(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379920
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】端末装置、文書サーバコンピュータ、文書管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20180820BHJP
G06F 3/048 20130101ALI20180820BHJP
G06F 17/30 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
G06F13/00 520R
G06F3/048
G06F17/30 380Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-191593(P2014-191593)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-62460(P2016-62460A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀金 隆一
【審査官】
木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−151501(JP,A)
【文献】
特表2011−525001(JP,A)
【文献】
特開2008−299478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06F 3/048
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書サーバコンピュータからページ単位で送信される文書データを受信する受信手段と、
受信した文書データに対して編集または検索の操作が実行された場合であって、前記操作が前記文書サーバコンピュータに記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに影響を与え得るときに、前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を前記文書サーバコンピュータに送信する制御手段と、
を備える端末装置。
【請求項2】
文書データを記憶する記憶手段と、
前記文書データをページ単位で端末装置に送信する送信手段と、
前記端末装置から受信済のページに対する編集または検索の操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合に、前記記憶手段に記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行する制御手段と、
を備える文書サーバコンピュータ。
【請求項3】
文書データを記憶する記憶手段と、
前記文書データをページ単位で端末装置に送信する送信手段と、
前記端末装置から受信済のページに対する編集または検索の操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合であって、前記操作が前記記憶手段に記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに影響を与え得るときに前記残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行する制御手段と、
を備える文書サーバコンピュータ。
【請求項4】
端末装置と、
前記端末装置にネットワークを介して接続され、記憶する文書データをページ単位で前記端末装置に送信する文書サーバコンピュータと、
を備え、
前記端末装置は、
受信した文書データに対して編集または検索の操作が実行された場合であって、前記操作が前記文書サーバコンピュータに記憶されている文書データのうち未だ前記端末装置に送信されていない残りのページに影響を与え得るときに、前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を前記文書サーバコンピュータに送信する第1制御手段
を備え、
前記文書サーバコンピュータは、
前記端末装置から前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合に、前記残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行し、実行済みの残りのページをページ単位で前記端末装置に送信する第2制御手段
を備える、文書管理システム。
【請求項5】
端末装置と、
前記端末装置にネットワークを介して接続され、記憶する文書データをページ単位で前記端末装置に送信する文書サーバコンピュータと、
を備え、
前記端末装置は、
受信した文書データに対して編集または検索の操作が実行された場合に、前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を前記文書サーバコンピュータに送信する第1制御手段
を備え、
前記文書サーバコンピュータは、
前記端末装置から前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合であって、前記操作が前記文書サーバコンピュータに記憶されている文書データのうち未だ前記端末装置に送信されていない残りのページに影響を与え得るときに、前記残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行し、実行済みの残りのページをページ単位で前記端末装置に送信する第2制御手段
を備える、文書管理システム。
【請求項6】
コンピュータを、
文書サーバコンピュータからページ単位で送信される文書データを受信する受信手段と、
受信した文書データに対して編集または検索の操作が実行された場合であって、前記操作が前記文書サーバコンピュータに記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに影響を与え得るときに、前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を前記文書サーバコンピュータに送信する制御手段
として機能させるプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
文書データを記憶する記憶手段と、
前記文書データをページ単位で端末装置に送信する送信手段と、
前記端末装置から受信済のページに対する編集または検索の操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合に、前記記憶手段に記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行する制御手段
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、文書サーバコンピュータ、文書管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
文書をサーバに保管し、必要に応じてサーバから文書データをクライアントにダウンロードし、クライアントにおいて当該文書データの閲覧や編集を可能とするシステムが広く用いられている。
【0003】
特許文献1には、サーバがクライアントにまず文書の1ページ目を提供し、これと並行して閲覧する可能性の高いページを予測して提供する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2には、クライアントがローカルで文書編集を完了した後、クライアント側のプログラムとサーバ側のプログラムが協調してサーバの文書を更新する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−237780号公報
【特許文献2】特開2002−251309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的に、受信した文書データに対する編集または検索の操作が、未だ送信されていない残りのページに影響を与え得る場合は、文書データの全てのページの受信が完了してから当該操作を行う必要があった。仮に、全てのページの受信が完了する前に、未だ送信されていない残りのページに影響を与え得る操作を行った場合には、当該操作を送信先へ知らせるための手段がないため、当該操作の後に受信したページには当該操作が反映されておらず、操作前に受信したページと操作後に受信したページ間で不整合が発生してしまうことになる。
【0007】
本発明の目的は、受信した文書データに対する編集または検索の操作が、未だ送信されていない残りのページに影響を与え得る場合であっても、文書データの全てのページの受信が完了する前に当該操作を行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、文書サーバコンピュータからページ単位で送信される文書データを受信する受信手段と、受信した文書データに対して編集または検索の操作が実行された場合であって、前記操作が前記文書サーバコンピュータに記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに影響を与え得るときに、前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を前記文書サーバコンピュータに送信する制御手段とを備える端末装置である。
【0009】
請求項2記載の発明は、文書データを記憶する記憶手段と、前記文書データをページ単位で端末装置に送信する送信手段と、前記端末装置から受信済のページに対する編集または検索の操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合に、前記記憶手段に記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行する制御手段とを備える文書サーバコンピュータである。
【0010】
請求項3記載の発明は、文書データを記憶する記憶手段と、前記文書データをページ単位で端末装置に送信する送信手段と、前記端末装置から受信済のページに対する編集または検索の操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合であって、前記操作が前記記憶手段に記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに影響を与え得るときに前記残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行する制御手段とを備える文書サーバコンピュータである。
【0011】
請求項4記載の発明は、端末装置と、前記端末装置にネットワークを介して接続され、記憶する文書データをページ単位で前記端末装置に送信する文書サーバコンピュータとを備え、前記端末装置は、受信した文書データに対して編集または検索の操作が実行された場合であって、前記操作が前記文書サーバコンピュータに記憶されている文書データのうち未だ前記端末装置に送信されていない残りのページに影響を与え得るときに、前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を前記文書サーバコンピュータに送信する第1制御手段を備え、前記文書サーバコンピュータは、前記端末装置から前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合に、前記残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行し、実行済みの残りのページをページ単位で前記端末装置に送信する第2制御手段を備える、文書管理システムである。
【0012】
請求項5記載の発明は、端末装置と、前記端末装置にネットワークを介して接続され、記憶する文書データをページ単位で前記端末装置に送信する文書サーバコンピュータとを備え、前記端末装置は、受信した文書データに対して編集または検索の操作が実行された場合に、前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を前記文書サーバコンピュータに送信する第1制御手段を備え、前記文書サーバコンピュータは、前記端末装置から前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合であって、前記操作が前記文書サーバコンピュータに記憶されている文書データのうち未だ前記端末装置に送信されていない残りのページに影響を与え得るときに、前記残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行し、実行済みの残りのページをページ単位で前記端末装置に送信する第2制御手段を備える、文書管理システムである。
【0013】
請求項6記載の発明は、コンピュータを、文書サーバコンピュータからページ単位で送信される文書データを受信する受信手段と、受信した文書データに対して編集または検索の操作が実行された場合であって、前記操作が前記文書サーバコンピュータに記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに影響を与え得るときに、前記操作の内容及び受信済ページに関する情報を前記文書サーバコンピュータに送信する制御手段として機能させるプログラムである。
【0014】
請求項7記載の発明は、コンピュータを、文書データを記憶する記憶手段と、前記文書データをページ単位で端末装置に送信する送信手段と、前記端末装置から受信済のページに対する編集または検索の操作の内容及び受信済ページに関する情報を受信した場合に、前記記憶手段に記憶されている文書データのうち未だ送信されていない残りのページに対して前記操作の内容に基づいて同一の操作を実行する制御手段として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜7記載の発明によれば、文書サーバコンピュータから端末装置にページ単位で文書データを提供する場合において、受信した文書データに対する編集または検索の操作が、未だ送信されていない残りのページに影響を与え得る場合であっても、文書データの全てのページの受信が完了する前に当該操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】実施形態のクライアントモジュールの機能ブロック図である。
【
図3】実施形態のサーバモジュールの機能ブロック図である。
【
図4】実施形態のクライアントの処理フローチャートである。
【
図5】実施形態の文書サーバの処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態のシステム構成図である。文書管理システムは、端末装置としてのクライアント(クライアントコンピュータ)10と、文書サーバ(サーバコンピュータ)12を備え、これらはインターネットやイントラネット等のネットワーク14を介して接続される。
【0019】
クライアント10は、クライアントモジュール101を備え、文書サーバ12からページ単位で送信される文書データ16を受信し、ユーザが閲覧可能に表示部に表示する。また、クライアントモジュール101は、クライアント10のユーザが文書データ16に対して操作を行った場合に、当該操作が当該文書データ16の他のページ、すなわち未だ文書サーバ12に残存していて未受信のページにも影響を及ぼし得る操作であるか否かを判定し、影響を及ぼし得る操作であれば当該操作内容を文書サーバ12に送信する。
【0020】
他方、文書サーバ12は、サーバモジュール121及び文書データベース122を備える。文書データベース122は、各種の文書データ16を記憶する。サーバモジュール121は、クライアント10からの要求に応じ、要求された文書データ16をページ単位でクライアント10に送信する。また、サーバモジュール121は、クライアント10から操作内容を受信した場合、当該文書データ16の残りのページをクライアント10に送信することを中断し、残りのページについて操作内容に応じた操作を実行する。そして、実行完了後に、残りのページについて再びページ単位でクライアント10に送信する。
【0021】
クライアント10と文書サーバ12間のデータの送受は任意のプロトコルでよく、また、暗号化されていてもよい。クライアント10が文書サーバ12に対してアクセスする場合には公知のID及びパスワード等を用いたログインを行った上で文書データ16を要求してもよい。
【0022】
図2は、クライアントモジュール101の機能ブロック図である。クライアントモジュール101は、ページ受信部1011と、操作部1012と、操作内容処理部1013と、操作内容及び受信済ページ数送信部1014を備える。
【0023】
ページ受信部1011は、クライアント10からの要求に応じて文書サーバ12からページ単位で送信される文書データを受信する。受信した文書データ16は、ワーキングメモリに一時的に記憶される。
【0024】
操作部1012は、クライアント10のユーザ操作に応じ、文書データ16に対してユーザの操作を実行する。ユーザの主な操作は、キーボードやマウス、あるいはタッチパネルのタッチ操作による文書データ16の表示、編集及び検索である。編集には、コピー、ペースト、マーキング、追加、削除、訂正等が含まれる。ユーザが表示操作を行った場合、操作部1012は、ワーキングメモリに記憶された文書データ16を読み出してクライアント10の表示部に表示し、ユーザの閲覧を可能とする。文書データ16が特定の形式である場合、その形式に合致するアプリケーションを起動して文書データ16を表示部に表示する。ユーザが受信したページに対して編集や検索操作を行った場合、操作部1012は、文書データ16に対して指示された編集・検索を実行する。
【0025】
操作内容処理部1013は、操作部1012で実行された操作内容が、文書データ16の残りのページ、すなわち未だクライアント10で受信しておらず文書サーバ12に残っているページにも影響を及ぼし得る操作内容であるか否かを判定する。操作内容処理部1013は、予め残りのページに影響を及ぼし得る操作内容の一覧をリスト(あるいはテーブル)としてメモリに記憶しており、操作部1012で実行された操作内容をリストと照合し、操作内容がリストに存在していれば影響を及ぼし得る操作内容と判定し、存在していなければ影響を及ぼし得る操作内容でないと判定する。残りのページに影響を及ぼし得る操作内容は、例示すると以下の通りである。
・ヘッダ/フッタの追加、削除、訂正
・目次の追加、削除、訂正
・ページレイアウトの訂正(文字の字体、大きさの変更も含む)
・特定の文字列の検索
【0026】
ヘッダやフッタは全てのページに存在しているため、特定のページで編集されると他のページにも影響を及ぼす。また、目次を追加する場合やページレイアウトの訂正等も同様に他のページに影響を及ぼす。特定の文字列を検索する場合も、特定のページのみに存在することが明らかである場合を除くと、他のページにおいても検索を実行する必要があるため影響を及ぼす。このことからも明らかなように、「他のページにも影響を及ぼし得る」には、他のページにおいても同様の操作を行う必要がある場合も含まれる。
【0027】
これらのリストは、予め設定してメモリに記憶してもよく、クライアント10のユーザが適宜追加作成してメモリに記憶してもよい。
【0028】
操作内容及び受信済ページ数送信部1014は、操作内容処理部1013で残りのページに影響を及ぼし得る操作内容と判定された場合に、当該操作内容と現時点までに文書サーバ12から受信したページ数を文書サーバ12に送信する。例えば、文書データ16が全部で20ページ存在し、まず1ページ目を受信し、クライアント10のユーザが当該1ページ目のフッタの内容を訂正した場合、操作内容及び受信済ページ数送信部1014は、操作内容=フッタの訂正
受信済ページ数=1
を文書サーバ12に送信する。
【0029】
ここで、受信済みページ数には、文書データ16を一意に特定するための情報、例えば文書ID等が含まれる。また、操作内容には、その具体的内容を特定するための情報も含まれる。例えば、フッタの訂正の具体的内容がページ番号の変更(1ページ目を2ページ目に変更)である場合に、ページ番号の変更(1→2)が含まれる。また、文字列「***」の検索である場合に、当該文字列「***」を特定する情報が含まれる。このように、操作内容を具体的に特定するのは、文書サーバ12で残りのページの編集や検索を正しく実行するためである。
【0030】
図2に示すクライアントモジュール101の各部の機能は、入力装置、出力(表示)装置、CPU、メモリ、通信インタフェースを備えたコンピュータのCPUがプログラムメモリに記憶された処理プログラムを読み出して順次実行することで実現される。具体的には、ページ受信部1011、操作内容及び受信済ページ数送信部1014は、CPU及び通信インタフェースで実現され、操作部1012及び操作内容処理部1013は、CPU及びリストを記憶するメモリで実現される。
【0031】
図3は、サーバモジュール201の機能ブロック図である。サーバモジュール201は、ページ送信部2011と、文書編集部2012と、操作内容及び受信済ページ数受信部2013を備える。
【0032】
ページ送信部2011は、クライアント10からの要求に応じ、文書データベース122に記憶されている文書データ16にアクセスし、文書データ16をページ単位でクライアント10に送信する。また、後述するように、ページ送信部2011は、操作内容及び受信済ページ数受信部2013がクライアント10から操作内容及び受信済ページ数を受信すると、文書データ16のページ単位での送信を中断する。
【0033】
操作内容及び受信済ページ数受信部2013は、クライアント10から送信される、操作内容及び受信済ページ数を受信し、文書編集部2012に送信する。
【0034】
文書編集部2012は、ページ送信部2011に対してページ単位での文書データ16の送信中断を指令するとともに、操作内容及び受信済ページ数に基づいてデータベース122の文書データ16にアクセスし、文書データ16のうち未だ送信されていない残りのページに対して、操作内容と同一の操作を実行する。例えば、操作内容がフッタの訂正であり、その具体的内容がページ番号の変更(1ページ目を2ページ目に変更)である場合には、文書データ16のうち未だ送信されていない残りのページに対して、ページ番号の変更(ページ番号に1を加える訂正を行う)を行う。文書編集部2012は、残りのページに対する編集・検索が完了すると、ページ送信部2011に対してページ単位での文書データ16の送信再開を指令する。
【0035】
図3に示すサーバモジュール201の各部の機能は、入出力装置、CPU、メモリ、通信インタフェースを備えたコンピュータのCPUがプログラムメモリに記憶された処理プログラムを読み出して順次実行することで実現される。具体的には、ページ送信部2011及び操作内容及び受信済ページ数受信部2013はCPU及び通信インタフェースで実現され、文書編集部2012はCPUで実現される。
【0036】
図2及び
図3に共通するが、CPUは単一である必要はなく、複数のCPU又はコントローラが協調して機能を実現してもよいのは言うまでもなく、例えば
図2の操作内容処理部1013、
図3の文書編集部2012を複数のCPU又はコントローラで実現してもよい。
【0037】
図4は、本実施形態の処理フローチャートであり、クライアント10の処理フローチャートである。
【0038】
まず、クライアント10は、文書サーバ12からページ単位で送信される文書データ16をページ単位で受信し、受信したページを表示部に表示する(S101)。表示部に表示する際には特定のアプリケーションを起動して受信ページを表示するが、当該アプリケーションは単に表示のみならず、ページ単位での編集や検索も可能なアプリケーションである。
【0039】
次に、クライアント10のユーザがアプリケーションの操作メニュー等から編集や検索を選択し、所望の編集操作や検索操作を実行すると(S102)、クライアントモジュール101の操作内容処理部1013は、当該操作内容が後続ページに影響し得るか否かを判定する(S103)。この判定は、既述したように操作内容をメモリに記憶されたリストと照合することで実行される。ユーザが受信したページのヘッダあるいはフッタを追加、削除、訂正した場合、特定の文字列を検索した場合等はこれに該当する。他方、ヘッダあるいはフッタ以外の本文中の文字を特定の文字に変換した場合や削除した場合等はこれに該当しない。
【0040】
操作内容が後続ページに影響し得ると判定した場合(S103でYES)、クライアント10は、操作内容(編集内容)及び受信済ページ数を文書サーバ12に送信する(S104)。図における「編集内容」には、検索操作があれば当該検索操作も含まれる。他方、操作内容が後続ページに影響しない場合(S103でNO)、文書サーバ12に対して操作内容を送信しない。
【0041】
その後、文書サーバ12から編集済ページが提供されるとこれらを順次受信し(S105)、表示部に表示する(S106)。クライアント10のユーザは、文書データ16の途中のページを受信した時点で当該ページに対して編集や検索操作を実行した場合、後続ページについても同様の編集や検索が実行された後のページを受信することができるため、文書データ16の全ページを受信するのを待ち、その後に編集や検索を実行する必要がない。
【0042】
図5は、本実施形態の処理フローチャートであり、文書サーバ12の処理フローチャートである。
【0043】
まず、文書サーバ12は、クライアント10から送信される、操作内容及び受信済ページ数を受信する(S201)。
【0044】
次に、文書サーバ12は、操作内容及び受信済ページ数を受信すると、文書データ16のページ単位の送信を中断し(S202)、データベース122に記憶されている文書データ16の残りのページに対して同様の編集を実行する(S203)。例えば、操作内容がページ番号の変更であれば同様に残りのページのページ番号を変更し、特定文字列の検索であれば同様に残りのページの特定文字列の検索を実行する。
【0045】
残りの全てのページに対する編集が終了すると、文書サーバ12はページ単位での送信を再開し、編集済の残りのページをクライアント10に送信する(S204)。
【0046】
図6は、本実施形態の処理を模式的に示す。
図6(a)に示すように、文書データ16は文書サーバ12のデータベース122に記憶されており、クライアント10からの要求に応じて文書データ16をページ単位で順次クライアント10に送信する。例えば、文書データ16が20ページから構成されているものとし、これらのページをそれぞれページ16−1、16−2、16−3、・・・とすると、まずページ16−1からクライアント10に送信する。クライアント10は、表示部にページ16−1を表示してユーザの閲覧を可能とする。
【0047】
図6(b)に示すように、クライアント10のユーザがページ16−1に対して編集や検索を行うと(図において、編集や検索が行われたことをハッチングで示す)、クライアント10ではこの操作が後続のページ16−2、16−3、・・・、16−20に影響を与え得るか否かを判定し、影響を与え得る場合に操作内容と受信済のページ数(この場合には1ページ)を文書サーバ12に送信する。図において、破線矢印は、操作内容と受信済のページ数を含むデータ及びコマンドがクライアント10から文書データ16に送信されることを示す。
【0048】
なお、後続のページに影響を与え得るか否かは、後続の少なくとも1ページに影響を与え得るか否かの観点から判定するのが望ましく、また、影響を与え得るか否か微妙な場合には、影響を与え得るとみなして文書データ16に送信するのが望ましい。但し、これに限定されるわけではなく、ページレイアウトの変更等、後続の全てのページに影響を与えることがほぼ確実な場合に操作内容と受信済のページ数を含むデータ及びコマンドを送信してもよい。
【0049】
図6(c)に示すように、文書サーバ12は、クライアント10からの操作内容及び受信済ページ数のデータ及びコマンドを受けて、文書データ16の残りのページ16−2、16−3、16−20に対して同じ操作を実行する。ページ16−1に対して行われた操作が特定文字列「***」の検索である場合、文書サーバ12は、ページ16−2,16−3、16−20に対しても同様に特定文字列「***」の検索を実行し、その結果をそれぞれのページに反映させる。例えば特定文字列のハイライト表示等である。図において、ページ16−2及びページ16−5に特定文字列「***」が含まれているためこれらのページでハイライト表示されたことをハッチングで示す。
【0050】
図6(d)に示すように、文書サーバ12での編集や検索が完了すると、文書データ16のページ単位での送信が再開され、ページ16−2、16−3、16−20を順次クライアント10に送信する。クライアント10は、ページ16−2を受信すると表示部に表示するが、ページ16−2については既に文書サーバ12において検索が完了しており、検索済のページとして表示される。
【0051】
なお、文書サーバ12で残りのページ16−2、16−3、16−20について検索を実行する場合、検索してヒットしたページ及びヒットした文字列に関する情報を保持してページ単位でクライアント10に送信する際にこれらのデータを併せて送信し、クライアント10において検索してヒットしたページ及びヒットした文字列に関する情報に基づいて検索してヒットしたページを表示するとともに、検索ヒットした文字列をハイライト表示してもよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。
【0053】
例えば、本実施形態では、クライアント10において操作内容が後続のページに影響を与え得るか否かを判定しているが、クライアント10はこのような判定を行うことなく操作が行われたときに一律の操作内容及び受信済ページ数を文書サーバ12に送信し、文書サーバ12において後続のページに影響を与え得るか否かを判定し、影響を与え得ると判定した場合にページ単位での送信を中断して後続のページについて同様の操作を実行してもよい。この場合、
図2に示す操作内容処理部1013の機能が
図3に示すサーバモジュール201に含まれることになる。
【0054】
また、本実施形態における端末装置としてのクライアント10は、パーソナルコンピュータに限らずモバイル端末やスマートフォン等でもよい。特に、モバイル端末では文書サーバ12との間の通信速度が比較的不安定であるが、本実施形態では全ページを受信完了する前に文書の編集や検索が可能であり、文書サーバ12から編集済のページを受信できるため有用である。
【0055】
さらに、本実施形態では、クライアント10から文書サーバ12に操作内容及び受信済ページ数を送信しているが、受信済ページ数に代えて受信済ページを特定する任意の情報を送信してもよく、これには未受信のページを特定する情報を送信する場合も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 クライアント、12 文書サーバ、14 ネットワーク、16 文書データ、101 クライアントモジュール、121 サーバモジュール、122 データベース。