特許第6379815号(P6379815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6379815-半導体装置およびその製造方法 図000002
  • 特許6379815-半導体装置およびその製造方法 図000003
  • 特許6379815-半導体装置およびその製造方法 図000004
  • 特許6379815-半導体装置およびその製造方法 図000005
  • 特許6379815-半導体装置およびその製造方法 図000006
  • 特許6379815-半導体装置およびその製造方法 図000007
  • 特許6379815-半導体装置およびその製造方法 図000008
  • 特許6379815-半導体装置およびその製造方法 図000009
  • 特許6379815-半導体装置およびその製造方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379815
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/40 20060101AFI20180820BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20180820BHJP
   B23K 1/14 20060101ALI20180820BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20180820BHJP
【FI】
   H01L23/40 F
   B23K1/00 330E
   B23K1/14 B
   B23K26/364
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-156177(P2014-156177)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33952(P2016-33952A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】東舘 誠
【審査官】 井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−228286(JP,A)
【文献】 実開昭53−089167(JP,U)
【文献】 特開2008−294069(JP,A)
【文献】 特開2008−159857(JP,A)
【文献】 特開2007−103909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/40
B23K 1/00
B23K 1/14
B23K 26/364
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、
前記半導体チップが固定された複数の絶縁基板と、
複数の前記絶縁基板がそれぞれ所定の配置領域に配置され、前記複数の所定領域のそれぞれを囲む複数の第1溝と、前記第1溝よりも浅く前記第1溝を囲む第2溝を有するヒートシンクと、
前記絶縁基板と前記ヒートシンクの前記配置領域との間に充填されたはんだと、
を備え
前記第1溝の深さが50μm以下であり、
前記第1溝と前記第2溝との間隔が40μm以下であり、
前記第1溝の深さと幅の積である第1溝の断面積が、7200μm以上、20000μm以下である半導体装置。
【請求項2】
前記第1溝が縞状に複数本配置され、複数本の前記第1溝の合計の断面積が7200μm以上、20000μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1溝が縞状に複数本配置され、複数本の前記第1溝同士の間隔を5μm以上、20μm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ヒートシンクは第1金属で構成され、第2金属層で表面が被覆された請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2溝の深さが、前記第2金属層の厚さ以上、前記第1溝の深さの3/4以下であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1金属がアルミニウムもしくは銅であり、前記第2金属層がニッケル層もしくはチタン層である請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1金属が銅であり、前記第1溝の底面に絶縁膜を配置することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
ヒートシンクおよび複数の絶縁基板を準備する工程と、
前記ヒートシンクに、複数の前記絶縁基板が配置される所定の配置領域のそれぞれを囲む複数の第1溝と、前記第1溝よりも浅く前記第1溝を囲む第2溝をレーザー加工で形成する工程と、
複数の前記配置領域にそれぞれはんだ板と前記絶縁基板を重ねて配置する工程と、
前記はんだ板を加熱して溶融する工程と、
前記溶融したはんだ板を冷却して固化する工程と、
を有し、
前記第1溝の深さを50μm以下とし、
前記第1溝と前記第2溝との間隔を40μm以下とし、
前記第1溝の深さと幅の積である第1溝の断面積を、7200μm以上、20000μm以下とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1溝を縞状に複数本形成し、複数本の前記第1溝の合計の断面積を7200μm以上、20000μm以下とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1溝を縞状に複数本形成し、複数本の前記第1溝同士の間隔を5μm以上、20μm以下とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、ヒートシンクに設けたはんだ流れ防止用の溝に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の半導体装置500の構成図である。図9(a)は平面図である。図9(b)は図9(a)のX−X線で切断した拡大断面図である。図9は溝55が設けられたヒートシンク51と、それにはんだ53で固定される絶縁基板52について示した。絶縁基板52は、セラミックなどの絶縁板の裏面に裏面銅箔を貼り付け、おもて面に回路パターンが形成されたおもて面銅箔を貼り付けた構成をしている。おもて面銅箔には図示しない半導体チップが固定され、絶縁基板52の裏面はヒートシンク51にはんだ53で固定される。
【0003】
図9において、ヒートシンク51上の所定の配置領域に複数(ここでは2つ)の絶縁基板52が固定されている。ヒートシンク51はアルミニウムなどの母材50と、その表面にはんだ濡れ性の確保と酸化防止のために被覆されるニッケル層54で構成される。このニッケル層54はニッケルメッキ層などである。
【0004】
半導体装置500の組み立て工程で、ヒートシンク51上に複数の絶縁基板52をはんだ53で固定する場合、隣接した溶融はんだ同士が接触して絶縁基板52のおもて面に乗り上げる場合がある。すると、乗り上げた個所で絶縁不良が発生する。それを防止するために、ヒートシンク51の表面の絶縁基板52の配置領域の周囲に一本の溝55を配置し、溶融したはんだの流れを防ぐことが行われている。(特許文献1および2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2500669号
【特許文献2】特開2008−159857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1枚のヒートシンク51に複数の絶縁基板52を搭載するに当たっては、デットスペースとなる溝55を可能な限り狭くして、ヒートシンク51に搭載される絶縁基板52の枚数を増やすことが求められる。一方で、溝55の幅を狭くしすぎると、溝55からはんだが流れ出し、隣接した溶融はんだ同士が接触するという前述の問題が起こりうる。
【0007】
この発明の目的は、前記の課題を解決して、はんだ流れの防止とデッドスペースの低減を両立できる溝形状を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、この発明の一様態では、半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップが固定された複数の絶縁基板と、複数の前記絶縁基板がそれぞれ所定の配置領域に配置され、前記複数の所定領域のそれぞれを囲む複数の第1溝と、前記第1溝よりも浅く前記第1溝を囲む第2溝を有するヒートシンクと、前記絶縁基板と前記ヒートシンクの前記配置領域との間に充填されたはんだとを備える構成にする。
【0009】
また、この発明の別の一態様では、半導体装置の製造方法は、ヒートシンクおよび複数の絶縁基板を準備する工程と、前記ヒートシンクに、複数の前記絶縁基板が配置される所定の配置領域のそれぞれを囲む複数の第1溝と、前記第1溝よりも浅く前記第1溝を囲む第2溝をレーザー加工で形成する工程と、複数の前記配置領域にそれぞれはんだ板と前記絶縁基板を重ねて配置する工程と、前記はんだ板を加熱して溶融する工程と、前記溶融したはんだ板を冷却して固化する工程とを有している。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、はんだ流れの防止とデッドスペースの低減を両立できる最適の溝形状を有する半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】参考例の半導体装置600の構成図である。
図2】加工残渣57が形成される様子を説明した図である。
図3】溝56に加工残渣57の焼き付き58が発生した様子を示す図である。
図4】加工残渣57の焼き付き58の個数を示す図である。
図5】この発明に係る第1実施例の半導体装置100の平面図である。
図6図5のX1−X1線で切断した拡大断面図である。
図7】加工残渣の焼き付き数を示す図である。
図8】この発明に係る第2実施例の半導体装置200の要部断面図である。
図9】従来の半導体装置500の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態を以下の実施例で説明する。
<参考例>
図1は、参考例である半導体装置600の構成図である。図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のX−X線で切断した拡大断面図である。半導体装置600においては、絶縁基板52の周囲に縞状に複数本(ここでは3本)の溝56を配置している。複数本の溝56を配置することにより、一本の溝に比べヒートシンク51の表面におけるはんだ流れの抵抗が増えるため、狭い幅でもはんだ流れを効果的に防止することができる。このように狭い幅で縞状の複数本の溝56を形成する方法としては、レーザー加工を用いることができる。
【0013】
しかし、レーザー加工により上記の溝56を形成する場合、図2および図3に示すように、レーザ加工による加工残渣57の焼き付き58が発生することがある。焼き付き58とは、レーザー照射で溝56の形成時に発生した溶融状態の加工残渣57が溝56に付着して固化したものを指す。
【0014】
また、はんだ流れ防止用の溝56を形成するに当たっては、デットスペースとなる溝56の幅Wと、溝間隔L(障壁の厚さ)を狭く形成することが求められる。
【0015】
また、レーザー加工で溝56を形成する場合、溝56の深さTが深くなると前記した焼き付き58が発生し易くなる。
【0016】
図2は、加工残渣57が形成される様子を説明した図である。溝56を形成するためのレーザー加工順序は、絶縁基板52側の初段の溝56形成から外側に向かって矢印方向へ進み、最後段の溝56形成で終わる。図2に示すように、この加工残渣57はレーザーの加工順番が後になるに従って蓄積され徐々に大きくなる。レーザー加工されて発生した加工残渣57はレーザー加工機に付随している集塵機で吸収除去される。
【0017】
図3は、溝56に焼き付き58が発生した様子を示す図である。図3(a)は焼き付き58が発生したヒートシンク51の平面図である。図3(b)は図3(a)のX−X線で切断した断面図である。図3に示すように、レーザー加工の最終段の溝56aに大きな焼き付き58が発生する。
【0018】
図4は、加工残渣57の焼き付き58の個数を示す図である。縦軸は焼き付き58の個数、横軸はサンプルNoである。サンプル数は5個である。参考例のレーザー加工で形成したはんだ流れ防止用の溝56の内最終段の溝56aでは、焼き付き58が発生し、図4に示すように、その個数は環状の溝56aの全域に亘って15個程度〜30個程度に散在する。この溝56の深さTを深くすると焼き付き58の個数は増大する傾向にある。
【0019】
この焼き付き58が多いと、外観不良や後工程(ボンディングワイヤ付け、ゲル充填、樹脂ケースでの被覆など)で焼き付き58が剥がれて半導体チップ上や配線上に付着すると特性不良を引き起こすので除去する必要がある。しかし、レーザー加工機に付随している集塵機では吸引力が小さく、この焼き付き58を除去することができない場合がある。その場合は専用の除去治具を焼き付き58に接触させて機械的に除去する。そのため、作業効率が悪く製造コストの上昇を招く。
<実施例1>
図5および図6は、この発明に係る第1実施例の半導体装置100の構成図である。図5は平面図である。図6(a)は図1のX1−X1線で切断した拡大断面図である。図6(b)は図6のX2−X2で切断した拡大断面図である。
【0020】
半導体装置100は、半導体チップ20と、絶縁基板2と、ヒートシンク1と、はんだ6を備えている。
【0021】
半導体チップ20は、例えば、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)やパワーMOSFET、FWD(還流ダイオード)等の縦型のパワー半導体素子を適用することができる。
【0022】
絶縁基板2は、回路板、絶縁板および金属板(いずれも図示せず)が積層して構成されている。絶縁板は、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等のセラミックが用いられている。回路板および金属板は、銅等の金属で構成され、例えばDCB(Direct Copper Bonding)法で形成することができる。回路板22は、絶縁板のおもて面に選択的に回路パターンが形成されている。回路板22上には、はんだなどを用いて、半導体チップ20の主電極側(例えば、コレクタ電極、カソード電極等)が固定されている。
【0023】
ヒートシンク1は、第1金属7と、第1金属7の表面を覆っている第2金属層5で構成されている。第1金属7は例えばアルミニウムや銅などの高熱伝導性金属であり、半導体チップ20から発生する熱を外部に拡散させる機能を有する。
【0024】
第2金属層5は例えばニッケルで構成されるメッキ層であり、ヒートシンク1のはんだ濡れ性の確保と酸化防止のための機能を有する。また、第2金属層として、ニッケルの代わりにチタンを用いる場合もある。
【0025】
ヒートシンク1の所定の配置領域に、複数(図では2個)の絶縁基板2が配置されている。そして、各絶縁基板2が配置される配置領域をそれぞれを囲む、はんだ流れ防止用の第1溝3が備わっている。さらに、これらの第1溝3を囲んで、第1溝3よりも浅い第2溝4が備わっている。第1溝3および第2溝4の複数本の溝を配置することにより、一本の溝に比べヒートシンク1の表面におけるはんだ流れの抵抗が増えるため、狭い幅でもはんだ流れを効果的に防止することができる。さらに第2溝4は第1溝3よりも浅いため、レーザー加工残渣の焼き付きを抑制することができる。ここでは、第1溝3は縞状に4本、第2溝4は1本の例を示したがこれに限るものではない。
【0026】
第1溝3および第2溝4はレーザーにより第2金属層5を貫通して加工する。第1溝3および第2溝4の底面3a,4aは第1金属7を露出させる。第2金属層よりもはんだ濡れ性の悪い第1金属7を露出させることで、溶融はんだの流れが一層阻害されるため、より好ましい。
【0027】
第1溝3の深さT1は、第2金属層5の厚さQ(例えば、15μm)以上、50μm以下とするのが好ましい。なぜなら、第1溝3の深さTが50μm超ではレーザ加工残渣が大きくなり、その焼き付きの影響が無視できなくなるからである。
【0028】
第2溝4の深さT2は、第2金属層5の厚さ以上、第1溝3の深さT1の3/4以下にするのが好ましい。第2溝4の深さT2が第2金属層5の厚さQ以上にすると、第2溝4の底面4aに第1金属7が露出するため、第2溝4まで溶融はんだが広がったときははんだ流れを効果的に阻止できる。一方、T2が3/4超では、加工残渣の焼き付きを抑制する効果が小さくなるため、好ましくない。
【0029】
ここで、第1溝3の合計の断面積Sを第1溝3の深さT1×第1溝の幅W1×第1溝の本数nで定義した上で、本発明における最適な断面形状について説明する。ここでは、1本の第1溝3を形成し、その断面積Sを1600μm、2000μm、5000μm、7200μm、8200μmになるようにそれぞれレーザ加工した場合の、はんだ流れの状態について調査した。その結果、第1溝3の断面積Sが7200μm以上の条件でははんだ流れを確実に防止することができた。このことから、同一の断面積の第1溝3をn個形成した場合、一つの断面積をs0としたとき、第1溝3の合計の断面積S(=s0×n)を7200μm以上とすることが、より好ましい。また、断面積が異なる第1溝をn本形成した場合のそれぞれの断面積をS1,S2,・・・Snとした場合は、ΣSn≧7200μmとするとよい。
【0030】
一方、第1溝3の合計の断面積Sを大きくするため、第1溝3の幅W1が広くするとデットスペースが増大する。また、断面積Sを大きくするため第1溝3の深さT1を深くすると、レーザー加工残渣の焼き付け数が増大する。そのため、合計の断面積Sは20000μm以下とするのが好ましい。また、第1溝3の本数としては、1本から50本程度が好ましい。第1溝3の本数が50本以上になると、デットスペースが大きくなるため、好ましくない。さらに、第1溝3の本数は、5本〜30本程度がより好ましい。
【0031】
また、第1溝3の幅W1は10μm以上、150μm以下とするのが好ましい。幅W1が10μm未満では溶融はんだが第1溝3を乗り越えて広がりやすくなり、幅W1が150μm超ではデットスペースが大きくなるため、それぞれ好ましくない。
【0032】
また、第1溝3同士の間隔W2は、5μm以上、20μm以下とするのが好ましい。間隔W2が5μm未満では、第1溝3の間の凸部3bの加工精度を維持するのが困難になり、間隔W2が20μm超ではデットスペースが大きくなるため、それぞれ好ましくない。
【0033】
第2溝4の幅W3は、第1溝3と略同一にするのが好ましい。第2溝4の幅W3が50μm未満では加工残渣の焼き付きを抑制するのが困難になる。第2溝4の幅W3が150μm超ではデットスペースが大きくなる。
【0034】
第1溝3と第2溝4の間隔W4は0μm以上、40μm以下とするのが好ましい。間隔W4を40μm以上にすると、第1溝3と第2溝4の間隔が大きくなり過ぎ、第2溝4に備わっている焼き付きの抑制効果が小さくなるからである。
【0035】
一方、間隔W4が0μm、すなわち第1溝3と第2溝4を接触させたとしても、加工残渣の焼き付きを溶融除去できるため、間隔W4は0μmにしてもよい。
【0036】
例えば以下の実施例により、はんだ6の流れ出しを、第1溝3で確実に防止することができる。縞状の第1溝3の幅W1を6μm、深さT1を40μm、間隔W2を4μm、数を30本にしてその合計の断面積Sを7200μmにする。縞状の第2溝4の幅W3を12μm、深さT2を30μm、第1溝3との間隔W4を40μm、第2溝4同士の間隔を8μm、本数を13本にする。また、第2金属層の厚さQを15μmにして、第1溝3の全体の幅を300μmにする。ただし、第2溝4の本数は1本以上あれば焼き付きを防止することができる。
【0037】
図7は、この実施例における加工残渣の焼き付き数を示す図である。縦軸は焼き付き数、横軸はサンプルNoである。この結果から、本実施例においては焼き付き数がすべてのサンプルで2個以下に抑制されていることがわかる。なお、焼き付き数は5個以下であれば、特性上問題は無い。
【0038】
この結果から、本実施例において、はんだ流れ防止とレーザー加工残渣の焼き付きの抑制が両立できていることがわかる。
<実施例2>
図8は、この発明に係る第2実施例の半導体装置200の要部断面図である。この断面図は図6(a)に相当する断面図である。
【0039】
半導体装置100との違いは、第1溝3および第2溝4のそれぞれの底面3a,4aの露出した銅面を点線で示すように絶縁膜1bで被覆している点である。絶縁膜1bで被覆することにより、溶融はんだの広がりを阻害する効果を高めることができる。特に第1金属7を銅で構成した場合、はんだに対する濡れ性がアルミニウムよりも高いので、本実施形態が好ましい。また、第1溝3および第2溝4の側壁面も絶縁膜1bで被覆すると、はんだの広がりを阻害する効果がさらに高まる。
【符号の説明】
【0040】
1 ヒートシンク
1b 絶縁膜
2 絶縁基板
3 第1溝
3a 底面
3b 凸部
4 第2溝
4a 底面
5 第2金属層
6 はんだ
7 第1金属
20 半導体チップ
100,200 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9