特許第6379964号(P6379964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379964
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】マットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20180820BHJP
   A47C 27/14 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A47C27/15 A
   A47C27/15 B
   A47C27/14 A
   A47C27/14 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-208241(P2014-208241)
(22)【出願日】2014年10月9日
(65)【公開番号】特開2016-77310(P2016-77310A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】内田 悠歩
(72)【発明者】
【氏名】鳥原 孝一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 哲寛
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−339484(JP,A)
【文献】 特開2007−136049(JP,A)
【文献】 特開2005−111100(JP,A)
【文献】 特開2013−150651(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3053595(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0218318(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/15
A47C 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
就寝者からの荷重に応じて弾性変形する弾性部材が複数配設されることにより、前記就寝者からの前記荷重を分散して、前記就寝者に作用する圧力値を低減する体圧分散機能を備えた弾性部材層をそれぞれ有する第一弾性体ユニットおよび第二弾性体ユニットを備えたマットレスであって、
前記第一弾性体ユニットは、前記就寝者の臀部を支持し、
前記第二弾性体ユニットは、前記就寝者の肩部を支持し、
前記第二弾性体ユニットの前記弾性部材層の上面の位置は、前記第一弾性体ユニットの前記弾性部材層の上面の位置より上下方向において下方となるように設定されているマットレス。
【請求項2】
前記第二弾性体ユニットの前記弾性部材層の前記上面の位置は、前記就寝者の前記マットレスと接触する部位のうち、前記就寝者に作用する前記圧力値が所定圧力値より大きくなる部位を、減少させるように設定されている請求項1記載のマットレス。
【請求項3】
前記第二弾性体ユニットの前記弾性部材層の前記上面の位置は、前記就寝者の肩峰幅と腋幅との差に基づいて設定されている請求項1または請求項2記載のマットレス。
【請求項4】
前記第一弾性体ユニットは、前記第一弾性体ユニットの前記弾性部材層の前記上面に配設され、弾性体によって形成された第一上層をさらに備え、
前記第二弾性体ユニットは、前記第二弾性体ユニットの前記弾性部材層の前記上面に配設され、弾性体によって形成された第二上層をさらに備え、
前記第二上層の厚みは、前記第一上層の厚みより厚くなるように設定され、
前記第二上層の上面は、凹凸状に形成されている請求項1乃至請求項3の何れか一項記載のマットレス。
【請求項5】
前記弾性部材は、熱可塑性エラストマーによって、柱状に形成されている請求項1乃至請求項4の何れか一項記載のマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
マットレスの一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。マットレスは、特許文献1の図1に示すように、台座6の平板面6a上に就寝者からの荷重に応じて弾性変形可能な柱状部材7が複数配設された弾性体ユニット1を3つ備えている。弾性体ユニット1は、柱状部材7が就寝者からの荷重を分散するように弾性変形して、就寝者に作用する圧力値を低減する体圧分散機能を発揮する。これにより、就寝者は、快適なマットレスの使用感を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−339484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に、身体のラインにおいて、背骨からの突出量は、臀部より肩部の方が大きい。よって、横向きである就寝者の肩部からの弾性体ユニット1に作用する荷重が、仰向けである就寝者の臀部からの弾性体ユニット1に作用する荷重より大きくなる場合がある。この場合、柱状部材7の変形量が、就寝者からの荷重を十分に分散できる変形量の範囲を超えて大きくなるときがある。このとき、就寝者の肩部において、弾性体ユニット1の体圧分散機能が十分に発揮されない。一方、就寝者が横向きである場合においても、体圧分散性を向上させたい要請がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を解消するためになされたもので、就寝者が横向きである場合においても、体圧分散性を向上することができるマットレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係るマットレスは、就寝者からの荷重に応じて弾性変形する弾性部材が複数配設されることにより、就寝者からの荷重を分散して、就寝者に作用する圧力値を低減する体圧分散機能を備えた弾性部材層をそれぞれ有する第一弾性体ユニットおよび第二弾性体ユニットを備えたマットレスであって、第一弾性体ユニットは、就寝者の臀部を支持し、第二弾性体ユニットは、就寝者の肩部を支持し、第二弾性体ユニットの弾性部材層の上面の位置は、第一弾性体ユニットの弾性部材層の上面の位置より上下方向において下方となるように設定されている。
【発明の効果】
【0007】
これによれば、就寝者の肩部を支持する第二弾性体ユニットの弾性部材層の上面の位置は、就寝者の臀部を支持する第一弾性体ユニットの弾性部材層の上面の位置より上下方向において下方となるように設定されている。よって、第二弾性体ユニットの弾性部材層の上面が第一弾性体ユニットの弾性部材層の上面と上下方向において同じ位置である場合と比べて、第二弾性体ユニットの弾性部材層において、横向きである就寝者の肩部からの荷重による弾性部材の上下方向の変形量を低減させることができる。したがって、弾性部材の変形量が、就寝者からの荷重を十分に分散できる範囲を超えて大きくなることを抑制することができるため、就寝者が横向きである場合においても、第二弾性体ユニットの弾性部材層ひいてはマットレスの体圧分散性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態におけるマットレスの上面図である。
図2図1に示すマットレスの側断面図である。
図3図2に示す弾性部材の側面図である。
図4図2に示す弾性部材における弾性部材に作用する荷重とその荷重によって生じる変化量との相関関係を示す図である。
図5】従来のマットレスに、就寝者が横向きに就寝した場合におけるマットレスの状態を示す側断面図である。
図6図1に示すマットレスに、就寝者が横向きに就寝した場合におけるマットレスの状態を示す側断面図である。
図7】就寝者の肩峰幅および脇幅を示す図である。
図8図1に示すマットレスに就寝者が横向きに就寝したときに、就寝者に作用する圧力値の分布を示す図である。
図9】従来のマットレスに就寝者が横向きに就寝したときに、就寝者に作用する圧力値の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明によるマットレス1の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書においては説明の便宜上、図1における左側および右側をそれぞれマットレス1の前方および後方とし、同じく紙面手前側および紙面奥側を、それぞれマットレス1の上方および下方として説明する。また、図1および図2には、各方向を示す矢印を示している。
【0010】
マットレス1は、例えばベッドの上に敷かれて使用される敷物である。マットレス1は、図1および図2に示すように、ベース部材10、第一弾性体ユニット20および二つの第二弾性体ユニット30を備えている。
ベース部材10は、例えば発泡ウレタン等の弾性体によって形成されている。ベース部材10には、上方に向けて平面方形状に開口する有底の凹部10aが形成されている。
【0011】
第一弾性体ユニット20は、凹部10aの前後方向中央部に配設されている。第一弾性体ユニット20は、前方に頭部を向けた就寝者の臀部を少なくとも支持する位置に配設されている。第一弾性体ユニット20は、図2に示すように、上下方向に重なる三層構造に形成され、下方から順に、下の層である台座層21、中間の層である第一弾性部材層22(特許請求の範囲の弾性部材層に相当)および上の層である第一上層23を備えている。
【0012】
台座層21は、底面が凹部10aの底面に接触するように配設されている。台座層21は、直方体状に、例えば発泡ウレタン等の弾性体によって形成されている。この弾性体の硬度は、第一弾性部材層22の硬度より高くなるように設定されている。これにより、台座層21は、台座層21の上面に配設された第一弾性部材層22を、就寝者からの荷重によって変形させて後述する体圧分散機能を発揮させるように、支持することができる。なお、この硬度は、例えば、所定の圧子によって所定の荷重を与えた場合の変形量の大きさを測定するデュロメータ硬さ(JIS K6253)である。所定の荷重に対して変形量が小さいほど、硬度が高い。
【0013】
第一弾性部材層22は、台座層21の上面に配設されている。第一弾性部材層22は、複数の弾性部材22aおよび弾性部材22aを収納する収納部材22bを備えている。弾性部材22aは、熱可塑性エラストマーによって形成されている。熱可塑性エラストマーは、具体的には、スチレン系エラストマーであり、スチレン系ベースポリマーにオイルを含有させたものである。これにより、弾性部材22aは、比較的低い硬度の弾性体に形成されている。また、弾性部材22aは、円柱状に形成されている。具体的には、弾性部材22aは、外径47mm、高さ30mmの円柱状に形成されている。弾性部材22aは、底面が台座層21に接触するように配設され、上方に向かって延びるように配設されている。
【0014】
また、弾性部材22aは、就寝者からの荷重に応じて弾性変形をするものである。弾性部材22aは、就寝者からの荷重を分散して、就寝者に作用する圧力値を低減する体圧分散機能を備えている。具体的には、弾性部材22aは、図3に示すように、荷重が作用していない状態である弾性部材22a(実線にて示す)の上面に、下方に向かって荷重Fが作用した場合、破線にて示すように、上下方向の変形量Hが生じるとともに、弾性部材22aの上面の面積が増加するように変形する。すなわち、弾性部材22aは、就寝者からの荷重に対して、荷重が作用する面積を増加させるように変形することで、就寝者に作用する圧力値を低減する。
【0015】
ここで、弾性部材22aの上面に下方に向けて作用する荷重Fと、荷重Fによって生じる変形量Hとの相関関係について、図4を用いて説明する。図4において、弾性部材22aの相関関係Rdは、実線にて示されている。また、図4には、一般的なコイルスプリングの相関関係Rsが一点破線にて、一般的な発泡ウレタンの相関関係Ruが破線にて示されている。なお、それぞれの相関関係を比較できるように、荷重F1のときの変形量Hが15mmとなるようにそれぞれ形成されている。
【0016】
弾性部材22aは、変形量Hが15mmより大きい場合、変形量Hが15mm以下である場合と比べて、荷重Fの変化率に対する変形量Hの変化率が著しく小さくなるため、弾性部材22aの上面の面積の変化率についても著しく少なくなる。よって、弾性部材22aにおいて、変形量Hが15mmより大きい場合、就寝者からの荷重が十分に分散されないため、弾性部材22aの体圧分散機能が低下する。
【0017】
また、弾性部材22aは、15mm以下の変形量Hにて使用される場合、コイルスプリングおよび発泡ウレタンと比べて、同じ荷重Fによって生じる変形量Hが大きい。よって、弾性部材22aは、15mm以下の変形量Hにて使用される場合、コイルスプリングおよび発泡ウレタンと比べて、就寝者からの荷重を十分に分散して、就寝者に作用する圧力値を低減させることができる。すなわち、弾性部材22aは、15mm以下の変形量Hにて使用される場合、良好な体圧分散機能を発揮するように形成されている。
【0018】
また、弾性部材22aは、図1に示すように、上面視において、千鳥状に配設されている。弾性部材22aの個数や弾性部材22a間の距離等は、仰向けである就寝者に対して、就寝者のマットレス1と接触する部位のうち、就寝者に作用する圧力値が所定圧力値より大きくなる部位を、減少させるように設定されている。所定圧力値は、およそ5.3kPa(40mmHg)である。一般的に、就寝者に作用する圧力値が所定圧力値以下である場合、褥瘡(床ずれ)を抑制する効果がある。弾性部材22aの個数や弾性部材22a間の距離等は、実験等により実測されて設定されている。
【0019】
収納部材22bは、図2に示すように、直方体状に形成されている。収納部材22bは、上下方向に貫通し、弾性部材22aを同軸的に収納する収納穴22b1が、弾性部材22aの配置位置に合わせて複数形成されている。収納部材22bは、例えば発泡ウレタン等の弾性体によって形成されている。この弾性体の硬度は、弾性部材22aの硬度より低く設定されている。これにより、収納部材22bが、弾性部材22aの変形の妨げにならないようになっている。
このように、第一弾性部材層22は、就寝者からの荷重に応じて弾性変形する弾性部材22aが複数配設されることにより、就寝者からの荷重を分散して、就寝者に作用する圧力値を低減する体圧分散機能を備えている。
【0020】
第一上層23は、第一弾性部材層22の上面に配設され、例えば弾性部材22aの破損等を防止して、第一弾性部材層22を保護するものである。第一上層23は、例えば発泡ウレタン等の弾性体によってシート状に形成されている。この弾性体の硬度は、第一弾性部材層22の保護のため、第一弾性部材層22の硬度より高くなるように形成されている。さらに、第一上層23の上面は、第一弾性部材層22の保護のため、ラミネート加工されている。ラミネート加工は、例えば樹脂製のフィルムを接合する表面加工である。
【0021】
また、第一上層23の厚みは、比較的薄肉に形成されている。これにより、第一上層23が比較的厚肉に形成されている場合と比べて、就寝者からの荷重に対する第一上層23の変形量が大きくなるため、第一上層23は、就寝者からの荷重を第一弾性部材層22に伝達することができる。よって、第一上層23が第一弾性部材層22の変形を妨げないため、第一弾性部材層22は、体圧分散機能を発揮できる。第一上層23の厚みは、例えば5mmである。
また、就寝者からの荷重を第一弾性部材層22に伝達することができるように、第一上層23の厚みを比較的薄く形成した場合においても、第一上層23の上面がラミネート加工されているため、第一上層23の上面の強度を比較的高くすることができる。よって、第一上層23は、第一弾性部材層22を確実に保護することができる。
【0022】
また、第一弾性体ユニット20は、第一弾性体ユニット20の全体を覆うカバー(図示なし)をさらに備えている。カバーは、例えば伸縮性を有するウレタン等の弾性体によって、第一弾性体ユニット20の外形状に沿って形成されている。
【0023】
第二弾性体ユニット30は、凹部10a内において、第一弾性体ユニット20を挟むように、第一弾性体ユニット20の前方および後方に配設されている。前方の第二弾性体ユニット30は、前方に頭部を向けた就寝者の肩部を少なくとも支持する位置に配設されている。後方の第二弾性体ユニット30は、マットレス1が前後方向を反対にするように配置変更された場合、第一弾性体ユニット20の前方に位置することにより、前方に頭部を向けた就寝者の少なくとも肩部を支持する。
【0024】
第二弾性体ユニット30は、上下方向に重なる二層構造に形成され、下方から順に、下の層である第二弾性部材層31(特許請求の範囲の弾性部材層に相当)および上の層である第二上層32を備えている。
第二弾性部材層31は、底面が凹部10aの底面に接触するように配設されている。第二弾性部材層31は、複数の弾性部材31aおよび弾性部材31aを収納する収納部材31bを備えている。
【0025】
弾性部材31aは、上述した弾性部材22aと同じものである。収納部材31bは、直方体状に形成されている。収納部材31bは、上下方向に貫通し、弾性部材31aを同軸的に収納する収納穴31b1が、弾性部材31aの配置に合わせて複数形成されている。収納部材31bは、収納部材22bと同じ弾性体にて形成されている。
【0026】
また、第二弾性部材層31の上面の位置は、第一弾性部材層22の上面の位置より上下方向において下方となるように設定されている。このように第二弾性部材層31の上面の位置を設定した理由について説明する。
図5に示すように、従来のマットレスのように、第二弾性部材層31の上面が第一弾性部材層22の上面と上下方向において同じ位置に配設された場合において、就寝者が横向きであるとき、マットレス1の上面Sからの就寝者の肩部の下降量Lsは、臀部の下降量Lhより大きい。一方、就寝者が仰向けであるときにおいては、臀部の下降量の方が、肩部の下降量より大きい。
【0027】
また、一般的に、横向きである就寝者の肩部の下降量Lsは、仰向けである就寝者の臀部の下降量より大きい。よって、横向きである就寝者の肩部を支持する第二弾性部材層31の変形量が、仰向けである就寝者の臀部を支持する第一弾性部材層22の変形量より大きくなるときがある。このとき、第二弾性部材層31の弾性部材31aの変形量Hが、第一弾性部材層22の弾性部材22aの変形量Hより大きくなることにより、第二弾性部材層31の体圧分散性が第一弾性部材層22の体圧分散性より低下する。
そこで、横向きである就寝者からの荷重に対する弾性部材31aの変形量Hを減少させるため、第二弾性部材層31の上面を、図6に示すように、第一弾性部材層22の上面より上下方向において下方に位置させている。例えば、第二弾性部材層31の上面が、第一弾性部材層22の上面より上下方向において20mm下方に位置するように、第二弾性部材層31の上面の位置が設定されている。
【0028】
次に、第二弾性部材層31の上面を、第一弾性部材層22の上面より20mm下方に位置させた理由について説明する。横向きである就寝者の上半身において、一般的に、腋から腰までの部位は、マットレス1に対する沈み込み量が比較的少ない。よって、第二弾性部材層31の上面の位置を、人体における腋の位置を基準とした肩部の突出量Psに基づいて設定することができる。肩部の突出量Psは、肩峰幅と脇幅との差に基づいて設定することができる。具体的には、肩部の突出量Psは、図7に示す肩峰幅Wspと腋幅Waとの差の半分の値に設定することができる(Ps=(Wsp−Wa)/2)。肩峰幅Wspおよび腋幅Waは、例えば(社)人間生活工学研究センターの人体寸法データベース等を参照することにより算出される。肩部の突出量Psは、例えば、男性の95パーセンタイル値に設定した場合、34.5mmとなる。また、例えば、女性の5パーセンタイル値に設定した場合、肩部の突出量Psは、28.5mmとなる。これにより、肩部の突出量Psの最大値を、35mmに設定することができる。
【0029】
上述した弾性部材22aと同様に、弾性部材31aは、就寝者からの荷重に対する変形量Hが15mm以下である場合、良好な体圧分散機能を発揮する。肩部の突出量Psの最大値が35mmに設定されたため、第二弾性部材層31の上面の第一弾性部材層22の上面から20mm下げた場合、弾性部材31aの変形量Hを15mm以下に抑制ことができる。このように、第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31の位置は、就寝者の肩峰幅Wspと腋幅Waとの差に基づいて設定されている。
【0030】
また、弾性部材31aの配置は、図1に示すように、弾性部材22aと同様に、上面視において千鳥状に配設されている。弾性部材31aの個数や弾性部材31a間の距離等は、横向きである就寝者および仰向けである就寝者に対して、就寝者のマットレスと接触する部位のうち、就寝者に作用する圧力値が所定圧力値より大きくなる部位を、減少させるように設定されている。弾性部材31aの個数や弾性部材31a間の距離等は、実験等により実測されて設定されている。このように、第二弾性部材層31は、就寝者からの荷重に応じて弾性変形する弾性部材31aが複数配設されることにより、就寝者からの荷重を分散して、就寝者に作用する圧力値を低減する体圧分散機能を備えている。
【0031】
第二上層32は、例えば弾性部材31aの破損等を防止して、第二弾性部材層31を保護するものである。第二上層32は、図2に示すように、底面が第二弾性部材層31の上面に接触するように配設されている。第二上層32は、例えば発泡ウレタン等の弾性体によって形成されている。この弾性体の硬度は、第二弾性部材層31の保護のため、第二弾性部材層31の硬度より高くなるように形成されている。また、第二上層32の厚みは、第二上層32の上端を第一上層23の上面に近づけるため、第一上層23の厚みより厚くなるように形成されている。第二上層32の厚みは、例えば20mmである。
【0032】
また、第二上層32の上面は、プロファイル加工が施されている。プロファイル加工は、表面を凹凸状(波形状)に形成する加工である。このプロファイル加工により、第二上層32は、上面が平面状に形成されている場合と比べて、就寝者からの荷重に対する上下方向における変形量が大きくなるため、就寝者からの荷重を第二弾性部材層31に伝達することができる。よって、第二上層32が第二弾性部材層31の変形を妨げないため、第二弾性部材層31は、体圧分散機能を発揮できる。
なお、上述したベース部材10を形成する弾性体の硬度は、第二弾性部材層31の硬度より高く設定されている。これにより、ベース部材10は、ベース部材10の凹部10aの底面に配設された第二弾性部材層31を、就寝者からの荷重によって変形させて体圧分散機能を発揮させるように、支持することができる。
【0033】
また、第二弾性体ユニット30は、第一弾性体ユニット20と同様に、第二弾性体ユニット30の全体を覆うカバー(図示なし)をさらに備えている。
また、マットレス1は、マットレス1の外形状に沿って形成され、マットレス1の全体を覆う外装カバー(図示なし)およびキルト層(図示なし)をさらに備えている。外装カバーは、例えば化繊織物である。また、キルト層は、マットレス1の側面および上面と外装カバーとの間に配設され、例えば発泡ウレタンによって形成されている。外装カバーの厚みは、各弾性部材22a,31aの妨げにならないように、比較的薄肉に設定されている。なお、就寝者の頭部には、各弾性体ユニット20,30は配設されていない。
【0034】
次に、上述したマットレス1において、横向きである標準体型(身長174cm、体重68Kg)の就寝者Mからの荷重が作用した場合の作動について説明する。
就寝者Mがマットレス1に横向きに寝ている場合、各弾性部材層22,31は、就寝者Mの身体のラインの合わせて沈み込むように変形する。この場合、横向きである就寝者Mは、図6に示すように、肩部の下降量Lsが臀部の下降量Lhより大きい。第二弾性部材層31における就寝者Mの肩部が接触する部位においては、第二上層32が、就寝者Mの肩部によって圧縮されて、下方に向けて凸状に湾曲し、つぶされるように変形して、就寝者Mからの荷重を第二弾性部材層31に伝達する。これにより、第二弾性部材層31の弾性部材31aが、就寝者Mからの荷重を分散するように弾性変形する。このとき、第二弾性部材層31の上面の位置は、第一弾性部材層22の上面の位置より上下方向に下方となっているため、各弾性部材層22,31の上面が同一位置である場合と比べて、弾性部材31aの上下方向の変形量Hが減少する。
【0035】
その結果、上述したマットレス1の就寝者Mに作用する圧力値が、図8に示すように分布する。具体的には、マットレス1における就寝者Mの肩部に作用する最大圧力値Pmaxは、11.44kPa(86mmHg)である。これは、すべての弾性部材層の位置が同一である従来のマットレスの最大圧力値Pmax=12.77kPa(96mmHg;図9参照)と比べて減少している。また、就寝者のマットレス1と接触する部位のうち、就寝者Mに作用する圧力値が所定圧力値(5.3kPa(40mmHg))より大きい就寝者Mの部位の面積は、従来のマットレスが170mmであるのに対し、本実施形態のマットレス1は、120mmに減少している。
このように、第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31の上面の位置は、就寝者のマットレス1と接触する部位のうち、就寝者に作用する圧力値が所定圧力値より大きくなる部位を、減少させるように設定されている。
なお、就寝者の脚部を支持する後方に配設された第二弾性体ユニット30における第二上層32においては、脚部からの荷重が比較的小さいため、第二上層32の変形量が比較的小さい。よって、第二上層32は、比較的つぶされていない状態である。
【0036】
本実施形態によれば、マットレス1は就寝者からの荷重に応じて弾性変形する弾性部材22a,31aが複数配設されることにより、就寝者からの荷重を分散して、就寝者に作用する圧力値を低減する体圧分散機能を備えた弾性部材層22,31をそれぞれ有する第一弾性体ユニット20および第二弾性体ユニット30を備えている。第一弾性体ユニット20は、就寝者の臀部を支持し、第二弾性体ユニット30は、就寝者の肩部を支持する。第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31の上面の位置は、第一弾性体ユニット20の第一弾性部材層22の上面の位置より上下方向に下方となるように設定されている。
これによれば、就寝者の肩部を支持する第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31の上面の位置は、就寝者の臀部を支持する第一弾性体ユニット20の第一弾性部材層22の上面の位置より上下方向において下方となるように設定されている。よって、第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31の上面の位置が第一弾性体ユニット20の第一弾性部材層22の上面の位置と上下方向において同一位置である場合と比べて、第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31において、横向きである就寝者の肩部からの荷重による弾性部材31aの上下方向の変形量Hを低減させることができる。したがって、弾性部材31aの変形量Hが、就寝者からの荷重を十分に分散できる範囲(15mm以下)を超えて大きくなることを抑制することができるため、就寝者が横向きである場合においても、第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31ひいてはマットレス1の体圧分散性を向上することができる。
【0037】
また、第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31の上面の位置は、就寝者のマットレス1と接触する部位のうち、就寝者に作用する圧力値が所定圧力値より大きくなる部位を、減少させるように設定されている。
これによれば、就寝者がマットレス1と接触する部位のうち、就寝者に作用する圧力値が所定圧力値より大きくなる部位が減少するため、就寝者は、例えば褥瘡等の発生を抑制することができる。
【0038】
また、第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31の上面の位置は、就寝者の肩峰幅Wspと腋幅Waとの差に基づいて設定されている。
これによれば、第二弾性部材層31の上面の位置を簡便に設定することができる。
【0039】
また、第一弾性体ユニット20は、第一弾性体ユニット20の第一弾性部材層22の上面に配設され、弾性体によって形成された第一上層23をさらに備え、第二弾性体ユニット30は、第二弾性体ユニット30の第二弾性部材層31の上面に配設され、弾性体によって形成された第二上層32をさらに備え、第二上層32の厚みは、第一上層23の厚みより厚くなるように設定され、第二上層32の上面は、凹凸状に形成されている。
これによれば、第二上層32の厚みは、第一上層23の厚みより厚くなるように形成されているため、第二弾性部材層31の上面の位置が第一弾性部材層22の上面の位置より上下方向に下方である場合においても、第二弾性体ユニット30の上面(上端部)の位置を第一弾性体ユニット20の上面の位置に、上下方向において近づけることができる。よって、就寝者は、仰向けである場合においても、違和感がなく、快適な使用感を得ることができる。
また、第二上層32の厚みを、第一上層23の厚みより厚くなるように形成した場合においても、第二上層32の上面が凹凸状に形成されているため、上面が平面状に形成されている場合と比べて、就寝者からの荷重による第二上層32の変形量が大きくなる。よって、第二上層32は、就寝者からの荷重を第二弾性部材層31に伝達することができる。
【0040】
また、弾性部材22a,31aは、熱可塑性エラストマーによって、柱状に形成されている。
これによれば、熱可塑性エラストマーは、長期間に亘って安定して弾性変形することができるため、就寝者からの荷重を長期間に亘って確実に分散することができる。よって、就寝者は、快適な使用感を長期間に亘って得ることができる。
また、熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマーである場合、弾性部材22a,31aの硬度の温度依存性が低い。これにより、就寝者が長時間連続して就寝して、弾性部材22a,31aの温度が変化するような場合においても、就寝者からの荷重を長時間に亘って確実に分散することができる。よって、就寝者は、長時間連続して就寝した場合においても、快適な使用感を長時間に亘って得ることができる。
さらに、熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマーである場合、弾性部材22a,31aを射出成型によって形成することが可能であるため、弾性部材22a,31aを簡便に形成することができる。
【0041】
なお、上述した実施形態において、マットレスの一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、弾性部材22aと弾性部材31aとが同じ形状および材質であるが、これに代えて、弾性部材22aと弾性部材31aとを異なる形状および材質にしても良い。
また、上述した実施形態において、第二弾性部材層31の上面の位置と、第一弾性部材層22の上面の位置との上下方向の差を20mmに設定しているが、これに代えて、20mmより多い値、または20mmより少ない値にしても良い。
【0042】
また、上述した実施形態において、第二弾性部材層31の上面の位置は、肩峰幅Wspと腋幅Waとの差に基づいて設定されているが、この肩峰幅Wspに代えて、肩幅Wsとしても良い(図7参照)。
また、上述した実施形態において、弾性部材22a,31aは、熱可塑性エラストマーによって柱状に形成されているが、これに代えて、コイルスプリングにしても良い。
【符号の説明】
【0043】
1…マットレス、10…ベース部材、20…第一弾性体ユニット、21…台座層、22…第一弾性部材層(弾性部材層)、22a…弾性部材、23…第一上層、30…第二弾性体ユニット、31…第二弾性部材層(弾性部材層)、31a…弾性部材、32…第二上層、Ps…肩部の突出量、Wa…腋幅、Wsp…肩峰幅。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9