特許第6379843号(P6379843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6379843パーキング用デテントスプリング取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379843
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】パーキング用デテントスプリング取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/38 20060101AFI20180820BHJP
   F16H 63/34 20060101ALI20180820BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   F16H63/38
   F16H63/34
   B60T1/06 G
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-164426(P2014-164426)
(22)【出願日】2014年8月12日
(65)【公開番号】特開2016-40481(P2016-40481A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】更科 俊平
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−250440(JP,A)
【文献】 特開2009−292257(JP,A)
【文献】 特開2010−143266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/00−63/38
B60T 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスミッションケース内に配置される回転軸と、この回転軸に固定されるパーキングギヤと、パーキングポールシャフトに回動可能に軸支されて、このパーキングポールシャフトから延びた先端部が前記パーキングギヤと噛合または噛合を解除することにより前記回転軸を回転可能または回転不能に切換可能なパーキングポールと、運転者のシフトレバー操作と連動して回動するデテントプレートと、このデテントプレートの外周面に設けられた凹状カム部と当接することにより、前記デテントプレートの回転方向の位置決めをするデテントスプリングと、前記パーキングポールのパーキングポールシャフトを回動可能に軸支し、前記トランスミッションースの壁面に取り付けられるリテーナと、を備えたトランスミッションのパーキング装置において、
前記デテントプレートは回動方向が前記壁面に直交するように配置されているとともに、前記リテーナは、前記デテントプレートに対して前記壁面を挟んだ反対側に配置され
前記壁面には、前記デテントプレート側に向かって貫通する開口部が形成され、前記デテントスプリングの先端部は、前記開口部を貫通して前記凹状カム部に当接していることを特徴とするパーキング用デテントスプリング取付構造。
【請求項2】
前記パーキングポールシャフトは、前記パーキングポールシャフトの軸方向が前記壁面と直交する方向に配置され、前記リテーナには、前記壁面よりも前記開口部側に突出する突出部が設けられ、前記デテントスプリングは、前記突出部に締結ボルトで取付けられ、前記締結ボルトは、前記パーキングポールシャフトの軸方向に対して直交する方向で前記リテーナに締め付けられるとともに、前記パーキングポールシャフトの軸方向において、前記締結ボルトの少なくとも一部と前記パーキングポールの少なくとも一部とが重なって配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパーキング用デテントスプリング取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トランスミッションの回転軸の回転を規制するパーキングロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーキングロック機構を有するトランスミッションにおいて、このトランスミッションの回転軸にパーキングギヤを固定し、前記トランスミッションのリヤケースに軸支されるパーキングポールシャフトにパーキングポールを設け、このパーキングポールが、前記パーキングポールシャフトから延びた先端部が前記パーキングギヤと噛合または噛合を解除することにより前記回転軸を回転可能または回転不能に切換可能なように回動可能に軸支されている。
運転者のシフトレバー操作と連動して回動するデテントプレートを設け、このデテントプレートの外周面に凹状カム部を設け、この凹状カム部と当接することにより、前記デテントプレートの回転方向の位置決めをするデテントスプリングを設けて、更に、前記パーキングポールのパーキングポールシャフトを回動可能に軸支するリテーナを、前記トランスミッションのリヤケースの壁面に取り付けたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−250440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のパーキング用デテントスプリング取付構造においては、特許文献1に開示されるように、デテントプレートと板バネで形成したデテントスプリングとにより位置決めされる変速機のパーキングロック機構を設け、デテントスプリングと当接し、デテントスプリングを固定するネジ孔加工された変速機ケースの壁部を設け、デテントプレートに対して反対側の変速機ケースの壁部にデテントスプリングを固定して設けている。
したがって、パーキングポールを支持するリテーナの組付時に、このリテーナとデテントスプリングとがユニット化されていないため、デテントスプリングを容易に位置決めして変速機ケースの壁部に取付けることができなかった。
この結果、変速機ケースの壁面に対して、リテーナを正確な位置に合わせるために時間がかかってしまい、リテーナの組付作業に時間がかかるという不都合がある。
【0005】
この発明は、ケース側の壁面に形成された開口部を、デテントスプリングの位置決めに用いることで、パーキングポールを支持するリテーナの組付時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、トランスミッションケース内に配置される回転軸と、この回転軸に固定されるパーキングギヤと、パーキングポールシャフトに回動可能に軸支されて、このパーキングポールシャフトから延びた先端部が前記パーキングギヤと噛合または噛合を解除することにより前記回転軸を回転可能または回転不能に切換可能なパーキングポールと、運転者のシフトレバー操作と連動して回動するデテントプレートと、このデテントプレートの外周面に設けられた凹状カム部と当接することにより、前記デテントプレートの回転方向の位置決めをするデテントスプリングと、前記パーキングポールのパーキングポールシャフトを回動可能に軸支し、前記トランスミッションースの壁面に取り付けられるリテーナと、を備えたトランスミッションのパーキング装置において、前記デテントプレートは回動方向が前記壁面に直交するように配置されているとともに、前記リテーナは、前記デテントプレートに対して前記壁面を挟んだ反対側に配置され前記壁面には、前記デテントプレート側に向かって貫通する開口部が形成され、前記デテントスプリングの先端部は、前記開口部を貫通して前記凹状カム部に当接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、デテントプレートをリヤケースの壁面に対して、リテーナと反対側に設けるとともに、このリテーナの背面側には、デテントスプリングを取り付け、このデテントスプリングを、リヤケースの壁面に開口した開口部を貫通させてデテントプレートのある側に延ばし、デテントプレートに設けられた凹状カム部にその先端部を当接させている。
従って、デテントスプリングをリテーナに組み付けた状態でトランスミッションのリヤケースに組み付けることができるため、組付性を向上させることができる。
また、前記リテーナの組付の際に、前記デテントスプリングを開口部に挿入することにより、デテントスプリングがリテーナの組付時の位置決めとなり、組付時間の短縮に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1はトランスミッションのトランスミッションケースの中央縦断面図である。(実施例)
図2図2はトランスミッションのリヤケースをトランスファケース側から見た概略図である。(実施例)
図3図3図2のIII−III線による概略断面斜視図である。(実施例)
図4図4はパーキングロック機構の構成部品であるパーキングギヤ及びパーキングポール、デテントプレート、デテントスプリングを車両左側方向から見た状態の概略図である。(実施例)
図5図5はパーキングロック機構の構成部品であるパーキングギヤ及びパーキングポール、デテントプレート、デテントスプリングを示す左前下方から見た状態の斜視図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
図1図5はこの発明の実施例を示すものである。
図1において、1は図示しない車両に搭載された際の駆動力伝達経路の状態が、例えばFRタイプ(フロントエンジン・リヤドライブ)であって、縦置き状態に搭載されるトランスミッションである。
また、2はトランスミッション1のトランスミッションケースである。
このトランスミッションケース2は、例えば3分割されており、車両前側の図示しないエンジン側に位置するフロントケース3と、このフロントケース3の車両後側に接続されるリヤケース4と、このリヤケース4の車両後側に接続されるトランスファケース5とからなる。
【0011】
前記トランスミッションケース2内には、前記エンジンからの駆動力が入力される入力軸6と、この入力軸6と平行に配置されて入力軸6からの駆動力が伝達されるカウンタ軸7と、前記入力軸6と同軸で後方、つまり車両後側に配置される出力軸である回転軸8とを備えている。
つまり、前記エンジンからの駆動力は、前記入力軸5から入力され、この入力軸6と平行な前記カウンタ軸7との間で所定の変速比に変速された後、後述する出力ギヤ11を介して出力軸である前記回転軸8に伝達される。
【0012】
そして、前記トランスミッション1には、パーキングロック機構9が配置されている。
また、前記パーキングロック機構9は、運転者のシフトレバー操作によってシフトレバーがパーキングレンジに操作された際に、車輪をロックするように機能している。
パーキングロック機構9の構成部品となるパーキングギヤ10は、前記回転軸8に固定されている。
このパーキングギヤ10は、出力ギヤ11の車両前側に配置される。
このため、前記パーキングギヤ10は、前記回転軸8及びパーキングポール12とともに、前記リヤケース4と前記トランスファケース5との間に現出される空間内に配置される。
まず始めに前記パーキングロック機構9の構成を説明する。
パーキングロック機構9は、前記トランスミッション1の回転軸8に固定したパーキングギヤ10と、前記トランスミッション1のリヤケース4に軸支されるパーキングポールシャフト19と、基端部が前記パーキングポールシャフト19に回動可能に軸支され、このパーキングポールシャフト19から斜め上方に延びた先端部12aが前記パーキングギヤ10と噛合または噛合を解除することにより、前記回転軸8を回転可能または回転不能に切換可能としているパーキングポール12と、板状部材によって形成され、運転者のシフトレバー操作と連動して回動するマニュアルシャフト20と、マニュアルシャフト20の回動中心と同軸となるように取り付けられるデテントプレート13と、板状部材によって形成され、デテントプレート13の外周面に設けられた凹状カム部22と当接することによって、デテントプレート13の回転方向の位置決めを果たすデテントスプリング14と、パーキングポール12を回動可能に支持してリヤケース4に取り付けられるリテーナ15と、リンクプレート21の回動と連動して進退動(軸方向移動)するパーキングロッド16と、パーキングポール12の湾曲形状の当接面部位に当接するカム部17と、パーキングロッド16の外周面に嵌装したカムスプリング18と、から構成される。
【0013】
前記リヤケース4の壁面23には、車両後側に向かって開口する凹部29が形成される。
この凹部29を車両後側から見た場合に、凹部29の奥部下部には、リテーナ15の背面と対向してデテントスプリング14を貫通可能とした四角形状のデテントスプリング14用のデテントスプリング側開口部26が形成される。
このデテントスプリング14用のデテントスプリング側開口部26は、パーキングギヤ10の下端とほぼ同一高さ位置(図2参照)に形成される。
デテントスプリング14用のデテントスプリング側開口部26よりも下方で、パーキングロッド16を貫通可能としたパーキングロッド16用のパーキングロッド側開口部30が、出力軸8の周囲で、かつ、出力軸側貫通孔31の左斜め下方に形成される。
また、リヤケース4の壁面23の底部には、他の開口部として、トランスミッションケース2内に貯留したオイルを流通可能としたオイル連通孔32が、出力軸8の周囲で、かつ、パーキングロッド16用のパーキングロッド側開口部30よりも右斜め下方に形成される。
【0014】
パーキングロック機構9において、デテントスプリング14とリテーナ15とパーキングロックガイド(「サポート」ともいう。)28とはユニット化され、各種部品の集約化してコンパクト化を図っている。
ユニット構成の一部を成し、他の部品が取り付けられるベース部材であるリテーナ15は、前記パーキングポール12を回動可能に支持し、前記トランスミッション1のリヤケース4の車両後側の壁面23に取り付けられる。
追記すれば、リテーナ15は、円弧形状に形成されており、上部の第1点を取り付ける第1締結ボルト24と下部の第2点を取り付ける第2締結ボルト25とによって、その両端をリヤケース4に2点支持で締結される。
詳述すると、リテーナ15は、デテントスプリング14用のデテントスプリング側開口部26、パーキングロッド16用のパーキングロッド側開口部30、及びオイル連通孔32を、出力軸8の周方向で挟むように配置して設けられた2つの締結ボスとして、上側の第1締結ボス33・下側の第2締結ボス34に、第1締結ボルト24・第2締結ボルト25で締結され、リヤケース4の壁面23に取り付けられる。
その結果して、リテーナ15は、デテントスプリング14用のデテントスプリング側開口部26、パーキングロッド16用のパーキングロッド側開口部30、及びオイル連通孔32を後方から覆うように配置されることになる。
また、リテーナ15の一端部は、パーキングギヤ10の左方に配置された第1締結ボス33に第1締結ボルト24で締結される。リテーナ15の他端部は、パーキングギヤ10の下方に配置された第2締結ボス34に第2締結ボルト25で締結される。
なお、リテーナ15には、各開口部26、30及びオイル連通孔32を覆う際に、上側の第1締結ボス33の下方部位が凹部29に入り込むように車両前側に突出する突出部35が形成される。
この突出部35の下面はデテントスプリング14の取付座面であり、取付座面から上下方向に締結用のボルト穴(図示せず)が形成される。
前記パーキングギヤ10とパーキングポール12とは、出力軸8の周方向における第1締結ボス33と下側の第2締結ボス34との間で噛合可能に配置される。
また、前記リテーナ15の背面側には、前記デテントスプリング14をリテーナ15に締結する締結ボルト27が設けられる。
この締結ボルト27によって突出部35の下面に下方からデテントスプリング14が取り付けられ、デテントスプリング14のリテーナ15側の後端部がリテーナ15の背面で90度に下方に折り曲げられた状態で取り付けられる。
【0015】
前記デテントプレート13の回動と連動して進退動(軸方向移動)するパーキングロッド16は、マニュアルシャフト20の回動動作が伝達されるリンクプレート21に、パーキングポール12の回動軸方向に対して平行となるように配置される。
パーキングロッド16は、マニュアルシャフト20の回動動作がリンクプレート21のリンク機構を介して伝達され、軸方向に進退動することが許容される。
パーキングロッド16の車両後側端部は、パーキングロッド16用のパーキングロッド側開口部30を通過し、そして、パーキングロッドガイド(「サポート」ともいう。)28のロッド挿通溝(図示せず)及びリテーナ15のロッド挿通孔(図示せず)を通過して配置される。
前記カム部17は、大径部分とテーパ状の小径部分とからなる円錐台形状に形成される。
カム部17を車両後側端部に取り付けたパーキングロッド16は、カム部17のテーパ状の小径部分から大径部分が順次パーキングロッドガイド28のロッド挿通溝及びリテーナ15のロッド挿通孔に当接するように取り付けられる。
前記カムスプリング18は、前記パーキングギヤ10に対してパーキングポール12の先端部12aを噛合解除方向に付勢するように、前記パーキングロッド16の外周部位に配置される。
前記パーキングポール12のパーキングポールシャフト19は、前記トランスミッション1のリヤケース4の壁面23と前記リテーナ15との間で挟まれて軸支されている。
【0016】
前記デテントプレート13は、前記リヤケース4の壁面23よりも車両前側に設けられる。
デテントスプリング14は、車両後側の基端がリテーナ15に締結される一方、車両前側の端部が前記リヤケース4の壁面23よりも車両前側に形成した凹部29を通過して、この凹部29の奥部下部に開口したデテントスプリング側開口部26を貫通して前記デテントプレート13のある側に延びて、このデテントプレート13に設けられた前記凹状カム部22にその先端部14aを当接させている。
詳述すれば、デテントスプリング14の先端部14aは、前記トランスファケース5側から、前記リヤケース4の壁面19に開口した開口部26を貫通し、リヤケース4内であって、車両前側の前記デテントプレート13のある側に下方向に傾斜しつつ延びている。
そして、前記デテントスプリング14の先端部14aを、前記デテントプレート13の前記凹状カム部22に当接させている。
このとき、デテントスプリング14のスプリング力によって、このデテントスプリング14の先端部14aをデテントプレート13の凹状カム部22に押圧し、デテントプレート13の回動方向の位置決めをしている。
【0017】
前記締結ボルト27は、その軸を前記パーキングポール12のパーキングポールシャフト19の中心軸線に対して垂直な方向に設けられる。
そして、締結ボルト27の中心軸線C1が、上下方向となるように、前記リテーナ15にデテントスプリング14が取り付けられる。
前記パーキングポール12は、回動自在に前記パーキングポールシャフト19によって軸支されている。
このとき、パーキングポールシャフト19の回動中心線C2は、車両前後方向に延びる前記トランスミッション1の回転軸8に対して平行となっている。
このため、中心軸線C1と回動中心線C2とによって、中心軸線C1が回動中心線C2に対して垂直な方向となっている。
【0018】
更に、前記締結ボルト27と前記パーキングポール12とは、車両前後方向で少なくともそれらの一部が重なって配置されている。
前記締結ボルト27に対して下方に前記パーキングポール12を配置している。
【0019】
次に、前記パーキングロック機構9の動作について説明する。
【0020】
通常、前記パーキングロック機構9が機能しておらず、ロックが行われていないときには、パーキングポール12の先端部12aはパーキングギヤ10と噛合していない。
【0021】
前記パーキングロック機構9を機能させるために、運転者がシフトレバー操作を行うと、運転者のシフトレバー操作と連動してマニュアルシャフト20が回動し、このマニュアルシャフト20の回動動作がリンクプレート21のリンク機構を介して前記パーキングロッド16に伝達され、パーキングロッド16がカムスプリング18の付勢力に抗して軸方向に進退動することにより、このパーキングロッド16の端部に設けた前記カム部17もパーキングロッド16と一体に軸方向に移動し、カム部17が軸方向へ移動することによって、このカム部17のパーキングポール12との接触位置がテーパ状の小径部分から大径部分に移行することとなり、カム部17の大径部分が前記パーキングポール12を押圧し、パーキングポール12の先端部12aがパーキングギヤ10側に接近するように前記パーキングポールシャフト19を回動中心としてパーキングポール12を回動させる。
そして、パーキングポール12の先端部12aがパーキングギヤ10に噛合する。
【0022】
また、前記パーキングロック機構9の機能を解除するために、運転者がシフトレバー操作を噛合操作時とは逆方向に行うと、運転者の逆方向へのシフトレバー操作と連動してマニュアルシャフト20が逆方向に回動し、このマニュアルシャフト20の逆方向への回動動作がリンクプレート21のリンク機構を介して前記パーキングロッド16に伝達され、パーキングロッド16がカムスプリング18の付勢力によって軸方向に進退動することにより、このパーキングロッド16の端部に設けた前記カム部17もパーキングロッド16と一体に軸方向に移動し、カム部17が軸方向へ移動すると、このカム部17のパーキングポール12との接触位置が大径部分からテーパ状の小径部分に移行することとなり、カム部17の小径部分が前記パーキングポール12に接触し、パーキングポール12の先端部12aがパーキングギヤ10側から離間するように前記パーキングポールシャフト19を回動中心としてパーキングポール12を逆方向に回動させる。
このとき、パーキングポール12の先端部12aがパーキングギヤ10から離間する側に回動するため、パーキングポール12の先端部12aとパーキングギヤ10との噛合が解除される。
【0023】
これにより、前記デテントスプリング14を前記リテーナ15に組み付けた状態、つまり、前記パーキングロック機構9の構成部品であるデテントスプリング14とリテーナ15とをユニット化して前記トランスミッション1のリヤケース4に組み付けることができるため、組付性を向上させることができる。
また、前記リテーナ15の組付の際に、前記デテントスプリング14を開口部26に挿入してデテントスプリング14の先端部14aをデテントプレート13の凹状カム部22に当接させることにより、デテントスプリング14がリテーナ15の組付時の位置決めとなり、組付時間の短縮に貢献することができる。
【0024】
また、前記リテーナ15の背面側に前記パーキングポール12と前記デテントスプリング14をリテーナ15に締結する締結ボルト27を設け、締結ボルト27はその軸を前記パーキングポール12のパーキングポールシャフト19と垂直な方向に設けたため、前記締結ボルト27の中心軸線C1を、前記パーキングポール12のパーキングポールシャフト19の回動中心線C2に対して垂直な方向に設けたため、締結ボルト27によって締結される前記デテントスプリング14が必要以上に湾曲状態となるおそれがなく、デテントスプリング14が略直線状となる。
【0025】
更に、前記締結ボルト27と前記パーキングポール12とを、車両前後方向で少なくともそれらの一部が重なるように配置したため、前記リテーナ15の背面において、前記パーキングポール12と前記デテントスプリング14の前記締結ボルト27との少なくとも一部を車両前後方向で重ねる等の配置をすることによって、デテントスプリング14をリテーナ15の背面とリヤケース4の壁面との間の空間という小さなスペースであっても、取り付け場所を確保することにより、デテントスプリング14を効率的に配置することができる。
このため、スペースの有効利用及び省スペース化を図ることができ、トランスミッションの小型化にも寄与し得る。
【符号の説明】
【0026】
1 トランスミッション
2 トランスミッションケース
3 フロントケース
4 リヤケース
5 トランスファケース
6 入力軸
7 カウンタ軸
8 回転軸
9 パーキングロック機構
10 パーキングギヤ
11 出力ギヤ
12 パーキングポール
12a 先端部
13 デテントプレート
14 デテントスプリング
14a 先端部
15 リテーナ
16 パーキングロッド
17 カム部
18 カムスプリング
19 パーキングポールシャフト
20 マニュアルシャフト
21 リンクプレート
22 凹状カム部
23 壁面
24 第1締結ボルト
25 第2締結ボルト
26 デテントスプリング側開口部
27 締結ボルト
C1 締結ボルトの中心軸線
C2 パーキングポールシャフトの回動中心線
図1
図2
図3
図4
図5