特許第6379971号(P6379971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6379971
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20180820BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20180820BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20180820BHJP
【FI】
   G02B6/42
   H01S5/022
   H01L31/02 C
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-209036(P2014-209036)
(22)【出願日】2014年10月10日
(65)【公開番号】特開2016-80761(P2016-80761A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島津 貴之
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−194454(JP,A)
【文献】 特表2006−520491(JP,A)
【文献】 特開平11−174265(JP,A)
【文献】 特開2012−168454(JP,A)
【文献】 特開2011−164143(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0112628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12− 6/14
G02B 6/26− 6/27
G02B 6/30− 6/34
G02B 6/42− 6/43
H01S 5/00− 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板の素子搭載面上に搭載された光素子と、
前記光素子と光学的に接続されたレンズモジュールと、
前記レンズモジュールと光学的に接続された光導波路と、を備え、
前記レンズモジュールは、
第1の面と、
前記第1の面と異なる方向を向いた第2の面と、
前記光導波路と対向するように前記第1の面に設けられた第1の光入出力部と、
前記光素子と対向するように前記第2の面に設けられた第2の光入出力部と、
前記第1の光入出力部と前記第2の光入出力部との間の光路上に配置された複数の反射面と、
前記配線基板の素子搭載面に搭載された搭載部と、
を備え、
前記複数の反射面の各々は、前記光路上を伝搬する光の伝搬方向を変更するように構成され
前記第2の光入出力部と前記光素子が互いに離間するように対向し、
前記素子搭載面と直交する方向において、前記光素子は、前記第1の光入出力部と前記第2の光入出力部との間に配置される、
光モジュール。
【請求項2】
前記搭載部は、前記光素子を収容するための中空部を有しており、
前記中空部において、前記第2の光入出力部と前記光素子が互いに離間するように対向する請求項に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記レンズモジュールは、前記搭載部の一部であって前記素子搭載面と略平行な第1の調芯面と、前記配線基板の側面と略平行な第2の調芯面と、を有する調芯部をさらに備えており、
前記調芯部は、前記素子搭載面と直交する方向において、前記第1の光入出力部と前記第2の光入出力部との間に配置される請求項に記載の光モジュール。
【請求項4】
配線基板と、
前記配線基板の素子搭載面上に搭載された光素子と、
前記光素子と光学的に接続されたレンズモジュールと、
前記レンズモジュールと光学的に接続された光導波路と、を備え、
前記レンズモジュールは、
第1の面と、
前記第1の面と異なる方向を向いた第2の面と、
前記光導波路と対向するように前記第1の面に設けられた第1の光入出力部と、
前記光素子と対向するように前記第2の面に設けられた第2の光入出力部と、
前記第1の光入出力部と前記第2の光入出力部との間の光路上に配置された複数の反射面と、
前記配線基板の素子搭載面に搭載された搭載部と、
を備え、
前記複数の反射面の各々は、前記光路上を伝搬する光の伝搬方向を変更するように構成され、
前記第2の光入出力部と前記光素子が互いに離間するように対向し、
前記搭載部は、前記光素子を収容するための中空部を有しており、
前記中空部において、前記第2の光入出力部と前記光素子が互いに離間するように対向し、
前記レンズモジュールは、前記搭載部の一部であって前記素子搭載面と略平行な第1の調芯面と、前記配線基板の側面と略平行な第2の調芯面と、を有する調芯部をさらに備え、
前記調芯部は、前記素子搭載面と直交する方向において、前記第1の光入出力部と前記第2の光入出力部との間に配置される、
光モジュール。
【請求項5】
前記複数の反射面は、
前記第1の光入出力部と対向するように配置された第1の反射面と、
前記第2の光入出力部と対向するように配置された第2の反射面と、
前記光路上において、前記第1の反射面及び前記第2の反射面との間に配置された第3の反射面と、を有する請求項1から請求項のうちいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第1の光入出力部及び前記第2の光入出力部の各々は、コリメートレンズを有しており、
前記第1から第3の反射面の各々は、一様な平坦形状に形成されている請求項に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記第1の光入出力部は、一様な平坦形状に形成され、
前記第1の反射面は、入射光である拡散光を平行光となるように反射し、又は入射光である平行光を集光するように反射するように構成され、
前記2の反射面は、入射光である平行光を集光するように反射し、又は入射光である拡散光を平行光となるように反射するように構成されている請求項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記光導波路の光軸は、前記配線基板の厚さ方向の中心に対して0.1mm以下の距離に位置する請求項1から請求項のうちいずれか一つに記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された光モジュールでは、光ケーブルから延びる光ファイバ心線と、光ファイバ心線を支持するコネクタ部品と、レンズアレイ部品と、受発光素子とが設けられている。当該光モジュールでは、光ファイバ心線から出力された光信号は、レンズアレイ部品を介して受発光素子のうち受光素子によって受光された後に、電気信号に変換される。一方、受発光素子のうち発光素子から出射された光信号は、レンズアレイ部を介して光ファイバ心線に入力される。
【0003】
当該光モジュールの構造では、レンズアレイ部にはレンズアレイ部内を伝搬する信号光の伝搬方向を90度変更させる反射膜が設けられており、この反射膜によって光ファイバ心線と受発光素子が光学的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/099753号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、当該レンズアレイ部の構成では、光ファイバ心線がレンズアレイ部と光結合される位置は必ず受発光素子の上方位置となってしまい、光ファイバ心線を保持するコネクタ部品は受発光素子が搭載された配線基板の面上に配置されることになる。一方、特許文献1の図5に示されるように、光モジュールの小型化の観点から、光ケーブルの長手方向における中心線は、配線基板の厚さ方向の中央部付近を通るように設計されるため、光ケーブルとコネクタ部品の高さ位置が互いに異なってしまう。
【0006】
このため、レンズアレイ部を用いた光モジュールの構成では、光ケーブルから延びる光ファイバ心線をコネクタ部品に取り付ける際、光ファイバ心線が必然的に曲げられてしまう。従って、小型化を実現しつつ、光ファイバの曲げを抑えて、光ファイバと受発光素子とを光学的に接続することができる光モジュールを提供することが望まれている。
【0007】
本発明は、光モジュールの小型化及び光ファイバの曲げの抑制に鑑みつつ、高い設計自由度を有する光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の光モジュールは、
配線基板と、
前記配線基板の素子搭載面上に搭載された光素子と、
前記光素子と光学的に接続されたレンズモジュールと、
前記レンズモジュールと光学的に接続された光導波路と、を備え、
前記レンズモジュールは、
第1の面と、
前記第1の面と異なる方向を向いた第2の面と、
前記光導波路と対向するように前記第1の面に設けられた第1の光入出力部と、
前記光素子と対向するように前記第2の面に設けられた第2の光入出力部と、
前記第1の光入出力部と前記第2の光入出力部との間の光路上に配置された複数の反射面と、を備え、
前記複数の反射面の各々は、前記光路上を伝搬する光の伝搬方向を変更するように構成された光モジュール。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い設計自由度を有する光モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る光モジュールを示す分解斜視図である。
図2】その長手方向に直交する光ケーブルの断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る光モジュールの一部を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る光モジュールの断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る光モジュールの一部拡大断面図である。
図6】本発明の実施形態の変形例1に係る光モジュールの一部拡大断面図である。
図7】本発明の実施形態の変形例2に係る光モジュールの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
本発明の実施形態の概要を説明する。
(1)配線基板と、
前記配線基板の素子搭載面上に搭載された光素子と、
前記光素子と光学的に接続されたレンズモジュールと、
前記レンズモジュールと光学的に接続された光導波路と、を備え、
前記レンズモジュールは、
第1の面と、
前記第1の面と異なる方向を向いた第2の面と、
前記光導波路と対向するように前記第1の面に設けられた第1の光入出力部と、
前記光素子と対向するように前記第2の面に設けられた第2の光入出力部と、
前記第1の光入出力部と前記第2の光入出力部との間の光路上に配置された複数の反射面と、を備え、
前記複数の反射面の各々は、前記光路上を伝搬する光の伝搬方向を変更するように構成された光モジュール。
【0012】
上記構成によれば、光モジュールの小型化及び光ファイバの曲げの抑制に鑑みつつ、高い設計自由度を有する光モジュールを提供することができる。
【0013】
(2)前記レンズモジュールは、前記配線基板の素子搭載面に搭載された搭載部をさらに備えており、前記第2の光入出力部と前記光素子が互いに離間するように対向する項目(1)に記載の光モジュール。
【0014】
上記構成によれば、レンズモジュールを配線基板に実装するための更なる部品が不要となり、光モジュールの小型化及び部品点数の削減が可能となる。
【0015】
(3)前記搭載部は、前記光素子を収容するための中空部を有しており、前記中空部において、前記第2の光入出力部と前記光素子が互いに離間するように対向する項目(2)に記載の光モジュール。
【0016】
上記構成によれば、光モジュールの信頼性を向上させることができる。
【0017】
(4)前記レンズモジュールは、前記搭載部の一部であって前記素子搭載面と略平行な第1の調芯面と、前記配線基板の側面と略平行な第2の調芯面と、を有する調芯部をさらに備えており、前記調芯部は、前記素子搭載面と直交する方向において、前記第1の光入出力部と前記第2の光入出力部との間に配置される項目(3)に記載の光モジュール。
【0018】
上記構成によれば、レンズモジュールと光素子とのアライメントを容易に行うことができる。
【0019】
(5)前記素子搭載面と直交する方向において、前記光素子は、前記第1の光入出力部と前記第2の光入出力部との間に配置される項目(2)から(4)のうちいずれか一つに記載の光モジュール。
【0020】
上記構成によれば、小型化を実現しつつ、光導波路の曲げを抑えて、光導波路と光素子とを光学的に接続することが可能な光モジュールを提供することができる。
【0021】
(6)前記複数の反射面は、
前記第1の光入出力部と対向するように配置された第1の反射面と、
前記第2の光入出力部と対向するように配置された第2の反射面と、
前記光路上において、前記第1の反射面及び前記第2の反射面との間に配置された第3の反射面と、を有する項目(1)から(5)のうちいずれか一つに記載の光モジュール。
【0022】
上記構成によれば、レンズモジュールに3つの反射面を設けることで、高い設計自由度を有する光モジュールを提供することが可能となる。
【0023】
(7)前記第1の光入出力部及び前記第2の光入出力部の各々は、コリメートレンズを有しており、前記第1から第3の反射面の各々は、一様な平坦形状に形成されている項目(6)に記載の光モジュール。
【0024】
上記構成によれば、比較的製造コストを抑えた構造によって、光の伝送損失を抑えることが可能な光モジュールを提供することができる。
【0025】
(8)前記第1の光入出力部は、一様な平坦形状に形成され、
前記第1の反射面は、入射光である拡散光を平行光となるように反射し、又は入射光である平行光を集光するように反射するように構成され、
前記2の反射面は、入射光である平行光を集光するように反射し、又は入射光である拡散光を平行光となるように反射するように構成されている項目(6)に記載の光モジュール。
【0026】
上記構成によれば、光の伝送損失を抑えることが可能な光モジュールを提供することができる。
【0027】
(9)前記光導波路の光軸及び前記第1の光入出力部は、前記配線基板の厚さ方向の中心又は中心付近に位置する項目(1)から(8)のうちいずれか一つに記載の光モジュール。
【0028】
上記構成によれば、小型化を実現しつつ、光導波路を曲げずに、光導波路と光素子とを光学的に接続することが可能な光モジュールを提供することができる。
【0029】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0030】
また、本実施形態の説明では、本発明の実施形態の理解を容易にするために、適宜、前後方向、上下方向、左右方向について言及する。尚、これらの方向は、図1に示された光モジュール1に設定された相対的な方向である。従って、図1に示された光モジュール1が所定方向に回転した場合には、それに従って、前後方向、上下方向、左右方向のうち少なくとも一つの方向が変化することに留意が必要である。
【0031】
ここで、前後方向は、前方向及び後方向を含む方向である。同様に、上下方向は、上方向及び下方向を含む方向であって、左右方向は、左方向及び右方向を含む方向である。尚、特定の方向(ベクトル)を説明する場合には、適宜、上方向、下方向等として明示する。
【0032】
図1は本実施形態に係る光モジュール1を示す分解斜視図である。図1に示されるように、光モジュール1は、光ケーブル3と、光ケーブル3の端部に取付けられた端末固定部30と、端末固定部30から引き出された光ファイバ6の端部を保持する光コネクタ5とを備えている。
【0033】
また、光モジュール1は、配線基板24と、配線基板24を収容する第1ハウジング16と、配線基板24と第1ハウジング16を収容する第2ハウジング12とを備えている。第1ハウジング16は、下側ハウジング16aと上側ハウジング16bとからなる。
【0034】
配線基板24には、レンズモジュール7と、信号処理回路4と、電気コネクタ22が搭載されている。信号処理回路4は、配線基板24を介して電気コネクタ22と電気的に接続されている。また、配線基板24は、放熱シート20に搭載されている。
【0035】
図2は、その長手方向に直交する光ケーブル3の断面図を示している。図2に示されるように、光ケーブル3は、並設された複数(本実施形態では、4本)の光ファイバ6(光導波路)と、複数の光ファイバ6をテープ状に一体化するように覆うテープ樹脂8と、テープ樹脂8を覆う抗張力体10と、抗張力体10を覆う外被9とを備えている。
【0036】
本実施形態では、4本の光ファイバ6が光ケーブル3に設けられている。このうち、2本の光ファイバ6は、光信号を電気コネクタ22に送信するための送信用光ファイバとして用いられている。残りの2本の光ファイバ6は、電気コネクタ22からの電気信号に基づいて生成された光信号を受信するための受信用光ファイバとして用いられている。尚、光ファイバ6の本数は4本には限られず、2本以上であればよい。
【0037】
また、光ファイバ6は、マルチモード用光ファイバである。光ファイバ6は、信号光を伝送するためのコアと、コアを覆うクラッドと、クラッドを覆う被覆樹脂とを備える。コア及びクラッドはガラス製又は樹脂製を採用することができる。例えば、コア及びクラッドが全てガラスからなるAFG(All Glass Fiber)や、コア及びクラッドが全て樹脂からなるプラスチック光ファイバや、コアがガラスからなり、クラッドが樹脂からなるHPCF(Hard Plastic Clad Fiber)を適宜採用することができる。尚、HPCFを採用した場合には、曲げに強い光ファイバを構成することができる。
【0038】
抗張力体10は、アラミド等の繊維状の樹脂材料を編み込むことで形成されており、光ケーブル3に引張応力が加わった場合でも伸びにくいように構成されている。また、抗張力体10によって、光ケーブル3内の光ファイバ6に衝撃が加わることが防止される。外被9は、抗張力体10を覆うために好適な樹脂で形成されている。
【0039】
図3は、本実施形態に係る光モジュール1の一部を示す斜視図である。図3に示されるように、レンズモジュール7は、第1の光入出力部50と一対のガイドピン36を備えている。
【0040】
図1及び図3に示されるように、光コネクタ5は、光ファイバ6が挿通される第1の挿通孔(図示せず)を有しており、光ファイバ6が第1の挿通孔に挿入されることで、光ファイバ6は光コネクタ5によって保持される。また、光コネクタ5は、一対のガイドピン36がそれぞれ挿通される一対の第2の挿通孔(図示せず)をさらに有している。レンズモジュール7のガイドピン36が光コネクタ5の第2の挿通孔に挿入されることで、光コネクタ5はレンズモジュール7に接続され、第1の光入出力部50と光ファイバ6が位置合わせされる。このように、ガイドピン36を介して光コネクタ5がレンズモジュール7に接続されることで、光ファイバ6とレンズモジュール7は光学的に接続される。
【0041】
図4は、光モジュール1の断面図を示している。図4に示すように、配線基板24の素子搭載面24a上には、光素子2と、光素子2を駆動するための駆動ICチップ11が搭載されている。レンズモジュール7は、光素子2と駆動ICチップ11を覆うように配線基板24に搭載されており、光ファイバ6と光素子2を光学的に接続する(詳しくは後述する)。
【0042】
光素子2は、左右方向(図4では紙面に垂直な方向)に並設された受光素子2a及び発光素子2bを備えている。また、光ファイバ6は、左右方向に並設された送信用光ファイバ6a及び受信用光ファイバ6bを備えている。本実施形態では、2つの受光素子2a、2つの発光素子2b、2つの送信用光ファイバ6a、2つの受信用光ファイバ6bが設けられている。
【0043】
また、光素子2、駆動ICチップ11、信号処理回路4及び電気コネクタ22は、配線基板24に設けられた配線パターン(図示せず)を介して互いに電気的に接続されている。
【0044】
信号処理回路4は、CDR装置であって、例えば、電気信号を増幅することで電気信号の波形を成形する機能や複数の電気信号の波形を揃えるイコライザ機能を有する。
【0045】
発光素子2bとしては、例えば、レーザダイオードや面発光レーザ(VCSEL)が用いられる。また、受光素子2aとしては、例えば、フォトダイオード(PD)が用いられる。
【0046】
電気コネクタ22は、外部装置(図示せず)との電気的なインタフェース(例えば、USBコネクタ)として機能する。外部装置から供給された電気信号は、電気コネクタ22を通じて信号処理回路4に入力される。信号処理回路4で信号処理された電気信号は、発光素子2bによって光信号に変換される。変換された光信号は、レンズモジュール7を介して受信用光ファイバ6bに供給される。このように、光モジュール1は、電気信号を光信号に変換するE/O変換機能を有する。
【0047】
一方、送信用光ファイバ6aから供給された光信号は、レンズモジュール7を介して受光素子2aに入力され、受光素子2aによって電気信号に変換される。変換された電気信号は信号処理回路4で信号処理された後、電気コネクタ22を通じて外部装置に供給される。このように、光モジュール1は、光信号を電気信号に変換するO/E変換機能を有する。
【0048】
また、配線基板24の裏面24cには、放熱シート20が搭載されている。光素子2、駆動ICチップ11及び信号処理回路4から発生した熱は、配線基板24を介して放熱シート20に伝えられる。放熱シート20は、金属製の第1ハウジング16に当接しており、第1ハウジング16は樹脂製の第2ハウジング12に収容されている。従って、放熱シート20に伝えられた熱は、第1ハウジング16を介して第2ハウジング12に伝えられたり、第1ハウジング16及び電気コネクタ22を介して外部装置側に伝えられたり、又は第1ハウジング16を介して光ケーブル3側に伝えられる。このように、光素子2、駆動ICチップ11及び信号処理回路4から発生した熱は、分散して伝えられるため、第2ハウジング12の温度が過度に高くなることが防止される。
また、図4に示すように、放熱シート20に加えて、信号処理回路4の上面に放熱シート25をさらに設けてもよい。
【0049】
また、図4に示されるように、クリップ40によって光コネクタ5はレンズモジュール7に固定されている。
【0050】
次に、図5を参照することで、光モジュール1に使用されるレンズモジュール7の作用を詳しく説明する。図5は、光モジュール1のレンズモジュール7付近を示した一部拡大断面図である。
尚、図5の右側では、光コネクタ5の図示は省略されており、光ファイバ6の先端部が図示されている。尚、光ファイバ6の先端部では、被覆樹脂6Jから、コア及びクラッドが剥き出しになっている。
【0051】
図5に示されるように、本実施形態に係る光モジュール1は、配線基板24と、配線基板24の素子搭載面24a上に搭載された光素子2と、光素子2と光学的に接続されたレンズモジュール7と、レンズモジュール7と光学的に接続された光ファイバ6とを備えている。また、レンズモジュール7は、前後方向と直交する第1の面52と、第1の面52と異なる方向を向いており、上下方向と直交する第2の面62とを有する。
【0052】
さらに、光ファイバ6と対向するように第1の光入出力部50が第1の面52に設けられている。一方、光素子2と対向するように第2の光入出力部60が第2の面62に設けられている。
また、配線基板24の素子搭載面24aと直交する方向(上下方向)において、光素子2が第1の光入出力部50と第2の光入出力部60との間に配置されている。
【0053】
レンズモジュール7は、第1の光入出力部50と第2の光入出力部60との間の光路P上に配置された第1の反射面53、第2の反射面54及び第3の反射面55をさらに有している。第1の反射面53、第2の反射面54及び第3の反射面55の各々は、光路P上を伝搬する光の伝搬方向を変更するように構成されている。
【0054】
第1の反射面53は、第1の光入出力部50と対向するように配置されており、第2の反射面54は、第2の光入出力部60と対向するように配置されている。また、第3の反射面55は、光路P上において、第1の反射面53と第2の反射面54との間に配置されている。また、第1の反射面53、第2の反射面54及び第3の反射面55の各々は、一様な平坦形状(平滑面)に形成されている。
【0055】
上述したように、光ファイバ6は、左右方向(図5では紙面に垂直な方向)に並設された送信用光ファイバ6aと受信用光ファイバ6bをそれぞれ2つ備えており、光素子2は、左右方向に並設された受光素子2aと発光素子2bをそれぞれ2つ備えている。
第1の面52に設けられた第1の光入出力部50は、左右方向に並設された第1の光入力部50aと第1の光出力部50bをそれぞれ2つ備えている。
第2の面62に設けられた第2の光入出力部60は、左右方向に並設された第2の光出力部60aと第2の光入力部60bをそれぞれ2つ備えている。
【0056】
第1の光入出力部50は、焦点F1を有するコリメートレンズL1を備えている。前後方向において、光ファイバ6の端面6Sの位置は、コリメートレンズL1の焦点F1の位置と略一致する。より詳細には、前後方向において、送信用光ファイバ6aの端面6Sの位置は、第1の光入力部50aのコリメートレンズL1の焦点F1の位置と略一致しており、受信用光ファイバ6bの端面6Sの位置は、第1の光出力部50bのコリメートレンズL1の焦点F1の位置と略一致している。
【0057】
このため、送信用光ファイバ6aから出射された拡散光は、第1の光入力部50aによって平行光に変換される。さらに、第1の光出力部50bから出力された光は、受信用光ファイバ6bの端面6Sに集光される。
【0058】
第2の光入出力部60は、焦点F2を有するコリメートレンズL2を備えている。上下方向において、光素子2の上面の位置は、コリメートレンズL2の焦点F2の位置と略位置する。より詳細には、上下方向において、受光素子2aの上面(受光面)の位置は、第2の光出力部60aのコリメートレンズL2の焦点F2の位置と略位置しており、発光素子2bの上面(発光面)の位置は、第2の光入力部60bのコリメートレンズL2の焦点F2の位置と略一致している。
【0059】
このため、第2の光出力部60aから出力された光は、受光素子2aの受光面に集光される。さらに、発光素子2bから出射された拡散光は、第2の光入力部60bによって平行光に変換される。
【0060】
このように、第1の光入出力部50にコリメートレンズL1を設けると共に、第2の光入出力部60にコリメートレンズL2を設けることで、比較的製造コストを抑えた構造によって、光ファイバ6と光素子2との間の光の伝送損失を抑えることが可能となる。
【0061】
レンズモジュール7は、駆動ICチップ11と光素子2を覆うように配線基板24の素子搭載面24aに搭載されている。特に、レンズモジュール7は、素子搭載面24aに搭載された搭載部71を備えている。搭載部71は、光素子2と駆動ICチップ11を収容するための中空部Sを有しており、中空部Sにおいて、第2の光入出力部60と光素子2が互いに離間するように対向している。
【0062】
このように、レンズモジュール7が搭載部71を有するため、レンズモジュール7を配線基板24に搭載することが可能となり、レンズモジュール7を配線基板24に実装するための更なる部品が不要となり、光モジュール1の小型化及び部品点数の削減が可能となる。
また、レンズモジュール7は光素子2を収容する中空部Sを有するため、レンズモジュール7を安定的に配線基板24に搭載可能となり、光モジュール1の信頼性を向上させることができる。
【0063】
さらに、レンズモジュール7は、搭載部71の一部であって素子搭載面24aと略平行な第1の調芯面57と、配線基板24の側面24bと略平行な第2の調芯面58とを有する調芯部59を備えている。調芯部59は、素子搭載面24aと直交する方向(上下方向)において、第1の光入出力部50と第2の光入出力部60との間に配置されている。
【0064】
このように、レンズモジュール7は、配線基板24の素子搭載面24aと略平行な第1の調芯面57と、配線基板24の側面24bと略平行な第2の調芯面58とを有する。
このため、レンズモジュール7を配線基板24に搭載する際に、第1の調芯面57を配線基板24の素子搭載面24aに当接させ、第2の調芯面58を配線基板24の側面24bに当接させることで、上下方向及び前後方向における光素子2とレンズモジュール7との間のアライメントを容易に行うことができる(パッシブ調芯)。
【0065】
また、レンズモジュール7を配線基板24に搭載した状態で、レンズモジュール7を配線基板24に対して配線基板24の側面24bに垂直な方向(前後方向)に移動させることで、光素子2とレンズモジュール7との前後方向におけるアライメントを行うことも可能である(アクティブ調芯)。アクティブ調芯を行う場合には、図5に示されるように、第2の調芯面58と配線基板24の側面24bとの間には空隙が形成される。
【0066】
次に、レンズモジュール7を備えた光モジュール1の作用について説明する。
光路Pは、送信用光ファイバ6aから出力された光信号がレンズモジュール7を介して受光素子2aに入力される光路P1と、発光素子2bから出力された光信号がレンズモジュール7を介して受信用光ファイバ6bに入力される光路P2を有する。
【0067】
光モジュール1がO/E変換を行う場合について以下に説明する。
【0068】
送信用光ファイバ6aから出射された光(光信号)は、第1の光入力部50aに入力されて光路P1上を伝搬する。このとき、送信用光ファイバ6aから出射された拡散光は、第1の光入力部50aのコリメートレンズL1によって平行光に変換される。
【0069】
光路P1上を前方向に進む平行光が第1の反射面53に入射すると、入射光は第1の反射面53によって上方向に向かうように反射される。第1の反射面53によって反射され上方向を進む平行光が第3の反射面55に入射すると、入射光は第3の反射面55によって前方向に向かうように反射される。第3の反射面55によって反射され前方向に進む平行光が第2の反射面54に入射すると、入射光は第2の反射面54によって下方向に向かうように反射される。その後、第2の反射面54によって反射された平行光は、第2の光出力部60aに到達した後、第2の光出力部60aのコリメートレンズL2によって受光素子2aの受光面に集光される。
【0070】
受光素子2aに入力された光(光信号)は、受光素子2aによって電気信号に変換される。変換された電気信号は信号処理回路4で信号処理された後、電気コネクタ22を通じて外部装置に供給される。このように、光モジュール1によってO/E変換が行われる。
【0071】
次に、光モジュール1がE/O変換を行う場合について以下に説明する。
【0072】
外部装置から供給された電気信号は、電気コネクタ22を通じて信号処理回路4に入力される。信号処理回路4で信号処理された電気信号は、発光素子2bによって光信号に変換される。発光素子2bから出射された光(光信号)は、第2の光入力部60bに入力されて光路P2上を伝搬する。このとき、発光素子2bから出射された拡散光は、第2の光入力部60bのコリメートレンズL2によって平行光に変換される。
【0073】
光路P2上を上方向に進む平行光が第2の反射面54に入射すると、入射光は第2の反射面54によって後方向に向かうように反射される。第2の反射面54によって反射され後方向を進む平行光が第3の反射面55に入射すると、入射光は第3の反射面55によって下方向に向かうように反射される。第3の反射面55によって反射され下方向に進む平行光が第1の反射面53に入射すると、入射光は第1の反射面53によって後方向に向かうように反射される。
【0074】
その後、第1の反射面53によって反射された平行光は、第1の光出力部50bに到達した後、第1の光出力部50bのコリメートレンズL1によって受信用光ファイバ6bの端面6Sに集光される。このように、光モジュール1によってE/O変換が行われる。
【0075】
また、図4に示されるように、光モジュール1の上下方向におけるサイズを小さくするために、電気コネクタ22、配線基板24及び光ケーブル3は、前後方向における各中心軸が一致するように配置されている。
つまり、本実施形態に係る光モジュール1では、光モジュール1の上下方向におけるサイズを小さくするために、図5に示されるように、配線基板24の厚さ方向(上下方向)の中心を通る中心軸Axと光ファイバ6の光軸Ax2が一致するように、光ファイバ6が配置されている。
【0076】
尚、本発明の実施形態では、中心軸Axと光ファイバ6の光軸Ax2が必ずしも一致している必要はなく、光ファイバ6の光軸Ax2が配線基板24の厚さ方向の中心付近を通っていればよい。例えば、上下方向において光軸Ax2が中心軸Axから±0.1mm以内に位置するように光ファイバ6が配置されていると好ましい。
【0077】
さらに、第1の入出力部50は、配線基板24の中心軸Ax上に位置するように、第1の面52に設けられている。つまり、第1の光入出力部50及び光ファイバ6の光軸Ax2は、配線基板24の厚さ方向の中心又は中心付近に位置する。このため、光ファイバ6の曲げを極力抑えた状態で、光ファイバ6をレンズモジュール7に光学的に接続することが可能となる。
従って、本実施形態では、光モジュール1の小型化を実現しつつ、光ファイバ6の曲げを極力抑えた状態で、光ファイバ6と光素子2とを光学的に接続することが可能となる。
【0078】
一方、第1の光入出力部50が配線基板24の厚さ方向の中心又は中心付近に配置されない場合には、光ファイバ6をレンズモジュール7に光学的に接続する際に、上下方向において光ファイバ6に曲げが発生してしまう。
他方、光ファイバ6の光軸Ax2が配線基板24の厚さ方向の中心又は中心付近に配置されない場合には、光モジュール1の上下方向におけるサイズが大きくなってしまう。
【0079】
また、レンズモジュール7では、信号光の伝搬方向を変更させるように構成された反射面53〜55が設けられているので、これら反射面53〜55の構成に応じて、第1の光入出力部50の上下方向における形成位置を適宜調整することができる。このようなレンズモジュール7を用いることで、高い設計自由度を有する光モジュール1を提供することができる。
【0080】
(変形例1)
次に、本実施形態の変形例1に係る光モジュール1aについて図6を用いて説明する。尚、図6において、図5で説明された構成要素と同じ参照番号を有する構成要素は、図5と同一の構成であるため、その説明を省略する。図6に示すように、変形例1に係る光モジュール1aは、レンズモジュールが異なる点で本実施形態に係る光モジュール1と異なる。
【0081】
図6に示されるように、レンズモジュール17は、前後方向と直交する第1の面152と、第1の面152と異なる方向を向いており、上下方向と直交する第2の面162とを有する。
【0082】
さらに、光ファイバ6と対向するように第1の光入出力部150が第1の面152に設けられている。一方、光素子2と対向するように第2の光入出力部160が第2の面162に設けられている。第1の光入出力部150及び第2の光入出力部160は、一様な平坦形状に形成されている。
【0083】
レンズモジュール17は、第1の光入出力部150と第2の光入出力部160との間の光路PA上に配置された第1の反射面153、第2の反射面154及び第3の反射面155をさらに有している。第1の反射面153、第2の反射面154及び第3の反射面155の各々は、光路PA上を伝搬する光の伝搬方向を変更するように構成されている。
【0084】
第1の反射面153は、第1の光入出力部150と対向するように配置されており、第2の反射面154は、第2の光入出力部160と対向するように配置されている。また、第3の反射面155は、光路PA上において、第1の反射面153と第2の反射面154との間に配置されている。また、第1の反射面153及び第2の反射面154は、曲面形状に形成されており、第3の反射面155は、一様な平坦形状(平滑面)に形成されている。
【0085】
第1の反射面153は、入射光である拡散光を平行光となるように反射し、又は入射光である平行光を集光するように反射するように構成されている。また、第2の反射面154は、入射光である平行光を集光するように反射し、又は入射光である拡散光を平行光となるように反射するように構成されている。
【0086】
第1の面152に設けられた第1の光入出力部150は、左右方向に並設された第1の光入力部150aと第1の光出力部150bをそれぞれ2つ備えている。
第2の面162に設けられた第2の光入出力部160は、左右方向に並設された第2の光出力部160aと第2の光入力部160bをそれぞれ2つ備えている。
【0087】
次に、レンズモジュール17を備えた光モジュール1aの作用について説明する。
光路PAは、送信用光ファイバ6aから出力された光信号がレンズモジュール17を介して受光素子2aに入力される光路PA1と、発光素子2bから出力された光信号がレンズモジュール17を介して受信用光ファイバ6bに入力される光路PA2を有する。
【0088】
光モジュール1がO/E変換を行う場合について以下に説明する。
【0089】
送信用光ファイバ6aから出射された拡散光(光信号)は、第1の光入力部150aに入力されて光路PA1上を伝搬する。光路PA1上を前方向に進む拡散光が第1の反射面153に入射すると、入射光は第1の反射面153によって上方向に向かうように反射されると共に、第1の反射面153によって平行光に変換される。第1の反射面153によって反射され上方向を進む平行光が第3の反射面155に入射すると、入射光は第3の反射光155によって前方向に向かうように反射される。第3の反射面155によって反射され前方向に進む平行光が第2の反射面154に入射すると、入射光は第2の反射面154によって下方向に向かうように反射されると共に、第2の反射面154によって受光素子2aの受光面に集光される。
【0090】
次に、光モジュール1がE/O変換を行う場合について以下に説明する。
【0091】
外部装置から供給された電気信号は、発光素子2bによって光信号に変換される。発光素子2bから出射された光(光信号)は、第2の光入力部160bに入力されて光路PA2上を伝搬する。
【0092】
光路PA2上を上方向に進む拡散光が第2の反射面154に入射すると、入射光は第2の反射面154によって後方向に向かうように反射されると共に、第2の反射面154によって平行光に変換される。第2の反射面154によって反射され後方向を進む平行光が第3の反射面155に入射すると、入射光は第3の反射面155によって下方向に向かうように反射される。第3の反射面155によって反射され下方向に進む平行光が第1の反射面153に入射すると、入射光は第1の反射面153によって後方向に向かうように反射されると共に、第1の反射面153によって受信用光ファイバ6bの端面6Sに集光される。
【0093】
尚、レンズモジュール17では、第1の光入出力部150が一様な平坦面に形成されているので、第1の光入力部150aと送信用光ファイバ6aの端面6Sを接触させた状態では、第1の光入出力部150と送信用光ファイバ6aの端面6Sとの間には空隙が形成されない。従って、両者の間に空隙が形成されている場合に比べて、第1の光入力部150aに光を入力する際に生じるフレネル反射の影響を低減することができる。つまり、送信用光ファイバ6aとレンズモジュール17との間の屈折率差は、空気とレンズモジュール17との間の屈折率差よりも小さいため、屈折率差に起因するフレネル反射の影響を低減できる。
【0094】
同様に、第1の光出力部150bと受信用光ファイバ6bの端面6Sを接触させた状態では、第1の光出力部150bと受信用光ファイバ6bの端面6Sとの間には空隙が形成されない。従って、両者の間に空隙が形成されている場合に比べて、受信用光ファイバ6bに光を入力する際に生じるフレネル反射の影響を低減することができる。つまり、受信用光ファイバ6bとレンズモジュール17との間の屈折率差は、受信用光ファイバ6bと空気との間の屈折率差よりも小さいため、屈折率差に起因するフレネル反射の影響を低減できる。
【0095】
このように、レンズモジュール17を用いることで、光ファイバ6と光素子2との間の光の伝送損失を低減することが可能な光モジュール1aを提供することができる。
【0096】
また、配線基板24の厚さ方向(上下方向)の中心を通る中心軸Axと光ファイバ6の光軸Ax2が一致すると共に、第1の入出力部150は、配線基板24の中心軸Ax上に位置するように、第1の面152に設けられている。
つまり、第1の光入出力部150及び光ファイバ6の光軸Ax2は、配線基板24の厚さ方向の中心又は中心付近に位置する。このため、光ファイバ6の曲げを極力抑えた状態で、光ファイバ6をレンズモジュール17に光学的に接続することが可能となる。
従って、本実施形態の変形例1によれば、光モジュール1aの小型化を実現しつつ、光ファイバ6の曲げを極力抑えた状態で、光ファイバ6と光素子2とを光学的に接続することが可能となる。
【0097】
また、レンズモジュール17では、信号光の伝搬方向を変更させるように構成された反射面153〜155が設けられているので、これら反射面153〜155の構成に応じて、第1の光入出力部150の上下方向における形成位置を適宜調整することができる。このようなレンズモジュール17を用いることで、高い設計自由度を有する光モジュール1aを提供することができる。
【0098】
(変形例2)
次に、本実施形態の変形例2に係る光モジュール1bについて図7を用いて説明する。尚、図7において、図5で説明された構成要素と同じ参照番号を有する構成要素は、図5と同一の構成であるため、その説明を省略する。図7に示すように、変形例2に係る光モジュール1bは、レンズモジュールが異なる点で本実施形態に係る光モジュール1と異なる。
【0099】
図7に示されるように、レンズモジュール27は、前後方向と直交する第1の面252と、第1の面252と異なる方向を向いており、上下方向と直交する第2の面262とを有する。
【0100】
さらに、光ファイバ6と対向するように第1の光入出力部250が第1の面252に設けられている。一方、光素子2と対向するように第2の光入出力部260が第2の面262に設けられている。
【0101】
レンズモジュール27は、第1の光入出力部250と第2の光入出力部260との間の光路PB上に配置された第1の反射面253と第2の反射面254を有している。第1の反射面253、第2の反射面254の各々は、光路PB上を伝搬する光の伝搬方向を変更するように構成されている。
【0102】
第1の反射面253は、第1の光入出力部250と対向するように配置されており、第2の反射面254は、第2の光入出力部260と対向するように配置されている。また、第1の反射面253及び第2の反射面254は、一様な平坦形状(平滑面)に形成されている。
【0103】
第1の面252に設けられた第1の光入出力部250は、左右方向に並設された第1の光入力部250aと第1の光出力部250bをそれぞれ2つ備えている。
第2の面262に設けられた第2の光入出力部260は、左右方向に並設された第2の光出力部260aと第2の光入力部260bをそれぞれ2つ備えている。
【0104】
次に、レンズモジュール27を備えた光モジュール1bの作用について説明する。
光路PBは、送信用光ファイバ6aから出力された光信号がレンズモジュール27を介して受光素子2aに入力される光路PB1と、発光素子2bから出力された光信号がレンズモジュール27を介して受信用光ファイバ6bに入力される光路PB2を有する。
【0105】
光モジュール1bがO/E変換を行う場合について以下に説明する。
【0106】
送信用光ファイバ6aから出射された光(光信号)は、第1の光入力部250aに入力されて光路PB1上を伝搬する。このとき、送信用光ファイバ6aから出射された拡散光は、第1の光入力部250aのコリメートレンズL11によって平行光に変換される。
【0107】
光路PB1上を前方向に進む平行光が第1の反射面253に入射すると、入射光は第1の反射面253によって上前方向(上方向且つ前方向)に向かうように反射される。第1の反射面253によって反射された平行光が第2の反射面254に入射すると、入射光は第2の反射面254によって下前方向(下方向且つ前方向)に向かうように反射される。その後、第2の反射面54によって反射された平行光は、第2の光出力部60aに到達した後、第2の光出力部60aのコリメートレンズL12によって受光素子2aの受光面に集光される。
【0108】
次に、光モジュール1bがE/O変換を行う場合について以下に説明する。
【0109】
外部装置から供給された電気信号は、発光素子2bによって光信号に変換される。発光素子2bから出射された光(光信号)は、第2の光入力部260bに入力されて光路PB2上を伝搬する。このとき、発光素子2bから出射された拡散光は、第2の光入力部260bのコリメートレンズL12によって平行光に変換される。
【0110】
光路PB2上を上後方向(上方向且つ後方向)に進む平行光が第2の反射面254に入射すると、入射光は第2の反射面254によって下後方向(下方向且つ後方向)に向かうように反射される。第2の反射面254によって反射された平行光が第1の反射面253に入射すると、入射光は第1の反射面253によって後方向に向かうように反射されると共に、第1の反射面253によって受信用光ファイバ6bの端面6Sに集光される。
【0111】
また、配線基板24の厚さ方向(上下方向)の中心を通る中心軸Axと光ファイバ6の光軸Ax2が一致すると共に、第1の光入出力部250は、配線基板24の中心軸Ax上に位置するように、第1の面252に設けられている。
つまり、第1の光入出力部250及び光ファイバ6の光軸Ax2は、配線基板24の厚さ方向の中心又は中心付近に位置する。このため、光ファイバ6の曲げを極力抑えた状態で、光ファイバ6をレンズモジュール27に光学的に接続することが可能となる。
従って、本実施形態の変形例2によれば、光モジュール1bの小型化を実現しつつ、光ファイバ6の曲げを極力抑えた状態で、光ファイバ6と光素子2とを光学的に接続することが可能となる。
【0112】
また、レンズモジュール27では、信号光の伝搬方向を変更させるように構成された反射面253、254が設けられているので、これら反射面253、254の構成に応じて、第1の光入出力部250の上下方向における形成位置を適宜調整することができる。このようなレンズモジュール27を用いることで、高い設計自由度を有する光モジュール1bを提供することができる。
【0113】
以上本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0114】
1,1a,1b:光モジュール
2:光素子
2a:受光素子
2b:発光素子
3:光ケーブル
4:信号処理回路
5:光コネクタ
6:光ファイバ
6a:送信用光ファイバ
6b:受信用光ファイバ
6J:被覆樹脂
6S:端面
7:レンズモジュール
8:テープ樹脂
9:外被
10:抗張力体
11:駆動ICチップ
12:第2ハウジング
16:第1ハウジング
16a:下側ハウジング
16b:上側ハウジング
17:レンズモジュール
20:放熱シート
22:電気コネクタ
24:配線基板
24a:素子搭載面
24b:側面
24c:裏面
25:放熱シート
27:レンズモジュール
30:端末固定部
36:ガイドピン
40:クリップ
50:第1の光入出力部
50a:第1の光入力部
50b:第1の光出力部
52:第1の面
53:第1の反射面
54:第2の反射面
55:第3の反射面
57:第1の調芯面
58:第2の調芯面
59:調芯部
60:第2の光入出力部
60a:第2の光出力部
60b:第2の光入力部
62:第2の面
71:搭載部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7