(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2アダプタは、前記変速機の前記回転部に締結されるドライブプレートを固定する第1固定部と、前記出力軸部の出力軸に固定される第2固定部を有し、前記第1固定部と前記第2固定部とは、径方向に異なる位置に設けられた請求項4に記載の動力源と変速機との結合構造。
前記第2アダプタは、前記変速機の前記回転部に締結されるドライブプレートを固定する第1固定部と、フライホイールを固定する第2固定部とを有し、前記フライホイールと前記出力軸部の出力軸とは第3固定部にて固定され、前記第1固定部と前記第2固定部と前記第3固定部とは、径方向に異なる位置に設けられた請求項4に記載の動力源と変速機との結合構造。
前記変速機の前記回転部は、回転時に前記軸方向に膨張するフロントカバーを有し、前記第1固定部は、前記フロントカバーに形成された窪み部に対向して設けられた請求項5又は6に記載の動力源と変速機との結合構造。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な動力源と変速機との結合構造は、変速機側のハウジングを動力源側のエンジンフライホイールハウジングにインロー仕様によるセンタリングをして取付けることが示されている。(非特許文献1)
【0003】
この様な仕様に基づく一般的な動力源と変速機との結合構造10を、
図13、
図14を用いて説明する。動力源をエンジン(図示略)とし、変速機をトルクコンバータ式変速機(図示略)として、変速機を動力源に結合する構造では、エンジンハウジング11と変速機ハウジング12とをセンタリングする第1インロー嵌合部13が設けられている。第1インロー嵌合部13は、エンジンハウジング11に設けた第1インロー孔13aに嵌合する第1インローフランジ13bが変速機ハウジング12に設けられている。また、エンジンのクランクシャフト部14と変速機の回転部15とのセンタリングをする第2インロー嵌合部16が、設けられている。第2インロー嵌合部16は、クランクシャフト部14に設けられた第2インロー孔16aに嵌合する第2インローフランジ16bが変速機の回転部15に設けられている。
【0004】
具体的には、クランクシャフト部14は、エンジンのクランクシャフト17に、フライホール18とドライブプレート19とリインフォースプレート20とシム21とが、締結ボルト22による共締めにて固定された構成であり、第2インロー孔16aはシム21に設けられている。変速機の回転部15は、トルクコンバータのフロントカバー23を有し、第2インローフランジ16bは、フロントカバー23に設けられている。エンジンと変速機とは、
図13に示す如く、第1インロー嵌合部13、第2インロー嵌合部16によるセンタリングが行われて、そして、
図14に示す如く、第1インロー嵌合部13、第2インロー嵌合部16によるセンタリングを行った後、エンジンハウジング11と変速機ハウジング12とが、締結ボルト24にて固定され、ドライブプレート19とフロントカバー23とは、締結ボルト25にて固定される。これにより、動力源と変速機とは、ハウジング及び回転部とも結合される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1実施形態における動力源と変速機との結合構造40Aを
図1から
図5に基づいて説明する。動力源は、エンジンとし、変速機は、トルクコンバータ付変速機とし、エンジンからの出力である回転力をトルクコンバータ付変速機に伝達可能な状態で動力源と変速機とを回転軸線41と同軸に結合する結合部50を備える。結合部50は、エンジンハウジング51(第1ハウジングに相当する)の内部に、動力源の出力軸部52が設けられ、出力軸部52は出力軸であるクランクシャフト53を有する。変速機は、トルクコンバータ付変速機とし、変速機ハウジング81(第2ハウジングに相当する)の内部に、変速機の回転部82が設けられ、回転部82は、トルクコンバータのフロントカバー83を有する。
【0012】
結合部50は、エンジンハウジング51と変速機ハウジング81とを回転軸線41上でセンタリングをする第1インロー嵌合部60(第1嵌合部に相当する)と、出力軸部52に回転部82が軸方向に嵌合されてその両者を回転軸線41上でセンタリングをする第2インロー嵌合部70(第2嵌合部に相当する)を有する。
【0013】
第1インロー嵌合部60は、エンジンハウジング51に設けられた第1インロー孔60a(第1孔に相当する)と、第1インロー孔60aに嵌合した第1インローフランジ60b(第1フランジに相当する)を有し、第1インローフランジ60bはハウジングスペーサ91の一端に設けられている。ハウジングスペーサ91は、エンジンハウジング51に回転軸線41と同軸に締結ボルト93にて固定されている。ハウジングスペーサ91の他端にはピン穴91aが設けられ、ピン穴91aには、ダウエルピン92がハウジングスペーサ91の他端から所定の長さ分突出するように圧入されている。変速機ハウジング81には、ダウエルピン92(凸部に相当する)に嵌合するピン穴81a(凹部に相当する)が設けられている。
【0014】
ダウエルピン92のハウジングスペーサ91の他端から突出した突出部分の内、その先端側の所定部分は、
図3及び
図4に示す如く、軸方向に4個のスリット92aが形成されている。スリット92aの部分により、ピン穴81aのダウエルピン92への挿入の際における接触面積が小さくなるため、ピン穴81aのダウエルピン92への挿入をスムーズにできる。
【0015】
変速機ハウジング81のピン穴81aを、ハウジングスペーサ91のダウエルピン92に回転軸線41方向に嵌合させて、変速機ハウジング81をハウジングスペーサ91と回転軸線41上でセンタリングする第3インロー嵌合部90(第3嵌合部に相当する)が設けられている。
【0016】
第2インロー嵌合部70は、エンジンの出力軸部52に設けられた第2インロー孔70aに、変速機の回転部82に設けられた第2インローフランジ70bが嵌合する。エンジンの出力軸部52は、クランクシャフト53に、フライホ
イール54とドライブプレート55とリインフォースプレート56とシム57とが、締結ボルト58による共締めにて固定された構成である。具体的には、第2インロー孔70aは、シム57に設けられている。変速機の回転部82は、トルクコンバータのフロントカバー83を有し、第2インローフランジ70bは、フロントカバー83に設けられている。
【0017】
図1に示す如く、第3インロー嵌合部90のピン穴81aとダウエルピン92とが嵌合を開始する位置に変速機が位置するとき、第2インロー嵌合部70は、第2インローフランジ70bが第2インロー孔70aと嵌合を開始する位置より所定距離d第2インロー孔70aから離間している。即ち、第3インロー嵌合部90のピン穴81aとダウエルピン92とが嵌合を開始する位置に変速機が位置するとき、第2インロー嵌合部70は、変速機の回転部82が出力軸部52と嵌合を開始する位置より所定距離d出力軸部52から離間している。
【0018】
この状態から、
図2に示す如く、ピン穴81aを、ダウエルピン92に嵌合し、その嵌合により、第2インロー嵌合部70における変速機の回転部82側の第2インローフランジ70bと出力軸部52側である第2インロー孔70aとの回転軸線41への位置決め及び第2インローフランジ70bと第2インロー孔70aとの嵌合の案内が行われて、第2インローフランジ70bと第2インロー孔70aとが嵌合することにより、第2インロー嵌合部70によるセンタリングが行われる。従って、第3インロー嵌合部90により、変速機の回転部82と動力源の出力軸部52とを回転軸線41に位置合わせして、第2インロー嵌合部70の嵌合が開始されるので、変速機の回転部82が、動力源の出力軸部52と衝突することを防止できて、変速機の回転部82と動力源の出力軸部52とのセンタリングが容易となり、変速機の回転部82が動力源の出力軸部52と衝突することによる第2インロー嵌合部70に曲げや変形が生じることを防止できる。ハウジングスペーサ91を設けることにより、第3インロー嵌合部90を動力源の出力軸部52の手前側に位置させることができるため、第2インロー嵌合部70の嵌合の開始前に変速機の回転部82が動力源の出力軸部52に衝突しない構造とすることがきる。
【0019】
図2に示す如く、第2インロー嵌合部70の嵌合がされた後、ドライブプレート55とフロントカバー83に固定された取付フランジ83aが、締結ボルト59にて固定されることにより、出力軸部52と変速機の回転部82が結合される。ハウジングスペーサ91と変速機ハウジング81が、締結ボルト94にて固定されることにより、エンジンハウジング51と変速機ハウジング81が結合される。ドライブプレート55は、トルクコンバーの回転時、フロントカバー83が、トルクコンバータ液の遠心力又は圧力にて膨張し、この膨張に起因する軸方向のスラスト力を吸収可能である。フライホイール54の外周に、エンジンスタータ用のギヤ62が、設けられている。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態における動力源と変速機との結合構造40Bを
図5及び
図6に基づいて説明する。本発明の第2実施形態の動力源と変速機との結合構造40Bは、前述の本発明の第1実施形態の動力源と変速機との結合構造40Aとは、フライホイール54を有しないこととエンジンスタータ用のギヤ62がドライブプレート55の外周に設けられたことが相違するのみで、結合部50、第1インロー嵌合部60、第2インロー嵌合部70、第3インロー嵌合部90の構成は、動力源と変速機との結合構造40Aと同様である。結合構造40Bにおける第3インロー嵌合部90が嵌合を開始する状態が、
図5に示される。結合構造40Bにおける結合状態が、
図6に示される。なお、結合構造40Bにおける結合部50、第1インロー嵌合部60、第2インロー嵌合部70、第3インロー嵌合部90の作動は、第1実施形態の結合構造40Aの結合部50、第1インロー嵌合部60、第2インロー嵌合部70、第3インロー嵌合部90と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0021】
次に、本発明の第3実施形態における動力源と変速機との結合構造40Cを
図7及び
図8に基づいて説明する。本発明の第3実施形態の動力源と変速機との結合構造40Cは、例えば、第1実施形態の結合構造40Aと同一仕様のトルクコンバータ付変速機である一の変速機を、複数機種のエンジン(動力源)に結合可能とするものである。
【0022】
第3実施形態の動力源と変速機との結合構造40Cは、
図7に示す如く、第1実施形態の結合構造40Aにおけるハウジングスペーサ91は、エンジンの機種毎に設けられた第1アダプタ95であり、第1アダプタ95は、エンジンハウジング51とは別なるエンジンハウジング51aに適応して第1インロー嵌合部60を設けるものである。第1実施形態の結合構造40Aにおけるシム57は、エンジンの機種毎に設けられた第2アダプタ67であり、第2アダプタ67はクランクシャフト53とは別なるクランクシャフト53aに固定され出力軸部52が形成される。
【0023】
第1インロー嵌合部60は、エンジンハウジング51aに設けられた第1インロー孔60aに嵌合した第1インローフランジ60bが第1アダプタ95の一端に設けられている。第1アダプタ95は、エンジンハウジング51aに締結ボルト93にて固定されている。第1アダプタ95の他端にはピン穴95aが設けられ、ピン穴95aには、ダウエルピン92が第1アダプタ95の他端から所定の長さ分突出するように圧入されている。変速機ハウジング81には、ダウエルピン92に嵌合するピン穴81aが設けられている。
【0024】
第2インロー嵌合部70は、トルクコンバータのフロントカバー83に設けられた第2インローフランジ70bが挿入されて嵌合できる様に、第2インローフランジ70bに適応して、第2インロ−孔70aが、第2アダプタ67に設けられる。
【0025】
第3実施形態の結合構造40Cにおける第2アダプタ67は、
図7及び
図8に示す如く、ドライブプレート55及びリインフォースプレート56が締結ボルト68にて固定される固定部67a(第1固定部に相当する)と、フライホイール54が締結ボルト69にて固定される固定部67b(第2固定部に相当する)を有する。第3実施形態の結合構造40Cにおけるフライホイール54は、締結ボルト71にてクランクシャフト53aに固定される固定部54a(第3固定部に相当する)が設けられている。固定部67a,67b,54aは、径方向に異なる位置に設けられる。この様に、第3実施形態の出力軸部52は、クランクシャフト53aとフライホイール54と第2アダプタ67とドライブプレート55とリインフォースプレート56とが、3つの固定部67a,67b,54aにて,3つの締結ボルト68、69、71にて固定されるため、1本の締結ボルトによる共締めの場合に比べて、各締結ボルトの締め付けトルクを下げることができ、組付けし易くなる。また、その各締結ボルトの緩み防止にも有利な構成となる。締結ボルト68、69、71による締結の際におけるクランクシャフト53a、フライホイール54、第2アダプタ67、ドライブプレート55、リインフォースプレート56の位置合わせが、容易となる。
【0026】
この様に、固定部67a,67b,54aは、径方向に異なる位置に配置でき、配置の自由度が高められる。その結果、ドライブプレート55を固定して、トルクコンバータのフロントカバー83に対し最も近い位置に配置された固定部67aは、トルクコンバータのフロントカバー83の窪み部83bに対向して設けることができる。従って、トルクコンバータの回転時、フロントカバー83が、トルクコンバータ液の遠心力又は圧力にて膨張しても、固定部67aの締結ボルト68と窪み部83bとの間に、隙間が確保できる。その結果、締結ボルト68は、フロン
トカバー83に対して近接して配置できることなり、結合構造の軸方向サイズを短くできる。
【0027】
第3実施形態の結合構造40Cにおける第3インロー嵌合部90が嵌合を開始する状態が、
図7に示される。結合構造40Cにおける結合状態が、
図8に示される。なお、結合構造40Cにおける結合部50、第1インロー嵌合部60、第2インロー嵌合部70、第3インロー嵌合部90の作動は、第1実施形態の結合構造40Aの結合部50、第1インロー嵌合部60、第2インロー嵌合部70、第3インロー嵌合部90と同様であるので、詳細な説明は省略する。これにより、第1アダプタ95及び第2アダプタ67を介して、一の変速機を複数機種の動力源と結合することができる。変速機を複数機種の動力源に結合するために、変速機や複数機種の動力源自体の変更を必要としない。
【0028】
次に、本発明の第4実施形態における動力源と変速機との結合構造40Dを
図9及び
図10に基づいて説明する。本発明の第4実施形態の動力源と変速機との結合構造40Dは、例えば、第2実施形態の結合構造40Bと同一仕様のトルクコンバータ付変速機である一の変速機を、複数機種のエンジン(動力源)に結合可能とするものである。
【0029】
第4実施形態の動力源と変速機との結合構造40Dは、
図9に示す如く、第2実施形態の結合構造40Bにおけるハウジングスペーサ91は、エンジンの機種毎に設けられた第1アダプタ95であり、第1アダプタ95は、エンジンハウジング51とは別なるエンジンハウジング51aに適応して第1インロー嵌合部60を設けるものである。第2実施形態の結合構造40Bにおけるシム57は、エンジンの機種毎に設けられた第2アダプタ77であり、第2アダプタ77はクランクシャフト53とは別なるクランクシャフト53aに固定され出力軸部52が形成される。
【0030】
第1インロー嵌合部60は、エンジンハウジング51aに設けられた第1インロー孔60aに嵌合した第1インローフランジ60bが第1アダプタ95の一端に設けられている。第1アダプタ95は、エンジンハウジング51aに締結ボルト93にて固定されている。第1アダプタ95の他端にはピン穴95aが設けられ、ピン穴95aには、ダウエルピン92が第1アダプタ95の他端から所定の長さ分突出するように圧入されている。変速機ハウジング81には、ダウエルピン92に嵌合するピン穴81aが設けられている。
【0031】
第2インロー嵌合部70は、トルクコンバータのフロントカバー83に設けられた第2インローフランジ70bが挿入されて嵌合できる様に、第2インローフランジ70bに適応して、第2インロ−孔70aが、第2アダプタ77に設けられる。
【0032】
第4実施形態の結合構造40Dにおける第2アダプタ77は、
図9及び
図10に示す如く、ドライブプレート55及びリインフォースプレート56が締結ボルト68にて固定される固定部77a(第1固定部に相当する)と、締結ボルト78にてクランクシャフト53aに固定される固定部77b(第2固定部に相当する)が設けられている。固定部77a,77bは、径方向に異なる位置に設けられる。この様に、第4実施形態の出力軸部52は、クランクシャフト53aと第2アダプタ77とドライブプレート55とリインフォースプレート56とが、2つの固定部77a,77bにて,2つの締結ボルト68、78にて固定されるため、1本の締結ボルトによると共締めの場合に比べて、各締結ボルトの締め付けトルクを下げることができ、組付けし易くなる。また、その各締結ボルトの緩み防止にも有利な構成となる。締結ボルト68、78による締結の際におけるクランクシャフト53a、第2アダプタ77、ドライブプレート55、リインフォースプレート56の位置合わせも容易となる。
【0033】
この様に、固定部77a,77bは、径方向に異なる位置に配置して配置の自由度が高められる。その結果、ドライブプレート55を固定して、トルクコンバータのフロントカバー83に対し最も近い位置に配置された固定部77aをトルクコンバータのフロントカバー83の窪み部83bに対向して設けることができる。従って、トルクコンバーの回転時、フロントカバー83が、トルクコンバータ液の遠心力又は圧力にて膨張しても、固定部77aの締結ボルト68と窪み部83bとの間に、隙間が確保できる。その結果、締結ボルト68は、フロン
トカバー83に対して近接して配置できることなり、結合構造の軸方向サイズを短くできる。
【0034】
第4実施形態の結合構造40Dにおける第3インロー嵌合部90が嵌合を開始する状態が、
図9に示される。結合構造40Dにおける結合状態が、
図10に示される。なお、結合構造40Dにおける結合部50、第1インロー嵌合部60、第2インロー嵌合部70、第3インロー嵌合部90の作動は、第2実施形態の結合構造40Bの結合部50、第1インロー嵌合部60、第2インロー嵌合部70、第3インロー嵌合部90と同様であるので、詳細な説明は省略する。第1アダプタ95及び第2アダプタ77を介して、一の変速機を複数機種の動力源と結合することができる。変速機を複数機種の動力源に結合するために、変速機や複数機種の動力源自体の変更を必要としない。
【0035】
次に、本発明の第5実施形態における動力源と変速機との結合構造40Eを
図11及び
図12に基づいて説明する。本発明の第5実施形態の動力源と変速機との結合構造40Eは、前述の本発明の第3実施形態の動力源と変速機との結合構造40Cとは、第3インロー嵌合部90におけるダウエルピン92に代えて、部分インローフランジ96を第1アダプタ95に設けた構成である。
【0036】
第1インロー嵌合部60は、エンジンハウジング51aに設けられた第1インロー孔60aに嵌合した第1インローフランジ60bが第1アダプタ95の一端に設けられている。第1アダプタ95は、エンジンハウジング51aに締結ボルト93にて固定されている。第1アダプタ95の他端には、
図11及び
図12に示す如く、円周方向で対称的に2ヶ所に部分インローフ
ランジ96(凸部に相当する)が第1アダプタ95の他端から所定の長さ分突出するように設けられている。変速機ハウジング81には、部分インローフ
ランジ96に嵌合するインロー孔81b(凹部に相当する)が設けられている。
【0037】
変速機ハウジング81のインロー孔81bを、第1アダプタ95の部分インローフランジ96に回転軸線41方向に嵌合させて、変速機ハウジング81を第1アダプタ95と回転軸線41上でセンタリングする第3インロー嵌合部90が設けられている。部分インローフランジ96により、インロー孔81bへの挿入の際における接触面積が小さくなるため、全周にわたって形成されたインローフランジの場合と比べて、インロー孔81bの部分インローフランジ96への挿入をスムーズにできる。
第5実施形態の結合構造40Eにおける第3インロー嵌合部90が嵌合を開始する状態が、
図11に示される。なお、結合構造40Eにおける結合部50、第1インロー嵌合部60、第2インロー嵌合部70、第3インロー嵌合部90の作動は、第3実施形態の結合構造40Cの結合部50、第1インロー嵌合部60、第2インロー嵌合部70、第3インロー嵌合部90と同様であるので、詳細な説明は省略する。第1アダプタ95及び第2アダプタ67を介して、一の変速機を別機種の動力源と結合することができる。変速機を別機種の動力源に結合するために、変速機や別機種の動力源自体の変更を必要としない。
【0038】
前述の実施形態では、動力源をエンジンとして説明したが、これに限らず、エンジンに代えて動力源を電動機とすることも可能であり、動力源としてエンジンと電動機とを併用することも明らかである。
【0039】
前述の実施形態では、変速機としてトルクコンバータ式変速機として説明したが、これに限らず、トルクコンバータ式変速機に代えて変速機をデュアルクラッチ式変速機とすることも可能である。
【0040】
前述の実施形態では、第2インロー嵌合部70の第2インロー孔70aを動力源の出力軸部52に設け、第2インロー孔70aに嵌合する第2インローフランジ70bを変速機の回転部82に設けた例を示したが、これに代えて、第2インロー嵌合部70の第2インロー孔70aを変速機の回転部82に設け、第2インロー孔70aに嵌合する第2インローフランジ70bを動力源の出力軸部52に設けることは、明らかである。
【0041】
前述の実施形態では、第3インロー嵌合部90のダウエルピン92をハウジングスペーサ91,95に設け、ダウエルピン92に嵌合するピン穴81aを変速機ハウジング81に設けた例を示したが、これに代えて、第3インロー嵌合部90のダウエルピン92を変速機ハウジング81に設け、ダウエルピン92に嵌合するピン穴81aをハウジングスペーサ91,95に設けることは、明らかである。
【0042】
前述の実施形態では、第3インロー嵌合部90の部分インローフランジ96を第1アダプタ95に設け、部分インローフランジ96に嵌合するインロー孔81bを変速機ハウジング81に設けた例を示したが、これに代えて、第3インロー嵌合部90の部分インローフランジ96を変速機ハウジング81に設け、部分インローフランジ96に嵌合するインロー孔81bを第1アダプタ95又はハウジングスペーサ91に設けることは、明らかである。
【0043】
上述のように、本発明の第1実施形態乃至第5実施形態の動力源と変速機との結合構造40A、40B、40C、40D、40Eによれば、動力源からの出力である回転力を変速機に伝達可能な状態で動力源と変速機とを回転軸線41と同軸に結合する結合部50を備え、結合部50は、動力源の第1ハウジング51,51aと変速機の第2ハウジング81とを回転軸線41上でセンタリングする第1嵌合部60と、動力源の出力軸部52に変速機の回転部82が軸方向に嵌合されてその両者を回転軸線41上でセンタリングする第2嵌合部70と、第1ハウジング51,51aに設けられた第1孔60aに第1フランジ60bが嵌合することにより第1ハウジング51,51aに回転軸線41と同軸に固定されたハウジングスペーサ91,95と、第2ハウジング81及びハウジングスペーサ91,95の一方に設けられた凸部92
,96および第2ハウジング81及びハウジングスペーサ91,95の他方に設けられ凸部92
,96に回転軸線41方向に嵌合されて第2ハウジング
81をハウジングスペーサ91,95と回転軸線41上でセンタリングする凹部8
1a,81bを有する第3嵌合部
90と、を備え、第3嵌合部90の凸部92
,96と凹部81a
,81bとが嵌合を開始する位置に変速機が位置するとき、変速機の回転部82は動力源の出力軸部52と嵌合を開始する位置より所定距離d出力軸部52から離間している.第3嵌合部90により、変速機の回転部82と動力源の出力軸部52とを回転軸線41に位置合わせして、第2嵌合部70の嵌合が開始されるので、変速機の回転部82が、動力源の出力軸部52と衝突することを防止できて回転部82と出力軸部52とのセンタリングが容易となり、変速機の回転部82が動力源の出力軸部53と衝突することによる第2嵌合部70に曲げや変形が生じることを防止できる。ハウジングスペーサ91,95を設けることにより、第3嵌合部90を動力源の出力軸部52の手前側に位置させることができるため、第2嵌合部70の嵌合の開始前に変速機の回転部82が動力源の出力軸部52に衝突しない構造とすることがきる。
【0044】
上述のように、本発明の第1実施形態乃至第4実施形態の動力源と変速機との結合構造40A、40B、40C、40Dによれば、第3嵌合部90の凸部は、ダウエルピン92であり、第3嵌合部90の凹部はダウエルピン92に嵌合するピン穴81aである.これにより、ピンとピン穴による簡単な構成にてセンタリングができる。
【0045】
上述のように、本発明の第3実施形態乃至第5実施形態の動力源と変速機との結合構造40C、40D、40Eによれば、結合構造は、一の変速機を複数機種の動力源に結合可能とし、ハウジングスペーサは動力源の機種毎に設けられた第1アダプタ95であり、動力源の出力軸53に固定され出力軸部52が形成された第2アダプタ67,77を有し、第2アダプタ67,77は動力源の機種毎に設けられている。これにより、第1アダプタ95及び第2アダプタ67,77を介して、一の変速機を複数機種の動力源と結合することができる。変速機を複数機種の動力源に結合するために、変速機や複数機種の動力源自体の変更を必要としない。
【0046】
上述のように、本発明の第4実施形態の動力源と変速機との結合構造40Dによれば、第2アダプタ77は、変速機の回転部82に締結されるドライブプレート55を固定する第1固定部77aと、出力軸部52の出力軸53aに固定される第2固定部77bを有し、第1固定部77aと第2固定部77bとは、径方向に異なる位置に設けられている。これにより、第2アダプタ77とドライブプレート55と出力軸53aとが、2つの固定部77a,77bにて,固定されるため、1つの固定部による共締めの場合に比べて、緩み防止を有利にできる。
【0047】
上述のように、本発明の第3実施形態及び第5実施形態の動力源と変速機との結合構造40C,40Eによれば、第2アダプタ67は、変速機の回転部82に締結されるドライブプレート55を固定する第1固定部67aと、フライホイール54を固定する第2固定部67bとを有し、フライホイール54と出力軸部52の出力軸53aとは第3固定部54aにて固定され、第1固定部67aと第2固定部67bと第3固定部54aとは、径方向に異なる位置に設けられている。これにより、出力軸53aとフライホイール54と第2アダプタ67とドライブプレート55とが、3つの固定部67a,67b,54aにて,にて固定されるため、1つの固定部による共締めの場合に比べて、緩み防止を有利にできる。
【0048】
上述のように、本発明の第3実施形態乃至第5実施形態の動力源と変速機との結合構造40C,40D,40Eによれば、変速機の回転部82は、回転時に軸方向に膨張するフロントカバー83を有し、第1固定部67a,77aは、フロントカバー83に形成された窪み部83bに対向して設けられている。これにより、フロントカバー83が、膨張しても、第1固定部67a,77aと窪み部83bとの間に、隙間が確保できる。その結果、第1固定部67a,77aは、フロン
トカバー83に対して近接して配置できることなり、結合構造の軸方向サイズを短くできる。
【0049】
なお、複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組合せることが可能であることは、明らかである。