(S308)。
【0050】
そして、注意喚起画面50において取消ボタン52が選択されると自動取引装置20は取引を中止する(S312/取消)。一方、注意喚起画面50において確認ボタン54が選択されると、制御部280は、紙幣口シャッタ32を制御することにより、制限された開口量で紙幣投入口28を開口させる(S316)。
【0051】
その後、顧客により紙幣投入口28に紙幣が投入されると(S320)、制御部280が紙幣投入口28を閉鎖させる(S324)。そして、紙幣入出金部230が、紙幣投入口28に投入された紙幣を計数し、顧客により計数結果が確認されると、紙幣を紙幣カセットへ格納することにより、入金取引が完了する(S328)。
【0052】
(1−5.第1の実施形態の整理)
以上説明したように、硬貨の取り扱い機能を有さない第1の実施形態による自動取引装置20は、注意喚起画面50を表示すること、注意喚起メッセージを音声出力すること、注意喚起画面50において確認ボタン54が選択された後に紙幣投入口28を開口させること、制限された開口量で紙幣投入口28を開口させることにより、紙幣投入口28に硬貨が誤投入されることを抑制することが可能である。
【0053】
(1−6.第1の実施形態の応用例)
続いて、第1の実施形態の応用例を説明する。応用例による自動取引装置20は、紙幣投入口28の開口量を動的に変化させることが可能である。例えば、紙幣投入口28の開口量が制限されていると、紙幣を大量に紙幣投入口28に投入することが困難であるので、応用例による自動取引装置20は、顧客が紙幣の大量入金を希望する場合には紙幣投入口28の開口量を広げることが可能である。以下、このような応用例による自動取引装置20についてより詳細に説明する。
【0054】
制御部280は、注意喚起画面50において確認ボタン54が選択された後、第1の実施形態として説明したように、制限された開口量で紙幣投入口28を開口させる。さらに、制御部280は、
図7に示すように、顧客が紙幣の大量投入を希望するか否かを確認する大量取引確認画面を生成する。
【0055】
図7は、大量取引確認画面60の具体例を示す説明図である。
図7に示したように、大量取引確認画面60は、「紙幣を大量入金される場合、大量取引ボタンを押して下さい。」という誘導メッセージ61と、大量取引ボタン62を含む。この大量取引確認画面60において顧客が第1の操作として大量取引ボタン62を選択すると、制御部280は、
図8に示すように、紙幣口シャッタ32を制御して、紙幣投入口28の開口量を広げる。
【0056】
図8は、紙幣投入口28の開口量の制御例を示す説明図である。大量取引確認画面60において大量取引ボタン62が選択される前は、
図8に制限開口として示したように、紙幣投入口28は制限された開口量で開口している。一方、大量取引確認画面60において大量取引ボタン62が選択されると、制御部280は、
図8に通常開口として示したように、紙幣口シャッタ32を移動させることにより紙幣投入口28の開口量を広げる。かかる構成により、顧客は紙幣投入口28への紙幣投入をより円滑に行うことが可能となる。
【0057】
以下、
図9を参照し、上述した応用例による自動取引装置20の動作を整理する。
【0058】
図9は、応用例による自動取引装置20の動作を示すフローチャートである。
図9に示したように、まず、取引選択画面40において入金取引ボタン41が選択されると(S304)、制御部280が、注意喚起画面50の表示および注意喚起メッセージの音声出力などの注意喚起制御を実行する(S308)。
【0059】
そして、注意喚起画面50において取消ボタン52が選択されると自動取引装置20は取引を中止する(S312/取消)。一方、注意喚起画面50において確認ボタン54が選択されると、制御部280は、紙幣口シャッタ32を制御することにより、制限された開口量で紙幣投入口28を開口させ(S316)、大量取引確認画面60を操作表示部22に表示させる(S317)。
【0060】
そして、顧客により大量取引ボタン62が選択されると(S318/yes)、制御部280は、紙幣投入口28の開口量を広げることにより、紙幣投入口28を通常開口させる(S319)。
【0061】
その後、顧客により紙幣投入口28に紙幣が投入されると(S320)、制御部280が紙幣投入口28を閉鎖させる(S324)。そして、紙幣入出金部230が、紙幣投入口28に投入された紙幣を計数し、顧客により計数結果が確認されると、紙幣を紙幣カセットへ格納することにより、入金取引が完了する(S328)。
【0062】
なお、上記では、紙幣投入口28が制限された開口量で開口した後に、大量取引ボタン62の選択により紙幣投入口28の開口量が広げられる例を説明したが、制御部280は他の制御を行ってもよい。例えば、制御部280は、注意喚起画面50に大量取引ボタン62を組み込み、注意喚起画面50において大量取引ボタン62が選択された場合、紙幣投入口28を最初から通常開口させてもよい。
【0063】
<2.第2の実施形態>
以上、本発明の第1の実施形態を説明した。続いて、本発明の第2の実施形態を説明する。本発明の第2の実施形態による自動取引装置21は、主に硬貨の取り扱い機能を有する点で第1の実施形態による自動取引装置20と相違する。以下、第2の実施形態による自動取引装置21の構成および動作を順次詳細に説明する。
【0064】
(2−1.自動取引装置の構成)
図10は、本発明の第2の実施形態による自動取引装置21の外観構成を示す説明図である。
図10に示したように、本実施形態による自動取引装置21は、操作表示部22、通帳挿入口24、音声出力部25、カード挿入口26および紙幣投入口28に加え、硬貨投入口29を備える。硬貨投入口29は、顧客による硬貨の入金口、および顧客への硬貨の出金口としての機能を有する。
【0065】
図11は、第2の実施形態による自動取引装置21の内部構成を示すブロック図である。
図11に示したように、本実施形態による自動取引装置21は、操作表示部22と、音声出力部25と、紙幣口シャッタ32と、インタフェース部210と、カード読取部220と、紙幣入出金部230と、通帳記帳部250と、記憶部270と、に加えて、硬貨口シャッタ34、硬貨入出金部240および制御部282とを備える。
【0066】
硬貨入出金部240は、硬貨の搬送路、硬貨収納庫および硬貨の正当性を鑑別する硬貨鑑別部などを有する。入金時に硬貨投入口29に投入された硬貨は、搬送路を介して硬貨鑑別部へ搬送され、硬貨鑑別部により正常な鑑別結果が得られた場合、金種に応じた硬貨収納庫に搬送される。また、出金時には、硬貨収納庫から硬貨が繰り出され、硬貨鑑別部が繰り出された硬貨を鑑別し、正常な鑑別結果が得られた場合に硬貨投入口29に硬貨が搬送される。
【0067】
硬貨口シャッタ34は、硬貨投入口29を開閉する開閉部材である。硬貨口シャッタ34は、制御部282からの制御に従い、硬貨投入口29を開口または閉鎖させる。
【0068】
制御部282は、自動取引装置21の動作全般を制御する。特に、本実施形態による制御部282は、紙幣投入口28への硬貨の誤投入を抑制するための制御として、第1の実施形態で説明した制御と異なる制御を行う。以下、本実施形態による制御部282が行う制御について具体的に説明する。
【0069】
硬貨入金を行う意思を持っている可能性が高い顧客に対しては、紙幣投入口28への硬貨の誤投入を抑制するために、制限された開口量で紙幣投入口28が開口することが望ましい。一方、硬貨入金を行う意思を持っている可能性が低い顧客に対しては、紙幣投入口28が大きく開口しても、紙幣投入口28に硬貨が誤投入される懸念は少ない。このため、硬貨入金を行う意思を持っている可能性が低い顧客に対しては、紙幣の投入し易さを向上するために、紙幣投入口28が大きく開口することが望ましい。
【0070】
そこで、本実施形態による制御部282は、顧客の取引履歴に基づいて紙幣投入口28の開口量を制御する機能を有する。具体的には、制御部282は、顧客の硬貨入金履歴が所定の基準を上回っている場合、他の場合よりも紙幣投入口28の開口量を小さくしてもよい。
【0071】
例えば、制御部282は、所定期間内に顧客の硬貨入金履歴がある場合には制限された開口量で紙幣投入口28を開口させ(制限開口)、所定期間内に顧客の硬貨入金履歴がない場合には制限の無い開口量で紙幣投入口28を開口させてもよい(通常開口)。他の例として、制御部282は、所定期間において顧客が硬貨入金を行った回数が所定数を上回る場合、あるいは、所定期間における紙幣入金の回数に対する硬貨入金の回数の割合が所定の割合を上回る場合には紙幣投入口28を制限開口させ、他の場合には紙幣投入口28を通常開口させてもよい。さらに、制御部282は、顧客が硬貨入金を行った回数をカウントする際、硬貨入金が行われた時期に応じた重みを適用してもよい。例えば、制御部282は、硬貨入金の時期が新しいほど、当該硬貨入金には高い重みを付し、硬貨入金の時期が古いほど、当該硬貨入金には低い重みを付し、全ての硬貨入金に付された重みの合計を顧客が硬貨入金を行った回数としてカウントしてもよい。
【0072】
上記の制御部282の制御により、紙幣投入口28への硬貨の誤投入を抑制しつつ、硬貨入金を行う意思を持っている可能性が低い顧客が紙幣投入口28への紙幣投入をより容易に行うことが可能となる。なお、顧客の硬貨入金履歴は、金融機関ホストから専用網12を介してインタフェース部210により取得可能である。
【0073】
一方、硬貨入金履歴の無い顧客であっても、今回の入金取引では硬貨の入金を所望する場合が考えられる。そこで、制御部282は、紙幣投入口28を通常開口させた後、顧客が硬貨入金の意思を持っているか否かを確認するための硬貨入金確認画面を生成する。
【0074】
図12は、硬貨入金確認画面70の具体例を示す説明図である。
図12に示したように、硬貨入金確認画面70は、「硬貨の入金を希望される場合、硬貨入金ボタンを押して下さい。」という誘導メッセージ71と、硬貨入金ボタン72を含む。この硬貨入金確認画面70において顧客が第2の操作として硬貨入金ボタン72を選択すると、制御部282は、紙幣投入口28の開口量を小さくし、硬貨投入口29を開口させる。
【0075】
このように、硬貨投入の意思が明示的に確認された場合に紙幣投入口28の開口量を小さくし、かつ、硬貨投入口29が開口することにより、顧客がより確実に硬貨を硬貨投入口29に投入することを支援することが可能である。
【0076】
(2−2.動作)
以上、本実施形態による自動取引装置21の構成を説明した。続いて、
図13を参照し、本実施形態による自動取引装置21の動作を整理する。
【0077】
図13は、第2の実施形態による自動取引装置21の動作を示すフローチャートである。
図13に示したように、まず、取引選択画面40において入金取引ボタン41が選択されると(S404)、制御部282は、顧客の硬貨入金履歴があるか否かを判断し、顧客の硬貨入金履歴がない場合には紙幣投入口28を通常開口させる(S408/no、S412)。
【0078】
そして、制御部282は、硬貨入金確認画面70を操作表示部22に表示させる(S414)。その後、硬貨入金確認画面70において硬貨入金ボタン72が選択されず(S416/no)、紙幣投入口28に紙幣が投入されると(S420)、制御部282は紙幣投入口28を閉鎖させる(S424)。そして、紙幣入出金部230が、紙幣投入口28に投入された紙幣を計数し、顧客により計数結果が確認されると、紙幣を紙幣カセットへ格納することにより、入金取引が完了する(S428)。
【0079】
一方、顧客の硬貨入金履歴がある場合、制御部282は紙幣投入口28を制限開口させる(S408/yes、S432)。さらに、制御部282は、硬貨投入口29を開口させる(S436)。その後、紙幣投入口28または硬貨投入口29に紙幣または硬貨が投入されると(S440)、制御部282は紙幣投入口28および硬貨投入口29を閉鎖させる(S444)。そして、硬貨投入口29に硬貨が投入されていた場合には、硬貨入出金部240が硬貨投入口29に投入された硬貨を計数し、顧客により計数結果が確認されると、硬貨を硬貨収納庫へ格納することにより、入金取引が完了する(S428)。
【0080】
なお、上記では、硬貨入金履歴の有無に基づいて紙幣投入口28が通常開口または制限開口する例を説明したが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、制御部282は、3以上の開口量のうちで硬貨入金の回数または頻度などに応じた開口量で紙幣投入口28を開口させてもよい。
【0081】
(2−3.第2の実施形態の整理)
以上説明したように、硬貨の取り扱い機能を有する第2の実施形態による自動取引装置21は、顧客の硬貨入金履歴に応じた開口量で紙幣投入口28を開口させる。かかる構成によれば、紙幣投入口28への硬貨の誤投入を抑制しつつ、硬貨入金を行う意思を持っている可能性が低い顧客が紙幣投入口28への紙幣投入をより容易に行うことが可能となる。さらに、第2の実施形態による自動取引装置21は、紙幣投入口28を通常開口させた後、顧客による明示的な操作に基づいて、紙幣投入口28の開口量を小さくし、硬貨投入口29を開口させる。かかる構成によれば、顧客がより確実に硬貨を硬貨投入口29に投入することを支援することが可能である。
【0082】
(2−4.応用例)
続いて、第2の実施形態の応用例を説明する。上記では、紙幣投入口28の開口量を変化させるための開閉部材として、紙幣投入口28上で往復移動する1枚の紙幣口シャッタ32を説明した。一方、上述した紙幣口シャッタ32に代えて、以下に説明する応用例による紙幣口シャッタ33を適用することも可能である。
【0083】
図14は、応用例による紙幣口シャッタ33の構成を示す説明図である。
図14の正面図に示したように、応用例による紙幣口シャッタ33は、第1のシャッタ36および第2のシャッタ38からなる。第1のシャッタ36は、
図14の正面図に示したように、第2のシャッタ38の上面側(すなわち、第2のシャッタの紙幣投入口側と反対側)に第2のシャッタに重ねて配置される。また、第1のシャッタ36は開口を有さない一方、第2のシャッタ38は、
図14の平面図に示したように開口部39を有する。
【0084】
上記の第1のシャッタ36および第2のシャッタ38は例えば
図14に示した矢印方向上で個別に開閉される。特に、応用例による制御部282は、上述した第1のシャッタ36のみの開放、または第1のシャッタ36および第2のシャッタ38の双方の開放により、紙幣投入口28の開口量を制御する。
【0085】
例えば、第1のシャッタ36のみが開放されると、第2のシャッタ38に形成された開口部39が紙幣投入口28の開口となる。従って、制御部282は、紙幣投入口28を制限開口させる場合には第1のシャッタ36のみを開放させる。
【0086】
また、第1のシャッタ36および第2のシャッタ38の双方が開放されると、紙幣投入口28の全面が開放される。従って、制御部282は、紙幣投入口28を通常開口させる場合には第1のシャッタ36および第2のシャッタ38の双方を開放させる。
【0087】
ここで、第2のシャッタ38の開口部39の短手方向の長さを15mm以上〜20mm以下に設計すれば、開口の短手方向に沿った向きで硬貨を投入することが困難になるので、上述した実施形態と同様に、紙幣投入口28への硬貨の誤投入を抑制することが可能となる。
【0088】
なお、当該応用例による紙幣口シャッタ33の構成は、第1の実施形態にも同様に適用可能である。
【0089】
<3.むすび>
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、硬貨の取り扱い機能を有さない自動取引装置20が、注意喚起画面50を表示すること、注意喚起メッセージを音声出力すること、注意喚起画面50において確認ボタン54が選択された後に紙幣投入口28を開口させること、制限された開口量で紙幣投入口28を開口させることにより、紙幣投入口28に硬貨が誤投入されることを抑制することが可能である。
【0090】
また、本発明の第2の実施形態によれば、硬貨の取り扱い機能を有する自動取引装置21が、顧客の硬貨入金履歴に応じた開口量で紙幣投入口28を開口させ、顧客による明示的な操作に基づいて紙幣投入口28の開口量を変化させることにより、紙幣投入口28への硬貨の誤投入を抑制しつつ、顧客がより確実に硬貨を硬貨投入口29に投入することを支援することが可能である。
【0091】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
例えば、本明細書の自動取引装置20、21の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、自動取引装置20、21の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0093】
また、自動取引装置20、21に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した自動取引装置20、21の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。