【実施例1】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る遠心機(遠心分離機)1の構成を示す断面図である。遠心機1の筐体5の上部には、使用者が操作して情報を入力し、必要な情報を表示するための操作表示部10が設けられる。操作表示部10としては、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイ(LCD)装置を用いると好ましいが、任意の表示装置や入力装置を用いても良い。筐体5の内部には、ロータ2を収容するためのロータ室3が設けられる。ロータ室3はステンレスなど錆びにくい材料からできているボウル4により形成される。本実施例では、ロータ2の回転によるロータ室3の温度上昇を防ぐために冷却装置が設けられる。冷却装置は、凝縮器7a、圧縮機7b、ボウル4の周りに巻かれる冷凍配管7c、キャピラリチューブ7dを含んで構成される。また、筐体の一部には凝縮器7aに冷却風を与えるための冷却ファン8が設けられる。
【0014】
ロータ室3は、その上面開口部がドア9によって開閉可能に構成され、ドア9を開けることにより、ロータ室3の内部に、遠心分離されるサンプルを収納するロータ2を装着あるいは脱着できる。制御部11は、操作表示部10から設定された値に従ってロータ2を回転させるモータ12を制御するとともに、ボウル4に巻きつけられた冷凍配管7cに冷媒を通して適切な冷却を行うために圧縮機7bの回転速度を制御し、冷却ファン8の回転を制御する。尚、ロータ2の回転による風損を更に減少させるための減圧装置、例えば油回転真空ポンプと油拡散真空ポンプ等の真空ポンプ装置を用いるようにしても良い。
【0015】
制御部11は、図示しないマイクロコンピュータ、揮発性および不揮発性の記憶メモリを含み、操作表示部10のタッチパネルで設定される運転条件(回転速度、運転時間、設定温度、運転ロータ等)を受け取り、制御部11内の記憶装置にあらかじめ記憶される運転条件や装着されたロータ情報の情報を用いて、駆動源となるモータ12の回転制御、圧縮機7bによるロータ室3の温度制御、操作表示部10からの情報の入力、及び、操作表示部10への各種情報の表示を行う。これら制御部11の制御は、記憶手段に格納されたプログラムをマイクロコンピュータが実行することによりソフトウェア的に制御することができる。
【0016】
図2は操作表示部10に表示される基本画面200の一例を示す図であり、本実施例では操作表示部10をタッチパネル式の液晶表示器で実施した例で説明する。基本画面200は遠心分離運転に関する制御情報や運転状態を表示するための画面であって、画面中の上段部分(上側部分)には、ロータ回転速度表示欄210、運転時間表示欄220、ロータ温度表示欄230の3つの表示欄が割り当てられる。ロータ回転速度表示欄210は、ロータ2の回転速度をrpmにて表示するための領域であって、上側には、回転センサ(図示せず)で実測された現在のロータの回転数211が大きく表示され、下側には作業者によって設定された設定回転数212が小さく表示される。運転時間表示欄220は遠心分離の運転時間を表示する領域であって、上側には運転開始時から現在までの経過時間221が大きく表示され、下側には作業者によって入力された設定(運転)時間222が小さく表示される。ロータ温度表示欄230は、ロータ2の温度(又はロータ室3の内部温度)を表示する領域であって、現在におけるロータ温度231が大きく上段に表示され、作業者によって入力された設定温度232が小さく下段に表示される。作業者が画面上におけるロータ回転速度表示欄210、運転時間表示欄220、ロータ温度表示欄230の欄のそれぞれをタッチすると、図示しないポップアップ画面が表示され、そこに0〜9までの数値キーが表示されるので、これを表示操作することによって、設定回転数、運転時間、ロータ2の設定温度等をそれぞれ入力して設定できる。数値キーによって数値が入力されたら、図示しない設定完了キー又はポップアップ画面をクローズするアイコンをタッチすることによって、入力された数値が指定された表示欄に入力される。
【0017】
ロータ名表示領域240には、使用するロータ2の種類に対応する識別記号(識別番号)241が表示され、ここではロータ2の型番である“R22A4”が表示されている。作業者がロータ名表示領域240を触れることによって、ポップアップ画面によって選択可能なロータ2の識別記号の一覧が表示され、作業者がこの中から一つを触れることによって選択することによりロータ2の識別番号がロータ名表示領域240に表示される。加速・減速モード表示領域250には、運転開始時にロータ2が停止状態から設定回転数に達するまでの回転の加速勾配(ACCEL)と、運転停止時にロータ2が設定回転数から停止状態になるまでの回転の減速勾配(DECEL)が、それぞれ数値レベルで対応づけて表示される。この設定も、作業者が加速・減速モード表示領域250を触れることによって、ポップアップ画面によって選択可能な加速勾配、減速勾配がそれぞれ表示され、ユーザによって選択される。機能表示部260は、その他の制御機能を選択するためのアイコンを表示するための表示欄であり、プログラムボタン261を含む複数のアイコンが表示される。これらのアイコンのいずれかを押すことで基本画面200から次の画面への切り替えが行われる。
【0018】
スタートボタン280は通常の遠心分離動作を開始するためのボタン(アイコン)であり、使用者がスタートボタン280をタッチすることにより、遠心分離動作が開始される。ストップボタン285は、遠心分離動作中に運転を途中停止するためのボタンである。ここで、本実施例では操作表示部10としてタッチ式の液晶ディスプレイを用いているので、ボタンとアイコンはほぼ同義であるので、「ボタンを押す」と「アイコンをタッチする」は同義である。ユーザ名表示領域270には、ログインしているユーザ名が表示される。図中ではユーザ名表示領域270には何も表示されていないが、特定のユーザがログインするとその登録されたユーザ名が「USER」のタイトル行の下に表示される。基本画面200には、さらにスタートボタン280とストップボタン285が設けられる。基本画面200の中央右側には機能表示部260があり、そこにはプログラムボタン261、RCFボタン等の各種のアイコンが表示される。
【0019】
ここで、本発明の実施例の一番の特徴を説明する前に、従来の遠心機における電源投入からプログラム運転を開始するまでの操作表示部10の画面状態遷移を
図10〜
図12を用いて説明する。本発明の遠心機1と従来の遠心機1のハードウェア構成は実質的に同じ構成であって、基本画面200もほぼ同じ画面を用いている。
【0020】
図10は、従来の遠心機における電源投入後の画面状態遷移図を示す。遠心機1の電源が投入されると制御部11は図示しない起動プログラムを実行すると共に、その起動の間に表示される起動画面を表示する(ステータス1001)。起動画面は、起動プログラムの実行中(起動が完了する前)に便宜的に表示される画面であって、通常は起動画面ではユーザの入力操作を受け付けない。次に、電源投入による起動完了後、即ち起動プログラムの実行が完了されてユーザによる通常の操作の受付が可能な状態となったら、
図2の基本画面200を表示する(ステータス1002)。基本画面200は、ユーザが画面に表示されたボタン等をタッチすることによって操作が可能なマニュアル入力用の画面である。ここでプログラム運転を行う場合は、基本画面200におけるプログラムボタン261をタッチすると、プログラムのリストが表示されるプログラム選択画面への表示に切り替わる(ステータス1003)。プログラム選択画面にて所望のプログラムを選択したら、呼出アイコンをタッチすることにより基本画面200に戻る(ステータス1002)。基本画面200にてスタートボタン280をタッチすることにより遠心分離運転が開始され、基本画面が表示され(ステータス1004)、遠心分離運転が終了すると基本画面が停止中の状態に戻る(ステータス1002)。
【0021】
ここで、
図11を用いて従来の遠心機におけるプログラム運転を指示するためのプログラム選択画面1100を説明する。この画面は、プログラムの選択画面として用いられるが、Administer等の管理者においてはプログラム運転の内容を入力したり修正したりする画面として用いられる。プログラム運転のリストの枠1110〜1150は、プログラム番号(No.)に所定の運転条件、即ち、ロータ速度、遠心運転時間、ロータ温度があらかじめ設定されるものであって、一般のユーザはこれらの枠1110〜1150をタッチすることにより所望のプログラム運転を選択する。ここでは、No.5のプログラム運転の枠1150は未入力のためリストの枠内に運転条件が表示されず空欄となっているが、これはNo.5にはプログラム運転が入力されていないためである。各プログラム運転の枠1110〜1150には、運転条件に加えてプログラム運転がどのような対象のどのような操作であるのか、その内容を示すために、REMARK欄が設けられ、そこにタイトルや説明文が入力される。プログラム選択画面1100の左下には呼出アイコン1160が表示される。
【0022】
プログラム選択画面1100の下側には、改ページアイコン1170a、1170bが表示され、これらをタッチする毎に頁が移動され、プログラムNo.6以上の多数のプログラム運転を設定することができる。Administer等の管理者であるユーザは、操作対象とする枠1110〜1150のいずれかを選択する画面を表示して選択ボタン1190をタッチすると、選択されたプログラム運転の入力又は編集を行うための詳細内容を示す別画面(図示せず)が表示されるので、その別画面から運転条件等を入力可能である。また、管理者であるユーザは枠1110〜1150のいずれかを選択したのちに削除アイコン1180をタッチすることにより、プログラム運転の内容を削除する(消去して未入力状態に戻す)ことができる。
【0023】
図10に戻り、プログラム選択画面において、運転条件を記憶しているプログラムリストの中から、希望とするプログラムを選択して、呼出アイコン1160をタッチする。すると制御部11は、プログラム運転として登録されている運転条件を反映させた状態で基本画面200を表示する(ステータス1002)。ユーザは希望とする運転条件が設定されていることを確認した後に、基本画面200のスタートボタン280をタッチすることにより遠心分離運転を開始する。
【0024】
次に、
図12のフローチャートを用いて、従来の遠心機1の電源投入からプログラム運転を開始するまでの操作手順をさらに説明する。
図12において、ユーザが遠心機1の電源を投入すると(ステップ1200)、起動画面が表示され(ステップ1210)、基本画面200が表示される(ステップ1220)。次に、ユーザにより基本画面200における機能表示部260のプログラムボタン261がタッチされたら(ステップ1230)、従来のプログラム選択画面(図示せず)を表示する(ステップ1240)。従来のプログラム選択画面において、ユーザは希望とする運転条件を記憶しているプログラムリストをタッチし(ステップ1250)、呼出アイコン1160をタッチする(ステップ1260)と、制御部11はプログラム内容を反映させた状態で基本画面200を表示する(ステップ1270)。ユーザは希望とする運転条件が設定されていることを確認後に、基本画面200のスタートボタン280をタッチし(ステップ1280)、遠心分離運転を開始する(ステップ1290)。以上説明したように、従来の遠心機においては基本画面200からプログラム選択画面を呼び出して、所望のプログラムを選択した後に、再び基本画面を呼び出してから、遠心分離運転を開始するように構成していた。
【0025】
次に、
図3を用いて、本発明の実施例に係る遠心機1の電源投入からプログラム運転を開始するまでの操作表示部10の画面状態遷移を説明する。本実施例では、従来の画面遷移(点線で示している)に加えて、新たな操作モードとして実線で示す画面推移を(プログラム操作モード用の操作手順)を実現したことを特徴とする。点線矢印で示す状態遷移は
図10で示した従来の状態遷移と同じ流れである。
【0026】
遠心機1の電源が投入されると起動画面を表示する(ステータス61)。ここで制御部11は、操作モードの設定が点線で示す通常のモードか、新たに設定された実線矢印で示すプログラム操作モードであるかを判断する。遠心機1の電源投入後に。制御部11はあらかじめユーザにより設定された操作モードがプログラム操作モードであった場合は、基本画面200を表示せずに、プログラム選択画面300(
図4で後述)を表示する(ステータス63)。一方、通常操作モードが設定されていた場合は、点線矢印のように遷移して基本画面200を表示する(ステータス62)。プログラム運転は、基本画面200およびプログラム選択画面300から開始できるものとする。基本画面200から運転開始をする(ステータス62)場合は、
図11で説明した従来と同様の手順となるため説明を省略する。プログラム選択画面300から運転開始をする(ステータス63)場合にユーザは、まず希望とする運転条件を記憶しているプログラムのプログラム選択ボタンをタッチし、次に同画面のスタートボタンをタッチすることで遠心分離運転を開始する。スタートボタンがタッチされた後は、制御部11は自動的に基本画面200を表示し(ステータス64)、運転状態たる回転数回転数、経過時間221、ロータ温度231等をリアルタイムに表示する。遠心分離運転が終了したら、制御部11は自動的にプログラム選択画面300の表示に戻す(ステータス63)。さらに、続けて同プログラムに登録されている運転条件で運転を行う場合は、前回の運転のままプログラムが選択されている状態となっているため、ユーザはプログラム選択画面のスタートボタンをタッチする操作のみで、遠心分離運転を開始することができる。
【0027】
次に、
図4を用いて操作表示部10に表示されるプログラム選択画面300を説明する。プログラム選択画面300には、あらかじめ制御部11に記憶させた複数の運転条件の中から運転したい運転条件の選択を行う9個のプログラム選択ボタン310〜390を同一画面上に並べて表示したものである。また、プログラム選択画面300の左下には運転条件表示欄410が設けられ、ユーザによって選択されているプログラムに登録されている運転条件の内容を同一画面中に表示する。さらに、プログラム選択画面300の右下には、スタートボタン440とストップボタン445が表示される。スタートボタン440とストップボタン445の機能は、基本画面200のスタートボタン280とストップボタン285の機能と同一である。
【0028】
プログラム選択ボタン310〜390は、運転条件が記憶されている場合は、ユーザが選択した任意の色で表示され、プログラム選択ボタン310、340の内部には、ユーザが自由に設定できるコメント311、341を表示する。ここでプログラム運転とは、例えば、遠心分離運転を1つ又は複数のステップに区切って、ステップ毎に遠心機の運転条件(回転速度・時間・温度等)を設定できるようにして、制御部によって設定されたステップを順番に自動運転できるようにした機能である。
【0029】
運転条件が記憶されていない場合は、プログラム選択ボタン350に示したようにグレーで表示する等の他のプログラム選択ボタン310、340等とは異なる形態にて表示することによって、プログラムが未入力状態であることをユーザが識別できる。また、前記操作部を用いてユーザが指定したロータ、または遠心機が有するロータ判別機能により判別したロータ2では実行できないプログラムに対しては、実行不能である旨を示すためにグレー表示するか、プログラム運転条件のアイコンのみを表示するようにしても良い。尚、本実施例では、運転条件が記憶されていないプログラム選択ボタン350および370をグレーで表示したが、これに限られるものではなく、運転条件が記憶されている状態(プログラム選択ボタン310、340等)と色彩、模様、フォント等の表示態様を変えて表示すればよい。また、運転条件が記憶されていないプログラム選択ボタン350、370は、選択ボタン自体を表示しないように構成しても良い。
【0030】
プログラム選択画面300において、ユーザが選択したプログラム、または事前に動作させたプログラムが太枠305によって選択されていることがわかるように表示される。ここでは、プログラムNo.4のプログラム選択ボタン340が選択されている状態を示している。この状態では、プログラムNo.4に登録されている運転条件の内容が運転条件表示欄410の内部に表される。尚、プログラム運転が複数ステップからなる場合には、プログラム選択ボタン340の表示欄を拡大して、各ステップの詳細がわかるように表示しても良い。ユーザは、プログラム選択ボタンのいずれかを選択すると、基本画面200に戻らなくても運転条件表示欄410の表示を確認することによって、プログラムの内容、即ち回転速度(22,000rpm)、運転時間(60分30秒)、設定温度(4℃)、加速勾配(ACCELが4)、減速勾配(DECELが7)であることを即座に認識することができる。そこで、プログラム選択画面300においてスタートボタン440をタッチすることですぐに遠心分離運転を開示させることができる。
【0031】
本実施例では遠心機の電源ONをすると、起動画面の次にプログラム選択画面300を表示することができるので、ユーザはプログラム選択ボタンのタッチと、それに続くスタートボタン440のタッチの2つの操作だけで、迅速に所望のプログラム運転を開始させることができる。しかもこの際に、運転条件表示欄410にてプログラム運転の詳細内容を確認することができるので、基本画面(マニュアル入力画面)200を呼び出すことにより基本画面に戻らなくても、運転条件を確認した上で遠心分離運転の開始を行うことができる。
【0032】
プログラム選択画面300の下方には、プログラム選択画面のページを“進める”又は“戻す”ための改ページアイコン430a、430bと、ユーザにより選択されたプログラムの変更・呼出・削除等の処理を選択するMENUアイコン420が設けられる。この実施例ではプログラム選択画面300上にプログラム選択ボタン310〜390の計9つのボタンが表示されるが、登録するプログラムはこれ以上の数が可能であり、改ページアイコン430a、430bを操作することにより前頁(
図4の表示状態では前頁無し)又は次頁に移動して他のプログラムNoを表示することが可能である。MENUアイコン420は、プログラム選択画面300から他の画面へ移行するための操作用のアイコンであって、図示していないがMENUアイコン420をタッチすると、複数の操作アイコン(図示せず)が表示された小さいプルアップ画面が表示され、ユーザはそれらのうち所望の操作アイコンをタッチする。プルアップ画面中に表示されるアイコンとしては、基本画面200へ戻るための「呼出」、プログラムの編集を行うための「編集」、プログラムを削除するための「削除」、プログラムに登録されるカウント417の値をクリアするための「カウントクリア」等の様々なアイコンを表示できる。ここで、「編集」「削除」については、Administer等のプログラム内容を編集する権限を有する管理者たるユーザが、この画面からプログラム選択ボタンに登録された内容を編集や削除をする画面への遷移を行うことができる。別画面での入力の際には、
図4のプログラム選択画面300に対応する運転条件の内容の入力や編集、カウント値のクリア、さらなる補足説明の入力、ポップアップヘルプを表示するか否かの指示、ポップアップヘルプで表示される文章などの様々な情報を登録できるように構成すると良い。ポップアップヘルプの表示を選択した際には、
図4のプログラム選択画面300でユーザが所定の枠(例えばプログラム選択ボタン340)をタッチすることにより、その近傍又は所定のエリアにその内容を数秒間だけ自動的に表示するように構成しても良い。
【0033】
本実施例では、プログラム運転の実行回数を集計するための便利な機能として、カウント417が設けられる。これは、ロータの停止→加速→整定(遠心分離運転)→減速→ロータの停止、等のプログラムによって制御される一連の遠心運転の実行をする毎に自動的に1ずつカウントアップするものであって、プログラム番号毎に集計、管理される。カウント417の値は制御部11内の図示しない不揮発性メモリに格納されるので、遠心機の電源を切ってもクリアされずに保持される。このカウント417の欄を設けることによって、作業量の把握や、同じ遠心分離運転を繰り返すような場合に、現在何回目のプログラム運転であるかを容易に把握することが可能となる。このカウント417は任意にクリア(カウント値を0にセットする)事が可能であり、例えば、
図3のようにプログラムNo.4を選択して太枠305が表示された後に、MENUアイコン420をタッチして、プルアップされるアイコン群から「カウントクリア」をタッチするだけで、表示されているカウント417を“0”に変更できる。尚、誤操作防止のためにユーザが「カウントクリア」をタッチしたら、「プログラムNo.○のカウント値をクリアしますか? YES/NO」と問い合わせるようにして、ユーザの確認を促すように構成しても良い。
【0034】
次に、
図5のフローチャートを用いて、本発明の実施例に係る遠心機1の電源投入からプログラム運転を開始するまでの操作手順を説明する。
図5で示す制御は、例えば、マイクロプロセッサを有する制御部11においてコンピュータプログラムを実行することによりソフトウェア的に実行できる。ユーザが遠心機1の電源を投入すると(ステップ100)、起動画面が表示され(ステップ101)、制御部11は、操作モードの設定が通常操作モードか、またはプログラム操作モードであるか判断する(ステップ102)。操作モードがプログラム操作モードであった場合は、制御部11は起動画面の表示後に基本画面200を表示せずに直接プログラム選択画面300を表示する(ステップ105)。このように基本画面200の表示をスキップすることが可能とすれば、毎回ほぼ同じプログラム運転を行うルーチン作業を行うユーザにとっては、目的の画面に到達するまでに表示される画面操作数が減少される。一方、ステップ102において操作モードが通常操作モードであった場合は、基本画面200を表示する(ステップ103)。ここでステップ102の判断は、遠心機1の初期設定の項目の一つとして、起動後の起動画面表示後の次に表示する操作モードを、通常操作(基本画面200を表示)か、プログラム操作(プログラム選択画面300を表示)かを前もって設定可能なように構成すれば良い。
【0035】
この操作モード設定画面900を示すのが
図9である。ユーザは基本画面200(
図2参照)のメニュータブ205をタッチして、表示されるアイコン群の中から「操作モードの設定」を行う。操作モード設定画面900では、電源投入後の画面表示として、プログラム操作モードを設定する場合は、プログラム操作モードアイコン920をタッチする。プログラム操作モードが設定された場合は、基本画面200からの運転条件の変更を不可とし、プログラム運転のみ可能とする操作の制限を行うように構成しても良い。一方、通常操作モードを設定する場合は、通常操作アイコン930をタッチする。通常操作モードが設定された場合は、従来と同様の操作を行うことができる。操作モード設定画面900のいては、どちらのアイコンが選択されているかはアイコンに囲まれる太枠940にて認識できるが、アイコンの選択状況を識別させる方法は太枠だけに限られないので、その他の表示態様としても良い。設定された内容を確定させる場合は、クローズボタン950をタッチすると元の画面に戻ることができる。
【0036】
再び
図5のフローチャートに戻る。ステップ103において、ユーザにより基本画面200における機能表示部260のプログラムボタン261がタッチされたら(ステップ104)、プログラム選択画面300が表示される(ステップ105)。基本画面200においては、すべての運転条件をユーザがその都度入力して遠心分離運転を開始するようなその他の操作も可能であるが、ここではプログラム運転を選択する場合にのみ特化して説明を続ける。
【0037】
次に、プログラム選択画面300において、ユーザは希望とする運転条件を記憶しているプログラムのプログラム選択ボタン310〜390のいずれかをタッチする(ステップ106)。例えば、
図4の表示画面からプログラム選択ボタン340の欄をタッチするような場合である。尚、デフォルトとしてその前に運転が行われたプログラム選択ボタンに予め太枠305を付加して選択状態としておいても良いので、毎日同じプログラム運転だけを実行しているユーザにとっては、選択されているプログラム運転がN0.4であることを確認すればステップ106の操作は不要となり、プログラム選択のための入力操作を省略できる。次に、ユーザは、プログラム選択画面300(
図4参照)の右下に表示されるスタートボタン440をタッチするか、又は、MENUアイコン420から呼出ボタンをタッチする(ステップ107)。制御部11は、ユーザによりタッチされたボタンがスタートボタン440か、またはMENUアイコン420中の呼び出しであるかを判断する(ステップ108)。
【0038】
ユーザによりタッチされたボタンがスタートボタン440の場合は、基本画面200を表示し(ステップ109)、遠心分離運転を開始する(ステップ112)。一方、ユーザによりタッチされたボタンが呼出ボタンであった場合は、制御部11は基本画面200を表示して(ステップ110)、ユーザによる次の操作を待つ。ユーザは基本画面200にて希望とする運転条件が設定されていることを確認し、必要ならば修正をした後に、基本画面200のスタートボタン280をタッチして(ステップ111)、遠心分離運転を開始する(ステップ112)。このようにしてプログラムされた一連の遠心分離運転が終了すると、演算部は処理を終了して、ステップ102に戻る。
【0039】
以上説明したように、本実施例によれば、電源投入後に基本画面200を表示するのか、またはプログラム選択画面300を表示するのか、ユーザの都合に合わせた選択ができ、さらにプログラム選択画面300より運転開始を可能にしたことで、多くても運転条件の選択と運転開始の2操作で遠心分離運転ができる遠心機を提供できる。さらに、電源投入からプログラム運転開始までの操作手順もユーザの意思で選択することができる。本実施例では、上述した機能だけで無く、いくつかの追加機能を設けることができる。
【0040】
各々のプログラムに登録されている運転条件の変更は、プログラム選択画面300より行うが、管理者の判断により他のユーザに運転条件等の変更をさせない場合は、初期設定項目の一つとして、
図6に示すようなメモリロック設定画面600において、メモリロック有効アイコン901をタッチすることで、一般のユーザはプログラムに登録されている運転条件の変更や削除等を不可とすることができる(ロック機能)。但し、運転条件の参照等の操作は可能とする。メモリロック設定画面600は、基本画面200(
図2参照)のメニュータブ205をタッチして、表示されるアイコン群の中から「メモリロックの設定」を行うことで遷移できる。メモリロック設定画面600では、メモリロックを設定する場合は、有効アイコン620をタッチする。有効アイコン620が選択された場合(太枠640にて囲まれる)は、プログラム選択画面300からの運転条件の変更が不可とされ、プログラム運転のみが実行可能とされる。一方、通常操作モードを設定する場合は、無効アイコン630をタッチする。無効アイコン630が設定された場合は、従来と同様の操作を行うことができる。元の画面に戻る際には、右上のクローズボタン650をタッチする。
【0041】
次に
図7を用いてユーザロックアウトの設定を説明する。ユーザロックアウト設定画面700は、基本画面200(
図2参照)のメニュータブ205をタッチして、表示されるアイコン群の中から「ユーザロックアウトの設定」を行うことで遷移できる。ユーザロックアウト設定画面700では、ユーザロックアウト有効アイコン720をタッチすることで、あらかじめ登録された管理者以外のユーザは、プログラムに登録されている運転条件を変更できない操作制限機能を実現できる。ユーザロックアウトを有効と設定された場合は、
図8にて後述するユーザ管理画面800において、Access levelがAdministrator(管理者)となっているユーザを選択された時(
図8では、ユーザ選択ボタン820、または830を選択された時)のみ、プログラムに登録されている運転条件を変更できる。ユーザロックアウトの制限を行わない場合はユーザロックアウト無効アイコン730をタッチする。どちらのアイコンが選択されているかは、太枠740で表示されるが、これは枠を設けるだけで無く色や輝度を変える等のその他の識別可能な態様にて表示すれば良い。
【0042】
図8は、遠心機1におけるあらかじめ登録されているユーザをリスト形式で表示する、ユーザ管理画面800を示す図である。
図8のユーザ管理画面800は、基本画面200のユーザ名表示領域270の領域内をタッチして表示することで遷移できる。遠心機1においては、操作を許容するユーザを予め登録しておいて、遠心機1の使用をする際にログインさせることにより、ユーザを限定することが可能である。ユーザの登録においては、アクセルレベルとして、Administer、Supervisor、User等の管理レベルを設定して、ユーザ毎にログインした時間を管理することが可能である。ここではユーザ選択ボタン820〜850までの複数のユーザが登録されているが、登録できるユーザは4人だけでなく、多数のユーザが登録可能である。その場合は改ページアイコン870a、870bをタッチすることによりユーザ管理画面800の表示を改ページすることができる。尚、ユーザ管理画面800にてユーザがログインを行うことが可能であって、その場合はユーザ選択ボタン820〜850のいずれかを選択して、ログインアイコン860をタッチし、その後にポップアップ表示される入力欄でパスワードを入力する。
【0043】
以上、本発明を実施例に基づき説明したが、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では、各々のプログラムへの運転条件の登録状態に係わらず、プログラム選択画面300に全てのプログラムのプログラム選択ボタン310を表示しているが、ユーザが指定したロータ、または遠心機が有するロータ判別機能により自動判別したロータを使用可能な運転条件が登録されているプログラムのプログラム選択ボタン310のみを表示しても良い。また、プログラム運転条件ごとにカウントしている実行回数の多い順、または少ない順にプログラム選択ボタン310を並べて表示するようにしても良い。その他、ユーザが指定したプログラム選択ボタン310の色や形状ごとに並べても良い。