(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記メタチタン酸粒子の数平均粒径が20〜60nmであり、前記メタチタン酸粒子による前記トナー母粒子の被覆率が20〜50%である、請求項1に記載の静電荷像現像トナー。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。
【0009】
(静電荷像現像トナー)
本実施形態の静電荷像現像トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、結着樹脂、及び、着色剤を含むトナー母粒子と、外添剤として、結晶子径が12.0〜16.0nmであり、かつ疎水化処理され、真比重が2.5〜3.3g/cm
3であるメタチタン酸粒子と、を含有することを特徴とする。
【0010】
本発明者等が詳細に検討した結果、形成する画像におけるかぶりの発生の抑制に疎水化処理されたメタチタン酸粒子が、外添剤として有効であることを見いだしたが、また、メタチタン酸粒子の結晶構造による散乱と、メタチタン酸粒子表面の疎水化処理による散乱により、色再現性が悪化するという問題があることを見いだした。色再現性の悪化はグリーン、オレンジ、バイオレット等の特色を含む2次色において、彩度の悪化として、より顕著に表れる。
本発明者等が更に検討した結果、外添剤として、結晶子径が12.0〜16.0nmであり、かつ疎水化処理され、真比重が2.5〜3.3g/cm
3であるメタチタン酸を含有することで、形成する画像において、かぶりの発生を抑制でき、色再現性に優れる静電荷像現像トナーが得られることを見いだした。なお、詳細な効果が発現する機構は不明である。
【0011】
<メタチタン酸粒子>
本実施形態の静電荷像現像トナーは、外添剤として、結晶子径が12.0〜16.0nmであり、かつ疎水化処理され、真比重が2.5〜3.3g/cm
3であるメタチタン酸粒子を含有する。
前記メタチタン酸粒子は、TiO(OH)
2を主成分として含む粒子であり、TiO(OH)
2の含有量が、粒子の全重量に対し、50重量%であることが好ましく、80重量%であることがより好ましく、90重量%であることが更に好ましい。
前記メタチタン酸粒子における他の成分としては、TiO
2や、後述する表面処理剤由来の化合物が挙げられる。
本実施形態では、メタチタン酸として硫酸法により合成されたものを用いてもよい。
硫酸法としては、チタン鉱石、イルメナイト鉱(FeTiO
3)、酸化チタン(TiO
2)等を濃硫酸中で加熱し溶解して、硫酸チタン(Ti(SO
4)
2)の溶液を作製し、これを加熱加水分解することにより、粒子状のメタチタン酸を得る方法が好ましく挙げられる。
【0012】
前記メタチタン酸粒子の結晶子径は、12.0〜16.0nmであり、12.0〜15.0nmであることが好ましく、12.0〜14.0nmであることがより好ましい。上記範囲であると、メタチタン酸粒子による散乱が適度であり、画像における色再現性により優れる。
なお、本実施態様における「結晶子」とは、多結晶体を構成する個々の単結晶、又は、非晶質中に観測される単結晶を意味する。
本実施形態におけるメタチタン酸粒子の結晶子径の測定方法は、以下の通りである。
粉末X線回折法にてメタチタン酸粒子の(101)面のピークを測定し、シェラー(Scherrer)の下記式(1)から結晶子径の平均値Lを得ることができ、Lをメタチタン酸粒子の結晶子径とする。
L=Kλ/(βcosθ)…(1)
ここで、Kは定数、λは波長、βは半価幅、θは入射角を示す。
【0013】
前記メタチタン酸粒子の真比重は、2.5〜3.3g/cm
3であり、2.6〜3.1g/cm
3であることが好ましく、2.7〜2.9g/cm
3であることがより好ましい。上記範囲であると、メタチタン酸粒子による散乱が適度であり、画像における色再現性により優れる。
メタチタン酸粒子の真比重とは、空隙等を含まないメタチタン酸粒子を構成する物質自身の比重であり、真密度ともいう。
本実施形態におけるメタチタン酸粒子の真比重はJIS K5600−11−1に定められた方法(ピクノメータ法)に準じて測定した値を採用する。
【0014】
前記メタチタン酸粒子は、その表面が疎水化処理された粒子である。
メタチタン酸粒子の疎水化処理方法としては特に限定はなく、公知の疎水化処理剤を用いて処理することができる。
疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤若しくはアルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤、又は、シリコーンオイル等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】
シランカップリング剤としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプを使用することも可能である。具体的には、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、その他のカップリング剤としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等が挙げられる。
カップリング剤を用いて疎水化処理をするには、メタチタン酸粒子のスラリーにカップリング剤を添加すればよい。
疎水化処理に用いられるシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコーンオイルを用いて疎水化処理をする方法としては、例えば、一般的なスプレードライ方式が挙げられるが、表面処理できれば特に限定されるものではない。
本実施形態においては、アルコキシシランにより疎水化処理されたメタチタン酸粒子が均一処理(疎水化度が高い)の点から好ましい。
これらの中でも、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、イソブチルトリアルコキシシラン、オクチルトリアルコキシシラン、及び、シリコーンオイルが好ましい。
疎水化処理剤の使用量としては、メタチタン酸粒子100重量部に対して、5〜80重量部であることが好ましく、10〜50重量部であることがより好ましい。
【0016】
前記メタチタン酸粒子の数平均粒子径は、20〜60nmであることが好ましく、20〜50nmであることがより好ましく、20〜40nmであることが更に好ましい。
本実施形態において、メタチタン酸粒子の数平均粒子径とは、下記方法により測定された粒子径をいう。
外添されたトナーを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、トナー表面に付着した外添剤の粒子径を測定する。測定条件は倍率3万、視野:2視野、及び測定個数100個とする。なお、粒子径とは、観察された外添剤の投影面積と等しい面積を有する円の直径を指すものとする。
測定結果に基づいて、粒子径をX軸と、各粒子径における粒子(外添剤)の個数をY軸としてプロットし、ピークに相当する粒子径を数平均粒子径とする。ピークが二つ以上存在する場合には、各ピークに相当する粒子径を数平均粒子径とする。
【0017】
外添剤としてトナー中に含まれるメタチタン酸粒子の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.2〜5重量部であることがより好ましく、0.3〜2重量部であることが更に好ましい。
また、本実施形態の静電荷像現像トナーにおいて、前記メタチタン酸粒子による前記トナー母粒子の被覆率は、20〜50%であることが好ましく、30〜40%であることがより好ましい。
本実施形態におけるメタチタン酸粒子によるトナー母粒子の被覆率の測定方法は、走査型電子顕微鏡S4700((株)日立製作所製)を用い、倍率10,000倍にてトナー粒子表面を100視野観察した後、観察したトナー表面の画像を画像処理解析ソフトWinROOF(三谷商事(株)製)の面積解析ツールを用いてトナー表面のメタチタン酸粒子が付着している部分の面積を算出することにより求める。
【0018】
<トナー母粒子>
本実施形態の静電荷像現像トナーは、トナー母粒子を含有する。
本実施形態に用いられるトナー母粒子は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有し、必要に応じて、離型剤等を含有する。
【0019】
−結着樹脂−
トナー母粒子が含有する結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合わせて得られる共重合体、更にはこれらの混合物が挙げられる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合樹脂、又は、これらと前記ビニル樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。
【0020】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂は、例えば、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を、単独又は適宜組み合わせて公知の方法により得られる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びこれらの共重合樹脂を結着樹脂として使用する場合、重量平均分子量Mwが20,000以上100,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上30,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。
【0021】
これらの中でも、結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。
本実施形態に使用されるポリエステル樹脂は、ポリオール成分とポリカルボン酸成分から重縮合により合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。更に、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
三価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
更に、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、エチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸は、エチレン性不飽和二重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いられる。このようなジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0022】
多価アルコール成分としては、二価の多価アルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1.5〜6)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
三価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂(「非結晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)では、前記した原料モノマーの中でも、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
【0023】
また、トナーに低温定着性を付与するために結着樹脂の一部として結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂では、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることが好ましく、主鎖部分の炭素数が4〜20である直鎖型ジカルボン酸、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。また、炭素数が4以上であると、エステル結合濃度が低く、電気抵抗が適度であり、トナー帯電性に優れる。また、20以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0024】
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、又は、その低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
多価カルボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性。及び、低温定着性に優れる。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
【0026】
本実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度Tmは、50〜100℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましく、50〜80℃であることが更に好ましい。上記範囲であると、剥離性及び低温定着性に優れ、更にオフセットが低減されるので好ましい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度の測定には、示差走査熱量計を用い、室温(20℃)から180℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂は、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融解温度とする。
【0027】
一方、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、30℃以上であることが好ましく、30〜100℃であることがより好ましく、50〜80℃であることが更に好ましい。上記範囲であると、使用状態においてガラス状態であるため、画像形成時に受ける熱や圧力によってトナー粒子が凝集することがなく、機内に付着堆積することがなく、長期間にわたって安定した画像形成能が得られる。
ここで、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本実施形態におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法に従い、例えば、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度が得られる。
【0028】
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、10,000〜60,000であることが好ましく、15,000〜45,000であることがより好ましく、20,000〜30,000であることが更に好ましい。
また、非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜90,000であることがより好ましく、20,000〜80,000であることが更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、それぞれ上記の数値の範囲内であると、画像強度と定着性が両立されるので好ましい。上記の重量平均分子量は、いずれもテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で得られる。樹脂の分子量はTHF可溶物をTSK−GEL(GMH(東ソー(株)製))等を使用して、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出される。
【0029】
前記結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、1〜50mgKOH/gであることが好ましく、5〜50mgKOH/gであることがより好ましく、8〜50mgKOH/gであることが更に好ましい。上記範囲であると、定着特性及び帯電安定性に優れるので好ましい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調整等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
【0030】
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。また、金属触媒やブレンステッド酸触媒等の重縮合触媒を使用することが好ましい。
ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造してもよい。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150℃〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価や分子量に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
【0031】
結着樹脂のガラス転移温度は、40℃以上80℃以下の範囲にあることが好ましい。ガラス転移温度が上記範囲であることにより、最低定着温度が維持されやすくなる。
トナー母粒子における結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、トナーの全重量に対して、10〜95重量%であることが好ましく、25〜90重量%であることがより好ましく、45〜85重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、定着性、帯電特性等に優れる。
【0032】
−着色剤−
本実施形態において、得られる画像の着色を目的として、トナー母粒子は、着色剤を含有する。
着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性等の観点から任意に選択すればよい。
着色剤は、染料であっても顔料であってもよいが、耐光性や耐水性の観点から、顔料であることが好ましい。また、着色剤は有色着色剤に限定されるものではなく、白色着色剤、金属色を呈する着色剤であってもよい。
【0033】
例えばシアントナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などが用いられる。
マゼンタトナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同70、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同185、同202、同206、同207、同209、同238等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが用いられる。
イエロートナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同74、同93、同97、同128、同155、同180、同185、同139等のイエロー顔料などが用いられる。
また、ブラックトナーにおいては、その着色剤として、例えば、カーボンブラック、活性炭、チタンブラック、磁性粉、Mn含有の非磁性粉などが用いられる。また、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー顔料を混合して、ブラックトナーとしてもよい。
着色剤としては、表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用してもよい。上記着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等のカラートナーが調製される。
【0034】
着色剤の使用量は、特に制限はないが、トナー母粒子100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜15重量部であることがより好ましい。また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用することができる。
【0035】
なお、本実施形態において、着色剤を含有しないクリアトナー(透明トナー)を含むトナーセットとしてカラー画像を形成してもよい。光沢付与が望まれるカラートナー像に対し、その上ないし周辺に転写定着することで良好な光沢画像を得るためのクリアトナーとして好適に使用される。
【0036】
−離型剤−
本実施形態において、トナー母粒子は離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0037】
離型剤は、1種を単独で用いても、又は2種以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましく、3〜15重量%であることがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着性及び画質特性の両立が可能である。
【0038】
−その他の外添剤−
本実施形態の静電荷像現像トナーは、前述したメタチタン酸粒子以外の外添剤を含有していてもよい。
前述したメタチタン酸粒子以外の外添剤としては、公知の外添剤を用いることができ、無機粒子や有機粒子が挙げられるが、含有する場合、その含有量は、前述したメタチタン酸粒子のよりも少ないことが好ましい。
他の外添剤としては、シリカ粒子が好ましく挙げられる。
【0039】
−その他の成分−
本実施形態において、トナー母粒子は上記の成分に加え、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、公知の成分が挙げられ、例えば、滑剤、研磨剤等が挙げられる。
【0040】
−トナーの特性−
本実施形態のトナーの体積平均粒径は、2〜9μmであることが好ましく、3.0〜7.0μmであることがより好ましい。上記範囲であると、本実施形態の効果がより発揮される。
なお、トナーの体積平均粒径の測定は、コールターマルチサイザー−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用することが好ましい。
測定法として具体的には、以下の方法が挙げられる。
分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を1.0mg加える。これを前記電解液100ml中に添加して試料を懸濁した電解液を作製する。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザー−II型により、アパーチャー径として50μmアパーチャーを用いて1〜30μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求める。なお、測定する粒子数は、50,000とする。
【0041】
また、本実施形態のトナーの粒度分布としては狭いほうが好ましく、より具体的にはトナーの体積粒径の小さい方から換算して16%径(D
16vと略す)と84%径(D
84v)の比を平方根として示したもの(GSDv)、すなわち、下式で表されるGSDvが1.21以下であることが好ましく、1.19以下であることがより好ましく、1.17以下であることが特に好ましい。
GSDv={(D
84v)/(D
16v)}
0.5 (1)
(式(1)中、D
84v及びD
16vは、それぞれ分割された粒度範囲に対して小粒径側から体積累積分布曲線を描いたときに累積84%、16%となる粒径である。)
GSDvが上記範囲であると、トナー帯電量が過剰に大きくなる粒子の発生が抑制されるため、多次色の細線再現性の悪化が更に抑制される。
【0042】
更に、本実施形態のトナーは、形状係数SF1が110以上140以下の範囲であることが好ましく、110以上130以下の範囲であることがより好ましい。形状がこの範囲の球状であることにより、転写効率、画像の緻密性が向上し、高画質な画像が形成される。
ここで上記形状係数SF1は、下記式(E)により求められる。
SF1=(ML
2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(E)
上記式(E)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
前記SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(E)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0043】
−トナーの製造方法−
本実施形態に用いられるトナーの製造方法は、特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によって作製される。これらの方法の中でも、乳化凝集法が好ましい。
以下、乳化凝集法による本実施形態のトナーの製造方法について詳しく説明する。
【0044】
乳化凝集法は、トナーを構成する原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)を形成する乳化工程と、該樹脂粒子の凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程とを有する。
【0045】
・乳化工程
例えば、樹脂粒子分散液の作製は、水系媒体と樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行うことが好ましい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成することがより好ましい。また、分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。更に、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に溶かして水系媒体中に分散剤や高分子電解質とともに粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を作製してもよい。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが好ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
【0046】
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒径(体積平均粒径)は、60nm以上300nm以下の範囲であることが好ましく、150nm以上250nm以下の範囲であることがより好ましい。上記範囲であると、樹脂粒子の凝集性が十分であり、かつ、トナーの粒径分布を狭くすることができる。
【0047】
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散した後、離型剤の溶融温度以上の温度に加熱するとともに、強い剪断力を付与できるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。このような処理を経ることにより、離型剤分散液を得ることができる。
分散処理により、好ましくは体積平均粒径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液を得ることができる。なお、より好ましい離型剤粒子の体積平均粒径は、100nm以上500nm以下である。
【0048】
・凝集工程
前記凝集工程においては、樹脂粒子分散液、離型剤分散液、着色剤粒子分散液等を混合して混合液とし、非結晶性樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成することが好ましい。凝集粒子の形成は、撹拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる。
pHとしては、2以上7以下の範囲が好ましく、2.2以上6以下の範囲がより好ましく、2.4以上5以下の範囲がトナーの粒度分布を狭くするという点から更に好ましい。この際、凝集剤を使用することも有効である。
なお、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加してもよい。
【0049】
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、更に帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。前記無機金属塩の添加回数を増加させることにより、よりGSDvが小さなトナーが得られる。
【0050】
また、前記凝集粒子が所望の粒径になったところで樹脂粒子を追添加することで(被覆工程)、コア凝集粒子の表面を該樹脂粒子で被覆した構成のトナーを作製してもよい。この場合、離型剤がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で好ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
【0051】
・融合工程
融合工程においては、前記凝集工程に準じた撹拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記結晶性樹脂の溶融温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させることが好ましい。また、前記非結晶性樹脂で前記凝集粒子を被覆した場合には、該非結晶性樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆することが好ましい。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、好ましくは0.5時間以上10時間以下行えばよい。
融合後に冷却し、融合粒子が得られる。また、冷却の工程で、結晶性樹脂の溶融温度近傍(溶融温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
【0052】
融合して得た融合粒子(トナー母粒子)は、濾過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー母粒子とすることができる。
また、得られたトナー母粒子にメタチタン酸粒子を含む外添剤を外添する工程を行う。
外添工程におけるトナー母粒子の表面に外添剤を外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられ、例えば、機械的方法、又は、化学的方法で付着させる方法が挙げられる。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
【0053】
(トナーセット)
本実施形態のトナーセットは、本実施形態の静電荷像現像トナーを少なくとも含むトナーセットであればよいが、着色剤がシアン着色剤である本実施形態の静電荷像現像トナーと、着色剤がマゼンタ着色剤である本実施形態の静電荷像現像トナーと、着色剤がイエロー着色剤である本実施形態の静電荷像現像トナーと、着色剤がブラック着色剤である本実施形態の静電荷像現像トナーと、を少なくとも有することが好ましい。上記態様であると、本実施形態の効果がより発揮され、形成する画像において、かぶりの発生をより抑制でき、色再現性により優れる。
また、本実施形態のトナーセットは、着色剤がグリーン、オレンジ、バイオレット又は金属調着色剤である本実施形態の静電荷像現像トナーの少なくとも1種を更に有することがより好ましい。
【0054】
(静電荷像現像剤)
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」という場合がある。)は、本実施形態の静電荷像現像トナーを含有するものであれば特に制限はなく、また、トナーを単独で用いる一成分系の現像剤であってもよく、トナーとキャリアとを含む二成分系の現像剤であってもよい。なお、一成分系の現像剤の場合には、磁性金属粒子を含むトナーであっても磁性金属粒子を含まない非磁性一成分トナーであっても構わない。
【0055】
キャリアは、公知のキャリアであれば特に制限されるものではなく、鉄粉系キャリア、フェライト系キャリア、表面コートフェライトキャリア等が使用される。また、それぞれの表面添加粉末は所望の表面処理を施して用いてもよい。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μmであることが好ましい。
【0056】
また、上記樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー;などの単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、更に、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100重量部に対して0.1〜10重量部程度の範囲が好ましく、0.5〜3.0重量部の範囲がより好ましい。
【0057】
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどが使用され、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどが使用される。
【0058】
キャリアとして、フェライト粒子を核体としてアクリル酸メチル又はアクリル酸エチル及びスチレン等に導電剤としてカーボンブラック等及び又は帯電制御剤としてメラミンビーズ等を分散した樹脂をコートしたキャリアを用いると、コート層を厚膜化しても抵抗制御性に優れるため、画質及び画質維持性に優れ、より好ましい。
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて選択される。
【0059】
(画像形成方法)
本実施形態のトナーを用いた画像形成方法について説明する。本実施形態のトナーは、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には以下の工程を有する画像形成方法において利用される。
すなわち、好ましい画像形成方法は、少なくとも像保持体を帯電させる帯電工程と、前記像保持体表面に静電潜像を形成する露光工程と、前記像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記トナー像を定着する定着工程と、を含み、前記現像剤が、本実施形態の静電荷像現像トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤である。また、転写工程は、静電荷潜像保持体から被転写体へのトナー像の転写を媒介する中間転写体を用いたものであってもよい。
また、転写後の前記像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程を有することも好ましい。
【0060】
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記静電潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
前記クリーニング工程は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体を使用することができる。
被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0061】
本実施形態の画像形成方法においては、更にリサイクル工程をも含む態様でもよい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施される。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムに適用してもよい。
【0062】
(画像形成装置)
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の静電荷像現像トナーを用いた画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤が、本実施形態の静電荷像現像トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤であることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、を少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、クリーニング手段、除電手段等を含んでいてもよい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
【0063】
前記像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いることができる。前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
また、本実施形態の画像形成装置においては、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング手段を備えることが好ましい。
クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられるが、クリーニングブレードが好ましい。
【0064】
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態の静電荷像現像用現像剤を収容する本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0065】
(トナーカートリッジ、現像剤カートリッジ及びプロセスカートリッジ)
本実施形態のトナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像トナーを少なくとも収容しているトナーカートリッジである。
本実施形態の現像剤カートリッジは、本実施形態の静電荷像現像剤を少なくとも収容している現像剤カートリッジである。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像剤を収容し、かつ前記静電荷像現像剤を保持して搬送する現像剤保持体を備えるプロセスカートリッジであり、像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、を備え、本実施形態の静電荷像現像用トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を少なくとも収容しているプロセスカートリッジであることが好ましい。
【0066】
本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であることが好ましい。すなわち、トナーカートリッジが着脱可能な構成を有する画像形成装置において、本実施形態のトナーを収納した本実施形態のトナーカートリッジが好適に使用される。
本実施形態の現像剤カートリッジは、前記本実施形態の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を含有するものであればよく、特に制限はない。現像剤カートリッジは、例えば、現像手段を備えた画像形成装置に着脱され、この現像手段に供給されるための現像剤として、前記本実施形態の静電荷像現像トナーを含む静電荷像現像剤が収納されているものである。
また、現像剤カートリッジは、トナー及びキャリアを収納するカートリッジであってもよく、トナーを単独で収納するカートリッジとキャリアを単独で収納するカートリッジとを別体としたものでもよい。
本実施形態のプロセスカートリッジは、画像形成装置に脱着されることが好ましい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等、その他の部材を含んでもよい。
トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジとしては、公知の構成を採用してもよく、例えば、特開2008−209489号公報、及び、特開2008−203736号公報等が参照される。
【実施例】
【0067】
以下、実施例を交えて本実施形態を詳細に説明するが、以下に示す実施例のみに本実施形態は限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。また、下記における「一次粒径」は、「体積平均一次粒径」を表す。
【0068】
<メタチタン酸粒子1の作製>
イルメナイト鉱石(FeTiO
3)を濃硫酸中で加熱、溶解させ鉄粉を分離し、TiOSO
4を得た。更に加熱加水分解によりTiO(OH)
2の沈殿物を生成させ、これを濾過し、水洗浄を繰り返した後、TiO(OH)
2に対し10ppm(重量)のポリカルボン酸と100倍量(重量)の水を加え、十分に撹拌した後、150℃で乾燥させた。次に、700℃で1分間、及び、500℃で80分間(以下、二段階焼成温度及び時間とする)焼成した。次いで水1,000重量部中に得られたチタン酸化物100重量部を分散し、イソブチルメトキシシランを固形分の10重量%を、25℃の温度の下、撹拌しながら滴下した。次に、これを濾過し、水洗浄を繰り返した。得られたイソブチルメトキシシランで表面処理されたチタン酸化物を150℃で乾燥し、メタチタン酸粒子1を得た。
【0069】
<メタチタン酸粒子2〜11の作製>
メタチタン酸粒子1の作製において、表1に記載のポリカルボン酸量、焼成条件、表面処理条件に変更した以外は、同様な方法でメタチタン酸粒子2〜11をそれぞれ作製した。
【0070】
【表1】
【0071】
(実施例1)
<トナー1の作製>
<<トナー母粒子の作製>>
−ポリエステル樹脂分散液の調製−
・エチレングリコール〔和光純薬工業(株)製〕:37部
・ネオペンチルグリコール〔和光純薬工業(株)製〕:65部
・1,9−ノナンジオール〔和光純薬工業(株)製〕:32部
・テレフタル酸〔和光純薬工業(株)製〕:96部
上記モノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度200℃まで上げ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを1.2部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて240℃まで温度を上げ、240℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、酸価が9.4mgKOH/g、重量平均分子量13,000、ガラス転移点62℃であるポリエステル樹脂を得た。
次いで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に毎分100部の速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm
2の条件でキャビトロンを運転し、平均粒径160nm、固形分30%、ガラス転移点62℃、重量平均分子量Mwが13,000の樹脂粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液を得た。
【0072】
−シアン着色剤分散液の調製−
・シアン顔料〔PigmentBlue15:3、大日精化工業(株)製〕:10部
・アニオン性界面活性剤〔ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製〕:2部
・イオン交換水:80部
上記の成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー〔HJP30006、(株)スギノマシン製〕により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20%の着色剤分散液を得た。
【0073】
−バイオレット着色剤分散液の調製−
シアン着色剤分散液の調製において着色剤をバイオレット顔料〔C.I.ピグメントバイオレット37、BAFS社製〕に変更した以外は同様の方法にてバイオレット着色剤分散液を調製した。
【0074】
−離型剤分散液の調製−
・パラフィンワックス〔HNP 9、日本精蝋(株)製〕:50部
・アニオン性界面活性剤〔ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製〕:2部
・イオン交換水:200部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製、ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が200nm、固形分20%の離型剤分散液を得た。
【0075】
(シアントナーの作製)
・ポリエステル樹脂分散液:200部
・シアン着色剤分散液:25部
・離型剤分散液:25部
・ポリ塩化アルミニウム:0.4部
・イオン交換水:100部
上記の成分をステンレス製フラスコに投入し、IKA社製のウルトラタラックスを用い十分に混合、分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら48℃まで加熱した。48℃で20分保持した後、ここに上記と同じポリエステル樹脂分散液を緩やかに70部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを8.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、撹拌軸のシールを磁力シールして撹拌を継続しながら90℃まで加熱して3時間保持した。反応終了後、降温速度を2℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これを更に30℃のイオン交換水3,000部を用いて再分散し、15分間300rpmで撹拌・洗浄した。この洗浄操作を更に6回繰り返し、濾液のpHが7.54、電気伝導度6.5μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5A濾紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー母粒子1を得た。
トナー母粒子1の数平均粒子径をコールターマルチサイザー−II型(ベックマン−コールター社製)で測定したところ、5.0μmであり、SF1は130であった。
更に、このトナーにメタチタン酸粒子1を2.0重量%添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、シアントナーを得た。
【0076】
<バイオレットトナーの作製>
シアントナーの作製において、着色剤分散液をバイオレット着色剤分散液に変更した以外は、同様の方法にてバイオレットトナーを作製した。
【0077】
<キャリアの作製>
ニーダーにMn−Mgフェライト(体積平均粒径:50μm、パウダーテック(株)製、形状係数SF1:120)を1,000部投入し、シクロヘキシルアクリレート樹脂〔重量平均分子量:50,000〕100部をトルエン700部に溶かした溶液を加え、常温(25℃)で20分混合した後、70℃に加熱して減圧乾燥した後、取り出し、磁性芯材が被覆層により被覆されたキャリア(コートキャリア)を得た。更に得られたコートキャリアを75μm目開きのメッシュでふるい、粗粉を除去してキャリアを得た。キャリアの形状係数SF1は、124であった。
【0078】
<静電荷像現像剤の作製>
得られた各トナーとキャリアとを、トナー:キャリア=8:92(重量比)の割合でVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、シアン現像剤、バイオレット現像剤を得た。
【0079】
<かぶり評価>
上述のシアン現像剤を富士ゼロックス(株)製DocuCentreColor400改造機の現像器に充填し、用紙として富士ゼロックス(株)製カラーペーパー(J紙)を用い、32℃/80%RH(高温高湿下)にて、エリアカバレッジ50%のベタ画像を10,000枚印刷し、かぶりの評価及び画像濃度を測定した。かぶりの評価は、10,000枚目の非画像を観察し、以下の基準で行った。結果を表2に示す。
【0080】
〔かぶり〕
◎:かぶりが観察されない
○:ルーペによりかぶりが観察されるが実用上問題なし
△:目視によりかぶりが僅かに観察される
×:かぶりが顕著に観察される
【0081】
<色再現性評価>
温度25℃、湿度50%の環境室内で、富士ゼロックス(株)製DocuCentre Color400CPの本体、現像器、トナーカートリッジを、それまでにセットされていた現像剤及びトナーを充分に除去して清掃した後、各シアン現像剤、及び、各バイオレット現像剤を、各々、現像器に、補給用トナーを各トナーカートリッジに投入した。そして、以下の評価を行った。
【0082】
−色域評価(2次色)−
OSコート紙上の各単色100%画像の現像トナー量を4.0g/m
2に調整し、5cm×5cmの大きさで、シアントナー100%とバイオレットトナー100%からなるシアン/バイオレット2次色画像を作製し、得られた画像の彩度(c
*=〔(a
*)
2+(b
*)
2〕
0.5)を測定した。測定には、X−Rite939(アパーチャー4mm)を用いて、画像面内をランダムに10回測定し平均した。濃度結果、及び、彩度結果を表2に示す。
なお、評価は以下を基準として行った。
【0083】
〔シアン/バイオレット2次色色彩度〕
G5:66以上
G4:62以上66未満
G3:58以上62未満
G2:56以上58未満
G1:56未満
シアン/バイオレット2次色彩度(c
*)は大きいほど彩度が高く、G3〜G5までが許容できる範囲である。
【0084】
(実施例2〜8、及び、比較例1〜5)
実施例1のシアントナー、バイオレットトナー、シアン現像剤、及び、バイオレット現像剤の作製において、表2に記載のトナーに変更した以外は、同様な方法で実施例2〜8、及び、比較例1〜5の静電荷像現像トナー及び静電荷像現像剤をそれぞれ作製した。得られた静電荷像現像トナー及び静電荷像現像剤をそれぞれ、実施例1と同様の方法にて評価した。評価結果をまとめて表2に示す。
【0085】
【表2】