(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施の形態に係る鋳造装置を詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る鋳造装置を示す断面図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る鋳造装置100は、溶湯Aを保持する保持室10と、この保持室10と連通路11を介して連通され、保持室10から供給された溶湯Aを収容する注湯室20とを備えて構成されている。
【0016】
保持室10及び注湯室20には、内部に貯留された溶湯Aを加熱するためのヒータ21,22,23がそれぞれ設置されている。ヒータ21〜23は、例えばそれぞれ溶湯Aの溶融状態を維持するために必要な温度である550℃〜750℃程度の温度まで溶湯Aを加熱する。
【0017】
保持室10には、溶湯Aの連通路11への供給を制御するための孔部12に嵌合する開閉弁13が設けられている。開閉弁13は、給湯制御装置1の制御に基づいて駆動されるシリンダ13b及びロッド13cの進退動作に伴って孔部12を開閉する。開閉弁13は、例えば鋳造装置100による鋳造工程完了後の注湯室20への溶湯Aのチャージ工程において、注湯室20内に常に一定量の溶湯Aが連通路11を介して収容されるように開閉される。
【0018】
保持室10の上端開口部は、固定板14によって閉塞されている。固定板14には、保持室10の内部に溶湯Aを供給するための図示しない供給口が形成されている。溶湯Aは、その湯面が注湯室20よりも高位にある保持室10の内部から、そのヘッド差により孔部12を介して連通路11に供給される。
【0019】
そして、溶湯Aは、注湯室20の壁部に図示しない治具により取り付けられた湯面センサ24の先端までの湯面レベルを維持するように注湯室20に収容される。注湯室20の上端開口部には、電磁コイル40が取り付けられた筒状のストーク30を注湯室20及び固定板26間に取り付けるためのベースアタッチメント25が取り付けられており、注湯室20内の溶湯Aの上面空間は密閉されていない状態となっている。
【0020】
ベースアタッチメント25及び固定板26の中央には、両端が開口したストーク30が電磁コイル40と共に固定されている。電磁コイル40は、注湯室20よりも上方のストーク30の外周側に配置されている。ストーク30の下端開口は、注湯室20内の溶湯Aの内部に浸漬されている。
【0021】
固定板26の上面には、固定金型28が装着されている。固定金型28に対して上方に移動可能に構成された可動板27の下面には、可動金型29が装着されている。これら固定金型28及び可動金型29は、型閉したときにキャビティ31を形成する。固定金型28の中央部には、キャビティ31に連通するゲート部分に開口(湯口)31aが形成されている。
【0022】
そして、ストーク30の上端開口は、上記開口31aに連通している。また、固定金型28には、キャビティ31からガスを抜くためのガス抜き用配管31bが接続されている。このガス抜き用配管31bとキャビティ31との間には、溶湯Aのガス抜き用配管31bへの浸入を防止するチルベント31cが設けられている。
【0023】
可動金型29には、ゲートシールセンター加圧ピン50及び複数の部分加圧ピン51が装着されている。ゲートシールセンター加圧ピン50は、先端側が凸状に小径となる略棒状に形成されている。ゲートシールセンター加圧ピン50は、キャビティ31の開口31a及びこのキャビティ31に連通する湯溜り32に対して進退自在に構成されている。
【0024】
このように構成されたゲートシールセンター加圧ピン50は、キャビティ31の開口31aを開閉すると共にキャビティ31内を加圧する。部分加圧ピン51は、略棒状に形成されてキャビティ31に連通する製品端部のブッシュ33に対して進退自在に構成され、キャビティ31内を加圧する。
【0025】
ゲートシールセンター加圧ピン50は、上端部が可動板27の上面に設けられた駆動手段としてのピストン機構52に連結されて上下動可能に構成されている。同様に、部分加圧ピン51は、上端部が可動板27の上面に設けられた駆動手段としてのピストン機構53に連結されて、各々上下動可能に構成されている。
【0026】
上記のように構成された第1の実施形態に係る鋳造装置100は、更に、
図1に示すように、ガス抜き用配管31bにガス抜き用の減圧制御サーボ弁34を介して接続された真空装置35と、溶湯Aの給湯に関して特に鋳造装置100全体の動作を制御可能な給湯制御装置1とを有する。
【0027】
なお、上記電磁コイル40及び図示しない三相交流電源等により電磁誘導の作用によってストーク30内の溶湯Aをキャビティ31内に移送する溶湯移送手段を構成する。また、上記ガス抜き用配管31b、減圧制御サーボ弁34及び真空装置35等により注湯室20から少なくとも電磁コイル40の上端位置までストーク30内の溶湯Aを揚程可能な溶湯供給手段を構成する。
【0028】
真空装置35は、減圧制御サーボ弁34及びガス抜き用配管31bを介してキャビティ31からガスを排出し、キャビティ31内を減圧する。真空装置35は、真空タンク35a、真空タンク35aを真空引きする真空ポンプ35b、及び真空ポンプ35bを駆動するモータ35cを有する。
【0029】
給湯制御装置1は、注湯室20からキャビティ31内に溶湯Aを充填する際に上記溶湯供給手段と溶湯移送手段とを制御して給湯を行う。第1の実施形態においては、給湯制御装置1は、まず、溶湯供給手段である減圧制御サーボ弁34及び真空装置35を制御してキャビティ31内のガスを排出し内部を減圧することで溶湯Aを呼び水にする。
【0030】
そして、給湯制御装置1は、溶湯供給手段と溶湯移送手段である電磁コイル40とを併せて制御して溶湯Aをキャビティ31内に充填(給湯)する。最後に、給湯制御装置1は、ピストン機構52を制御してゲートシールセンター加圧ピン50により開口31a閉塞すると共にキャビティ31内を加圧する。また、ピストン機構53を制御して部分加圧ピン51によりキャビティ31内を加圧する。
【0031】
次に、給湯制御装置1による給湯制御を含めた鋳造装置100による一連の鋳造動作について説明する。
図2は、鋳造装置の制御パターンを示す図である。なお、
図2においては、左縦軸は減圧度(kPa)を示し、右縦軸は電磁コイル40への負荷電圧(V)と、ゲートシールセンター加圧ピン50のストローク(ピンSt)(mm)とを示し、横軸は時間(sec)を示している。
【0032】
ここでは、大型で薄肉の車両のサブフレームの鋳造を想定した一連の鋳造動作について説明する。
【0033】
第1の実施形態においては、減圧(呼び水)→電磁誘導+減圧(併用充填)→ピン加圧により鋳造動作が行われる。鋳造工程としては、(1)初期状態、(2)工程1、(3)工程2、(4)工程3、(5)工程4、(6)工程5の(1)〜(6)の工程により1鋳造サイクルを構成する。
【0034】
図2に示すように、時点T0の(1)初期状態においては、注湯室20の溶湯Aの湯面高さは、湯面センサ24の先端により検知された一定の高さにある。すなわち、注湯室20の溶湯Aの湯面レベルは鋳造開始直前には常に一定に保たれるよう制御されている。注湯室20における湯面レベルの保持制御は、上述したように溶湯Aのチャージ工程において、保持室10の開閉弁13を開くことで溶湯Aが連通路11を介して注湯室20に流入し、湯面が湯面センサ24の先端に到達すると同時に開閉弁13を閉じることにより行われる。
【0035】
また、初期状態においては、電磁コイル40は負荷電圧(V)が0の励磁がない遮断状態にあり、真空装置35及び減圧制御サーボ弁34からなる真空系は真空状態にある。なお、減圧制御サーボ弁34はキャビティ31側のガス抜き用配管31b等を減圧ラインと大気開放ラインとに切り替え可能な切替弁を有する。
【0036】
減圧制御サーボ弁34は、初期状態では切替弁が大気開放ライン側にあるので、キャビティ31側のガス抜き用配管31b、金型内の減圧ランナ(図示せず)、チルベント31c、キャビティ31、製品部のランナ31d、開口31a、ストーク30は外部(大気)と連通した状態となる。
【0037】
次に、時点T0〜時点T1の(2)工程1においては、注湯室20内の溶湯Aの減圧吸引が行われる。時間(経過時間)0.0sec、電磁コイル40への負荷電圧0V、減圧度0kPa及びピンSt0mmの時点T0において減圧が開始されると、減圧制御サーボ弁34の切替弁を減圧ライン側に切り替えてサーボ弁を開く制御が行われる。
【0038】
これにより、ガス抜き用配管31b、金型内の減圧ランナ、チルベント31c、キャビティ31、製品部のランナ31d、開口31a及びストーク30内が徐々に減圧される。なお、このときの減圧度は注湯室20内の溶湯Aの湯面からストーク30の外周側の電磁コイル40が配置されている上端位置までの距離、すなわちヘッド高さに相当する減圧度に設定する。
【0039】
具体的には、例えば溶湯Aがアルミニウムの場合にその比重から算出される40mm/kPaの数値を参考に、ヘッド高さが800mmの場合は、溶湯Aをストーク30内にて上昇させるのに必要な−20kPaの減圧度に設定する。また、このときの真空減圧速度は、溶湯Aがストーク30内で乱流となりガスを巻き込んだり、所定の距離(高さ)を超えたりしない範囲で、可能な限り速やかに溶湯Aの先端(先湯)が電磁コイル40の上端位置の高さに移送される速度が望ましい。
【0040】
このため、減圧制御サーボ弁34の時間当たりの減圧度、すなわち減圧速度を調整する必要がある。なお、ストーク30内の溶湯Aが電磁コイル40の上端位置に到達した時点T1においては、時間は3.0sec、負荷電圧は0V、減圧度は−20kPa及びピンStは0mmとなっている。
【0041】
次に、時点T1〜時点T2の(3)工程2においては、電磁誘導による溶湯Aの開口31aへの移送が行われる。電磁コイル40に電圧を負荷し、電磁誘導の作用によりストーク30内の溶湯Aを開口31a付近まで上昇させる。この工程2で電磁コイル40に負荷する負荷電圧は、時点T1において80Vとなる。この際、例えば予め定めておいた電磁コイル40の負荷電圧に応じたQ(流量)−H(揚程)特性に基づいて、開口31aの高さまでの揚程に見合うように予め求めておいた負荷電圧を設定すると共に、時間当たりの負荷電圧の増分である増加率を調整する。
【0042】
負荷電圧の増加率は、例えば溶湯Aが開口31aにて噴出することがない範囲において、可能な限り速やかに溶湯Aの先湯が開口31aに移送されるように調整される。この工程2においては、キャビティ31の減圧度は、溶湯Aをストーク30内の電磁コイル40の上端位置辺りに移送するのに要した−20kPaに維持されている。なお、ストーク30内の溶湯Aの先湯が開口31aの位置に到達した時点T2においては、時間は6.0sec、負荷電圧は110V、減圧度は−20kPa及びピンStは0mmとなっている。
【0043】
そして、時点T2〜時点T4の(4)工程3においては、電磁誘導と減圧の併用による開口31aから製品部のランナ31dへの溶湯Aの移送が行われ、キャビティ31内への溶湯Aの充填が完了する。すなわち、工程3においては、溶湯Aが開口31aから更にその先の製品部のランナ31dを通過し、キャビティ31内に流入するように電磁コイル40への負荷電圧を更に増大する。
【0044】
但し、サブフレームのような薄肉リブ構造の製品を鋳造する場合、製品部のランナ31d通過後は溶湯Aの流路が極端に狭まる。また、流動する溶湯Aが周囲の金型壁面より抜熱されて溶湯A自身の粘性も増大することから流動抵抗が増大して溶湯Aが流れ難く(流速が小さく)なる。
【0045】
このことから、工程3においては、時点T2以降に溶湯Aが開口31aを通過した後は可能な限り速やかに溶湯Aの充填が完了するように、電磁コイル40への負荷電圧を最大値(例えば、160V)まで一気に増大する。なお、最大値まで負荷電圧を上昇してから、実際に溶湯Aがキャビティ31内に満たされて充填が完了するまでには、ある一定の時間を要する。
【0046】
このため、最大値にした負荷電圧を所定の時間保持する必要がある。
図2においては、時点T3から時点T5までの時間が最大電圧保持時間となる。この最大電圧保持時間については、例えば鋳造装置100を用いた予備実験を行い、最大電圧保持時間を種々変更した鋳造を試行錯誤的に繰り返すことによって、上記のようにキャビティ31内に充填が完了する際の最小の時間を求めることが可能である。
【0047】
一方、キャビティ31への溶湯Aの充填中の減圧度については、上記のような−20kPaを維持してもよいが、次のようにしてもよい。すなわち、上述したような理由から、電磁コイル40の電磁誘導の作用による移送のみでは十分な流速が得られず、結果として鋳造された製品表面に湯廻り不良や湯境などの鋳造欠陥が生じる場合は、負荷電圧の増大に加えて減圧制御サーボ弁34によって更にキャビティ31内の減圧度を増大させるようにしてもよい。
【0048】
従って、電磁コイル40への最大値の負荷電圧が印加された時点T3においては、例えば時間は6.3sec、負荷電圧は160V、減圧度は−90kPa及びピンStは0mmとなっている。このように、時点T2から時点T3までの僅か0.3secの間に、負荷電圧は110V→160Vに上昇し、減圧度は−20kPa→−90kPaに増大されている。
【0049】
なお、キャビティ31への溶湯Aの充填完了後は、キャビティ31内の減圧は不要となるので、所定の保持時間経過と同時に減圧制御サーボ弁34を閉止させる。但し、電磁コイル40への負荷電圧については、次工程のゲートシールセンター加圧ピン50によるピン加圧が開始される時点T5までの間は、最大値の負荷電圧を印加し続け溶湯Aの供給を継続する。
【0050】
このため、溶湯Aのキャビティ31への充填が完了した時点T4においては、時間8.0sec、負荷電圧160V、減圧度−90kPa及びピンSt0mmであるが、上記時点T5においては、時間8.5sec、負荷電圧160V、減圧度0kPa及びピンSt60mmとなっている。このように、時点T4から時点T5までの僅か0.5secの間に、減圧度は−90kPa→0kPaに減少している。
【0051】
次に、時点T4〜時点T6の(5)工程4においては、キャビティ31内へ充填された溶湯Aの凝固が行われる。すなわち、まず、キャビティ31内への溶湯Aの充填が完了するのに必要な所定の保持時間経過後に、キャビティ31内の溶湯Aを加圧下において凝固させるためにゲートシールセンター加圧ピン50を駆動して開口31aを閉塞することが行われる。
【0052】
具体的には、ゲートシールセンター加圧ピン50は、溶湯Aのキャビティ31への充填が完了し減圧が停止された時点T4において駆動が開始され、上記時点T5において開口31aが完全に閉塞されキャビティ31内が閉空間となるため、ゲートシールセンター加圧ピン50によるピン加圧が開始される。
【0053】
時点T5以降は、ゲートシールセンター加圧ピン50を連続動作で下降させることにより、電磁コイル40の電磁誘導の作用により達成可能な加圧力である数十kPaオーダーを大きく上回る数十MPaの鋳造圧力を湯溜り32に付加する。このゲートシールセンター加圧ピン50のピン加圧による加圧力によって、湯溜り32からキャビティ31内部に発生した凝固収縮を補う溶湯Aが移送される、いわゆる押湯効果を得ることができ、収縮巣の発生を抑えることができる。また、このとき、部分加圧ピン51によるキャビティ31内の加圧を併用するようにしてもよい。部分加圧ピン51の併用によるキャビティ31内の加圧は、以降の実施形態においても同様である。
【0054】
なお、ゲートシールセンター加圧ピン50が開口31aを閉塞するピンSt60mm通過後は、キャビティ31内が閉空間となるので給湯の必要がなくなる。このため、時点T5以降は負荷電圧を0Vにして電磁コイル40への負荷電圧の印加を停止する。
【0055】
ゲートシールセンター加圧ピン50の前進動によるピン加圧は、キャビティ31や湯溜り32の凝固が完了してゲートシールセンター加圧ピン50が停止する時点T6まで継続する。この時点T6においては、時間は16.0sec、負荷電圧は0V、減圧度は0kPa及びピンStは98mmとなっている。
【0056】
最後に、時点T6以降の(6)工程5においては、凝固完了後の鋳造された製品の取り出しが行われる。すなわち、キャビティ31及び湯溜り32における溶湯Aの凝固完了後は、ゲートシールセンター加圧ピン50を後退動させて、ゲートシールセンター加圧ピン50のピンStを0mmとなるスタート位置に戻す。これにより、ストーク30内の溶湯Aを注湯室20の内部に戻す。そして、可動金型29を動かして型開し製品を図示しない押し出し機構などにより押し出すことで取り出す。なお、取り出された製品はロボット等を用いて型外に搬送する。
【0057】
このように、第1の実施形態に係る鋳造装置100は、減圧制御サーボ弁34等によるキャビティ31内の減圧により溶湯Aを呼び水にし、電磁コイル40の電磁誘導と減圧とを併用して溶湯Aをキャビティ31内に給湯(充填)している。そして、ゲートシールセンター加圧ピン50のピン加圧により製品の鋳造を行うので、簡単な構成で電磁コイル40を利用した給湯が可能で、必要十分な押湯効果を得ることができる。
【0058】
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態に係る鋳造装置を示す断面図である。なお、以降においては、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を附して説明を割愛する。
図3に示すように、第2の実施形態に係る鋳造装置101は、主に以下の点が、第1の実施形態に係る鋳造装置100と相違している。すなわち、鋳造装置101は、保持室10と注湯室20との間に、連通路11を介してこれらと連通する加圧室60を備える。
【0059】
また、鋳造装置101は、加圧室60に接続されたガス加圧用配管61a、加圧室60へのガス加圧を制御するガス加圧制御サーボ弁61、ガス加圧制御サーボ弁61の動作を制御する圧力制御装置62、及びガス加圧制御サーボ弁61へ加圧ガスを供給する加圧源63を備える。
【0060】
なお、第2の実施形態に係る鋳造装置101においては、上記真空系による減圧ラインが省かれており、代わりに開口31aに連通して開口31aを大気開放する大気開放配管36a及び大気開放弁36からなる大気開放ラインが備えられている。
【0061】
加圧室60は、連通路11に向けて延びる管状部材64を備える。管状部材64は、ファインセラミックスからなり、加圧室60の上端開口側において開口周縁部を覆うフランジ状の部分を有する。加圧室60の上端開口部は、固定板66により閉塞されている。固定板66は、管状部材64のフランジ状の部分をパッキン65を介して覆うように配置され、取付ボルト67により取り付けられている。
【0062】
これにより、加圧室60内は密閉空間とされている。この密閉空間に上記ガス加圧用配管61aが連通している。圧力制御装置62は、給湯制御装置1からの制御命令に基づき、ガス加圧制御サーボ弁61を制御して加圧源63からの不活性ガスをガス加圧用配管61aを介して加圧室60内に供給する。加圧源63からの不活性ガスは、加圧室60の密閉空間が負圧にならないように供給される。圧力制御装置62は、給湯制御装置1の内部機能の1つとして設けられていてもよい。
【0063】
固定板66には、溶湯Aの湯面に向けて進退自在に延びる湯面センサ68が設けられている。湯面センサ68は、湯面センサ筐体69内に図中矢印で示す方向に進退自在に収容されている。この湯面センサ68は、保持室10から送られた溶湯Aが加圧室60内において所定の湯面レベルにあるか否かを検知する。湯面センサ68の高さは、鋳造装置101による鋳込み重量に応じて予め変動される。
【0064】
なお、注湯室20は、湯面センサ24が省かれた上で、連通路11に向けて延びるファインセラミックスからなる管状部材37を備える。この管状部材37は、ベースアタッチメント25との連結部分においてストーク30と接続されている。このため、第2の実施形態に係る鋳造装置101では、ストーク30及び管状部材37によって1つのストークを構成している。
【0065】
次に、鋳造装置101による一連の鋳造動作について説明する。
図4は、鋳造装置の制御パターンを示す図である。なお、
図4においては左縦軸に負荷電圧及びピンStと共にガス加圧(kPa)を示している点が、
図2と相違している。また、以降において、既に説明した部分と重複する内容については説明を割愛する。
【0066】
第2の実施形態においては、ガス加圧(呼び水)→電磁誘導→ピン加圧により鋳造動作が行われる。鋳造工程としては、(1)初期状態、(2)工程1、(3)工程2、(4)工程3、(5)工程4、(6)工程5の(1)〜(6)の工程により1鋳造サイクルを構成する。
【0067】
図4に示すように、時点T0の(1)初期状態においては、加圧室60内の溶湯Aの湯面高さは、予め設定された高さに配置された湯面センサ68の先端により検知された一定の高さにある。すなわち、第1の実施形態の注湯室20における溶湯Aの湯面レベル保持制御と同様に、湯面センサ68からの検知信号に基づき保持室10の開閉弁13の開閉制御が行われる。従って、加圧室60の溶湯Aの湯面レベルは鋳造開始直前には常に一定に保たれるよう制御されている。
【0068】
また、初期状態においては、電磁コイル40は負荷電圧が0Vの遮断状態にあると共に、加圧源63、ガス加圧制御サーボ弁61及びガス加圧用配管61aからなる加圧系はガス加圧制御サーボ弁61が大気開放状態にある。なお、ガス加圧制御サーボ弁61は加圧室60側のガス加圧用配管61a等を加圧ラインと大気開放ラインとに切り替え可能な切替弁を有する。
【0069】
なお、この初期状態においては、上記のようにガス加圧制御サーボ弁61が大気開放状態にあるため、加圧室60も大気開放状態となる。また、大気開放弁36は、給湯制御装置1又は圧力制御装置62の制御により開状態から閉状態に切り替えられるので、大気開放ラインは閉止状態となる。
【0070】
次に、時点T0〜時点T1の(2)工程1においては、加圧室60内の溶湯Aの加圧が行われる。時間0.0sec、負荷電圧0V、減圧度0kPa、ピンSt0mm及びガス加圧0kPaの時点T0においてガス加圧が開始されると、ガス加圧制御サーボ弁61の切替弁を加圧ライン側に切り替えてサーボ弁を開く制御が行われる。なお、第2の実施形態においては減圧は行われない。
【0071】
ガス加圧が開始されると、加圧室60の密閉空間に不活性ガスが供給されて内部の溶湯Aの湯面が加圧されて下降する。これに伴い、注湯室20の管状部材37の内部の溶湯Aが上昇する。このときのガス加圧の圧力は、第1の実施形態と同様に注湯室20内の溶湯Aの湯面から電磁コイル40の上端位置までの距離であるヘッド高さに相当する圧力に設定する。
【0072】
ガス加圧の圧力は、溶湯Aがアルミニウムでヘッド高さが800mmの場合は、上述したような比重から算出される数値を基に20kPaに設定する。また、このときのガス加圧速度は、溶湯Aがガスを巻き込んだり所定高さを超えたりしない範囲で速やかに上記上端位置の高さに移送される速度が好ましく、ガス加圧制御サーボ弁61において時間当たりの圧力増分である増圧パターンを設定する。なお、ストーク30内の溶湯Aが電磁コイル40の上端位置に達した時点T1においては、時間は3.0sec、負荷電圧は0V、ピンStは0mm及びガス加圧は20kPaとなっている。
【0073】
次に、時点T1〜時点T2の(3)工程2においては、電磁誘導による溶湯Aの開口31aへの移送が行われる。溶湯Aが電磁コイル40の上端位置に到達した時点T1の直後に電磁コイル40に80V程度の負荷電圧が印加される。そして、電磁コイル40に電圧を負荷し続けて溶湯Aを開口31a付近まで上昇させるため、更に負荷電圧を増大させる。また、ガス加圧による圧力は、切替弁により加圧ライン側にサーボ弁が切り替えられているガス加圧制御サーボ弁61のサーボ弁を更に開く制御を行うことにより、電磁コイル40の上端位置から開口31aまでの距離に相当するヘッド高さ分まで増大される。
【0074】
この際の負荷電圧は、溶湯Aが開口31aに達した際に噴出することがない範囲で速やかに先湯が開口31aに移送されるように、時間当たりの電圧増分が調整される。また、ガス加圧による圧力は、電磁コイル40の電磁誘導による注湯室20内の溶湯Aの汲み上げ給湯に伴い、加圧室60内の溶湯Aの湯面が低下することによって密閉空間内の圧力が下がらぬように行われる。先湯が開口31aに到達した時点T2においては、時間は6.0sec、負荷電圧は110V、ピンStは0mm及びガス加圧は40kPaとなっている。
【0075】
そして、時点T2〜時点T4の(4)工程3においては、電磁誘導による開口31aから製品部のランナ31dへの溶湯Aの移送が行われ、キャビティ31内への溶湯Aの充填が完了する。すなわち、工程3においては、溶湯Aが開口31aから製品部のランナ31dを通過してキャビティ31内に流入するように、電磁コイル40への負荷電圧を更に増大する。
【0076】
なお、サブフレームを鋳造するような場合は、上述したように溶湯Aの流速が小さくなることが懸念されるため、時点T2以降に速やかに溶湯Aの充填が完了するように電磁コイル40への負荷電圧を最大値である160Vまで一気に増大し、最大電圧保持時間の間保持する。
【0077】
一方、加圧室60については、電磁コイル40への負荷電圧110Vの印加と同時に、すなわち時点T2以降においてガス加圧制御サーボ弁61の切替弁を大気開放ライン側に切り替えてガス加圧を停止し、更に最大負荷電圧が印加された時点T3以降にサーボ弁を徐々に開くことで加圧室60の密閉空間を大気開放することが行われる。
【0078】
加圧ラインによるガス加圧を停止してからの大気開放は、電磁コイル40の電磁誘導による注湯室20内の溶湯Aの汲み上げ給湯に伴い、加圧室60内の溶湯Aの湯面が低下することによって密閉空間内の圧力が下がり、負圧となって注湯室20側の溶湯Aの給湯を妨げないために行われる。
【0079】
従って、電磁コイル40への最大負荷電圧が印加された時点T3においては、例えば時間は6.3sec、負荷電圧は160V、ピンStは0mm及びガス加圧は10kPaとなっている。このように、時点T2から時点T3までの僅か0.3secの間に、負荷電圧は50V上昇し、ガス加圧の圧力は30kPa減少している。
【0080】
なお、キャビティ31への溶湯Aの充填完了後は、加圧室60内のガス加圧は不要となるので、所定の保持時間経過と同時にガス加圧制御サーボ弁61の切替弁を大気開放ライン側にした状態でサーボ弁を開止させる。電磁コイル40への最大負荷電圧の印加については、ゲートシールセンター加圧ピン50によるピン加圧が開始される時点T5までの間は継続して溶湯Aを供給し続ける。
【0081】
このため、キャビティ31への溶湯Aの充填完了及びゲートシールセンター加圧ピン50の駆動開始の時点T4においては、時間8.0sec、負荷電圧160V、ピンSt0mm及びガス加圧0kPaであるが、上記時点T5においては、時間8.5sec、負荷電圧160V、ピンSt60mm及びガス加圧0kPaとなっている。ガス加圧に関しては、時点T3から時点T4までの1.7secの間に10kPa→0kPaに減少している。
【0082】
次に、時点T4〜時点T6の(5)工程4においては、キャビティ31内へ充填された溶湯Aの凝固が行われる。ゲートシールセンター加圧ピン50による開口31aの閉塞と、時点T5以降のキャビティ31内の加圧は上述した通りに行われ、押湯効果を得ることができる。
【0083】
なお、ゲートシールセンター加圧ピン50が開口31aを閉塞するピンSt60mm通過後はキャビティ31内が閉空間となり給湯が不要となるため、時点T5以降は負荷電圧を0Vにして電磁コイル40への負荷電圧の印加を停止し、且つ大気開放弁36を開いて開口31aを大気開放配管36aを介して大気開放ラインにより外気と連通させる。
【0084】
これにより、ストーク30内の溶湯Aは注湯室20内の管状部材37内へ戻される。なお、ゲートシールセンター加圧ピン50によるピン加圧は、上述したように時間16.0sec、負荷電圧0V、ピンSt98mm及びガス加圧0kPaの時点T6まで継続される。
【0085】
最後に、時点T6以降の(6)工程5においては、上述したようにゲートシールセンター加圧ピン50のピンStを0mmに戻して、型開を行い鋳造された製品の取り出しが行われる。このように、第2の実施形態に係る鋳造装置101は、ガス加圧制御サーボ弁61等による加圧室60内のガス加圧により溶湯Aを呼び水にし、電磁コイル40の電磁誘導の作用により溶湯Aをキャビティ31内に給湯して、ゲートシールセンター加圧ピン50のピン加圧により製品の鋳造を行う。このため、第1の実施形態と同様に、簡単な構成で電磁コイル40を利用した給湯が可能で、必要十分な押湯効果を得ることができる。
【0086】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態に係る鋳造装置の制御パターンを示す図である。第3の実施形態に係る鋳造装置は第2の実施形態に係る鋳造装置101と同様の構成を備えている。第3の実施形態においては、ガス加圧(呼び水)→電磁誘導+ガス加圧(併用充填)→ピン加圧により鋳造動作が行われ、鋳造工程は上記と同様に(1)〜(6)の工程により1鋳造サイクルが構成される。
【0087】
図5に示すように、時点T0の(1)初期状態及び時点T0〜時点T1の(2)工程1においては、第2の実施形態と同様の動作及び制御が行われる。そして、時点T1〜時点T2の(3)工程2においては、電磁誘導とガス加圧の併用による開口31aから製品部のランナ31dへの溶湯Aの移送が行われる。
【0088】
すなわち、時点T1の直後に電磁コイル40に80V程度の負荷電圧が印加され、更に溶湯Aを開口31a付近まで上昇させるために、上記のような所定の範囲において時間当たりの電圧増分が調整された上で負荷電圧が増大される。時点T2における負荷電圧やガス加圧等は第2の実施形態と同様である。
【0089】
また、ガス加圧による圧力は、切替弁により加圧ライン側にサーボ弁が切り替えられているガス加圧制御サーボ弁61のサーボ弁を更に開く制御を行うことにより、電磁コイル40の上端位置から開口31aまでの距離に相当するヘッド高さ分まで増大される。このガス加圧が併用されることで、電磁コイル40の電磁誘導による注湯室20内の溶湯Aの汲み上げ給湯に伴い、加圧室60内の溶湯Aの湯面が低下することによって密閉空間内の圧力が下がらぬようになる。
【0090】
時点T2〜時点T4の(4)工程3においては、電磁誘導とガス加圧の併用による開口31aから製品部のランナ31dへの溶湯Aの移送が行われ、キャビティ31内への溶湯Aの充填が完了する。すなわち、工程3においては、電磁コイル40への負荷電圧を更に増大すると共に、加圧室60については、時点T2における電磁コイル40への負荷電圧110Vの印加と同時に、ガス加圧による圧力を更に増大させる。
【0091】
従って、電磁コイル40への最大負荷電圧が印加された時点T3においては、時間は6.3sec、負荷電圧は160V、ピンStは0mm及びガス加圧は75kPaとなっている。更に、時点T3直後のある時点にはガス加圧は最大値の85kPaとなっている。このように、時点T2から時点T3までの僅か0.3secの間に、負荷電圧は110Vから160Vに上昇し、ガス加圧の圧力は40kPaから75kPaに増加してその直後に更に85kPaまで高められている。
【0092】
なお、時点T3以降のある時点においてガス加圧力及び負荷電圧を最大値(85kPa及び160V)としてから実際に溶湯Aがキャビティ31内に満たされて充填が完了するまでには、上述したようにある一定の時間を要するため、最大値にしたガス加圧力及び負荷電圧を例えば時点T5までの間保持する必要がある。この保持時間は、第1の実施形態の最大電圧保持時間と同様に予備実験等により求めることができる。
【0093】
そして、時点T4におけるキャビティ31への溶湯Aの充填完了後においても、加圧室60へのガス加圧制御サーボ弁61によるガス加圧及び電磁コイル40への負荷電圧については、次工程のゲートシールセンター加圧ピン50によるピン加圧が開始される時点T5までの間は、それぞれ最大値を維持し続けて溶湯Aの給湯を続ける。
【0094】
このため、時点T4においては、時間8.0sec、負荷電圧160V、ピンSt0mm及びガス加圧85kPaであり、0.5sec後の時点T5においても負荷電圧及びガス加圧は変わらない数値となっている。しかし、時点T4においてゲートシールセンター加圧ピン50の駆動が開始されるので、時点T5においてはピンStは60mmに到達する。
【0095】
そして、時点T4〜時点T6の(5)工程4においては、キャビティ31内へ充填された溶湯Aの凝固が行われる。ゲートシールセンター加圧ピン50による開口31aの閉塞と、時点T5以降のキャビティ31内の加圧は第2の実施形態の通りに行われ、押湯効果を得ることができる。
【0096】
なお、ゲートシールセンター加圧ピン50のピンSt60mm通過後は給湯が不要となるため、時点T5以降は負荷電圧を0Vにして電磁コイル40への負荷電圧の印加を停止する。これと共に、ガス加圧制御サーボ弁61による加圧室60へのガス加圧を停止し且つ大気開放弁36を開いて開口31aを外気と連通させ、ストーク30内の溶湯Aを注湯室20内へ戻す。
【0097】
時点T5以降においても、ゲートシールセンター加圧ピン50によるピン加圧は、上述したように時間16.0sec、負荷電圧0V、ピンSt98mm及びガス加圧0kPaの時点T6まで継続する。なお、時点T6以降の(6)工程5においては、第2の実施形態と同様の動作及び制御が行われる。
【0098】
このように、第3の実施形態においては、ガス加圧制御サーボ弁61等による加圧室60内のガス加圧により溶湯Aを呼び水にし、電磁コイル40の電磁誘導の作用とガス加圧とを併用して溶湯Aをキャビティ31内に給湯し、ゲートシールセンター加圧ピン50のピン加圧により製品の鋳造を行う。このため、第1及び第2の実施形態と同様に、簡単な構成で電磁コイル40を利用した給湯が可能で、必要十分な押湯効果を得ることができる。
【0099】
[第4の実施形態]
図6は、本発明の第4の実施形態に係る鋳造装置を示す断面図、
図7は鋳造装置の制御パターンを示す図である。なお、
図7は
図2と同様に減圧度、負荷電圧、ピンSt及び時間を示しているが、右縦軸が更にガス加圧(kPa)を示している点が
図2と相違している。
図6に示すように、第4の実施形態に係る鋳造装置102は、第2及び第3の実施形態に係る鋳造装置101に、第1の実施形態に係る鋳造装置100のガス抜き用配管31b、減圧制御サーボ弁34及び真空装置35からなる真空系を加えた構成からなる。鋳造装置102におけるこれら各部の構成については、上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0100】
この鋳造装置102による一連の鋳造動作は、
図7に示すようになる。第4の実施形態においては、ガス加圧(呼び水)→電磁誘導+ガス加圧+減圧(併用充填)→ピン加圧により鋳造動作が行われ、鋳造工程は上記と同様に(1)〜(6)の工程により1鋳造サイクルが構成される。
【0101】
図7に示すように、時点T0の(1)初期状態においては、加圧室60内の溶湯Aの湯面高さは、予め設定された高さに配置された湯面センサ68の先端により検知された一定の高さにあり、上述したように加圧室60の溶湯Aの湯面レベルは鋳造開始直前には常に一定に保たれている。
【0102】
また、電磁コイル40は負荷電圧が0Vの遮断状態にあり、ガス加圧制御サーボ弁61等の加圧系及び加圧室60は大気開放状態にある。大気開放弁36は、開状態から閉状態に切り替えられるので、大気開放ラインは閉止状態にある。更に、真空装置35等の真空系は真空状態にある。
【0103】
なお、上述したように減圧制御サーボ弁34は切替弁が初期状態では大気開放ライン側にあるので、キャビティ31側のガス抜き用配管31b、減圧ランナ、チルベント31c、キャビティ31、製品部のランナ31d、開口31a、及びストーク30は大気と連通した状態となっている。
【0104】
次に、時点T0〜時点T1の(2)工程1においては、第2及び第3の実施形態と同様の動作及び制御が行われる。また、時点T1〜時点T2の(3)工程2においても第2及び第3の実施形態と同様の動作及び制御が行われる。なお、時点T1においては、時間3.0sec、負荷電圧0V、減圧度0kPa、ピンSt0mm及びガス加圧20kPaである。また、時点T2においては、時間6.0sec、負荷電圧110V、減圧度0kPa、ピンSt0mm及びガス加圧40kPaである。
【0105】
そして、時点T2〜時点T4の(4)工程3においては、電磁誘導とガス加圧の併用及びキャビティ31内の減圧の併用により、開口31aから製品部のランナ31dへ溶湯Aが移送され、キャビティ31内への充填が完了する。すなわち、工程3においては、電磁コイル40への負荷電圧を更に増大すると共に、時点T2における電磁コイル40への負荷電圧110Vの印加と同時に、ガス加圧による加圧室60への圧力を更に増大させる。
【0106】
また、キャビティ31内の減圧についても、キャビティ31内のガスによる背圧を軽減すると共に、第1の実施形態のように減圧による溶湯Aの吸引作用によって流動性を高めるため、減圧制御サーボ弁34の切替弁を減圧ライン側に切り替えて真空装置35等を動作させ、キャビティ31内の減圧を行う。
【0107】
このため、最大負荷電圧印加の時点T3においては、時間は6.3sec、負荷電圧は160V、減圧度は−50kPa、ピンStは0mm及びガス加圧は75kPaとなっており、更に、時点T3直後のある時点には減圧度が−90kPaでガス加圧が85kPaとなっている。
【0108】
このように、時点T2から時点T3までの僅か0.3secの間に、負荷電圧は110Vから160Vに上昇し、減圧度は0kPaから−50kPaに増大してその直後に更に−90kPaまで増大し、更にガス加圧の圧力は40kPaから75kPaに増加してその直後に更に85kPaまで高められている。
【0109】
なお、時点T3以降のある時点において減圧度、ガス加圧力及び負荷電圧を最大値(−90kPa、85kPa及び160V)としてから実際に溶湯Aの充填が完了するまでには、最大値にした減圧度、ガス加圧力及び負荷電圧を、例えば減圧度については時点T4まで、ガス加圧力及び負荷電圧については時点T5までの間(保持時間の間)それぞれ保持する必要がある。
【0110】
すなわち、減圧については時点T4におけるキャビティ31への溶湯Aの充填完了及びゲートシールセンター加圧ピン50の駆動開始までは継続する。また、加圧室60へのガス加圧制御サーボ弁61によるガス加圧及び電磁コイル40への負荷電圧については、ピンSt60mm通過後のゲートシールセンター加圧ピン50によるピン加圧が開始される時点T5までの間は、それぞれ最大値を維持し続けて溶湯Aの給湯を続ける。
【0111】
なお、時点T4においては、減圧制御サーボ弁34の切替弁を大気開放ライン側に切り替えてサーボ弁の動作を停止するのでキャビティ31内の減圧が停止され、時点T5よりも前の時点で減圧度が0kPaとなる。また、時点T5においてゲートシールセンター加圧ピン50によるピン加圧が行われると給湯が不要となるため、時点T5以降は電磁コイル40への負荷電圧の印加を停止すると共に、ガス加圧制御サーボ弁61による加圧室60へのガス加圧を停止する。同時に大気開放弁36を開いて開口31aを外気と連通させるので、ストーク30内の溶湯Aは注湯室20内へ戻される。
【0112】
工程4におけるこれ以降の動作や制御及び時点T6以降の(6)工程5における動作や制御は、上述した第1〜第3の実施形態と同様である。このように、第4の実施形態においては、加圧室60内のガス加圧により溶湯Aを呼び水にし、電磁誘導の作用、ガス加圧及び減圧を併用して溶湯Aをキャビティ内に給湯し、ゲートシールセンター加圧ピン50のピン加圧により鋳造を行う。このため、第1〜第3の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。