(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モータにより回転するシャフトと、短冊状の部材により形成されるとともに長手方向の中央部の第1折曲部で2つ折りして前記第1折曲部が前記シャフトの軸方向と平行となるように前記シャフトに固定される複数のブラシ体とからなり、各前記ブラシ体が前記シャフトの周方向に沿って並列に設けられるとともに、周方向に並ぶ前記ブラシ体の列が前記シャフトの軸方向に沿って複数段設けられている回転ブラシを備え、被洗浄車両に対して相対移動しながら、前記回転ブラシを用いて被洗浄車両を洗浄する洗車機であって、
各前記ブラシ体は、前記部材を短手方向の中央部の第2折曲部で山折りしてから前記第1折曲部で2つ折りされ、前記第2折曲部が前記軸方向の一方を向くように前記シャフトに取り付けられ、
前記軸方向における所定段の前記ブラシ体が前記第2折曲部を前記軸方向の一方側の段の前記ブラシ体の内側に入り込むように取り付けられることにより、前記一方側の段の前記ブラシ体には前記所定段の前記ブラシ体に対して前記シャフトの軸方向において重なる重複部が形成されることを特徴とする洗車機。
前記回転ブラシが被洗浄車両の側面を洗浄するサイドブラシを形成するとともに、前記シャフトをそれぞれ有して独立に回転駆動される同軸の第1ブラシ部及び第2ブラシ部が上方から順に軸方向に並設され、
前記第1ブラシ部の最下段を含む前記ブラシ体の前記第2折曲部で山折りした外側に配される両面に、上方に隣接した前記ブラシ体の前記重複部が重なることを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
各段の前記ブラシ体が前記軸方向に同じ幅を有し、前記重複部の前記軸方向の幅が前記ブラシ体の前記軸方向の幅の1/2〜1/3であることを特徴とする請求項2に記載の洗車機。
シャフトと、短冊状の部材より形成されるとともに長手方向の中央部の第1折曲部で2つ折りして前記第1折曲部が前記シャフトの軸方向と平行となるように前記シャフトに固定される複数のブラシ体とからなり、各前記ブラシ体が前記シャフトの周方向に沿って並列に設けられるとともに、周方向に並ぶ前記ブラシ体の列が前記シャフトの軸方向に沿って複数段設けられている回転ブラシであって、
各前記ブラシ体は、前記部材を短手方向の中央部の第2折曲部で山折りしてから前記第1折曲部で2つ折りされ、前記第2折曲部が前記軸方向の一方を向くように前記シャフトに取り付けられ、
前記軸方向における所定段の前記ブラシ体が前記第2折曲部を前記軸方向の一方側の段の前記ブラシ体の内側に入り込むように取り付けられることにより、前記一方側の段の前記ブラシ体には前記所定段の前記ブラシ体に対して前記シャフトの軸方向において重なる重複部が形成されることを特徴とする回転ブラシ。
【背景技術】
【0002】
洗車場に設置される従来の洗車機は特許文献1に開示されている。洗車機は被洗浄車両に対して前後方向に移動させる洗車機本体を備えている。洗車機本体は左右の対向する2つのスタンド部と、スタンド部の上端を連結する天井部とを有して被洗浄車両を跨いで門型に形成される。
【0003】
洗車機本体には洗浄部及び乾燥部が設けられている。洗浄部は被洗浄車両を洗浄する回転ブラシを有している。回転ブラシは被洗浄車両の上面を洗浄するトップブラシ及び側面を洗浄するサイドブラシから成る。トップブラシ及びサイドブラシはシャフト及びブラシ体を有している。ブラシ体はシャフトの周面に固定される発泡樹脂や布等により形成されている。
【0004】
乾燥部はサイド送風ノズル及びトップ送風ノズルを有している。サイド送風ノズルは左右のスタンド部のそれぞれに設けられ、被洗浄車両CAの側面に向けて送風する。トップ送風ノズルは天井部に設けられ、被洗浄車両CAの上面に向けて送風する。
【0005】
上記構成の洗車機において、ユーザが洗車条件を設定すると、洗車機本体が被洗浄車両に対して前後方向に移動し、洗浄部による被洗浄車両の洗浄が開始される。トップブラシにより被洗浄車両の上面を洗浄し、サイドブラシにより被洗浄車両の側面を洗浄する。洗浄部による洗浄に続き、乾燥部により空気を被洗浄車両に送風して被洗浄車両を乾燥させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の洗車機によると、被洗浄車両の表面に凹凸形状を有していると、回転ブラシが凹凸形状で洗い残しが発生するという問題があった。
【0008】
本発明は回転ブラシによる洗い残しを低減し、洗浄力を向上できる洗車機を提供することを目的とする。また本発明は洗浄力を向上できる回転ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、被洗浄車両に対して前後に相対移動する洗車機本体と、前記洗車機本体に設けられて被洗浄車両を洗浄する回転ブラシとを備えた洗車機において、前記回転ブラシが回転軸を形成するシャフトと、固定具により前記シャフトの周面に固定して放射状に配されるとともに軸方向にずれた複数段に並設されるシート状のブラシ体とを有し、
所定段の前記ブラシ体が隣接する段の前記ブラシ体の周方向の両面に重なる重複部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記回転ブラシが被洗浄車両の側面を洗浄するサイドブラシを形成するとともに、前記シャフトをそれぞれ有して独立に回転駆動される同軸の第1ブラシ部及び第2ブラシ部が上方から順に軸方向に並設され、第1ブラシ部の最下段を含む前記ブラシ体の両面に、上方に隣接した前記ブラシ体の前記重複部が重なることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記所定段の前記ブラシ体が軸方向の一端で二つ折りされることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記重複部を有する前記ブラシ体を軸方向に複数設けたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記重複部に前記ブラシ体の外周端から内周側へ延びるスリットが設けられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は上記構成の洗車機において、各段の前記ブラシ体が軸方向に同じ幅を有し、前記重複部の軸方向の幅が前記ブラシ体の軸方向の幅の1/2〜1/3であることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、被洗浄車両を洗浄する回転ブラシにおいて、回転軸を形成するシャフトと、固定具により前記シャフトの周面に固定して放射状に配されるとともに軸方向にずれた複数段に並設されるシート状のブラシ体とを備え、被洗浄車両を洗浄する回転ブラシにおいて、所定段の前記ブラシ体が隣接する段の前記ブラシ体の周方向の両面に重なる重複部を有することを特徴とする回転ブラシ。
【0016】
また、本発明は上記構成の回転ブラシにおいて、前記シャフトをそれぞれ有して独立に回転駆動される同軸の第1ブラシ部及び第2ブラシ部が上方から順に軸方向に並設され、第1ブラシ部の最下段を含む前記ブラシ体の両面に、上方に隣接した前記ブラシ体の前記重複部が重なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、固定具によりシャフトの周面に固定して放射状に配されるとともに軸方向にずれた複数段に並設されるシート状のブラシ体を有し、所定段のブラシ体が隣接する段のブラシ体の周方向の両面に重なる重複部を有する。従って、回転ブラシのボリュームを増加させ被洗浄車両の表面に凹凸形状を有した被洗浄車両の洗い残しを低減できる。これにより、洗浄力を向上できる回転ブラシ及び洗車機を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1、
図2は本発明の一実施形態の洗車機WAを示す側面図及び正面図である。洗車機WAは洗車機本体1、レール2及びリモートパネル7Aを備えている。洗車機本体1は左右の対向する2つのスタンド部90と、スタンド部90の上端を連結する天井部91とを有した門型に形成される。
【0020】
レール2は地面G上に左右一対設けられ、スタンド部90の底面に設けた車輪3がレール2上に配される。これにより、洗車機本体1はレール2上に立設し、走行モータ(不図示)の駆動によりレール2上を走行して被洗浄車両CAに対して前後に相対移動する。
【0021】
リモートパネル7Aは洗車機本体1の進入経路ST上に配される。被洗浄車両CAはリモートパネル7Aの面前で停車し、ユーザは被洗浄車両CA内からリモートパネル7Aの操作によって洗車条件の設定を行う。
【0022】
リモートパネル7Aに設けたボタンにより、シャンプー、ワックス掛け、撥水コート等に使用する液剤を用いた洗車条件を設定することができる。また、フロントガード有り、フェンダーポール有り、サイドミラー有り、リヤワイパ有り、ルーフキャリア有り等の装備品の設定もすることができる。
【0023】
スタンド部90には洗剤やワックス等の各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部30が配される。タンク収納部30の上方には市水及び各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部31が設けられる。分配配管部31には噴射ノズルからなる第1、第2浄水ノズル11、13、第1、第2洗剤ノズル12、15、撥水コートノズル14、ワックスノズル16がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0024】
第1、第2浄水ノズル11、13は洗車機本体1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して市水を噴射する。第1、第2洗剤ノズル12、15は洗車機本体1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対してシャンプーなどの液体を噴射する。撥水コートノズル14及びワックスノズル16は洗車機本体1の後面に配される。撥水コートノズル14は被洗浄車両CAに対して撥水コート剤の液体を噴射する。ワックスノズル16は被洗浄車両CAに対して液体のワックスを噴射する。
【0025】
洗車機本体1の前面上部、側部には車両形状センサ8、9が設けられている。車両形状センサ8、9は光電センサや超音波センサ等から成り、洗車機本体1に進入する被洗浄車両CAの外面形状や装備品を検知する。
【0026】
洗車機本体1の一方のスタンド部90の前面には操作パネル7が配される。操作パネル7は洗車条件を設定するリモートパネル7Aと同様の操作ボタン(不図示)を備えている。
【0027】
洗車機本体1には気流を発生して被洗浄車両CAを乾燥させるブロア20が設けられる。ブロア20にはトップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22が接続される。トップ送風ノズル21は天井部91に設けられ、被洗浄車両CAの上面に向けて送風する。サイド送風ノズル22は洗車機本体1の両側部にそれぞれ設けられ、被洗浄車両CAの側面に向けて送風する。
【0028】
洗車機本体1には被洗浄車両CA上に摺動して駆動モータ(不図示)により回転してブラッシングするトップブラシ4、ロッカーブラシ6及びサイドブラシ(回転ブラシ)5が設けられている。トップブラシ4は天井部91に設けられ、被洗浄車両CAの上面に沿って移動して被洗浄車両CAの上面を洗浄する。ロッカーブラシ6は左右のスタンド部90の下部に設けられ、被洗浄車両CAの両側面の下部を洗浄する。サイドブラシ5は左右のスタンド部90に設けられ。サイドブラシ5によって被洗浄車両CAの前面、両側面及び後面が洗浄される。
【0029】
図3は洗車機WAのサイドブラシ5の正面図を示し、
図4は
図3のA−A断面図を示している。サイドブラシ5は軸方向に並設される第1ブラシ部40及び第2ブラシ部50を有している。第1ブラシ部40はシャフト46に嵌合されたスリーブ57の周面に取り付けられるブラシ体41を有している。ブラシ体41は上下の軸方向にずれた複数段(本実施形態では5段)に配され、各段にそれぞれスリーブ57上の周方向に放射状に複数(本実施形態では8個)設けられる。各ブラシ体41は後述するように軸方向に平行な折曲部K1(
図6参照)上で複数のリベット等の固定具33により固定される。また、第1ブラシ部40の下部には後述する重複部70、71が設けられている。
【0030】
第2ブラシ部50はシャフト56に嵌合されたスリーブ58の周面に取り付けられるブラシ体51及びブラシ体52を有している。ブラシ体51は上下方向に複数段(本実施形態では5段)に配され、ブラシ体51よりも下方に配されるブラシ体52も上下方向に複数段(本実施形態では2段)に配される。
【0031】
ブラシ体41と同様に、ブラシ体51及びブラシ体52は各段にそれぞれスリーブ58上の周方向に複数(本実施形態では8個)設けられる。また、ブラシ体41と同様に各ブラシ体51及び各ブラシ体52は軸方向に平行な折曲部K1(
図6参照)上でリベット等の固定具33により固定される。なお、スリーブ57、58はアルミニウムパイプ等により形成され、シャフト46、56は鉄やステンレス等により形成されている。
【0032】
ブラシ体41及びブラシ体52の外周端はブラシ体51の外周端よりも外側に配される。ブラシ体41、ブラシ体51及びブラシ体52は後述するようにシート状に形成されるため、第1、第2ブラシ部40、50の回転停止時に先端が下方に垂れているが、回転すると遠心力によって径方向に広がる。
【0033】
本実施形態では、第1、第2ブラシ部40、50の回転時のブラシ体41の直径D1が980mm、ブラシ体52の直径D3が980mm、ブラシ体51の直径D4が850mmに形成される。これにより、サイドブラシ5は上下方向の中央部の外径が小さい凹状に形成される。尚、ブラシ体51及びブラシ体52の各段の上下の幅D2はそれぞれ100mmに形成される。また、スリーブ57の直径D9は60mmであり、スリーブ58の直径も同様の大きさで形成されている。
【0034】
サイドブラシ5の上方には駆動部23が設けられている。
図5はサイドブラシ5の上部を示す正面図である。駆動部23は第1ブラシ部40及び第2ブラシ部50(
図3参照)を回転駆動する。駆動部23のハウジング23a内にはモータ24及びモータ25が設けられている。
【0035】
ハウジング23a内には下面からシャフト46及びシャフト56が挿入される。シャフト46は上下に延びて中空に形成され、第1ブラシ部40の回転軸を形成する。シャフト56はシャフト46に挿通され、第1ブラシ部40の下方に配した第2ブラシ部50の回転軸を形成する。また、シャフト46はスリーブ57に嵌合して挿通され、スリーブ57は周面に設けた貫通孔(不図示)を介してボルト(不図示)によりシャフト46に固定される。シャフト56はスリーブ58(
図3参照)に嵌合して挿通され、スリーブ58は周面に設けた貫通孔(不図示)を介してボルト(不図示)によりシャフト56に固定されている。
【0036】
モータ24のモータ軸24aにはギヤ26aが連結される。ギヤ26aはシャフト46の上端に設けたギヤ26bに噛合する。モータ25のモータ軸25aにはギヤ27aが連結される。ギヤ27aはシャフト56の上端に設けたギヤ27bに噛合する。これにより、モータ24、25の駆動によって同軸に配されたシャフト46及びシャフト56が回転し、第1ブラシ部40及び第2ブラシ部50が独立に回転駆動される。
【0037】
図6は固定前の一のブラシ体41を展開した展開図を示している。ブラシ体41は発泡樹脂(スポンジ)や布等によって矩形のシート状に形成され、長手方向の中央部の折曲部K1と短手方向の中央部の折曲部K2で折曲される。ブラシ体41は折曲部K2で2つ折りにした後、折曲部K2を上にして折曲部K1上の貫通孔48に固定具33(
図3参照)を挿通してスリーブ57(
図3参照)の一端に固定される。シャフト46に固定されたブラシ体41は折曲部K1上で折曲される。本実施形態ではブラシ体41の長手方向の長さD7は980mm、短手方向の長さD8は300mmである。
【0038】
ブラシ体41には外周端を開放した軸方向に垂直な複数のスリット42が形成される。スリット42はブラシ体41の外周端から内周方向に延びて形成される。本実施形態ではスリット42の長さは205mmに形成されている。スリット42の内周端には円形の孔部42aが設けられている。孔部42aによってスリット42の内周端に加わる力を分散し、スリット42が裂けることを防止する。
【0039】
隣接するスリット42の間には外周端を開放してスリット42よりも短いスリット47が設けられる。これにより、被洗浄車両CA(
図1参照)に接触するブラシ体41の外周端を柔軟に形成し、被洗浄車両CAの傷を防止することができる。本実施形態ではスリット47の長さは80mmに形成されている。
【0040】
また、シャフト56に固定前のブラシ体51、52はブラシ体41と同様の素材によりシート状に形成される。ブラシ体51、52は矩形に形成され、ブラシ体41のスリット42、47や貫通孔48と同様のスリット(不図示)や貫通孔(不図示)を有している。そして、ブラシ体51、52は短手方向の中央部の折曲部で折曲した後、長手方向の中央部の折曲部上でスリーブ58に固定される。
【0041】
図7は第1ブラシ部40の下部を示している。第1ブラシ部40の最下段にはブラシ体41aが配され、ブラシ体41aの上方にはブラシ体41bが隣接して配され、ブラシ体41bの上方にはブラシ体41cが隣接して配される。なお、ブラシ体41a、ブラシ体41b及びブラシ体41cは第1ブラシ部40の下部のブラシ体41を形成している。ブラシ体41a、ブラシ体41b及びブラシ体41cは同じ上下幅で形成されている。
【0042】
ブラシ体41aの上端(折曲部K2
図6参照)はブラシ体41bの下端よりも上方に配され、これにより、ブラシ体41bにはブラシ体41aの周方向の両面に重なる重複部70が形成される(
図3の右上がりの斜線部分)。
【0043】
ブラシ体41bの上端(折曲部K2
図6参照)はブラシ体41cの下端よりも上方に配され、これにより、ブラシ体41cにはブラシ体41bの周方向の両面に重なる重複部71が形成される(
図3の右下がり斜線部分)。
【0044】
重複部70、71の軸方向の幅D6は本実施形態では75mmに形成されている。この時、幅D6はブラシ体41a、41b、41cの軸方向の幅の1/2〜1/3であることが好ましい。これにより、洗浄力を有する程度のブラシ体41のボリュームアップが図れるとともに、重複部70、71の内周側のコシを有してブラシ体41の内周部分での自重による折曲を防止することができる。
【0045】
また、ブラシ体41a、ブラシ体41b及びブラシ体41cにはスリット42及びスリット47が設けられている。このため、重複部70、71にはスリット42及び47が形成されている。
【0046】
ブラシ体41a、ブラシ体41b及びブラシ体41cが設けられるスリーブ57の上下方向の長さD5(
図3参照)は300mmに形成されている。ブラシ体41a、ブラシ体41b及びブラシ体41c(第1ブラシ部40のブラシ体41)の上下方向の長さD10は150mmに形成されている。
【0047】
上記構成の洗車機WAにおいて、ユーザが運転して被洗浄車両CAをリモートパネル7Aの面前で停車させ、被洗浄車両CAの洗車条件の設定を被洗浄車両CA内から行う。
【0048】
洗車条件を設定した後、ユーザは所定の洗浄開始位置まで被洗浄車両CAを移動させる。そして、洗車機本体1が前後向に移動して車両形状センサ8、9により被洗浄車両CAの形状を検出し、トップブラシ4、サイドブラシ5及びロッカーブラシ6による洗浄が行われる。
【0049】
車両形状センサ8、9によりサイドブラシ5の第1ブラシ部40が被洗浄車両CAのドアミラー等を検知すると、装備品が設けられる領域では第1ブラシ部40の回転を停止又は第2ブラシ部50に対して減速する。この時、第1ブラシ部40の下部には重複部70が設けられているため、第1ブラシ部40のボリュームアップにより洗浄力が向上し、被洗浄車両CAの表面に凹凸形状を有していても洗浄できる。また、重複部70によりブラシ体41aの上端を挟むため、第1ブラシ部40の低速回転時や停止時にブラシ体41aの内周部分での自重による折曲が防止される。このため、ブラシ体41aと第2ブラシ部50との絡まりが防止される。
【0050】
同様に重複部71により、第1ブラシ部40のボリュームアップがされる。これにより、洗浄力を向上するとともに、ブラシ体41bと第2ブラシ部50との絡まりが防止される。
【0051】
トップブラシ4、サイドブラシ5及びロッカーブラシ6による洗浄に続き、サイド送風ノズル22及びトップ送風ノズル21による乾燥がおこなわれて洗車が終了する。
【0052】
本実施形態によると、固定具33によりシャフト46の周面に固定して放射状に配されるとともに軸方向にずれた複数段に並設されるシート状のブラシ体41を有し、所定段のブラシ体が隣接する段のブラシ体41の周方向の両面に重なる重複部70、71を有する。従って、サイドブラシ5のボリュームを増加させて被洗浄車両CAの表面に凹凸形状を有していても洗浄できる。これにより、洗浄力を向上できるサイドブラシ5を提供できる。
【0053】
また、シャフト46、56をそれぞれ有して独立に回転駆動される同軸の第1ブラシ部40及び第2ブラシ部50が上方から順に軸方向に並設され、第1ブラシ部40のブラシ体41aの両面に、上方に隣接したブラシ体41bの重複部70が重なる。これにより、ブラシ体41aのコシを強くすることでき、第1ブラシ部40の低速回転時や停止時にブラシ体41aの内周部分での自重による折曲が防止され、ブラシ体41aと第2ブラシ部50との絡まりが防止される。
【0054】
また、ブラシ体41a、ブラシ体41b及びブラシ体41cが軸方向の一端で二つ折りされるため、重複部70、71が屈曲されるためには重複部70、71の両面が同時に屈曲される必要があり、重複部70、71のコシがより強くなる。これにより、第1ブラシ部40の低速回転時や停止時にブラシ体41の内周部分での自重による折曲がより防止される。
【0055】
また、重複部70、71を有するブラシ体41を軸方向に複数設けたため、第1ブラシ部40のボリュームアップを図ることができ、洗浄力を向上できる。
【0056】
また、重複部70、71にブラシ体41の外周端から内周側へ延びるスリット42、47が設けられるため、重複部70、71の内周側ではコシを有するとともに、外周端ではブラシ体41がばらけて洗浄力を向上できる。
【0057】
また、各段のブラシ体41が軸方向に同じ幅を有し、重複部70、71の軸方向の幅D6がブラシ体41の軸方向の幅の1/2〜1/3で形成される。ブラシ体41の内周部分での自重による折曲が防止されるとともに洗浄力に適したボリュームアップにすることができる。
【0058】
また、本実施形態において、トップブラシ4及びロッカーブラシ6がブラシ体41同様のシート状のブラシ体を有し、シャフトの周面に放射状のブラシ体を有してもよい。この時、サイドブラシ5と同様に所定段のブラシ体が隣接する段のブラシ体の周方向の両面に重なる重複部を形成してもよい。これにより、上記実施形態と同様にブラシ体をボリュームアップさせ、洗浄力を向上できる。
【0059】
また、シャフト46及びシャフト56を一本のシャフトにより形成し、第1ブラシ部40及び第2ブラシ部50が同時に回転してもよい。これにより、上記実施形態と同様にブラシ体にボリュームアップさせ、洗浄力を向上できる。
【0060】
また、第1ブラシ部40及び第2ブラシ部50の全体のブラシ体41に重複部70、71を形成してもよい。