(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被搬送物を搭載した非自走式の搬送用台車を曲線状経路を含む搬送経路に沿って搬送するとともに、前記搬送経路の全域又は一部において、前記搬送用台車に連続した床を形成することができる搬送装置であって、
前記搬送用台車を前記搬送経路に沿ってガイドする、前記搬送経路に沿って敷設されたガイドレールと、
前記搬送用台車の被駆動面に当接するフリクションローラを備えたフリクション式駆動装置と、
前後に位置する前記搬送用台車同士を連結する連結装置とを備え、
前記搬送用台車は、
前後両端面を平面視円弧状凸部とした第1台車体と、前後両端面を平面視円弧状凹部とした第2台車体とを、前記第1台車体の前記円弧状凸部の一方及び前記第2台車体の前記円弧状凹部の一方が対向するように、前記第1台車体の前記円弧状凸部の一方及び前記第2台車体の前記円弧状凹部の一方の円弧中心まわりに水平方向に屈曲可能に連結して、上面を略水平面とするとともに、前記第1台車体により前記被搬送物を支持するもの、
又は、前後両端面の一方を平面視円弧状凸部とし、前後両端面の他方を平面視円弧状凹部とした第1台車体と、前後両端面の一方を平面視円弧状凸部とし、前後両端面の他方を平面視円弧状凹部とした第2台車体とを、前記第1台車体の前記円弧状凹部及び前記第2台車体の前記円弧状凸部が対向するように、前記第1台車体の前記円弧状凹部及び前記第2台車体の前記円弧状凸部の円弧中心まわりに水平方向に屈曲可能に連結して、上面を略水平面とするとともに、前記第1台車体若しくは前記第2台車体、又は前記第1台車体及び前記第2台車体により前記被搬送物を支持するものであり、
前記第2台車体、又は前記第1台車体及び前記第2台車体の、前記円弧状凹部を形成する、前記曲線状経路における径方向内側の部分を、直線状経路では前記第1台車体及び前記第2台車体の側面が略直線状になるとともに、前記曲線状経路では隣り合う前記台車体の側面に当接して動作する可動体により構成してなることを特徴とする搬送装置。
前記可動体の側面を含む前記第1台車体及び前記第2台車体の側面を、前記フリクションローラが当接する前記被駆動面とし、前記曲線状経路における前記可動体の側面と隣り合う前記台車体の側面とのなす角度が、前記第1台車体と前記第2台車体とのなす角度よりも大きくなる請求項1記載の搬送装置。
前記可動体が、垂直軸まわりに揺動可能な揺動片であり、前記曲線状経路で隣り合う前記台車体の側面に当接して揺動する際に、前記台車体の側面に近づく方向へ前記揺動片を付勢する付勢手段を備えてなる請求項2記載の搬送装置。
前記連結装置が、前記搬送用台車に設けた左右方向の水平支軸まわりに揺動する揺動アームの揺動により、前後に位置する前記搬送用台車同士の連結及び前記連結の解除を行うものであり、前記連結装置により前記搬送用台車同士が連結した状態では、前記搬送用台車同士の連結部における前記円弧状凸部及び前記円弧状凹部と円弧中心が同一である平面視円弧状板部材の前面及び後面に水平ローラが当接して前記搬送用台車同士の離反が防止されるものであり、
前記搬送用台車における2つの前記円弧状凸部の円弧中心に、前記ガイドレールにより左右外方からガイドされる水平ガイドローラを設けるとともに、前記第2台車体から連結される他の前記搬送用台車側へ延ばしたガイドロッドの先端部の、前記連結装置により他の前記搬送用台車と連結された状態における他の前記搬送用台車の前記連結部側の前記水平ガイドローラの左右に、前記ガイドレールにより左右内方からガイドされる左右の水平ガイドローラを取り付けてなる請求項1〜3の何れか1項に記載の搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、
図2及び
図3、並びに
図8及び
図9のように、自動車等の大きな被搬送物Wを搭載した屈曲可能な搬送用台車1が記載されている。4個の台車体(1A,1B,2A,2B)を屈曲可能に連結して1台の搬送用台車1を構成しているので、
図5及び
図11のように、曲線状経路C1における各台車体間の屈曲角度は比較的小さい。
よって、
図5及び
図11のように、連結台車体2A,2Bの曲線状経路C1内側の前後端部が、隣接する前後の台車体1A,1Bの側面直線部に接触しないギリギリの位置に留まり、前後の台車体1A,1Bと干渉しないため、4個の台車体(1A,1B,2A,2B)からなる搬送用台車1は、曲率半径が比較的小さい曲線状経路C1を屈曲走行可能になる。
【0006】
このように、特許文献1の搬送装置は、搬送用台車1を4個の台車体(1A,1B,2A,2B)により構成することにより、曲線状経路C1,C2の曲率半径を比較的小さくすることができる。
しかし、
図2及び
図8のように、被搬送物Wの横幅より搬送用台車1の横幅が小さいので、被搬送物Wの幅方向外側にいる作業者は台車上面に形成される作業床Bに立ったまま作業することができず、地上側に立って作業することになるため、搬送用台車1の連続移動中に作業するためには、作業者は台車1の移動に合わせて歩きながら作業する必要がある。
そのため、台車1の幅を大きくして作業者が被搬送物Wの幅方向の台車1上に乗って作業できるようにすることが好ましいが、台車1の幅を大きくすると台車体1A,1Bの前後の円弧状凸部の半径が大きくなるので、屈曲点である水平ローラ5B及び5C間の距離が長くなって台車体1A,1B間の屈曲角度が大きくなるため、隣接する前後の台車体同士が曲線状経路C1,C2で干渉する。
【0007】
その上、4個の台車体(1A,1B,2A,2B)を屈曲可能に連結して1台の搬送用台車1を構成しているため、可動部品が多く構造が複雑であるとともに、被搬送物Wを搭載している台車体1Aの大きさが小さいので、工程間で被搬送物Wの高さを変更する際に必要な昇降装置を台車体1Aに設置するスペースがない。
そのため、昇降装置を設置できるように台車体1Aを前後方向や幅方向に大きくするとともに、構造を簡素化するために搬送用台車1を2個の台車体(1A,2A)により構成することが好ましいが、台車体1Aを前後方向や幅方向に大きくすると、前記台車1の幅を大きくする場合と同様に、隣接する前後の台車体(1A,2A)同士が曲線状経路で干渉する(
図20(a)の概略平面図の干渉部I参照)。
【0008】
以上のように台車体1Aを前後方向や幅方向に大きくして搬送用台車1を2個の台車体(1A,2A)により構成した場合において、曲線状経路における隣接する前後の台車体同士の干渉を避けるためには、連結台車体2Aの曲線状経路内側の前後端部を取り除いた形態にする必要がある。前記形態にすると、
図20(b)の概略平面図のように直線状経路において、搬送台車1を構成する2個の台車体(1A,2A)の側面が直線状にならない。そのため、例えば台車体の上面と同一高さの床を台車体の側面外方にわずかな隙間をあけて施工した場合に、直線状経路で台車側面と前記床との間に比較的大きな隙間CLが生じる。したがって、隙間CLに作業者が足を落とさないように、前記床に固定されて
図20(b)のように隙間CLの上方に張り出す庇状のカバーCVを直線状経路に設ける必要がある。
このような庇状のカバーCVを設けた場合、作業者がカバーCVとの段差で躓くおそれがあるとともに、作業者が乗る台車上面の床面積が減少するため、作業性が低下する。さらに、カバーCVの製作及び施工により製造コストが増大する。
【0009】
その上、駆動装置がフリクションローラを備えたフリクション式駆動装置である場合、搬送用台車1の高さをより低くするために、フリクションローラが当接する被駆動面を搬送用台車1の側面にして、駆動装置の設置位置を、搬送用台車1の下方ではなく、側部の外方にすることが望ましいが、前記干渉を避けるために連結台車体2Aの曲線状経路内側の前後端部を取り除いた形態にすると、
図20(c)の概略平面図のように直線状経路においてフリクションローラFRが当接する被駆動面に段差が形成されるため、安定したフリクション駆動ができなくなるとともに、フリクションローラFRの磨耗や破損等の原因となる。
その上さらに、台車体1Aを前後方向や幅方向に大きくして搬送用台車1を2個の台車体(1A,2A)により構成し、前記干渉を避けるために連結台車体2Aの曲線状経路内側の前後端部を取り除いた形態にした場合、搬送用台車1を構成する前後の台車体間の屈曲角度が大きいと、曲線状経路に設けたフリクション式駆動装置のフリクションローラによる台車押出しが屈曲点で不可能になる現象が発生する等、安定したフリクション駆動ができなくなる場合がある。なお、特許文献1の
図1のように分離した搬送用台車1を曲線状経路C2に沿って搬送する場合、1台の搬送用台車1の被駆動面全長より短い間隔でフリクション式駆動装置のフリクションローラを曲線状経路C2内に配置する必要がある。また、特許文献1の
図1のように搬送用台車1,1,…同士が連結している状態(搬送用台車群A)で搬送する際においても、曲線状経路C1にフリクション式駆動装置を設ける場合がある。
【0010】
特許文献2には、
図4のように前後左右の支持ローラ13,13,…の位置に対して外形を比較的大きくし、自動車等の大きな被搬送物等を搭載可能なように、より大きく形成した支持エレメント2が記載されている(段落[0032]参照)。
このように、搬送方向の前後両端面を平面視円弧状凸部とした支持エレメント2を、前後方向及び幅方向に大きく形成することにより、作業者が乗って作業を行う作業スペースを確保できるとともに、昇降装置(請求項14、並びに段落[0025]及び[0030]参照)を組み込むスペースを確保できる。
【0011】
しかしながら、
図3の曲線状経路において、支持エレメント2及び中間エレメント8の径方向内面及び径方向外面に大きな凹凸が生じるので、作業者が足を落とさないように、前記凹凸を塞ぐために、地上側から支持エレメント2の上方まで大きく張り出した庇状のカバー(
図1の被覆部12参照)を曲線状経路に設ける必要がある。
このような大きく張り出した庇状のカバーを設けた場合、作業者が乗る台車上面の床面積が減少するため、作業性が低下する。さらに、カバーの製作及び施工により製造コストが増大する。
その上、
図3の曲線状経路において、支持エレメント2及び中間エレメント8の曲線状経路の曲率半径方向内面及び外面に凹凸が生じるので、台車側面をフリクションローラが当接する被駆動面とすることができない。よって、曲線状経路には台車側面に当接するフリクションローラを備えたフリクション式駆動装置を設けることができない。
【0012】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、自動車等の大きな被搬送物を搭載可能で、昇降装置を設置できるスペースがあり、作業者が前記被搬送物の幅方向の台車上に乗って作業できる、2個の台車体により構成された搬送用台車において、直線状経路や曲線状経路に隙間や凹凸を塞ぐ庇状のカバーを設ける必要がないか、あるいは庇状のカバーの大きさを最小にできるので、作業者が乗る台車上面の床面積の減少が最小となるため、作業性を向上できるとともに製造コストを低減でき、直線状経路や曲線状経路に配置したフリクション式駆動装置により搬送可能な搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る搬送装置は、前記課題解決のために、被搬送物を搭載した非自走式の搬送用台車を曲線状経路を含む搬送経路に沿って搬送するとともに、前記搬送経路の全域又は一部において、前記搬送用台車に連続した床を形成することができる搬送装置であって、前記搬送用台車を前記搬送経路に沿ってガイドする、前記搬送経路に沿って敷設されたガイドレールと、前記搬送用台車の被駆動面に当接するフリクションローラを備えたフリクション式駆動装置と、前後に位置する前記搬送用台車同士を連結する連結装置とを備え、前記搬送用台車は、前後両端面を平面視円弧状凸部とした第1台車体と、前後両端面を平面視円弧状凹部とした第2台車体とを、前記第1台車体の前記円弧状凸部の一方及び前記第2台車体の前記円弧状凹部の一方が対向するように、前記第1台車体の前記円弧状凸部の一方及び前記第2台車体の前記円弧状凹部の一方の円弧中心まわりに水平方向に屈曲可能に連結して、上面を略水平面とするとともに、前記第1台車体により前記被搬送物を支持するもの、又は、前後両端面の一方を平面視円弧状凸部とし、前後両端面の他方を平面視円弧状凹部とした第1台車体と、前後両端面の一方を平面視円弧状凸部とし、前後両端面の他方を平面視円弧状凹部とした第2台車体とを、前記第1台車体の前記円弧状凹部及び前記第2台車体の前記円弧状凸部が対向するように、前記第1台車体の前記円弧状凹部及び前記第2台車体の前記円弧状凸部の円弧中心まわりに水平方向に屈曲可能に連結して、上面を略水平面とするとともに、前記第1台車体若しくは前記第2台車体、又は前記第1台車体及び前記第2台車体により前記被搬送物を支持するものであり、前記第2台車体、又は前記第1台車体及び前記第2台車体の、前記円弧状凹部を形成する、前記曲線状経路における径方向内側の部分を、直線状経路では前記第1台車体及び前記第2台車体の側面が略直線状になるとともに、前記曲線状経路では隣り合う前記台車体の側面に当接して動作する可動体により構成してなることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、搬送用台車が水平方向に屈曲可能に連結された2個の台車体(第1台車体及び第2台車体)により構成されるので、搬送用台車を前後方向及び幅方向に大きく形成することができるため、自動車等の大きな被搬送物を搭載する場合であっても、被搬送物の長手方向及び幅方向の台車上に作業者が乗って作業を行う作業スペースを確保できるとともに、昇降装置を組み込むスペースを確保できる。
その上、上面が略水平面である搬送用台車の複数を連結装置により連結して搬送用台車群にすることができるので、搬送用台車群の上面を作業者が乗って部品組付け作業を行う連続した作業床とすることができるとともに、搬送用台車群を曲線状経路を含む搬送経路に配置することができるため、作業効率及びスペース効率を向上することができる。
その上さらに、台車体の円弧状凹部を形成する、曲線状経路における径方向内側の部分を可動体としているので、直線状経路では可動体の側面を含む第1台車体及び第2台車体の側面が略直線状になり、曲線状経路では隣り合う台車体の側面に当接して可動体が動作することから、曲線状経路で干渉を避けるために内側の前後端部を取り除いた形態(切欠き部を設けた形態)にする必要がないため、直線状経路や曲線状経路に隙間や凹凸を塞ぐ庇状のカバーを設ける必要がないか、あるいは庇状のカバーの大きさを最小にできる。よって、作業者が乗る台車上面の床面積の減少が最小となるため、作業性を向上できるとともに、製造コストを低減できる。
【0015】
ここで、前記可動体の側面を含む前記第1台車体及び前記第2台車体の側面を、前記フリクションローラが当接する前記被駆動面とし、前記曲線状経路における前記可動体の側面と隣り合う前記台車体の側面とのなす角度が、前記第1台車体と前記第2台車体とのなす角度よりも大きくなると好ましい。
【0016】
このような構成によれば、直線状経路では可動体の側面を含む第1台車体及び第2台車体の側面が略直線状になり、曲線状経路では隣り合う台車体の側面に当接して可動体が動作するので、曲線状経路で干渉を避けるために内側の前後端部を取り除いた形態(切欠き部を設けた形態)にする必要がないため、直線状経路における第1台車体及び第2台車体の側面に大きな隙間が生じることがない。
よって、直線状経路において、可動体の側面を含む第1台車体及び第2台車体の側面に段差が形成されないので、直線状経路にフリクション式駆動装置を設けることができ、前記側面を被駆動面としてフリクション式駆動装置のフリクションローラを当接させても安定したフリクション駆動ができるとともに、フリクションローラの磨耗や破損等の原因とならない。
その上、曲線状経路において、隣り合う台車体の側面に当接して可動体が動作し、搬送用台車の曲線状経路の曲率半径方向内面に凹凸が生じないので、曲線状経路にフリクション式駆動装置を設けることができ、前記側面を被駆動面としてフリクション式駆動装置のフリクションローラを当接させても安定したフリクション駆動ができるとともに、フリクションローラの磨耗や破損等の原因とならない。
【0017】
その上さらに、曲線状経路の曲率半径を小さくして第1台車体及び第2台車体の屈曲角度が大きくなった場合でも、曲線状経路における可動体の側面と隣り合う台車体の側面とのなす角度が、第1台車体と第2台車体とのなす角度よりも大きくなるので、フリクションローラが当接する被駆動面の角度変化が比較的滑らかになることから、フリクションローラによる台車押出しが屈曲点で不可能になる現象が発生しないため、曲線状経路に設けたフリクション式駆動装置による駆動がより安定かつ確実になる。
その上、フリクションローラが当接する被駆動面を搬送用台車の側面にして直線状経路及び曲線状経路でフリクション式駆動装置により駆動できるので、搬送用台車の高さをより低くすることができるとともに、駆動装置の共通化及び台車構造の簡易化を図ることができる。
【0018】
また、前記可動体が、垂直軸まわりに揺動可能な揺動片であり、前記曲線状経路で隣り合う前記台車体の側面に当接して揺動する際に、前記台車体の側面に近づく方向へ前記揺動片を付勢する付勢手段を備えてなると好ましい。
【0019】
このような構成によれば、垂直軸まわりに揺動可能な揺動片により可動体が形成されるので、可動体の構成が簡素になるため製造コストを低減できるとともに、このような簡素な機構である可動体を所定方向へ付勢する付勢手段を備えているので、台車搬送時の衝撃や揺れにより可動体が側方へ開くことがないため、可動体の動作が安定かつ確実なものになる。
【0020】
さらに、前記連結装置が、前記搬送用台車に設けた左右方向の水平支軸まわりに揺動する揺動アームの揺動により、前後に位置する前記搬送用台車同士の連結及び前記連結の解除を行うものであり、前記連結装置により前記搬送用台車同士が連結した状態では、前記搬送用台車同士の連結部における前記円弧状凸部及び前記円弧状凹部と円弧中心が同一である平面視円弧状板部材の前面及び後面に水平ローラが当接して前記搬送用台車同士の離反が防止されるものであり、前記搬送用台車における2つの前記円弧状凸部の円弧中心に、前記ガイドレールにより左右外方からガイドされる水平ガイドローラを設けるとともに、前記第2台車体から連結される他の前記搬送用台車側へ延ばしたガイドロッドの先端部の、前記連結装置により他の前記搬送用台車と連結された状態における他の前記搬送用台車の前記連結部側の前記水平ガイドローラの左右に、前記ガイドレールにより左右内方からガイドされる左右の水平ガイドローラを取り付けてなると好ましい。
【0021】
このような構成によれば、連結装置が、搬送用台車に設けた左右方向の水平支軸まわりに揺動する揺動アームの揺動により、前後に位置する搬送用台車同士の連結及び前記連結の解除を行うものであるので、構成が簡素であるため、製造コストを低減できるとともに動作の信頼性が高く、連結及びその解除の操作が容易になる。
その上、連結装置により前後の搬送用台車同士が連結した状態では、前記円弧状板部材の前面及び後面に水平ローラが当接して前後の搬送用台車同士の離反が防止されるので、連結装置により連結された前後の搬送用台車の曲線状経路における屈曲が円滑になる。
その上さらに、搬送用台車における2つの円弧状凸部の円弧中心に設けた水平ガイドローラが左右外方からガイドレールによりガイドされ、ガイドロッド先端部に設けた水平ガイドローラが左右内方からガイドレールによりガイドされるので、同一のガイドレールにより第1台車体及び第2台車体をガイドできる
その上、第2台車体から延ばしたガイドロッドの先端部に設けた水平ガイドローラがガイドレールによりガイドされるので、搬送用台車が単独で搬送される場合であっても第2台車体を確実にガイドできるとともに、連結装置により前後の搬送用台車を連結した状態で、ガイドレールにより左右外方からガイドされる水平ガイドローラの左右に、ガイドロッドの先端部に設けた水平ガイドローラが位置してガイドレールにより左右内方からガイドされるので、前後の搬送用台車を連結した状態で搬送する場合と搬送用台車を単独で搬送する場合の軌跡が同じになるため、搬送用台車と地上側の設備との隙間を最小にすることが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る搬送装置によれば、
(1)搬送用台車が水平方向に屈曲可能に連結された2個の台車体により構成されるので、搬送用台車を前後方向及び幅方向に大きく形成することができるため、大きな被搬送物を搭載する場合であっても、被搬送物の長手方向及び幅方向の台車上に作業者が乗って作業を行う作業スペースを確保できるとともに、昇降装置を組み込むスペースを確保できること、
(2)台車体の円弧状凹部を形成する、曲線状経路における径方向内側の部分を可動体としているので、直線状経路や曲線状経路に隙間や凹凸を塞ぐ庇状のカバーを設ける必要がないか、あるいは庇状のカバーの大きさを最小にできるので、作業者が乗る台車上面の床面積の減少が最小となるため、作業性を向上できるとともに、製造コストを低減できること、
等の顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態に係る搬送装置の概略レイアウト図である。
【
図4】同じく平面図であり、上面板を外した状態を示している。
【
図5】搬送用台車群の概略平面図であり、上面板を外した状態を示している。
【
図6】第1台車体の水平ローラがガイドレールによりガイドされている状態を示す後方から見た縦断面図である。
【
図7】第2台車体から後方へ延びる連結ロッド先端の水平ローラがガイドレールによりガイドされている状態を示す後方から見た縦断面図である。
【
図8】曲線状経路に設けた庇状のカバーを示す概略平面図である。
【
図10】第2台車体の斜視図であり、上面板を外した状態を示している。
【
図14】曲線状経路に配置したフリクション式駆動装置により搬送用台車を搬送している状態を示す平面図である。
【
図16】第1台車体及び第2台車体の屈曲角度θ、第1台車体と第2台車体とのなす角度α、及び可動体の側面と隣り合う台車体の側面とのなす角度βを示す平面図である。
【
図17】搬送用台車群の最後端の搬送用台車(先行台車)に後方から接近した搬送用台車(後行台車)を連結する連結装置の動作説明用縦断正面図であり、(a)は後行台車が先行台車に接近している状態、(b)は後行台車が先行台車にさらに接近し、操作部により被操作片が操作されて下方へ揺動した状態、(c)は後行台車が先行台車にさらに接近して連結装置により連結が完了した状態を示している。
【
図18】連結装置により連結が完了した状態を示し平面図であり、上面板を外した状態を示している。
【
図19】第1台車体及び第2台車体の前端面を平面視円弧状凸部とし、第1台車体及び第2台車体の後端面を平面視円弧状凹部とした搬送用台車の変形例を示す平面図であり、(a)は第1台車体及び第2台車体の大きさが同じ場合を、(b)は第1台車体が第2台車体よりも大きい場合を示している。
【
図20】2個の台車体1A,2Aにより搬送用台車1を構成するとともに、台車体1Aを前後方向や幅方向に大きく形成した従来例を示した概略平面図であり、(a)は搬送用台車1が曲線状経路を走行している例を、(b)は直線状経路に設けた隙間CLを塞ぐための庇状のカバーCVの例を、(c)は直線状経路においてフリクションローラFRが当接する搬送用台車1の被駆動面に形成される段差の例を示している。
【0024】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
なお、本明細書においては、被搬送物の搬送方向を前、その反対側を後とし、前方へ向かって左右をいうものとし、左方から見た図を正面図とする。
【0025】
図1の概略レイアウト図は、自動車工場における組立ラインに本発明の実施の形態に係る搬送装置を用いたレイアウトの一例を示している。非自走式の搬送用台車1の駆動は、フリクション式駆動装置である、低速駆動部L及び制動部B、高速駆動部H、並びに高速/低速駆動部H/Lを用いて行われ、これらにより所要の搬送を行う。
図1において、第1作業ラインであるトリムラインL1は、昇降装置Eを下降させて車体である被搬送物Wの高さを低くした状態で、内装品等を組み付ける作業を行う作業ライン、第2作業ラインであるシャーシラインL2は、昇降装置Eにより被搬送物Wの高さを高くした状態で、サスペンションやエンジン等を組み付ける作業を行う作業ライン、第3作業ラインであるファイナルラインL3は、昇降装置Eを下降させて被搬送物Wの高さを低くした状態で、外装品等の組付けや冷却水注入等の作業を行う作業ラインである。
これらの作業ラインL1,L2,L3においては、後述する連結装置Cにより搬送用台車1,1,…を連結した搬送用台車群Gとし、連続した床である作業床Fに作業者が乗って前記作業を行う。
【0026】
また、車体である被搬送物Wの搬入は、トリムラインL1の上流側の積込ステーションST1で、被搬送物Wの搬出は、ファイナルラインL3の下流側の卸しステーションST2で、単独の搬送用台車1に対して行う。
さらに、トリムラインL1からシャーシラインL2へは、搬送用台車群Gから分離された単独の搬送用台車1が作業ライン間搬送ラインT1により搬送され、シャーシラインL2からファイナルラインL3へは、搬送用台車群Gから分離された単独の搬送用台車1が作業ライン間搬送ラインT2により搬送される。
さらにまた、卸しステーションST2で被搬送物Wが搬出され空荷となった搬送用台車1は、空台車返送ラインT3により積込ステーションST1まで搬送される。
【0027】
以上のとおり、本発明の実施の形態に係る搬送装置は、被搬送物Wを搭載した非自走式の搬送用台車1,1,…を曲線状経路C1,C2,C3等を含む搬送経路に沿って搬送するとともに、前記搬送経路の一部において、搬送用台車1,1,…に連続した床である作業床Fを形成することができる。
なお、搬送経路が閉じた経路である場合において、その全域において、搬送用台車1,1,…に作業床Fを形成するようにしてもよい。このような場合は、搬送経路の全域(全長)において作業者が乗って作業できるというメリットがある。ただし、この場合は、個別の搬送用台車1を停止させて被搬送物Wの積み卸しを行うことができないため、定速で移動中の搬送用台車1に対して同期しながら被搬送物Wの積み降ろしを行うか、全搬送用台車1,1,…を一斉に停止して被搬送物Wの積み卸しを行う。
【0028】
図2の正面図、
図3及び
図4の平面図、並びに、
図5の搬送用台車群の概略平面図に示すように、本発明の実施の形態に係る搬送用台車1は、第1台車体1A及び第2台車体1Bからなり、上面を略水平面(
図2及び
図3の上面板4A,4B参照)とするとともに、第1台車体1Aにより被搬送物Wを支持するものであり、第1台車体1Aに、被搬送物Wを昇降させる昇降装置E(
図2参照)を備えている。
また、
図3に示すように、第1台車体1Aは、その前後両端面を平面視円弧状凸部A1,A2とした小判形状のもの、第2台車体2Bは、その前後両端面を平面視円弧状凹部B1,B2とした鼓形状のものである。
【0029】
ここで、第2台車体1Bの円弧状凹部B1,B2を形成する、曲線状経路における径方向内側の部分は、
図5に示すように、直線状経路では第1台車体1A及び第2台車体1Bの側面が略直線状になるとともに、曲線状経路では第1台車体1Aの側面に当接して動作する、可動体である揺動片2,2,…により構成される。
また、
図2の正面図及び
図3の平面図、並びに
図6の後方から見た縦断面図に示すように、第1台車体1Aのフレーム体3Aの前後左右には走行車輪6A,6A,…が、第2台車体1Bのフレーム体3Bの前後左右には走行車輪6B,6B,…が取り付けられており、これらの走行車輪A,6A,…、及び6B,6B,…は、搬送経路に沿って敷設された左右の走行レールR,R上を転動する。
【0030】
図4に示すように、第2台車体1Bのフレーム体3Bから前方(第1台車体1A側)へ延ばした連結ロッド3Cの先端が、
図3に示す円弧状凸部A2及び円弧状凹部B1の円弧中心G2で第1台車体1Aのフレーム体3Aと垂直軸まわりに回動可能に連結されるので、
図3に示すように、第1台車体1Aの円弧状凸部A2及び第2台車体1Bの円弧状凹部B1が対向した状態で、第1台車体1A及び第2台車体1Bは、円弧中心G2まわりに水平方向に屈曲可能に連結される。
また、
図4及び
図5の平面図、並びに
図6及び
図7の後方から見た縦断面図に示すように、搬送用台車1における2つの円弧状凸部A1,A2の円弧中心G1,G2に、搬送経路に沿って敷設されたガイドレールGRにより左右外方からガイドされる水平ガイドローラ5A,5Bが設けられる。
【0031】
さらに、
図3〜
図5の平面図、並びに
図6及び
図7の後方から見た縦断面図に示すように、第2台車体1Bのフレーム体3Bから後方(連結される他の搬送用台車1側)へ延ばしたガイドロッド3Dの先端部には、垂直軸Jまわりに揺動可能な部材の左右に水平ガイドローラ5C,5C,…が取り付けられており、水平ガイドローラ5C,5C,…は、左右内方からガイドレールGRによりガイドされる。
よって、搬送用台車1における2つの円弧状凸部A1,A2の円弧中心G1,G2に設けた水平ガイドローラ5A,5Bが左右外方からガイドレールGRによりガイドされ、ガイドロッド3Dの先端部に設けた水平ガイドローラ5C,5C,…が左右内方からガイドレールGRによりガイドされるので、同一のガイドレールGRにより第1台車体1A及び第2台車体1Bをガイドできる。
【0032】
また、ガイドロッド3D先端部の垂直軸Jの位置は、連結装置Cにより搬送用台車1を他の搬送用台車1と連結された状態における他の搬送用台車1の水平ガイドローラ5Aと同軸であるので、
図5に示すように、水平ガイドローラ5C,5C,…は、水平ガイドローラ5Aの左右に位置する。
よって、第2台車体1Bから延ばしたガイドロッド3Dの先端部に設けた水平ガイドローラ5C,5C,…がガイドレールGRによりガイドされるので、搬送用台車1が単独で搬送される場合であっても第2台車体1Bを確実にガイドできる。
その上、連結装置Cにより前後の搬送用台車1,1を連結した状態で、ガイドレールGRにより左右外方からガイドされる水平ガイドローラ5Aの左右に、ガイドロッド3Dの先端部に設けた水平ガイドローラ5C,5C,…が位置してガイドレールGRにより左右内方からガイドされるので、前後の搬送用台車1,1を連結した状態で搬送する場合と搬送用台車1を単独で搬送する場合の軌跡が同じになるため、搬送用台車1と地上側の設備との隙間を最小にすることが可能になる。
なお、
図6に示すように、搬送用台車1,1,…(搬送用台車群G)の左右の地上側には、作業床Fと同一高さの床FS,FSが、搬送用台車1,1,…の移動軌跡から左右方向に隙間をあけるように配設される。
また、
図8の概略平面図及び
図9の縦断面図に示すように、曲線状経路における搬送用台車1,1,…(搬送用台車群G)と地上側の床FS,FSとの間には、直線状経路における隙間よりも大きい、径方向外方の隙間M及び径方向内方の隙間Nが生じるとともに、曲線状経路における可動体2,2,…の動作に伴って可動体2,2,…の左右方向内方には隙間Oが生じる。
したがって、曲線状経路には、床FS,FSから隙間M,N,Oを塞ぐように台車1,1,…上に延びる庇状のカバーCV1,CV2が設けられる。
【0033】
次に、可動体である揺動片2の構成例について説明する。
図10の斜視図、
図11の平面図、
図12の要部拡大平面図、及び
図13の分解斜視図に示すように、揺動片2は、平面視略三角形状(楔状)であり、第2台車体1Bのフレーム体3Bにより、垂直軸Kまわりに揺動可能に支持されるとともに、付勢手段であるガススプリング16により、曲線状経路(例えば
図5の曲線状経路C1)で隣り合う第1台車体1Aの側面に当接して揺動する際に、第1台車体1Aの側面に近づく方向へ付勢される。
【0034】
すなわち、揺動片2の基端部を上支持板7及び下支持板8間に入れた状態で、支軸15を、下支持板8の通孔8A、揺動片2の基端部の通孔2A、及び上支持板7の通孔7Aに挿通して軸端を固定することにより、揺動片2は、フレーム体3Bにより支軸15(垂直軸K)まわりに揺動可能に支持される。
また、
図13に示すように、ボルト11A,11Aを、下方から揺動片2の通孔2C,2C、及び支持部材9の長孔9A,9Aに挿通してナット12A,12Aを螺合することにより、支持部材9が、
図12に示すように揺動片2の基端部の支軸Kよりも左右方向外側に固定される。
さらに、支持部材9の通孔9Bにボルト11Bを挿通してナット12Bで固定し、ボルト11Bのねじ軸にナット12Cを螺合し、揺動片2に溶着等で固定されたストッパ10の通孔10Aに前記ねじ軸を通した後、前記ねじ軸にナット12Dを螺合することにより、支持部材9はストッパ10と連結固定される。
そして、支持部材9に設けられた係合凸部9Cが、ガススプリング16のロッド先端部の先端係合孔16Aに係合するため、揺動片2は、
図11の二点鎖線の位置から実線の位置に近づく方向へ付勢される。
なお、ガススプリング16を用いることにより、コイルスプリングを用いる構成よりも、揺動片2の動作時の変位量に対する付勢力の変化を小さく抑えることができる。
【0035】
ここで、揺動片2に固定されたストッパ10は、
図10、及び
図11の実線の位置では、
図13の上支持板7下方の当止部7Bに当止される。
また、揺動片2の先端部(遊端部)には、その上下の水平板間に水平ローラ13を入れた状態で、支軸14を前記水平板の通孔2B,2B及び水平ローラの通孔13Aに挿通して軸端を固定することにより、水平ローラ13が取り付けられる。
【0036】
例えば
図5に示す曲線状経路C1及び直線経路を含む経路(例えば
図1の第1作業ラインL1)を搬送用台車群Gは搬送されている場合において、直線状経路を移動している搬送用台車1は、
図3に示すように、揺動片2の側面P3を含む第1台車体1Aの側面P1及び第2台車体1Bの側面P2が略直線状になっている。この状態では、水平ローラ13は他の部品に当接しておらず、揺動片2は、ガススプリング16により付勢されながら、ストッパ10が当止部7Bに当止された状態でその位置を保っているので、前記直線状の側面P1,P2,P3をフリクション式駆動装置により駆動される連続した被駆動面Dとすることができる。
また、
図5における曲線状経路C1を移動している搬送用台車1は、揺動片2の水平ローラ13が、隣り合う台車体、すなわち第1台車体1Aの側面P1(
図14も参照)に当接して側面P1に沿って転動するので、
図11の二点鎖線又は
図12のように、揺動片2はガススプリング16の付勢力に抗して垂直軸Kまわりに揺動し、水平ローラ13が第1台車体1Aの側面P1に押し当てられた状態が保持される。
【0037】
次に、曲線状経路に配置したフリクション式駆動装置による搬送用台車1の駆動について説明する。
図14の平面図、及び
図15の要部拡大平面図に示すように、曲線状経路の内径側にフリクション式駆動装置FDを配置した場合において、揺動片2の側面P3を含む第1台車体1Aの側面P1及び第2台車体1Bの側面P2である被駆動面DにフリクションローラFRが当接する。
図16の平面図に示すように、第1台車体1A及び第2台車体1Bの屈曲角度をθとすると、第1台車体1Aと第2台車体1Bとのなす角度αはπ−θとなる。そして、可動体である揺動片2の側面P3と隣り合う台車体である第1台車体1Aの側面P1とのなす角度βは、揺動片2が第1台車体1Aの側面P1に当接して動作(揺動)していることから、角度αよりも大きくなる(β>α)。
よって、曲線状経路の曲率半径を小さくして第1台車体1A及び第2台車体1Bの屈曲角度θが大きくなった場合でも、曲線状経路における揺動片2の側面P3と第1台車体1Aの側面P1とのなす角度βが、第1台車体1Aと第2台車体1Bとのなす角度α(α=π−θ)よりも大きくなるので、フリクションローラFRが当接する被駆動面Dの角度変化が比較的滑らかになることから、フリクションローラFRによる台車押出しが屈曲点で不可能になる現象が発生しないため、曲線状経路に設けたフリクション式駆動装置FDによる駆動がより安定かつ確実になる。
【0038】
次に、連結装置Cの構成例について説明する。
図10の斜視図及び
図11の平面図、並びに
図17の動作説明用縦断正面図及び
図18の平面図に示すように、連結装置Cは、搬送用台車1の第2台車体1Bに設けた左右方向の水平支軸17まわりに揺動する揺動アーム18の揺動により、前後に位置する搬送用台車1,1同士の連結及び前記連結の解除を行うものである。
図10及び
図11に示すように、揺動アーム18の連結側である後端部には、被操作片19及び水平ローラ20Aが設けられ、揺動アーム18の前端部には、連結装置Cの連結を解除する際に操作される被操作ローラ20C,20Cが取り付けられる。
ここで、揺動アーム18は、水平軸17よりも前側に重心があるように形成される。よって、揺動アーム18は、被操作片19や被操作ローラ20Cが操作されていない状態では、
図17(a)及び(c)のように、水平軸17よりも後側の部分がフレーム体3B下面のストッパSに当止され、略水平になった状態で静止する。
また、第2台車体1Bのフレーム体3Bには、左右の水平ローラ20B,20Bが取り付けられる。
さらに、
図17及び
図18に示すように、第1台車体1Aの連結側である前端部には、搬送用台車1,1同士の連結部における円弧状凸部A1及び円弧状凹部B2(
図3参照)と円弧中心G1が同一である平面視円弧状板部材22が設けられる。
よって、
図17(c)及び
図18に示す連結装置Cにより搬送用台車1,1同士が連結した状態では、平面視円弧状板部材22の前面22A及び後面22Bに水平ローラ20B,20B及び20Aが当接するため、搬送用台車1,1同士の離反が防止される。
【0039】
次に、
図17により連結装置Cの動作について説明する。
図17(a)に示す後行台車が先行台車に接近している状態では、前記のとおり揺動アーム18は略水平状態で静止している。
この状態で
図17(b)に示すように後行台車が先行台車にさらに接近して、揺動アーム18後端部の被操作片19の斜面19Aに操作部21が当接すると、揺動アーム18が操作部21に押されて前上がりに揺動する。
そして、
図17(c)に示すように後行台車が先行台車にさらに接近すると、被操作片19及び水平ローラ20Aが円弧状板部材22(
図17(a)及び
図18参照)の後側に位置し、被操作片19から操作部21が外れるので、揺動アーム18は前記略水平状態に復帰するため、前後の搬送用台車1,1同士が連結される。
【0040】
ここで、連結装置Cによる前後の搬送用台車1,1同士の連結の解除は、搬送経路の所定位置に配置したカムレールで被操作ローラ20C,20Cを押し上げることにより行うことができる。
すなわち、カムレールで被操作ローラ20C,20Cを押し上げられた揺動アーム18は前上がり傾斜するので、被操作片19及び水平ローラ20Aが下降するため、このように前後の搬送用台車1,1の連結が解除された状態で、前の搬送用台車1を早送りすることにより、前後の搬送用台車1,1が分離する。
【0041】
このような連結装置Cの構成によれば、搬送用台車1に設けた左右方向の水平支軸17まわりに揺動する揺動アーム18の揺動により、前後に位置する搬送用台車1,1同士の連結及び前記連結の解除を行うものであるので、構成が簡素であるため、製造コストを低減できるとともに動作の信頼性が高く、連結及びその解除の操作が容易になる。
また、連結装置Cにより前後の搬送用台車同士1,1が連結した状態では、円弧状板部材22の前面22A及び後面22Bに水平ローラ20B,20B及び20Aが当接して前後の搬送用台車同士1,1の離反が防止されるので、連結装置Cにより連結された前後の搬送用台車1,1の曲線状経路における屈曲が円滑になる。
【0042】
以上のような構成の搬送装置によれば、搬送用台車1が水平方向に屈曲可能に連結された2個の台車体(第1台車体1A及び第2台車体1B)により構成されるので、搬送用台車1を前後方向及び幅方向に大きく形成することができるため、自動車等の大きな被搬送物Wを搭載する場合であっても、被搬送物Wの長手方向及び幅方向の台車1上に作業者が乗って作業を行う作業スペースを確保できるとともに、昇降装置Eを組み込むスペースを確保できる。
また、上面が略水平面である搬送用台車1,1の複数を連結装置Cにより連結して搬送用台車群Gにすることができるので、搬送用台車群Gの上面を作業者が乗って部品組付け作業を行う連続した作業床Fとすることができるとともに、搬送用台車群Gを曲線状経路を含む搬送経路に配置することができるため、作業効率及びスペース効率を向上することができる。
さらに、第2台車体1Bの円弧状凹部B1,B2を形成する、曲線状経路における径方向内側の部分を可動体である揺動片2としているので、直線状経路では揺動片2の側面P3を含む第1台車体1Aの側面P1及び第2台車体1Bの側面P2が略直線状になり、曲線状経路では第1台車体1Aの側面P1に当接して揺動片2が動作することから、曲線状経路で干渉を避けるために内側の前後端部を取り除いた形態(切欠き部を設けた形態)にする必要がないため、直線状経路や曲線状経路に隙間や凹凸を塞ぐ庇状のカバーを設ける必要がないか、あるいは庇状のカバーCV1,CV2の大きさを最小にできる。よって、作業者が乗る台車1,1,…上面の床面積の減少が最小となるため、作業性を向上できるとともに、製造コストを低減できる。
【0043】
さらにまた、直線状経路では揺動片2の側面P3を含む第1台車体1Aの側面P1及び第2台車体1Bの側面P2が略直線状になり、曲線状経路では第1台車体1Aの側面P1に当接して揺動片2が動作するので、曲線状経路で干渉を避けるために内側の前後端部を取り除いた形態(切欠き部を設けた形態)にする必要がないため、直線状経路における第1台車体1A及び第2台車体1Bの側面に大きな隙間が生じることがない。
よって、直線状経路において、揺動片2の側面P3を含む第1台車体1Aの側面P1及び第2台車体1Bの側面P2に段差が形成されないので、直線状経路にフリクション式駆動装置FDを設けることができ、前記側面P1,P2,P3を被駆動面Dとしてフリクション式駆動装置FDのフリクションローラFRを当接させても安定したフリクション駆動ができるとともに、フリクションローラFRの磨耗や破損等の原因とならない。
また、曲線状経路において、第1台車体1Aの側面P1に当接して揺動片2が動作し、搬送用台車1の曲線状経路の曲率半径方向内面に凹凸が生じないので、曲線状経路にフリクション式駆動装置FDを設けることができ、前記側面P1,P2,P3を被駆動面Dとしてフリクション式駆動装置FDのフリクションローラFRを当接させても安定したフリクション駆動ができるとともに、フリクションローラFRの磨耗や破損等の原因とならない。
【0044】
さらに、フリクションローラFRが当接する被駆動面Dを搬送用台車1の側面にして直線状経路及び曲線状経路でフリクション式駆動装置FDにより駆動できるので、搬送用台車1の高さをより低くすることができるとともに、駆動装置の共通化及び台車構造の簡易化を図ることができる。
さらにまた、可動体が垂直軸Kまわりに揺動可能な揺動片2であり、曲線状経路で第1台車体1Aの側面P1に当接して揺動する際に、第1台車体1Aの側面P1に近づく方向へ揺動片2を付勢するガススプリング16を備えているので、可動体の構成が簡素になるため製造コストを低減できるとともに、このような簡素な機構である揺動片2を所定方向へ付勢するガススプリング16を備えているので、台車搬送時の衝撃や揺れにより揺動片2が側方へ開くことがないため、揺動片2の動作が安定かつ確実なものになる。
【0045】
以上の説明においては、可動体が垂直軸Kまわりに揺動可能な揺動片2である場合を示したが、可動体は、第2台車体1Bの平面視円弧状凹部B1,B2を形成する、曲線状経路における径方向内側の部分を、直線状経路では第1台車体1A及び第2台車体1Bの側面が略直線状になるとともに、曲線状経路では第1台車体1Aの側面P1に当接して動作するように形成したものであればよい。
すなわち、可動体は、平面視円弧状凹部を形成する、曲線状経路における径方向内側の部分を板ばねやゴム等の弾性体として曲線状経路では隣り合う台車体の側面に当接して弾性変形するものや、前記部分をスライド可能に構成して曲線状経路では隣り合う台車体の側面に当接してスライドするもの等であってもよい。
【0046】
また、以上の説明においては、
図3に示すように、搬送用台車1が、前後両端面を平面視円弧状凸部A1,A2とした第1台車体1A、及び前後両端面を平面視円弧状凹部B1,B2とした第2台車体1Bにより構成される場合を示したが、搬送用台車1を、
図19の平面図に示すように、前端面を平面視円弧状凸部A3とし、後端面を平面視円弧状凹部B3とした第1台車体1A、及び、前端面を平面視円弧状凸部A4とし、後端面を平面視円弧状凹部B4とした第2台車体1Bにより構成してもよい。
ここで、
図19における
図3と同一の符号は同一又は相当部分を示しており、
図19(a)は第1台車体1A及び第2台車体1Bの大きさが同じ場合を、
図19(b)は第1台車体1Aが第2台車体1Bよりも大きい場合を示している。
また、
図19に示すような搬送用台車1においては、第1台車体1A及び第2台車体1Bの一方又は両方により被搬送物を支持する。
【0047】
さらに、以上の説明においては、搬送用台車1,1,…に作業者が乗って作業を行う連続した作業床(作業平面)Fを形成する場合を示したが、本発明の搬送装置は、作業工程がなく搬送のみを行う搬送経路にも適用できる。このような搬送のみを行う搬送経路に本発明の搬送装置を用いた場合、搬送用台車1,1,…には、作業者が乗って作業を行う連続した作業床ではなく、連続した床が形成され、例えば作業者等が連続した床に乗って搬送経路を横断できる。