(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電池パックは、複数の電池セルが電気的に接続された電池モジュールを少なくとも一つ有する。電池モジュールは、有底筒状のケースに収容されており、ケースの開口は蓋で塞がれている(特許文献1参照)。
【0003】
電池パック内の電池モジュールを、電池パックの外側に配置される外部機器に接続する構成として、例えば、
図6のような外部接続構造が考えられる。
図6は、外部接続構造の一例を説明するための模式図である。
図6では、上記外部機器として、モータのような駆動装置Dを模式的に示している。
【0004】
図6に示した電池パック100が有する外部接続構造102は、有底筒状のケース104内に収容された電池モジュールを外部接続するために、コネクタ端子106を有する。コネクタ端子106は、ケース104の開口を塞ぐ蓋108に対して蓋108を貫通するように配設されている。具体的には、コネクタ端子106は、蓋108に形成されている貫通孔に絶縁部材110を介して配設されている。コネクタ端子106と蓋108との間には、Oリングといったシーリング部材112が設けられていてもよい。
【0005】
コネクタ端子106において、蓋108の外側に位置する端部114には、駆動装置Dと電池パック100とを電気的に接続する際、駆動装置Dに電気的に接続された配線116に設けられた接続端子118がボルト120によって締結される。コネクタ端子106のケース104の内側の端部122には、バスバー124が取り付けられている。
【0006】
図6に示すように、バスバー124は導電板であり、蓋108に平行に配置されている。バスバー124の一端部側には、コネクタ端子106に設けられたネジ部126に固定ナット128を螺合することによって、コネクタ端子106が取り付けられている。また、バスバー124は、蓋108に一端が固定された支持部材130によって蓋108に対して支持されている。具体的には、支持部材130においてバスバー124側の端部に設けられたネジ部132に固定ナット134を螺合することによって、支持部材130とバスバー124とが締結されている。
【0007】
図6に示した外部接続構造では、バスバー124に電池モジュールを電気的に接続することによって、バスバー124及びコネクタ端子106を介して、電池モジュールを、電池パック100の外部に位置する駆動装置Dに電気的に接続可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図6に示したような平板状のバスバー124を使用した形態では、コネクタ端子106の外側の端部114に、例えば、接続端子118を締結する際の回転力(トルク)によって、支持部材130をバスバー124に締結しているネジ機構の一部を構成する固定ナット134が滑り得る。これは、接続端子118を締結する際の回転力(トルク)が、ネジ部132と固定ナット134との螺合により生じるトルクより大きい場合に生じる傾向にある。これによって、支持部材130とバスバー124との締結が緩んだり、或いは、バスバー124又は固定ナット134が摩耗し、結果として、支持部材130とバスバー124との接続状態を適切に維持できない恐れがある。
【0010】
ここでは、
図6を参照して、支持部材130とバスバー124との接続状態の一例について説明したが、バスバー124に他の部材がネジ機構により締結される場合についても同様の問題が生じ得る。
【0011】
そのため、本発明は、外部接続用のコネクタ部に固定された導電部材に被固定部材がネジ機構によって締結されている場合に、コネクタ部に回転力が作用しても、導電部材と被固定部材とのネジ機構による締結状態が緩みにくい電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面に係る電池パックは、(A)電気的に接続された複数の電池セルを含む電池モジュールと、(B)電池モジュールを収容する収容空間及び当該収容空間と外部とを連通する貫通孔を有する筐体と、(C)貫通孔に対して配置される外部接続用端部を有する、コネクタ部と、(D)収容空間に配置されておりコネクタ部と電池モジュールとを電気的に接続する導電部材と、を備え、コネクタ部における外部接続用端部には、締結具と螺合する被締結部が設けられており、導電部材は、コネクタ部に固定される第1導電板と、締結具を被締結部に螺合する際の締結具の回転方向に第1導電板が回転したとした場合において、第1導電板における、その第1導電板の回転方向の前方又は後方側の側面に設けられており、被固定部材がネジ機構により締結される第2導電板と、を有し、締結具を被締結部に螺合する際の回転軸方向と、ネジ機構による第2導電板と被固定部材との締結方向とは交差している。
【0013】
上記構成では、筐体が有する収容空間と外部とを連通する貫通孔が筐体に形成されているので、コネクタ部における外部接続用端部、及び貫通孔を利用してコネクタ部を外部接続可能である。そして、外部接続用端部には、締結具と螺合可能な被締結部が設けられていることから、締結具と被締結部とにより、例えば、外部機器に電気的に接続された配線に設けられた接続端子を、コネクタ部の外部接続用端部に締結し得る。コネクタ部には、第1導電板が固定されているので、コネクタ部に導電部材が固定されていることになる。
【0014】
そのため、電池パックでは、導電部材、コネクタ部及び筐体に形成されている貫通孔を利用して、収容空間内に収容された電池モジュールを、上記外部機器に電気的に接続し得る。
【0015】
締結具を被締結部に螺合させる場合、締結に伴う回転力がコネクタ部を介して第1導電板、すなわち、導電部材に作用する。第2導電板は、締結具を被締結部に螺合する際の締結具の回転方向に第1導電板が回転したとした場合において、第1導電板における上記回転方向の前方又は後方側の側面に設けられている。そして、締結具を被締結部に螺合する際の回転軸方向と、ネジ機構の軸力方向とは交差している。
【0016】
上記構成では、締結具を被締結部に螺合する際の回転力は、ネジ機構の軸力方向に交差する面に作用する。そのため、第2導電板に、ネジ機構を利用して被固定部材を締結していている場合に、上記回転力が第1導電板に作用しても、第2導電板と被固定部材とのネジ機構による締結状態が緩みにくい。
【0017】
一形態において、導電部材は、筐体に対して固定されていてもよい。
【0018】
この場合、導電部材は筐体に対して固定されているので、締結具を被締結部に螺合させる場合の締結に伴う回転力が導電部材に作用し易い。よって、第2導電板と被固定部材とのネジ機構による締結状態が緩みにくい上記構成は有効である。
【0019】
一形態における電池パックは、筐体に固定される第1端部と導電部材に接続される第2端部とを有し、筐体に対して導電部材を支持する被固定部材としての支持部材を更に備え、ネジ機構は、支持部材の第2端部に設けられるネジ部と、ネジ部に螺合する固定ナットとを有してもよい。
【0020】
この場合、支持部材は、第1端部を介して筐体に固定され、支持部材の第2端部に設けられたネジ部と、そのネジ部に螺合する固定ナットとを有するネジ機構により、第2導電板と支持部材とが締結される。これにより、支持部材によって、導電部材が筐体に固定されることになる。このような状態で、締結具を被締結部に螺合させる場合の締結に伴う回転力が導電部材に作用しても、第2導電板と被固定部材とのネジ機構による締結状態が緩みにくい。
【0021】
一形態において、第1及び第2導電板をそれぞれ厚さ方向からみた場合の形状は矩形であり、第2導電板は、第1導電板において第1導電板の長手方向に延在する側面に設けられており、第1導電板の長手方向における第2導電板の長さは、第1導電板の長手方向の長さより短くてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、外部接続用のコネクタ部に固定された導電部材に被固定部材がネジ機構によって締結されている場合に、コネクタ部に回転力が作用しても、導電部材と被固定部材とのネジ機構による締結状態が緩みにくい電池パックを提供し得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0025】
一実施形態に係る電池パック10は、
図1及び
図2に模式的に示されているように、筐体12と、筐体12に収容されている複数の電池モジュール14と、電池モジュール14を外部接続するための一対の外部接続部16
P,16
Nとを備える。
【0026】
図1及び
図2に示すように、筐体12は、有底筒状のケース18と、蓋20とを有し、ケース18及び蓋20により電池モジュール14を収容する収容空間が形成されている。ケース18は、平板状の底板22に筒状の側壁24が立設されることによって構成されており、底板22と反対側が開放された有底筒の箱体である。ケース18の材料の例は、鉄(SS400)である。ケース18の平面視形状の例は、
図1及び
図2に示したような矩形に限定されず、例えば、正方形を含む四角形でもよいし又は他の多角形(例えば、五角形及び六角形等)でもよい。蓋20は、ケース18の開口18aを塞ぐように、側壁24の底板22と反対側の端部24a(ケース18の開口18a側の端部)に設けられている。蓋20の材料の例は、ケース18の材料と同じとし得る。
【0027】
各電池モジュール14はケース18に固定されている。
図2に示したように、各電池モジュール14は、複数の電池セル26を有する。電池セル26の例は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池といった蓄電池である。各電池セル26は、一対の電極端子28
P,28
Nを有しており、電極端子28
Pは正極端子として機能し、電極端子289
Nは負極端子として機能する。
【0028】
各電池モジュール14が有する複数の電池セル26は並設されており、バスバー30を介して電気的に直列接続されている。
図2では、バスバー30と、電極端子28
P,28
Nとの接続構成を模式的に示しているが、バスバー30と電極端子28
P,28
Nとは、例えば、ボルト又は固定ナットのような締結具を利用して接続され得る。複数の電池セル26は、通常、拘束部材によって拘束され一つの電池モジュール14を構成している。電池モジュール14を構成する複数の電池セル26は電気的に並列接続されていてもよい。
【0029】
電池セル26が蓄電池である形態において、電池セル26の構成の一例を説明する。電池セル26は、電池セル用筐体を有する。電池セル用筐体内には、電解液が充填されていると共に、負極とセパレータと正極とを積層してなる電極組立体が収容されている。一対の電極端子28
P,28
Nは、一端部が電池セル用筐体の内側に配設され、他端部が電池セル用ケースの外側に位置するように、電池セル用筐体と絶縁された状態で電池セル用筐体に設けられている。電極端子28
P及び電極端子28
Nの電池セル用筐体の内側に配設された端部のそれぞれには、上記電極組立体の正極及び負極が電気的に接続されている。そのため、電極端子28
P,28
Nは、それぞれ正極端子及び負極端子として機能する。
【0030】
外部接続部16
P,16
Nは、筐体12内に収容された複数の電池モジュール14を、電池パック10の外側に位置するモータのような駆動装置D(
図3参照)に電気的に接続するための外部接続機構である。電池パック10が電気的に接続される外部機器として駆動装置Dを例示するが、外部機器は、駆動装置Dに限定されない。
【0031】
外部接続部16
Pは、各電池モジュール14が有する複数の電池セル26の電極端子28
Pに対応して設けられた正極用の外部接続部である。外部接続部16
Nは、各電池モジュール14が有する複数の電池セル26の電極端子28
Nに対応して設けられた負極用の外部接続部である。
【0032】
外部接続部16
P,16
Nの構成は実質的に同じである。そのため、外部接続部16
P,16
Nを外部接続部16と称して、
図2〜
図4を参照して外部接続部16について説明する。以下の説明では、電極端子28
P,28
Nも電極端子28と称す。外部接続部16
P,16
Nの構成要素及び外部接続部16
P,16
Nに対応する構成要素を区別して説明する場合は、外部接続部16
Pの構成要素等については下付きの「P」を付し、外部接続部16
Nの構成要素等については下付きの「N」を付して説明する場合もある。
【0033】
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図であるため、外部接続部16
Pが図示されていることになるが、図中、下付きのPは省略している。
図3では、説明の便宜のため、外部機器としての駆動装置Dと、駆動装置Dと電池パック10との接続形態の一例も図示している。
【0034】
外部接続部16は、導電性を有するコネクタ端子(コネクタ部)32と、コネクタ端子32に固定されたバスバー(導電部材)34と、バスバー34を支持する2つの支持部材36と、バスバー34と各電池モジュール14とを電気的に接続する複数の配線38とを有する。複数の配線38は、ワイヤーハーネスを構成し得る。
【0035】
コネクタ端子32は、蓋20の厚さ方向に延在しており、蓋20を貫通するように蓋20に対して配設されている。コネクタ端子32は、蓋20に形成されており筐体12が有する収容空間と筐体12の外部とを連通する貫通孔20aを通って筐体12の外側に突出する突端部40と、筐体12の内側に配設される基端部42とを有する。コネクタ端子32は導電性を有しているので、蓋20との絶縁性を確保するために、絶縁部材44を介して貫通孔20a内に配置されていてもよい。基端部42と蓋20との間には、基端部42と蓋20との絶縁性及びシール性を確保するためにOリングのようなシーリング部材45が配置されてもよい。
【0036】
突端部40は、貫通孔20aから筐体12外側に突出するように基端部42から延びる円柱状の部分であり、突端部40の径は、貫通孔20aの径よりも小さい。駆動装置Dと電池パック10とを電気的に接続するため、突端部40には、駆動装置Dに電気的に接続された配線46の一端に設けられた接続端子48が締結される。接続端子48を締結するために、突端部40において蓋20の外側に位置する外部接続用端部40aには、コネクタ端子32の延在方向(軸方向)に延びるネジ孔(被締結部)50が形成されている。上述したように、突端部40は、貫通孔20aを通って筐体12の外側に突出しているので、突端部40及びその外側の端部である外部接続用端部40aは、貫通孔20aに位置合わせされ、貫通孔20aに対向するように配設されている。
【0037】
上記構成のコネクタ端子32では、接続端子48に形成されている挿通孔に通されたボルト(締結具)52をネジ孔50に螺合することによって、ボルト52とネジ孔50とにより接続端子48が突端部40に締結され得る。
【0038】
基端部42は、円柱状又は六角柱のような柱状を呈している。基端部42の径は、
図3に示したように、突端部40の径より大きくてもよい。基端部42の下面(突端部40と反対側の面)には、外周面にネジ山が形成された軸部であるネジ部54が設けられている。基端部42は、ネジ部54を利用してバスバー34に接続されている。
【0039】
図3に示したように、バスバー34は、2つの支持部材36を介してケース18に固定されている。支持部材36は、バスバー34を介してコネクタ端子32を支持しているので、支持部材36は、端子台として機能していることになる。
【0040】
支持部材36は、一方向に延在する柱状体であり絶縁材料から構成されている本体部56を有する。本体部56の軸方向に直交する断面の形状は、円形でもよいし、又は、正方形若しくは矩形のような四角形でもよい。本体部56の側壁24側の端部58は、側壁24に固定されている。例えば、端部58に、表面にネジ山が形成された軸部であるネジ部60を設けておき、側壁24に形成されているネジ孔62とネジ部60を螺合することによって、端部58が側壁24に固定されていてもよい。
【0041】
本体部56において端部58と反対側の端部64には、外周面にネジ山が形成された軸部であるネジ部66が設けられている。支持部材36は、ネジ部66を利用してバスバー34に接続されている。端部58は、支持部材36において、ケース側端部(第1端部)に対応し、端部64は、支持部材36において、バスバー側端部(第2端部)に対応する。よって、ネジ部66は、支持部材36において、バスバー側端部に設けられていることになる。
【0042】
バスバー34は、
図2〜
図4に示すように、基端部42に固定される第1導電板68と、支持部材36と接続される第2導電板70とを有する。
【0043】
第1導電板68は金属製の平板であり、その厚さ方向から見た形状の例は矩形である。
図3及び
図4に示したように、第1導電板68には、基端部42に設けられたネジ部54が通される挿通孔68aが形成されている。
図3に示したように、挿通孔68aに挿通されたネジ部54に固定ナット72を螺合することによって、第1導電板68は基端部42に固定されている。よって、第1導電板68は、コネクタ端子側バスバーである。
【0044】
第2導電板70は、接続端子48をコネクタ端子32に取り付ける際のボルト52の回転方向(例えば、ボルト52側から見て右回り)に、第1導電板68が回転したと仮定した場合に、第1導電板68において上記回転方向の前方側に位置する側面68b又は第1導電板68において、上記回転方向の後方側に位置する側面68cに一体的に連結されている。第2導電板70も第1導電板68と同様に金属製の平板である。
【0045】
図2及び
図4に示したように、第1導電板68の平面視形状(厚さ方向からみた形状)が矩形であり、一方の端部側に挿通孔68aが形成されている形態では、第2導電板70は、第1導電板68の長辺方向に延在する側面68b又は側面68cに一体的に連結されている。
【0046】
図2に示したように、例えば、バスバー34
Pにおいては、第2導電板70
Pは、第1導電板68
Pの側面68b
Pに一体的に連結されており、バスバー34
Nにおいては、第2導電板70
Nは、第1導電板68
Nの側面68c
Nに一体的に連結されてもよい。
【0047】
バスバー34の一例の斜視図である
図4を参照して、バスバー34について更に詳述する。説明の便宜のため、
図4に示したように、第1導電板68の厚さ方向をZ方向と称し、Z方向に直交する2つの方向をX方向及びY方向と称す。X方向は、側面68bにおいて、Z方向に直交する方向である。
【0048】
第2導電板70は、第2導電板70の厚さ方向(
図4のY方向)が第1導電板68の厚さ方向(
図4のZ方向)と交わる(例えば、直交する)ように、第1導電板68に一体的に連結されている。第2導電板70の厚さ方向から見た場合の形状の例は矩形である。第2導電板70が矩形を呈している形態では、第2導電板70のX方向の長さは、第1導電板68のX方向(長手方向)の長さより短くてもよい。この場合、第2導電板70は、バスバー34において、Z方向に延在していることになる。
【0049】
第2導電板70には、各支持部材36の端部64に設けられたネジ部66(
図3参照)が通される挿通孔70aが形成されている。挿通孔70aは、例えば、Z方向における第2導電板70の両端側にそれぞれ設けられていてもよい。第2導電板70には、各電池モジュール14と第2導電板70とを電気的に接続するために、ボルト74(
図3参照)を挿通するための挿通孔70bが更に形成されている。挿通孔70bを利用して第2導電板70に複数の電池モジュール14が接続されるので、第2導電板70は、電池モジュール側バスバーである。
【0050】
バスバー34は、例えば、
図5(a)及び
図5(b)に示したようにして、製造され得る。
図5(a)及び
図5(b)では、
図4に例示した形態のバスバー34(34
P)を製造する場合の製造工程を一例として図示している。
【0051】
バスバー34を製造する場合、
図5(a)に示したように、一枚の平板状の導電板76を準備する。そして、導電板76のうち第1導電板68となる第1領域78と、導電板76のうち、第1領域78と交わる方向に延在しており第2導電板70となる第2領域80とを残すように導電板76を切り欠く。
図5(a)では切り欠く部分を、一点鎖線で示すと共に、ハッチングによって表している。このような切欠き加工で形成される領域の一例は、
図5(a)のハッチング以外の領域のようにL字状の領域である。
【0052】
その後、
図5(b)に示したように、第2領域80が導電板76の厚さ方向に延在するように第1領域78に対して第2領域80を折り曲げる。これにより、第1領域78を第1導電板68とし、第2領域80を第2導電板70とするバスバー34を得る。挿通孔68a,70a,70bは、切欠き加工前の導電板76の状態で形成していてもよいし、又は、切欠き加工後の導電板76の状態で形成していてもよい。
【0053】
バスバー34の製造方法は、上述した例に限定されず、第1導電板68と第2導電板70とを溶接などによって接合することによって、製造されてもよい。また、第1導電板68のX方向に長さに対して、第2導電板70のX方向の長さが同じ形態のバスバー34を製造する場合、上述した切り欠き加工を省略すればよい。
【0054】
図3に示したように、バスバー34は、電池パック10において、ネジ部54と固定ナット72とにより、コネクタ端子32に接続されている。このような接続形態では、コネクタ端子32の延在方向に対して第1導電板68は交わる方向に延在している。コネクタ端子32は導電性を有するので、上記コネクタ端子32と第1導電板68の接続により、コネクタ端子32とバスバー34とが電気的に接続されていることになる。
図3では、一例として、コネクタ端子32と第1導電板68とは直交している状態を図示している。
【0055】
電池パック10において、第2導電板70の挿通孔70aに通されたネジ部66に固定ナット82を螺合することによって、第2導電板70と支持部材36とが、第2導電板70の厚さ方向或いは支持部材36の延在方向(軸方向)に締め付けられて接続されている。これにより、バスバー34は、支持部材36によってケース18に対して固定されている。上記構成では、ネジ部66と固定ナット82とは、第2導電板70と支持部材36とを締結するネジ機構83を構成している。そして、第2導電板70は、ネジ機構83の軸力方向(ネジ部66の軸線方向)が、ボルト52とネジ孔50とを螺合する際の回転軸方向(ボルト52の軸線方向)と交差するように第1導電板68に対して設けられていることになる。
【0056】
更に、電池パック10においては、各電池モジュール14の電池セル26に電気的に接続された配線38の一端に設けられた接続端子84の挿通孔と挿通孔70bとにボルト74を通し、そのボルト74に固定ナット86を螺合することによって、接続端子84と第2導電板70が締結されている。これにより、バスバー34と各電池モジュール14とが電気的に接続されている。
【0057】
上記接続形態によって、コネクタ端子32に電気的に接続されたバスバー34と各電池モジュール14が電気的に接続されることになる。そのため、接続端子48をコネクタ端子32に締結することで、駆動装置Dと、各電池モジュール14とが電気的に接続される。その結果、筐体12内の電池モジュール14の電力を駆動装置Dに供給可能となっている。
【0058】
ボルト52を、突端部40のネジ孔50に螺合させて、接続端子48を突端部40に締結する際、コネクタ端子32に固定された第1導電板68には、ボルト52とネジ孔50とを螺合する際の回転軸方向(ボルト52の軸線方向)を中心として、ボルト52の回転方向にトルク(締結に伴って生じる締結回転力)が作用する。
【0059】
このようなトルクがバスバー34に作用する場合において、固定ナット82の滑り方向とトルクの方向が一致していると仮定した場合、固定ナット82とネジ部66との螺合によるトルクの大きさが、ボルト52とネジ孔50との螺合によるトルクの大きさより小さいと、固定ナット82の滑りが生じる場合があり得る。このような固定ナット82の滑りは、バスバー34がケース18に対して固定されていると、より生じ易い。
【0060】
これに対して、第2導電板70は、接続端子48をコネクタ端子32に締結する際のボルト52の回転方向(例えば、ボルト52側から見て右回り)に、第1導電板68が回転したと仮定した場合に、第1導電板68において上記回転方向の前方又は後方側に位置する側面68b又は側面68cに一体的に連結されている。更に、第2導電板70は、第1導電板68に対して、ネジ機構83によって支持部材36と第2導電板70とが締結される締結方向(ネジ機構83の軸力方向)が、ボルト52とネジ孔50とを螺合する際の回転軸方向と交差する(例えば、直交する)方向に設けられている。
【0061】
この場合、ボルト52を締め付ける際のトルク(締結回転力)は、固定ナット82における第2導電板70との接触面に交わる方向に生じる。特に、第1導電板68の厚さ方向と第2導電板70の厚さ方向とが直交する形態では、ボルト52を締め付ける際のトルクは、ネジ機構83の軸力方向に作用する。
【0062】
固定ナット82の滑り方向は、固定ナット82における第2導電板70との接触面内の方向であり、ネジ機構83の軸力方向と交差する(例えば、直交する)方向である。そのため、ボルト52を締める際のトルク(締結回転力)が固定ナット82における第2導電板70との接触面に交わる(例えば、直交する)方向に生じる上記構成では、支持部材36により、バスバー34がケース18に固定されていても、上述したトルク(締結回転力)によって、固定ナット82が滑りにくい。その結果、接続端子48が突端部40に取り付けられても、支持部材36とバスバー34との締結力が緩みにくい。また、固定ナット82が滑らないので、バスバー34及び固定ナット82が摩耗しにくい。よって、支持部材36とバスバー34との接続状態をより適切に(例えば、電池パック10の製造時の状態に)維持可能である。その結果、電池パック10を安定して動作させることができる。
【0063】
ボルト52を締め付ける際のトルクの大きさは、電池パック10のユーザの使用方法に依存している。そのため、ボルト52をネジ孔50に螺合する際に生じるトルクが、ネジ部66と固定ナット82とを螺合する際のトルクより大きくなる場合もあり得る。このような場合であっても、バスバー34の構成では、ボルト52を締める際のトルク(締結回転力)が、ネジ機構83の軸力方向と交差する面に対して作用するので、固定ナット82の滑りが抑制される。特に、ボルト52を締める際のトルク(締結回転力)が、ネジ機構83の軸力方向に作用する形態では、固定ナット82の滑りがより確実に抑制される。そのため、仮に、電池パック10のユーザがボルト52を、電池パック10の製造時に想定しているトルク以上で締めたとしても電池パック10を安定して動作させることができる。
【0064】
更に、第1導電板68及び第2導電板70のそれぞれの厚さ方向から見た形状が矩形であり、
図4に示したように、X方向において、第2導電板70の長さが第1導電板68より短い形態では、電池パック10内において、バスバー34が占める領域を低減できる。その結果、筐体12内の空間を有効に利用可能である。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0066】
例えば、上記実施形態では、端子台としての支持部材36にバスバー34が、固定ナット82とネジ部66との螺合により締結されている場合を例にして説明した。しかしながら、本発明は、コネクタ端子(コネクタ部)32に固定されたバスバー34における第2導電板70に、被固定部材がネジ機構により締結されていればよい。例えば、被固定部材は、電池モジュール14でもよい。この場合、例えば、電池モジュール14が有する電池セル26の電極端子28
P,28
Nをネジ部として構成し、固定ナットを利用して第2導電板70に締結すればよい。この形態では、ネジ部としての電極端子28
P,28
Nとそれらに螺合する固定ナットがネジ機構を構成する。
【0067】
コネクタ端子32が有する外部接続用端部40aには、ボルト52が螺合されるネジ孔50の代わりに、外周にネジ山が形成された領域を有してもよい。この場合、突端部40のうちネジが形成されている領域は雄ネジ部(被締結部)としても機能する。このような形態では、接続端子48の挿通孔に突端部40を通し、固定ナットを、突端部40のネジ山に螺合することによって、突端部40と接続端子48とが締結され得る。また、コネクタ端子32の外部接続用端部40aには、ネジ孔50の代わりにネジ部が設けられてもよい。
【0068】
支持部材36とバスバー34との締結に利用されるネジ部66は、支持部材36に含まれていてもよい、すなわち、支持部材36の構成要素であってもよいし、或いは、支持部材36と別部材と見なしてもよい。これは、基端部42に設けられたネジ部54についても同様である。
【0069】
コネクタ端子32とバスバー34とは、ネジ部54と固定ナット72とによって締結されているとして説明したが、コネクタ端子32とバスバー34とは固定されていれば、その固定方法は特に限定されない。例えば、第1導電板68に、コネクタ端子32を固定するための、ネジ部、ネジ孔又はネジ部とネジ孔の組み合わせが形成されていてもよい。コネクタ端子32側にネジ孔が形成されており、ネジ孔にボルトを螺合することで、コネクタ端子32とバスバー34とが締結されてもよい。或いは、コネクタ端子32とバスバー34とを他の固定部材で固定してもよい。
【0070】
第2導電板70と被固定部材とを締結するネジ機構は、被固定部材側に設けられたネジ部と固定ナットとに限定されない。例えば、第2導電板70に、ネジ機構の一部を構成するネジ部、ネジ孔、又は、ネジ部とネジ孔との組み合わせが形成されていてもよい。
【0071】
また、筐体12は、ケース18と蓋20とを有し、蓋20に貫通孔20aが形成されているとしたが、筐体12は、電池モジュール14を収容する収容空間と、収容空間と外部とを連通する貫通孔が形成されていればよい。筐体12は、樹脂性であってもよい。
【0072】
また、コネクタ端子32が有する外部接続用端部40aは、筐体12の内側に位置していていもよい。この場合でも、筐体12に貫通孔20aが形成されているので、外部接続が可能である。
【0073】
電池パック10は、複数の電池モジュール14を有するとしたが、電池モジュール14の数は一つでもよい。更に、電池セル26は、非水電解質二次電池に限らず、例えば、電気二重層キャパシタなどでもよい。