特許第6379816号(P6379816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノンマーケティングジャパン株式会社の特許一覧 ▶ キヤノンITソリューションズ株式会社の特許一覧

特許6379816情報処理装置、その制御方法、及びプログラム
<>
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000002
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000003
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000004
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000005
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000006
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000007
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000008
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000009
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000010
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000011
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000012
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000013
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000014
  • 特許6379816-情報処理装置、その制御方法、及びプログラム 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379816
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】情報処理装置、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0485 20130101AFI20180820BHJP
【FI】
   G06F3/0485
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-156497(P2014-156497)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33752(P2016-33752A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592135203
【氏名又は名称】キヤノンITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(74)【代理人】
【識別番号】100208904
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 秀起
(72)【発明者】
【氏名】上條 哲也
【審査官】 鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−100435(JP,A)
【文献】 特開2011−127949(JP,A)
【文献】 特開2012−252620(JP,A)
【文献】 特開2004−151898(JP,A)
【文献】 特開2009−288974(JP,A)
【文献】 特開2014−137792(JP,A)
【文献】 特開2013−190877(JP,A)
【文献】 特開2013−168088(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0246625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/048 − 3/0489
13/00
17/20 − 17/26
19/00
G06Q 10/00 − 40/08
50/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の属性のアノテーションを付すことが可能であって、属性を有するアノテーションが付されたページを含む文書データをスクロールさせて表示するように制御する情報処理装置であって、
第1の速度で前記文書データのページをスクロールさせる第1の表示制御手段と、
前記第1の表示制御手段で前記文書データのページのスクロール中に前記アノテーションが表示されると前記第1の速度よりも遅い第2の速度で前記文書データのページをスクロールさせる第2の表示制御手段と、
を備え、
前記第2の表示制御手段は、前記文書データのページに付されたアノテーションの属性に従い、前記第1の表示制御手段で前記文書データのページのスクロール中に所定の属性のアノテーションが表示されるページを前記第2の速度でスクロールさせ、前記所定の属性のアノテーションとは異なるアノテーションが表示されるページを前記第2の速度でスクロールさせないよう制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記文書データのページに付されたアノテーションの数に応じた速度で前記文書データのページをスクロールさせて表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記第2の表示制御手段による前記文書データのページのスクロール中に前記所定の属性のアノテーションの表示が終了する場合には前記第2の速度よりも速い第3の速度で前記文書データのページをスクロールさせる第3の表示制御手段
をさらに備え、
前記第1の表示制御手段または前記第3の表示制御手段は、前記所定の属性のアノテーションが表示されていない間は前記第1の速度または前記第3の速度でスクロールさせて前記文書データのページを表示するよう制御することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第3の速度は、前記第1の速度よりも遅い速度であることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記文書データは、世代ごとに複数のページから構成され、
前記第2の表示制御手段は、スクロールするページに対応する過去の世代のページに付された前記所定の属性のアノテーションが表示されている間は、前記第2の速度でスクロールさせて前記文書データのページを表示するよう制御することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の表示制御手段は、前記文書データのページをユーザからの指示に応じた第1の速度で慣性スクロールさせて表示するよう制御することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2の表示制御手段は、前記文書データのページを前記第2の速度で一定にスクロールさせて表示するよう制御することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の属性のアノテーションを付すことが可能であって、属性を有するアノテーションが付されたページを含む文書データをスクロールさせて表示するように制御する情報処理装置の制御方法であって、
第1の速度で前記文書データのページをスクロールさせる第1の表示制御ステップと、
前記第1の表示制御ステップで前記文書データのページのスクロール中に前記アノテーションが表示されると前記第1の速度よりも遅い第2の速度で前記文書データのページをスクロールさせる第2の表示制御ステップと、
を含み、
前記第2の表示制御ステップは、前記文書データのページに付されたアノテーションの属性に従い、前記第1の表示制御ステップで前記文書データのページのスクロール中に所定の属性のアノテーションが表示されるページを前記第2の速度でスクロールさせ、前記所定の属性のアノテーションとは異なるアノテーションが表示されるページを前記第2の速度でスクロールさせないよう制御することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票データを構成するページをスクロールする場合であっても、スクロールを継続しつつ、当該ページに付されたアノテーションを確認可能な情報処理装置、その制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルを備える携帯端末やタブレット端末等(以下、情報処理装置)が普及してきている。タッチパネルを備える情報処理装置では、ユーザに直感的な操作を行わせるために、様々な仕組みが考えられている。
【0003】
例えば、フリック操作を行うことで、タッチパネルに表示される画面をスクロールすることができるようになっている。フリック操作とは、ユーザがタッチパネルを指で触れたまま素早く任意の方向に動かす操作のことである。スクロールしたい方向にフリック操作をすることで画面のスクロールが行われる。
【0004】
この仕組みを利用した従来技術として、下記の特許文献1が存在する。下記の特許文献1は、スクロール中にタッチパネルに表示される情報が特定の位置に近づくにつれてスクロール速度を減速し、当該情報が特定の位置に来たときにスクロールを停止する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−186726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1は、所定の情報を見つけるための仕組みであるので、スクロール速度を減速した後、当該情報が画面の最上部や最下部等に来るよう、スクロールを停止するものである。よって、条件に合致する情報が複数存在すれば、その都度スクロールが停止してしまい、ユーザは何度もフリック操作を行わなくてはならない問題がある。
【0007】
また、タッチパネルを備える情報処理装置で1または複数のページから構成される帳票データを表示し、ページをスクロールしながら顧客に説明を行うことがある。帳票データのページには備忘録としてアノテーション(付箋等)が付与されているので、上記特許文献1を用いればアノテーションが付与された箇所でスクロールを停止できる。よって、ユーザは確実にアノテーションを確認することができる。
【0008】
しかしながら、顧客に説明する場合に前述した問題が発生してしまうと、スムーズに説明を行うことができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、帳票データを構成するページをスクロールする場合であっても、スクロールを継続しつつ、当該ページに付されたアノテーションを確認可能な仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、複数の属性のアノテーションを付すことが可能であって、属性を有するアノテーションが付されたページを含む文書データをスクロールさせて表示するように制御する情報処理装置であって、第1の速度で前記文書データのページをスクロールさせる第1の表示制御手段と、前記第1の表示制御手段で前記文書データのページのスクロール中に前記アノテーションが表示されると前記第1の速度よりも遅い第2の速度で前記文書データのページをスクロールさせる第2の表示制御手段と、を備え、前記第2の表示制御手段は、前記文書データのページに付されたアノテーションの属性に従い、前記第1の表示制御手段で前記文書データのページのスクロール中に所定の属性のアノテーションが表示されるページを前記第2の速度でスクロールさせ、前記所定の属性のアノテーションとは異なるアノテーションが表示されるページを前記第2の速度でスクロールさせないよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、帳票データを構成するページをスクロールする場合であっても、スクロールを継続しつつ、当該ページに付されたアノテーションを確認可能な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2】情報処理装置100の機能構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図4】帳票データ閲覧画面400の画面構成の一例を示す図である。
図5】設定画面500の画面構成の一例を示す図である。
図6】帳票データ管理テーブル600、設定テーブル610、アノテーションテーブル620のテーブル構成の一例を示す図である。
図7】帳票データ閲覧画面400で他の世代の帳票データを表示する場合の概要を示す図である。
図8】アノテーション付与処理の流れを示すフローチャートである。
図9】帳票データ閲覧画面400で帳票データにアノテーションを付した場合の概要を示す図である。
図10】スクロール処理の流れを示すフローチャートである。
図11】スクロールモードが通常モードである場合のスクロール速度の変化を示すグラフである。
図12】帳票データ閲覧画面400で帳票データがスクロールする様子の概要を示す図である。
図13】スクロールモードが減速モードである場合のスクロール速度の変化を示す第1のグラフである。
図14】スクロールモードが減速モードである場合のスクロール速度の変化を示す第2のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態における情報処理装置100のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置100は、オペレーティングシステムを搭載する汎用装置である。本実施形態ではタブレット端末を想定して説明を行うが、パーソナルコンピュータやサーバであってもよいし、携帯端末(携帯電話、スマートフォン等)であってもよい。
【0015】
CPU101は、システムバス104に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。
【0016】
また、ROM102あるいはフラッシュメモリ114には、CPU101の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / OutputSystem)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、情報処理装置100が実行する機能を実現するために必要な、後述する各種プログラム等が記憶されている。RAM103は、CPU101の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0017】
CPU101は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM103にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0018】
また、入力コントローラ105は、タッチパネル110、マイク111、カメラ112からの入力を制御する。タッチパネル110からはユーザのタッチ操作に関する入力を制御し、マイク111からは音声の入力を制御し、更にカメラ112からは撮影された静止画や動画の入力を制御する。出力コントローラ106は、タッチパネル110、スピーカ113への出力を制御する。
【0019】
タッチパネル110は、ユーザからのタッチ操作を検知すると共に、前述した出力コントローラ106から送られた映像を表示する。タッチパネル110は、表示器と位置入力装置とが一体となった部品である。複数の箇所に対するタッチ操作(以下、マルチタッチ)も検知可能である。
【0020】
メモリコントローラ107は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するフラッシュメモリ114へのアクセスを制御する。本実施形態においては、フラッシュメモリとして説明を行うが、ハードディスクやフレキシブルディスク或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるカード型メモリ等の記憶媒体であってもよい。
【0021】
通信I/Fコントローラ109は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
【0022】
センサコントローラ108は、情報処理装置100が備えるセンサ115からの入力を制御する。情報処理装置100のセンサ115には様々なセンサが存在し、例えば方位センサ、加速度センサ等である。
【0023】
尚、CPU101は、例えばRAM103内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、タッチパネル110上での表示を可能としている。
【0024】
本発明の情報処理装置100が後述する各種処理を実行するために用いられる各種プログラム等はフラッシュメモリ114に記録されており、必要に応じてRAM103にロードされることによりCPU101によって実行されるものである。さらに、本発明に係わるプログラムが用いる定義ファイルや各種情報テーブルはフラッシュメモリ114に格納されている。
【0025】
次に、情報処理装置100の機能構成の一例について、図2を用いて説明する。
【0026】
情報処理装置100は機能部として、記憶部201、表示部202、タッチ操作検知部203、スクロール制御部204を備えている。記憶部201(記憶手段)は、情報処理装置100を動作させるための各種プログラムやデータ等を記憶管理するための機能部である。特に、本実施形態においては、後述する帳票データや帳票データ管理テーブル600、設定テーブル610、アノテーションテーブル620等を記憶する。また、記憶部201は、ユーザから指示された帳票データの取得や保存を行うことができる。
【0027】
表示部202は、タッチパネル110に各種画面を表示するための機能部である。タッチ操作検知部203は、ユーザからのタッチ操作を検知するための機能部である。タッチパネル110に対する各種タッチ操作を検知する。本実施形態では特に、ユーザからのタップ操作(タッチパネル110に対して1回タッチする操作)とフリック操作(タッチパネル110に対してタッチしたまま素早く任意の方向に動かす操作)とを検知する。
【0028】
スクロール制御部204(スクロール制御手段)は、タッチパネル110に表示される画面をスクロールするための機能部である。本実施形態では特に、1または複数のページから構成される帳票データがタッチパネル110の画面に表示され、この帳票データを構成するページを順次表示するように、スクロールする。
【0029】
更に、情報処理装置100には、帳票アプリケーション210がインストールされている。帳票アプリケーション210は機能部として、アノテーション付与部211、スクロール速度算出部212、スクロール制御指示部213を備えている。
【0030】
アノテーション付与部211は、帳票データに対してアノテーションを付与するための機能部である。アノテーションとは、文字列を表示可能なメモやマル秘といったスタンプ等の注釈データのことである。アノテーション付与部211は、ユーザからの指示に応じた箇所にアノテーションを付し、メモのアノテーションであれば更に文字列の入力を受け付ける。
【0031】
スクロール速度算出部212は、スクロール制御部204でスクロールする速度(以下、スクロール速度)を算出するための機能部である。本実施形態では、帳票データに付与されたアノテーションをユーザに確認させるべく、スクロール速度を一時的に減速する。そのため、スクロール速度算出部212は、ユーザからの指示に応じたスクロール速度を算出すると共に、アノテーションが表示部202で表示される場合のスクロール速度を算出する。このアノテーションが表示部202で表示される場合のスクロール速度は、ユーザからの指示に応じたスクロール速度よりも遅い速度であることを特徴とする。
【0032】
スクロール制御指示部213は、スクロール速度算出部212で算出されたスクロール速度でスクロールするよう、スクロール制御部204に指示をするための機能部である。
【0033】
尚、情報処理装置100が備える機能部はこれ以外にあってもよい。前述した機能部に限られるものではない。
【0034】
次に、本実施形態の一連の処理の流れについて、図3に示すフローチャートを用いて説明する。後述する図3の各ステップは、情報処理装置100のCPU101が実行する動作である。
【0035】
まず、ステップS301では、記憶部201を用いて、情報処理装置100にインストールされている帳票アプリケーション210をフラッシュメモリ114から読み出し、RAM103にロードして帳票アプリケーションを起動する。
【0036】
ステップS302では、記憶部201を用いて、起動した帳票アプリケーション210で表示する帳票データの選択を受け付け、ユーザから選択された帳票データをフラッシュメモリ114から取得し、帳票アプリケーション210に読み込む。このとき、読み込む帳票データは最新の帳票データである。図6の帳票データ管理テーブル600で管理している帳票データのうち、ユーザから選択された帳票データ名602を持つレコードを特定する。そして、特定したレコードのうち、作成年月日603が最も新しいレコードの帳票データを読み込む。本実施形態において、帳票データは世代(バージョン)によって版管理がされており、過去の世代の帳票データも表示可能である。基本的には、最新の帳票データを表示するため、ステップS302では前述した処理によって最新の帳票データを読み込むことになる。
【0037】
帳票データ管理テーブル600(図6参照)は、帳票ID601、帳票データ名602、作成年月日603を含む。帳票ID601は、帳票ごとに一意に割り振られる識別情報である。帳票データ名602は、帳票データの名称を示す。作成年月日603は、当該帳票データが作成された年月日を示す。本実施形態では作成された年月日を管理するものとするが、更新された年月日であってもよい。両方を保持してもよい。尚、帳票データ管理テーブル600を構成する項目は、必要に応じてこれ以外に存在してもよい。
【0038】
ステップS303では、表示部202を用いて、タッチパネル110に帳票データ閲覧画面400を表示し、ステップS302で読み込んだ帳票データを帳票データ閲覧画面400の帳票データ表示領域401に表示する。
【0039】
図4は帳票データ閲覧画面400の画面構成の一例を示す図である。帳票データ閲覧画面400には、帳票データ表示領域401を備えている。帳票データ表示領域401にステップS302で読み込んだ帳票データが表示される。帳票データ表示領域401においてユーザからフリック操作を受け付けると、帳票データを構成するページがスクロールし、他のページが帳票データ表示領域401に表示される。本実施形態においては、縦にスクロールするものとして説明を行うが、横にスクロールすることで他のページが表示できてもよい。また、帳票データ閲覧画面400は各種ボタンを備えている。特に本実施形態では、アノテーションボタン(スタンプ)402、アノテーションボタン(メモ)403、世代変更ボタン404、設定ボタン405、終了ボタン406を備えている。各ボタンに対する押下を検知した場合の動作については、後述する。
【0040】
ステップS304では、タッチ操作検知部203を用いて、タッチパネル110に対するタッチ操作を検知したか否かを判定する。タッチ操作を検知したと判定した場合には、ステップS305に処理を進める。タッチ操作を検知していないと判定した場合には、ステップS304の処理を繰り返し、タッチ操作を検知するまで待機する。
【0041】
ステップS305では、ステップS304で検知したタッチ操作により、設定ボタン405が押下されたか否かを判定する。タッチパネル110の設定ボタン405が表示されている領域でタップ操作がなされた場合には、設定ボタン405が押下されたと判定する。設定ボタン405が押下されたと判定した場合には、ステップS306に処理を進める。設定ボタン405が押下されていないと判定した場合には、ステップS307に処理を進める。
【0042】
ステップS306では、表示部202を用いて、タッチパネル110に設定画面500を表示し、帳票アプリケーション210の動作設定を受け付ける。
【0043】
図5は設定画面500の画面構成の一例を示す図である。設定画面500は、アノテーションオプション選択欄501、スクロールモード選択欄502、減速モードオプション選択欄503を備える。アノテーションオプション選択欄501では、表示している帳票データの世代とは異なる世代に付されたアノテーションを帳票データ表示領域401に表示するか否かを選択するチェックボックスを備えている。前述した通り、帳票データは世代(バージョン)による版管理がなされており、基本的には最新の世代が表示されるが、過去の世代の帳票データも表示可能である。そこで、当該チェックボックスで、他の世代の帳票データに付与されたアノテーションを現在表示している世代の帳票データに表示するか否かを選択することが可能となっている。
【0044】
スクロールモード選択欄502は、表示している帳票データのページに対してフリック操作がなされた場合に、どのようなスクロールを行うのかを選択するためのラジオボタンを備えている。通常モードが選択されると、アノテーションが表示されたか否かに関わらず、ユーザからの指示に応じた速度でスクロールを行う。減速モードが選択されると、アノテーションが表示された場合に、ユーザからの指示に応じた速度よりも遅い速度でスクロールし、当該アノテーションが通り過ぎた後はユーザからの指示に応じた速度に戻す。
【0045】
減速モードオプション選択欄503は、スタンプのアノテーションが表示された場合に減速するか否かを選択するチェックボックスと、他の世代のアノテーションが表示された場合に減速するか否かを選択するチェックボックスとを備える。スタンプのアノテーションは、マル秘や印影を帳票データに付与するものであり、ユーザに確認させるべきアノテーションではないことが多い。そのため、チェックボックスによってスタンプのアノテーションが表示される場合でも減速するか否かを選択可能にしている。また、現在表示されている世代とは異なる世代のアノテーションは、現在表示されている世代の帳票データと関係のない場合もあるため、これが表示される場合でも減速するか否かを選択可能にしている。
【0046】
これらのチェックボックスやラジオボタンは、ユーザからのタップ操作によってON/OFFを切り替えることができる。ユーザは、設定ボタン504に対するタップ操作を行うと、情報処理装置100は設定ボタン504に対する押下を検知し、各チェックボックス・ラジオボタンで選択された情報を、図6の設定テーブル610に登録する。
【0047】
設定テーブル610(図6参照)は、アノテーションオプション611、スクロールモード612、減速モードオプションA613、減速モードオプションB614を含む。アノテーションオプション611は、アノテーションオプション選択欄501で選択された情報を格納する。他の世代に付されたアノテーションを帳票データ表示領域401に表示しない場合(チェックボックスがOFFの場合)には「0」が格納され、他の世代に付されたアノテーションを帳票データ表示領域401に表示する場合(チェックボックスがONの場合)には「1」が格納される。
【0048】
スクロールモード612は、スクロールモード選択欄502で選択された情報が格納される。通常モードが選択された場合には「0」が格納され、減速モードが選択された場合には「1」が格納される。
【0049】
減速モードオプションA613は、減速モードオプション選択欄503が備える、スタンプのアノテーションが表示された場合に減速するか否かを選択するチェックボックスの選択状況が格納される。スタンプのアノテーションが表示された場合でも減速しない(チェックボックスがOFF)なら「0」が格納され、スタンプのアノテーションが表示された場合に減速する(チェックボックスがON)なら「1」が格納される。
【0050】
減速モードオプションB614は、減速モードオプション選択欄503が備える、他の世代のアノテーションが表示された場合に減速するか否かを選択するチェックボックスの選択状況が格納される。他の世代のアノテーションが表示された場合でも減速しない(チェックボックスがOFF)なら「0」が格納され、他の世代のアノテーションが表示された場合に減速する(チェックボックスがON)なら「1」が格納される。
【0051】
このようにして、ステップS306で帳票アプリケーション210の動作設定を受け付けて、当該動作設定を設定テーブル610に登録しておく。登録が終わったら、ステップS304に処理を戻す。
【0052】
図3の説明に戻る。ステップS307では、ステップS304で検知したタッチ操作により、アノテーションボタン(スタンプ)402またはアノテーションボタン(メモ)403が押下されたか否かを判定する。タッチパネル110のアノテーションボタン(スタンプ)402またはアノテーションボタン(メモ)403が表示されている領域でタップ操作がなされた場合には、アノテーションボタン(スタンプ)402またはアノテーションボタン(メモ)403が押下されたと判定する。アノテーションボタン(スタンプ)402またはアノテーションボタン(メモ)403が押下されたと判定した場合には、ステップS308に処理を進める。アノテーションボタン(スタンプ)402またはアノテーションボタン(メモ)403が押下されていないと判定した場合には、ステップS309に処理を進める。
【0053】
ステップS308では、帳票データ表示領域401に表示されている帳票データのページにアノテーションを付与する処理を実行する。アノテーション付与処理の詳細は、後述する図8に示す。アノテーション付与処理が完了したら、ステップS304に処理を戻す。
【0054】
ステップS309では、ステップS304で検知したタッチ操作により、世代変更ボタン404が押下されたか否かを判定する。タッチパネル110の世代変更ボタン404が表示されている領域でタップ操作がなされた場合には、世代変更ボタン404が押下されたと判定する。世代変更ボタン404が押下されたと判定した場合には、ステップS310に処理を進める。世代変更ボタン404が押下されていないと判定した場合には、ステップS311に処理を進める。
【0055】
ステップS310では、世代変更ボタン404の押下に応じて、帳票データ閲覧画面400に世代選択欄701(図7参照)をタッチパネル110に表示し、帳票データ表示領域401に表示したい世代の選択を受け付ける。ユーザは表示したい世代に対してタップ操作を行うと、情報処理装置100はこれを検知し、タップされた世代の帳票データを読み込んで帳票データ表示領域401に表示する。1世代過去の帳票データが選択された場合を、図7の下部にある帳票データ閲覧画面400に示す。帳票データ表示領域401の右上のバージョンが古くなっていることがわかる。このようにして、異なる世代に切り替えることが可能となっている。また、ステップS310で表示した世代の帳票データにもアノテーションを付与することが可能である。ステップS310の処理が完了したら、ステップS304に処理を戻す。
【0056】
ステップS311では、ステップS304で検知したタッチ操作により、帳票データのページのスクロールが指示されたか否かを判定する。タッチパネル110の帳票データ表示領域401で縦方向にフリック操作がなされた場合には、帳票データのページのスクロールが指示されたと判定する。帳票データのページのスクロールが指示されたと判定した場合には、ステップS312に処理を進める。帳票データのページのスクロールが指示されていないと判定した場合には、ステップS313に処理を進める。
【0057】
ステップS312では、帳票データ表示領域401に表示されている帳票データのページをスクロールする処理を実行する。スクロール処理の詳細は、後述する図10に示す。スクロール処理が完了したら、ステップS304に処理を戻す。
【0058】
ステップS313では、ステップS304で検知したタッチ操作により、終了ボタン406が押下されたか否かを判定する。タッチパネル110の終了ボタン406が表示されている領域でタップ操作がなされた場合には、終了ボタン406が押下されたと判定する。終了ボタン406が押下されたと判定した場合には、ステップS314に処理を進める。終了ボタン406が押下されていないと判定した場合には、ステップS304に処理を戻す。
【0059】
ステップS314では、帳票データ表示領域401に表示している帳票データを閉じ、ステップS301で起動した帳票アプリケーションを終了する。以上が、本実施形態における一連の処理の流れである。
【0060】
次に、アノテーション付与処理の詳細について、図8のフローチャートを用いて説明する。後述する図8の各ステップは、情報処理装置100のCPU101が実行する動作である。
【0061】
ステップS801では、アノテーション付与部211を用いて、アノテーションを付与する位置(座標)を特定する。アノテーションボタン(スタンプ)402またはアノテーションボタン(メモ)403の押下を検知した後、帳票データ表示領域401に表示されているページに対するタップ操作を検知すると、当該タップされた位置に相当するページ内の座標を特定し、これをアノテーションを付与する位置とする。
【0062】
ステップS802では、アノテーション付与部211を用いて、付与するアノテーションの種類(属性)を特定する。アノテーションの種類は前述した通り、本実施形態においてはスタンプとメモの二種類がある。アノテーションボタン(スタンプ)402及びアノテーションボタン(メモ)403のいずれが押下されたのかによって、アノテーションの種類が特定できる。
【0063】
ステップS803では、記憶部201を用いて、ステップS801及びステップS802で特定した情報を用いて、アノテーションテーブル620を更新する。アノテーションテーブル620のテーブル構成の一例を図6に示す。
【0064】
アノテーションテーブル620は、アノテーションID621、帳票ID622、ページ番号623、配置位置624、種類625、文字列626、作成日時627を含む。アノテーションID621は、アノテーションが追加されるごとに発行される、アノテーションごとに一意な識別情報が格納される。帳票ID622は、アノテーションが付された帳票データの帳票ID601が格納される。ページ番号623は、アノテーションが付された帳票データのページ番号が格納される。配置位置624は、アノテーションが付された座標(左上座標、右下座標)が格納される。種類625は、付されたアノテーションの種類が格納される。文字列626は、アノテーションの種類625がメモである場合に入力された文字列が格納される。作成日時627は、アノテーションが付与された年月日時分が格納される。本実施形態においては作成日時とするが、更新日時でもよい。
【0065】
ステップS804では、表示部202を用いて、帳票データのページに付与されたアノテーションを帳票データ表示領域401に表示する。
【0066】
ステップS805では、付与されたアノテーションの種類が「メモ」であるか否かを判定する。ステップS803で追加したレコードの種類625が「メモ」である場合には、付与されたアノテーションの種類が「メモ」であると判定する。付与されたアノテーションの種類が「メモ」であると判定した場合には、ステップS806に処理を進める。付与されたアノテーションの種類が「メモ」でない、すなわち「スタンプ」であると判定した場合には、アノテーション付与処理を終了し、呼び出し元に処理を戻す。
【0067】
ステップS806では、付与されたメモのアノテーションに対する文字列の入力を受け付ける。タッチパネル110にソフトウェアキーボードを表示し、ユーザからのタップ操作を受け付けることで、メモのアノテーションに表示する文字列の取得を行う。
【0068】
ステップS807では、ステップS806で取得した文字列を、ステップS803で追加したレコードの文字列626に格納する。そして、ステップS808では、ステップS807で文字列626に格納した文字列を、付与されたメモのアノテーションに表示する。
【0069】
アノテーションが帳票データのページに付与した場合の一例を図9に示す。図9には、帳票ID601が「REP003」の帳票データが帳票データ閲覧画面400に表示されている。上部の帳票データ閲覧画面400では2ページ目を表示しており、下部の帳票データ閲覧画面400では3ページ目を表示している。図6のアノテーションテーブル620に示すように、当該帳票データの2ページ目には、メモのアノテーションが付与されている。これは、901に示すような形態で表示される。一方、当該帳票データの3ページ目には、スタンプのアノテーションが付与されている。これは、902に示すような形態で表示される。また、当該帳票データの3ページ目の過去の世代には、メモのアノテーションが付与されており、設定画面500で他の世代に付与したアノテーションを表示するよう設定されていた場合(アノテーションオプション611が「1」である場合)には、このアノテーションを表示する。これは、903に示すような形態で表示される。他の世代のアノテーションは、現在表示している世代のアノテーションと識別可能なように表示される。例えば、図9に示すように、アノテーションを半透明にし、更に当該アノテーションが付与された日時(作成日時627)をあわせて表示する。このようにして、アノテーションの付与と表示を行う。
【0070】
次に、スクロール処理の詳細について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。後述する図10の各ステップは、情報処理装置100のCPU101が実行する動作である。
【0071】
ステップS1001では、スクロール速度算出部212を用いて、ステップS304で検知したフリック操作に応じて、帳票データ表示領域401に表示されている帳票データの各ページのスクロール速度を特定する。ここで特定するスクロール速度は、スクロールした直後の速度である。スクロール速度を算出する方法は、従来技術を用いるため説明を省略する。基本的には、フリック操作の速度が速ければそれに応じてスクロール速度も速くなる。
【0072】
ステップS1002では、スクロール制御指示部213を用いて、帳票データ表示領域401に表示されている帳票データの各ページをスクロールした場合の減速度を取得する。本願発明におけるスクロールとは、慣性スクロールである。よって、一度スクロールがなされると、ユーザがタッチ操作を行わない限り、スクロールが停止しない。そのため、ステップS1002では減速度を取得し、これを用いることで徐々にスクロールを減速させ、最後にはスクロールを停止させる。減速度はあらかじめ記憶部201で記憶されていてもよいし、従来技術を用いて算出してもよい。
【0073】
ステップS1003では、設定テーブル610のスクロールモード612が「0」であるか否かを判定する。すなわち、設定画面500のスクロールモード選択欄502で通常モードが選択されたか否かを判定する。スクロールモード612が「0」であると判定した場合には、ステップS1004に処理を進める。スクロールモード612が「0」でない、すなわちスクロールモード612が「1」であると判定した場合には、ステップS1006に処理を進める。
【0074】
ステップS1004では、ステップS1001及びステップS1002で取得したスクロール速度と減速度とを用いて、帳票データの各ページをスクロールする。通常モードでスクロールした場合のスクロール速度の変化を示すグラフを、図11に示す。図11のグラフは、縦軸を速度、横軸を時間としている。ステップS1001で取得したスクロール速度がスクロール開始1101の時点での速度となる。ここからステップS1002で取得した減速度に応じて、スクロール速度を徐々に低下させていく。図11では、減速開始1102の時点からスクロール速度の低下が開始され、スクロール終了1103まで継続的に減少させる。そして、スクロール終了1103の時点でスクロール速度が「0」になるので、スクロールが終了(停止)する。こういったスクロールをするよう、スクロール制御指示部213がスクロール制御部204に対して指示を出すことで、スクロールを制御する。また、後述するステップS1005から処理が戻ってきた場合には、新たにスクロールを開始しなおすのではなく、ステップS1001及びステップS1002で取得したスクロール速度と減速度とを用いて、現在のスクロールを継続する。
【0075】
ステップS1005では、スクロールが終了したか否かを判定する。より具体的には、スクロール終了1103の時点になった場合や、ユーザからスクロール中の帳票データ閲覧画面400に対するタッチ操作を受け付けた場合、スクロールすべきページがなくなってしまった場合にスクロールが終了したと判定する。スクロールが終了したと判定した場合には、スクロール処理を終了し、呼び出し元に処理を戻す。スクロールが終了したと判定していない場合には、ステップS1004に処理を戻し、終了したと判定するまでスクロールを継続する。
【0076】
一方、ステップS1003でスクロールモード612が「0」でないと判定した場合(減速モードであると判定した場合)には、ステップS1006では、ステップS1004と同様にステップS1001及びステップS1002で取得したスクロール速度と減速度とを用いて、帳票データの各ページをスクロールさせる。また、後述するステップS1008、ステップS1009、ステップS1015から処理が戻ってきた場合には、新たにスクロールを開始しなおすのではなく、ステップS1001及びステップS1002で取得したスクロール速度と減速度とを用いて、現在のスクロールを継続する。
【0077】
ステップS1007では、ステップS1006におけるスクロールによって、スクロール中の帳票データのページに付与されたアノテーションが表示部202によって表示されたか否かを判定する。すなわち、スクロールすることによってアノテーションが帳票データ表示領域401の中に出現したか否かを判定する。アノテーションが表示されたと判定した場合には、ステップS1009に処理を進める。アノテーションが表示されていないと判定した場合には、ステップS1008に処理を進める。
【0078】
ステップS1008では、ステップS1005と同様に、スクロールが終了したか否かを判定する。スクロールが終了したと判定した場合には、スクロール処理を終了し、呼び出し元に処理を戻す。スクロールが終了していないと判定した場合には、ステップ1006に処理を戻す。すなわち、アノテーションが表示されないのであれば、減速モードであっても後述するステップS1009乃至ステップS1015を実行しない。
【0079】
ステップS1009では、スクロールにより表示されたアノテーションが、スクロール速度を低下させる対象のアノテーションであるか否かを判定する。より具体的には、以下の通りである。減速モードオプションA613と減速モードオプションB614とが共に「0」である場合には、どのようなアノテーションであっても、アノテーションが表示されれば、それは減速対象のアノテーションとして判定される。尚、アノテーションオプション611が「0」の場合には、他の世代のアノテーションは表示されないので、減速対象とはならない。
【0080】
減速モードオプションA613が「1」の場合には、表示されたアノテーションの種類625が「スタンプ」である場合には減速対象としない。本実施形態においては、表示されたアノテーションの種類625が「メモ」である場合には減速対象とする。また、減速モードオプションB614が「1」である場合には、表示されたアノテーションが他の世代のアノテーションである場合には減速対象としない。すなわち、現在表示している世代のアノテーションだけ減速対象とする。このように、設定画面500で行われた設定(条件)に応じて、減速対象のアノテーションを決定する。
【0081】
スクロールにより表示されたアノテーションが、スクロール速度を低下させる対象のアノテーションであると判定した場合には、ステップS1010に処理を進める。スクロールにより表示されたアノテーションが、スクロール速度を低下させる対象のアノテーションでないと判定した場合には、ステップS1006に処理を戻す。
【0082】
ステップS1010では、表示されたアノテーションのうち、減速対象と判定されたアノテーションの数をカウントする。アノテーションが多ければ多いほど、ユーザがアノテーションを確認するために多くの時間が必要である。よって、ステップS1010で減速対象のアノテーションをカウントし、その数に応じてスクロール速度を制御する。
【0083】
ステップS1011では、スクロール速度算出部212を用いて、アノテーションをユーザに確認させるためのスクロール速度を算出する。例えば、ユーザが1つのアノテーションを確認する時間をあらかじめ決めておき、表示された減速対象のアノテーションの数と当該時間とを用いて、確認する合計時間を算出し、その合計時間だけ減速対象のアノテーションが帳票データ表示領域401に表示されるよう、スクロール速度を制御する。こうすることにより、減速対象のアノテーションがあった場合に、ステップS1101で算出したスクロール速度よりも、遅いスクロール速度に低下させて、ユーザに当該アノテーションを確認させることができる。
【0084】
ステップS1012では、現在のスクロール速度をRAM103に一時記憶する。現在のスクロール速度は時間の経過に応じて変化するので、スクロール制御部204からスクロール速度を取得し、RAM103に記憶しておく。
【0085】
ステップS1013では、ステップS1011で算出したスクロール速度に低下させて帳票データの各ページをスクロールする。スクロール速度を制御する際には、ステップS1004と同様に、スクロール制御指示部213からスクロール制御部204に対して指示を出すことによって、スクロール速度を制御する。また、このスクロールではステップS1002で取得した減速度は用いないことが望ましい。すなわち、減速した一定の速度でスクロールするのがよい。これにより、アノテーションが表示されることによるスクロールの停止を防止できる。
【0086】
ステップS1014では、ステップS1013で減速してスクロールした後、表示された減速対象のアノテーションが帳票データ表示領域401の外に出た(表示が終了した)か否かを判定する。表示された減速対象のアノテーションが帳票データ表示領域401の外に出たと判定した場合には、ステップS1015に処理を進める。表示された減速対象のアノテーションが帳票データ表示領域401の外に出ていないと判定した場合には、ステップS1013に処理を戻し、低下したスクロール速度でスクロールを継続する。
【0087】
ステップS1015では、ステップS1012で一時記憶した元のスクロール速度をRAM103から取得する。そして、ステップS1006に処理を戻し、ステップS1001とステップS1002で取得したスクロール速度と減速度とを用いて、帳票データの各ページをスクロールする。特に、スクロールを開始する場合には、ステップS1015で取得したスクロール速度でスクロールを再開するよう、制御する。こうすることで、ステップS1013で減速する前のスクロール速度でスクロールを再開することができる。
【0088】
図12は、帳票ID601が「REP003」の帳票データをスクロールした場合を示す図である。図12のスクロールは、アノテーションオプション611が「0」であるので、他の世代のアノテーションは表示されない。また、スクロールモード612は「1」で、減速モードオプションA613は「1」、減速モードオプションB614は「1」である。このスクロール速度の変化を示すグラフが、図13のグラフである。図12図13とを用いて、減速対象のアノテーションが表示された場合のスクロール速度の制御について説明する。
【0089】
まず、ユーザからのフリック操作に応じて、スクロール速度を算出し、図13のスクロール開始1301の時点のスクロール速度として設定する。この時点での帳票データ閲覧画面400は、1200に示す通りである。この時点ではアノテーションが存在しないので通常モードと同じようにスクロールを開始する。
【0090】
そして、スクロールによって帳票データ閲覧画面400が1210に示すような状態になると、減速対象のメモのアノテーションが表示されるので、スクロール速度を低下させる。これがアノテーション表示開始1302の時点である。元の速度よりも減速していることがわかる。そしてアノテーションが表示されている間(図12の1220)は、アノテーション表示中1303に示すように、低下した一定の速度でスクロールを行う。つまり、アノテーションをユーザが確認できるような速度でスクロールしている。アノテーションの通過が終わる(図12の1230)と、アノテーション表示終了1304に示すように、アノテーション表示開始1302のときの速度に戻して、減速度を用いて徐々に減速しながらスクロールを行う。つまり、アノテーションの確認を行われるために一時的にスクロール速度を低下させるが、アノテーションの表示が終わったら元のスクロール速度に戻してスクロールを継続することができる。
【0091】
本実施形態では、アノテーションの通過が完了すると、アノテーションが表示される前のスクロール速度に戻してスクロールを継続していたが、図14に示すように、アノテーションが表示されずにスクロールした場合のスクロール速度で、スクロールを継続してもよい。図13の場合には、アノテーション表示による減速後も、減速前と同じ減速度を用いるので、アノテーションが存在するとスクロールする距離が伸びてしまう問題がある。そこで、図14に示すようにアノテーションが表示されなかった場合のスクロール速度を基本とし、アノテーションが表示されている間だけ異なる速度でスクロールを制御することにより、図13の問題点を解決している。
【0092】
以上説明したように、本実施形態によれば、帳票データを構成するページをスクロールする場合であっても、スクロールを継続しつつ、当該ページに付されたアノテーションを確認可能な効果を奏する。
【0093】
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0094】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0095】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0096】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0097】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0098】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0099】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0100】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0101】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0102】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0103】
なお、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0104】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 システムバス
105 入力コントローラ
106 出力コントローラ
107 メモリコントローラ
108 センサコントローラ
109 通信I/Fコントローラ
110 タッチパネル
111 マイク
112 カメラ
113 スピーカ
114 フラッシュメモリ
115 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14