特許第6379968号(P6379968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379968
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】光ケーブル端末
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20180820BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20180820BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20180820BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20180820BHJP
   H01B 11/22 20060101ALI20180820BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   G02B6/42
   G02B6/44 366
   G02B6/44 386
   H01S5/022
   H01L31/02 C
   H01B11/22
   H01B7/00 310
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-208838(P2014-208838)
(22)【出願日】2014年10月10日
(65)【公開番号】特開2016-80751(P2016-80751A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】島津 貴之
(72)【発明者】
【氏名】桜井 渉
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−221968(JP,A)
【文献】 特開2006−220830(JP,A)
【文献】 特開2014−038272(JP,A)
【文献】 特開平08−043691(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0112628(US,A1)
【文献】 特開2013−257566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/42
G02B 6/26−6/27
6/30−6/34
6/42−6/43
6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバと1本以上のメタル線を含む電気光複合ケーブルと、
光素子と、前記光素子と各前記光ファイバとを光学的に接続する接続部材と、を搭載する基板と、
前記電気光複合ケーブルの前記接続部材側の端部に取り付けられ、前記電気光複合ケーブルから延びる各前記光ファイバを個別に整列させる整列部材と、を備え、
前記電気光複合ケーブルは周囲に外被を備え、
前記整列部材は、一部品で形成されており、
前記整列部材は、前記外被の前端部を収容しており、
前記整列部材は、前記電気光複合ケーブルが延在する方向に交差する面内における前記光ファイバの位置を変換するように前記光ファイバを整列した状態で保持する、
光ケーブル端末。
【請求項2】
前記電気光複合ケーブル内の複数の前記光ファイバは、第1ピッチで配列されており、
前記接続部材における複数の前記光ファイバは、前記第1ピッチよりも広い第2ピッチで配列されており、
前記整列部材において、複数の前記光ファイバは、前記光素子及び前記接続部材が搭載される前記基板の搭載面に交差する方向における位置が変換されると共に、前記光ファイバ同士の間隔が前記第1ピッチから前記第2ピッチに変換されている、
請求項1に記載の光ケーブル端末。
【請求項3】
記整列部材は、前記基板の搭載面側に前記光ファイバを導くと共に、前記基板の前記搭載面の裏面側に前記メタル線を導くように、前記光ファイバと前記メタル線とを整列させる、
請求項1又は2に記載の光ケーブル端末。
【請求項4】
記整列部材内で保持されている前記光ファイバの長さは、前記整列部材内で保持されている前記メタル線の長さよりも長い、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ケーブル端末。
【請求項5】
前記整列部材の外周と前記電気光複合ケーブルの外周とを覆うアウター部材を更に備える、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ケーブル端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブル端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アクティブ光ケーブル(Active Optical Cable;AOC)に使用可能な光モジュールが記載されている。この光モジュールには光ケーブルが接続されており、光ケーブルには複数の光ファイバが保持されている。筐体内において、光ファイバと、レンズアレイ部品と、基板上に実装された光素子とは光学的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2013/099753号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した光ケーブル端末において、光ファイバは基板の表面に向けて曲げられている。この部分は、光ケーブル端末の振動によって、基板の後端に接触したりするおそれがある。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、光ファイバの損傷を防止できる光ケーブル端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一側面に係る光ケーブル端末は、複数の光ファイバを含む光ケーブルと、光素子と、光素子と各光ファイバとを光学的に接続する接続部材と、を搭載する基板と、光ケーブルの接続部材側の端部に取り付けられ、光ケーブルから延びる各光ファイバを個別に整列させる整列部材と、を備え、整列部材は、光ケーブルが延在する方向に交差する面内における光ファイバの位置を変換するように光ファイバを整列した状態で保持する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光ファイバの損傷を防止できる光ケーブル端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る光ケーブル端末を示す分解斜視図である。
図2図2は、電気光複合ケーブルの典型的な例を示す断面図である。
図3図3は、変形例に係る電気光複合ケーブルの断面図である。
図4図4は、整列部材によって光ファイバ及びメタル線の配列が変換された状態を示す斜視図である。
図5図5は、整列部材によって光ファイバ及びメタル線の配列が変換された状態を示す側面図である。
図6図6は、整列部材によって光ファイバ及びメタル線の配列が変換された状態を示す正面図である。
図7図7は、整列部材によって光ファイバ及びメタル線の配列が変換された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。(1)本発明の一側面に係る光ケーブル端末は、複数の光ファイバを含む光ケーブルと、光素子と、光素子と各光ファイバとを光学的に接続する接続部材と、を搭載する基板と、光ケーブルの接続部材側の端部に取り付けられ、光ケーブルから延びる各光ファイバを個別に整列させる整列部材と、を備え、整列部材は、光ケーブルが延在する方向に交差する面内における光ファイバの位置を変換するように光ファイバを整列した状態で保持する。
【0010】
本発明の一側面に係る光ケーブル端末では、整列部材によって、光ケーブルの延在方向に交差する面内における光ファイバの位置が異なるように保持される。このため、光ファイバに曲げが加えられている部分を整列部材で保持し、整列部材と接続部材との間では光ファイバを曲げることなく保持できる。従って、光ケーブル端末の振動により、光ファイバが損傷することを防止できる。
【0011】
(2)上記光ケーブル端末において、光ケーブル内の複数の光ファイバは、第1ピッチで配列されており、接続部材における複数の光ファイバは、第1ピッチよりも広い第2ピッチで配列されており、整列部材において、複数の光ファイバは、光素子及び接続部材が搭載される基板の搭載面に交差する方向における位置が変換されると共に、光ファイバ同士の間隔が第1ピッチから第2ピッチに変換されていてもよい。この場合、整列部材内において、基板の搭載面に交差する方向への光ファイバの位置の変換と、第1ピッチから第2ピッチへの変換とが行われる。これにより、整列部材の接続部材側の端部では、基板の搭載面に交差する方向への光ファイバの位置の変換と、光ファイバのピッチの変換とが行われた状態とすることができる。従って、光ファイバの先端を接続部材に保持させる作業を容易に行うことができる。
【0012】
(3)上記光ケーブル端末において、光ケーブルは、メタル線を含む電気光複合ケーブルであり、整列部材は、基板の搭載面側に光ファイバを導くと共に、基板の搭載面の裏面側にメタル線を導くように、光ファイバとメタル線とを整列させてもよい。この場合、実装方法が異なる光ファイバとメタル線とは、それぞれ異なる方向に導かれる。従って、光ファイバの実装作業とメタル線の実装作業を容易に行うことができる。
【0013】
(4)上記光ケーブル端末において、光ケーブルは、メタル線を含む電気光複合ケーブルであり、整列部材内で保持されている光ファイバの長さは、整列部材内で保持されているメタル線の長さよりも長くてもよい。光ファイバは、メタル線と比較して、曲げによる伝送損失が生じやすい。そこで、光ファイバの保持されている部分の長さをメタル線の保持されている部分の長さよりも長くすることによって、当該部分で光ファイバに加わる曲げを緩やかにして光ファイバの配列変換を行うことができる。従って、光ファイバの伝送損失を低減させることができる。
【0014】
(5)上記光ケーブル端末において、整列部材の外周と光ケーブルの外周とを覆うアウター部材を更に備えてもよい。これにより、光ケーブルに加わった曲げや引っ張りを整列部材に伝達されにくくすることができる。
【0015】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光ケーブル端末の具体例を図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る光ケーブル端末1を示す分解斜視図である。光ケーブル端末1は、パーソナルコンピュータ等の電子機器に接続される。図1に示されるように、光ケーブル端末1は、光ケーブル2と、光ケーブル2の端部に接続されるコネクタモジュール10とを備えている。コネクタモジュール10は、光ケーブル2における光信号を電気信号に変換して電子機器に出力するとともに、電子機器から入力された電気信号を光信号に変換して光ケーブル2に出力する。
【0017】
以下では、図1の矢印に示されるように、電子機器と光ケーブル端末1との接続方向を前後方向とする。電子機器側を前方向、光ケーブル2側を後方向とする。また、前後方向に直交する水平方向(左右方向)及び垂直方向(上下方向)を適宜参照して説明を行う。これらの方向は、単に説明の便宜上のものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
光ケーブル2は4本の光ファイバFと4本のメタル線Mとを含む電気光複合ケーブルである。光ケーブル端末1には、光ケーブル2から延びる各光ファイバF及び各メタル線Mを個別に整列させる整列部材20が設けられている。整列部材20は、金属ハウジング14の後端側に配置される。
【0019】
図2は、光ケーブル2の断面図である。図2に示されるように、光ケーブル2は、4本の光ファイバFと、4本の光ファイバFをテープ状に一体化させるテープ樹脂21と、テープ樹脂21を覆うように配置された抗張力体22と、抗張力体22を覆うチューブ23とを備えている。4本の光ファイバFは、互いに等間隔となるように第1ピッチP1で並設されている。第1ピッチP1は、例えば光ファイバFの外径に相当し、本実施形態では250μmである。4本の光ファイバFのうち、2本の光ファイバFは送信用として機能し、残り2本の光ファイバFは受信用として機能する。送信用の光ファイバFで伝送される光信号の方向と、受信用の光ファイバFで伝送される光信号の方向とは、互いに逆方向となっている。本実施形態において、光ファイバFはマルチモード光ファイバである。なお、光ファイバFをテープ樹脂21によって一体化させずに光ケーブル内に配置してもよい。
【0020】
光ファイバFは、光信号を伝送するコアと、コアを覆うクラッドと、クラッドを覆う被覆樹脂とを備えている。コア及びクラッドはガラス製であってもよいし樹脂製であってもよい。また、光ファイバFは、コア及びクラッドの両方をガラス製としたAGF(All glass fiber)、コア及びクラッドの両方が樹脂製であるプラスチック光ファイバ、又はコアがガラス、クラッドが樹脂であるHPCF(Hard Plastic Clad Fiber)のいずれであってもよい。なお、光ファイバFをHPCFとした場合には、光ファイバFを曲げに強くすることができるので好ましい。
【0021】
抗張力体22は、ケブラー又はアラミド等の繊維状の樹脂材料を編み込んで形成されている。抗張力体22は、光ケーブル2に引っ張りが加わったときに延びにくいように構成されている。抗張力体22は、光ケーブル2内の光ファイバFに加わる衝撃を緩和させる機能を有する。
【0022】
光ケーブル2の断面において、チューブ23の外側には4本のメタル線Mが配置されている。4本のメタル線Mは、2本の極細の同軸線24と、2本の電源線25とを含む。同軸線24は、7本の金属線を撚り合わせた中心導体24aと、その外側に位置する絶縁樹脂24bと、絶縁樹脂24bの外側に位置するシールド24cと、シールド24cの外側に位置する外被24dとを備えている。2本の同軸線24によって高速の差動信号が伝送される。または、それぞれの同軸線24が双方向に低速信号を伝送してもよい。電源線25は、7本の金属線を撚り合わせた中心導体25aと、中心導体25aの外側に位置する絶縁樹脂25bとを備えている。電源線25は、大電流を伝送できるよう、同軸線24と比較して大径とされている。
【0023】
チューブ23及び4本のメタル線Mの周囲には抗張力体31が配置されている。抗張力体31の外側には、チューブ23、メタル線M及び抗張力体31を一括で包囲する一括シールド32が配置されている。一括シールド32の外側には外被33が配置されている。
【0024】
光ファイバFは光ケーブル2の中央に配置され、光ファイバFに対して4本のメタル線Mは上下左右に配置されている。なお、図3の光ケーブル2Aに示されるように、4本の光ファイバFを4本のメタル線Mの上方に寄せて配置してもよい。
【0025】
再び図1を参照する。整列部材20は、絶縁樹脂で構成されている。整列部材20の前端からは、整列部材20によって整列された4本の光ファイバFと4本のメタル線Mとがそれぞれ引き出されている。光ファイバFは整列部材20の上側から引き出され、メタル線Mは整列部材20の下側から引き出されている。
【0026】
光ケーブル端末1には、光ケーブル2の外周と整列部材20の外周とを覆うアウター部材16を備えている。アウター部材16は、金属ハウジング14及び樹脂ハウジング15の後端側に取り付けられる。アウター部材16は光ケーブル2の外被2aから整列部材20にかけて被せられる。
【0027】
コネクタモジュール10は、搭載面13a及び裏面13cを有する基板13を備える。搭載面13aには、光素子18(図5参照)と、光素子18を駆動する図示しない駆動ICと信号処理IC19と、レンズモジュール11が搭載されている。基板13の前端には電気コネクタ12が取り付けられている。光素子18、信号処理IC19及び電気コネクタ12は、搭載面13aに形成された配線パターンを介して互いに電気的に接続される。また、コネクタモジュール10は、基板13を収容する金属ハウジング14と、金属ハウジング14を包囲する樹脂ハウジング15とを更に備える。
【0028】
レンズモジュール11は、光素子18と光ファイバFとを光学的に接続させる接続部材である。整列部材20から延びる各光ファイバFはレンズモジュール11に搭載される。各光ファイバFは、固定片17で押さえられてレンズモジュール11に固定される。レンズモジュール11の内部には、光素子18と、光ファイバFに入出射される光を反射させる反射面11aとが設けられている。反射面11aは、光ファイバFから出射された光の光路を下方向に変換させ、また、光素子18から出射された光の光路を前後方向に変換させる。この反射面11aによって光ファイバFと光素子18とが光学的に接続される。
【0029】
光素子18は、光信号を電気信号に変換する受光素子であるPD、又は電気信号を光信号に変換する発光素子であるVCSELが挙げられる。
【0030】
信号処理IC19は、CDR(Clock Data Recovery)装置である。信号処理IC19は、電気信号を増幅させて波形の成形を行ったり、複数の電気信号の波形を揃えるイコライザ機能を有する。
【0031】
電気コネクタ12は、外部の電子機器との電気的なインターフェースとして機能する。電気コネクタ12は、金属ハウジング14の前端側に配置される。
【0032】
外部の電子機器から電気コネクタ12に入力された電気信号は、信号処理IC19で信号処理される。信号処理IC19で信号処理された電気信号は、発光素子18によって光信号に変換される。光素子18によって変換された光信号は、レンズモジュール11を介して光ファイバFに出力される。
【0033】
一方、光ファイバFからレンズモジュール11に入力された光信号は、受光素子18によって電気信号に変換される。変換された電気信号は、信号処理IC19で信号処理された後、電気コネクタ12を介して外部の電子機器に出力される。
【0034】
金属ハウジング14は、基板13上の各部品から発生する熱を外部に放出させる。金属ハウジング14は、カバー14aと、断面が略U字状を成すベースプレート14bとを有する。カバー14aとベースプレート14bとによって基板13が収容される空間が形成される。
【0035】
金属ハウジング14は、熱伝導率が高い金属材料によって構成されている。金属ハウジング14の伝導率は、好ましくは100W/m・K以上である。金属ハウジング14は、例えば、鋼(Fe系)、ブリキ(錫めっき銅)、ステンレス、銅、真鍮又はアルミニウムによって構成されている。
【0036】
樹脂ハウジング15は、金属ハウジング14を覆う。樹脂ハウジング15は、例えばポリカーボネート等の樹脂で構成されている。
【0037】
図4及び図5は、整列部材20によって光ファイバF及びメタル線Mが整列されて保持された状態を示す斜視図及び側面図である。図4及び図5に示されるように、整列部材20は、前後方向と交差(例えば直交)する面内における光ファイバFの位置を変換するように各光ファイバFを整列して保持する。すなわち、整列部材20は、4本の光ファイバFを、光ケーブル2内における配置位置から、上側(基板13の搭載面13a側)に緩やかに曲げて光ファイバFを整列し、保持する。本実施形態において、光ケーブル2の前端ではテープ樹脂21が光ファイバFから除去されている。そして、整列部材20によって、それぞれの光ファイバFが上側に延びるように個別に光ファイバFの配置位置が規定されている。
【0038】
具体的には、整列部材20は、光ファイバFが引き出される第1面20aと、メタル線Mが引き出される第2面20bとを有する。第1面20a及び第2面20bは例えば平坦面となっている。
【0039】
第1面20aは第2面20bよりも突出しており、第1面20aと第2面20bとによって段差が形成されている。第2面20bが基板13の端面13bに当接することによって基板13に対して整列部材20が位置決めされる。
【0040】
第2面20bが端面13bに当接した状態において、第1面20aは、基板13の搭載面13a上に位置しており、レンズモジュール11と前後方向に対向している。また、整列部材20の後端部(光ケーブル2側の端部)20cは光ケーブル2の外被2aの前端部2bを収容している。これにより、外部から光ケーブル2に加わる力が基板13に伝わりにくくなっている。
【0041】
整列部材20の第1面20aから引き出された光ファイバFは前後方向に沿って直線状に延在している。第1面20aから引き出された光ファイバFはレンズモジュール11に固定されている。レンズモジュール11内において、4本の光ファイバFは左右水平方向に並設されており、光ファイバFのピッチは光ケーブル2内における第1ピッチP1よりも広い第2ピッチP2となっている。また、第1面20aにおける光ファイバFの搭載面13aに対する高さは、レンズモジュール11における光ファイバFの搭載面13aに対する高さと略一致していることが好ましい。すなわち、整列部材20とレンズモジュール11との間において、光ファイバFは搭載面13aに沿って直線状に延在していることが好ましい。
【0042】
整列部材20において、4本のメタル線Mは、光ファイバFと逆に下方向に引き出されるように整列されている。整列部材20の第2面20bからのメタル線Mは、裏面13cに引き出されている。このメタル線Mは、それぞれ裏面13cに搭載された電子部品に電気的に接続されている。本実施形態において、各メタル線Mは、裏面13c上に形成された電気配線に半田付けによって固定されている。
【0043】
図6は整列部材20の前端(レンズモジュール11側の端部)における光ファイバF及びメタル線Mの配置を示す図であり、図7は整列部材20内の光ファイバFを示す平面図である。図6に示されるように、整列部材20の第2面20bにおいてメタル線Mは左右方向に直線状に並設されている。また、第2面20bにおいて、2本の同軸線24は、2本の電源線25の内側に位置している。
【0044】
図6及び図7に示されるように、整列部材20は、上下方向(基板13の搭載面13aに直交する方向)における光ファイバFの位置を変換する。更に、光ファイバF同士の間隔を光ケーブル2内における第1ピッチP1から、第1ピッチP1より大きい第2ピッチP2に変換する。これにより、光ファイバFのピッチが予め第2ピッチP2とされた状態で、光ファイバFが整列部材20からレンズモジュール11に延びることとなる。従って、整列部材20から延びる光ファイバFをレンズモジュール11に容易に搭載できる。
【0045】
本実施形態では、第1ピッチP1は光ファイバFの外径に相当し、例えば250μmである。一方、光素子18を250μmピッチで搭載面13aに配置することは難しく、例えば500μmピッチで配置される。逆に、光ファイバFを光ケーブル2内で500μm程度の大きなピッチで配置すると、光ケーブル2が大径化してしまう。
【0046】
そこで、本実施形態では、光素子18のピッチを第1ピッチP1よりも広い第2ピッチP2とし、整列部材20から引き出される光ファイバFのピッチも第2ピッチP2としている。これにより、光ファイバFに入出射される光の光軸を水平方向に曲げることなく、光ファイバFを上下方向に曲げるだけで光ファイバFと光素子18とを光学的に接続可能となる。従って、レンズモジュール11の構成を簡単にすることができる。
【0047】
上記のような整列部材20は、樹脂成型によって形成される。まず、光ファイバFの先端部分とメタル線Mの先端部分とを図6に示される配列となるように図示しない治具で把持し、光ファイバF及びメタル線Mの曲げ状態を規定する。この状態で光ケーブル2の外被2aから、光ファイバF及びメタル線Mの途中までの間に金型を配置する。そして、樹脂を金型に充填させて硬化させることにより整列部材20が完成する。このように、外被2aの前端部2bを収容すると共に、光ファイバF及びメタル線Mを個別に整列させて、第1面20a及び第2面20bから光ファイバF及びメタル線Mを引き出させた整列部材20を容易に製造することができる。
【0048】
以上のように、光ケーブル端末1では、整列部材20によって、光ケーブル2の延在方向に交差する面内における光ファイバFの位置が異なるように保持される。このため、光ファイバFに曲げが加えられている部分を整列部材20で保持し、整列部材20とレンズモジュール11との間では光ファイバFを曲げることなく保持できる。従って、光ケーブル端末1の振動により、光ファイバFが損傷することを防止できる。
【0049】
また、整列部材20内において、基板13の搭載面13aに交差する方向への光ファイバFの位置の変換と、第1ピッチP1から第2ピッチP2への変換とが行われる。これにより、整列部材20のレンズモジュール11側の端部(第1面20a)では、基板13の搭載面13aに交差する方向への光ファイバFの位置の変換と、光ファイバFのピッチの変換とが行われた状態とすることができる。従って、光ファイバFの先端をレンズモジュール11に保持させる作業を容易に行うことができる。
【0050】
また、整列部材20では、実装方法が異なる光ファイバFとメタル線Mとがそれぞれ異なる方向に導かれる。従って、光ファイバFの実装作業とメタル線Mの実装作業を容易に行うことができる。
【0051】
また、整列部材20内で保持されている光ファイバFの長さは、整列部材20内で保持されているメタル線Mの長さよりも長くなっている。光ファイバFは、メタル線Mと比較して、曲げによる伝送損失が生じやすい。そこで、光ファイバFの保持されている部分の長さをメタル線Mの保持されている部分の長さよりも長くすることによって、当該部分で光ファイバFに加わる曲げを緩やかにして光ファイバFの配置変換を行うことができる。従って、光ファイバFの伝送損失を低減させることができる。
【0052】
また、整列部材20の外周と光ケーブル2の外周とを覆うアウター部材16を備える。これにより、光ケーブル2に加わった曲げや引っ張りを整列部材20に伝達されにくくすることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態において、光ケーブル2は4本の光ファイバFと4本のメタル線Mとを含んでいた。しかし、光ファイバF及びメタル線Mの数及び配置態様は上記実施形態に限定されず、例えば、光ファイバF又はメタル線Mの本数を1〜3本又は5本以上としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…光ケーブル端末、2,2A…光ケーブル、2a…外被、2b…前端部、10…コネクタモジュール、11…レンズモジュール(接続部材)、11a…反射面、12…電気コネクタ、13…基板、13a…搭載面、13b…端面、13c…裏面、14…金属ハウジング、14a…カバー、14b…ベースプレート、15…樹脂ハウジング、16…アウター部材、17…固定片、18…光素子、19…信号処理IC、20…整列部材、20a…第1面、20b…第2面、21…テープ樹脂、22…抗張力体、23…チューブ、24…同軸線、24a…中心導体、24b…絶縁樹脂、24c…シールド、24d…外被、25…電源線、25a…中心導体、25b…絶縁樹脂、31…抗張力体、32…一括シールド、33…外被、F…光ファイバ、M…メタル線、P1…第1ピッチ、P2…第2ピッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7