(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
閉止位置に配置される前記第一部材は、前記筐体の上方に移動することで開放位置に配置され、閉止位置に配置される前記第二部材は、前記筐体の側方に移動することで開放位置に配置される請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、定着装置が配置された定着空間を外部に開放する開閉部材は、画像形成装置に1個備えられていた。しかし、画像形成装置の設置場所の制約から、定着空間を外部に開放するために開閉部材を移動させることができない場合がある。
【0005】
このような場合に、開閉部材を2個設けることで、画像形成装置の設置場所の制約から、一方の開閉部材を移動することができない場合であっても、他方の開閉部材を移動させることで定着空間が開放される。
【0006】
本発明の課題は、開閉部材が2個設けられている構成において、夫々の開閉部材を用いて定着空間を外部に開放させる動作に、定着装置が記録媒体を加圧する加圧力の解除を連動させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成部材と、筐体の内部に配置され、記録媒体を加圧して前記画像を記録媒体に定着する定着装置と、前記筐体の一部を構成し、前記定着装置が配置される定着空間を前記筐体の一側から閉止する閉止位置と、閉止位置から移動して前記定着空間を前記筐体の一側から開放する開放位置とに配置される第一部材と、前記筐体の他の一部を構成し、前記定着空間を前記筐体の他側から閉止する閉止位置と、閉止位置から移動して前記定着空間を前記筐体の他側から開放する開放位置とに配置される第二部材と、閉止位置に配置される前記第一部材を開放位置に向かって移動させるのに伴い、前記定着装置が記録媒体を加圧する加圧力を解除し、かつ、閉止位置に配置される前記第二部材を開放位置に向かって移動させるのに伴い、前記定着装置が記録媒体を加圧する加圧力を解除する解除部材と、
を備え、前記解除部材は、記録媒体を加圧する際に配置される基準位置から一方向、及び他方向に回転移動することで前記定着装置が記録媒体を加圧する加圧力を解除する回転部材を有し、閉止位置に配置される前記第一部材を開放位置に向かって移動させるのに伴い前記回転部材が一方向に回転し、閉止位置に配置される前記第二部材を開放位置に向かって移動させるのに伴い前記回転部材が他方向に回転することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、閉止位置に配置される前記第一部材は、前記筐体の上方に移動することで開放位置に配置され、閉止位置に配置される前記第二部材は、前記筐体の側方に移動することで開放位置に配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記定着装置は、記録媒体に形成された前記画像を加熱する加熱部材と、前記加熱部材と対向して配置される加圧部材と、一端が前記加圧部材を支持する支持部材に取り付けられ、前記加圧部材と前記加熱部材とで記録媒体を加圧するように前記加圧部材を前記加熱部材側に付勢する付勢部材と、を有し、前記解除部材は、前記付勢部材の他端が取り付けられ、前記付勢部材の他端が取り付ける取付部とは異なる軸部を中心に回転移動し、前記加圧部材と前記加熱部材とで記録媒体を加圧する際に配置される基準位置から一方向、及び他方向に回転移動すると、前記加圧部材と前記加熱部材とで記録媒体を加圧する加圧力が解除される
前記回転部材と、閉止位置に配置される前記第一部材を移動させて開放位置に配置すると、前記回転部材を前記一方向に回転移動させる第一作用部と、閉止位置に配置される前記第二部材を移動させて開放位置に配置すると、前記回転部材を前記他方向に回転移動させる第二作用部と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る画像形成装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成装置において、前記定着装置が記録媒体を加圧する加圧力を変更する変更部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の画像形成装置によれば、開閉部材が2個設けられている構成において、夫々の開閉部材を用いて定着空間を外部に開放させる動作に、定着装置が記録媒体を加圧する加圧力の解除を連動させることができる。
【0012】
請求項2の画像形成装置によれば、画像形成装置の設置場所の制約から筐体の上方又は筐体の側方に開閉部材を移動させることができない場合であっても、移動させることができる方の第一部材又は第二部材を移動させることで、定着空間を外部に開放することができる。
【0013】
請求項3の画像形成装置によれば、第一部材を用いて定着空間を外部に開放させる動作に伴って加圧部材による加圧力を解除させる部材と、第二部材を用いて定着空間を外部に開放させる動作に伴って加圧部材による加圧力を解除させる部材とが夫々設けられている場合と比して、部品点数を少なくすることができる。
【0014】
請求項4の画像形成装置によれば、定着装置が記録媒体を加圧する加圧力を変更することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を
図1〜
図9に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。
【0017】
画像形成装置10は、
図8に示されるように、電子写真方式によりトナー画像を形成する画像形成部12(画像形成部材の一例)と、トナー画像が形成されるシート部材P(記録媒体の一例)をシート部材Pの搬送経路16に沿って搬送する複数の搬送部材(符号省略)と、を備えている。また、画像形成装置10は、各機能部材を内部に収容する筐体14を備えている。
【0018】
画像形成部12は、各色のトナー画像を夫々形成する複数のトナー画像形成部30Y、30M、30C、30Kと、トナー画像形成部30で形成されたトナー画像をシート部材Pに転写する転写部32とを備えている。さらに、画像形成部12は、転写部32によってシート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着する定着装置34を備えている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部30が備えられている。各図に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、各色を示している。なお、定着装置34と、定着装置34が配置された定着空間36を外部に開放する第一開閉部材92(第一部材の一例)、及び第二開閉部材94(第二部材の一例)とについては詳細を後述する。
【0019】
各色のトナー画像形成部30Y、30M、30C、30Kは、転写部32に備えられた周回する転写ベルト50に沿って装置幅方向に対して傾斜して配置されている。そして、転写ベルト50の周回方向(図中矢印参照)において、上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナー画像形成部30が、この順番で配置されている。なお、以後の説明では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)を区別する必要が無い場合は、符号に付するY、M、C、及びKを省略する。
【0020】
各色のトナー画像形成部30は、用いるトナーを除き基本的に同様の構成されており、回転する円筒状の感光体ドラム40と、感光体ドラム40を帯電する帯電器42とを備えている。さらに、トナー画像形成部30は、帯電した感光体ドラム40に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置44と、トナーを含んだ現像剤Gで静電潜像をトナー画像として現像する現像装置46とを備えている。また、各色の感光体ドラム40は、周回する転写ベルト50に接触している。
【0021】
転写部32は、複数のロール(符号省略)に巻き掛けられて図中矢印方向に周回する転写ベルト50と、転写ベルト50を挟んで各色の感光体ドラム40の反対側に夫々配置される一次転写ロール52とを備えている。この一次転写ロール52が、感光体ドラム40に形成されたトナー画像を転写ベルト50に転写するようになっている。
【0022】
さらに、転写部32は、転写ベルト50が巻き掛けられた補助ロール56と、転写ベルト50に対して補助ロール56の反対側に配置され、転写ベルト50上のトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール58とを備えている。
【0023】
上記構成による画像形成装置10では、各色のトナー画像形成部30で、帯電器42が、回転する感光体ドラム40を帯電し、露光装置44が、帯電した感光体ドラム40に露光光を照射して静電潜像を形成する。また、現像装置46が、感光体ドラム40に形成された静電潜像を現像剤Gでトナー画像として現像する。
【0024】
さらに、転写部32で、各色の一次転写ロール52が、各色の感光体ドラム40に形成されたトナー画像を転写ベルト50に転写し、二次転写ロール58が、転写ベルト50上のトナー画像をシート部材Pに転写する。また、定着装置34で、後述する加熱ロール60と加圧ロール62との間に、トナー画像が転写されたシート部材Pが挟まれることで、トナー画像がシート部材Pに定着される。そして、トナー画像が定着したシート部材Pは、搬送部材に搬送されて装置の外部に排出される。
【0025】
(要部構成)
次に、定着装置34と、定着装置34が配置された定着空間36を外部に開放する第一開閉部材92、及び第二開閉部材94等とについて説明する。
【0026】
〔定着装置〕
定着装置34は、
図1(A)に示されるように、トナー画像を加熱する加熱ロール60(加熱部材の一例)と、加熱ロール60の上側に配置され、加熱ロール60に向けてシート部材Pを加圧する加圧ロール62(加圧部材の一例)とを備えている。さらに、定着装置34は、加熱ロール60、及び加圧ロール62を支持する支持部材70と、加圧ロール62がシート部材Pを加熱ロール60に向けて加圧するように加圧ロール62を加熱ロール60側に付勢するバネ部材80(付勢部材の一例)とを備えている。
【0027】
加熱ロール60は、金属製の円筒部材60Aと、円筒部材60Aの内部に配置される発熱体60Bとを備え、回転軸方向が装置奥行方向となるように軸受部材を介して支持部材70に回転可能に支持されている。そして、加熱ロール60は、モータからの回転力が伝達されて図中矢印方向(時計方向)に回転するようになっている。
【0028】
加圧ロール62は、円柱状の軸部材62Aと、円筒状で、軸部材62Aが貫通し、弾性変形可能なゴム部材で形成された弾性部材62Bとを備え、回転軸方向が装置奥行方向となるように軸受部材を介して支持部材70に回転可能に支持されている。そして、弾性部材62Bの外周面は、加熱ロール60の外周面と接している。さらに、軸部材62Aは、支持部材70に図示せぬ軸受部材を介して回転可能に支持されている。加熱ロール60が回転すると、従動して加圧ロール62が図中矢印方向(反時計方向)に回転するようになっている。
【0029】
支持部材70は、加熱ロール60、及び加圧ロール62に対して装置奥行方向の両端側に夫々配置されている。そして、夫々の支持部材70は、前述の軸受部材を介して加熱ロール60を支持すると共に図示せぬフレーム部材に取り付けられている支持部72と、軸受部材を介して加圧ロール62を支持している支持部74とを備えている。また、支持部74は、軸方向を装置奥行方向とすると共に加熱ロール60に対して図中右側に配置される軸部76によって、支持部72に回転可能に支持されている。
【0030】
バネ部材80は、引っ張りバネであって、加熱ロール60に対して図中左側で、装置上下方向に伸びるように配置されている。そして、バネ部材80の上端(一端)が、支持部74に形成された上下方向に長い長孔74Aに取り付けられ、バネ部材80の下端(他端)が、後述するレバー86に形成された取付孔86Aに取り付けられている。
【0031】
この構成において、レバー86が後述する第一基準位置又は第二基準位置に配置された状態で、バネ部材80は、加圧ロール62がシート部材Pを加熱ロール60に加圧するように加圧ロール62を加熱ロール60側に付勢するようになっている。
【0032】
〔第一開閉部材〕
第一開閉部材92は、
図8に示されるように、定着装置34が配置された定着空間36の上方側を覆うように筐体14の一部を構成し、板面方向が上下方向を向く上板92Bを有している。そして、第一開閉部材92は、定着空間36を筐体14の上方側(一側)から閉止する閉止位置(図中実線)と、定着空間36を筐体14の上方側から外部に開放する開放位置(図中二点鎖線)とに配置されるようになっている(
図9参照)。なお、定着空間36とは、加圧ロール62と加熱ロール60との間に紙詰まりが発生した場合に、詰まったシート部材Pを取り除くために、作業者が手を挿入するための空間である。
【0033】
具体的には、第一開閉部材92は、装置奥行方向に延びる軸部92Aを備えている。閉止位置に配置される第一開閉部材92は、この軸部92Aを中心に回転移動することで、筐体14の上方に移動して図示せぬ規制部材と当たり開放位置に配置されるようになっている。さらに、開放位置に配置される第一開閉部材92は、この軸部92Aを中心に逆方向に回転移動することで、図示せぬ規制部材と当たり閉止位置に配置されるようになっている。
【0034】
また、閉止位置に配置された状態の第一開閉部材92の上板92Bにおいて装置奥行方向の両端側の部分には、
図9に示されるように、装置幅方向の図中左側(後述する第二開閉部材94側)に突出する突出部93が夫々形成されている。
【0035】
〔第二開閉部材〕
第二開閉部材94は、
図8に示されるように、第一開閉部材92の図中左側に配置され、定着空間36(
図8参照)の側方側(図中左側)を覆うように筐体14の他の一部を構成している。また、第二開閉部材94は、板面方向が装置幅方向を向く縦板94Aと、縦板94Aの上端に連結され、板面方向が上下方向を向く上板94Bを有している。そして、第二開閉部材94は、定着空間36を筐体14の側方側(他側)から閉止する閉止位置(図中実線)と、定着空間36を筐体14の側方側から外部に開放する開放位置(図中二点鎖線)とに配置されるようになっている(
図9参照)。なお、本実施形態では、筐体14の側方側は、装置幅方向の図中の左側と同様の方向である。
【0036】
具体的には、第二開閉部材94は、装置奥行方向に延び、縦板94Aの下端側の部分に配置される軸部94Cを備えている。閉止位置に配置される第二開閉部材94は、この軸部94Cを中心に回転移動することで、筐体14の側方に移動して図示せぬ規制部材と当たり開放位置に配置されるようになっている。さらに、開放位置に配置される第二開閉部材94は、この軸部94Cを中心に逆方向に回転移動することで、図示せぬ規制部材と当たり閉止位置に配置されるようになっている。
【0037】
また、閉止位置に配置された状態の第二開閉部材94の上板94Bには、
図9に示されるように、装置奥行方向において、閉止位置に配置された状態の第一開閉部材92の一対の突出部93の間に配置される中間部95が形成されている。
【0038】
〔解除部材〕
次に、加圧ロール62がシート部材Pを加熱ロール60に向けて加圧する加圧力(以下単に「ロール間のニップ力」と記載することがある)を解除する解除機構82(解除部材の一例)について説明する。
【0039】
解除機構82は、定着装置34の装置奥行方向の両側に夫々配置され、
図1(A)に示されるように、バネ部材80の下端が取り付けられる取付孔86Aが形成されているレバー86を備えている。さらに、解除機構82は、第一開閉部材92を開閉させるとレバー86を回転移動させるための第一作用部100と、第二開閉部材94を開閉させるとレバー86を回転移動させるための第二作用部102とを備えている。
【0040】
また、レバー86の下側の部分は、装置奥行方向を軸方向とする軸部88を介して支持部72に回転可能に取り付けられている。そして、加圧ロール62がシート部材Pを加熱ロール60に加圧する際に配置されるレバー86の第一基準位置(
図1(A)参照)では、装置幅方向から見て、軸部88は、バネ部材80の上端と下端とを結ぶ線分Cに対して、図中右側に配置されている。
【0041】
この構成において、第一基準位置に配置されるレバー86には、バネ部材80の付勢力によって軸部88を中心に時計回りに回転する回転力が付与されている。
【0042】
一方、第一作用部100は、第一開閉部材92と一体的に形成され、
図6に示されるように、閉止位置に配置される第一開閉部材92の突出部93から下方に延びて屈曲し、図中右側からレバー86に向けて延びるL字状とされている。そして、第一作用部100の先端には、U字状のスペーサ110(変更部材の一例)が取り付けられ、このスペーサ110が第一基準位置に配置されるレバー86の上端側の部分と接触している。これにより、バネ部材80の付勢力によってレバー86が軸部88を中心に回転移動しようとする回転移動が規制され、レバー86が第一基準位置に配置された状態となる。なお、スペーサ110については後述する。
【0043】
さらに、第二作用部102は、第二開閉部材94と一体的に形成され、
図1(A)、
図6に示されるように、第二開閉部材94の上板94Bの中間部95において装置奥行方向の両側の部分から下方に延びている。そして、第二開閉部材94が閉止位置に配置された状態で、第二作用部102と、第一基準位置に配置されるレバー86の上端側の部分は、装置幅方向で離間している。なお、解除機構82を用いてロール間のニップ力を解除する構成(工程)については、後述する作用と共に説明する。
【0044】
なお、ニップ力を解除するとは、レバー86が第一基準位置、及び第二基準位置に配置される場合と比して、ロール間のニップ力を弱めることである(ニップ力が0の状態を含む)。
【0045】
〔その他〕
第一作用部100の先端に取り付けられているスペーサ110は、装置奥行方向に移動可能とされている。そして、スペーサ110は、レバー86の上端側の部分と接触する接触位置(
図6参照)と、装置奥行方向の外側に移動してレバー86の上端側の部分と非接触となる非接触位置(
図7参照)とに配置されるようになっている。
【0046】
接触位置に配置されるスペーサ110を非接触位置に配置すると、バネ部材80の付勢力によってレバー86が軸部88を中心に回転移動し、バネ部材80の線長(バネ部材80の上端から下端までの線分の長さ)が短くなる。そして、
図5、
図7に示されるように、第一作用部100の先端とレバー86の上端側の部分とが接触するようになっている。この状態でのレバー86の配置位置が、レバー86の第二基準位置となる。
【0047】
そして、レバー86が第二基準位置に配置された状態でのロール間のニップ力は、バネ部材80の線長が短くなるため、レバー86が第一基準位置に配置された状態でのロール間のニップ力に比して、弱まる。
【0048】
この構成において、例えば、普通紙等をシート部材Pとして用いる場合は、スペーサ110を接触位置に配置することでレバー86を第一基準位置に配置する。これに対して、普通紙に比して厚さが厚い封筒等をシート部材Pとして用いる場合は、スペーサ110を非接触位置に配置することでレバー86を第二基準位置に配置する。これにより、封筒等をシート部材Pとして用いる場合のロール間のニップ力が弱まるようになっている。つまり、シート部材Pの厚さに応じて、適切なニップ力がシート部材Pに付与されるようになっている。
【0049】
(作用)
次に、画像形成装置10が稼働しており、さらに、加圧ロール62と加熱ロール60との間(定着ニップ部)に紙詰まり(ジャム)が発生した場合に、詰まったシート部材Pを取り除く作業について説明する。なお、画像形成装置10が稼働している際に、第一開閉部材92、及び第二開閉部材94は、閉止位置に配置されている。そして、加圧ロール62がシート部材Pを加熱ロール60に向けて加圧している。また、本説明では、スペーサ110は、接触位置に配置され、レバー86は第一基準位置に配置されている。なお、各図においては、詰まったシート部材Pについては、図示を省略する。
【0050】
先ず、定着空間36を筐体14の上方側から外部に開放して詰まったシート部材Pを取り除く作業について説明する。
【0051】
図1(A)(B)に示されるように、ユーザは、閉止位置に配置されている第一開閉部材92を、軸部92Aを中心に回転移動させ、開放位置に配置する。軸部92Aを中心に第一開閉部材92を回転移動させることで、第一作用部100も回転移動する。
【0052】
レバー86の上端側の部分と接触しているスペーサ110は、第一作用部100が回転移動すると、第一基準位置に配置されているレバー86の上端側の部分から離間する方向に移動する。そうすると、バネ部材80の付勢力によってレバー86が、軸部88を中心に時計方向(一方向)に回転移動し、第二基準位置を通り過ぎて図示せぬ規制部材と当たって停止する。レバー86が停止した状態での取付孔86Aの位置は、第一基準位置にレバー86が配置された状態での取付孔86Aの位置に比して、上側に位置している。これにより、バネ部材80の線長が短くなり、ロール間のニップ力が解除される。この状態で、ユーザは、開放された筐体14の上方側から定着空間36に手を入れて詰まったシート部材Pを取り除く。なお、ロール間のニップ力が解除されているため、ロール間のニップ力が解除されない場合と比して、定着ニップ部にシート部材Pの一部が取り残されるのが抑制される。
【0053】
詰まったシート部材Pを取り除いた後は、ユーザは、開放位置に配置されている第一開閉部材92を、軸部92Aを中心に回転移動させ、閉止位置に配置する。これにより、前述した工程とは逆の工程が行われ、レバー86が、第一作用部100によって押圧されることで軸部88を中心に回転移動し、第二基準位置を通り過ぎて第一基準位置に配置される。前述したように、第一基準位置に配置されているレバー86の上端側の部分は、スペーサ110と接触している。
【0054】
これにより、シート部材Pを取り除く作業が完了する。
【0055】
次に、定着空間36を筐体14の側方側から外部に開放して詰まったシート部材Pを取り除く作業について説明する。
【0056】
図2(A)(B)に示されるように、ユーザは、閉止位置に配置されている第二開閉部材94を、軸部94C(
図9参照)を中心に回転移動させる。そうすると、第二作用部102が、第一基準位置に配置されているレバー86の上端側の部分と接触する。
【0057】
さらに、ユーザが第二開閉部材94を回転移動させると、
図3に示されるように、第二作用部102がレバー86の上端側の部分を押圧し、レバー86は、軸部88を中心に反時計方向(他方向)に回転移動する。そして、装置奥行方向から見て、バネ部材80の上端、軸部88、及びバネ部材80の下端が直線状に配置される所謂デットポイント(レバー86に回転モーメントが生じていない状態)にレバー86が達する。
【0058】
さらに、ユーザが、第二開閉部材94を回転移動させると、
図4に示されるように、第二開閉部材94が開放位置に配置される。この際に、ユーザが第二開閉部材94を回転移動させることで、レバー86が、第二作用部102によって押圧される。そして、レバー86は、バネ部材80の付勢力によって軸部88を中心に反時計方向に回転移動し、規制部材と当たって停止する。
【0059】
この停止した状態で、レバー86の先端は基端に比して上側に配置され、さらに、レバー86が停止した状態での取付孔86Aの位置は、第一基準位置にレバー86が配置された状態での取付孔86Aの位置に比して、上側に位置している。これにより、バネ部材80の線長が、レバー86が第一基準位置に配置されている状態のバネ部材80の線長に比して、短くなり、ロール間のニップ力が解除される。この状態で、ユーザは、開放された筐体14の側方側から手を入れて詰まったシート部材Pを取り除く。なお、ロール間のニップ力が解除されているため、ロール間のニップ力が解除されない場合と比して、定着ニップ部にシート部材Pの一部が取り残されるのが抑制される。
【0060】
詰まったシート部材Pを取り除いた後は、ユーザは、開放位置に配置されている第二開閉部材94を、軸部94Cを中心に回転移動させ、閉止位置に配置する。この場合、レバー86の上端側の部分が、第二開閉部材94の縦板94Aの裏面に押圧され、レバー86が、軸部88を中心に時計方向に回転移動し、前述したデットポイントを通り過ぎて第一基準位置に配置される。前述したように、第一基準位置に配置されているレバー86の上端側の部分は、スペーサ110と接触している。
【0061】
これにより、シート部材Pを取り除く作業が完了する。
【0062】
(まとめ)
以上説明したように、加圧ロール62と加熱ロール60との間に紙詰まり(ジャム)が発生した場合に、閉止位置に配置されている第一開閉部材92を移動させて開放位置に配置すると、ロール間のニップ力が解除される。同様に、閉止位置に配置されている第二開閉部材94を移動させて開放位置に配置すると、ロール間のニップ力が解除される。換言すると、開閉部材が2個設けられている構成において、夫々の開閉部材を用いて筐体14の内部を外部に開放させる動作に、ロール間のニップ力の解除が連動する。
【0063】
また、閉止位置に配置されている第一開閉部材92は、筐体14の上方に移動して開放位置に配置され、閉止位置に配置されている第二開閉部材94は、筐体14の側方に移動して開放位置に配置される。
【0064】
例えば、画像形成装置10の設置場所の制約で、第一開閉部材92を筐体14の上方に移動させることができない場合は、閉止位置に配置されている第二開閉部材94を、筐体14の側方に移動させて開放位置に配置することで、定着空間36が開放される。同様に、画像形成装置10の設置場所の制約で、第二開閉部材94を筐体14の側方に移動させることができない場合は、閉止位置に配置されている第一開閉部材92を、筐体14の上方に移動させて開放位置に配置することで、定着空間36が開放される。
【0065】
このように、開閉部材設置場所の制約から筐体14の上方又は筐体14の側方に開閉部材を移動させることができない場合であっても、移動させることができる方の第一開閉部材92又は第二開閉部材94を移動させることで、定着空間36が外部に開放される。
【0066】
また、第一開閉部材92の移動に共なって第一基準位置に配置されているレバー86を時計方向に回転移動させても、第二開閉部材94の移動に共なってレバー86を反時計方向に回転移動させても、ロール間のニップ力が解除される。このため、第一開閉部材92の移動に共なってロール間のニップ力を解除させる部材と、第二開閉部材94の移動に共なってロール間のニップ力を解除させる部材とが夫々備えられる場合と比して、部品点数が削減される。
【0067】
また、接触位置と非接触位置とに配置されるスペーサ110が備えられている。そして、スペーサ110を接触位置に配置すると、レバー86は第一基準位置に配置され、スペーサ110を非接触位置に配置すると、レバー86は第二基準位置に配置される。レバー86が第二基準位置に配置されている場合のロール間のニップ力は、レバー86が第一基準位置に配置されている場合のロール間のニップ力に比して弱くなる。このように、スペーサ110の配置位置を変えることで、ロール間のニップ力が変わる。これにより、シート部材Pの板厚に応じて、適切なニップ力が選択される。
【0068】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態の作用では、第一基準位置に配置されているレバー86を回転移動させてロール間のニップ力を解除したが、第二基準位置に配置されているレバー86を回転移動させてロール間のニップ力を解除してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、加圧部材として加圧ロール62を用いて説明したが、ロールタイプの加圧部材ではなくベルトタイプ等の加圧部材であってもよい。