(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、低りん鋼への需要が高まっている一方で、環境への負荷を軽減する観点からスラグ排出量の削減も求められている。これらを両立するには、主な脱りん剤である生石灰の脱りん利用効率を向上することが重要となる。
【0003】
通常、転炉吹錬では、生石灰を吹錬前もしくは吹錬初期に全量添加する。すると、溶銑中におけるSiが酸化されることによって生成されるSiO
2が生石灰の表層部にて高融点の2CaO・SiO
2層を形成し、生石灰の溶解速度を著しく低下させる。このような状態では、実質的なスラグ中の実塩基度(溶融しているスラグ中のCaO/SiO
2質量比)が約2.0と低いので、スラグの脱りん能力が低い。転炉吹錬が進行して脱炭最盛期に達する頃には温度が上昇し、しかもスラグ中におけるFeO濃度が低下するため、このようにスラグの脱りん能力が低いと、復りんが生じて溶鋼中のP濃度が増加してしまい、中高炭低りん鋼を溶製することが困難であった。なお、以降の説明では、含有濃度に関する「%」は、特に断らない限り質量%の意味で用いるものとする。
【0004】
特許文献1には、C濃度が0.5%以上、P濃度が0.015%以下の中高炭低りん鋼を溶製するために、転炉吹錬中の酸素量が総量の40〜70%となっている間に、2回以上CaO源を装入する方法が開示されている。この方法では、吹錬中におけるスラグ中の実塩基度を低く、さらにスラグ中のFeO濃度を高く維持できる。そのため、吹錬途中で添加した生石灰の表層部に高融点の2CaO・SiO
2が形成されても、比較的短い時間で2CaO・SiO
2が高いFeO濃度の溶融スラグへ溶解するため、生石灰が溶解し易くなる。その結果、スラグの実塩基度が増加してスラグの脱りん能力が向上し、中高炭域(転炉吹錬終点時の溶鋼中のC濃度が0.5%以上)でもP濃度を0.015%以下にできるとしている。
【0005】
但し、特許文献1に記載の方法であっても、装入した生石灰は溶解しきれないため、スラグの実塩基度を高めるために生石灰添加量を増やし、装入塩基度を高めている。そのため、未溶解の生石灰量が増えてしまうという問題は残っている。ここで、装入塩基度とは「装入する副原料中のCaO質量/{(溶銑中のSi質量+スクラップ中のSi質量)×2.14+装入する副原料中のSiO
2質量}で計算される値である。
【0006】
また、特許文献1に記載の方法では、CaO源の装入を、初装入を含めて3回以上に分け、その装入時毎に送酸速度を低下させる必要があるため、それによって滓化促進効果はあると考えられるが、その代わりに生産性低下を受容しなければならない。
【0007】
また、特許文献2には、平均粒径1mm以下の生石灰粉を吹錬末期まで上吹きして転炉吹錬する方法が開示されている。この方法では、融点が高く溶解し難い生石灰を平均粒径1mm以下として上吹き添加することにより溶解を促進し、その結果高い脱りん率が得られるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、吹錬終了時における溶鋼中のC濃度が0.5%以上の場合は、未溶解生石灰がある程度残留するという問題があった。それに対し、吹錬終了時における溶鋼中のC濃度が0.5%以下の場合は、上吹き酸素による脱炭反応を進めてC濃度を下げるほどスラグ中のFeO濃度が上昇する。つまり、溶鋼中のC濃度が低下すると、上吹きした酸素が溶鋼と接触する領域(すなわち火点)に対してCの供給速度が低下することによって、上吹き酸素と鉄とが反応して多量のFeOを生成し始める。すると、未溶解の生石灰の表層部に生成していた2CaO・SiO
2が高FeO濃度の溶融スラグ中へ徐々に溶解していく。
【0010】
しかしながら、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度を0.015%まで低減するために吹錬初期の装入塩基度を3.0以上にまで増加すると、吹錬終了時における溶鋼中のC濃度が0.05%以上0.5%以下でスラグ中のFeO濃度が比較的高い場合であっても、未溶解の生石灰がスラグ中にある程度残留して、CaOの脱りん効率が低くなってしまう。ここで、吹錬初期の装入塩基度とは、吹錬前および吹錬開始後の吹錬全期間の10%が経過するまでの間に装入した副原料のみについて、「装入する副原料中のCaO質量/{(溶銑中のSi質量+スクラップ中のSi質量)×2.14+装入する副原料のSiO
2質量}で計算される値である。
【0011】
また、特許文献2に記載の方法では、平均粒径1mm以下の生石灰は溶解速度が速いので、生石灰の表層部に高融点の2CaO・SiO
2が形成され難く、スラグ全体の塩基度を速やかに高めて脱りんが促進されると考えられる。そのため、この方法は、比較的均一なスラグ全体を用いて脱りんを行う場合には有効と考えられる。但し、生石灰の粉体を供給するためには、吹錬によって発生するガスの気流によって飛散することを防止するための大掛かりな設備が必要であるという問題がある。そのため、このような微粒の粉体を供給せずに、同等以上の効果、すなわち生石灰溶解率が同レベルで、脱りん率が同等以上となる方法を開発することが必要である。
【0012】
本発明は前述の問題点に鑑みてなされたものであり、低コストであって、かつ脱りん率が高い転炉操業方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、質量%で、Si濃度が0.25〜0.6%の溶銑を転炉で吹錬し、吹錬終了時における溶鋼中のC濃度を0.05%以上0.5%以下で、かつP濃度を0.015%以下にする際に、吹錬初期の装入塩基度を3.0〜4.5とし、そのための副原料としてのCaO源及びMgO源に粒径3.35〜9.5mmのものを用いることにより、上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成した。
【0014】
CaO源としては、CaO含有率が90質量%以上で気孔率が40%以上の生石灰が最も好適であるが、CaOを50質量%以上含有する石灰石、消石灰、軽焼ドロマイト等を併用しても良い。MgO源としては、MgOを30質量%以上含有する軽焼ドロマイトが好適であるが、MgOを30質量%以上含有するドロマイトや橄欖岩等も用いて良い。軽焼ドロマイトにはCaOが約60質量%含まれるため、生石灰と併用するCaO源としても好適である。
【0015】
ここで、本発明における副原料としてのCaO源及びMgO源の粒径は、最小で公称目開き3.35mmの篩いで篩ってその篩い上とし、最大でも公称目開き9.5mmの篩いで篩ってその篩い下とする。なお、本発明では、基本的には副原料としてのCaO源及びMgO源の粒径を3.35〜9.5mmとしているが、篩った後のCaO源やMgO源の表面に付着した3.35mm未満の粒径のものも一部含まれるものとする。
【0016】
粒径が最大でも9.5mmの生石灰(一般的にCaO含有率90%以上で気孔率40%以上)を用いると、Si濃度が0.25%以上の溶銑を吹錬する際に、吹錬初期の装入塩基度が3.0〜4.5で、吹錬終了時の溶鋼中のC濃度が0.05%以上0.5%以下であれば、吹錬全期間の90%が経過するまでに生石灰がほぼ溶解し、粒径が10〜30mmの通常の塊生石灰を用いるよりも脱りん率が向上することが分かった。すなわち、上記条件下であれば、装入塩基度が同一であっても、粒径が通常の10〜30mmの生石灰から最大でも粒径が9.5mmの生石灰へ変更することによって、生石灰の溶解率を増加し、より高い脱りん率を実現できた。但し、添加する生石灰の粒径が小さくなると、通常の装入方法では酸素吹錬に伴って炉外へ飛散してしまう比率が高くなるため、粒径は3.35mm以上にしておく必要がある。このように吹錬初期に装入する生石灰は粉体である必要はないということを、本発明者は見出した。
【0017】
この粒径を小さくする効果は、通常の生石灰の気孔率が40〜50%と高いことを考えると、生石灰を用いる場合に最も大きく発揮されると考えられるが、CaOを50質量%以上含有する石灰石、消石灰、軽焼ドロマイト等であれば、CaO源としてこの効果を享受することができると考える。
【0018】
溶銑中のSi濃度は、吹錬によって溶融スラグを生成させるために0.25%以上が必要である。このSi濃度が0.25%未満では、吹錬終了時の溶鋼中のC濃度が0.05〜0.5%の条件ではスラグ生成量が少ない上に吹錬初期の装入塩基度が3.0〜4.5と高くないことから、吹錬終了時においてP濃度を0.015%以下にすることは困難である。一方、溶銑中のSi濃度が0.6%を超える条件では、吹錬初期の装入塩基度を3.0〜4.5にまで高くしなくても、スラグ生成量が多いために吹錬終了時のP濃度を0.015%以下にすることは容易である。また、装入塩基度を下げるなら生石灰の溶融滓化も容易になるため、生石灰の粒径を小さくする効果も小さくなってしまう。以上のように、本発明において特に効果が顕著となる溶銑は、Si濃度が0.25〜0.6%のものである。
【0019】
次に、上記方法に加えて、吹錬全期間の90〜100%が経過する間に生石灰を追加装入する場合は、その時点ではスラグの実塩基度(溶融スラグの分析塩基度)が3.0以上となっているため、追加装入した生石灰の表層部には高融点の2CaO・SiO
2が形成されない。そのため、通常用いている気孔率40〜50%の生石灰を吹錬全期間の90〜100%が経過している間に装入すると、生石灰の気孔中へFeO濃度の高い液相スラグが極めて速やかに侵入し、侵入したスラグ中のFeOが極めて速やかにCaO固相壁へ浸潤して生石灰を溶解してしまう。そして、その溶解した領域には、脱りん能の極めて高いCaO−FeO系スラグが生成し、その領域において局所的な高脱りん率(周囲の均一スラグ中のP濃度よりも、P濃度が顕著に高くなる状態)が実現されることを、本発明者は見出した。
【0020】
但し、このような効果を実現するために、吹錬全期間の90〜100%が経過する間に生石灰を装入する場合には、生石灰の粒径を3.35〜9.5mmとする必要があると分かった。粒径が3.35mm未満では、生石灰を装入後にスラグ中への溶解が早すぎて、比較的早期に均一スラグを形成してしまうため、上述した局所的な高脱りん率を実現できない。さらに、吹錬中に転炉内へ装入する影響により、装入した生石灰が転炉外へ飛散してしまう量が増えてしまう可能性もある。一方、粒径が9.5mm超では、生石灰の気孔中へスラグが侵入してCaO固相壁へFeOが浸潤する反応が間に合わず、未溶解部分が残留してしまう。
【0021】
この吹錬全期間の90〜100%が経過する間に装入する生石灰は、生石灰が有する非常に高い気孔率という特性が重要であるため、他のCaO源で代替することは難しい。
【0022】
すなわち、本発明によれば、吹錬に使用するCaO源及びMgO源に含まれるCaOを全部合計して算出される最終塩基度を従来と同程度としても、生石灰を中心とするCaO源の粒径を従来の10〜30mmから3.35〜9.5mmへと変更することにより、CaO源の溶解率を増加して、より高い脱りん率を実現することができる。
【0023】
なお、本発明は、溶銑脱りん実施後の溶銑を脱炭炉で吹錬する場合にも適用できる。但し、その場合、溶銑中のSi濃度は極めて低いので、装入塩基度調整用に珪石等のSiO
2源をSiO
2の質量で溶銑1t当たり4.9kg以上添加する。このようにSiO
2源を装入することによって、転炉内でのスラグ生成条件を上記した非脱燐溶銑の転炉吹錬と同様にすることができる。このSiO
2源も、SiO
2源自身の溶解速度を高め、もってCaO源の溶融滓化を促進するために、粒径を3.35〜9.5mmとすることが適切である。この場合、CaO源及びMgO源と同様にSiO
2源の粒径も、最小で公称目開き3.35mmの篩いで篩ってその篩い上とし、最大でも公称目開き9.5mmの篩いで篩ってその篩い下とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、転炉吹錬終点時点での温度、装入塩基度および転炉吹錬終点時の溶鋼中C濃度を同じとしても、装入する副原料としてのCaO源及びMgO源、並びにSiO
2源の粒径を適正な範囲に制御すれば、従来よりも脱りん率を向上させることができる。更には、吹錬全期間の90〜100%が経過している時に粒径と量とを適正にした生石灰を追加装入することにより、均一組成のスラグで脱りんする場合と比べ、生石灰の脱りん利用効率を向上して吹錬終了時における溶鋼中のP濃度を下げることができる。すなわち、生石灰を粉体として上吹きする方法と比べ、大掛かりな設備は不要であり、しかも同一のC濃度、P濃度の溶鋼を溶製するための生石灰の原単位を削減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
まず、高炉から出銑された溶銑に対して、必要に応じて脱硫や脱珪処理を適宜実施して、Si濃度が0.25〜0.6%としたものを、適当なスクラップ量とともに通常の上底吹き機能を有する転炉に装入する。そして、所定の副原料を所定時期に装入することによってC濃度を0.5〜0.05%とした溶鋼にする。
【0026】
この溶銑は、脱燐処理を施したものであってもよいが、脱燐処理を施すと溶銑中のSi濃度は0.02%以下になってしまうのが通常なので、そのような溶銑を対象とする場合には、上記溶銑中のSi濃度に見合うSiO
2源を、溶銑を転炉に装入する前、または装入後の吹錬初期(上吹き酸素の吹付けを開始してから上吹き酸素吹付けを終了する時点までの全吹錬時間の10%が経過するまで)に転炉内に装入する。Si濃度が0.25〜0.6%に対応するSiO
2装入量は、4.9〜12.8kg/溶銑tである。
【0027】
このような溶銑を転炉に装入する前、吹錬開始前または吹錬開始後の吹錬初期に、粒径が3.35〜9.5mmのCaO源、MgO源を、初期装入塩基度が3.0〜4.5になるように調整して転炉内に装入する。MgO源は、転炉の耐火物の溶損を抑制するために、吹錬後のスラグ中にMgOが6〜12%程度含まれるように装入する。MgOが6%未満では転炉耐火物の溶損が激しくなる。一方、MgOが12%を超える条件では、スラグの流動性が低下してCaO源の溶融滓化を阻害してしまう。
【0028】
このとき、吹錬終了時の温度を調整するために、酸化鉄を転炉内に装入しても良い。ここで、初期装入塩基度とは、吹錬前および吹錬開始後の吹錬全期間の10%が経過するまでの間に装入した副原料のみについて、「装入する副原料中のCaO質量/{(溶銑中のSi質量+スクラップ中のSi質量)×2.14+装入する副原料のSiO
2質量}で計算される値である。
【0029】
この初期装入塩基度の調整は、目標となる吹錬終了時のP濃度に応じて行い、その目標となるP濃度が高い場合には初期装入塩基度を低めに設定し、目標となるP濃度が低い場合には初期装入塩基度を高めに設定する。このことは、操業の経験に基づいて適宜行えば良いことである。本発明の適用対象には、このP濃度の目標値が0.015%以下の低燐鋼を想定しているが、本発明の効果はこのP濃度の想定値に限られるものではない。
【0030】
酸化鉄は、スケール(FeO、Fe
2O
3)、鉄鉱石、焼結鉱の一種以上、CaO源はCaOを50%以上含有する生石灰、石灰石、消石灰、軽焼ドロマイトの一種以上、MgO源はMgOを30%以上含有する軽焼ドロマイト、ドロマイト、橄欖岩、炭酸マグネシウムの一種以上、SiO
2源はSiO
2を50%以上含有する珪石、珪砂の一種以上とすることが適当である。
【0031】
上吹き酸素の吹付けを開始して上記所定の副原料を投入した後には、基本的には本発明の対象とする副原料は投入しない。但し、例外の一つとして、吹錬中にスラグが大きく泡立ちスロッピングが発生する懸念が認められたり、実際にスロッピングが発生してしまったりした場合には、CaO源やMgO源を鎮静剤として溶銑1tあたり3kg以下の量で転炉内へ投入することがある。しかし、この鎮静剤としての投入量はスロッピングによって転炉外へ排出されてしまうことがある上に、生石灰の反応効率を高められる条件を満たしていない時期で操業上止むを得ない投入であるために、本発明に係る副原料使用方法の技術的範囲には含めない。
【0032】
以上のようにして吹錬を行い、溶銑中のC濃度が0.5〜0.05%の範囲内の目標値に到達した時点で上吹き酸素の吹付けを止めて、吹錬を終了する。このC濃度の目標値に到達した時点の判断は、通常の吹錬制御方法により行うものとする。
【0033】
もう一つの例外としては、その通常の吹錬制御方法により得られる酸素吹付け予定時間がその90%を経過した時点以降の酸素吹付け中に、粒径が3.35〜9.5mmの生石灰を、最終装入塩基度が前記初期装入塩基度よりも0.1〜0.5の範囲で高くなる量だけ追加投入する方法がある。この追加投入は、後述するように生石灰の反応効率を低下させずに溶鋼中のP濃度を低下させることができるので、吹錬終了時のP濃度を一層低下させるためには前記の基本的な実施態様よりも好ましい実施態様と言える。
【0034】
以上における本発明に係る数値範囲は、次のようにして確かめた。
まず、Si濃度が約0.3%(一部のみ約0.5%)、P濃度が約0.10%である溶銑約270tを20〜30tのスクラップとともに転炉へ装入した。そして、粒径10〜30mmもしくは3.35〜9.5mmの生石灰(CaO約95%)および軽焼ドロマイト(CaO約60%、MgO約34%)を添加して初期装入塩基度を2.8〜5.0、転炉スラグ中のMgO濃度を6〜12%とする条件で吹錬を行った。このときの吹錬の条件は、上吹き酸素流量60000Nm
3/h、底吹きCO
2流量2000Nm
3/hであった。また、吹錬の途中に粒径範囲が1〜3mm、3.35〜9.5mm、10〜30mmのいずれかの細粒生石灰を、装入塩基度が初期装入塩基度から最大0.6増加する分だけ装入した。
【0035】
この調査では、初期装入塩基度の計算対象時期(吹錬開始前および吹錬開始から吹錬全期間の10%が経過する時まで)、及び生石灰の追加投入対象時期(吹錬開始から吹錬全期間の90%が経過した時点以降吹錬終了時まで)以外には、CaO含有副原料やSiO
2源は転炉内に一切投入しなかった。
【0036】
結果を表1(発明例)及び表2(比較例)に示すが、各条件で5Ch行った平均値を載せている。吹錬終了時の溶鋼中の溶鋼温度は1640〜1660℃であった。評価基準は、最終装入塩基度、及び吹錬終了時における溶鋼中のC濃度を同等として比較したときに、従来法、すなわち10〜30mmの生石灰を吹錬初期に添加した場合の吹錬終了時における溶鋼中のP濃度よりも低下していれば「○」とし、その中で3.35〜9.5mmの生石灰を吹錬初期(吹錬開始から吹錬全期間の10%が経過する時まで)に添加した場合よりもP濃度が低下した場合に「◎」とした。
【0039】
(1)生石灰の追加装入による効果
サンプルNo.101は、従来の方法として、吹錬開始前及び開始直後に粒径10〜30mmの塊生石灰を全て装入した場合であり、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度は0.019%であった。これに対し、サンプルNo.1は、粒径3.35〜9.5mmの細粒生石灰を全て吹錬開始前に装入した場合であり、サンプルNo.2は、吹錬開始前から吹錬全期間の10%までの間に粒径3.35〜9.5mmの細粒生石灰を全て装入した場合である。これらのサンプルは、吹錬終了時において溶鋼中のP濃度は0.015%まで低下した。
【0040】
サンプルNo.101の場合は、添加した生石灰の表層部に高融点の2CaO・SiO
2が生成して、生石灰の溶解速度が低下して、生石灰の脱りん利用効率が低くなってしまったと考えられる。これに対してサンプルNo.1及び2では、初期に装入した細粒生石灰の表層部に高融点の2CaO・SiO
2は生成するものの、その内側に残された未溶解CaOの量がかなり減っていたため、吹錬終了時までに十分溶解できたことにより脱りん速度が向上し、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度が従来よりも低下したと考えられる。
【0041】
更には、サンプルNo.3及び4は、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に細粒生石灰を装入した場合であり、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度がそれぞれ0.015%、0.014%となり、サンプルNo.101よりも低いP濃度であった。特に、サンプルNo.4は、サンプルNo.1及び2よりもP濃度が低くなった。細粒生石灰を追加装入する時は、スラグ中のFeO濃度が高く、温度も高かったため、装入した細粒生石灰が速やかに溶解して脱りんに寄与したため、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度が更に低下したと考えられる。
【0042】
前述したように、吹錬中期までは溶融スラグの実塩基度は約2.0程度なため、このときにそのスラグへ生石灰が添加されると、生石灰の表層部に高融点の2CaO・SiO
2層が形成されてしまい、生石灰の溶解が阻害される。ところが、吹錬末期ではスラグ中の実塩基度が3.0ぐらいに上昇し、FeO濃度も高くなると、そのスラグへ生石灰が添加されたた場合は、生石灰の表層部に2CaO・SiO
2層が形成されず、生石灰の気孔中(通常の生石灰の気孔率は40%以上と高い)へ高いFeO濃度のスラグが急速に侵入し、さらにCaO固相壁へFeOが速やかに浸潤して、細粒生石灰は速やかに溶解する。そして、生石灰中のCaOはFeOと低融点の化合物、すなわちカルシウムフェライトを生成し易く、そのカルシウムフェライトの脱りん能力は極めて高い。本発明では、このカルシウムフェライトに近い組成のスラグを局所的に且つ速やかに生成させることにより、均一組成のスラグで脱りんする場合よりも、脱りんを促進できたと考えられる。これが、本発明における重要な機構である。
【0043】
一方、サンプルNo.3のように吹錬全期間の90〜100%が経過した時に装入する生石灰が多過ぎても、生石灰がスラグ中の限られた量のFeOを奪い合う形になってしまい、結果として生石灰がFeOと反応して溶解しきれず、P濃度低下の効果が十分に発揮されなかったものと考えられる。
【0044】
(2)溶銑中のSi濃度の影響
サンプルNo.5は、溶銑中のSi濃度が0.5%であり、他のサンプルよりも高い。この場合は、サンプルNo.4と装入塩基度が同じであるが、スラグ量が多いため、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度は、サンプルNo.4より低下した。
【0045】
(3)初期装入塩基度の差
サンプルNo.102は、初期装入塩基度を2.8として、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に細粒生石灰を添加して最終装入塩基度を3.3とした場合である。この場合は、初期装入塩基度を3.0としたサンプルNo.4よりも吹錬終了時における溶鋼中のP濃度は高くなってしまった。サンプルNo.102では、初期装入塩基度が低かったため、吹錬中期までスラグの脱りん能力が低く、吹錬全期間の90〜100%が経過して細粒生石灰を添加する段階で溶鋼中のP濃度が高く、細粒生石灰を添加しても脱りん能力を十分な値まで向上させることができなかったと考えられる。
【0046】
また、サンプルNo.103は、初期装入塩基度が5.0の場合であり、この場合には、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に細粒生石灰を添加しても、吹錬終了点における溶鋼中のP濃度は0.016%となった。初期装入塩基度が高過ぎると、吹錬中期のスラグ中のFeO濃度が低くなってしまうことから脱りん速度が低下し、溶鋼中のP濃度が高い値で推移するため、吹錬末期に添加した細粒生石灰がスラグ中のFeOと十分に反応しきれず、脱りんが進行し難かったためと考えられる。
【0047】
(4)生石灰を追加装入する際の装入時期
最終装入塩基度が同一であるサンプル同士を比較すると、吹錬開始前または開始直後における装入塩基度を3.0〜4.2とした場合に、細粒生石灰を吹錬全期間の0〜10%が経過する迄に追加装入したサンプルNo.2、6、8、10よりも、吹錬全期間の90〜100%が経過する間に追加装入したサンプルNo.4、7、9、11の方が、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度を低くすることができた。すなわち、最終装入塩基度が同一とする場合、吹錬初期に追加装入するよりも吹錬全期間の90〜100%が経過する間に細粒生石灰を追加装入する方が、CaOの脱りん利用効率が高く吹錬終了時における溶鋼中のP濃度を低下させられることが分かった。
【0048】
(5)生石灰の粒径の差
サンプルNo.104は、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に装入する細粒生石灰の粒径を1〜3mmとした場合であり、細粒生石灰の粒径を3.35〜9.5mmとしたサンプルNo.1及びNo.4に比べ、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度が高く、0.016%となった。このように粒径が1〜3mmである細粒生石灰を転炉へ装入すると、飛散ロスが多くなり過ぎたため、装入量の割に脱りんに寄与しなかったと考えられる。また、粒径が3mm未満では、装入後のスラグ中への溶解が早すぎて、比較的早期に均一スラグを形成してしまうため、上述した局所的な高脱りん率を実現できなかったことも原因と考えられる。
したがって、サンプルNo.104においても、初期装入塩基度を粒径3.35〜9.5mmの細粒生石灰を用いて調整する効果は奏されていると考えられるものの、追加装入する生石灰の粒径が所定の3.35〜9.5mmから外れている場合には、その追加生石灰中CaOの脱りん利用効率が初期装入された生石灰のそれよりも劣っているため、吹錬全体としてのCaOの脱りん利用効率を高められないことが分かった。
【0049】
一方、サンプルNo.105は、吹錬末期に添加した生石灰の粒径を10〜20mmとした場合であり、細粒生石灰の粒径を3.35〜9.5mmとしたサンプルNo.1及び4に比べ、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度が高く、0.016%となった。この場合は、生石灰の気孔中へスラグが侵入し、CaO固相壁へFeOが浸潤するのが間に合わず、未溶解部分が残留してしまったために、脱りんに十分寄与できず、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度がサンプルNo.1よりも高くなってしまったと考えられる。したがって、サンプルNo.105においても、サンプルNo.104で確認したことと同様なことが確認されたと言える。
【0050】
(6)装入塩基度の上昇幅の差
サンプルNo.4、13及び14は、それぞれ吹錬全期間の90〜100%が経過している間に装入塩基度が0.1〜0.5上昇するように細粒生石灰を装入した場合である。また、サンプルNo.12は、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に装入塩基度が0.05上昇するように細粒生石灰を装入した場合である。これらのサンプルを比較すると、サンプルNo.12は、サンプルNo.4、13及び14よりも吹錬終了時における溶鋼中のP濃度は高かった。吹錬全期間の90〜100%が経過している間における細粒生石灰の装入量が少な過ぎると、上述したようにカルシウムフェライトに近い組成のスラグを局所的に且つ速やかに生成させて、均一組成のスラグで脱りんさせることができず、脱りんを促進する効果を享受できなかったためと考えられる。但し、吹錬初期に装入した生石灰は3.35〜9.5mmの細粒であるため、サンプルNo.101よりは脱りん率が向上し、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度が0.015%以下である低りん鋼を溶製することはできた。
【0051】
また、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に装入塩基度が0.6%上昇するように細粒生石灰を装入したサンプルNo.3は、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に装入塩基度が0.5%上昇するように細粒生石灰を装入したサンプルNo.14よりも、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度は高かった。吹錬全期間の90〜100%が経過している間に装入する生石灰量が多過ぎると、生石灰がスラグ中の限られた量のFeOを奪い合う形になってしまい、結果として生石灰がFeOと反応して溶解しきれず、P濃度が十分に低下しなかったと考えられる。
【0052】
(7)生石灰の追加装入の有無の差
サンプルNo.1、15、17及び19は、それぞれ吹錬開始前または開始直後に細粒生石灰を全量装入し、吹錬終了時における溶鋼中のC濃度が0.05〜0.50%となっている例である。一方、サンプルNo.4、16、18及び20は、それぞれC濃度が対比するサンプルと同じ条件で吹錬全期間の90〜100%が経過している間に生石灰を装入した例である。これらのサンプルを比較すると、吹錬開始前または開始直後に細粒生石灰を全量装入するよりも、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に細粒生石灰を装入した方が、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度は低かった。この条件下では、スラグ中のFeO濃度が、本発明の効果を発揮できる程度に存在していたためと考えられる。
【0053】
(8)溶鋼中のC濃度の差
サンプルNo.106及び107は、吹錬終了時における溶鋼中のC濃度を0.6%とした場合である。吹錬開始前または開始直後に細粒生石灰を全量添加した場合サンプルNo.106、及び吹錬全期間の90〜100%が経過している間に装入塩基度が0.3上昇するように細粒生石灰を追加装入したサンプルNo.107は、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度はどちらも0.017%と高く、低りん鋼を溶製できなかった。吹錬終了点における溶鋼中のC濃度が高過ぎると、スラグ中のFeO濃度が低くなり、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に装入した生石灰の気孔中へスラグが侵入してCaO固相壁へFeOが浸潤するのが間に合わず、未溶解部分が残留してしまったために、脱りんに十分寄与できなかったと考えられる。
【0054】
また、サンプルNo.108〜110は、吹錬終了時における溶鋼中のC濃度が0.03%と低い場合である。サンプルNo.108は、10〜30mmの生石灰を吹錬前に全量装入した例であり、サンプルNo.109は、吹錬全期間の0〜10%が経過している間に細粒生石灰を追加で装入した例であり、サンプルNo.110は、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に細粒生石灰を追加で装入した例である。これらのサンプルはいずれも、吹錬終了時における溶鋼中のP濃度に差は生じなかった。吹錬末期における溶鋼中のC濃度が0.05%未満になると、スラグ中においてFeO濃度が急上昇するため、装入した生石灰の溶解が急速に進み、吹錬末期に添加した細粒生石灰もカルシウムフェライトとして脱りんに寄与する前に周囲のスラグへ均一分散して溶解してしまったと考えられる。そのため、溶鋼中のP濃度の低減には特別な効果が無かったと考えられる。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
まず、Si濃度が0.3%で、P濃度が0.10%である溶銑270tとスクラップ20tとを転炉へ装入した。そして、副原料して、スケール3t、CaO源である粒径3.35〜9.5mmの生石灰(CaO約95%)14.5kg/t、およびMgO源である粒径3.35〜9.5mmの軽焼ドロマイト(CaO約60%、MgO約34%)13kg/tを添加して初期装入塩基度を3.3とした。なお、これらの副原料は吹錬開始後0.5分間以内に転炉内に投入し、吹錬の条件は、上吹き酸素流量60000Nm
3/h、底吹きCO
2流量2000Nm
3/hとした。その後は、CaO含有副原料は一切投入せずに吹錬を行った。その結果、吹錬終了時の溶鋼の温度は1645℃であり、C濃度は0.1%、P濃度は0.015%だった。以上のように、目標とするP濃度を0.015%以下とする低りん鋼を溶製することができた。
【0056】
一方、比較例として、まず、Si濃度が0.3%、P濃度が0.10%の溶銑270tとスクラップ20tとを転炉へ装入した。そして、副原料として、スケール3t、CaO源である粒径10〜30mmの生石灰(CaO約95%)14.5kg/t、およびMgO源である軽焼ドロマイト(CaO約60%、MgO約34%)13kg/tを添加して初期装入塩基度を3.3とした。なお、これらの副原料は吹錬開始後0.5分間以内に転炉内に投入し、吹錬の条件は、上吹き酸素流量60000Nm
3/h、底吹きCO
2流量2000Nm
3/hとした。その後は、CaO含有副原料は一切投入せずに吹錬を行った。その結果、吹錬終了時の溶鋼の温度は1645℃であり、C濃度は0.1%、P濃度は0.019%であった。以上のように、目標とするP濃度を0.015%以下とする低りん鋼を溶製することができなかった。
【0057】
(実施例2)
まず、Si濃度が0.3%、P濃度が0.10%である溶銑270tとスクラップ20tとを転炉へ装入した。そして、副原料として、スケール3t、CaO源である粒径3.35〜9.5mmの生石灰(CaO約95%)14.5kg/t、およびMgO源である粒径3.35〜9.5mmの軽焼ドロマイト(CaO約60%、MgO約34%)13kg/tを添加した。具体的には、これらの副原料のうち、生石灰12.5kg/t、軽焼ドロマイト13kg/tを吹錬開始直前に転炉内に投入して初期装入塩基度を3.0とした。そして、上吹き酸素流量60000Nm
3/h、底吹きCO
2流量2000Nm
3/hの条件で吹錬を開始し、吹錬全期間の0〜10%が経過している間に粒径が3.35〜9.5mmの生石灰を、装入塩基度が0.3増加する分(2kg/t)だけ添加し、その後はCaO含有副原料を一切投入せずに吹錬を終了した。吹錬終了時における溶鋼の温度は1645℃であり、C濃度は0.1%、P濃度は0.015%だった。以上のように、目標とするP濃度を0.015%以下とする低りん鋼を溶製することができた。
【0058】
(実施例3)
まず、Si濃度が0.3%、P濃度が0.11%の溶銑270tとスクラップ20tとを転炉へ装入した。そして、副原料として、スケール3t、CaO源である粒径3.35〜9.5mmの生石灰(CaO約95%)12.5kg/t、およびMgO源である粒径3.35〜9.5mmの軽焼ドロマイト(CaO約60%、MgO約34%)13kg/tを添加して初期装入塩基度を3.0とした。なお、これらの副原料は吹錬開始後0.5分間以内に転炉内に投入し、吹錬の条件は、上吹き酸素流量60000Nm
3/h、底吹きCO
2流量2000Nm
3/hとした。その後は、吹錬全期間の90%が経過するまではCaO含有副原料は一切投入せずに、吹錬を行った。そして、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に粒径が3.35〜9.5mmの生石灰を、装入塩基度が初期装入塩基度から0.3増加する分(2kg/t)だけ添加した。その結果、吹錬終了時の溶鋼の温度は1650℃であり、C濃度は0.1%、P濃度は0.014%であった。このように、粒径範囲が3.35〜9.5mmの生石灰を吹錬初期に全て装入した例(実施例1)より、P濃度をさらに低減することができた。
【0059】
(実施例4)
まず、Si濃度が0%、P濃度が0.03%の脱りん溶銑270tを転炉へ装入した。そして、副原料として、CaO源である粒径3.35〜9.5mmの生石灰(CaO約95%)12.5kg/t、MgO源である粒径3.35〜9.5mmの軽焼ドロマイト(CaO約60%、MgO約34%)13kg/t、およびSiO
2源である粒径3.35〜9.5mmの珪石6.4kg/tを添加した。具体的には、これらの副原料のうち、生石灰10.5kg/t、軽焼ドロマイト13kg/t、および珪石6.4kg/tを吹錬開始直前に転炉内に投入して初期装入塩基度を3.0とした。そして、上吹き酸素流量60000Nm
3/h、底吹きCO
2流量2000Nm
3/hの条件で吹錬を開始して、吹錬全期間の0〜10%が経過している間に粒径が3.35〜9.5mmの生石灰を、装入塩基度が初期装入塩基度から0.3増加する分(2kg/t)だけ添加し、その後はSiO
2やCaO含有副原料を一切投入せずに吹錬を終了した。吹錬終了時における溶鋼の温度は1655℃であり、C濃度は0.2%、P濃度は0.009%であった。
【0060】
(実施例5)
まず、Si濃度が0%、P濃度が0.03%の脱りん溶銑270tを転炉へ装入した。そして、副原料として、CaO源である粒径3.35〜9.5mmの生石灰(CaO約95%)12.5kg/t、MgO源である粒径3.35〜9.5mmの軽焼ドロマイト(CaO約60%、MgO約34%)13kg/t、およびSiO
2源である粒径3.35〜9.5mmの珪石6.4kg/tを添加して初期装入塩基度を3.0とした。なお、これらの副原料は吹錬開始後0.5分間以内に転炉内に投入し、吹錬の条件は、上吹き酸素流量60000Nm
3/h、底吹きCO
2流量2000Nm
3/hとした。その後は、吹錬全期間の90%が経過するまではCaO含有副原料は一切投入せずに吹錬を行った。そして、吹錬全期間の90〜100%が経過している間に粒径が3.35〜9.5mmの生石灰を装入塩基度が初期装入塩基度から0.3増加する分(2kg/t)だけ添加した。その結果、吹錬終了時における溶鋼の温度は1660℃であり、C濃度は0.2%、P濃度は0.007%であった。以上のように極めて低いP濃度まで脱りんすることができた。