(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から4のいずれか一項に記載の調光信号生成回路において、前記第1の交流電気信号のオフ状態が全光点灯を示す電気信号である場合に、前記調光信号の生成において、前記第1の交流電気信号のオフ状態の入力が残余の交流電気信号の状態の入力に優先される、調光信号生成回路。
請求項1から6のいずれか一項に記載の調光信号生成回路において、前記出力回路が、前記フォトトランジスタの動作状態に基づく電圧を積分して前記調光信号を生成するように構成された、調光信号生成回路。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
図1に、本発明の第1の実施形態による調光信号生成回路1、LED電源6及びLED照明装置8を示す。LED電源6は調光信号生成回路1及びLED点灯回路2を含み、LED照明装置8はLED電源6及びLED7を含む。LED7は、複数のLED素子が直列接続又は直並列接続されたLEDアレイである。
【0019】
LED照明装置8の概略構成は次の通りである。調光信号生成回路1は、商用電源(例えば、AC200V)の交流電源AC1及びAC2から、調光用の交流電気信号(以下、「電気信号」という)E1及びE2を受け、電気信号E1及びE2から調光信号Dを生成してLED点灯回路2に供給する。なお、商用電源は、AC200Vに限られず、AC100V、AC110V、AC120V、AC220V、AC230V、AC240V等であってもよい。LED点灯回路2は、入力される商用電源等の交流電源AC0を、調光信号Dに基づく電流値の直流電流に変換し、その直流電流をLED7に供給する。これにより、LED7が調光される。調光信号Dが示す調光率は、電気信号E1及びE2のオン/オフ組合せ(交流電源AC1及びAC2のオン/オフの組合せ)によって決定される。このような、商用電源等の交流電源が電気信号として利用される構成は、調光器の高周波低電圧のPWM信号が電気信号として利用される構成と比べて、ノイズ及び信号歪の影響を受けにくく、信号の伝送距離が長いトンネル照明、道路灯等に有用である。
【0020】
LED点灯回路2は、整流器3、DC/DCコンバータ4及び制御部5を備える。ダイオードブリッジからなる整流器3によって交流電源AC0からの入力電圧が全波整流され、その全波整流出力がDC/DCコンバータ4に入力される。DC/DCコンバータ4は、全波整流入力を所定の直流電流に変換し、その直流電流をLED7に供給する。DC/DCコンバータ4は、例えば、フライバックコンバータからなるスイッチング電源であってもよいし、昇圧チョッパ回路(力率改善回路)及び降圧チョッパ回路からなるスイッチング電源であってもよい。上記フライバックコンバータは、出力側(トランス2次側)のコンデンサを平滑用とするとともに入力側(トランス1次側)のコンデンサを出力側のコンデンサよりも小容量化して力率改善機能を持たせた、いわゆるワンコンバータ方式のフライバックコンバータを含む。DC/DCコンバータ4の出力電流は、制御部5によって出力制御される。なお、以降の説明において、整流器3の共通アノード端と同電位の配線をグランドG2というものとする。LED点灯回路2において、DC/DCコンバータ4及び制御部5はグランドG2を基準電位とする。
【0021】
制御部5は、調光信号生成回路1から伝達された調光信号Dに応じてDC/DCコンバータ4の出力、すなわちLED電流を制御する。制御部5はマイクロコンピュータを備え、調光信号Dに対応する調光率、すなわちDC/DCコンバータ4の目標出力電流値又は目標出力電力値を予め記憶しているものとする。制御部5において、LED電流が目標出力電流値に対してフィードバックされる定電流制御が行われてもよいし、LED電力が目標出力電力値に対してフィードバックされる定電力制御が行われてもよい。また、LED電流又はLED電力がフィードフォワード制御されるオープンループでの制御が行われてもよい。
【0022】
調光信号生成回路1は、平滑回路10、脈流回路20、フォトカプラ30、スイッチング回路40及び出力回路50を備える。概略として、平滑回路10は電気信号E1から整流及び平滑された平滑電圧を生成し、脈流回路20は電気信号E2から整流された脈流電圧を生成する。フォトカプラ30は上記平滑電圧が印加されるフォトダイオード31を有し、スイッチング回路40は、フォトダイオード31に流れる電流を上記脈流電圧に基づいて制御する。出力回路50は、フォトカプラ30のフォトトランジスタ32の動作状態に応じた調光信号DをLED点灯回路2の制御部5に伝達する。なお、以降の説明において、各回路素子の各回路への区分けは説明の便宜上のものであり、本発明を拘束するものではない。
【0023】
本実施形態では、電気信号E1及びE2のオン/オフの組合せによって3通りの点灯パターン(調光パターン)が設定される。例えば、
(E1、E2)=(ON、OFF):25%調光、
(E1、E2)=(ON、ON):50%調光、
(E1、E2)=(OFF、OFF):100%調光(すなわち、全光)
が設定されているものとする。なお、この電気信号E1及びE2の組合せと調光率の対応関係は例示であり、他の対応関係又は他の調光率が採用されてもよい。ただし、電気信号E1及びE2の組合せのうちの1つは全光点灯を指示するものであることが望ましい。
【0024】
平滑回路10は、ダイオードブリッジからなる整流回路11及びコンデンサ12を備える。交流電源AC1から電流ヒューズF1を介して入力される電気信号E1が整流回路11によって全波整流され、整流回路11の整流出力がコンデンサ12によって平滑される。なお、以降において、整流回路11の共通アノード端及びコンデンサ12の負極電極と同電位の配線をグランドG1というものとする。
【0025】
脈流回路20は、ダイオードブリッジからなる整流回路21、抵抗22及び抵抗23を備える。交流電源AC2から電流ヒューズF2を介して入力される電気信号E2が、整流回路21によって全波整流される。整流回路21のアノード端はグランドG1に接続され、電気信号E1及びE2がともにオン状態である場合には、平滑回路10の平滑電圧値と、整流回路21の脈流出力電圧のピーク値はグランドG1に対して略等しい。抵抗22及び23の直列回路が整流回路21の出力端間に接続され、整流回路21の脈流出力電圧が抵抗22及び23によって所定の分圧比で分圧される。
【0026】
スイッチング回路40は、抵抗41、PNPトランジスタ42(以下、「トランジスタ42」という)及びダイオード43を備える。抵抗41、フォトカプラ30のフォトダイオード31及びトランジスタ42が直列接続され、この直列回路がコンデンサ12に並列接続される。抵抗41は降圧用(電流制限用)の抵抗として機能する。トランジスタ42のエミッタ端子はフォトダイオード31のカソード側に接続され、コレクタ端子はグランドG1に接続され、ベース端子(制御端子)はダイオード43のアノードに接続される。ダイオード43のカソードは、抵抗22及び23からなる分圧回路の分圧点に接続される。したがって、トランジスタ42の動作状態(オン・オフ)は、この分圧回路によって生成される分圧値に基づいて制御される。
【0027】
出力回路50は、抵抗51、抵抗52及びコンデンサ53を備え、LED点灯回路2の制御部5において生成される制御電圧VddとグランドG2との間に接続される。出力回路50において、フォトトランジスタ32のコレクタ端子が抵抗51を介して制御電圧Vddに接続され、エミッタ端子がグランドG2に接続される。抵抗52の一端がフォトトランジスタ32のコレクタ端子に接続され、抵抗52の他端がコンデンサ53に接続され、コンデンサ53はグランドG2に接続される。抵抗52の他端、すなわちコンデンサ53に発生する電圧が調光信号Dとして制御部5に出力される。なお、以降の説明において、抵抗52の一端側(フォトトランジスタ32のコレクタ端子)のノードをポイントP1といい、抵抗52の他端側(コンデンサ53側)のノードをポイントP2というものとする。抵抗52とコンデンサ53は積分回路を構成し、ポイントP1の電圧を積分してポイントP2の電圧、すなわち調光信号Dを発生させる。
【0028】
調光信号生成回路1の動作の概略は、次の通りである。瞬時的視点において、フォトダイオード31に相対的に多くの電流が流れている場合には、フォトトランジスタ32がよりオン状態となり、ポイントP1の電位が相対的に低くなる。フォトトランジスタ32が完全にオンしている場合、ポイントP1の電位はグランドG2に等しい。一方、フォトダイオード31に相対的に少ない電流が流れている場合には、フォトトランジスタ32がよりオフ状態となり、ポイントP1の電位が相対的に高くなる。フォトトランジスタ32が完全にオフしている場合、ポイントP1の電位は制御電圧Vddに等しい。フォトダイオード31に流れる電流量は、電気信号E1及びE2のオン/オフ状態、抵抗41の抵抗値、(電気信号E2がオンの場合には)トランジスタ42の動作状態等によって決まる。そして、商用電源周波数の1サイクル以上の長い期間での視点においては、上記の瞬時的視点におけるポイントP1の電位が積分されてポイントP2の電位に表れる。
【0029】
図2に、本実施形態の調光信号生成回路1の動作を示す。
図2において、電気信号E1及びE2について、左から(a)(E1、E2)=(ON、OFF)、(b)(E1、E2)=(ON、ON)、(c)(E1、E2)=(OFF、OFF)の場合の動作を示す。
図2において、縦軸は上段から、平滑回路10の平滑電圧V10、脈流回路20の脈流電圧V20、フォトダイオード31に流れる電流i31、ポイントP1の電圧VP1、ポイントP2の電圧VP2を示し、横軸は時間を示す。平滑電圧V10及び脈流電圧V20はグランドG1に対する電圧であり、電圧VP1及びVP2はグランドG2に対する電圧である。なお、以降の各実施形態において示す各部波形は、説明の便宜上、簡略化、誇張又は変形されて表現される場合もある。
【0030】
(a)の(E1、E2)=(ON、OFF)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1(交流電源AC1)のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V20はゼロとなる。これにより、抵抗22及び23による分圧値もゼロとなり、トランジスタ42にダイオード43及び抵抗23を介してベース電流が流れ続け、トランジスタ42はオン状態を維持する。これにより、抵抗41の抵抗値をR41とすると、フォトダイオード31の電流i31が最大値(≒V10/R41)に維持され、フォトトランジスタ32がオン状態に維持される。これにより、ポイントP1及びVP2の電圧VP1及びVP2がゼロに維持される。言い換えると、電流i31≒V10/R41において、フォトトランジスタ32が完全にオンするように各回路定数が設定されるものとする。これにより、電圧ゼロの調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0031】
(b)の(E1、E2)=(ON、ON)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V20は電気信号E2(交流電源AC2)を全波整流した脈流波形となる。これにより、抵抗22及び23による分圧は全波整流波形となり、そのゼロクロスに近い電圧領域では、トランジスタ42にダイオード43及び抵抗23を介してベース電流が流れ、トランジスタ42はベース電流に応じたオン状態となる。一方、抵抗22及び23の分圧における全波整流波形のピークに近い電圧領域では、トランジスタ42にベース電流は流れず、トランジスタ42はオフ状態となる。
【0032】
トランジスタ42のオン・オフ動作により、電流i31が脈流電圧V20に略反転してオン・オフされ、これに対応してフォトトランジスタ32がオン・オフ動作する。したがって、ポイントP1の電圧VP1は、電流i31の反転位相、すなわち脈流電圧V20と同位相の振幅波形となる。電圧VP2は電圧VP1の積分値をV1とすると、電圧V1の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0033】
(c)の(E1、E2)=(OFF、OFF)の場合、平滑電圧V10及び脈流電圧V20はゼロとなり、電流i31はゼロに維持され、フォトトランジスタ32はオフ状態となる。これにより、ポイントP1及びVP2の電圧VP1及びVP2は、制御電圧Vddに維持される。したがって、電圧Vddの調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0034】
なお、(c)で得られる電圧Vddの調光信号D(全光)は、(E1、E2)=(OFF、ON)の場合(点線参照)にも同様に得られる。言い換えると、電気信号E2側の系統で何らかの故障があった場合(オン又はオフができない場合)でも、電気信号E1をオフしさえすれば全光点灯状態が確保される。したがって、電気信号E1のオフ状態による入力が電気信号E2の状態の入力に優先される構成は、照度確保による安全措置として好ましい。特に、LED照明装置7がトンネル内、閉所内等に設置される場合において、有用な安全措置となる。
【0035】
上記の処理の結果として、LED点灯回路2において、制御部5は、電圧ゼロの調光信号Dに応じて25%調光を実行し、電圧V1の調光信号Dに応じて50%調光を実行し、電圧Vddの調光信号Dに応じて全光点灯を実行する。
【0036】
以上のように、本実施形態の調光信号生成回路1は、電気信号E1から整流及び平滑された平滑電圧を生成する平滑回路10と、電気信号E2から整流された脈流電圧を生成する脈流回路20と、平滑電圧が印加されるフォトダイオード31を有するフォトカプラ30と、脈流電圧に基づいてフォトダイオード31に流れる電流を制御するスイッチング回路40と、フォトカプラ30のフォトトランジスタ32の動作状態に応じた調光信号Dを出力する出力回路50を備える。これにより、2系統の電気信号から調光信号を生成する構成において、単一系統の構成(
図10参照)を2組並列接続する場合に比べて大幅に部品点数を削減することができる。したがって、小型かつ低コストな調光信号生成回路1、LED電源6及びLED照明装置8を提供することが可能となる。
【0037】
特に、調光信号生成回路1において、平滑回路10が、整流回路11の整流出力を平滑するコンデンサ12を備え、スイッチング回路40が、フォトダイオード31に直列接続された抵抗41及びトランジスタ42を備え、脈流回路20が、整流回路21の脈流出力電圧の分圧値を生成する抵抗22及び23を備え、この分圧値に基づいてトランジスタ42の動作状態が制御されるように構成される。これにより、2系統の電気信号に対して、平滑用のコンデンサ、フォトカプラ、出力回路、及び降圧用(電流制限用)の抵抗が1組で済むので、調光信号生成回路1、LED電源6及びLED照明装置8の小型化及び低コスト化が実現される。また、出力回路50から出力される調光信号が1配線であるので、簡素な構成の制御部5が実現され、LED電源6及びLED照明装置8の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0038】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では2系統の電気信号から3通りの調光信号を生成する構成を示したが、本実施形態では3系統の電気信号から5通りの調光信号を生成する構成を示す。
図3に本実施形態の調光信号生成回路1を示す。なお、図示を省略するが、本実施形態の調光信号生成回路1も、第1の実施形態と同様にLED点灯回路2(制御部5)に接続される。
【0039】
調光信号生成回路1は、平滑回路10、脈流回路20、フォトカプラ30、スイッチング回路40、出力回路50及び脈流回路60を備える。平滑回路10、脈流回路20、フォトカプラ30及び出力回路50は、第1の実施形態(
図1参照)のものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。交流電源ACから平滑回路10、脈流回路20及び脈流回路60への入力はそれぞれスイッチSW1、SW2及びSW3を介してオン/オフされ、これにより電気信号E1、E2及びE3がそれぞれの回路に入力される。すなわち、スイッチSW1のオン/オフにより電気信号E1がオン/オフされ、スイッチSW2のオン/オフにより電気信号E2がオン/オフされ、スイッチSW3のオン/オフにより電気信号E3がオン/オフされる。なお、以下の本実施形態を示す各図において、交流電源ACに接続される電流ヒューズの図示を省略する。
【0040】
本実施形態においては、電気信号E1、E2及びE3の組合せによって5通りの点灯パターン(調光パターン)が設定される。例えば、
(E1、E2、E3)=(ON、OFF、OFF):10%調光、
(E1、E2、E3)=(ON、ON、OFF):25%調光、
(E1、E2、E3)=(ON、OFF、ON):50%調光、
(E1、E2、E3)=(ON、ON、ON):75%調光、
(E1、E2、E3)=(OFF、OFF、OFF):100%調光(すなわち、全光)
が設定されているものとする。
【0041】
スイッチング回路40は、抵抗44、PNPトランジスタ45(以下、「トランジスタ45」という)、ダイオード46、抵抗47、PNPトランジスタ48(以下、「トランジスタ48」という)及びダイオード49備える。抵抗44とトランジスタ45の直列回路及び抵抗47とトランジスタ48の直列回路は、フォトダイオード31のカソードとグランドG1の間に並列接続される。フォトダイオード31のアノードはコンデンサ12の正電極に接続される。抵抗44及び47は降圧用(電流制限用)の抵抗として機能する。トランジスタ45のエミッタ端子は抵抗44を介してフォトダイオード31のカソードに接続され、コレクタ端子はグランドG1に接続され、ベース端子(制御端子)はダイオード46のアノードに接続される。トランジスタ48のエミッタ端子は抵抗47を介してフォトダイオード31のカソードに接続され、コレクタ端子はグランドG1に接続され、ベース端子(制御端子)はダイオード49のアノードに接続される。ここで、抵抗44及び47の抵抗値をそれぞれR44及びR47とすると、R44<R47であるものとする。
【0042】
脈流回路60は、ダイオードブリッジからなる整流回路61、抵抗62及び抵抗63を備える。交流電源ACからスイッチSW3を介して入力される電気信号E3が、整流回路61によって全波整流される。整流回路61のアノード端はグランドG1に接続され、電気信号E1及びE3がともにオン状態である場合には、平滑回路10の平滑電圧値と、整流回路61の脈流出力電圧のピーク値はグランドG1に対して略等しい。抵抗62及び63の直列回路が整流回路61の出力端間に接続され、整流回路61の脈流出力電圧が抵抗62及び63によって所定の分圧比で分圧される。
【0043】
抵抗62及び63からなる分圧回路の分圧点にダイオード49のカソードが接続され、この分圧回路によって生成される分圧値に基づいてトランジスタ48の動作状態(オン・オフ)が制御される。また、脈流回路20についても同様に、抵抗22及び23からなる分圧回路の分圧点にダイオード46のカソードが接続され、この分圧回路によって生成される分圧値に基づいてトランジスタ45の動作状態(オン・オフ)が制御される。なお、抵抗62及び63の分圧比は、抵抗22及び23の分圧比と同じであっても異なっていてもよいが、本実施形態では同じであるものとする。
【0044】
図4に、本実施形態の調光信号生成回路1の動作を示す。
図4において、電気信号E1、E2及びE3について、左から(a)(E1、E2、E3)=(ON、OFF、OFF)、(b)(E1、E2、E3)=(ON、ON、OFF)、(c)(E1、E2、E3)=(ON、OFF、ON)、(d)(E1、E2、E3)=(ON、ON、ON)、(e)(E1、E2、E3)=(OFF、OFF、OFF)の場合の動作を示す。
図4において、縦軸は上段から、平滑回路10の平滑電圧V10、脈流回路20の脈流電圧V20、脈流回路60の脈流電圧V60、フォトダイオード31に流れる電流i31、ポイントP1の電圧VP1、ポイントP2の電圧VP2を示し、横軸は時間を示す。なお、平滑電圧V10、脈流電圧V20及び脈流電圧V60はグランドG1に対する電圧であり、電圧VP1及びVP2はグランドG2に対する電圧である。
【0045】
(a)の(E1、E2、E2)=(ON、OFF、OFF)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1(交流電源AC)のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V20及びV60はゼロとなる。したがって、抵抗22及び23による分圧値並びに抵抗62及び63による分圧値もゼロとなる。これにより、トランジスタ45にはダイオード46及び抵抗23を介してベース電流が流れ続けるとともに、トランジスタ48にもダイオード49及び抵抗63を介してベース電流が流れ続け、トランジスタ45及び48はオン状態を維持する。したがって、電流i31が最大値(≒V10/R44+V10/R47)に維持され、フォトトランジスタ32がオン状態に維持される。言い換えると、電流i31≒V10/R44+V10/R47において、フォトトランジスタ32が完全にオンするように各回路定数が設定されるものとする。これにより、電圧VP1及びVP2がゼロに維持され、電圧ゼロの調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0046】
(b)の(E1、E2、E3)=(ON、ON、OFF)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V20は電気信号E2(交流電源AC)を全波整流した脈流波形となり、脈流電圧V60はゼロとなる。この場合、抵抗22及び23による分圧は全波整流波形となり、そのゼロクロスに近い電圧領域では、トランジスタ45にダイオード46及び抵抗23を介してベース電流が流れ、トランジスタ45はベース電流に応じたオン状態となる。一方、抵抗22及び23の分圧における全波整流波形のピークに近い電圧領域では、トランジスタ45にベース電流は流れず、トランジスタ45はオフ状態となる。一方、トランジスタ48は、上記(a)の場合と同様にオン状態を維持する。
【0047】
上記のトランジスタ45のオン・オフ動作及びトランジスタ48のオン状態により、電流i31は、最大値(≒V10/R44+V10/R47)から第1の振幅(≒V10/R44)を脈流電圧V20に略反転する態様で減少させた波形となる。電流i31に対応したフォトトランジスタ32の動作により、電圧VP1は、電流i31の反転位相(すなわち、脈流電圧V20と同位相)で、第1の振幅に所定の割合で略比例する第2の振幅の波形となる。電圧VP2における電圧VP1の積分値をV1とすると、電圧V1の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0048】
(c)の(E1、E2、E3)=(ON、OFF、ON)の場合、平滑電圧V10は実質的に交流電源ACのピーク電圧で一定となり、脈流電圧V20はゼロとなり、脈流電圧V60は電気信号E3(交流電源AC)を全波整流した脈流波形となる。この場合、抵抗62及び63による分圧は全波整流波形となり、そのゼロクロスに近い電圧領域では、トランジスタ48にダイオード46及び抵抗63を介してベース電流が流れ、トランジスタ48はベース電流に応じたオン状態となる。一方、抵抗62及び63の分圧における全波整流波形のピークに近い電圧領域では、トランジスタ48にベース電流は流れず、トランジスタ48はオフ状態となる。一方、トランジスタ45は、上記(a)の場合と同様にオン状態を維持する。
【0049】
上記のトランジスタ45のオン状態及びトランジスタ48のオン・オフ動作により、電流i31は、最大値(≒V10/R44+V10/R47)から第3の振幅(≒V10/R47)を脈流電圧V60に略反転する態様で減少させた波形となる。電流i31に対応したフォトトランジスタ32の動作により、電圧VP1は、電流i31の反転位相(すなわち、脈流電圧V60と同位相)で、第3の振幅に上記所定の割合で略比例する第4の振幅の波形となる。R44<R47であるから、第4の振幅は、上記(b)の第2の振幅よりも大きい。したがって、電圧VP2における電圧VP1の積分値をV2とすると、積分値V2は上記(b)の場合の積分値V1よりも高い値となる。電圧V2の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0050】
(d)の(E1、E2、E3)=(ON、ON、ON)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V20及びV60はともに交流電源ACを全波整流した脈流波形となる。この場合、トランジスタ45は上記(b)の場合と同様に、そしてトランジスタ48は上記(c)の場合と同様に、交流電源ACのゼロクロスに近い電圧領域ではオン状態となり、ピークに近い電圧領域ではオフ状態となる。
【0051】
上記のトランジスタ45のオン・オフ動作及びトランジスタ48のオン・オフ動作により、電流i31は、脈流電圧V20及びV60と反転する位相で最大値(≒V10/R44+V10/R47)とゼロとの間を振幅する波形となる。電流i31に対応したフォトトランジスタ32の動作により、電圧VP1は、電流i31の反転位相、すなわち脈流電圧V20及びV60と同位相の振幅Vddの波形となる。したがって、電圧VP2における電圧VP1の積分値は、上記(a)及び(b)の場合の積分値V1及びV2よりも高いV3となる。電圧V3の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0052】
(e)の(E1、E2、E3)=(OFF、OFF、OFF)の場合、平滑電圧V10、脈流電圧V20及び脈流電圧V60はゼロとなり、電流i31はゼロに維持され、フォトトランジスタ32はオフ状態となる。これにより、電圧VP1及びVP2が制御電圧Vddに維持され、電圧Vddの調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0053】
なお、(e)で得られる電圧Vddの調光信号D(全光)は、電気信号E2及びE3の少なくとも一方がONの場合(点線参照)にも同様に得られる。言い換えると、電気信号E2又はE3側の系統で何らかの故障があった場合(オン又はオフができない場合)でも、電気信号E1をオフしさえすれば全光点灯状態が確保される。したがって、第1の実施形態と同様に、電気信号E1のオフ状態による入力が残余の電気信号の状態の入力に優先される構成は、照度確保による安全措置として好ましい。
【0054】
上記の処理の結果として、LED点灯回路2において、制御部5は、電圧ゼロの調光信号Dに応じて10%調光を実行し、電圧V1の調光信号Dに応じて25%調光を実行し、電圧V2の調光信号Dに応じて50%調光を実行し、電圧V3の調光信号Dに応じて75%調光を実行し、電圧Vddの調光信号Dに応じて全光点灯を実行する。
【0055】
以上のように構成された調光信号生成回路1によると、3系統の電気信号から調光信号を生成する構成において、単一系統の構成(
図10参照)を3組並列接続する場合に比べて大幅に部品点数を削減することができる。したがって、小型かつ低コストな調光信号生成回路1、LED電源6及びLED照明装置8を提供することが可能となる。特に、3系統の電気信号に対して、平滑用のコンデンサ、フォトカプラ及び出力回路が1組で済み、フォトダイオード31に直列接続される降圧用の抵抗が2組で済むので、3系統用の調光信号生成回路1の小型化及び低コスト化が実現される。また、第1の実施形態と同様に、出力回路50から出力される調光信号が1配線であるので、簡素な構成の制御部5が実現される。
【0056】
<第3の実施形態>
上記第2の実施形態では電気信号の全波整流波形が利用されて調光信号が生成される構成を示したが、本実施形態では電気信号の半波整流波形が利用されて調光信号が生成される構成を示す。
図5に本実施形態の調光信号生成回路1を示す。なお、図示を省略するが、本実施形態の調光信号生成回路1も、第1の実施形態と同様にLED点灯回路2(制御部5)に接続される。
【0057】
調光信号生成回路1は、平滑回路10、フォトカプラ30、スイッチング回路40、出力回路50、脈流回路70及び脈流回路80を備える。平滑回路10、フォトカプラ30、スイッチング回路40及び出力回路50は、第2の実施形態(
図3参照)のものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。交流電源ACから平滑回路10、脈流回路70及び脈流回路80への入力はそれぞれスイッチSW1、SW2及びSW3を介してオン/オフされる。すなわち、第2の実施形態と同様に、スイッチSW1のオン/オフによって電気信号E1がオン/オフされ、スイッチSW2のオン/オフによって電気信号E2がオン/オフされ、スイッチSW3のオン/オフによって電気信号E3がオン/オフされる。
【0058】
本実施形態においても、電気信号E1、E2及びE3の組合せによって5通りの点灯パターン(調光パターン)が設定される。例えば、
(E1、E2、E3)=(ON、OFF、OFF):10%調光、
(E1、E2、E3)=(ON、ON、OFF):25%調光、
(E1、E2、E3)=(ON、OFF、ON):50%調光、
(E1、E2、E3)=(ON、ON、ON):75%調光、
(E1、E2、E3)=(OFF、OFF、OFF):100%調光(すなわち、全光)
が設定されているものとする。
【0059】
脈流回路70は、半波整流回路71、抵抗72及び抵抗73を備える。半波整流回路71はダイオード71a及び71bを有し、ダイオード71aのアノードが交流電源ACの一方のラインHに接続され、ダイオード71bのカソードが交流電源ACの他方のラインCに接続され、ダイオード71bのアノードがグランドG1に接続される。これにより、交流電源ACからスイッチSW2を介して入力される電気信号E2が、半波整流回路71によって半波整流される。ダイオード71aのカソードとダイオード71bのアノードの間に抵抗72及び73の直列回路が接続され、半波整流回路71の脈流出力電圧が抵抗72及び73によって所定の分圧比で分圧される。抵抗72と抵抗73の接続点にダイオード46のカソードが接続され、この抵抗72及び73からなる分圧回路によって生成される分圧値に基づいてトランジスタ45の動作状態(オン・オフ)が制御される。
【0060】
脈流回路80は、半波整流回路81、抵抗82及び抵抗83を備える。半波整流回路81はダイオード81a及び81bを有し、ダイオード81aのアノードが交流電源ACのラインCに接続され、ダイオード81bのカソードが交流電源ACのラインHに接続され、ダイオード81bのアノードがグランドG1に接続される。これにより、半波整流回路81は半波整流回路71に対して交流電源ACの逆位相でオンするように構成され、その位相において、交流電源ACからスイッチSW3を介して入力される電気信号E3が半波整流回路81によって半波整流される。ダイオード81aのカソードとダイオード81bのアノードの間に抵抗82及び83の直列回路が接続され、半波整流回路81の脈流出力電圧が抵抗82及び83によって所定の分圧比で分圧される。抵抗82と抵抗83の接続点にダイオード49のカソードが接続され、この抵抗82及び83からなる分圧回路によって生成される分圧値に基づいてトランジスタ48の動作状態(オン・オフ)が制御される。なお、抵抗82及び83の分圧比は、抵抗72及び73の分圧比と同じであっても異なっていてもよいが、本実施形態では同じであるものとする。
【0061】
図6に、本実施形態の調光信号生成回路1の動作を示す。
図6において、電気信号E1、E2及びE3について、左から(a)(E1、E2、E3)=(ON、OFF、OFF)、(b)(E1、E2、E3)=(ON、ON、OFF)、(c)(E1、E2、E3)=(ON、OFF、ON)、(d)(E1、E2、E3)=(ON、ON、ON)、(e)(E1、E2、E3)=(OFF、OFF、OFF)の場合の動作を示す。
図6において、縦軸は上段から、平滑回路10の平滑電圧V10、脈流回路70の脈流電圧V70、脈流回路80の脈流電圧V80、フォトダイオード31に流れる電流i31、ポイントP1の電圧VP1、ポイントP2の電圧VP2を示し、横軸は時間を示す。なお、平滑電圧V10、脈流電圧V70及び脈流電圧V80はグランドG1に対する電圧であり、電圧VP1及びVP2はグランドG2に対する電圧である。
【0062】
(a)の(E1、E2、E2)=(ON、OFF、OFF)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1(交流電源AC)のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V70及びV80はゼロとなる。したがって、抵抗72及び73による分圧値並びに抵抗82及び83による分圧値もゼロとなる。これにより、トランジスタ45にはダイオード46及び抵抗73を介してベース電流が流れ続けるとともに、トランジスタ48にもダイオード49及び抵抗83を介してベース電流が流れ続け、トランジスタ45及び48はオン状態を維持する。したがって、電流i31が最大値(≒V10/R44+V10/R47)に維持され、フォトトランジスタ32がオン状態に維持される。言い換えると、電流i31≒V10/R44+V10/R47において、フォトトランジスタ32が完全にオンするように各回路定数が設定されるものとする。これにより、ポイントP1及びVP2の電圧VP1及びVP2がゼロに維持され、電圧ゼロの調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0063】
(b)の(E1、E2、E3)=(ON、ON、OFF)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V70は電気信号E2(交流電源AC)を半波整流した脈流波形となり、脈流電圧V80はゼロとなる。これにより、抵抗72及び73による分圧は半波整流波形となり、そのゼロ及びゼロ付近の電圧領域では、トランジスタ45にダイオード46及び抵抗73を介してベース電流が流れ、トランジスタ45はベース電流に応じたオン状態となる。一方、抵抗72及び73の分圧における半波整流波形のピークに近い電圧領域では、トランジスタ45にベース電流は流れず、トランジスタ45はオフ状態となる。一方、トランジスタ48は、上記(a)の場合と同様にオン状態を維持する。
【0064】
上記のトランジスタ45のオン・オフ動作及びトランジスタ48のオフ状態により、電流i31は、最大値(≒V10/R44+V10/R47)から第1の振幅(≒V10/R44)を半波の脈流電圧V70に略反転する態様で減少させた波形となる。電流i31に対応したフォトトランジスタ32の動作により、電圧VP1は、電流i31の反転位相(すなわち、脈流電圧V70と同位相)で、第1の振幅に所定の割合で略比例する第2の振幅の波形となる。これにより、電圧VP2における電圧VP1の積分値をV1とすると、電圧V1の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0065】
(c)の(E1、E2、E3)=(ON、OFF、ON)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V70はゼロとなり、脈流電圧V80は電気信号E3(交流電源AC)を半波整流した脈流波形となる。これにより、抵抗82及び83による分圧は半波整流波形となり、そのゼロ及びゼロ付近の電圧領域では、トランジスタ48にダイオード49及び抵抗83を介してベース電流が流れ、トランジスタ48はベース電流に応じたオン状態となる。一方、抵抗82及び83の分圧における半波整流波形のピークに近い電圧領域では、トランジスタ48にベース電流は流れず、トランジスタ48はオフ状態となる。一方、トランジスタ45は、上記(a)の場合と同様にオン状態を維持する。
【0066】
上記のトランジスタ45のオフ状態及びトランジスタ48のオン・オフ動作により、電流i31は、最大値(≒V10/R44+V10/R47)から第3の振幅(≒V10/R47)を半波の脈流電圧V80に略反転する態様で減少させた波形となる。電流i31に対応したフォトトランジスタ32の動作により、電圧VP1は、電流i31の反転位相(すなわち、脈流電圧V80と同位相)で、第3の振幅に上記所定の割合で略比例する第4の振幅の波形となる。R44<R47であるから、第4の振幅は、上記(b)の第2の振幅よりも大きい。したがって、電圧VP2における電圧VP1の積分値をV2とすると、積分値V2は上記(b)の場合の積分値V1よりも高い値となる。電圧V2の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0067】
(d)の(E1、E2、E3)=(ON、ON、ON)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V70及びV80はともに電気信号E2及びE3を相互に逆位相で半波整流した脈流波形となる。この場合、トランジスタ45は上記(b)の場合と同様に、そしてトランジスタ48は上記(c)の場合と同様に、交流電源ACのゼロ及びゼロ付近の電圧領域ではオン状態となり、ピークに近い電圧領域ではオフ状態となる。これにより、トランジスタ45及び48は交互にオン・オフする。
【0068】
上記のトランジスタ45のオン・オフ動作及びトランジスタ48のオン・オフ動作により、電流i31は、上記(b)における電流i31と上記(c)における電流i31を合成した波形となり、フォトトランジスタ32もこれに応じて動作する。これにより、電圧VP2における電圧VP1の積分値をV3とすると、積分値V3は上記(a)及び(b)の場合の積分値V1及びV2よりも高い値となる。電圧V3の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0069】
(e)の(E1、E2、E3)=(OFF、OFF、OFF)の場合、平滑電圧V10、脈流電圧V70及び脈流電圧V80はゼロとなり、電流i31はゼロに維持され、フォトトランジスタ32はオフ状態となる。これにより、電圧VP1及びVP2が制御電圧Vddに維持され、電圧Vddの調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0070】
なお、(e)で得られる電圧Vddの調光信号D(全光)は、電気信号E2及びE3の少なくとも一方がONの場合(点線参照)にも同様に得られる。したがって、第2の実施形態の場合と同様に、電気信号E1のオフ状態による入力が残余の電気信号の状態の入力に優先される構成は、照度確保による安全措置として好ましい。
【0071】
上記の処理の結果として、LED点灯回路2において、制御部5は、電圧ゼロの調光信号Dに応じて10%調光を実行し、電圧V1の調光信号Dに応じて25%調光を実行し、電圧V2の調光信号Dに応じて50%調光を実行し、電圧V3の調光信号Dに応じて75%調光を実行し、電圧Vddの調光信号Dに応じて全光点灯を実行する。
【0072】
以上のように構成された調光信号生成回路1によると、3系統の電気信号から調光信号を生成する構成において、単一系統の構成(
図10参照)を3組並列接続する場合に比べて大幅に部品点数を削減することができる。したがって、小型かつ低コストな調光信号生成回路1、LED電源6及びLED照明装置8を提供することが可能となる。特に、3系統の電気信号に対して、平滑用のコンデンサ、フォトカプラ及び出力回路が1組で済み、フォトダイオード31に直列接続される降圧用の抵抗が2組で済むので、3系統用の調光信号生成回路1の小型化及び低コスト化が実現される。また、第1及び第2の実施形態と同様に、出力回路50から出力される調光信号が1配線であるので、簡素な構成の制御部5が実現される。
【0073】
<第4の実施形態>
上記第2及び第3実施形態ではPNP型のトランジスタを用いて3系統の電気信号から5通りの調光信号を生成する構成を示したが、本実施形態ではNPN型のトランジスタを用いて3系統の電気信号から4通りの調光信号を生成する構成を示す。
図7に本実施形態の調光信号生成回路1を示す。なお、図示を省略するが、本実施形態の調光信号生成回路1も、第1の実施形態と同様にLED点灯回路2(制御部5)に接続される。
【0074】
調光信号生成回路1は、平滑回路10、フォトカプラ30、出力回路50、脈流回路70、脈流回路80及びスイッチング回路90を備える。平滑回路10、フォトカプラ30及び出力回路50は、第1の実施形態(
図1参照)のものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。平滑回路10は交流電源ACに常時接続され、脈流回路70及び脈流回路80はスイッチSW2及びSW3を介して交流電源ACに対してオン/オフされる。すなわち、スイッチSW2のオン/オフにより電気信号E2がオン/オフされ、スイッチSW3のオン/オフにより電気信号E3がオン/オフされる。
【0075】
電気信号E2及びE3の組合せによって4通りの点灯パターン(調光パターン)が設定される。例えば、
(E2、E3)=(ON、ON):25%調光、
(E2、E3)=(ON、OFF):50%調光、
(E2、E3)=(OFF、ON):75%調光、
(E2、E3)=(OFF、OFF):100%調光(すなわち、全光)
が設定されているものとする(電気信号E1はONである)。
【0076】
スイッチング回路90は、抵抗91並びにNPNトランジスタ92及び93を備える。NPNトランジスタ92及び93は並列接続され、この並列回路が抵抗91及びフォトダイオード31に直列接続される。抵抗91は降圧用(電流制限用)の抵抗として機能する。本実施形態では、NPNトランジスタ92及び93はMOSFETからなるものとし、以降の説明においてNPNトランジスタ92及び93をFET92及び93というものとする。FET92及び93のドレイン端子がフォトダイオード31のカソード側に接続され、ソース端子がグランドG1に接続される。FET92及び93のゲート端子(制御端子)は、それぞれ後述のツェナーダイオード76及び86のアノードに接続される。
【0077】
脈流回路70は、半波整流回路71、抵抗74、抵抗75及びツェナーダイオード76を備える。半波整流回路71は、第3の実施形態と同様にダイオード71a及び71bを有し、ダイオード71aのアノードが交流電源ACの一方のラインHに接続され、ダイオード71bのカソードが交流電源ACの他方のラインCに接続され、ダイオード71bのアノードがグランドG1に接続される。これにより、交流電源ACからスイッチSW2を介して入力される電気信号E2が、半波整流回路71によって半波整流される。ダイオード71aのカソードとダイオード71bのアノードの間に抵抗74及び75の直列回路が接続され、抵抗74と抵抗75の接続点にツェナーダイオード76のカソードが接続される。半波整流回路71の脈流出力電圧が抵抗74及び75によって所定の分圧比で分圧され、この分圧値がツェナーダイオード76のツェナー電圧及びFET92のゲート閾値を超えると、FET92がオンする。なお、グランドG1に対するツェナーダイオード76のアノードの電圧を分圧値Va1というものとする。
【0078】
脈流回路80は、半波整流回路81、抵抗84、抵抗85及びツェナーダイオード86を備える。半波整流回路81は、第3の実施形態と同様にダイオード81a及び81bを有し、ダイオード81aのアノードが交流電源ACのラインCに接続され、ダイオード81bのカソードが交流電源ACのラインHに接続され、ダイオード81bのアノードがグランドG1に接続される。これにより、半波整流回路81は半波整流回路71に対して交流電源ACの逆位相でオンするように構成され、その位相において、交流電源ACからスイッチSW3を介して入力される電気信号E3が半波整流回路81によって半波整流される。ダイオード81aのカソードとダイオード81bのアノードの間に抵抗84及び85の直列回路が接続され、抵抗84と抵抗85の接続点にツェナーダイオード86のカソードが接続される。半波整流回路81の脈流出力電圧が抵抗84及び85によって所定の分圧比で分圧され、この分圧値がツェナーダイオード86のツェナー電圧及びFET93のゲート閾値を超えると、FET93がオンする。なお、グランドG1に対するツェナーダイオード86のアノードの電圧を分圧値Va2というものとする。
【0079】
本実施形態では、分圧値Va1の振幅>分圧値Va2の振幅、であるものとする。この関係は、抵抗74及び75の分圧比>抵抗84及び85の分圧比、又はツェナーダイオード76のツェナー電圧<ツェナーダイオード86のツェナー電圧とすることによって得られる。要は、FET92がFET93よりもオンしやすいように各回路要素の定数が設定されていればよい。
【0080】
図8に、本実施形態の調光信号生成回路1の動作を示す。
図8において、電気信号E2及びE3について、左から(a)(E2、E3)=(ON、ON)、(b)(E2、E3)=(ON、OFF)、(c)(E2、E3)=(OFF、ON)、(d)(E2、E3)=(OFF、OFF)の場合の動作を示す。
図6において、縦軸は上段から、平滑回路10の平滑電圧V10、脈流回路70の脈流電圧V70、脈流回路80の脈流電圧V80、フォトダイオード31に流れる電流i31、ポイントP1の電圧VP1、ポイントP2の電圧VP2を示し、横軸は時間を示す。なお、平滑電圧V10、脈流電圧V70及び脈流電圧V80はグランドG1に対する電圧であり、電圧VP1及びVP2はグランドG2に対する電圧である。
【0081】
まず、(b)の(E2、E3)=(ON、OFF)の場合を説明する。この場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1(交流電源AC)のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V70は電気信号E2(交流電源AC)を半波整流した脈流波形となり、脈流電圧V80はゼロとなる。この場合、脈流電圧V70の半波整流波形のピーク側の電圧領域では、分圧値Va1がFET92のゲート閾値を超えてFET92がオンし、電流i31が流れる。一方、脈流電圧V70の半波整流波形のゼロ側の電圧領域では、分圧値Va1がFET92のゲート閾値以下となりFET92がオフし、電流i31は流れない。電流i31に対応したフォトトランジスタ32の動作により、電圧VP1が電流i31の反転位相のオフ幅T1の波形となる。電圧VP2における電圧VP1の積分値をV1とすると、電圧V1の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0082】
(c)の(E2、E3)=(OFF、ON)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V70はゼロとなり、脈流電圧V80は電気信号E3(交流電源AC)を半波整流した脈流波形となる。この場合、脈流電圧V80の半波整流波形のピーク側の電圧領域では、分圧値Va2がFET93のゲート閾値を超えてFET93がオンし、電流i31が流れる。一方、脈流電圧V80の半波整流波形のゼロ側の電圧領域では、分圧値Va2がFET93のゲート閾値以下となりFET93がオフし、電流i31は流れない。電流i31に対応したフォトトランジスタ32の動作により、電圧VP1が電流i31の反転位相のオフ幅T2の波形となる。電圧VP2における電圧VP1の積分値をV2とすると、電圧V2の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。ここで、分圧値Va1>分圧値Va2であることから、FET92及び93のゲート閾値が同じであるものとして、オフ幅T1>オフ幅T2となる。これにより、積分値V1<積分値V2となる。
【0083】
(a)の(E2、E2)=(ON、ON)の場合、平滑電圧V10は実質的に電気信号E1のピーク電圧で一定となり、脈流電圧V70及びV80はともに電気信号E2及びE3を相互に逆位相で半波整流した脈流波形となる。この場合、FET92は上記(b)の場合と同様に、そしてFET93は上記(c)の場合と同様に、交流電源ACのゼロ側の電圧領域ではオン状態となり、ピーク側の電圧領域ではオフ状態となる。これにより、FET92及び93は交互にオン・オフする。したがって、電流i31は、上記(b)における電流i31と上記(c)における電流i31を合成した波形となる。電流i31に対応したフォトトランジスタ32の動作により、電圧VP1が電流i31の反転位相のオフ幅T1+T2の波形となる。したがって、電圧VP2における電圧VP1の積分値をV0とすると、積分値V0は上記(a)及び(b)の場合の積分値V1及びV2よりも低い値となる。電圧V0の調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0084】
(d)の(E2、E3)=(OFF、OFF)の場合、平滑電圧V10、脈流電圧V70及び脈流電圧V80はゼロとなる。この場合、電流i31はゼロに維持され、フォトトランジスタ32のオフ状態により、電圧VP1及びVP2が制御電圧Vddに維持される。したがって、電圧Vddの調光信号Dが出力回路50から制御部5に出力される。
【0085】
上記の処理の結果として、LED点灯回路2において、制御部5は、電圧V0の調光信号Dに応じて25%調光を実行し、電圧V1の調光信号Dに応じて50%調光を実行し、電圧V2の調光信号Dに応じて75%調光を実行し、電圧Vddの調光信号Dに応じて全光点灯を実行する。
【0086】
以上のように構成された調光信号生成回路1によると、3系統の交流電源による電気信号から調光信号を生成する構成において、単一系統の構成(
図10参照)を3組並列接続する場合に比べて大幅に部品点数を削減することができる。したがって、小型かつ低コストな調光信号生成回路1、LED電源6及びLED照明装置8を提供することが可能となる。特に、3系統の電気信号に対して、平滑用のコンデンサ、フォトカプラ、出力回路及び電流制限用(降圧用)の抵抗が1組で済むので、3系統用の調光信号生成回路1の小型化及び低コスト化が実現される。また、第1乃至第3の実施形態と同様に、出力回路50から出力される調光信号が1配線であるので、簡素な構成の制御部5が実現される。
【0087】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0088】
(1)整流回路21及び61の変形
第1及び第2の実施形態において、整流回路21及び61として全波整流回路を採用したが、これらは半波整流回路であってもよい(第2の実施形態については、整流回路21及び61の一方又は両方が半波整流回路であってもよい)。
【0089】
(2)出力回路50の変形(出力論理の反転)
上記各実施形態において、ポイントP1の電圧VP1が、フォトトランジスタ32がオンの場合にロー出力となり、フォトトランジスタ32がオフの場合にハイ出力となる構成を示したが、この論理は反転されていてもよい。例えば、抵抗51をフォトトランジスタ32のエミッタ端子とグランドG2間に接続し、フォトトランジスタ32のコレクタ端子を制御電圧Vddに接続し、エミッタ端子の電圧を電圧VP1とすればよい(すなわち、抵抗52はエミッタ端子に接続される)。これにより、ポイントP1の電圧VP1は、フォトトランジスタ32がオンの場合にハイ出力となり、フォトトランジスタ32がオフの場合にロー出力となる。
【0090】
(3)出力回路50の変形(調光信号の処理)
上記各実施形態において、ポイントP1の電圧VP1が抵抗52及びコンデンサ53によって積分されて調光信号Dが生成される構成を示した。このように平滑された積分値が制御部5に入力される構成により、制御部5のマイクロコンピュータにおける調光信号Dの処理が容易となり、その構成が簡素化される。一方、制御部5のマイクロコンピュータが波形判別機能を有する場合には、電圧VP1が調光信号Dとして直接制御部5に出力されるようにしてもよい。この場合、制御部5のマイクロコンピュータは、電圧VP1の振幅(第1、第2及び第3の実施形態参照)と調光率を対応させてもよいし、電圧VP1のオン幅又はオフ幅(第1及び第4の実施形態参照)と調光率を対応させるようにしてもよい。また、制御部5のマイクロコンピュータは、電圧VP1の振幅と電圧VP1のオン幅又はオフ幅の組合せと調光率が対応させるようにしてもよい。
【0091】
(4)スイッチング回路40及び90の変形
第1乃至第3の実施形態においてPNPトランジスタにバイポーラトランジスタを用い、第4の実施形態においてNPNトランジスタにMOSFETを用いたが、トランジスタの種類はこれに限定されない。例えば、第1乃至第3の実施形態においてPNPトランジスタにMOSFETを用いてもよいし、第4の実施形態においてNPNトランジスタにバイポーラトランジスタを用いてもよい。この場合、バイポーラトランジスタのベース端子又はMOSFETのゲート端子の周辺回路構成が適宜設定されればよい。
【0092】
(5)第4の実施形態の変形
上記第4の実施形態では、1つの電流制限用の抵抗91が用いられる構成を示したが、
図9に示すように、FET92及び93とフォトダイオード31のカソードの間に抵抗94及び95がそれぞれ接続されるように変形してもよい。この場合、抵抗74及び75並びに抵抗84及び85への脈流電圧は、全波整流回路によって供給されてもよいし(第2の実施形態参照)、半波整流回路(第3の実施形態参照)によって供給されてもよい。これにより、電気信号E2がON(FET92がオン)の場合と、電気信号E3がON(FET93がオン)の場合との間で、フォトダイオード31に流れる電流が異なり、ポイントP1の電圧VP1における電圧の振幅が差異付けられる。したがって、それぞれの場合の電圧VP1の積分値VP2も差異付けられる。本変形例では、上記の分圧値Va1の振幅と分圧値Va2の振幅は同じであってもよい。
【0093】
(5)系統数の拡張
上記各実施形態においては、調光信号生成回路1に最大で3系統の電気信号が入力される構成を示したが、系統数の増加は、脈流回路及びスイッチング回路の拡張により可能である。この場合、第2及び第3の実施形態の拡張においては、PNPトランジスタに直列接続される抵抗を系統毎に異ならせればよく、第4の実施形態の拡張においては、分圧回路の分圧比を系統毎に異ならせればよい。