特許第6379848号(P6379848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379848
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】ゴム混練装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/28 20060101AFI20180820BHJP
   B29B 7/38 20060101ALI20180820BHJP
   B29B 7/26 20060101ALI20180820BHJP
   B29K 21/00 20060101ALN20180820BHJP
【FI】
   B29B7/28
   B29B7/38
   B29B7/26
   B29K21:00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-166805(P2014-166805)
(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公開番号】特開2016-43486(P2016-43486A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】松田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】小山 正道
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝宏
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−119036(JP,A)
【文献】 特開平01−125208(JP,A)
【文献】 特開平03−272825(JP,A)
【文献】 特開昭51−093471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00− 7/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム混練機と、このゴム混練機の下方に配置されたアンダーミキサとで構成されたゴム混練装置を用いて、前記ゴム混練機により混練りしたゴム材料を前記アンダーミキサに投入し、このアンダーミキサによりシート状のゴム材料にして排出し、順次、新たなバッチのゴム材料を前記ゴム混練機およびアンダーミキサにより混練してシート状のゴム材料を得るゴム混練装置の制御方法において、
混練するバッチ毎に、前記ゴム混練機および前記アンダーミキサのそれぞれにおける工程に要する時間を予め把握しておき、この予め把握している時間に基づいて前記ゴム混練機における工程開始時刻を設定することにより、種類の異なるゴム材料を連続して混練する際に、前記アンダーミキサにおける工程が完了してシート状のゴム材料の排出が完了した直後に、前記ゴム混練機における工程が完了した直後のゴム材料を前記アンダーミキサに投入することを特徴とするゴム混練装置の制御方法。
【請求項2】
前記アンダーミキサに直前に投入したゴム材料のアンダーミキサにおける工程に要する時間をリアルタイムで予測し、この予測結果と前記予め把握している前記アンダーミキサにおける工程に要する時間との比較に基づいて、前記ゴム混練機で混練しているゴム材料の混練条件の調整を行う請求項1に記載のゴム混練装置の制御方法。
【請求項3】
前記ゴム混練機で混練しているゴム材料の混練条件の調整が、前記ゴム混練機における工程でのこのゴム混練機のロータの積算回転数と所定パラメータとの予め取得している関係に基づいて前記ロータの回転速度を調整することであり、前記所定パラメータが前記ロータの駆動に要する積算電力、前記ゴム混練機での前記ゴム材料の温度または前記ゴム混練機での前記ゴム材料の積算熱履歴量のいずれかである請求項2に記載のゴム混練装置の制御方法。
【請求項4】
前記アンダーミキサにおける工程での異常を検知した際には、前記ゴム混練機のロータ回転速度を低減させるとともに、前記ゴム混練機に内設されたラムを混練時の所定位置よりも上方位置に移動させて、前記ゴム混練機で混練しているゴム材料の前記アンダーミキサへの投入時刻を遅らせる、または、前記アンダーミキサへの投入を停止する請求項1〜3のいずれかに記載のゴム混練装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム混練装置の制御方法に関し、さらに詳しくは、種類の異なるゴム材料を連続して混練する際に、異種ゴムが混ざることを防止しつつ、ゴム混練機の稼働率を向上させて高い生産性を得ることができるゴム混練装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ等のゴム製品を製造する際には、ゴム混練機によって原料ゴムと各種配合剤とを混合、混練する混練工程がある。ゴム混練機により混練されたゴム材料は、例えば、下方のアンダーミキサに投入されてシーティングされ、シート状ゴム材料として次に工程に送られる(特許文献1参照)。このようなゴム混練機とアンダーミキサとで構成されるゴム混練装置を用いて、種類の異なるゴム材料を連続して混練する場合、前後の異種ゴムを混ぜないよう十分な注意が必要である。
【0003】
従来、異種ゴムを混ぜないために、ゴム混練機によって先に混練したゴム材料がアンダーミキサ内部から完全に排出されたことをオペレータが確認していた。この確認後に、次に混練する別の種類のゴム材料をゴム混練機に投入して混練していた。それ故、ゴム混練機が次のゴム材料を混練するまで待機する待機時間が長くなり、稼働率が低下するという問題があった。このことが、ゴムの生産性を向上させる際の障害の一因になっていた。また、オペレータの負担が大きいという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−34735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、種類の異なるゴム材料を連続して混練する際に、異種ゴムが混ざることを防止しつつ、ゴム混練機の稼働率を向上させて高い生産性を得ることができるゴム混練装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明のゴム混練装置の制御方法は、ゴム混練機と、このゴム混練機の下方に配置されたアンダーミキサとで構成されたゴム混練装置を用いて、前記ゴム混練機により混練りしたゴム材料を前記アンダーミキサに投入し、このアンダーミキサによりシート状のゴム材料にして排出し、順次、新たなバッチのゴム材料を前記ゴム混練機およびアンダーミキサにより混練してシート状のゴム材料を得るゴム混練装置の制御方法において、混練するバッチ毎に、前記ゴム混練機および前記アンダーミキサのそれぞれにおける工程に要する時間を予め把握しておき、この予め把握している時間に基づいて前記ゴム混練機における工程開始時刻を設定することにより、種類の異なるゴム材料を連続して混練する際に、前記アンダーミキサにおける工程が完了してシート状のゴム材料の排出が完了した直後に、前記ゴム混練機における工程が完了した直後のゴム材料を前記アンダーミキサに投入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、混練するゴム材料のバッチ毎に予め把握した、ゴム混練機での混練工程に要する時間およびアンダーミキサでの混練工程に要する時間に基づいて、ゴム混練機およびアンダーミキサによる混練を制御することで、ゴム混練機での工程を完了した直後のゴム材料を、先にアンダーミキサに投入したゴム材料がシート状に形成されてすべて排出された直後に、このアンダーミキサに投入することができる。これにより、種類の異なるゴム種を連続して混練する場合であっても、異種ゴムがアンダーミキサで混ざる不具合を防止することができ、待機時間を最小限にして連続的に混練することが可能になる。これに伴って、ゴム混練機の稼働率が向上し、高い生産性でゴム材料を得ることができる。
【0008】
また、バッチ毎に、混練したゴム材料がアンダーミキサ内部から完全に排出されたことをオペレータが確認する必要もなくなる。それ故、オペレータの負担が軽減する。
【0009】
ここで、前記アンダーミキサに直前に投入したゴム材料のアンダーミキサにおける工程に要する時間をリアルタイムで予測し、この予測結果と前記予め把握している前記アンダーミキサにおける工程に要する時間との比較に基づいて、前記ゴム混練機で混練しているゴム材料の混練条件の調整を行うこともできる。これにより、アンダーミキサでの工程に要する時間が何らかの原因で、予め把握している時間よりも長くなった場合でも、異種ゴムがアンダーミキサで混ざる不具合を確実に防ぐには有利になる。
【0010】
前記ゴム混練機で混練しているゴム材料の混練時間の調整は、例えば、前記ゴム混練機における工程でのこのゴム混練機のロータの積算回転数と所定パラメータとの予め取得している関係に基づいて前記ロータの回転速度を調整することにより行う。
【0011】
前記アンダーミキサにおける工程での異常を検知した際には、例えば、前記ゴム混練機のロータ回転速度を低減させるとともに、前記ゴム混練機に内設されたラムを混練時の所定位置よりも上方位置に移動させて、前記ゴム混練機で混練しているゴム材料の前記アンダーミキサへの投入時刻を遅らせる、または、前記アンダーミキサへの投入を停止する。これにより、アンダーミキサに異常が生じた際にも、異種ゴムがアンダーミキサで混ざる不具合を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に用いるゴム混練装置を例示する説明図である。
図2図1のゴム混練装置を用いてゴム材料を混練している状態を例示する説明図である。
図3】本発明による混練手順を模式的に例示する説明図である。
図4】従来方法による混練手順を模式的に例示する説明図である。
図5】ゴム混練機のロータの積算回転数と積算電力との関係を示すグラフ図である。
図6】ゴム混練機のロータの積算回転数とゴム材料の温度との関係を示すグラフ図である。
図7】ゴム混練機のロータの積算回転数とゴム材料の積算熱履歴量との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のゴム混練装置の制御方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0014】
図1図2に例示するゴム混練装置1は、ゴム混練機2と、ゴム混練機2の下方に連接されたアンダーミキサ10とを備えている。このゴム混練機2には制御部2aとセンサ2bとが備わっている。制御部2aにはセンサ2bの検知データが入力され、ゴム混練機2の動作は制御部2aによって制御される。
【0015】
ゴム混練機2は、混練室4と、混練室4の上方に連接されたラム室5とを備えていて、混練室4には一対のロータ3と、オイルを投入する油投入部7aとが設けられている。それぞれのロータ3は平行して配置された回転軸3aによって回転駆動される。混練室4の底面には開閉する排出扉9が設けられている。混練室4では、原料ゴムG、カーボンC、オイル等とからなるゴム材料Rが混合、混練される。
【0016】
ラム室5にはラム6が内設されている。ラム6は、ゴム材料Rを混練する際の所定位置と、この所定位置よりも上方の待機位置との間を移動し、混練室4の内圧(ラム圧力)を調整する。ラム室5には、原料ゴムGを投入するゴム投入部7bと、カーボンCを投入するホッパ8とが設けられている。
【0017】
センサ2bは、ロータ3の回転速度、ロータ3の回転駆動用のモータの電流値I、混練室4の温度T、ゴム材料Rの温度Tr、ラム圧力Pr等を検知する。これら検知データに基づいて制御部2aでは、ロータの積算回転数、電流値Iの時間変化量、駆動に要する電力、この電力の積算値である積算電力等が算出される。
【0018】
アンダーミキサ10は、ケーシング11に内設されたスクリュー12と、一対のシーティングロール13とを備えている。このアンダーミキサ10にはさらに、制御部10aとセンサ10bとが備わっている。制御部10aにはセンサ10bの検知データが入力され、アンダーミキサ10の動作は制御部10aによって制御される。この制御部10aとゴム混練機2に備わる制御部2aとは相互にデータを送受信できる構成になっている。
【0019】
アンダーミキサ10では、投入されたゴム材料Rをスクリュー12によって押出し、次いで、一対のシーティングロール13を通過させてシート状のゴム材料Rを形成する。
【0020】
センサ10bは、スクリュー12の回転速度、シーティングロール13の回転速度、ロール13間のギャップ、ケーシング11の内圧等を検知する。
【0021】
次いで、このゴム混練装置1を用いてゴム材料Rを混練する本発明の手順を説明する。以下の説明では、図3に示すように同じ種類のゴム材料R1を2バッチ連続して混練した後、続けて種類の異なるゴム材料R2を混練する場合を例にする。図3および図4では、1バッチ目のゴム材料R1をR1(1)、2バッチ目のゴム材料R1をR1(2)で示している。尚、制御部2a、制御部10aには、ゴム材料R1、R2のバッチ毎の重量も予め入力されて記憶されている。
【0022】
まず、ゴム混練機2では、1バッチ目のゴム材料R1を混練して工程が完了すると、そのゴム材料Rをアンダーミキサ10に投入する。ゴム混練機2における工程に要する時間はT1である。アンダーミキサ10では、投入されたゴム材料R1をスクリュー12によって押出し、次いで、一対のシーティングロール13を通過させてシート状のゴム材料R1を形成する。アンダーミキサ10における工程に要する時間はt1である。
【0023】
ゴム混練機2では、続いて2バッチ目のゴム材料R1が1バッチ目と同様に混練される。混練された2バッチ目のゴム材料R1も1バッチ目と同様にアンダーミキサ10に投入されてシート状に形成される。ゴム混練機2では、2バッチ目のゴム材料R1をアンダーミキサ10に投入した後は、ゴム材料R1に引き続きゴム材料R2を混練する。
【0024】
ゴム混練機2では、ゴム材料R2を混練して工程が完了すると、そのゴム材料R2をアンダーミキサ10に投入する。ゴム材料R2は、ゴム材料R1に比して混練により多くの時間を要し、ゴム混練機2における工程に要する時間はT2である。アンダーミキサ10では、投入されたゴム材料R2をスクリュー12によって押出し、次いで、一対のシーティングロール13を通過させてシート状のゴム材料R2を形成する。アンダーミキサ10における工程に要する時間はt2である。
【0025】
ここで、上記の時間T1およびT2、時間t1およびt2は、過去の実績から予め把握されていて、それぞれが制御部2a、制御部10aに記憶されている。そこで、ゴム混練機2ではゴム材料R1、R2に対して、制御部2aの制御によって、それぞれ時間T1、T2で工程を完了させる。アンダーミキサ10ではゴム材料R1、R2に対して、制御部10aの制御によって、それぞれ時間t1、t2で工程を完了させる。
【0026】
本発明では、混練するバッチ毎に、ゴム材料R1に対して予め把握している上記時間t1、T2に基づいてゴム混練機2におけるゴム材料R2に対する工程開始時刻が設定される。即ち、種類の異なるゴム材料R1、R2を連続して混練する際に、アンダーミキサ10における工程が完了してシート状のゴム材料R1が排出された(排出完了)直後に、ゴム混練機2における工程が完了した直後のゴム材料R2をアンダーミキサ10に投入しても、アンダーミキサ10でゴム材料R1、R2が混ざらないように、ゴム混練機2におけるゴム材料R2に対する工程開始時刻が自動的に設定される。
【0027】
例えば、従来方法では図4に示すように、異なる種類のゴム材料R1、R2がアンダーミキサ10で混ざる不具合を防止するため、アンダーミキサ10において2バッチ目のゴム材料R1をすべてシート状に排出して工程が完了した後に、ゴム混練機2でのゴム材料R2の混練を開始していた。即ち、従来方法では、ゴム材料R2をゴム混練機2で混合するまで待機する待機時間が多大であった。
【0028】
一方、本発明によれば、ゴム材料R2をゴム混練機2で混合するまで待機する待機時間が極めて短くできる。このように本発明を用いることにより、種類の異なるゴム材料R1、R2を連続して混練する場合であっても、ゴム材料R1、R2がアンダーミキサ10で混ざる不具合を防止しつつ、ゴム混練機2の待機時間を最小限にして連続的に混練することが可能になる。これに伴って、ゴム混練機2の稼働率が向上し、高い生産性でゴム材料R1、R2を得るには有利になる。
【0029】
ところで、ゴム混練機2やアンダーミキサ10における工程に要する時間T1、T2、t1、t2は、外気温等によっても変動し、或いは、予期しない原因によっても変動することがある。そこで、アンダーミキサ10に直前に投入したゴム材料R1のアンダーミキサ10における工程に要する時間t1をリアルタイムで予測するとよい。そして、この予測結果と予め把握しているアンダーミキサ10における工程に要する時間t1との比較に基づいて、ゴム混練機2で混練しているゴム材料R2の混練条件の調整を行うとよい。
【0030】
このような制御を行うことにより、例えば、アンダーミキサ10での工程に要する時間t1が何らかの原因で、予め把握している時間よりも長くなった場合は、ゴム混練機2でのゴム材料R2の混練時間を調整して長くする。具体的には、ゴム混練機2からゴム材料R2がアンダーミキサ10に投入される時刻と、アンダーミキサ10からゴム材料R1の排出が完了する時刻とを同じにする。これにより、ゴム材料R1がまだ残っているアンダーミキサ10にゴム材料R2が投入されて、ゴム材料R1とゴム材料R2とがアンダーミキサ10で混ざる不具合が発生することを、より確実に防ぎ易くなる。
【0031】
ここで、ゴム混練機2でのゴム材料R2の混練時間を単純に長くすると、ゴム材料Rが過剰に混練されて品質に悪影響が生じる。そこで、ロータ3の回転速度を当初の回転速度よりも低減させる。または、ラム6を混練時の所定位置よりも上方位置に移動させて、ラム圧力Prを低減させる。或いは、ロータ3の回転速度を低減させつつラム圧力Prを低減させることもできる。
【0032】
ゴム混練機2で混練しているゴム材料R2の混練条件の調整は、例えば、ゴム混練機2における工程でのこのゴム混練機2のロータ3の積算回転数と所定パラメータとの予め取得している関係に基づいて前記ロータの回転速度を調整することにより行う。
【0033】
図5に例示するように、ロータ3の積算回転数と、ロータ3の駆動に要する電力の積算値(積算電力)との関係は、所定の領域では破線に示すとおりリニアになる。また、図6に例示するように、ロータ3の積算回転数と、ゴム材料R1、R2の温度Trとの関係は、所定の領域では破線に示すとおりリニアになる。図7に例示するように、ロータ3の積算回転数と、ゴム材料R1、R2の積算熱履歴量との関係は、所定の領域では破線に示すとおりリニアになる。
【0034】
ゴム混練機2で混練しているゴム材料R2の混練条件の調整は、例えば、ゴム混練機2における工程でのこのゴム混練機2のロータ3の積算回転数と所定パラメータ(積算電力、温度、積算熱履歴量)との予め取得している関係に基づいてロータ3の回転速度を調整することにより行う。
【0035】
具体的には、ゴム材料R2の混練完了に必要な積算熱履歴量が把握されていて、ゴム混練機2で混練しているゴム材料Rの積算熱履歴量が、把握されている必要な積算熱履歴量になるように混練する。この際に、図7のリニアな直線のデータに基づいて、ロータ3の回転速度を調整(変更)する。
【0036】
または、ゴム材料R2の混練完了に必要なロータ3の積算電力が把握されていて、ゴム材料R2を混練しているゴム混練機2の積算電力が、把握されている必要な積算電力になるように混練する。この際に、図5のリニアな直線のデータに基づいて、ロータ3の回転速度を調整(変更)する。
【0037】
或いは、ゴム材料R2の混練完了に必要なゴム材料R2の温度が把握されていて、ゴム混練機2で混練しているゴム材料Rの温度Trが、把握されている必要な温度になるように混練する。この際に、図6のリニアな直線のデータに基づいて、ロータ3の回転速度を調整(変更)する。
【0038】
この実施形態では、アンダーミキサ10における工程での異常をセンサ10bによって検知できるようになっている。具体的には、スクリュー12の回転速度、シーティングロール13の回転速度、ロール13間のギャップ、ケーシング11の内圧等が予め設定されている正常範囲から外れた際に、異常が発生したと検知する。
【0039】
センサ10bがアンダーミキサ10の異常を検知した際には、その情報が制御部10aから制御部2aに伝達される。情報を受信した制御部2aは、例えば、ゴム混練機2のロータ3の回転速度を低減させるとともに、ラム6を混練時の所定位置よりも上方位置に移動させる。これにより、ゴム混練機2で混練しているゴム材料R2の混練を遅延させて、この工程を完了するまでに要する時間を長くする。これに伴って、このゴム材料R2のアンダーミキサ10への投入時刻を遅らせる。場合によっては、ゴム材料R2のアンダーミキサ10への投入を停止する。
【0040】
このような制御を行うと、アンダーミキサ10に異常が生じた際にも、ゴム材料R1、R2がアンダーミキサ10において混ざる不具合を防ぐことができる。
【0041】
尚、ゴム混練装置1を構成するゴム混練機2、アンダーミキサ10は、上記で説明した構造に限定されず、種々の構造を採用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ゴム混練装置
2 ゴム混練機
2a 制御部
2b センサ
3 ロータ
3a 回転軸
4 混練室
5 ラム室
6 ラム
7a 油投入部
7b ゴム投入部
8 ホッパ
9 排出扉
10 アンダーミキサ
10a 制御部
11 ケーシング
12 スクリュー
13 シーティングロール
R、R1、R2 ゴム材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7